JP2015115474A - 太陽電池用裏面保護シート、太陽電池モジュール、及び太陽電池モジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐紫外線性と裏面側封止材との良好な接着力とを両立した太陽電池用裏面保護シートを提供する。【解決手段】 基材と樹脂層とを有する太陽電池用裏面保護シートであって、前記樹脂層は、アクリル系ポリマー及び酸化チタン粒子を含む原料組成物から得られ、前記樹脂層中の酸化チタン粒子の含有量は、樹脂層の全成分100質量%において、32質量%以上60質量%以下であることを特徴とする、太陽電池用裏面保護シート。【選択図】なし
Description
本発明は、太陽電池用裏面保護シートの受光面側の耐紫外線性と、裏面側封止材との良好な接着力とを両立することが可能な太陽電池用裏面保護シートに関する。
近年、石油、石炭をはじめとする化石燃料の枯渇が危ぶまれ、これらの化石燃料により得られる代替エネルギーを確保するための開発が急務とされている。このため原子力発電、水力発電、風力発電、太陽光発電等の種々の方法が研究され、実際の利用に及んでいる。
太陽光エネルギーを電気エネルギーに直接変換することが可能な太陽光発電は、半永久的で無公害の新たなエネルギー源として実用化されつつあり、実際に利用される上での価格性能比の向上が目覚しく、クリーンなエネルギー源として非常に期待が高い。
太陽光発電に使用される太陽電池は、太陽光のエネルギーを直接電気エネルギーに変換する太陽光発電システムの心臓部を構成するものであり、シリコンなどに代表される半導体からできている。その構造としては、太陽電池セルを直列、並列に配線し、20年程度の長期間にわたってセルを保護するために種々のパッケージングが施され、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットは太陽電池モジュールと呼ばれ、一般に太陽光が当たる面をガラス板で覆い、熱可塑性樹脂からなる封止材で間隙を埋め、裏面をシートで保護した構成となっている。熱可塑性樹脂からなる封止材としては、透明性が高く、耐湿性にも優れているという理由でエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(以下、EVA樹脂)が用いられることが多い。一方、裏面保護シートには、機械強度、耐候性、耐熱性、耐水性、耐化学薬品性、光反射性、水蒸気遮断性、EVA樹脂に代表される封止材との熱接着性、意匠性、最外層の端子ボックス取り付け用シリコーン系樹脂との接着力といった特性が要求される。
従来から用いられている裏面保護シート用フィルムとしては、白色のポリフッ化ビニルフィルム(デュポン(株)、商品名:“テドラー”(登録商標))が例示でき、該フィルムでポリエステルフィルムをサンドイッチした積層構成の裏面保護シートは当該用途で幅広く用いられている。また、耐候性、ガスバリア性に優れたポリエステル系フィルムを積層した構成も例示できる(特許文献1)。一般的にポリエチレンテレフタレート樹脂に代表されるポリエステルフィルムと封止材用樹脂として最も汎用的に用いられるエチレンービニルアセテート共重合体樹脂との接着性はあまり高くない。そこで、接着強度向上の対策としてエチレンービニルアセテート共重合体系封止材層との接着性を改善するために、スチレン・オレフィン共重合体樹脂の熱接着層(ホットメルト接着剤層)を設けたものやアクリル樹脂やエポキシ樹脂を構成成分とする易接着コート層を設けた裏面保護シートが提案されている(特許文献2、3)。
しかしながら、ホットメルト系の熱接着層で良好な接着強度を得るためには、3μm程度の厚さが必要である。そのため、十分な乾燥が必要なことからコーティング時の速度が上げられない。また、ホットメルト系の樹脂で形成した樹脂層の表面は比較的粘着性が高いため、コートしたフィルムロールが、夏期に層間で疑似接着(ブロッキング)してしまう問題もある。また、アクリル樹脂やエポキシ樹脂を構成成分とする易接着コート層を設けた場合、初期の対裏面側封止材接着力は良好であっても、熱、湿度さらには紫外線などの環境ストレスに曝された場合には、易接着コート層と裏面側封止材との界面接着力が低下し、極端な場合には層間で剥離を生じることもある。さらに、太陽電池セル間を透過する光に曝されるため、裏面保護シートが光劣化し、黄変などの不具合を生じることもある。
前記のポリフッ化ビニルフィルムでポリエステルフィルムを挟んだ構成の裏面保護シートにおいては、裏面側封止材との接着力や耐候性にも優れるため、このような課題はないが、高価であるために近年、特に顕著に進んでいる太陽電池モジュール及び太陽電池モジュール構成部材の低価格化の点でも障害となる。
そこで本発明の課題は、太陽電池用裏面保護シートの受光面側の十分な耐候性を保ったまま、裏面側封止材と裏面保護シートとの良好な接着性を実現する太陽電池用裏面保護シート及び太陽電池モジュールの製造方法を提案することである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用する。すなわち、以下である。
(1)
基材と樹脂層とを有する太陽電池用裏面保護シートであって、
前記樹脂層は、アクリル系ポリマー及び酸化チタン粒子を含む原料組成物から得られ、
前記樹脂層中の酸化チタン粒子の含有量は、樹脂層の全成分100質量%において、32質量%以上60質量%以下であることを特徴とする、太陽電池用裏面保護シート。
(2)
表面保護材、表面側封止材、太陽電池セル、裏面側封止材、並びに、アクリル系ポリマーを含む樹脂層及び基材を有する太陽電池用裏面保護シートを、裏面側封止材と樹脂層とが接するようにこの順に配置する工程(A)、裏面側封止材のゲル分率が50質量%を超えないように加圧及び加熱する工程(B)、及び、前記裏面側封止材のゲル分率が60質量%以上になるまで加熱する工程(C)、をこの順に有する太陽電池モジュールの製造方法であって、
工程(B)の後に、前記裏面側封止材と前記樹脂層との界面でのみ完全に剥離できることを特徴とする、太陽電池モジュールの製造方法。
(1)
基材と樹脂層とを有する太陽電池用裏面保護シートであって、
前記樹脂層は、アクリル系ポリマー及び酸化チタン粒子を含む原料組成物から得られ、
前記樹脂層中の酸化チタン粒子の含有量は、樹脂層の全成分100質量%において、32質量%以上60質量%以下であることを特徴とする、太陽電池用裏面保護シート。
(2)
表面保護材、表面側封止材、太陽電池セル、裏面側封止材、並びに、アクリル系ポリマーを含む樹脂層及び基材を有する太陽電池用裏面保護シートを、裏面側封止材と樹脂層とが接するようにこの順に配置する工程(A)、裏面側封止材のゲル分率が50質量%を超えないように加圧及び加熱する工程(B)、及び、前記裏面側封止材のゲル分率が60質量%以上になるまで加熱する工程(C)、をこの順に有する太陽電池モジュールの製造方法であって、
工程(B)の後に、前記裏面側封止材と前記樹脂層との界面でのみ完全に剥離できることを特徴とする、太陽電池モジュールの製造方法。
本発明によれば、長期にわたる過酷な屋外環境下においても裏面保護シートの受光面が変色しない耐紫外線性、および対裏面側封止材と裏面保護シートとの良好な接着性を両立する太陽電池用裏面保護シートが得られる。
以下、本発明について説明する。
[太陽電池用裏面保護シート]
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、基材と樹脂層とを有する太陽電池用裏面保護シートであって、前記樹脂層は、アクリル系ポリマー及び酸化チタン粒子を含む原料組成物から得られ、前記樹脂層中の酸化チタン粒子の含有量は、樹脂層の全成分100質量%において、32質量%以上60質量%以下であることを特徴とする。
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、基材と樹脂層とを有する太陽電池用裏面保護シートであって、前記樹脂層は、アクリル系ポリマー及び酸化チタン粒子を含む原料組成物から得られ、前記樹脂層中の酸化チタン粒子の含有量は、樹脂層の全成分100質量%において、32質量%以上60質量%以下であることを特徴とする。
