JP2009200398A - 太陽電池用裏面封止用シートおよびそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用裏面封止用シートおよびそれを用いた太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】
EVA樹脂充填材層との十分な接着強度とフィルムロールの保存安定性、生産性に優れ、さらにガスバリア性、耐候性、長期にわたる使用においても光線反射率に優れた太陽電池裏面封止シートを提供する。
【解決手段】
本発明の太陽電池裏面封止用シートは、耐加水分解性樹脂フィルム、水蒸気遮断性樹脂フィルム及び白色樹脂フィルムが積層された積層シートの片面に、イソシアネート基含有ポリマーを架橋剤とする接着層、及びエチレン系共重合樹脂を含有する熱接着性樹脂層がこの順に積層されたことを特徴とする太陽電池裏面封止用シートである。
【選択図】なし

Description

本発明は、長期に渡る過酷な屋外環境下での使用に耐え得る耐熱性、耐候性、防湿性等の特性を有する太陽電池裏面封止用シート及びそれを用いた太陽電池モジュールに関するものである。
近年、石油、石炭をはじめとする化石燃料の枯渇が危ぶまれ、これらの化石燃料により得られる代替エネルギーを確保するための開発が急務とされている。このため原子力発電、水力発電、風力発電、太陽光発電等の種々の方法が研究され、実際の利用に及んでいる。太陽光エネルギーを電気エネルギーに直接変換することが可能な太陽光発電は、半永久的で無公害の新たなエネルギー源として実用化されつつあり、実際に利用される上での価格性能比の向上が目覚しく、クリーンなエネルギー源として非常に期待が高い。
太陽光発電に使用される太陽電池は、太陽光のエネルギーを直接電気エネルギーに変換する太陽光発電システムの心臓部を構成するものであり、シリコンなどに代表される半導体からできている。その構造としては、太陽電池素子を直列、並列に配線し、20年程度の長期間にわたって素子を保護するために種々のパッケージングが施され、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットは太陽電池モジュールと呼ばれ、一般に太陽光が当たる面をガラスで覆い、熱可塑性樹脂からなる充填材で間隙を埋め、裏面を封止シートで保護した構成となっている。熱可塑性樹脂からなる充填材としては、透明性が高く、耐湿性にも優れているという理由でエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(以下、EVA樹脂)が用いられることが多い。一方、裏面封止シ−トには、機械強度、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐化学性、光反射性といった特性が要求されるだけではなく、EVA樹脂に代表される充填材との熱接着性に優れ、また、水分、酸素等の侵入を防止する観点からガスバリア性にも優れることが要求される。
従来から用いられている裏面封止シートには、白色のポリフッ化ビニルフィルム(デュポン(株)、商品名:テドラー(登録商標))でポリエステルフィルムをサンドイッチした積層構成のシートや、耐候性、ガスバリア性に優れたポリエステル系フィルムを積層したシート(特許文献1)が挙げられる。また、一般的にポリエチレンテレフタレート樹脂に代表されるポリエステルフィルムと充填材として用いられるEVA樹脂との接着性はそれほど高い強度を有しないために、長期の屋外使用において、充填材と封止シートとの間で剥がれを生じ、半導体素子を保護する機能が低下することなどが懸念される。そこで、接着強度向上の対策としてEVA系充填材層との接着性を改善するために、ポリエステルフィルム表面にスチレン・オレフィン共重合体樹脂の熱接着層(ホットメルト接着剤層)を設けた物が提案されている(特許文献2)。さらに封止シートは太陽光を反射させ、半導体素子におけるエネルギー変換を補助する役割を担うため、長期にわたって使用した場合にも高い光線反射率を維持することが望まれる。
特開2002−100788号公報 特開2001−010003号公報
しかしながら、ポリフッ化ビニルフィルムは機械的強度も弱く、太陽電池モジュール作製時に加えられる140〜150℃の熱プレスの熱により軟化し、太陽電池素子電極部の突起物が充填材層を貫通することがあるなどの欠点を抱えているだけでなく、高価であるために太陽電池モジュールの低価格化の点でも障害となる。また、充填材との密着力を向上させる目的で形成されるホットメルト系の熱接着層は、良好な接着強度を得るためには3μm程度の厚さが必要であり、十分な乾燥が必要なことからコーティング時の加工速度が上げられず、かつ使用する塗材も多いことからコストが高くなる欠点があった。また、比較的塗膜の粘着性が高いため、コートしたフィルムロールに、疑似接着状態(ブロッキング)が発生しやすい難点がある。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑み、太陽電池裏面封止シートとして必要とされるEVA樹脂充填材層との十分な接着強度とフィルムロールの保存安定性、生産性に優れ、さらにガスバリア性、耐候性、長期にわたる使用においてもEVA樹脂充填材層との密着力に優れた太陽電池裏面封止シートを提供することである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用するものである。すなわち、本発明の太陽電池裏面封止シートは、耐加水分解性樹脂フィルム、水蒸気遮断性樹脂フィルム及び白色樹脂フィルムが積層された積層シートの片面に、イソシアネート基含有ポリマーを架橋剤とする接着層、及びエチレン系共重合樹脂を含有する熱接着性樹脂層がこの順に積層されたものである。
