JP5974835B2 - 太陽電池モジュール用裏面保護シート - Google Patents
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Description
先ず、本発明の裏面保護シートが使用される太陽電池モジュールの構成について簡単に説明する。図1は、本発明の一実施形態である太陽電池モジュ−ル1について、その層構成の一例を示す断面図である。太陽電池モジュール1は、図1に示すように受光面側から、透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、裏面保護シート6が順に積層された構成である。
本発明の一実施形態である裏面保護シート6を、図2を用いて説明する。裏面保護シート6は、基材層60と、熱拡散層61と、耐候層62と、熱放射層63と、を備える積層体である。熱拡散層61は基材層60の一方の表面上に積層され、熱放射層63は太陽電池モジュール1としての一体化時に最外層となるように配置されている。そして、熱拡散層61と熱放射層63との間に耐候層62が配置される構成となっている。
基材層60は、樹脂材料をシート状に成型した樹脂シートである。基材層60に用いる樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等、各種の樹脂シートを用いることができる。これらの樹脂シートの中でも、特に、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンナフタレートが好ましく使用される。中でも、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートのフィルム又はシートが特に好ましい。なお、本明細書では、これらの樹脂をシート状に加工したものの名称として樹脂シートという用語を使用するが、この用語は、樹脂フィルムも含む概念として使用される。これらは単独層であってもよく、従来公知の密着剤等で積層された複数層からなる積層体であってもよい。
熱拡散層61は、太陽電池モジュール1の内部に蓄積された熱を、この層内において、主に裏面保護シート6の表面に沿った水平方向に拡散することにより、熱放射層63からの内部熱の熱放射効率を高める機能を有する層であり、熱伝導率の高い材料からなる層である。熱拡散層61の熱伝導率は、150W/(m K)以上とする。
耐候層62は、屋外等の過酷な環境下で使用される太陽電池モジュール1において、十分な耐候性、耐久性を発揮しうる樹脂材料をシート状に成形した樹脂シートを用いることができる。耐候層62に用いる樹脂シートとして、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート(耐加水分解性PET)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、又は、ポリカーボネート(PC)の少なくともいずれか1種を含有してなる樹脂シートを挙げることができる。
熱放射層63は、太陽電池モジュール1の内部熱を効率よく放出することのできる熱放射性を有する樹脂材料をシート状に成形した樹脂シートを積層するか、或いは、そのような熱放射性を有する樹脂材料を裏面保護シート6の最外層にコーティングすることによって形成することができる。熱放射層63に用いるそのような材料としては、各種のバインダー樹脂に遠赤外線放射フィラーを混合したものを用いることができる。
裏面保護シート6には、本発明の効果を害さない範囲で、その他の層を設けてもよい。例えば、基材層60の熱拡散層61が形成されていない側の面に、必要に応じて、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる接着強化層や、シランカップリング剤等の接着性向上剤を含有する樹脂混合物からなるプライマー層を設けてもよい。
本発明の裏面保護シートの製造方法について説明する。裏面保護シート6は、基材層60の一方の表面上に、熱拡散層61、耐候層62、熱放射層63を、この順序の配置となるように順次形成することによって製造することができる。
太陽電池モジュール1は、例えば、上記の透明前面基板2、前面封止材層3、太陽電池素子4、背面封止材層5、及び裏面保護シート6からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。例えば真空熱ラミネート加工による場合、ラミネート温度は、130℃〜180℃の範囲内とすることが好ましい。また、ラミネート時間は、5〜20分の範囲内が好ましく、特に8〜15分の範囲内が好ましい。このようにして、上記各層を一体成形体として加熱圧着成形して、太陽電池モジュ−ル1を製造することができる。
実施例及び比較例の裏面保護シートを、下記の材料を用い、下記の方法によって製造した。
耐候層として、厚さ50μmの耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム(耐加水分解性PET、東レ(株)製:X10−S)を用い、その片面に、固形分30重量%のポリウレタン系接着剤を、乾燥状態での塗布量が5.0g/m2となるよう塗布し、熱拡散層として、厚さ20μmのアルミニウム箔を、貼り合わせた積層体(以下、「積層体a」と言う)を得た。
基材層として、厚さ250μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、帝人デュポンフィルム(株)製:メリネックスS)を用い、その片面に、上記と同一のポリウレタン系接着剤を乾燥状態での塗布量が5.0g/m2となるよう塗布し、積層体aを上記アルミニウム箔からなる面を基材層側に向けて貼り合わせた積層体(以下、「積層体b」と言う)とし、その後、完全硬化させるため56℃、5日間の養生を行った。
