JP5516294B2 - 太陽電池モジュール用保護シート - Google Patents
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Description
すなわち本発明は具体的に以下のものを提供する。
露出面側に配置される耐候性の第一樹脂シートと、
前記第一樹脂シート上に直接または他の層を介して積層される第二樹脂シートと、
前記第一樹脂シートと前記第二樹脂シートとの間に形成される紫外線遮蔽層と、
前記第一樹脂シートと前記第二樹脂シートとの間の層間を接着する接着剤層であって、
前記接着剤層は、主剤と硬化剤からなる2液タイプの接着剤を硬化させてなり、
前記接着剤の主剤は、少なくとも脂肪族ポリカーボネートジオール(C)と、1,6へキサンジオール(D)と、イソホロンジイソシアネート(E)と、を反応させて得られる数平均分子量が7000から13000のポリウレタンジオールであるポリウレタンジオール(A)と、
脂肪族ポリカーボネートジオール(B)との混合物を含み、
前記接着剤の硬化剤は、イソホロンジイソシアネートのヌレート体(F)と、ヘキサメチレンジイソシアネート系2官能ポリウレタンジイソシアネート(G)との混合物を含むことを特徴とする太陽電池モジュール用保護シート。
樹脂A:アクリルポリオール樹脂
樹脂B:ウレタンアクリル系樹脂
以下、本発明の太陽電池モジュール用保護シート1の一実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の太陽電池モジュール用保護シートの一実施形態を具体的に示す断面図である。
第一樹脂シート2は、太陽電池モジュール用保護シート1が太陽電池モジュールに使用された際に、太陽電池モジュールの裏面側の表面に位置する。そのため、第一樹脂シート2は、耐候性、耐熱性、耐光性等に優れたものを使用する。特に、太陽電池モジュール用保護シート1が黄変することを抑制するという観点からは、第一樹脂シート2は、耐紫外線性の高いものであることが必要である。また、太陽電池モジュール用保護シート1は、透明な保護シートであるので、第一樹脂シート2もまた透明であることが必要である。このような樹脂シート2としては、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルアルキルビニル・エステル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(四フッ化エチレン・エチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等のフッ素系樹脂、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン等をモノマーとする環状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・スチレン共重合体、プロピレン・スチレン共重合体、ポリ1,4−シクロペンタジエン、ポリ1,5−ヘキサジエン等のポリオレフィン系樹脂、アルキレンカーボネートとジオールを原料とするポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリレート等のポリ(メタ)アクリル系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)等のポリエステル系樹脂等の樹脂シートが好ましく例示される。なお、本明細書では、樹脂をシート状に加工したものの名称として樹脂シートという用語を使用するが、この用語は、樹脂フィルムも含む概念として使用される。
第二樹脂シート3は、太陽電池モジュール用保護シート1に絶縁性を付与するために使用される。このため、第二樹脂シート3としては、電気絶縁性を有する樹脂シートであれば特に限定されないことになる。しかし、本実施形態の太陽電池モジュール用保護シート1では、後述する紫外線遮蔽層4が存在することによって、第二樹脂シート3として、耐光性がやや小さく、それゆえコストの小さな素材を使用することができる。つまり、第二樹脂シート3としては、太陽電池モジュール用保護シート1の外側に位置する第一樹脂シート2よりも耐光性、すなわち耐紫外線性の劣る樹脂シートを使用することもできる。
次に、本実施形態における紫外線遮蔽層4について説明する。紫外線遮蔽層4は、太陽電池モジュール用保護シート1の表面21である露出面、すなわち、太陽電池モジュールの裏面より入射した紫外線から、第二樹脂シート3や後述する樹脂層7等を保護するために設けられる。つまり、紫外線遮蔽層4は、太陽電池モジュール用保護シート1において、紫外線遮蔽層4よりも太陽電池モジュールの内部側に存在する各層を紫外線から保護するために設けられる。