また、本発明の太陽電池は、かかる太陽電池裏面封止用シートの熱接着性樹脂層面と、太陽電池モジュールのシリコンセル充填材層面とを接着してなる太陽電池モジュール。
本発明によれば、EVA樹脂充填材層との十分な接着強度があり、さらにガスバリア性、耐候性、長期にわたる使用においてもEVA樹脂充填材層との密着力に優れた太陽電池裏面封止シートが得られる。
また、本発明の好ましい態様によれば、フィルムロールの保存安定性、生産性に優れ、長期にわたる使用においても高い光線反射率を保つことのできる太陽電池裏面封止シートが得られる。
本発明者らは、前記課題、すなわちEVA樹脂充填材層との十分な接着強度があり、さらにガスバリア性、耐候性、長期にわたる使用においてもEVA樹脂充填材層との密着力に優れた太陽電池裏面封止シートについて鋭意検討し、耐加水分解性樹脂フィルム、水蒸気遮断性樹脂フィルム及び白色樹脂フィルムを積層した積層シートと、イソシアネート基含有ポリマーを架橋剤とする接着層およびエチレン系共重合樹脂を含有する熱接着性樹脂層を組み合わせることにより、上記課題を達成できる太陽電池裏面封止シートが得られることを見い出したものである。
以下本発明の好ましい形態について詳細に説明する。本発明の太陽電池裏面封止シートは、耐加水分解性樹脂フィルム、水蒸気遮断性樹脂フィルム及び白色樹脂フィルムが積層された積層シートの片面に、イソシアネート基含有ポリマーを架橋剤とする接着層、及びエチレン系共重合樹脂を含有する熱接着性樹脂層がこの順に積層したことを特徴とすることで、従来よりもEVA樹脂充填材層との十分な接着強度、ガスバリア性、耐候性、長期にわたる使用においても良好なEVA樹脂充填材層との密着力が得られるものである。
本発明の太陽電池裏面封止シートには耐加水分解性フィルムが用いられる。本発明における「耐加水分解性フィルム」とは高温高湿下において長時間使用された場合においても、樹脂の加水分解が抑制されるためにフィルムの機械特性が実用上問題のないレベルに保持することができるフィルムである。耐加水分解性樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂フィルムやポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート等の樹脂フィルムが挙げられる。中でも強度、寸法安定性、熱安定性に優れていることからポリエステル樹脂フィルムが好ましく、さらに安価であることからポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。また、ポリエステル系樹脂は共重合体であっても良く、共重合成分としては、例えば、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびそのエステル形成性誘導体のジカルボン酸成分などを使用することができる。通常、ポリエステル樹脂フィルムはモノマーを縮合重合させたいわゆるポリマーを原料として製膜されるものであるが、モノマーとポリマーの中間に位置づけられるオリゴマーが1.5〜2重量%程度含まれている。オリゴマーの代表的なものは環状三量体であり、その含有量が多いフィルムは屋外などの長期暴露において機械的強度の低下や、雨水等による加水分解の進行に伴う亀裂、材破などを生じる。これに対して本発明においては、固相重合法で重合して得られる環状三量体の含有量が1.0重量%以下のポリエステル樹脂を原料としてポリエステル樹脂フィルムを製膜することで、高温高湿度下での加水分解を抑制することが可能であり、さらに耐熱性及び耐候性にも優れたフィルムが得られる。上記環状三量体含有量の測定は、例えばポリマー100mgをオルトクロロフェノール2mlに溶解させた溶液を用いて、液体クロマトグラフィーにて測定することで樹脂重量に対する含有量(重量%)を測定する方法で求められる。
また、ポリエステル系樹脂フィルムには、必要に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、充填剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加したポリエステル系樹脂フィルム等も用いることができる。
さらに、ポリエステル系樹脂フィルムの熱寸法安定性が良好なものとなるよう、ポリエステル系樹脂フィルムは二軸方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。また、ポリエステル系樹脂フィルムには、必要に応じて、例えば、コロナ放電やプラズマ放電等の放電処理、あるいは酸処理等の表面処理を行ってもよい。
ポリエステル系樹脂フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが、封止シートの耐電圧特性、コスト等を勘案すると、25〜250μmの範囲が好ましい。
