JP5531749B2 - 太陽電池裏面保護シートならびに太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
太陽電池素子には様々な形態があり、その代表的なものとして、結晶シリコン太陽電池素子、多結晶シリコン太陽電池素子、非晶質シリコン太陽電池素子、銅インジウムセレナイド太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子等が知られている。この中で薄膜結晶太陽電池素子、非晶質シリコン太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子は比較的低コストであり、また大面積化が可能であるため、各方面で活発に研究開発が行われている。またこれらの太陽電池素子の中でも、導体金属基板上にシリコンを積層し、更にその上に透明導電層を形成した非晶質シリコン太陽電池素子に代表される薄膜太陽電池素子は軽量であり、また耐衝撃性やフレキシブル性に富んでいるので、太陽電池における将来の形態として有望視されている。
多層構成の裏面保護シートは、その多層構造により、さまざまな性能を付与することができる。例えば、ポリエステルフィルムを用いることで絶縁性を、アルミニウム箔を用いることで水蒸気バリア性を付与することができる(特許文献1〜3参照)。
どのような裏面保護シートを用いるかは、太陽電池モジュールが用いられる製品・用途によって、適宜選択され得る。
しかし、これらの裏面保護シートに用いられるポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂は、屋外耐候性が十分ではない為に、長期間使用した場合には太陽電池モジュールの出力が低下したり、太陽電池裏面保護シートの外観が損なわれたりするという問題があった。
しかし、前記フッ素系樹脂フィルムは価格が高く、しかも供給量が少ない為入手しにくいという問題点があった。さらに、ハロゲンを含むので、脱ハロゲンという潜在的な課題も内在していた。
前記太陽電池裏面保護シートの一方の面を前記耐候性樹脂層(1)が構成し、前記太陽電池裏面保護シートの他方の面を前記接着剤層(3)が構成し、
前記耐候性樹脂層(1)が、アクリル系共重合体(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、黒色顔料(C)、融点が120℃以上であるか、もしくは融点を有しない、前記黒色顔料(C)以外の平均粒子径が5〜100nmの粒子(D)、及び融点が120℃以上であるか、もしくは融点を有しない、平均粒子径が1μm〜1.1×t(μm)の粒子(E)を含有する耐候性樹脂組成物(1’)から形成されてなるものであり、
前記アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度が0〜50℃、重量平均分子量が30,000〜150,000、水酸基価が2〜100(mgKOH/g)、芳香環含有量が、最大50重量%であり、
前記アクリル系共重合体(A)中の水酸基1個に対して、前記ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基が0.1〜5個であることを特徴とする太陽電池裏面保護シートに関する。
また、黒色顔料(C)以外の平均粒子径が5〜100nmの粒子(D)は、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、マイカおよびホワイトカーボンからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
また、耐候性樹脂層(1)の膜厚tは5〜20μmであることが好ましい。
上記接着剤層(3)が、前記非受光面側封止剤層(IV)に接している、ことを特徴とする太陽電池モジュールに関する。
本発明における耐候性樹脂層(1)は、太陽電池裏面保護シートの内部、さらには太陽電池モジュールを紫外線や物理的衝撃等の外的要因から保護し、太陽電池セルの出力劣化を抑制する役割を担っている。
耐候性樹脂層(1)の膜厚tが5μ未満であると、隠蔽性や耐擦傷性が十分でなく、20μmを超えると均一な膜を形成することが困難となる。
アクリル共重合体(A)は、耐候性樹脂層(1)に強靭性、成形加工性、耐候性、耐湿熱性、耐薬品性を付与するために用いられ、ガラス転位温度が0〜50℃、重量分子量が30,000〜150,000、水酸基価が2〜150mgKOH/gであることを必須とする。なお、ここでのガラス転位温度とは、アクリル共重合体(A)を乾燥させて固形分100%にした樹脂について、示差走査熱量分析(DSC)によって計測したガラス転位温度のことを示す。
アクリル樹脂は耐候性が高く、樹脂としての強度も高い為、耐候性樹脂層(1)として用いるのに適している。
(a1)、(a2)以外の(メタ)アクリル系モノマー(a3)は、要求性能に応じて、1種、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、
ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類、
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族類、
酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類などの使用が可能である。
溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
重合開始剤としては、過酸化物またはアゾ化合物を使用することができ、それらの例として、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルオクトエート、クメンヒドロキシペルオキシド等を挙げることができる。
重合温度は、50〜200℃、特に70〜140℃が好ましい。
ポリイソシアネート化合物(B)は、アクリル共重合体(A)同士を架橋させ、強靱で且つ伸張性、柔軟性、成形加工性、耐擦傷性、長期耐候性、長期耐湿熱性、耐薬品性を有する耐候性樹脂層を形成するために用いられる。
得られる耐候性樹脂層が経時で黄色から褐色に変色することを防ぐために、脂環族または脂肪族の化合物のみを用いることが好ましい。
