JPWO2017130617A1 - ガスバリアフィルム - Google Patents

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Abstract

ガスバリア性および透明性が高く、かつ生産工程や加工工程におけるガスバリア性の悪化が抑制されたガスバリアフィルムを提供する。基材フィルムの一方の面にガスバリア層を有し、基材フィルムの他方の面にバックコート層を有するガスバリアフィルムであって、ヘイズ値が0.8%未満、水蒸気透過率が3.0×10−3g/m・day未満であり、かつ前記バックコート層側の面とガスバリア層側の面との動摩擦係数が0.7以下であることを特徴とする、ガスバリアフィルムである。

Description

本発明は、ガスバリアフィルムに関し、詳細には高いガスバリア性と高い透明性が必要とされる有機薄膜太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイス、電子ペーパーなどの電子部品に好適なガスバリアフィルムに関する。
電子部品に使用されるガスバリアフィルムは、透明性が高く、かつガスバリア性が良好であることが要求されている。
ガスバリアフィルムとしては、基材フィルムに、有機ケイ素化合物がプラズマCVD法により積層されたもの、あるいは二酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物がスパッタ法により積層されたものが、知られている。
一方、ガスバリアフィルムの加工時の巻取適性を向上させるために、ガスバリアフィルムの一方の面と他方の面との静摩擦係数を調整することが提案されている(特許文献1)
国際公開第2013/147090号
上記特許文献1は、他方の面(ガスバリア層とは反対面)の算術平均粗さRaを比較的大きくすること、例えばRaを15nm以上とすることにより、静摩擦係数を制御することを開示する。
しかし、他方の面(ガスバリア層とは反対面)のRaを大きくすると、ガスバリアフィルムのヘイズ値が高くなり、透明性が低下することがある。また、他方の面(ガスバリア層とは反対面)のRaを大きくすると、生産工程や加工工程でロール状巻取られた時に、ガスバリア層と他方の面とが大きい圧力で接触することにより、ガスバリア層にクラックや傷が入り、ガスバリア性が悪化することがある。また、特許文献1には、水蒸気透過率が3.0×10−3g/m・day未満であるガスバリアフィルムは開示されていない。
従って、本発明の目的は、ガスバリア性および透明性が高く、かつ生産工程や加工工程におけるガスバリア性の悪化が抑制されたガスバリアフィルムを提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって達成される。
[1]基材フィルムの一方の面にガスバリア層を有し、基材フィルムの他方の面にバックコート層を有するガスバリアフィルムであって、ヘイズ値が0.8%未満、水蒸気透過率が3.0×10−3g/m・day未満であり、かつ前記バックコート層側の面とガスバリア層側の面との動摩擦係数が0.7以下であることを特徴とする、ガスバリアフィルム。
[2]前記ガスバリア層が、亜鉛化合物を含有する、[1]に記載のガスバリアフィルム。 [3]前記ガスバリア層が、酸化亜鉛−二酸化ケイ素−酸化アルミニウムの共存相からなる層である、[1]または[2]に記載のガスバリアフィルム。
[4]前記ガスバリア層が、ICP発光分光分析法により測定される亜鉛(Zn)原子濃度が20.0〜40.0atom%、ケイ素(Si)原子濃度が5.0〜20.0atom%、アルミニウム(Al)原子濃度が0.5〜5.0atom%、酸素(O)原子濃度が35.0〜70.0atom%である、[1]〜[3]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[5]水蒸気透過率が1.0×10−3g/m・day未満である、[1]〜[4]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[6]前記バックコート層の算術平均粗さRaが、1.5nm以上15nm未満である、[1]〜[5]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[7]前記バックコート層が、平均粒子径(r:μm)がバックコート層の膜厚(d:μm)より小さい粒子を含有し、バックコート層表面に前記粒子による突起を有する、[1]〜[6]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[8]前記バックコート層の膜厚(d:μm)と粒子の平均粒子径(r:μm)との比率(r/d)が0.8以下である、[7]に記載のガスバリアフィルム。