本発明の太陽電池裏面封止シートには水蒸気遮断性樹脂フィルムが用いられる。本発明における「水蒸気遮断性フィルム」とはJIS K7129(2000年版)に記載のB法にて測定される水蒸気透過率が5g/(m・day)以下の樹脂フィルムである。水蒸気遮断性樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に、蒸着法等により少なくとも一層の無機酸化物層を設けたフィルムが挙げられる。ポリエステル系樹脂フィルムを構成するポリエステル系樹脂は、その構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレートや、その構成単位の80モル%以上がエチレンナフタレートであるポリエチレンナフタレート等で代表されるが、特に限定されない。また、ポリエステル系樹脂は共重合体であっても良く、共重合成分としては、例えば、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびそのエステル形成性誘導体のジカルボン酸成分などを使用することができる。
また、ポリエステル系樹脂フィルムには、必要に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、充填剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加したポリエステル系樹脂フィルム等も用いることができる。
蒸着等により無機酸化物層が設けられたフィルムのガスバリア性は、少なくとも基材であるポリエステル系樹脂フィルムの熱寸法安定性に起因するため、ポリエステル系樹脂フィルムは二軸方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。また、ポリエステル系樹脂フィルムには、必要に応じて、例えば、コロナ放電やプラズマ放電等の放電処理、あるいは酸処理等の表面処理を行ってもよい。
上記ポリエステル系樹脂フィルムの厚さは、無機酸化物層を形成する時の安定性やコスト等の理由から、好ましくは1〜100μmの範囲であり、より好ましくは5〜50μmの範囲であり、特に好ましくは10〜30μm程度が実用的である。
本発明において形成される無機酸化物層を構成する無機酸化物としては、金属酸化物および金属窒化酸化物等を例示することができる。また、無機酸化物層は、蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等で形成することができる。ただし、生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては、電子線加熱方式、抵抗加熱方式および誘導加熱方式が好ましい。無機酸化物層を構成する金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウム合金および酸化珪素等を例示することができ、また金属窒化酸化物としては、酸化窒化珪素等を例示することができる。特に、水蒸気遮断性および生産効率の点などから、酸化アルミニウム、酸化珪素および酸化窒化珪素などの無機酸化物やこれらの混合物が好ましく用いられる。
無機酸化物層の膜厚は、用いられる無機物の種類や構成により適宜選択されるが、一般的には2〜300nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは3〜100nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜50nmの範囲である。膜厚が300nmを超えると、特に金属酸化物層の場合にはそのフレキシビリティ(柔軟)性が低下し、製膜後(後加工工程等において)の折り曲げ、引っ張りなどの外力で、薄膜に亀裂やピンホール等を生じる恐れがあり、水蒸気遮断性が著しく損なわれることがある。また、無機物層の形成スピードが低下するため、生産性を著しく低下させることがある。一方、2nm未満の膜厚では、均一な膜が得られにくく、さらには膜厚が十分でないことがあり、水蒸気遮断性の機能を十分に発現することができないことがある。
本発明において、無機酸化物によって形成される水蒸気遮断性層上には、後加工時に無機酸化物層に働く折り曲げ、引っ張り等の応力から無機酸化物層を保護する目的などで樹脂コート層を設けても良く、樹脂コート層を介して、さらに1層以上の無機酸化物層を形成しても良い。
本発明において太陽電池裏面封止シートに用いられる白色樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂に白色顔料を練り込んだ樹脂原料を製膜したフィルムが挙げられる。白色フィルムは、バックシートまで入射してきた光を反射させて半導体素子におけるエネルギー変換を補助する目的で用いられ、最もセル側に配されるのが好ましい。ポリエステル系樹脂フィルムを構成するポリエステル系樹脂は、その構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレートや、その構成単位の80モル%以上がエチレンナフタレートであるポリエチレンナフタレートや、その構成単位の80モル%以上がポリ乳酸であるポリ乳酸フィルム等で代表されるが、特に限定されない。また、ポリエステル系樹脂は共重合体であっても良く、共重合成分としては、例えば、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびそのエステル形成性誘導体のジカルボン酸成分などを使用することができる。
白色顔料としては、酸化チタンや酸化亜鉛を利用することができ、混錬することで白色度が80%以上、不透明度が80%以上の白色樹脂フィルムとする。
