JP6035925B2 - 太陽電池表面保護シート及びそれを有する太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
(1) 高分子基材からなる層(以下、高分子基材層という)、A層、B層を有する太陽電池表面保護シート。
(2) 前記ポリイソシアネートが、脂肪族系ポリイソシアネート及び/又は脂環族系ポリイソシアネートであることを特徴とする(1)に記載の太陽電池表面保護シート。
(3) 少なくとも一方の表面が、繰り返し構造中にフッ素原子を有するフッ素系樹脂を含む層(以下、C層という)であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の太陽電池表面保護シート。
(4) 高分子基材層、A層、B層、C層がこの順に積層されたことを特徴とする、(3)に記載の太陽電池表面保護シート。
(5) 前記A層について、含ケイ素化合物がケイ素酸化物であり、さらに亜鉛化合物を含むことを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の太陽電池表面保護シート。
(6) 前記A層について、ケイ素酸化物がSiOx(x=1〜2)であり、亜鉛化合物が酸化亜鉛であり、さらに酸化アルミニウムを含むことを特徴とする、(5)に記載の太陽電池表面保護シート。
(7) 波長600nmの透過率T1が85%以上かつ波長360nmの透過率T2が5%以下であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の太陽電池表面保護シート。
(8) 前記高分子基材層を形成する樹脂が、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の太陽電池表面保護シート。
(9) (1)〜(8)のいずれかに記載の太陽電池表面保護シートを有する太陽電池モジュール。
本発明の太陽電池表面保護シートは、高分子基材からなる層(以下、高分子基材層という)、A層、B層を有するシートである。
[高分子基材層]
前述の通り、高分子基材層とは、高分子基材からなる層である。ここで高分子基材とは、該高分子基材100質量%において、高分子を50質量%以上100質量%以下含む基材を意味し、その他に各種の添加剤を含有することができる。
[A層]
前述の通りA層とは、厚みが10〜1,000nmであり、含ケイ素化合物を含む層であり、これについて詳細を説明する。含ケイ素化合物を含む層は、いわゆるガスバリア性を有する層として知られているものである。本発明においてA層は、高分子基材の上に、あるいは高分子基材表面に形成されたアンカーコート層などの上に配置されることが好ましい。
A層を有することにより、高いガスバリア性を発現することができるため、本発明の太陽電池表面保護シートはA層を有することが重要であるが、A層は高分子基材層の上に形成されることがより好ましく、その場合、高分子基材の耐熱性、熱寸法性、鉛筆硬度や表面自由エネルギーを適切にコントロールすることが重要である。
本発明の太陽電池表面保護シートにおいてA層を適用することによりガスバリア性が良好となる理由は、酸化亜鉛−ケイ素酸化物(SiOx(x=1〜2))−酸化アルミニウムが共存する層においては、酸化亜鉛に含まれる結晶質成分と酸化ケイ素の非晶質成分とを共存させることによって、微結晶を生成しやすい酸化亜鉛の結晶成長が抑制され粒子径が小さくなるため層が緻密化し、酸素および水蒸気の透過が抑制されるためと推測している。
[B層]
前述の通りB層とは、ポリイソシアネートによって架橋された樹脂、及び、紫外線吸収剤を含む層(B1層)、又は、ポリイソシアネートによって架橋され、さらに紫外線吸収成分を有する樹脂を含む層(B2層)であるが、これについて詳細を説明する。
ポリイソシアネート配合量が0.2より少ない場合には、B層の膜強度、靭性などが不足気味となる。一方、ポリイソシアネート配合量が3より大きい場合には、B層表面のタック性が強くなり易くブロッキングを生じ易くなる。また未反応のイソシアネート基が多数B層内に留まるため、大気中の湿気との反応などを生じ、その程度の差を生じた場合にはB層およびまたはB層を含む太陽電池モジュール用表面保護シートの特性が変化する可能性がある。
[紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収し、マトリックス樹脂部分あるいは紫外線吸収剤を含む層より非受光面側の層へ紫外線が浸透するのを防ぐ役割を果たす。
[光安定化剤(HALS)]