[9]前記バックコート層の鉛筆硬度がF以上である、[1]〜[8]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[10]前記基材フィルムとガスバリア層との間にアンダーコート層を有する、[1]〜[9]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[11]前記アンダーコート層の算術平均粗さRaが1.5nm未満である、[10]に記載のガスバリアフィルム。
[12]前記ガスバリア層の上に、オーバーコート層を有する、[1]〜[11]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[13]基材フィルムとバックコート層との間に、屈折率が1.55〜1.61である易接着層を有する、[1]〜[12]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[14]前記基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたは環状ポリオレフィンフィルムである、[1]〜[13]のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
[15][1]〜[14]のいずれかに記載のガスバリアフィルムを備えた、有機薄膜太陽電池。
[16][1]〜[14]のいずれかに記載のガスバリアフィルムを用いた有機ELデバイス。
[17][1]〜[14]のいずれかに記載のガスバリアフィルムを用いた電子ペーパー
本発明によれば、ガスバリア性および透明性が高く、かつ生産工程や加工工程におけるガスバリア性の悪化が抑制されたガスバリアフィルムを提供することができる。
本発明の好ましい態様によれば、耐擦傷性が良好なガスバリアフィルムを提供することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、耐屈曲性に優れたガスバリアフィルムを提供することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、基材フィルムのガスバリア層とは反対面のバックコート層と基材フィルムとの密着性が良好でかつ反射色ムラが抑制されたガスバリアフィルムを提供することができる。
また、本発明のガスバリアフィルムは、高いガスバリア性を必要とされる有機薄膜太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイス、電子ペーパーなどの電子部品に好適である。
本発明のガスバリアフィルムの一例を示した模式断面図である。 本発明のガスバリアフィルムの一例を示した模式断面図である。 本発明のガスバリアフィルムの一例を示した模式断面図である。 本発明のガスバリアフィルムの製造に用いられる真空成膜装置の一例を示す概略側面図である。
以下本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[ガスバリアフィルム]
図1は、本発明のガスバリアフィルムの断面の一例を示す模式図である。本発明のガスバリアフィルムは、基材フィルム1の一方の面にガスバリア層2を有し、基材フィルム1の他方の面にバックコート層3を有する。
本発明のガスバリアフィルムは、図2に示すように、基材フィルム1とガスバリア層2との間にアンダーコート層4を有していることが好ましい。
さらに、本発明のガスバリアフィルムは、図3に示すように、ガスバリア層2の上にオーバーコート層5をさらに有することが好ましい。
本発明のガスバリアフィルムは、有機薄膜太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイス、電子ペーパーなどの電子部品のガスバリアフィルムとして好適である。上記した電子部品に適用されるガスバリアフィルムは高い透明性が要求されることから、ガスバリアフィルムのヘイズ値は小さいことが好ましい。上記の観点から、本発明のガスバリアフィルムは、ヘイズ値が0.8%未満である。さらに、ヘイズ値は0.6%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましく、0.4%未満であることが特に好ましい。下限のヘイズ値は小さいほど好ましく、従って特に限定されない。ヘイズが0.8%以上になると透明性が悪くなり電子部品の材料のガスバリアフィルムとして使用することが難しくなることがある。
本発明のガスバリアフィルムは、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
本発明のガスバリアフィルムは、水蒸気透過率が3.0×10−3g/m・day未満である。さらに、水蒸気透過率が1.0×10−3g/m・day未満であることが好ましく、特に5.0×10−4g/m・day未満であることが好ましい。水蒸気透過率が3.0×10−3g/m・day以上であると、素子を劣化させたり、素子の発電効率を悪化させてしまうため電子部品の材料のガスバリアフィルムとして使用することが難しくなる。