また、本発明の太陽電池用裏面保護シートは、前記基材の一方の面に前記樹脂層が配されることが好ましい。つまり、本発明の太陽電池用裏面保護シートは、基材と樹脂層とが直接接していることが好ましい。なお、本発明の太陽電池用裏面保護シート中の樹脂層は、裏面側封止材との接着性やリワーク性に優れるので、該樹脂層は裏面側封止材と接するように使用されることが好ましい。
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、基材と樹脂層の2層構成でも良く、樹脂層と基材以外の層が存在する多層構成でもよい。太陽電池用裏面保護シートが多層構成の場合には、基材の樹脂層を有する側の面とは反対側の面に、他の層を積層してなる多層構成が好ましい。
多層構成の太陽電池用裏面保護シートの形成方法は、基材の樹脂層を有する側の面とは反対側の面に、他のフィルムを積層させてシート状に加工する方法や、基材の樹脂層を有する側の面とは反対側の面に、別の層を既知のコーティング手法や蒸着法などにより直接形成する方法などがあるが、これらに限定されない。
前者の手法(基材の樹脂層を有する側の面とは反対側の面に、他のフィルムを積層させてシート状に加工する方法)としては、既知のドライラミネート法が利用できる。ドライラミネート法を用いたフィルムの貼り合わせには、ポリエーテルポリウレンタン系樹脂、ポリエステルポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエポキシ系樹脂などを主剤とし、イソシアネート基を含有するポリイソシアネート樹脂を架橋剤とする既知のドライラミネート用接着剤を用いることができる。これらの接着剤を用いて形成される接着剤層には、接着強度が長期間の屋外使用で劣化することに起因するデラミネーションなどを生じないものであること、光線反射率の低下につながる黄変を生じないものであることなどが好ましい。また、接着剤層の厚みとしては、好ましくは1〜5μmの範囲である。1μm未満であると十分な接着強度が得られ難い場合がある。一方、5μmを越えると接着剤塗工のスピードが上がらないこと、接着力を発現させる(主剤及び架橋剤間の架橋反応を促進する)目的で行うエージングに長時間を要すること、さらには接着剤使用量が増加することなどから生産に時間を要する方向となる。
前者の手法(基材の樹脂層を有する側の面とは反対側の面に、他のフィルムを積層させてシート状に加工する方法)において、積層する他のフィルムとしては、耐加水分解性を有するフィルム、白色フィルム、無機酸化物蒸着を有するフィルム、金属フィルム、および、外層側に耐候・紫外線遮断性樹脂層を有するフィルムなどがあるが、これらに限定されない。
後者の手法におけるコーティング手法(基材の樹脂層を有する側の面とは反対側の面に、別の層をコーティング手法により直接形成する方法)としては、種々の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法等や、これらを組み合わせた方法を利用することができる。これらの手法を用いて、例えば、耐候性・紫外線遮断性樹脂層を外層側の面(基材の樹脂層を有する側の面とは反対側の面)に形成することができる。
後者の手法における蒸着法(基材の樹脂層を有する側の面とは反対側の面に、別の層を蒸着法により直接形成する方法)としては、種々の方法を適用することができ、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)、真空蒸着法等を利用することができる。これらの手法を用いて、水蒸気バリア性を付与する目的で少なくとも一層の金属薄膜や無機酸化物等の層を形成することができる。太陽電池用裏面保護シートとしては、電気絶縁性が高いことが要求されるため、導電性を有する金属薄膜の層よりも、導電性を有さない無機酸化物の層を有するフィルムの方が、水蒸気遮断性の点で好ましい。
無機酸化物の層を構成する金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウム合金および酸化珪素等を例示することができる。
さらに、前記基材を含む、本発明において用いることができるフィルムには、必要に応じて、例えば、コロナ放電やプラズマ放電等の放電処理、あるいは酸処理等の表面処理を行ってもよい。
[基材]
本発明の太陽電池用裏面保護シートにおいて用いる基材としては、種々のフィルムを用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などを含むポリエステルフィルムや、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどを含む樹脂フィルム、これらの樹脂を複数含む樹脂フィルムが挙げられる。中でも強度、寸法安定性、熱安定性に優れていることから、ポリエステルフィルムが好ましく、さらに安価であることからPETやPEN等を含むポリエステルフィルムが特に好ましい。また、ポリエステルは共重合体であっても良く、共重合成分としては、例えば、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびそのエステル形成性誘導体のジカルボン酸成分などを使用することができる。
本発明の太陽電池用裏面保護シートにおいて用いる基材は、耐加水分解性に優れるポリエステルフィルム、すなわち耐加水分解性ポリエステルフィルムであることが好ましい。ここで耐加水分解性ポリエステルフィルムとは、固相重合法で重合して得られる、環状三量体の含有量が1.0質量%以下のポリエステルを原料として製膜して得られたポリエステルフィルムを意味する。基材として耐加水分解性フィルムが好ましい理由は、次の通りである。基材は、太陽電池モジュールに組み込まれた際に外気にさらされる環境下にて用いられること、これに関連して、裏面側封止材との接着力の長期にわたる耐久性を保持する必要性から、前記樹脂層と基材との間の層間接着力の保持が重要であるが、かかる接着力の保持に関しても基材の劣化が小さい方が好ましいと考えられることからである。汎用のポリエステルフィルムは環状三量体の含有量が1.5〜2質量%程度含まれるポリエステルを原料として製膜されている。環状三量体の含有量が多いと屋外などの長期曝露において機械的強度の低下や、雨水等による加水分解の進行に伴う亀裂、材料破壊などを生じる。これに対して耐加水分解性ポリエステルフィルムは、固相重合法で重合して得られる環状三量体の含有量が1.0質量%以下のポリエステルを原料として製膜したものであり、かかる原料を用いて製膜することで、高温高湿度下での加水分解を抑制することが可能であり、さらに耐熱性及び耐候性にも優れたフィルムが得られるものである。上記環状三量体含有量の測定は、例えばポリマー100mgをオルトクロロフェノール2mlに溶解させた溶液を用いて、液体クロマトグラフィーにて測定することで求めることができ、通常、ポリエステルの質量に対する含有率(質量%)で表示される。
また、本発明において用いる基材は、必要に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、着色顔料等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内でフィルム等も用いることができる。具体的には、PET、PENなどのポリエステルやポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂、これらの樹脂を混合した樹脂に顔料を練り込んだ樹脂原料を製膜したフィルムが挙げられる。着色顔料としては、白色化を目的とする酸化チタン粒子や酸化亜鉛粒子などの白色顔料が例示できる。
本発明の太陽電池用裏面保護シートを用いた太陽電池モジュールを受光面側から見た場合、太陽電池セルと太陽電池セルの隙間からその外観が見られるため、光線反射率の観点から、太陽電池用裏面保護シートは白色であることが要求されることもある。より詳しくは、受光面から入射し、太陽電池セルとセルの隙間を抜けた光を反射させ、太陽電池セルに届く光を増やして発電効率を向上させることを目的としている。