特に、ポリイソシアネート化合物(B)がイソシアヌレート変性体、特にイソシアヌレート環含有トリイソシアネートを含む場合には、より強靱、且つ伸張性を有する耐候性樹脂層を得ることができるため好ましい。イソシアヌレート環含有トリイソシアネートとして具体的には、イソシアヌレート変性イソホロンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のデスモジュールZ4470)、イソシアヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のスミジュールN3300)、イソシアヌレート変性トルイレンジイソシアネート(例えば、住友バイエルウレタン株式会社製のスミジュールFL−2、FL−3、FL−4、HLBA)が挙げられる。また、イソシアヌレート環をさらに反応可能な官能基を2個以上有するポリエステル(c)と反応させて、1分子中のイソシアネート基を増やしても良いし、生成したウレタン結合とさらに1等量のイソシアネート基を反応させてアロファネート化して、さらに1分子中のイソシアネート基を増やしても良い。イソシアネート基と反応可能な官能基を2個以上有するポリエステル(c)としては、周知のポリエステル樹脂を用いることができる。
ポリイソシアネート化合物(B)は、1種、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物(e)としては、例えば、トルイレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
耐候性樹脂層(I)は黒色顔料(C)を含有することで、意匠性と隠蔽性を有する耐候性樹脂層を形成するために用いられる。また紫外線をカットすることで、太陽電池裏面保護シートの内部を保護する役割を有する。
黒色顔料としては、従来公知のものを用いることができるが、コストや着色性の観点からカーボンブラックが好ましい。
耐候性樹脂層(1)は上記粒子(D)を含有することで、耐候性樹脂層(1)の伸長性、柔軟性を損うことなく、塗膜の耐擦傷性を向上させることができる。アクリル共重合体(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、黒色顔料(C)のみでは、塗膜の耐擦傷性に劣るため、物理的な影響を受けるなどして、耐候性樹脂層(1)が基材から剥がれた場合、太陽電池裏面保護シートの内部が露出して、耐候性の劣化を招き、太陽電池モジュールの出力劣化の原因となる。
太陽電池モジュールは、太陽電池表面封止シート(I)、受講面側封止材(II)、太陽電池セル(III)、非受講面側封止材(IV)及び太陽電池裏面保護シート(V)をこの順番で加熱・減圧下に接触させ、貼り合せて作成する(以下、この真空ラミネートともいう)。真空ラミネート時の温度は、受講面側封止材(II)及び非受講面側封止材(IV)の軟化温度および架橋温度の点から、通常、120〜160℃程度である。
融点が120℃未満の粒子を用いると、太陽電池モジュール作成時の真空ラミネート時の熱により、粒子が溶融してしまうため、耐候性樹脂層(1)の耐擦傷性を低下させたり、基材への密着性を低下させたりする。そこで、耐候性樹脂層(1)には、融点が120℃以上であるか、もしくは融点を有しないものを用いる。
粒子(D)は、1種、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、粒子(E)の平均粒子径は1μm〜1.1×t(μm)であり、3μm〜1.0×t(μm)であることが好ましい。平均粒子径が1μm未満であると、小さすぎて耐候性樹脂層(1)の表面状態を改質することができず、平均粒子径が1.1×t(μm)を超える、すなわち耐候性樹脂層(1)の膜厚を大きく超えると、隠蔽性が低下し、耐候性の低下の要因となる。
耐熱性の点から、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂等の窒素含有樹脂粒子であることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、ポリアセタール、ポリエステル等が挙げられる。
溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類、
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などの内から樹脂組成物の組成に応じ適当なものを使用する。溶剤は2種以上用いてもよい。
分散樹脂としては、アクリル共重合体(A)そのものを用いるのが好ましいが、特に限定はなく、顔料分散性に優れた極性基、例えば水酸基、カルボキシル基、チオール基、アミノ基、アミド基、ケトン基等を有する、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。
分散剤としては、例えば、顔料誘導体、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、チタンカップリング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。また、金属キレート、樹脂コートなどにより、顔料表面の改質を行うこともできる。
本発明の太陽電池裏面保護シートは、耐候性樹脂組成物(1’)から形成される耐候性樹脂層(1)と、プラスチックフィルム(2)及び接着剤層(3)を具備し、前記太陽電池裏面保護シートの一方の面を前記耐候性樹脂層(1)が構成し、前記太陽電池裏面保護シートの他方の面を前記接着剤層(3)が構成する。
本発明の太陽電池裏面保護シートは、その他に水蒸気バリア層(4)、接着剤層(5)等を具備することができる。
例えば、図2(b)は、耐候性樹脂層(1)、水蒸気バリア層(4)、接着剤層(5)、プラスチックフィルム(2)、接着剤層(3)が積層されてなる、本発明の太陽電池裏面保護シートのさらに別の態様を示す模式的断面図である。
また、図2(c)は、耐候性樹脂層(1)、プラスチックフィルム(2)、接着剤層(5)、水蒸気バリア層(4)、接着剤層(3)が積層されてなる、本発明の太陽電池裏面保護シートの別の態様を示す模式的断面図である。