本発明のガスバリアフィルムは、バックコート層側の面とガスバリア層側の面との動摩擦係数が0.7以下である。これによって、ガスバリアフィルムの生産工程や加工工程において、バックコート層側の面とガスバリア層側の面との接触による滑り性不良やくっつき(ブロッキング)が抑制される。また、上記のように動摩擦係数を0.7以下とすることにより、巻き締まりや巻きズレ、搬送工程での傷、エア噛みによるシワ、帯電による異物混入などに起因するガスバリア層への傷やクラックの発生を抑制し、ガスバリア性の悪化を抑制することができる。上記動摩擦係数は、さらに0.6以下がより好ましく、0.5以下が特に好ましい。動摩擦係数の下限は特に限定されないが、0.01程度である。
[ガスバリア層]
本発明にかかるガスバリア層は、材料、組成あるいは構成は特に限定されず、ガスバリアフィルムの水蒸気透過率が3.0×10−3g/m・day未満となるような、材料、組成あるいは構成とすることができる。
透明性が高く、ガスバリア性に優れ、さらに後述する耐屈曲性に優れることから、ガスバリア層を形成する材料としては、亜鉛化合物が好ましく用いられる。亜鉛化合物としては酸化亜鉛が好ましい。さらに、亜鉛化合物にケイ素、アルミニウム、銅、錫、二酸化ケイ素、および酸化アルミニウムが混合されていることが好ましい。
本発明にかかるガスバリア層は、酸化亜鉛、二酸化ケイ素および酸化アルミニウムの混合物であることが好ましい。これによって、耐屈曲性が向上する。耐屈曲性が良好となる理由は、酸化アルミニウムを共存させることによって、酸化亜鉛と二酸化ケイ素を共存させる場合に比べて、より結晶成長を抑制することができるため、クラックの生成に起因するガスバリア性低下が抑制できると推測される。
酸化亜鉛−二酸化ケイ素−酸化アルミニウム共存相からなるガスバリア層の組成は、後述するようにICP発光分光分析法により測定することができる。また、本明細書において、共存相からなる層とは、該層の中に、酸化亜鉛、二酸化ケイ素および酸化アルミニウムが混在することを意味する。
ガスバリア層の組成は、ICP発光分光分析法により測定される亜鉛(Zn)原子濃度は20.0〜40.0atom%、ケイ素(Si)原子濃度は5.0〜20.0atom%、アルミニウム(Al)原子濃度は0.5〜5.0atom%、酸素(O)原子濃度は35.0〜70.0atom%であることが好ましい。亜鉛(Zn)原子濃度が40.0atom%より大きくなる、またはケイ素(Si)原子濃度が5.0atom%より小さくなると、酸化亜鉛の結晶成長を抑制する酸化物が不足するため、空隙部分や欠陥部分が増加し、十分なガスバリア性が得られない場合がある。亜鉛(Zn)原子濃度が20.0atom%より小さくなる、またはケイ素(Si)原子濃度が20.0atom%より大きくなると、層内部の二酸化ケイ素の非晶質成分が増加して層の柔軟性が低下する場合がある。また、アルミニウム(Al)原子濃度が5.0atom%より大きくなると、酸化亜鉛と二酸化ケイ素の親和性が過剰に高くなるため膜の鉛筆硬度が上昇し、熱や外部からの応力に対してクラックが生じやすくなる場合がある。アルミニウム原子濃度が0.5atom%より小さくなると、酸化亜鉛と二酸化ケイ素の親和性が不十分となり、層を形成する粒子間の結合力が向上できないため、柔軟性が低下する場合がある。また、酸素(O)原子濃度が70.0atom%より大きくなると、層内の欠陥量が増加するため、所定のガスバリア性が得られない場合がある。酸素(O)原子濃度が35atom%より小さくなると、亜鉛、ケイ素、アルミニウムの酸化状態が不十分となり、結晶成長が抑制できず粒子径が大きくなるため、ガスバリア性が悪化する場合がある。かかる観点から、亜鉛(Zn)原子濃度が25.0〜35.0atom%、ケイ素(Si)原子濃度が10.0〜15.0atom%、アルミニウム(Al)原子濃度が1.0〜3.0atom%、酸素原子濃度が50.0〜64.0atom%であることがより好ましい。
上記した、酸化亜鉛−二酸化ケイ素−酸化アルミニウム共存相からなるガスバリア層は、他の金属、例えば、チタン、錫、銅、インジウム、ガリウム、ジルコニウム、二オブ、モリブデン、タンタルなどの金属、あるいはこれらの金属の酸化物、窒化物、硫化物を、ガスバリア性、耐屈曲性および透明性を低下させない範囲で含むことができる。
また、酸化亜鉛−二酸化ケイ素−酸化アルミニウム共存相からなるガスバリア層は、他の酸化物、例えば、ケイ素と酸素の組成比率がずれたSiO〜SiO、または亜鉛、ケイ素およびアルミニウムの2種以上を同時に含む複合酸化物を、ガスバリア性、耐屈曲性および透明性を低下させない範囲で含むことができる。
ガスバリア層を形成する方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法(CVD法ともいう)等によって形成することができる。