後述するように本発明の太陽電池用裏面保護シートが有する樹脂層は、その全成分100質量%において、酸化チタン粒子を32質量%以上60質量%以下含有するため、白色の層となるので、それを有する太陽電池用裏面保護シートも白色になる。しかし、樹脂層の厚みによっては十分な光線反射率を確保できないこともあるため、その場合には基材が白色フィルムであることが好ましい。ここでいう白色フィルムとは、波長λ=550nmの反射率が30%以上100%以下のフィルムを意味し、より好ましくは、反射率が40%以上100%以下、さらに好ましくは、反射率が50%以上100%以下のフィルムである。
本発明において用いる基材の厚さは、特に制限されるものではないが、太陽電池モジュールとして用いる際に求められる太陽電池用裏面保護シートの耐電圧特性、コスト等を勘案すると、10〜250μmの範囲が好ましい。
[樹脂層]
本発明の太陽電池用裏面保護シートにおける樹脂層は、アクリル系ポリマー及び酸化チタン粒子を含む原料組成物から得られ、前記樹脂層中の酸化チタン粒子の含有量は、樹脂層の全成分100質量%において、32質量%以上60質量%以下である。
原料組成物を用いて基材上に樹脂層を形成する方法は特に制限されるべきものではないが、既知のコーティング手法を用いることができる。コーティング手法としては、種々の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法等や、これらを組み合わせた方法を利用することができ、原料組成物を含有する塗剤(以下、塗剤とは、原料組成物と溶剤の合計を意味する。)を基材に塗布し、基材上に樹脂を形成する。中でも、グラビアロールコーティング法は、塗布膜(基材上に塗布した塗剤)の安定性を増すことができる点で好ましい。
また、本発明における樹脂層の厚みは0.1〜10μmが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5μmである。この樹脂層をコーティング手法により形成する場合、樹脂層の厚みが0.1μm未満であると、塗剤を塗布する工程ではじきや膜切れといった現象を生じ易く、均一な塗布膜を形成しにくいために、樹脂層と基材及び/または裏面側封止材との間の接着力が低下することがあり、これに伴い耐候性が十分に発現しないことがある。一方、樹脂層の厚みが10μmを越えると、耐候性は高いものが得られるが、樹脂層を形成する際のコーティング方式に制約を生じたり、搬送ロールへ樹脂層の一部が付着したり、それに伴い樹脂層の剥がれ等が生じ易くなったりすることがある。
樹脂層をコーティング手法により形成するために用いる原料組成物を含有する塗剤は、有機溶剤や水などの溶剤を含有していてもよく、原料組成物が有機溶剤に溶解、または水に分散していてもよい。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、およびエタノールが例示できる。
また、本発明における樹脂層中の酸化チタン粒子の含有量は、樹脂層の全成分100質量%において、32質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは32質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上50質量%以下である。上述した好ましい樹脂層の厚みで形成された樹脂層に含まれる酸化チタン粒子の含有量が、樹脂層の全成分100質量%において32質量%未満であると、基材に届く紫外線量を十分に遮断することができず、長期にわたる屋外環境下での使用において、基材が劣化し、変色や割れ、裏面側封止材との接着不良などを生じ、太陽電池モジュールの発電効率や安全性の低下を伴う場合がある。一方、樹脂層に含まれる酸化チタン粒子の含有量が、樹脂層の全成分100質量%において60質量%を超えると、樹脂層が脆化しやすく、樹脂層と裏面側封止材との接着力が十分に発現されなかったり、樹脂層と基材との接着力が十分に発現されなかったりする場合がある。
[樹脂層の原料組成物]
本発明における樹脂層を得るために用いる原料組成物は、アクリル系ポリマー及び酸化チタン粒子を含む。そして該原料組成物中のアクリル系ポリマーの水酸基価は、0.4mgKOH/g以上8mgKOH/g以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.6mgKOH/g以上3mgKOH/g以下である。
前記アクリル系ポリマーの水酸基の役割としては、前記原料組成物に水酸基と反応しうる架橋剤、特に後述するポリイソシアネートなどを加えた場合に、前記樹脂層に架橋構造を導入することができる点にある。水酸基価が8mgKOH/gを越えると、架橋が密になることで樹脂層が硬くなり、基材や裏面側封止材との接着力が低下することがある。一方、0.4mgKOH/g未満であると、樹脂層の架橋が疎になり、脆化しやすくなることがある。この場合、初期から長期間における裏面側封止材との接着力が十分に発現されなかったり、後述する太陽電池モジュール製造工程でのリワーク工程で、裏面側封止材と前記樹脂層とが界面で完全に剥がれなかったりすることがある。そのため、原料組成物中のアクリル系ポリマーの水酸基価は、0.4mgKOH/g以上8mgKOH/g以下であることが好ましい。
水酸基を含有するアクリル系ポリマーを得るのに好適なモノマーについて説明する。アクリル系ポリマーに水酸基を導入するためのモノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレートなどの水酸基含有アクリル系モノマー、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテルなどの水酸基含有ビニルエーテル類、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどの水酸基含有アリルエーテル類などが挙げられる。これらの水酸基を導入するために好適なモノマーは単独で、または2種類以上組み合わせて選択することができる。
樹脂層中のアクリル系ポリマーの含有量は、樹脂層の全成分100質量%において40質量%以上70質量%以下であることが好ましく、原料組成物中のアクリル系ポリマーの含有量も、原料組成物の全成分100質量%において40質量%以上70質量%以下であることが好ましい。樹脂層中や原料組成物中のアクリル系ポリマーの含有量が40質量%未満であると、本発明における樹脂層の特性を損なうことがある。また、前述の通り樹脂層中の酸化チタン粒子の含有量は、樹脂層の全成分100質量%において、32質量%以上60質量%以下であるため、原料組成物中の酸化チタン粒子の含有量も、原料組成物の全成分100質量%において、32質量%以上60質量%以下である。このように原料組成物や樹脂層には酸化チタン粒子が特定量含まれるため、樹脂層(または原料組成物)中のアクリル系ポリマーと酸化チタン粒子の合計の含有量が、樹脂層(または原料組成物)の全成分100質量%において70質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
本発明における樹脂層を得るための原料組成物は、アクリル系ポリマー及び酸化チタン粒子に加えて、さらにポリイソシアネートを含み、前記原料組成物中のアクリル系ポリマー中の水酸基及びポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル比が、1:1〜1:4であることが好ましく、さらに好ましくは1:2〜1:4である。つまりイソシアネート基が、水酸基1個に対し1〜4個であることが好ましく、さらに好ましくは2〜4個である。
ポリイソシアネートの役割は、アクリル系ポリマーの水酸基と反応する架橋剤として機能して、ウレタン結合を生成させ、これにより架橋構造を形成させることである。架橋剤として機能するため、本発明において好適なポリイソシアネートとしては、芳香族系ポリイソシアネート、芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネート、および脂肪族系ポリイソシアネート等が例示できる。各々は以下に示すジイソシアネート化合物を原料とする樹脂である。
芳香族系ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えばm−またはp−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4’−、2,4’−又は2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、および4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が例示される。
芳香脂肪族系ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)や、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が例示される。
脂環族系ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、および1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)等が例示される。
脂肪族系ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、および2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
ポリイソシアネートの原料としては、これらのジイソシアネートを複数種組み合わせて用いること、ビューレット変性体、ヌレート変性体などの変性体として用いることも可能である。樹脂骨格中に紫外線域の光の吸収帯を有する芳香環を含有する樹脂は、紫外線照射に伴い黄変し易いことから、原料組成物中に含まれるポリイソシアネートとしては、脂環族ポリイソシアネート、及び/又は、脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。
また、ポリイソシアネートと水酸基を有するアクリル系ポリマーとの間に架橋構造を形成するためには、通常、樹脂層を形成する際に熱を加えるエージング工程を設けることが好ましい。アクリル系ポリマーの種類とポリイソシアネート化合物の種類との組み合わせによってエージング条件は異なるが、例えば50℃下3日間のエージングなどが例示できる。このエージング工程において、ポリイソシアネートとアクリル系ポリマー中の水酸基との間で架橋反応が進行し、ウレタン結合が形成されることで、樹脂層の強度や靭性が向上する。
前記ポリイソシアネートのイソシアネート基が前記アクリル系ポリマー中の水酸基1個に対し4個を超えると、上述したエージング工程で過剰なイソシアネート基が空気中の水分と反応して樹脂層が硬くなり、初期から長期間における基材や裏面側封止材との接着力が低下することがある。一方、イソシアネート基が水酸基1個に対し1個未満だと、架橋密度が低く樹脂層が脆化しやすくなり、長期間における裏面側封止材との接着力が十分に発現されなかったり、後述する太陽電池モジュール製造工程でのリワーク工程で、裏面側封止材と前記樹脂層とが界面で完全に剥がれなかったりすることがある。
本発明における樹脂層を得るための原料組成物は、ブロックイソシアネート化合物を含むことがより望ましい。ブロックイソシアネート化合物は、イソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック化剤でブロックさせたものであり、加熱によってブロック(保護)基が脱離し、イソシアネート基が生成することで架橋反応が進行する。従って、ブロック基の脱離に必要な温度以下では、反応性を示さず、樹脂層の特性は安定(貯蔵安定性が良好)である。
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、後述するモジュール製造工程の内、裏面側封止材と接着させる工程において、130℃〜160℃程度の範囲の温度下にさらされることが一般的である。この工程においては、上述したエージング工程よりも空気中の水分が少なく、また高温であるため、ブロック基が脱離したイソシアネート基と前記アクリル系ポリマー中の水酸基とが効率よく架橋できる。そのため、ブロックイソシアネート化合物は、エージング工程で十分架橋反応が進まず残った水酸基と架橋反応させ、樹脂層の強度や靭性をより確実にする目的で導入する。
ブロックイソシアネート化合物を得るために用いられるブロック化剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、フェノール、クレゾール、オキシム、アルコールなどが挙げられるが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。ブロックイソシアネート化合物のなかでは、芳香環に直接結合したイソシアネート基を有しない無黄変性ブロックイソシアネート化合物は、樹脂層の黄変を防止する観点から好ましい。
ブロックイソシアネート化合物としては、芳香族系ブロックイソシアネート化合物、芳香脂肪族系ブロックイソシアネート化合物、脂環族系ブロックイソシアネート化合物、および脂肪族系ブロックイソシアネート化合物等が例示できる。各々以下に示すジイソシアネートを原料とする化合物である。
芳香族系ブロックイソシアネート化合物の原料となるジイソシアネートとしては、例えばm−またはp−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4’−、2,4’−又は2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、および4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が例示される。
芳香脂肪族系ブロックイソシアネート化合物の原料となるジイソシアネートとしては、例えば1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)や、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が例示される。
脂環族系ブロックイソシアネート化合物の原料となるジイソシアネートとしては、例えば1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4’−、2,4’−または2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、および1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)等が例示される。
脂肪族系ブロックイソシアネート化合物の原料となるジイソシアネートとしては、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、および2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
ブロックイソシアネート化合物の原料としては、これらのジイソシアネートを複数種組み合わせて用いること、ビューレット変性体、ヌレート変性体などの変性体として用いることも可能である。骨格中に紫外線域の光の吸収帯を有する芳香環を含有する化合物は、紫外線照射に伴い黄変し易いことから、ブロックイソシアネート化合物としては、脂環族ブロックイソシアネート化合物及び/又は脂肪族ブロックイソシアネート化合物が好ましい。