次に、第一接着剤層5について説明する。第一接着剤層5は、紫外線遮蔽層4が表面に形成された第二樹脂シート3と第一樹脂シート2とを接合されるために設けられ、下記に説明する特定のラミネート接着剤を塗布することにより形成される。
上記接着剤の主剤成分は、ポリウレタンジオール(A)と脂肪族ポリカーボネートジオール(B)との混合物を含むことを特徴とする。主剤を構成するポリウレタンジオール(A)及び脂肪族ポリカーボネートジオール(B)は、ともに水酸基を有するポリオールであり、イソシアネート基を有する硬化剤と反応して、第一接着剤層5を構成するものである。第一接着剤層5を形成するためのラミネート接着剤は、主剤を特定のポリウレタンジオール(A)と脂肪族ポリカーボネートジオール(B)を所定量配合した混合物とすることによって、第一接着剤層5の透明性及び接着性を向上させている。
上記ラミネート接着剤の硬化剤は、ポリイソシアネート化合物を主成分とするものである。ポリイソシアネート化合物は、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、このイソシアネート基が上記主剤のポリウレタンジオール化合物中の水酸基と反応することにより、ポリウレタンジオール化合物を架橋する。このようなポリイソシアネート化合物としては、上記主剤成分であるポリウレタンジオール化合物を架橋することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」)、ヘキサメチレンジイソシアネート系2官能ポリウレタンジイソシアネート(G)、イソシアヌレート変性のイソホロンジイソシアネート(F)(以下、「ヌレート変性IPDI」)等を例示することができる。これらのポリイソシアネート化合物の中でも、HDIとヌレート変性IPDIとを組み合わせた混合物が水酸基に対する反応性を向上させる観点より好ましい。なお、硬化剤をHDIとヌレート変性IPDIとの混合物とする場合、HDIとヌレート変性IPDIは、70:30〜50:50(質量比)の範囲で使用することが好ましい。
上記ラミネート接着剤成分である主剤及び硬化剤には、良好な塗布性及びハンドリング適正を得るために、溶剤成分を添加することが好ましい。このような溶剤成分としては、上記酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステルを挙げることができるがこれに限定されない。なお、既に述べたように上記接着剤は、主剤と硬化剤の2液剤として構成されるが、主剤で使用される溶剤成分と硬化剤で使用される溶剤成分はそれぞれ独立に選択され、同一でも異なっていてもよい。
ラミネート接着剤成分には、主剤、硬化剤及び溶剤の他、必要に応じてシランカップリング剤、粘着付与剤、安定化剤、充填剤、可塑剤、軟化点向上剤、触媒等を添加剤として混合することができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシラン、メチルトリエトキシシラン等のシランモノマー、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン、3−メタクリロキシプロピルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメトキシシラン等のメタクリルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシランを挙げることができる。粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。安定化剤としては、酸化防止剤、紫外線防止剤等が挙げられる。充填剤としては、無機フィラー等が挙げられる。
接着剤成分は、主剤と硬化剤を主成分とするものであるが、主剤と硬化剤の配合比率は、(ポリイソシアネート化合物由来のイソシアネート基)/(ポリウレタンジオール化合物由来の水酸基)の比が、1.0〜3.5の範囲であることが好ましく、さらに、1.2〜 3.0の範囲にあることが好ましい。主剤成分のポリウレタンジオール化合物と硬化剤成分のポリイソシアネート化合物との配合比率が上記範囲にあることにより、各基材を強固に接合することができる接着剤を得ることができるため好ましい。
本実施態様において、主剤と硬化剤からなる2液タイプの接着剤は接合する基材の表面に塗布され、続いて塗布された接着剤から溶剤成分が蒸発することによって、基材の表面に接着剤層を形成させる。この接着剤膜は、被接合基材の表面と接合された状態で硬化し、接着剤層となる。基材の表面に接着剤を塗布する方法は、特に制限されるものではないが、グラビアコーター法、ロールコータ法、はけ塗り法等を挙げることができる。なお、そのコーティング量としては、1.0〜10g/m2(乾燥状態)が望ましい。