また、白色樹脂フィルムには、必要に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、充填剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加したポリエステル系樹脂フィルム等も用いることができる。
本発明において、耐加水分解性樹脂フィルムと水蒸気遮断性樹脂フィルム及び白色樹脂フィルムを積層させてシート状に加工する手法としては、公知のドライラミネート法が利用できる。ドライラミネート法を用いた樹脂フィルムの貼り合わせには、ポリエーテルポリウレンタン系、ポリエステルポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエポキシ系樹脂などを主剤とし、ポリイソシアネート系樹脂を硬化剤とする公知のドライラミネート用接着剤を用いることができる。ただし、これらの接着剤を用いて形成される接着剤層には、接着強度が長期間の屋外使用で劣化することに起因するデラミネーションなどを生じないこと、光線反射率の低下につながる黄変を生じないことなどが必要である。また、接着剤層の厚みとしては、好ましくは1〜5μmの範囲である。1μm未満であると十分な接着強度が得られ難い場合がある。一方、5μmを越えると接着剤塗工のスピードが上がらない、接着力を発現させる(主剤及び硬化剤間の架橋反応を促進する)目的で行うエージングに長時間を要すること、さらには接着剤使用量が増加することなどを理由に生産コストが上がるため、好ましくない。
本発明にかかる接着層の形成に用いる材料としては、公知のドライラミネート用接着剤を使用することができる。一般にドライラミネート用接着剤は主剤および架橋剤の2つの樹脂を希釈溶媒で希釈して調合したものが用いられるが、架橋剤としては活性水酸基との反応性に富み、その反応速度及び初期密着力の発現が早いイソシアネート基含有ポリマーを用いる処方が好ましい。これらの利点に加えて、基材フィルムとの接着強度が高く、さらにその接着強度の恒温安定性、長期耐久性にも優れる接着性樹脂層を形成することができる。このイソシアネート基含有ポリマーと組合せて用いる主剤樹脂としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリオール系などのウレタン系樹脂やエポキシ系樹脂を例示することができ、詳細な要求特性、加工条件適性に応じて、適宜選択して用いることができる。なお、接着層は太陽電池モジュールに組み立てた際には、白色樹脂フィルム層よりも半導体素子側に位置するため、光線反射率の低下につながる黄変を生じてはならない。一般に、樹脂骨格中に紫外線域の光の吸収帯を有する芳香環を含有する樹脂は、紫外線照射に伴い黄変し易い。このような観点から、接着層の形成に用いる樹脂としては芳香環を含有しない、あるいは含有量の少ない脂肪族系樹脂あるいは脂環族系樹脂が好ましい。架橋剤として用いるポリイソシアネート系樹脂としては、芳香族系ポリイソシアネート、芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネートおよび脂肪族系ポリイソシアネート等が例示でき、各々以下に示すジイソシアネート化合物を原料とする樹脂である。
芳香族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、m−またはp−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−、2,4′−又は2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、および4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が例示される。
芳香脂肪族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)や、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が例示される。
脂環族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、および1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)等が例示される。
脂肪族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、および2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
ポリイソシアネートの原料としては、これらのジイソシアネートを複数種組み合わせて用いることもできるが、前述の理由から、脂環族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートを主成分とする硬化剤を用いることが好ましい。さらに、脂肪族ポリイソシアネートを主成分とする硬化剤を用いることが紫外線による接着強度の低下が小さいことから好ましい。
接着層の厚みは0.1〜1μmが好ましい。接着層の厚みが0.1μm未満であると、塗工時にはじきや膜切れといった現象を生じ易く、均一な塗膜を形成し難いために、密着力等の特性が十分に発現しない場合がある。一方、接着層の厚みが1μmを越えると、塗膜表面のタックが強くなるために、搬送ロールへの塗膜粘着やそれに伴う塗膜の剥がれ等を生じ易くなり、熱接着性樹脂層の形成が困難となるだけでなく、特性も不十分・不均一となる場合がある。