光安定化剤とは、光により励起されるラジカルを失活させるメカニズムによってマトリックス樹脂の劣化反応を抑制し、光安定性を向上させる役割を果たす。
[ポリイソシアネート]
樹脂を架橋する目的で用いるポリイソシアネートは、芳香族系ポリイソシアネート、芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネート、および脂肪族系ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。特に、耐紫外線性、耐黄変性を考慮すると、樹脂を架橋する目的で用いるポリイソシアネートは、脂肪族系ポリイソシアネート及び/又は脂環族系ポリイソシアネートが好ましい。
[C層]
本発明の太陽電池表面保護シートは、その少なくとも一方の表面に、繰り返し構造中にフッ素原子を有するフッ素系樹脂を含む層を有していても良い。該C層は、繰り返し構造中にフッ素原子を有するフッ素系樹脂を含みさえすれば特に限定されないが、C層の全成分100質量%において、前記フッ素系樹脂を50質量%以上100質量%以下含むことが好ましい。
[接着剤層]
前記のフッ素系樹脂フィルムや他のフィルムをドライラミネート法によって積層する場合に用いる接着剤からなる層を接着剤層というが、これについて以下に説明する。なお、前記のB層が接着剤層としての機能を有する場合には、新たに接着剤層を設ける必要がなくなる点で好ましい。その場合はB層上にフッ素系樹脂フィルムなどのC層を積層させてシート状に加工する手法として、同様に既知のドライラミネート法が利用できる。
[対封止材接着性層]
前述の通り、本発明の太陽電池表面保護シートは、高分子基材層、A層、B層、C層がこの順に積層された態様が好ましいが、このような態様においては、高分子基材層のA層およびB層が形成されていない側の面は、太陽電池モジュール構造において、セル及び封止材の側を向く形で本発明の太陽電池表面保護シートは使用されることが好ましい。従って、この高分子基材層の表面のうち、A層およびB層が形成されていない側の面は、封止材と強固に密着し、セル、配線材をはじめとするモジュール構成部材を長期に亘って保護する必要があるため、その対封止材密着力には耐久性が求められる。現在、太陽電池モジュールの封止材としては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)シートが汎用的に用いられており、EVAシートに対して良好な密着力が得られるように設計する必要がある。EVAシートとの良好な密着力を得るためには、EVAシートと相溶性が高い樹脂層(以後、対封止材接着性層という)を高分子基材上に形成する、あるいは、EVA樹脂封止材層との間で架橋構造を形成する対封止材接着性層を高分子基材上に形成することが好ましい。
EVA樹脂と相溶性が高い樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVAなどのオレフィン系樹脂を用いて対封止材接着性層を形成するのが好ましい。オレフィン系樹脂としては、公知の樹脂を用いることができる、他の樹脂が混合されていても良く、他の樹脂としてはポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂やナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの樹脂が例示できる。また、前記対封止材接着性層には、必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、光安定化剤、帯電防止剤、安定剤、酸化防止剤、強化剤、可塑剤、滑剤、充填剤等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加することができる。例えば、熱安定剤、酸化防止剤及び劣化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、硫黄化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
[透明性]