ガスバリア層の厚みは、0.05μm以上が好ましい。ガスバリア層の厚みが0.05μmより薄くなると、ガスバリア性が十分に確保できにくい箇所が発生し、ガスバリアフィルムの面内でガスバリア性がばらつくなどの問題が生じる場合がある。また、本発明にかかるガスバリア層の厚みは、0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましい。ガスバリア層の厚みが0.5μmより厚くなると、無機物層の形成後に層内に残留する応力が大きくなるため、曲げや外部からの衝撃によってガスバリア層にクラックが発生しやすくなり、使用に伴いガスバリア性が低下する場合がある。ガスバリア性、フレキシブル性を確保する観点からガスバリア層の厚みは0.1μm〜0.2μmの範囲が最も好ましい。
[アンダーコート層]
本発明のガスバリアフィルムは、基材フィルムとガスバリア層との間にアンダーコート層を有することが好ましい。
ガスバリア層を形成する条件としては、基材フィルムの側から厚み0.01μm以下の初期成長過程において、均質かつ緻密で密度が高く形成されるようにするために、ガスバリア層を形成する面をあらかじめ無機物層を形成する粒子が表面拡散しやすい平滑な面に形成したり、ガスバリア層を形成する際にガスバリア層を形成する粒子を活性化させるエネルギーを高く設定したりすることが好ましい。具体的には、基材フィルムの表面を平滑な面にする方法として、基材フィルム上にアンダーコート層を形成する方法が好ましい。
上記観点から、アンダーコート層の表面の算術平均粗さRaは、1.5nm未満であることが好ましく、1.3nm未満であることがより好ましく、1.0nm未満であることが特に好ましい。下限の算術平均粗さRaは、特に限定されないが、現実的な下限は0.1nm程度である。
アンダーコート層は、樹脂成分として熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂を含むことが好ましく、更に、紫外線や電子線等の活性エネルギー線によって硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂を含むことが好ましい。特に、活性エネルギー線硬化性のアクリル樹脂が好ましい。
活性エネルギー線硬化性のアクリル樹脂としては、後述のバックコート層と同様のものを用いることができる。
アンダーコート層は、その表面の算術平均粗さRaを1.5nm未満とするために、平均粒子径がアンダーコート層より大きい粒子を含有しないことが好ましい。
一方、アンダーコート層には、アンダーコート層の厚みより十分に平均粒子径が小さい粒子、例えば、平均粒子径がアンダーコート層の厚みの1/2以下、さらには1/5以下、特に1/10以下の粒子を含有することができる。これらの粒子の含有量は、アンダーコート層の固形分総量100質量%に対して0.1〜10質量%程度が適当であり、0.5〜5質量%の範囲が好ましい。
アンダーコート層は、ガスバリアフィルムの耐屈曲性を向上させるという観点から、伸長クラック伸度が7%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。上限の伸長クラック伸度は200%以下が適当であり、100%以下が好ましい。
伸長クラック伸度とは、基材フィルム上にアンダーコート層が積層された状態のフィルムの片側を固定して引張速度50mm/minでフィルムを引っ張ったときに、アンダーコート層にクラックが発生するときの伸び率である。
上記観点から、アンダーコート層は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーもしくはウレタン(メタ)アクリレートモノマー)を含有することが好ましい。特にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーもしくはウレタン(メタ)アクリレートモノマーとしては、具体的には、共栄化学社製のAT−600、UA−101l、UA−306H、UA−306T、UA−306l、UF−8001、UF−8003等、日本合成化学社製のUV7550B、UV−7600B、UV−1700B、UV−6300B、UV−7605B、UV−7640B、UV−7650B等、新中村化学社製のU−4HA、U−6HA、UA−100H、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A、U−2PPA、UA−NDP等、ダイセルユーシービー社製のEbecryl−270、Ebecryl−284、Ebecryl−264、Ebecryl−9260、Ebecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等、根上工業社製のUN−3220HA、UN−3220HB、UN−3220HC、UN−3220HS等、三菱レイヨン社製のRQシリーズ、荒川化学工業社製のビームセットシリーズ等が挙げられる。