本発明の接着層を形成するためのコーティング液の溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールおよび水等を例示することができ、該コーティング液の性状としてはエマルジョン型および溶解型のいずれでも良い。
接着層を樹脂フィルム上に形成する方法は特に制限されるべきものではなく、公知のコーティング手法を用いることができる。コーティング手法としては、種々の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法等や、これらを組み合わせた方法を利用することができる。なかでも、グラビアロールコーティング法は、コーティング層形成組成物の安定性を増す理由で好ましい方法である。
本発明にかかる熱接着性樹脂層の形成に用いる材料としては、太陽電池モジュールに使用される充填材層を構成する樹脂と相溶性があり、充填材層を構成する樹脂の軟化点以上で相溶性を生じるものであればよい。現在、充填材としてはEVA樹脂が多く用いられていることを考慮すると、本発明においては、熱接着性樹脂層の形成にはエチレン系共重合樹脂を含有する樹脂を用いる。具体的には、エチレンと酢酸ビニルとを共重合したEVA共重合体、エチレンとアクリル酸とを共重合したエチレン−アクリル酸共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸とを共重合したエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等に代表されるエチレン系共重合樹脂が例示できる。ただし、2成分系エチレン系共重合樹脂だけでなく、例えばEVA共重合体を基本構造として、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステルなどの第3成分を共重合した共重合ポリマーなどを使用することができる。さらに、複数のエチレン系共重合樹脂を任意の割合で混合して使用しても良い。中でも、EVA共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、EVA共重合体を基本構造とする共重合ポリマー、及びこれらの混合物が特に好ましく使用できる。ただし、接着層と同様に耐光性を考慮し、芳香環を含有する骨格のポリマーは用いないことが好ましい。
熱接着性層の厚みは0.2〜2μmが好ましい。熱接着性樹脂層の厚みが0.2μm未満であると、ぬれ性が良好とは言えない接着層上への塗工の際に、はじきや膜切れといった現象を生じ易く、均一な塗膜を形成し難い場合がある。また、充填材との相溶部の厚みが不足するために、太陽電池モジュールとした場合に充填材と太陽電池封止シートとの間の密着力が十分に発現しない場合がある。一方、接着層の厚みが2μmを越えると、エチレン系共重合樹脂の軟化温度が比較的低いことに起因する塗膜表面のタックが強くなるために、巻き取った製品ロールがブロッキングするといった生産性の低下を生じ易くなる場合がある。さらに、樹脂使用量が増大すること、十分に溶剤を蒸発させるためにコーティング時の乾燥条件を高温化し、長時間化する必要があること、フィルムにカール等の変形を生じやすくなること、および製造コストが高騰するというような問題点が生じることがある。
本発明の熱接着性樹脂層を形成するためのコーティング液の溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールおよび水等を例示することができ、該コーティング液の性状としてはエマルジョン型および溶解型のいずれでも良い。
熱接着性樹脂層を接着層上に形成する方法は特に制限されるべきものではなく、公知のコーティング手法を用いることができる。コーティング手法としては、種々の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法等や、これらを組み合わせた方法を利用することができる。なかでも、グラビアロールコーティング法は、コーティング層形成組成物の安定性を増す理由で好ましい方法である。
本発明では、前述の通り、耐加水分解性樹脂フィルム、水蒸気遮断性樹脂フィルム及び白色樹脂フィルムが積層された積層シートの片面に、イソシアネート基含有ポリマーを架橋剤とする接着層、及びエチレン系共重合樹脂を含有する熱接着性樹脂層がこの順に積層することで優れた特性の太陽電池裏面封止用シートを得ることができる。好ましくは、太陽電池裏面封止用シートの外気に触れる側の最外層に耐加水分解性を有するフィルムを配すことで、それよりも内層側に位置する水蒸気遮断性樹脂フィルムおよび白色樹脂フィルムは加水分解から守られる。また、耐加水分解性樹脂フィルム、水蒸気遮断性樹脂フィルムおよび白色樹脂フィルムのうち、白色樹脂フィルムを最もセル側に配すことで、それよりも外層側の水蒸気遮断性樹脂フィルムおよび耐加水分解性樹脂はセル側からの光、特に紫外線光から保護され、さらに好ましい
本発明の太陽電池裏面封止用シートは、EVA樹脂充填材層との十分な接着強度と<フィルムロールの保存安定性、生産性>に優れ、さらにガスバリア性、耐候性、長期にわたる使用においてもEVA樹脂充填材層との密着力に優れていることから、太陽電池モジュールにおいて好適に用いられることから、本発明の太陽電池裏面封止用シートおよびそれを用いた太陽電池モジュールは有用である。
次に、実施例を挙げて、具体的に本発明の太陽電池裏面封止用シートについて説明する。実施例中で「部」とは、特に注釈のない限り「重量部」であることを意味する。
<特性の評価方法>
本発明で用いた特性の評価方法は、下記のとおりである。
(1)膜厚測定