本発明において用いるブロック基の脱離温度は80℃〜150℃程度のものが好ましい。脱離温度が80℃未満であると、太陽電池モジュール製造前の本発明の太陽電池用裏面保護シートを、特に夏季において、保管・運搬する際など、空気中に水分の多い環境においてもブロック基が脱離し、イソシアネート基が生成してしまうことがある。一方、ブロック基の脱離温度が150℃を超えると、太陽電池モジュール製造工程の内、裏面側封止材と接着させる工程においてブロック基の脱離が十分進まないことがある。
また、原料組成物中のブロックイソシアネート化合物の配合量は、アクリル系ポリマー中の水酸基の数に応じて適量を配合することが好ましい。具体的には、原料組成物中のアクリル系ポリマー中の水酸基1個あたり、ブロックイソシアネート基が1〜4個の範囲となるように、原料組成物がブロックイソシアネート化合物を含むことが好ましい。つまり、前記原料組成物中のアクリル系ポリマー中の水酸基及びブロックイソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル比は、1:1〜1:4であることが好ましい。
なお、前記ポリイソシアネートが、ブロックイソシアネート化合物に該当してもよく、本発明における樹脂層を得るための原料組成物に含まれる(ブロック)イソシアネート基のモル比が、アクリル系ポリマー中の水酸基1個あたり1〜4個の範囲で存在するような配合量がより好ましい。
[封止材]
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、太陽電池モジュールに用いることができる。つまり本発明の太陽電池モジュールは、本発明の太陽電池用裏面保護シートを有する、太陽電池モジュールであり、より好ましい態様としては、裏面側封止材、樹脂層、及び基材がこの順に積層されたことを特徴とする、太陽電池モジュールである。
太陽電池モジュールは、太陽電池セルの表面にシート状の表面側封止材、太陽電池セルの裏面にシート状の裏面側封止材を積層し、さらに表側にガラス板などの表面保護材、裏側に太陽電池用裏面保護シートを積層させ、加熱によってシート状の表面側および裏面側の両封止材を溶融、架橋することにより、太陽電池セルを表面側および裏面側の両封止材で封止すると共に、太陽電池セルと表面保護材及び太陽電池用裏面保護シートを一体化し、製造する。このとき、裏面側封止材、樹脂層、及び基材がこの順で積層されることにより、裏面側封止材と本発明の太陽電池用裏面保護シートとが良好に接着し、長期にわたる過酷な屋外環境下での使用においても、太陽電池モジュールの発電効率と安全性を保つことができる。
また、本発明の太陽電池モジュールにおいて用いる表面側および裏面側の両封止材は、高い透明性、表面保護材および太陽電池用裏面保護シートとの良好な接着性などが要求されることから、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を含むことが望ましい。表面側封止材および裏面側封止材は、好ましくは該封止材の全成分100質量%において、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を50質量%以上100質量%以下含み、さらに好ましくは80質量%以上100質量%以下含む。
さらに、本発明の太陽電池モジュールにおいて用いるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を含む裏面側封止材は、140℃で10分間加熱した後のゲル分率が50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上45質量%以下である。エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を含む裏面側封止材として、140℃で10分間加熱した後のゲル分率が50質量%を超えるものを用いると、後述する太陽電池モジュール製造工程でのリワーク工程で、裏面側封止材と前記樹脂層とが界面で完全に剥がれることがある。
特定の時間加熱した後の封止材のゲル分率は、封止材中に含有される架橋助剤によって大きく影響する。140℃で10分間加熱した後の裏面側封止材のゲル分率を50質量%以下とするためには、裏面側封止材中に用いる架橋助剤として、例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイドなどを用いる方法が挙げられる。なお、架橋助剤は単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。
[太陽電池モジュールの製造方法]
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、表面保護材、表面側封止材、太陽電池セル、裏面側封止材、並びに、アクリル系ポリマーを含む樹脂層及び基材を有する太陽電池用裏面保護シートを、裏面側封止材と樹脂層とが接するようにこの順に配置する工程(A)、裏面側封止材のゲル分率が50質量%を超えないように加圧及び加熱する工程(B)、及び、前記裏面側封止材のゲル分率が60質量%以上になるまで加熱する工程(C)、をこの順に有する太陽電池モジュールの製造方法であって、工程(B)の後に、前記裏面側封止材と前記樹脂層との界面でのみ完全に剥離できることを特徴とする。
具体的には、前記工程(A)では、表面保護材を最下層とし、シート状の表面側封止材、電気的に直列接続された太陽電池セル、シート状の裏面側封止材、上記太陽電池用裏面保護シート(アクリル系ポリマーを含む樹脂層及び基材を有するシート)を、前記裏面側封止材と前記樹脂層とが接するようにこの順で配置する。ここで表面保護材としては、例えば、ガラス板、透明合成樹脂シートなどが挙げられるが、これらに限定されない。太陽電池モジュール製造工程における加熱工程の観点から、表面保護材としてはガラス板が好ましい。太陽電池セルとしては、例えば、結晶シリコン、薄膜シリコン、化合物系薄膜、有機系薄膜などが挙げられる。
なお、本発明の製造方法で用いられる太陽電池用裏面保護シートは、アクリル系ポリマーを含む樹脂層及び基材を有することが重要である。そして本発明の製造方法に用いるより好ましい太陽電池用裏側保護シートとしては、基材と樹脂層とを有する太陽電池用裏面保護シートであって、前記樹脂層は、アクリル系ポリマー及び酸化チタン粒子を含む原料組成物から得られ、前記樹脂層中の酸化チタン粒子の含有量は、樹脂層の全成分100質量%において、32質量%以上60質量%以下である。
本発明の製造方法に用いるさらに好ましい太陽電池用裏側保護シートとしては、樹脂層を得るために用いる原料組成物に、アクリル系ポリマー、酸化チタン粒子、およびポリイソシアネートを含み、該原料組成物中のアクリル系ポリマーの水酸基価は0.4mgKOH/g以上8mgKOH/g以下であり、前記原料組成物中のアクリル系ポリマー中の水酸基及びポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル比が、1:1〜1:4であることが好ましい。つまり、本発明の製造方法においては、前述の本発明の太陽電池用裏側保護シートを好適に用いることができる。
工程(B)では、工程(A)で配置した各部材を、加圧しながら加熱することで表面側および裏面側の両封止材を溶融させ、裏面側封止材のゲル分率が50質量%を超えないように表面側および裏面側の両封止材を一体化する。工程(B)における加圧時の圧力、加熱時の温度、加圧や加熱の時間は特に限定されない。しかし、工程(B)における加圧の好ましい圧力範囲は、0.06〜0.1MPaであり、加熱の好ましい温度範囲は130〜145℃である。また、加圧と加熱は同時に行い、3〜10分行うのが好ましい。これらの圧力、温度、時間は、太陽電池モジュール製造ラインのタクトタイムと、太陽電池モジュールの各部材の強度と、裏面側封止材に添加した架橋助剤の種類及び添加量を加味して適性に選択されることが好ましい。
なお、工程(A)の後でかつ工程(B)の前に、空気を脱気することが好ましく、この脱気工程と工程(B)における加圧及び加熱とを行うために用いられる装置としては、例えば日清紡メカトロニクス(株)製商品名「モジュールラミネータ」や、(株)エヌ・ピー・シー製の真空ラミネーターを用いることができる。