次に、本実施形態の太陽電池モジュール用保護シート1における樹脂層7について説明する。樹脂層7は、太陽電池モジュールに使用される保護シートに必要な機能を付与するための樹脂層である。例えば、第三樹脂シート7は、太陽電池モジュールに必要な強度を付与するための部材や太陽電池モジュールに必要な密着性を付与するための部材として使用することができる。樹脂層7は、太陽電池モジュールに使用される保護シートに必要な機能に応じて適宜シート、樹脂膜、薄膜等の形態を採ることが可能である。
次に、本実施形態の太陽電池モジュール用保護シート1が使用された太陽電池モジュール10の一例について、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態の太陽電池モジュール用保護シート1が使用された太陽電池モジュール10を模式的に示す断面図である。
以上、本発明について一実施形態を示して具体的に説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の構成の範囲内において適宜変更を加えて実施することができる。
本発明の太陽電池モジュール用保護シートは、透明性及び接着性に優れているので、裏面保護シートのみならず、例えば、太陽電池モジュールを構成するフロントシートにも適応可能である。
(主剤成分の製造)
1.ポリウレタンジオールA−1の製造
窒素雰囲気下、攪拌機を備えたフラスコに数平均分子量1000の脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5651」(以下、「PDC1000」と略す。)100質量部、1、6−ヘキサンジオール(5質量部)、イソホロンジイソシアネート(27.5質量部)、酢酸エチル(132.5質量部)を加え、赤外線吸収スペクトルにて、2270cm−1のイソシアネートの吸収が消失するまで加熱還流させ、ポリウレタンジオールA−1の50%溶液を得た。得られた樹脂の水酸基価は、14mgKOH/gであり、数平均分子量は約8000であった。
主剤成分である脂肪族ポリカーボネートジオールとして、脂肪族ポリカーボネートジオールB−1を準備した。なお、脂肪族ポリカーボネートジオールB−1は、数平均分子量1000の脂肪族ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラノールT5651」)である。
上記で製造した主剤成分であるポリウレタンジオールA−1と脂肪族ポリカーボネートジオールB−1を使用して、主剤を調製した。主剤の調製は、ポリウレタンジオールA−1を100質量部に対して、脂肪族ポリカーボネートジオールB−1を15質量部配合することにより行った。
接着剤を構成する硬化剤として、硬化剤を製造した。なお、硬化剤の材料としては、イソホロンジイソシアネートのヌレート体(F)と、ヘキサメチレンジイソシアネート系2官能ポリウレタンジイソシアネート(G)(旭化成ケミカルズ社製「デュラネートD101」)を用いた。その配合割合(質量)は、イソホロンジイソシアネートのヌレート体(F):ヘキサメチレンジイソシアネート系2官能ポリウレタンジイソシアネート(G)を40:60とした。なお、上記配合割合(質量)は、溶剤を含まない固形質量比であるが、製造に際しては固形分50%に調製をした。
上記で製造した主剤と硬化剤を使用し、接着剤を製造した。また、主剤と硬化剤の配合は、主剤、硬化剤を溶剤に溶解させて、それぞれ50質量%(酢酸エチル溶液)とし行った。なお、上記硬化剤には、シランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを添加し、接着剤全体に対して1.2%(接着剤1)と3.6%(接着剤2)の2種類のラミネート接着剤を製造した。
(実施例1〜8及び比較例1〜4)
上記製造した主剤と硬化剤からなる2液タイプの接着剤を使用して、複数の樹脂シートと紫外線遮蔽層及び支持層を介して接合させて太陽電池モジュール用保護シートを製造した。表1に太陽電池モジュール用保護シートの構成を示す。表1における使用フィルムは、下記の通りであり、フィルムの積層は、接着剤を溶剤酢酸エチルに溶解し、固形分塗布量 1.0g/m2(硬化後膜厚1.0μm)となるようにグラビアコートし、30〜50℃、70〜200時間のエージング処理をして硬化させた。なお、実施例1から8について、下記公知の接着剤を実施例と同様の塗布条件で用いた積層体をそれぞれ比較例1から4とした。また、公知の接着剤として以下の接着剤を使用した。
ETFE:厚さ25μm、商品名 25ND(旭硝子製 社製)
PET: 厚さ50〜250μm、商品名 T60(東レ 社製)