本発明の太陽電池モジュール用表面保護シートは、発電効率の観点から透明性が必要である。発電層の種類、例えば結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体などの種類によって、分光感度の高い波長域に差異はあるが、概ね可視光領域の透過率が高い方が表面保護シートの態様としては好ましい。一方、高エネルギーの紫外線領域の波長に関しては、透過すると高分子基材層などの劣化を引き起こすこと、各種発電層の分光感度が高くないことから、できるだけ遮断することが好ましい。このように太陽電池モジュールの発電性能とモジュール構成部材の信頼性を鑑みると、波長600nmの透過率T1が85%以上かつ波長360nmの透過率T2が5%以下であることが好ましい。なおT1について、その上限は特に限定されないが、現実的に達成可能な値は98%程度と考えられ、またT2について、その下限は特に限定されないが、現実的に達成可能な値は0.0001%程度と考えられる。T1が85%より小さい場合には発電に寄与する可視光領域の光が多く遮られ、発電層に到達しなくなるために、発電効率の低下につながる。一方、T2が5%よりも大きい場合には、高エネルギーの紫外光が高分子基材層や封止材層にまで到達するため、長期に亘って屋外設置された場合には光劣化が引き起こされ、クラック、黄変等の発生による可視光透過率の低下、それに続く発電効率の悪化を生じる可能性がある。
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池モジュールは、前述の太陽電池表面保護シートを有するモジュールである。その好ましい態様は、上記のように得られる太陽電池表面保護シートを最表層に配し、太陽電池表面保護シート中の高分子基材のうちA層およびB層を形成しない側の面を発電層や電極層を内包する封止材層に接するように配し、最裏面側には裏面封止シートを貼り合わせた太陽電池モジュールである。
(1)耐候性試験
岩崎電気社製アイスーパーUVテスターSUV−W151を用いて、60℃×50%RH雰囲気にて紫外線強度100mW/cm2で240時間の紫外線照射を行い、照射前後の特性評価を行った。評価した特性は、色調、全光線透過率及び分光透過率である。照射前(初期状態)、240時間後の評価のため、各5cm×5cmのサンプルを試験に供した。
エスペック社製プレッシャクッカーTPS−211を用いて、120℃、100%RHの環境下で48時間の湿熱処理を施した。その後、色調、全光線透過率及び分光透過率について評価を実施した。湿熱処理前(初期状態、耐紫外線性試験と共有のデータを使用)、および48時間後の評価のため、各5cm×5cmのサンプルを試験に供した。
[特性の評価方法]
(1)A層、B層の厚み
断面観察用サンプルをマイクロサンプリングシステム(日立製FB−2000A)を使用してFIB法により(具体的には「高分子表面加工学」(岩森暁著)p.118〜119に記載の方法に基づいて)作製した。透過型電子顕微鏡(日立製H−9000UHRII)により、加速電圧300kVとして、観察用サンプルの断面を観察し、A層、B層の厚みを測定した。
温度40℃、相対湿度90%、測定面積50cm2の条件で、英国、テクノロックス(Technolox)社製の水蒸気透過率測定装置(機種名:DELTAPERM(登録商標) )を使用して測定した。サンプル数は水準当たり2検体とし、測定回数は各検体について5回とし、得られた10点の平均値を水蒸気透過率(g/(m2・24h))とした。
太陽電池表面保護シートの色調変化はJIS K 7105(2006年度版)に基づいて、スガ試験機社製カラーメータSMカラーコンピューターSM−6を使用して、表色系b値を測定し、試験前後のb値の差であるΔb(b値(試験後)−b値(試験前))を求めた。n数は2で評価を実施した。b値が高いほど黄色の度合いが強く、Δb値が大きいほど試験前に比べて黄色に変化していることを意味する。
太陽電池表面保護シートの全光線透過率は、JIS K 7105(2006年度版)に基づいて、日本電色製ヘイズメーターNDH2000を使用してn数2で測定した。
(5)分光透過率
太陽電池表面保護シートの紫外線カット性能は、JIS K 7105(2006年度版)に基づいて、島津製作所社製紫外可視近赤外分光光度計UV−3150を使用し分光スペクトルの測定を実施した。紫外線領域の光線遮断性能について、特に360nmの波長の透過率を測定、可視光領域の光線透過率について、特に600nmの波長の透過率を測定した。
(6)外観観察
太陽電池表面保護シートの目視観察を行い、次の判定を行った。
“×”・・・外観異常有り(クラック、裂け、白濁、層間剥離)
[実施例・比較例、各水準の説明]
<B層形成用コーティング剤および接着層形成用コーティング剤1〜8>
B層形成用コーティング剤および接着層形成用コーティング剤1〜8の調製は、下記の材料、希釈溶剤を表1に示す配合で混合し、室温下で5分間攪拌することで行った。