工程(C)では、工程(B)にてゲル分率が50質量%を超えないように溶融して表面側封止材と一体化した裏面側封止材を、さらにゲル分率が60質量%以上になるまで加熱する。工程(C)における加熱に関して、その温度や時間は特に限定されない。例えば工程(B)の後に、工程(C)として140℃〜160℃の炉内で、積層体(b)(ここで積層体(b)とは、工程(B)を経た直後の積層体を意味する。)を例えば10分〜30分加熱させて、裏面側封止材のゲル分率が60質量%以上になるまで架橋させた積層体(c)を得る。なお、工程(C)における圧力は特に限定されないが、常圧で行うことが好ましい。
本発明の製造方法では、工程(A)、工程(B)、及び工程(C)、をこの順に有することが重要である。そしてこの工程(A)、工程(B)、工程(C)を経て得られた積層体(c)の周囲をフレームで囲い、外部のコネクタと接続するための端子を取り付けることで、太陽電池モジュールを得ることができる。
前記工程(A)の際に太陽電池用裏面保護シートが他の部材からずれて配置されていたり、前記工程(B)に移った際に熱板の熱により太陽電池用裏面保護シートがカールしたりすると、工程(B)を経た積層体(b)において、太陽電池用裏面保護シートが積層体(b)中で全面に接着していないことがあり、これは不良品となってしまう。しかし、上述した本発明の製造方法に用いるより好ましい太陽電池用裏面保護シートを使用すれば、工程(B)を経た積層体(b)から太陽電池用裏面保護シートを裏面側封止材と樹脂層との界面で完全に剥離することができる。このとき、表面保護材と表面側封止材との界面では剥離が生じない。つまり、積層体(b)から太陽電池用裏面保護シートを完全に剥離した部材は、リワーク品として再利用することができ、不良品を減らすことが可能となる。
太陽電池用裏面保護シートの有する樹脂層の硬度が不足すると、積層体(b)から太陽電池用裏面保護シートを裏面側封止材と樹脂層とで形成される界面で完全に剥離することができなかったり、加熱して2,3分後に裏面側封止材と反応する樹脂層であると、太陽電池用裏面保護シートを剥離しようとすると、表面側および裏面側の両封止材が追従し、表面保護材と表面側封止材とで形成される界面での剥離が生じたりする。
また、裏面側封止材との接着力が乏しい太陽電池用裏面保護シートを利用すると、積層体(b)において裏面側封止材と太陽電池用裏面保護シートとの界面でのみ完全に剥離できるが、工程(C)を経た積層体(c)において、裏面側封止材との長期接着性を達成できない。
ここで、工程(B)の後に、前記裏面側封止材と前記樹脂層との界面でのみ完全に剥離できるとは、表面保護材と表面側封止材との界面、表面側封止材と太陽電池セルの表面との界面、裏面側封止材と太陽電池セルの裏面との界面、及び樹脂層と基材との界面など、裏面側封止材と樹脂層との界面以外で一切の剥離が生じることなく、裏面側封止材と樹脂層との界面のみで剥離し、また、裏面側封止材の一部が樹脂層に追従し伸びたり、裂けたりせず、さらに、樹脂層の一部が裏面側封止材に接着したまま残ったりせず、剥離できることを意味する。
本実施例中で「部」とは、特に注釈のない限り「質量部」であることを意味する。
<特性の評価方法>
本実施例で用いた特性の評価方法は、下記のとおりである。
本実施例で用いた特性の評価方法は、下記のとおりである。
(1)樹脂層の単位面積あたりの質量(以下、塗布量という)
基材上に樹脂層を形成した後に0.05m2の面積に切り出し、その試験片の質量を質量(1)とした。次に、その試験片から樹脂層をn−酢酸ブチルに溶解させて除去し、再び試験片の質量を測定し、質量(2)とした。続いて、下式に基づき、単位面積当たりの質量を算出した。この測定を3つの試験片について行い、その平均値を算出した。
・塗布量[g/m2]={(質量(1))−(質量(2))}/0.05。
基材上に樹脂層を形成した後に0.05m2の面積に切り出し、その試験片の質量を質量(1)とした。次に、その試験片から樹脂層をn−酢酸ブチルに溶解させて除去し、再び試験片の質量を測定し、質量(2)とした。続いて、下式に基づき、単位面積当たりの質量を算出した。この測定を3つの試験片について行い、その平均値を算出した。
・塗布量[g/m2]={(質量(1))−(質量(2))}/0.05。
(2)樹脂層と基材との界面の接着力
作製した太陽電池用裏面保護シートの樹脂層と基材との間の接着力について、JIS K 5600−5(1990年版)に記載の方法に基づいてクロスカット試験を実施した。
作製した太陽電池用裏面保護シートの樹脂層と基材との間の接着力について、JIS K 5600−5(1990年版)に記載の方法に基づいてクロスカット試験を実施した。
樹脂層残存率は以下のように定義した。そして樹脂層残存率を用いて、合否を以下のように判断した。
樹脂層残存率[%]・・・{(剥がれのない格子の目の数)/(全ての格子の目の数)}×100
合否
○:樹脂層残存率が100%。
△:樹脂層残存率が80%を超えて100%未満。
×:樹脂層残存率が80%以下。
合否
○:樹脂層残存率が100%。
△:樹脂層残存率が80%を超えて100%未満。
×:樹脂層残存率が80%以下。
(3)裏面側封止材との接着強度
(3−1)初期の接着強度
JIS K 6854−2(1999年版)に基づいて、太陽電池用裏面保護シートと裏面側封止材として用いたEVAとの接着力を測定した。試験した疑似太陽電池モジュールサンプルは、作製した太陽電池用裏面保護シートの樹脂層面にシート状のEVAを重ね、さらにその上に厚さ0.3mmの半強化ガラスを重ね、市販の真空ラミネーターを用いて真空引き後に135℃加熱条件下、0.1MPaの荷重で5分プレス処理をし、その後、エスペック(株)製恒温器を用いて150℃環境下で20分処理したものを用いた。
(3−1)初期の接着強度
JIS K 6854−2(1999年版)に基づいて、太陽電池用裏面保護シートと裏面側封止材として用いたEVAとの接着力を測定した。試験した疑似太陽電池モジュールサンプルは、作製した太陽電池用裏面保護シートの樹脂層面にシート状のEVAを重ね、さらにその上に厚さ0.3mmの半強化ガラスを重ね、市販の真空ラミネーターを用いて真空引き後に135℃加熱条件下、0.1MPaの荷重で5分プレス処理をし、その後、エスペック(株)製恒温器を用いて150℃環境下で20分処理したものを用いた。
EVAは、サンビック(株)製商品名「ウルトラパールPV」スタンダードタイプの400μm厚シートを用いた。接着強度試験の試験片の幅は10mmとし、2つの試験片について各々測定を1回行い、2つの測定値の平均値を接着強度の値とした。接着強度は20N/cm以上あることが実用上問題ないレベルと判断した。
(3−2)湿熱試験後の接着強度
エスペック(株)製恒温恒湿器を用いて、85℃、85%RHの環境下で1000時間の湿熱処理を擬似太陽電池モジュールに施した。その後、(3−1)と同様の測定を実施して、湿熱試験後の接着強度とした。
エスペック(株)製恒温恒湿器を用いて、85℃、85%RHの環境下で1000時間の湿熱処理を擬似太陽電池モジュールに施した。その後、(3−1)と同様の測定を実施して、湿熱試験後の接着強度とした。
(4)耐UV性試験(耐紫外線性の評価)
太陽電池用裏面保護シートの樹脂層面に対し、岩崎電気(株)社製アイスーパーUVテスターSUV−F11を用いて、60℃雰囲気にて紫外線強度100mW/cm2で72時間紫外線照射を実施し、処理後の表色系b値の測定を行い、処理前のb値からの増加分Δbが2以下で合格とした。
太陽電池用裏面保護シートの樹脂層面に対し、岩崎電気(株)社製アイスーパーUVテスターSUV−F11を用いて、60℃雰囲気にて紫外線強度100mW/cm2で72時間紫外線照射を実施し、処理後の表色系b値の測定を行い、処理前のb値からの増加分Δbが2以下で合格とした。
(5)リワーク性の評価