シリカ蒸着PET:12μm、商品名 テックバリアLX(三菱樹脂 社製)
耐候性PET:50〜250μm、商品名 P100(三菱樹脂 社製)
比較例接着剤(公知の接着剤):商品名 タケラック1143(登録商標) / タケネートA50(登録商標)、(三井化学 社製)
実施例1〜8及び比較例1〜4で製造した太陽電池モジュール用保護シートについて、その透明性、耐紫外線性、耐湿熱性、及び接着性を以下の評価方法によって評価を行った。評価結果を表3に示す。
「透明性の評価(透明性)」・・・株式会社村上色彩研究所、ヘイズ・透過率系HM150にて測定(JISK7136)し、ヘイズ20以下を「良好」とした。
「耐紫外線性評価(耐UV性)」・・・380nm以下の透過率97%以下を「良好」とした。
「耐湿熱性の評価(耐湿熱性)」・・・プレッシャークッカー試験(温度120℃、湿度85%、1.6気圧条件下、168時間経過)後の接着強度維持率70%以上を「良好」とした。
なお、接着強度は、JIS K6854−3に準じて行い。接着強度維持率は、下記計算式により算出し、下記基準によって評価した。
接着強度維持率=(プレッシャークッカー試験後の接着強度/初期接着強度)×100[%]
「接着強度の評価(密着性)」・・・JIS K6854−3に準じて行い、接着強度
5N/15mm幅以上を「良好」とした。
「全光透過率及び黄色度YI」・・・ISO4892−2に準じ、以下の条件にて評価試験を行った。キセノンランプ照射装置(アトラス社製、製品名「ウエザオメーターCi4000」)にて60W/m2のキセノン光照射、ブラックパネル温度65℃、槽内温度35℃、シャワー散布の条件下、1000時間照射後の太陽電池モジュール用保護シートを用い、全光線透過率(JISK7361、株式会社村上色彩研究所 ヘイズ・透過率系HM150)及び黄色度YI(スガ試験機株式会社SMカラーコンピューターで計測)を測定した。
2 第一樹脂シート
21 表面(露出面)
3 第二樹脂シート
4 紫外線遮蔽層
5 第一接着剤層
6 第二接着剤層
7 樹脂層
71 樹脂層
10 太陽電池モジュール
10a表面(裏側)
11 裏側充填材
12 太陽電池セル
13 表面側充填材
14 透明前面基板
Claims (6)
- 太陽電池モジュールの表裏いずれかの一方の面に露出されるように配置され、可視光線を透過する多層の保護シートであって、
露出面側に配置される耐候性の第一樹脂シートと、
前記第一樹脂シート上に直接または他の層を介して積層される第二樹脂シートと、
前記第一樹脂シートと前記第二樹脂シートとの間に形成される紫外線遮蔽層と、
前記第一樹脂シートと前記第二樹脂シートとの間の層間を接着する接着剤層であって、
前記接着剤層は、主剤と硬化剤からなる2液タイプの接着剤を硬化させてなり、
前記接着剤の主剤は、少なくとも脂肪族ポリカーボネートジオール(C)と、1,6へキサンジオール(D)と、イソホロンジイソシアネート(E)と、を反応させて得られる数平均分子量が7000から13000のポリウレタンジオールであるポリウレタンジオール(A)と、
脂肪族ポリカーボネートジオール(B)との混合物を含み、
前記接着剤の硬化剤は、イソホロンジイソシアネートのヌレート体(F)と、ヘキサメチレンジイソシアネート系2官能ポリウレタンジイソシアネート(G)との混合物を含むことを特徴とする太陽電池モジュール用保護シート。 - 前記ポリウレタンジオール(A)が、数平均分子量が1000から2000の脂肪族ポリカーボネートジオール(C)100質量部に対し、1,6へキサンジオール(D)の5から15質量部と、イソホロンジイソシアネート(E)と、を反応させて得られる数平均分子量が7000から13000のポリウレタンジオール、である請求項1記載の太陽電池モジュール用保護シート。
- 前記紫外線遮蔽層は、酸化チタン又は酸化亜鉛の粒子を含む請求項1又は請求項2記載の太陽電池モジュール用保護シート。
- 前記紫外線遮蔽層は、酸化亜鉛の粒子を含み、かつ下記の樹脂A及び樹脂Bをポリイソシアネート化合物で架橋してなる樹脂を含む請求項3記載の太陽電池モジュール用保護シートである。
樹脂A:アクリルポリオール樹脂
樹脂B:ウレタンアクリル系樹脂 - 試験条件ISO4892−2に準じた耐候試験1000時間後の全光線透過率が80%以上で、黄色度YIが+5以下である請求項1から請求項4のいずれかに記載の太陽電池モジュール用保護シート。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載の太陽電池モジュール用保護シートが使用された太陽電池モジュール。
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