本発明で用いるプラスチックフィルム(2)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロペンタジエンなどのオレフィンフィルム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、エチレン‐テトラフルオロエチレン共重合体フィルムなどのフッ素系フィルム、アクリルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、を用いることができる。フィルム剛性、コストの観点からポリエステル系樹脂フィルムであることが好ましく、ポリエチレンテレフタラートフィルムであることが好ましい。
またこれらのフィルムは、1層または2層以上の複層構造でも構わない。
本発明における接着剤層(3)は、プラスチックフィルム(2)と非受講面側封止材(IV)との接着性を向上するために設けられた樹脂層である。
そして、太陽電池モジュールを形成する際、非受講面側封止材(IV)と本発明の太陽電池裏面保護シート(V)とを、接着剤層(3)とが接するようにして貼着することによって、太陽電池モジュールに太陽電池裏面保護シートが装着される。
ポリエステル系樹脂を構成する水酸基成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、3−メチルペンタンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分の他、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多官能アルコールが例示できる。
常法に従いこれらのカルボン酸成分と水酸基成分とを重合させて所定のポリエステル樹脂としたものが本発明で使用できる。
水酸基成分としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加したポリエーテル系ポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエン系ポリオールなどのポリマーポリオールなどが使用できる。
イソシアネート化合物としては、後述するポリイソシアネート化合物(C)と同様のものを例示できる。トリメチレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メチレンビス(4、1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)、3−イソシアネートメチル−3、5、5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のジイソシアネートや、これらジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、これらジイソシアネートの三量体であるイソシアヌレート体、これらジイソシアネートのビューレット結合体、ポリメリックジイソシアネートなどが例示できる。
両者の積層には、従来公知の種々の接着剤を用いることができる。
蒸着される金属酸化物もしくは非金属無機酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム、イットリウムなどの酸化物が使用できる。また、アルカリ金属、アルカリ土類金属のフッ化物なども使用することができ、これらは単独もしくは組み合わせて使用することができる。
これらの金属酸化物もしくは非金属無機酸化物は、従来公知の真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどのPVD方式や、プラズマCVD、マイクロウェーブCVDなどのCVD方式を用いて蒸着することができる。
図2(a)に示す太陽電池裏面保護シートは、プラスチックフィルム(2)に耐候性樹脂層(1)を、反対面に接着剤層(3)を、前述のコーティング方法やラミネート方法で設けることで作成することができる。
図2(b)に示す太陽電池裏面保護シートは、プラスチックフィルム(2)に接着剤層(5)を前述のコーティング方法で設けた後、水蒸気バリア層(4)と積層して、プラスチックフィルム(2)−水蒸気バリア層(4)積層体を作成した後、プラスチックフィルム(2)面に耐候性樹脂層(1)、水蒸気バリア層(4)面に接着剤層(3)を前述のコーティング方法やラミネート方法で設けることで作成することができる。
図2(c)に示す太陽電池裏面保護シートは、プラスチックフィルム(2)に接着剤層(5)を前述のコーティング方法で設けた後、水蒸気バリア層(4)と積層して、プラスチックフィルム(2)−水蒸気バリア層(4)積層体を作成した後、水蒸気バリア層(4)面に耐候性樹脂層(1)、プラスチックフィルム(2)面に接着剤層(3)を前述のコーティング方法やラミネート方法で設けることで作成することができる。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面封止シート(I)と、太陽電池の受光面側に位置する封止材層(II)、太陽電池素子(III)と、太陽電池の非受光面側に位置する封止材層(IV)と、詳述した本発明の太陽電池裏面保護シートを必須の構成層とし、前記非受光面側封止材層(IV)に、本発明の太陽電池裏面保護シートを構成する接着剤層(3)が接するように、太陽電池裏面封止シートを積層することによって、得ることができる。非受光面側封止材層(IV)と太陽電池裏面保護シートとを積層する際、減圧下に両者を接触させ、次いで加熱・加圧下に重ね合わせることによって得ることができる。接着剤層(3)が熱硬化性の場合、常圧に戻した後、さらに高温条件下に置いて、接着剤層(3)の硬化を進行させることもできる。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート43部、n−ブチルメタクリレート52部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3部、ペンタメチルビピペリジニルメタクリレート(日立化成製、ファンクリルFA−711MM)2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が86、000、水酸基価が12.2(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが7℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A1を得た。