(株)レスカ製タッキング試験機を用いて、上述の工程(B)後に太陽電池用裏面保護シートを剥離する方法を模擬した。まず、加熱ステージの上にガラス板とシート状のEVA(サンビック(株)製商品名「ウルトラパールPV」スタンダードタイプ)をガラス板が加熱ステージ側になるように重ねて置き、太陽電池用裏面保護シートは樹脂層がEVAを向き、EVAに25mm2接するように25℃のプローブに固定しておく。太陽電池用裏面保護シートを固定したプローブを2mm/secの速さで、加熱ステージへ下ろす。下ろしたプローブは、5kgf/cm2の荷重でEVAを押し付け、30sec〜600sec保持し、15mm/secの速さで引き上げる。
(株)レスカ製タッキング試験機を用いて、上述の工程(B)後に太陽電池用裏面保護シートを剥離する方法を模擬した。まず、加熱ステージの上にガラス板とシート状のEVA(サンビック(株)製商品名「ウルトラパールPV」スタンダードタイプ)をガラス板が加熱ステージ側になるように重ねて置き、太陽電池用裏面保護シートは樹脂層がEVAを向き、EVAに25mm2接するように25℃のプローブに固定しておく。太陽電池用裏面保護シートを固定したプローブを2mm/secの速さで、加熱ステージへ下ろす。下ろしたプローブは、5kgf/cm2の荷重でEVAを押し付け、30sec〜600sec保持し、15mm/secの速さで引き上げる。
このとき、EVAが太陽電池用裏面保護シートに追従することなく、EVAと樹脂層とが界面で完全に剥離し、ガラスとEVAとの界面においても剥離が生じなければ、リワーク可能とした。プローブの押し付け保持時間を変更し、他の条件は同一にしたままリワーク性の評価を行った結果、リワーク可能な保持時間が300sec以上を達成すれば、実用上再利用可能なレベルと判断した。
(6)ゲル分率の測定法
封止材のゲル分率は、約1gの封止材の質量[W1(g)]を測定した後、該封止材を120℃のキシレン中に24時間浸漬して不溶解分を200メッシュの金網で濾過し、金網上の残渣を真空乾燥して乾燥残渣の質量[W2(g)]を測定し、下記式により算出する。
封止材のゲル分率は、約1gの封止材の質量[W1(g)]を測定した後、該封止材を120℃のキシレン中に24時間浸漬して不溶解分を200メッシュの金網で濾過し、金網上の残渣を真空乾燥して乾燥残渣の質量[W2(g)]を測定し、下記式により算出する。
ゲル分率(質量%)=(W2/W1)×100
なお、サンビック(株)製商品名「ウルトラパールPV」スタンダードタイプの400μmのEVAを140℃で10分間加熱した後、約1g切り取り、上述の方法で算出したところ、ゲル分率は0質量%であった。
なお、サンビック(株)製商品名「ウルトラパールPV」スタンダードタイプの400μmのEVAを140℃で10分間加熱した後、約1g切り取り、上述の方法で算出したところ、ゲル分率は0質量%であった。
<樹脂層形成用の塗剤1〜6の調製>
表1に示す配合比率で各材料を秤量・混合し、マグネチックスターラーを用いて10分間、室温下で攪拌することで樹脂層形成用の塗剤1〜6を得た。
表1に示す配合比率で各材料を秤量・混合し、マグネチックスターラーを用いて10分間、室温下で攪拌することで樹脂層形成用の塗剤1〜6を得た。
アクリル系ポリマー含有塗剤(i):水酸基価が2mgKOH/gであるアクリル系ポリマー(W)と、固形成分中50質量%の酸化チタン粒子と、固形成分中2質量%のブロックイソシアネート化合物とを含有(固形成分濃度:50質量%)。
アクリル系ポリマー含有塗剤(ii):水酸基価が2mgKOH/gであるアクリル系ポリマー(W)と、固形成分中30質量%の酸化チタン粒子と、固形成分中2質量%のブロックイソシアネート化合物とを含有(固形成分濃度:50質量%)。
アクリル系ポリマー含有塗剤(iii):水酸基価が1.8mgKOH/gであるアクリル系ポリマー(X)を含有し、酸化チタン粒子を含まない(固形成分濃度:30質量%)。
アクリル系ポリマー含有塗剤(iv):水酸基価が20mgKOH/gであるアクリル系ポリマー(Y)と、固形成分中50質量%の酸化チタン粒子を含有する(固形成分濃度:50質量%)。
アクリル系ポリマー含有塗剤(v):水酸基価が2mgKOH/gであるアクリル系ポリマー(W)と、固形成分中50質量%の酸化チタン粒子を含有する(固形成分濃度:50質量%)。
架橋剤:ポリイソシアネート(P)を含有する住化バイエルウレタン(株)製“デスモジュールN3200”(固形成分濃度100質量%)。
顔料:ルチル型二酸化チタンを含有するチタンホワイト(粉末)
(実施例1)
基材として東レ(株)製の白色ポリエチレンテレフタレートフィルム “ルミラー”(登録商標)MX11(125μm)を準備した。この基材の一方の面に、ワイヤーバーを用いて樹脂層形成用の塗剤1をコーティングし、100℃で60秒間乾燥し、乾燥後塗布量が3.0g/m2となるように樹脂層を設けた。このようにして作製したシートを40℃に加熱したオーブン内で3日間エージングして太陽電池用裏面保護シート1を得た。
基材として東レ(株)製の白色ポリエチレンテレフタレートフィルム “ルミラー”(登録商標)MX11(125μm)を準備した。この基材の一方の面に、ワイヤーバーを用いて樹脂層形成用の塗剤1をコーティングし、100℃で60秒間乾燥し、乾燥後塗布量が3.0g/m2となるように樹脂層を設けた。このようにして作製したシートを40℃に加熱したオーブン内で3日間エージングして太陽電池用裏面保護シート1を得た。
(実施例2)
基材として東レ(株)製のポリエチレンテレフタレートフィルム “ルミラー”(登録商標)S10(250μm)を準備し、この基材の一方の面に、実施例1と同じ方法で樹脂層を設けた。この基材の樹脂層とは反対側の面に、ドライラミネート用接着剤をワイヤーバーでコーティングし、80℃で45秒間乾燥して3.5μmの接着剤層を形成した。次に、接着剤層に、耐候性フィルムとして東レ(株)製白色ポリエチレンテレフタレートフィルム“ルミラー”(登録商標)MX11(50μm)をハンドローラーを用いて貼り合わせた。このようにして作製したフィルム2枚からなるシートを40℃に加熱したオーブン内で3日間エージングして太陽電池用裏面保護シート2を得た。
基材として東レ(株)製のポリエチレンテレフタレートフィルム “ルミラー”(登録商標)S10(250μm)を準備し、この基材の一方の面に、実施例1と同じ方法で樹脂層を設けた。この基材の樹脂層とは反対側の面に、ドライラミネート用接着剤をワイヤーバーでコーティングし、80℃で45秒間乾燥して3.5μmの接着剤層を形成した。次に、接着剤層に、耐候性フィルムとして東レ(株)製白色ポリエチレンテレフタレートフィルム“ルミラー”(登録商標)MX11(50μm)をハンドローラーを用いて貼り合わせた。このようにして作製したフィルム2枚からなるシートを40℃に加熱したオーブン内で3日間エージングして太陽電池用裏面保護シート2を得た。
(実施例3)
基材として東レ(株)製の白色ポリエチレンテレフタレートフィルム“ルミラー”(登録商標)E20F(50μm)を準備し、この基材の一方の面に、実施例1と同じ方法で樹脂層を設けた。この基材の樹脂層とは反対側の面に、実施例2と同じ方法で接着剤層を形成し、接着剤層に、耐候性フィルムとして東レ(株)製白色ポリエチレンテレフタレートフィルム ルミラー(登録商標)MX11(75μm)をハンドローラーを用いて貼り合わせた。このようにして作製したフィルム2枚からなるシートを40℃に加熱したオーブン内で3日間エージングして太陽電池用裏面保護シート3を得た。
基材として東レ(株)製の白色ポリエチレンテレフタレートフィルム“ルミラー”(登録商標)E20F(50μm)を準備し、この基材の一方の面に、実施例1と同じ方法で樹脂層を設けた。この基材の樹脂層とは反対側の面に、実施例2と同じ方法で接着剤層を形成し、接着剤層に、耐候性フィルムとして東レ(株)製白色ポリエチレンテレフタレートフィルム ルミラー(登録商標)MX11(75μm)をハンドローラーを用いて貼り合わせた。このようにして作製したフィルム2枚からなるシートを40℃に加熱したオーブン内で3日間エージングして太陽電池用裏面保護シート3を得た。
(実施例4)