アンダーコート層の厚みは、0.5μm以上、10μm以下が好ましい。アンダーコート層の厚みが0.5μmより薄くなると、基材フィルムの凹凸の影響を受けて、アンダーコート層表面の平滑性が低下することがあり、その結果、ガスバリア層の均一性が低下し、ガスバリア性が低下したり、耐屈曲性が低下する場合がある。
アンダーコート層の厚みが10μmより厚くなると、アンダーコート層の層内に残留する応力が大きくなることによって基材フィルムが反り、ガスバリア層にクラックが発生しガスバリア性が低下する場合がある。従って、アンダーコート層の厚みは0.5μm以上、10μm以下が好ましく、フレキシブル性を確保する観点から0.7μm以上、5μm以下がより好ましく、特に1μm以上、2μm以下が好ましい。
アンダーコート層は、ウェットコーティングされることが好ましく、かかるウェットコーティングに用いられる塗布方法としては、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スピンコート法、エクストルージョンコート法等が挙げられる。
[オーバーコート層]
本発明のガスバリアフィルムは、ガスバリア層の上にオーバーコート層を設けることができる。オーバーコート層はガスバリア層を保護し、外部からの水の浸入をさらに低減し、とりわけ高温、高湿環境においても、さらにガスバリア性を維持する役目を有する。
<ケイ素化合物を含むオーバーコート層>
ガスバリア性の向上を目的としたオーバーコート層として、ケイ素化合物を主成分とするオーバーコート層について詳細に説明する。本発明におけるオーバーコート層のケイ素化合物として、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素炭化物、ケイ素酸窒化物または、それらの混合物を含んでいてもよい。特に、ケイ素化合物が、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素および酸窒化ケイ素からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。
ケイ素化合物の含有率は50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。なお、本発明におけるケイ素化合物は、X線光電子分光法、ICP発光分光分析、ラザフォード後方散乱法等により成分を特定された各元素の組成比が整数で表される組成式を有する化合物として扱う。たとえば、二酸化ケイ素(SiO)は、生成時の条件によって、ケイ素と酸素の組成比率から若干ずれたもの(SiO〜SiO)が生成することがあるが、そのような場合でも、SiOとして扱い上記の質量含有率を算出するものとする。
本発明のガスバリアフィルムにおいてケイ素化合物を含むオーバーコート層を適用することによりガスバリア性が良好となる理由は、オーバーコート層がガスバリア層の亜鉛原子より原子半径の小さいケイ素原子を含むことで、ガスバリア層表面に存在する数nm以下サイズの欠陥原子欠陥に効率良くケイ素原子を充填できるため、ガスバリア性は向上すると考えられる。
オーバーコート層がケイ素酸化物を含む層である場合において、その組成はX線光電子分光法により測定されるケイ素(Si)原子濃度が25〜45atom%、酸素(O)原子濃度が55〜75atom%であることが好ましい。ケイ素(Si)原子濃度が25atom%より小さくまたは酸素原子濃度が75atom%より大きくなると、ケイ素原子に結合する酸素原子が過剰に多くなるため、層内部に空隙や欠陥が増加し、ガスバリア性は低下する場合がある。また、ケイ素(Si)原子濃度が45atom%より大きくまたは酸素(O)原子濃度が55atom%より小さくなると、膜が過剰に緻密になるため、大きなカールが発生したり柔軟性が低下したりすることにより、熱や外部からの応力でクラックが生じやすくなり、ガスバリア性を低下させる場合がある。かかる観点から、ケイ素(Si)原子濃度が28〜40atom%、酸素(O)原子濃度が60〜72atom%であることがより好ましく、さらにはケイ素(Si)原子濃度が30〜35atom%、酸素(O)原子濃度が65〜70atom%であることがより好ましい。
オーバーコート層に含まれる成分はケイ素(Si)原子濃度および酸素(O)原子濃度が上記組成の範囲であれば特に限定されず、例えば、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)等から形成された金属酸化物を含んでも構わない。