Mwの測定はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、重量平均分子量(Mw)の決定はポリスチレン換算で行った。
ガラス転移温度の測定は、示差走査熱量測定(DSC)により求めた。
アルミニウムパンに試料約10mgを秤量してDSC装置にセットし(リファレンス:試料を入れていない同タイプのアルミニウムパンとした。)、300℃の温度で5分間加熱した後、液体窒素を用いて−120℃まで急冷処理した。その後10℃/分で昇温し、得られたDSCチャートからガラス転移温度(Tg)を算出した(単位:℃)。
なお、Tg測定用の試料は、上記のアクリル樹脂溶液を150℃で約15分、加熱し、乾固させたものを用いた。
共栓三角フラスコ中に試料(樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
酸価は次式により求めた。酸価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
共栓三角フラスコ中に試料(樹脂の溶液:約50%)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解する。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定する。
水酸基価は次式により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート40部、n−ブチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルメタクリレート28部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、ペンタメチルビピペリジニルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が73、000、水酸基価が7.9(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが37℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A2を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート19部、n−ブチルメタクリレート77部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、ペンタメチルビピペリジニルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が96、000、水酸基価が8.1(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが45℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A4を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、イソボルニルメタクリレート19部、n−ブチルメタクリレート77部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、ペンタメチルビピペリジニルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が96、000、水酸基価が8.1(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが45℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A4を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、シクロヘキシルメタクリレート53部、n−ブチルメタクリレート41部、4−ヒドロキシブチルアクリレート4部、ペンタメチルビピペリジニルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が45、000、水酸基価が8.0(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが41℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A5を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート19部、n−ブチルメタクリレート76部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3部、ペンタメチルビピペリジニルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が124、000、水酸基価が11.9(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが40℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A6を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、シクロヘキシルメタクリレート53部、n−ブチルメタクリレート19部、2−エチルヘキシルメタクリレート20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート6部、ペンタメチルビピペリジニルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が56、000、水酸基価が25.3(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが18℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A7を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート32部、n−ブチルメタクリレート46部、2−エチルヘキシルメタクリレート10部2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、ペンタメチルビピペリジニルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が71、000、水酸基価が79.8(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが28℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A8を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート50部、n−ブチルアクリレート46部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が55、000、水酸基価が17.2(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが19℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A9を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート19部、n−ブチルメタクリレート76部、4−ヒドロキシブチルアクリレート2部、ペンタメチルビピペリジニルメタクリレート2部、メタクリル酸1部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が75、000、水酸基価が7.9(mgKOH/g)、酸価が8(mgKOH/g)、Tgが42℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A10を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート19部、n−ブチルメタクリレート74部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤含有モノマーであるRUVA−93(大塚化学製)5部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が70、000、水酸基価が8.0(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが39℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A11を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート62部、n−ブチルメタクリレート34部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、ペンタメチルビピペリジニルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が80、000、水酸基価が7.8(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが79℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A12を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート80部、n−ブチルメタクリレート16部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、ペンタメチルビピペリジニルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が84、000、水酸基価が7.8(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが93℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A13を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート32部、n−ブチルアクリレート32部、2−エチルヘキシルメタクリレート32部、4−ヒドロキシブチルアクリレート2部、ペンタメチルビピペリジニルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が66、000、水酸基価が7.9(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが−7℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A14を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート36部、n−ブチルアクリレート30部、2−エチルヘキシルメタクリレート30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、ペンタメチルビピペリジニルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が84、000、水酸基価が8.0(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが−20℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A15を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート40部、n−ブチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルメタクリレート28部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が22、000、水酸基価が7.9(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが37℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A16を