繰り返し構造中に紫外線吸収成分及び光安定化成分を含むアクリルポリオール系樹脂を含む株式会社日本触媒製ハルスハイブリットポリマー(登録商標)BK1(固形分濃度:40質量%)。
繰り返し構造中に紫外線吸収成分及び光安定化成分を含むアクリルポリオール系樹脂を含む株式会社日本触媒製ハルスハイブリットポリマー(登録商標)G−13(固形分濃度:40質量%)。
メチルメタクリル酸および2−ヒドロキシエチルメタクリレートを原料とするアクリルポリマーを含有するコーティング剤(固形分濃度:40質量%)。
光安定化剤が配合された接着性を有する皮膜を形成可能なDIC株式会社製コート剤TSB−104−1(固形分濃度:50質量%)。
紫外線吸収剤及び光安定化剤が配合された接着性を有する皮膜を形成可能なDIC株式会社製コート剤TSB−104−1A(固形分濃度:50質量%)。
DIC株式会社製ウレタン系ドライラミネート剤 ディックドライ(登録商標)LX−903(固形分濃度:50質量%)。
ヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂を主成分とする株式会社日本触媒製ポリイソシアネート硬化剤HN−100(固形分濃度:100質量%)。
脂肪族系ポリイソシアネートを主成分とするDIC株式会社製ポリイソシアネート硬化剤TSH−900(固形分濃度90質量%)。
芳香族系ポリイソシアネートを主成分とするDIC株式会社製ポリイソシアネート硬化剤KL−75(固形分濃度75質量%)。
高分子基材として厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製“ルミラー(登録商標)”U48)を使用した。
(実施例2)
実施例1に記載の方法により作製した太陽電池表面保護シート1のB層上に、コーティング剤5をワイヤーバー(番手:12)で塗布し、80℃で45秒間乾燥した。次にコーティング剤5を用いて形成した塗膜上に卓上ラミネーターを用いて、東レフィルム加工株式会社製ETFEフィルム“トヨフロン”(50μm、両面処理品)を貼り合わせた。このようにして得られたフィルムに対して40℃、3日間のエージング処理を行い太陽電池表面保護シート2を得た。
(実施例3)
コーティング剤1の代わりにコーティング剤2を用いた以外は実施例2と同様にして太陽電池表面保護シート3を得た。
(実施例4)
実施例1に記載の方法で高分子基材上にアンダーコート層、A層をこの順に形成したフィルムを得た。次にコーティング剤6をワイヤーバー(番手:12)で塗布し、80℃で45秒間乾燥した。次にコーティング剤6を用いて形成した塗膜上に卓上ラミネーターを用いて、東レフィルム加工株式会社製ETFEフィルム“トヨフロン”(50μm、両面処理品)を貼り合わせた。このようにして得られたフィルムに対して40℃、3日間のエージング処理を行い、太陽電池表面保護シート4を得た。
(実施例5)
高分子基材上にアンダーコート層を形成しない以外は実施例4と同様にして太陽電池表面保護シート5を得た。
(比較例1)
アンダーコート層上にA層を形成しない以外は実施例1と同様にして太陽電池表面保護シート6を得た。
(比較例2)
コーティング剤1の代わりにコーティング剤3を用いた以外は実施例1と同様にして太陽電池表面保護シート7を得た。
(比較例3)
コーティング剤1の代わりにコーティング剤3を用いた以外は実施例2と同様にして太陽電池表面保護シート8を得た。
(比較例4)
スパッタ法によるA層形成時にフィルム搬送速度によりA層の厚みを5nmとした以外は実施例2と同様にして太陽電池表面保護シート9を得た。
(比較例5)
コーティング剤1の代わりにコーティング剤4を用いた以外は実施例1と同様にして太陽電池モジュール用表面封止シート10を得た。
(比較例6)
コーティング剤6の代わりにコーティング剤7を用いた以外は実施例4と同様にして太陽電池表面保護シート11を得た。
(比較例7)
コーティング剤6の代わりにコーティング剤8を用いた以外は実施例4と同様にして太陽電池表面保護シート12を得た。
比較例1ではスパッタ法によるA層の形成を行っていない。また、比較例4ではスパッタ法によるA層の形成を行っているが、その厚みは5nmと薄いものである。そのため、太陽電池表面保護シート6、9の水蒸気透過率は実施例1〜5の方法で得られた太陽電池表面保護シート1〜5と比べて大きく、表面保護シートとして用いた場合、水蒸気浸入に対するバリア性に劣る。そのため、モジュール内部への水蒸気浸入量が多くなり、発電層や電極層の劣化が引き起こされる。