オーバーコート層の厚みは、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましい。層の厚みが0.01μmより薄くなると、十分にガスバリア性が確保できない箇所が発生しガスバリア性がばらつく場合がある。また、オーバーコート層の厚み上限は、0.5μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。オーバーコート層の厚みが0.5μmより厚くなると、層内に残留する応力が大きくなるため、曲げや外部からの衝撃によってオーバーコート層にクラックが発生しやすくなり、使用に伴いガスバリア性が低下する場合がある。
オーバーコート層を形成する方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の成膜方法によって形成することができるが、ガスバリア層の表面に存在するクラックやピンホール、原子欠陥等に効率良くオーバーコート層に含まれる原子を充填するために、ガスバリア層表面を50℃以上、150℃以下で制御した状態において、ガスバリア層表面でオーバーコート層を構成する原子が活性化するように高いエネルギーでガスバリア層表面を処理しながらオーバーコート層を形成する方法が好ましい。なお、オーバーコート層を形成するガスバリア層の表面の温度が150℃より高くなると、オーバーコート層の形成粒子が活性化され、ケイ素と酸素の結合が強固になるため、ハンドリング時の曲げなどよってクラックが発生しガスバリア性が低下する場合がある。以上の理由から、本発明に使用するケイ素化合物を含むオーバーコート層の形成に適用する方法は、ガスバリア層表面の欠陥に原子を効率よく充填させ、さらにガスバリア層表面を大面積かつ均一に処理できる誘導結合型CVD電極を用いたプラズマCVD法がより好ましい。
CVD法に使用するケイ素系有機化合物とは、分子内部にケイ素を含有する化合物のことであり、例えば、シラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、エチルシラン、ジエチルシラン、トリエチルシラン、テトラエチルシラン、プロポキシシラン、ジプロポキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジメチルジシロキサン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ウンデカメチルシクロヘキサシロキサン、ジメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、デカメチルシクロペンタシラザン、ウンデカメチルシクロヘキサシラザンなどが挙げられる。中でも取り扱い上の観点からヘキサメチルジシロキサン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンが好ましい。
<樹脂組成物を含むオーバーコート層>
外部からの水の浸入をさらに低減し、とりわけ高温、高湿環境においてもガスバリア性を維持することが可能なオーバーコート層として、樹脂組成物を主成分とするオーバーコート層について詳細を説明する。オーバーコート層を形成する手段としては、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。
本発明におけるオーバーコート層は、ガスバリア性の観点から架橋構造を形成していることが好ましい。かかる場合に重合反応に寄与する炭素−炭素二重結合基としては、例えば、イソプロペニル基、イソペンテニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アリリデン基、アリリジン基、ビニルエーテル基や、炭素−炭素二重結合基の炭素にフッ素や塩素等のハロゲン元素が結合したもの(例えば、フッ化ビニル基、フッ化ビニリデン基、塩化ビニル基、塩化ビニリデン基等)や、炭素−炭素二重結合基の炭素にフェニル基やナフチル基等の芳香環を有する置換基が結合したもの(例えばスチリル基等)や、ブタジエニル基(例えば、CH=C(R1)−C(R2)=CH−、CH=C(R1)−C(=CH)−(R1、R2はHまたはCH))のように共役ポリエン構造を有する基、等が挙げられる。これらから要求する特性や生産性等を考慮して、1種または2種以上混合して使用すればよい。
本発明のガスバリアフィルムにオーバーコート層を適用する場合にオーバーコート層に含まれる樹脂成分としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられ、例えば、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ナイロンやベンゾグアナミン等のポリアミド系樹脂、ABS樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン等の塩素元素(Cl元素)を含有する樹脂、フッ素元素(F元素)を含有する樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系樹脂、等が挙げられる。