接着層と熱接着性樹脂層の膜厚は、各層を設けた作製した太陽電池裏面封止用シートをフィルム面に対して垂直にミクロトームで切断した小片を作製し、走査型電子顕微鏡で断面を観察することにより測定した。切り出した断面の3箇所について、膜厚算出を行い、その平均値を接着層と熱接着性樹脂層の膜厚とした。
(2)水蒸気透過率の測定
温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の水蒸気透過率透過率測定装置(機種名、パ−マトラン(登録商標)W3/31)を使用してJIS K7129(2000年版)に記載のB法(赤外センサー法)に基づいて測定した。また、2枚の試験片について各々測定を1回行い、2つの測定値の平均値を水蒸気透過率の値とした。
(3)充填材との接着強度の測定
JISK 6854に基づいて、EVAシートとの接着力を測定した。試験した疑似太陽電池モジュールサンプルは作製した太陽電池裏面封止用シートの熱接着性樹脂層面にEVAシートを重ね、さらにその上に厚さ0.3mmの半強化ガラスを重ね、市販のガラスラミネーターを用いて真空引き後に135℃加熱条件下、3Kgf/cm荷重で15分プレス処理をしたものを用いた。EVAシートは、サンビック(株)製の500μm厚シートを用いた。接着強度試験の試験片の幅は10mmとし、2つの試験片について各々測定を1回行い、2つの測定値の平均値を接着強度の値とした。接着強度は100N/50mm以上あることが実用上問題ないレベルと判断できる。
また、接着強度の耐光性についても評価を実施した。前述の通り作製した疑似太陽電池モジュールサンプルの半強化ガラス面側から次の装置、照射条件で紫外線を照射し、疑似屋外暴露加速試験を実施した。
・使用装置:春日電機(株)製アイスーパー
・紫外線照射強度:100mW/cm
・紫外線照射時間:48時間。
紫外線を照射した疑似太陽電池モジュールについて、前述の方法でEVAシートとの接着強度を測定した。2つの試験片について各々測定を1回行い、2つの測定値の平均値を接着強度の値とした。接着強度は10N/50mm以上あることが20年程度の長期にわたる屋外での使用について、実用上問題ないレベルと判断できる。
(4)光線反射率の測定
前述の方法で作製した疑似太陽電池モジュールの半強化ガラス面側について、光線反射率の測定を島津製作所(株)製分光光度計MPC−3100を用いて行った。反射率の測定値としては、600nmの波長における反射率を代表して記す。また、光線反射率の耐光性についても評価を実施した。前述の通り作製した疑似太陽電池モジュールサンプルの半強化ガラス面側から次の装置、照射条件で紫外線を照射し、疑似屋外暴露加速試験を実施した。
・使用装置:春日電機(株)製アイスーパー
・紫外線照射強度:100mW/cm
・紫外線照射時間:48時間。
紫外線を照射した疑似太陽電池モジュールについて、前述の方法で光線反射率の測定を行った。反射率の測定値としては、600nmの波長における反射率を代表して記す。
(接着層形成用塗料1の調整)
三井化学ポリウレタン(株)製ドライラミネート剤 タケラック(登録商標)A−310(ポリエステルポリウレタン樹脂)を12部、三井化学ポリウレタン(株)製の芳香族系ポリイソシアネート樹脂である タケネート(登録商標)A−3を1部、および酢酸エチルを212部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度3%の接着層形成用塗料1を得た。
(接着層形成用塗料2の調整)
三井化学ポリウレタン(株)製ドライラミネート剤 タケラック(登録商標)A−310(ポリエステルポリウレタン樹脂)を12部、三井化学ポリウレタン(株)製の脂肪族系ポリイソシアネート樹脂である タケネート(登録商標)A−3070を0.84部、および酢酸エチルを208部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度3%の接着層形成用塗料2を得た。
(接着層形成用塗料3の調整)
大日本インキ化学工業(株)製エポキシ系樹脂塗料を20部、大日本インキ化学工業(株)製の脂肪族系ポリイソシアネート樹脂を2.9部、および酢酸エチルを274部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度3%の接着層形成用塗料3を得た。
(接着層形成用塗料4の調整)
三井化学ポリウレタン(株)製ドライラミネート剤 タケラック(登録商標)A−310(ポリエステルポリウレタン樹脂)を12部、および酢酸エチルを188部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度3%の接着層形成用塗料4を得た。
(熱接着性樹脂層形成用塗料1の調整)
中央理化工業(株)製のEVA系3元共重合樹脂含有水性エマルジョン塗料である アクアテックス(登録商標)MC−3800を20部、イソプロピルアルコールを10.8部、および水を22.6部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度15%の熱接着性樹脂層形成用塗料1を得た。
(熱接着性樹脂層形成用塗料2の調整)
大日本インキ化学工業(株)製のエチレン−アクリル酸共重合体とエチレン−メタクリル酸共重合体の混合物からなる水性エマルジョン塗料である ディックシール(登録商標)W−482Sを10部、イソプロピルアルコールを5.3部、および水を8.7部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度15%の熱接着性樹脂層形成用塗料2を得た。