樹脂層形成用の塗剤1の代わりに樹脂層形成用の塗剤2を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池用裏面保護シート4を製造した。
樹脂層形成用の塗剤1の代わりに樹脂層形成用の塗剤2を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池用裏面保護シート4を製造した。
(実施例5)
樹脂層形成用の塗剤1の代わりに樹脂層形成用の塗剤3を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池用裏面保護シート5を製造した。
樹脂層形成用の塗剤1の代わりに樹脂層形成用の塗剤3を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池用裏面保護シート5を製造した。
(実施例6)
樹脂層形成用の塗剤1の代わりに樹脂層形成用の塗剤5を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池用裏面保護シート6を製造した。
樹脂層形成用の塗剤1の代わりに樹脂層形成用の塗剤5を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池用裏面保護シート6を製造した。
(実施例7)
樹脂層形成用の塗剤1の代わりに樹脂層形成用の塗剤6を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池用裏面保護シート7を製造した。
樹脂層形成用の塗剤1の代わりに樹脂層形成用の塗剤6を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池用裏面保護シート7を製造した。
(実施例8)
表面保護材である厚さ0.3mmの半強ガラス板の上に、表面側封止材としてシート状のEVA(サンビック(株)製商品名「ウルトラパールPV」スタンダードタイプ)、シリコンセル、裏面側封止材として同上のEVA、太陽電池用裏面保護シート1を、裏面側封止材と太陽電池用裏面保護シートの樹脂層とが接するようにこの順に配置したものを2セット用意した(工程(A))。
これらを市販の真空ラミネーターを用いて真空引き後、135℃加熱条件下、0.1MPaの荷重で5分プレス処理をし、一体化させた(工程(B))。
この一体化した2つの積層体(a,b)からEVAを約1g切り取り、上述の方法でゲル分率を算出したところ、ゲル分率は0質量%であった。
一方の積層体(a)から、太陽電池用裏面保護シート1を手でめくる様にして剥がすと、EVAと太陽電池裏面保護シート1の樹脂層との界面のみで完全に剥離することができた。
この、剥離した太陽電池用裏面保護シートを元に戻すようにEVAの上へ置き、もう一度工程(B)を行い一体化した。再び一体化した積層体(a)と積層体(b)とを、エスペック(株)製恒温器を用いて150℃環境下で20分処理して(工程(C))、積層体(a,b)を得た。工程(C)の後では、いずれのサンプルにおいても各層間を手でめくる様にして剥がすことは出来なかった。この工程(C)を経て得られた積層体(a,b)から、EVAを約1g切り取り、同様にゲル分率を算出したところ、積層体(a)のゲル分率は80質量%、積層体(b)のゲル分率は81質量%であった。この積層体の周囲にアルミフレームを取り付け、背面から取り出した電極にジャンクションボックスを取り付け、太陽電池モジュールを作製した。
(比較例1)
樹脂層を形成しないで、“ルミラー”(登録商標)MX11(東レ(株)製、125μm)を太陽電池用裏面保護シート8とした。
(比較例2)
樹脂層を形成しないで、“ルミラー”(登録商標)S10(東レ(株)製、250μm)と“ルミラー”(登録商標)MX11(東レ(株)製、50μm)を実施例2と同じ方法で貼り合わせ、エージングし、太陽電池用裏面保護シート9を得た。
樹脂層を形成しないで、“ルミラー”(登録商標)S10(東レ(株)製、250μm)と“ルミラー”(登録商標)MX11(東レ(株)製、50μm)を実施例2と同じ方法で貼り合わせ、エージングし、太陽電池用裏面保護シート9を得た。
(比較例3)
樹脂層を形成しないで、“ルミラー”(登録商標)E20F(東レ(株)製、50μm)と“ルミラー”(登録商標)MX11(東レ(株)製、75μm)を実施例2と同じ方法で貼り合わせ、エージングし、太陽電池用裏面保護シート10を得た。
樹脂層を形成しないで、“ルミラー”(登録商標)E20F(東レ(株)製、50μm)と“ルミラー”(登録商標)MX11(東レ(株)製、75μm)を実施例2と同じ方法で貼り合わせ、エージングし、太陽電池用裏面保護シート10を得た。
(比較例4)
樹脂層形成用の塗剤1の代わりに樹脂層形成用の塗剤4を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池用裏面保護シート11を製造した。
樹脂層形成用の塗剤1の代わりに樹脂層形成用の塗剤4を用いた以外は実施例1に記載の方法と同様にして太陽電池用裏面保護シート11を製造した。
本発明の太陽電池用封止シートは、受光面側の耐紫外線性と裏面側封止材との良好な接着力に優れることから、太陽電池モジュールに好適に用いることができる。
Claims (8)
- 基材と樹脂層とを有する太陽電池用裏面保護シートであって、
前記樹脂層は、アクリル系ポリマー及び酸化チタン粒子を含む原料組成物から得られ、
前記樹脂層中の酸化チタン粒子の含有量は、樹脂層の全成分100質量%において、32質量%以上60質量%以下であることを特徴とする、太陽電池用裏面保護シート。 - 前記原料組成物中のアクリル系ポリマーの水酸基価が、0.4mgKOH/g以上8mgKOH/g以下であることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池用裏面保護シート。
- 前記原料組成物が、ポリイソシアネートを含み、
前記原料組成物中のアクリル系ポリマー中の水酸基及びポリイソシアネート中のイソシアネート基のモル比が、1:1〜1:4であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の太陽電池用裏面保護シート。 - 前記原料組成物が、ブロックイソシアネート化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用裏面保護シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池用裏面保護シートを有する、太陽電池モジュール。
- 裏面側封止材、樹脂層、及び基材がこの順に積層されたことを特徴とする、請求項5に記載の太陽電池モジュール。
- 前記裏面側封止材が、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を含み、
前記裏面側封止材は、140℃で10分間加熱した後のゲル分率が50質量%以下であることを特徴とする、請求項6に記載の太陽電池モジュール。 - 表面保護材、表面側封止材、太陽電池セル、裏面側封止材、並びに、アクリル系ポリマーを含む樹脂層及び基材を有する太陽電池用裏面保護シートを、裏面側封止材と樹脂層とが接するようにこの順に配置する工程(A)、裏面側封止材のゲル分率が50質量%を超えないように加圧及び加熱する工程(B)、及び、前記裏面側封止材のゲル分率が60質量%以上になるまで加熱する工程(C)、をこの順に有する太陽電池モジュールの製造方法であって、
工程(B)の後に、前記裏面側封止材と前記樹脂層との界面でのみ完全に剥離できることを特徴とする、太陽電池モジュールの製造方法。
Priority Applications (1)
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2013
- 2013-12-12 JP JP2013256644A patent/JP2015115474A/ja active Pending
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