比較例2、3で得られた太陽電池表面保護シート7、8は、いずれもB層に紫外線吸収剤を含まない。そのため、実施例1〜5の方法で得られた太陽電池モジュール用表面封止シート1〜5と比べて波長360nmの分光透過率が高く、高分子基材層に到達する紫外線量は格段に大きい。そのため、耐紫外線性試験における色調変化、すなわち高分子基材層の変色が大きくなり、可視光透過率(波長600nmの分光透過率を代表して示した)や全光線透過率の低下も顕著である。そのため、太陽電池表面保護シート7、8を用いたモジュールが長期に亘って屋外で紫外線に曝された場合には、表面保護シートに紫外線劣化、変色、透明性の低下が生じ、発電効率の低下が引き起こされると推定できる。
比較例5、7で得られた太陽電池表面保護シート10、12は、いずれもB層に紫外線吸収剤を含むが、ポリイソシアネートを含まない。そのため、A層との密着力に乏しく、耐湿熱性試験においてシート層内に剥離を生じる、剥離を生じた結果、層内に空気層を生じ、屈折率差などの要因で剥離箇所の外観は白濁する。白濁箇所は光線透過率が低下するために太陽電池モジュールの発電効率の低下が引き起こされると推定できる。
比較例6で得られた太陽電池表面保護シート11は、B層を形成せずに、耐紫外線性および紫外線遮断性を持たないドライラミネート接着剤(コーティング液7)を用いてC層が貼り合わされている。そのため、実施例1〜5の方法で得られた太陽電池表面保護シート1〜5と比べて波長360nmの分光透過率が高く、高分子基材層に到達する紫外線量は格段に大きい。また、接着剤層自体も紫外線に弱い。そのため、耐紫外線性試験における色調変化、すなわち高分子基材層の変色が大きくなり、可視光透過率(波長600nmの分光透過率を代表して示した)や全光線透過率の低下も顕著である。そのため、太陽電池表面保護シート11を用いたモジュールが長期に亘って屋外で紫外線に曝された場合には、表面封止シートに紫外線劣化、変色、透明性の低下が生じ、発電効率の低下が引き起こされると推定できる。
2 巻き取り式スパッタリング装置
Claims (9)
- 高分子基材からなる層(以下、高分子基材層という)、A層、B層を有する太陽電池表面保護シート。
A層:厚みが10〜1,000nmであり、含ケイ素化合物を含み、ICP発光分光分析法により測定される亜鉛(Zn)原子の濃度が20〜40atom%、ケイ素(Si)原子の濃度が5〜20atom%、アルミニウム(Al)原子の濃度が0.5〜5atom%、酸素(O)原子の濃度が35〜70atom%である層。
B層:以下のB1層又はB2層である。
B1層:ポリイソシアネートによって架橋された樹脂、及び、紫外線吸収剤を含む層。
B2層:ポリイソシアネートによって架橋され、さらに紫外線吸収成分を有する樹脂を含む層。 - 前記ポリイソシアネートが、脂肪族系ポリイソシアネート及び/又は脂環族系ポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池表面保護シート。
- 少なくとも一方の表面が、繰り返し構造中にフッ素原子を有するフッ素系樹脂を含む層(以下、C層という)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池表面保護シート。
- 高分子基材層、A層、B層、C層がこの順に積層されたことを特徴とする、請求項3に記載の太陽電池表面保護シート。
- 前記A層について、含ケイ素化合物がケイ素酸化物であり、さらに亜鉛化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池表面保護シート。
- 前記A層について、ケイ素酸化物がSiOx(x=1〜2)であり、亜鉛化合物が酸化亜鉛であり、さらに酸化アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項5に記載の太陽電池表面保護シート。
- 波長600nmの透過率T1が85%以上かつ波長360nmの透過率T2が5%以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池表面保護シート。
- 前記高分子基材層を形成する樹脂が、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の太陽電池表面保護シート。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の太陽電池表面保護シートを有する太陽電池モジュール。
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