(ドライラミネート用接着剤の調整)
大日本インキ化学工業(株)製ドライラミネート剤 ディックドライ(登録商標)LX−903を16部、硬化剤として大日本インキ化学工業(株)製KL−75を2部、および酢酸エチルを29.5部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度20%のドライラミネート用接着剤を得た。
(実施例1)
酸化チタン粒子を含有する白色樹脂フィルム ルミラー(登録商標)E20F(東レ(株)製、50μm)の一方の面に、接着層形成用塗料1及び熱接着性樹脂層形成用塗料1を下記条件で2ヘッドのタンデム型ダイレクトグラビアコーターを用いて順次、塗工した。
・接着層塗工条件:乾燥膜厚0.2μm狙い、乾燥オーブン設定温度120℃
・熱接着性樹脂層塗工条件:乾燥膜厚1.0μm狙い、乾燥オーブン設定温度100℃
・塗工スピード:100m/min
・エージング:塗布・巻取り後、40℃下で2日間エージング。
続いて、水蒸気遮断性樹脂フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミナ蒸着層を形成したアルミナ蒸着フィルム バリアロックス(登録商標)1031HGTS(東レフィルム加工(株)製、12μm)を、耐加水分解性樹脂フィルムとして環状三量体の含有量が1重量%以下である耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム ルミラー(登録商標)X10S(東レ(株)製、125μm)を用意した。バリアロックスのアルミナ蒸着層面に、ルミラーX10Sをドライラミネート用接着剤を用いてドライラミネートした。続いて、バリアロックスのポリエチレンテレフタレートフィルム面と前記ルミラーE20Fの未塗工面をドライラミネート用接着剤を用いてドライラミネートした。このようにして得たサンプルを40℃下で2日間エージングすることで、太陽電池裏面封止用シートを得た。
(実施例2)
水蒸気遮断性樹脂フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミナ蒸着層を形成したアルミナ蒸着フィルム バリアロックス(登録商標)1031HGTS(東レフィルム加工(株)製、12μm)を用意した。バリアロックスの非蒸着面に、接着層形成用塗料1及び熱接着性樹脂層形成用塗料1を実施例1に記載の方法と同様にして塗工し、接着層および熱接着性樹脂層を形成した。
続いて、白色樹脂フィルムとして酸化チタン粒子を含有する白色樹脂フィルム ルミラー(登録商標)E20F(東レ(株)製、50μm)を、耐加水分解性樹脂フィルムとして環状三量体の含有量が1重量%以下である耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム ルミラー(登録商標)X10S(東レ(株)製、125μm)を用意した。白色樹脂フィルムとルミラーX10Sをドライラミネート用接着剤を用いてドライラミネートした。続いて、白色樹脂フィルム面と前記バリアロックス1031HGTSの未塗工面をドライラミネート用接着剤を用いてドライラミネートした。このようにして得たサンプルを40℃下で2日間エージングすることで、太陽電池裏面封止用シートを得た。
(実施例3)
接着層形成用塗料1に代えて接着層形成用塗料2を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止用シートを得た。
(実施例4)
接着層形成用塗料1に代えて接着層形成用塗料3を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止用シートを得た。
(実施例5)
接着層形成用塗料1に代えて接着層形成用塗料3を用いた以外は実施例2に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止用シー5を得た。
(実施例6)
熱接着性樹脂層形成用塗料1に代えて熱接着性樹脂層形成用塗料2を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止用シートを得た。
(比較例1)
接着層および熱接着性樹脂層を形成しない以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止用シートを得た。
(比較例2)
接着層形成用塗料1に代えて接着層形成用塗料4を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池裏面封止用シートを得た。
実施例1〜6および比較例1〜2の結果を、表1および表2に示す。
Figure 2009200398
Figure 2009200398
上記の各実施例と各比較例との比較から下記のことが分かる。
(実施例1、2と実施例3〜6の比較)
接着層の形成に用いるイソシアネート基含有ポリマーとして、芳香族系ポリイソシアネート樹脂を用いた実施例1及び2で得た太陽電池裏面封止用シートは、強い充填材との密着強度を示したが、紫外線照射によって実用上は問題のない程度に留まってはいるが、密着強度の低下が見られた。一方、接着層の形成に用いるイソシアネート基含有ポリマーとして、脂肪族系ポリイソシアネート樹脂を用いた実施例3〜6で得た太陽電池裏面封止用シートは、実施例1及び2と比較して、充填材との密着強度において、紫外線照射に伴う強度低下が大きく抑制されていることを確認した。この結果から、充填材との密着強度に関して、耐紫外線性を向上するためにはイソシアネート基含有ポリマーとして、脂肪族系ポリイソシアネート樹脂を用いることが好ましいことを確認した。