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート40部、n−ブチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルメタクリレート28部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が162、000、水酸基価が7.9(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが37℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A17を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート22部、n−ブチルメタクリレート77.5部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.5部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が73、000、水酸基価が1.9(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが35℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A18を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート70部、4−ヒドロキシブチルアクリレート30部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が94、000、水酸基価が115.2(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが21℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A19を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、スチレン55部、2−エチルヘキシルメタクリレート43部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート2部、トルエン100部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリルを0.15部加えて2時間重合反応を行い、次に、アゾビスイソブチロニトリルを0.07部加えてさらに2時間重合反応を行い、更に0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えてさらに2時間重合反応を行い、重量平均分子量が47、000、水酸基価が7.6(mgKOH/g)、酸価が0(mgKOH/g)、Tgが42℃、固形分50%のアクリル樹脂溶液A20を得た。
ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体を酢酸エチルで希釈して、固形分70%の樹脂溶液としてポリイソシアネート化合物溶液(B)を得た。
アクリル樹脂溶液(A)、ポリイソシアネート化合物溶液(B)、顔料(C)、粒子(D)、粒子(E)を表2に示す組成にて混合し、耐候性樹脂層溶液1〜29を得た。
なお、表中の組成は固形分換算である。
ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製、テトロンS、厚み188μm、以下「透明基材A」という)の両面にコロナ処理し、一方の面にポリエステル接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」(東洋インキ製造(株)製、配合比100/7、以下同)をグラビアコーターによって塗布し、溶剤を乾燥させ、塗布量:10g/平方メートルの接着剤層を設け、該接着剤層に、下記の蒸着PET(三菱樹脂(株)製、テックバリアLX、厚み12μm)の蒸着面を重ね合わせた。その後、50℃、4日間、エージング処理し、接着剤層を硬化させ、ポリエステルフィルム−蒸着PET積層体を作成した。
[実施例1]
クロスカット密着性は、太陽電池裏面保護シート1の耐候性樹脂層にカッターでクロス状に傷をつけ、セロハンテープ剥離試験を行い、セロハンテープ剥離後の残存塗膜の様子を目視で観察して、クロスカット密着性を評価した。
○:クロスカットで入れた部分が剥がれない。
△:クロスカットで入れた部分にやや剥離の傾向が見られる。
×:クロスカットで入れた部分に明確な剥離が見られる。
耐擦傷性は、任意の硬度の鉛筆を用い、750g荷重下、100mm/minで、耐候性樹脂層表面上を滑らせ、耐候性樹脂層とプラスチックフィルム間にハガレが生じないかを目視で評価した。
○:2Hでハガレなし
△:HBでハガレなし
×:HBでハガレあり
耐熱性試験は、温度150℃の条件で60分後のクロスカット密着性と耐擦傷性を測定した。
耐湿熱性試験は、温度85℃、相対湿度85%RHの環境条件で1000時間、2000時間、3000時間後のクロスカット密着性と黄変度を測定した。
黄変度は、JIS−Z8722記載の方法に従って、色彩色差計CR−300(コニカミノルタ製)を用いて、太陽電池裏面保護シート1の耐候性樹脂層側から測定し、L*a*b*表色系で表したときのΔb値で評価した。
○:Δb値2未満
△:Δb値2以上4未満
×:Δb値4以上
××:Δb値10以上
耐候性試験はスーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機製)を用いて、以下の条件で500cy、1000cy後の、クロスカット密着性と黄変度と膜減りを測定した。
1)63℃ 95% 160W/m2 照射+降雨12min
2)63℃ 50% 160W/m2 照射108min
3)1)、2)を1cyとして繰り返す。
膜減りは、耐候テープで保護した部分と未保護の部分の段差を測定することで、評価した。
○:膜減りが1μm未満
△:膜減りが1μm以上5μm以下
×:膜減りが5μm以上10μm以下
××:膜減りが10μm以上
実施例1と同様にして、太陽電池裏面保護シート2−32を用い、耐候性樹脂層のポリエステルフィルムへのクロスカット密着性、耐擦傷性、耐熱性、耐湿熱性、耐候性の評価を行った。