本発明のガスバリアフィルムにオーバーコート層を適用する場合にオーバーコート層に含め得る各種添加剤としては、例えば、有機や無機の微粒子、架橋剤、難燃剤、難燃助剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、レベリング剤、滑り賦活剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、核剤、染料、充填剤、分散剤およびカップリング剤などが挙げられる。
かかる樹脂組成物を含むオーバーコート層を形成するための材料として、大日精化工業(株)、(株)MORESCO(“モレスコ(登録商標)”モイスチャーカットシリーズ)、長瀬産業(株)、ナガセケムテックス(株)等の各種メーカーより市販されているものを用いることができる。
本発明のガスバリアフィルムにオーバーコート層を適用する場合、オーバーコート層の厚みは、0.5μm以上が好ましい。オーバーコート層の厚みが0.5μmより薄くなると、高温高湿環境において外部からの水の浸入に対する遮断性が不足し、高温高湿環境における使用時にオーバーコート層とガスバリア層との密着性が経時的に低下する場合がある。
[基材フィルム]
基材フィルムとしては、熱可塑性樹脂フィルムが好ましい。基材フィルムは、単層フィルム、あるいは、2層以上の、例えば、共押し出し法で製膜したフィルムが好ましく例示される。また、一軸方向あるいは二軸方向に延伸されたフィルム等を使用することができる。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、環状ポリオレフィンもしくはその共重合体、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フッ素樹脂、アイオノマーおよびポリアクリロニトリルからなる群から選択された少なくとも1種である熱可塑性樹脂からなるフィルムを使用することができる。上記した熱可塑性樹脂フィルムの中でも、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性、耐薬品性などに優れていることから、ポリエステルフィルムおよび環状ポリオレフィンフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
環状ポリオレフィンフィルムは、環状ポリオレフィン樹脂(COP)あるいは環状ポリオレフィン共重合樹脂(COC)を主成分とする樹脂フィルムが例示される。ここで、主成分とするとは、樹脂フィルムを構成する樹脂成分のうち、COPあるいはCOCの構成比率が50質量%以上であることを意味するものであり、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。
環状ポリオレフィンフィルムは、低リタゼーション(複屈折率が小さい)で、有機ELデバイス等に使用した際、色の視野角依存性が小さいという利点を備えている。
環状ポリオレフィン樹脂(COP)とは、「主鎖に環状オレフィンを含有した繰り返し単位」のみを重合させた樹脂を意味する。環状ポリオレフィン共重合樹脂(COC)とは、少なくとも「主鎖に環状オレフィンを含有した繰り返し単位」と「主鎖に環状オレフィンを含有しないオレフィンからなる繰り返し単位」を共重合させた樹脂を意味する。
COP、COCを構成する環状オレフィンとしては、例えば、
シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどの単環式オレフィン、
ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕トリデカ−2,4,6,11−テトラエンなどの多環式オレフィン、
などが挙げられる。これらの環状オレフィンは、それぞれ単独であるいは2種以上組合せて用いることができる。
環状ポリオレフィン共重合樹脂(COC)を構成する環状オレフィン以外の他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。
環状ポリオレフィンフィルムは、市販品として入手することもできる。市販品としては、例えば、日本ゼオン(株)製の「ゼオネックス」、“ゼオノア(登録商標)”、積水化学工業(株)の「エッシーナ」、JSR(株)の“アートン(登録商標)”、日立化成(株)の「オプトレッツ」、三井化学(株)の“アペル(登録商標)”などがある。 基材フィルムの厚みは特に限定されないが、柔軟性を確保する観点から500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。引張りや衝撃に対する強度を確保する観点から5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。また、ガスバリアフィルムの加工やハンドリングの容易性から50μm〜200μmがさらに好ましい。