(実施例1,3,4,6と実施例2,5の比較)
実施例1,3,4,6で得られた太陽電池裏面封止用シートは耐加水分解性樹脂フィルム、水蒸気遮断性樹脂フィルムおよび白色樹脂フィルムのうち、白色樹脂フィルムを最もセル側に配する積層構成のシートである。その結果、紫外線照射に伴う光線反射率の低下度が実施例2,5で得られた太陽電池裏面封止用シートと比較して小さい。これは擬似モジュール構成において、実施例2,5の太陽電池裏面封止用シートでは水蒸気遮断性樹脂フィルムが大量の紫外線を受けることによって黄変(着色)してしまったのに対し、実施例1,3,4,6の太陽電池裏面封止用シートは紫外線が白色樹脂フィルムによって反射、吸収されて、紫外線が水蒸気遮断性樹脂フィルムにまで届かないためである。実施例1,3,4,6の構成であると、発電素子間を抜けて太陽電池裏面封止用シートにまで届いた光の反射性能の低下を抑えられ、ひいては発電効率の低下を抑えられるので好ましい。
(実施例1~6と比較例1の比較)
耐加水分解性樹脂フィルムと水蒸気遮断性樹脂フィルム及び白色樹脂フィルムを積層した積層シートの表面にイソシアネート基含有ポリマーを架橋剤とする接着層と、エチレン系共重合樹脂を含有する熱接着性樹脂層を形成した実施例1〜6で得た太陽電池裏面封止用シートはいずれも高い水蒸気遮断性能、強い充填材との密着強度、および高い光線反射率を示した。また、紫外線を照射した後に行った充填材との密着強度評価においても、特性の若干の低下は見られるものの、実用上問題の無い物性を維持していることを確認した。
一方、接着層および熱接着性樹脂層を形成しなかった比較例1の太陽電池裏面封止用シートは、水蒸気遮断性能および光線反射率には優れていたものの、充填材との密着強度が初期特性においても不十分なものであった。この結果から太陽電池裏面封止用シートと充填材を強く密着させるためには接着層および熱接着性樹脂層が必要と言える。
(実施例1〜6と比較例2の比較)
比較例2において得られた太陽電池裏面封止用シートの接着層はその塗膜中にイソシアネート基含有ポリマーを架橋剤として含まない。この太陽電池裏面封止用シートについて充填材との密着強度を測定した結果、その初期特性および耐光性ともに実施例1〜6で得た太陽電池裏面封止用シートと比較して大きく劣ることを確認した。この結果から、比較例2の太陽電池裏面封止用シートの接着層はその塗膜中にイソシアネート基含有ポリマーを架橋剤として含まないために、接着層の架橋(高密度化)が進行せずに、塗膜強度が向上しなかったと考えられる。従って、接着層はその塗膜中にイソシアネート基含有ポリマーを架橋剤として含む必要があると言える。
上記の各実施例と比較例の結果から明らかなように、本発明の太陽電池裏面封止用シートは、EVA樹脂充填材層との十分な接着強度、ガスバリア性、耐候性、長期にわたる使用においてもEVA樹脂充填材層との密着力に優れた太陽電池裏面封止シートである。また同時に、本発明の太陽電池裏面封止シートを用いる太陽電池モジュールは、耐久性および高い光線反射率に起因する優れた発電効率を示す太陽電池モジュールである。
本発明の太陽電池裏面封止用シートは、EVA樹脂充填材層との十分な接着強度、ガスバリア性、耐候性、長期にわたる使用においてもEVA樹脂充填材層との密着力に優れていることから、太陽電池モジュールにおいて好適に用いられることから、本発明の太陽電池裏面封止用シートおよびそれを用いた太陽電池モジュールは有用である。

Claims (6)

  1. 耐加水分解性樹脂フィルム、水蒸気遮断性樹脂フィルム及び白色樹脂フィルムが積層された積層シートの片面に、イソシアネート基含有ポリマーを架橋剤とする接着層、及びエチレン系共重合樹脂を含有する熱接着性樹脂層がこの順に積層された太陽電池裏面封止用シート。
  2. 前記イソシアネート記含有ポリマーが、脂肪族系イソシアネート及び脂環族系イソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の太陽電池裏面封止用シート。
  3. 前記接着層の厚さが0.1〜1μmであり、前記熱接着性樹脂層の厚さが0.2〜2μmである請求項1又は2に記載の太陽電池裏面封止用シート。
  4. 前記エチレン系共重合樹脂が、(i)エチレン−ビニルアセテート共重合体、(ii)エチレンービニルアセテート共重合体を基本構造とする共重合ポリマー及び(iii)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池裏面封止用シート。
  5. 前記積層シートが、耐加水分解性樹脂フィルム、水蒸気遮断性樹脂フィルム及び白色樹脂フィルムがこの順に積層されたものであり、積層シートの白色樹脂フィルム面側に前記接着層及び前記熱接着性樹脂層がこの順に積層された請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池裏面封止用シート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池裏面封止用シートの熱接着性樹脂層面と、太陽電池モジュールのシリコンセル充填材層面とを接着してなる太陽電池モジュール。
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