以上の結果を表3に示す。
なお、実施例9は、耐候性樹脂層中に、2,6位に置換基を導入した2級または3級ピペリジニル基が入っていないため、また実施例11はベンゾトリアゾール系のUV吸収剤が入っているため耐候性がやや劣り、実施例10は酸価を有するため、耐湿熱性がやや劣る。また、実施例15は、平均粒子径が1μm〜1.1×t(μm)の粒子(E)が入っていないため、耐擦傷性がやや劣る。また、実施例16は粒子(E)の平均粒子径が膜厚よりも大きい為、隠蔽性の低下を招き、耐候性の点でやや劣る。実施例17は粒子(E)の融点が120℃未満であるため、高温時に溶融して、密着性及び耐擦傷性の低下の原因となる。
<太陽電池モジュールの作成>
白板ガラス・・・太陽電池表面封止シート(I)
酢酸ビニル−エチレン共重合体フィルム(EVA)・・・受光面側封止材層(II)
多結晶シリコン太陽電池素子・・・太陽電池素子(III)
EVA非受光面側封止材層(IV)
及び太陽電池裏面保護シート1を重ねた後、真空ラミネーターに入れ、1Torr程度に真空排気して、プレス圧力としては大気圧の圧力をかけた状態で、150℃30分間加熱後、さらに150℃で30分間加熱し、10cm×10cm角の光電変換効率評価用太陽電池モジュール1を作製した。
得られた太陽電池モジュール1の太陽電池出力を測定し、JIS C8912に従って、ソーラーシュミレーター(英弘精機製、SS−100XIL)を用いて光電変換効率(初期、耐候試験後)を測定した。
耐候性試験はスーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機製)を用いて、以下の条件で500cy、1000cy、1500cy後の光電変換効率を評価した。
1)63℃ 95% 160W/m2 照射+降雨12min
2)63℃ 50% 160W/m2 照射108min
3)1)、2)を1cyとして繰り返す。
○:出力の低下が5%未満
△:出力の低下が5%以上〜10%未満
×:出力の低下が10%以上
実施例1と同様にして、太陽電池裏面保護シート2−8、23、25、28、30を用いて太陽電池モジュール2−12を作製し、光電変換効率(初期、耐候試験後)を測定した。
以上の結果を表4に示す。
(II):太陽電池の受光面側に位置する封止材層
(III):太陽電池セル
(IV):太陽電池の非受光面側に位置する封止剤層
(V):太陽電池裏面保護シート
(1):耐候性樹脂層
(2):プラスチックフィルム
(3):接着剤層
Claims (10)
- 膜厚t(μm)の耐候性樹脂層(1)、プラスチックフィルム(2)及び接着剤層(3)を具備する太陽電池裏面保護シートであって、
前記太陽電池裏面保護シートの一方の面を前記耐候性樹脂層(1)が構成し、前記太陽電池裏面保護シートの他方の面を前記接着剤層(3)が構成し、
前記耐候性樹脂層(1)が、アクリル系共重合体(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、黒色顔料(C)、融点が120℃以上であるか、もしくは融点を有しない、前記黒色顔料(C)以外の平均粒子径が5〜100nmの粒子(D)、及び融点が120℃以上であるか、もしくは融点を有しない、平均粒子径が1μm〜1.1×t(μm)の粒子(E)を含有する耐候性樹脂組成物(1’)から形成されてなるものであり、
前記アクリル系共重合体(A)のガラス転移温度が0〜50℃、重量平均分子量が30,000〜150,000、水酸基価が2〜100(mgKOH/g)、芳香環含有量が、最大50重量%であり、
前記アクリル系共重合体(A)中の水酸基1個に対して、前記ポリイソシアネート化合物(B)中のイソシアネート基が0.1〜5個であることを特徴とする太陽電池裏面保護シート。 - アクリル系共重合体(A)が、2,6位に置換基を導入した2級または3級ピペリジニル基を有するアクリル系モノマー(a1)と、イソシアネート基と反応可能な官能基を有するアクリル系モノマー(a2)と、他のアクリル系モノマー(a3)との共重合体であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池裏面保護シート。
- 他のアクリル系モノマー(a3)が、ベンゾトリアゾール基を有しないことを特徴とする請求項2記載の太陽電池裏面保護シート。
- 黒色顔料(C)が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の太陽電池裏面保護シート。
- 黒色顔料(C)以外の平均粒子径が5〜100nmの粒子(D)が、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、マイカ、及びホワイトカーボンからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の太陽電池裏面保護シート。
- 平均粒子径が1μm〜1.1×t(μm)の粒子(E)が、窒素含有樹脂粒子であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の太陽電池裏面保護シート。
- プラスチックフィルム(2)が、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の太陽電池裏面保護シート。
- 水蒸気バリア層(4)をさらに具備することを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の太陽電池裏面保護シート。
- 耐候性樹脂層(1)の膜厚tが5〜20μmであることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載の太陽電池裏面保護シート。
- 太陽電池の受光面側に位置する太陽電池表面封止シート(I)、太陽電池の受光面側に位置する封止材層(II)、太陽電池セル(III)、太陽電池の非受光面側に位置する封止剤層(IV)、及び前記非受光面側封止剤層(IV)に接してなる、請求項1〜9いずれか1項に記載の太陽電池裏面保護シート(V)を具備してなる太陽電池モジュールであって、
前記接着剤層(3)が、前記非受光面側封止剤層(IV)に接している、ことを特徴とする太陽電池モジュール。
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