更に、その後、積層体bの耐候層側の表面にコロナ処理を施した後、酸化チタン、酸化アルミ、酸化ケイ素を含有した、波長4〜15μmでの熱放射率0.95の熱放射性インキを乾燥膜厚15μmとなるよう塗布して、80℃、20分で乾燥させることにより熱放射層を形成し、実施例の裏面保護シートを得た。
上記熱拡散層として用いるアルミニウム箔の厚さを7μmとした他は、実施例1と同一の材料、構成、製造方法によって製造した裏面保護シートを実施例2の裏面保護シートとした。
上記熱拡散層として用いるアルミニウム箔の厚さを50μmとした他は、実施例1と同一の材料、構成、製造方法によって製造した裏面保護シートを実施例3の裏面保護シートとした。
上記耐候層を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、帝人デュポンフィルム(株)製:EP)とした他は、実施例1と同一の材料、構成、製造方法によって製造した裏面保護シートを実施例4の裏面保護シートとした。
上記養生を行った積層体bを、上記熱放射層の形成を行わずに、そのまま比較例1の裏面保護シートとした。
上記基材層上に上記と同一の方法で上記と同一のアルミニウム箔のみを貼り合せた積層体(耐候層未形成)を、上記同様に養生を行った後、この積層体のアルミニウム箔上に、上記同様の熱放射層を形成し、比較例2の裏面保護シートとした。
上記耐候層を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET、東レ(株)製:ルミラーS10)とした他は、実施例1と同一の材料、構成、製造方法によって製造した裏面保護シートを比較例3の裏面保護シートとした。
上記耐候層を、厚さ50μmの四フッ化エチレン・エチレン共重合体フィルム(ETFE、旭硝子(株)製:25PW)とした他は、実施例1と同一の材料、構成、製造方法によって製造した裏面保護シートを比較例4の裏面保護シートとした。
180mm□の白板半強化ガラス(AGCファブリテック(株)製:3KWE33)、前面封止材シート、配線接続した5インチ単結晶太陽電池素子、テープ形温度センサ(安立計器(株)製:ST−14K−060−GW1−ANP)、背面封止材シート、及び、上記実施例又は各比較例の裏面保護シートに積層し、真空ラミネータを用いて減圧下で加熱しながら上記各封止材シートを架橋させて融着一体化し、実施例、各比較例の評価用太陽電池モジュールサンプルを作製した。
[放熱性試験]
実施例と比較例の裏面保護シートについて、JIS C 8912に基づいて放熱性を評価した。ソーラーシミュレータ((株)三永電機製:XES−155S1)にてAM1.5G相当の照度100mW/cm2の疑似太陽光を照射し、有効面積を11cm□と規定するSUSマスクを、実施例、比較例の裏面保護シートをそれぞれ積層した評価用太陽電池モジュールサンプルの受光部側に載せて、セル温度と光電変換効率を1分間隔で90分間、経時測定した。各サンプルにおけるセル温度と光電変換効率を以下の基準で評価した。結果については、「放熱性」として、下記表1に示す。
A:3℃以上
B:1℃以上
C:1℃未満
[接着性試験]
上記の通り作成した実施例及び比較例の裏面保護シートについて、ASTM D3359に準じた接着性試験を行い、熱放射層と耐候層間の接着性を以下の基準で評価した。結果については、「接着性」として、下記表1に示す。
A:15%未満のコーティング剥離
C:15%以上のコーティング剥離
上記実施例、比較例の耐候層について、JIS C8917に準拠し、試験槽内温度85℃、湿度85%の条件下で耐久性試験を実施後に機械強度維持率(テンシロンによる初期値からの破断強度維持率)によりが50%以上となる試験時間を調査した。ここで、チャック間距離は80mm、試験片幅は10mm、引張速度は100mm/minとした。結果については、「耐久性」として、下記表1に示す。
A:3000時間以上
B:2000時間以上
C:2000時間未満
[表面抵抗率]
JIS−K6911に準拠し、抵抗率計((株)三菱化学アナリテック製:ハイレスタUP MCP−HT450型)を用いて、上記実施例、比較例の裏面保護シートの最表面に定電圧1000Vを印加することで表面抵抗率を測定した。ここで最表面とは、比較例1は耐加水分解性PET、それ以外は熱放射層である。結果は、「表面抵抗率」として、表1に示す。
A:10^13Ω/□以上
C:10^13Ω/□未満
2 透明前面基板
3 前面封止材層
4 太陽電池素子
5 背面封止材層
6 裏面保護シート
60 基材層
61 熱拡散層
62 耐候層
63 熱放射層
Claims (4)
- 基材層上に、熱拡散層、耐候層、及び、熱放射層が積層されてなる太陽電池モジュール用の裏面保護シートであって、
前記熱拡散層は、熱伝導率が、150W/(m K)以上であり、
前記耐候層は、JIS C8917に準拠する、85℃85%RH条件下での耐久性試験2000時間後に機械強度維持率が50%以上である、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、又はポリカーボネートのうち、少なくともいずれか1種を含む樹脂からなり、且つ、前記熱拡散層と前記熱放射層の間に積層されていて、
前記熱放射層は、遠赤外線放射フィラーを含有する樹脂からなり、前記耐候層よりも熱放射率が高く、前記裏面保護シートの最外層に積層されている裏面保護シート。 - 前記耐候層が、前記耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートである請求項1に記載の裏面保護シート。
- 前記熱拡散層が、アルミニウム箔である請求項1又は2に記載の裏面保護シート。
- 請求項1から3のいずれかに記載の裏面保護シートと、
封止材シートと、
太陽電池素子と、が積層されている太陽電池モジュールであって、
前記裏面保護シートの前記熱放射層が、前記太陽電池モジュールの一方の最外層に配置されている太陽電池モジュール。
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