基材フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合、ガスバリア層、アンダーコート層あるいはバックコート層と、ポリエチレンテレフタレートフィルムとの密着性を向上させるために、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面もしくは両面に易接着層が設けられていることが好ましい。
易接着層は、樹脂として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびウレタン樹脂からなる群の中の少なくとも一種の樹脂を含有することが好ましい。特に、少なくともポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
易接着層は、上記樹脂と架橋剤を含有する熱硬化層であることが好ましい。かかる架橋剤としては、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤が挙げられる。
易接着層は、さらに易滑性向上のために、平均粒子径が0.1〜0.4μmの無機粒子を含有することが好ましい。無機微粒子としてはコロイダルシリカが好ましく用いられる。
易接着層の厚みは、0.01μm〜0.3μmの範囲が好ましく、0.02〜250μmの範囲がより好ましく、特に0.03〜0.2μmの範囲が好ましい。
バックコート層が積層される側の易接着層は、バックコート層表面の反射色をニュートラルな無色にするという観点から、易接着層の屈折率が1.55〜1.61であることが好ましく、1.56〜1.60の範囲がより好ましく、1.57〜1.59の範囲が特に好ましい。
屈折率が1.55〜1.61である易接着層は、例えば、樹脂として分子中に縮合芳香族環を有するポリエステル樹脂を用いることによって得られる。上記縮合芳香族環としては、例えば、ナフタレン環、フルオレン環等が挙げられる。
ポリエステル樹脂は、一般的にカルボン酸成分とグリコール成分から重縮合して得られる。上記の分子中にナフタレン環を有するポリエステル樹脂は、カルボン酸成分として、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレン環を有するジカルボン酸を用いることによって合成することができる。分子中にナフタレン環を有するポリエステル樹脂の屈折率は、全カルボン酸成分中のナフタレン環を有するジカルボン酸の比率を調整することによって制御することができる。
上記の分子中にフルオレン環を有するポリエステル樹脂は、カルボン酸成分および/またはグリコール成分として、フルオレン環を有する化合物を用いることによって合成することができる。上記フルオレン環を有する化合物の含有量を調整することによって該ポリエステル樹脂の屈折率を制御することができる。分子中にフルオレン環を有するポリエステル樹脂は、例えば、国際公開第2009/145075号に詳しく記載されており、それを参照して合成することができる。
[バックコート層]
バックコート層は、基材フィルムのガスバリア層とは反対面に設けられる。バックコート層は、樹脂成分として熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂を含むことが好ましく、更に、紫外線や電子線等の活性エネルギー線によって硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂を含むことが好ましい。特に、活性エネルギー線硬化性のアクリル樹脂が好ましい。
活性エネルギー線硬化性のアクリル樹脂としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性官能基を有する、モノマー、オリゴマー、プレポリマーを適宜混合した組成物を用いることができる。
モノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ(メタ)アクリレート等の単官能アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)トリアクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、トリメチロールプロパン安息香酸エステル等の多官能アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネート等のウレタンアクリレート等を挙げることができる。
オリゴマー、プレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アルキット(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記した、モノマー、オリゴマー、プレポリマーは、単独もしくは複数混合して使用してもよいが、3官能以上の多官能モノマーを用いることが好ましい。
上記の活性エネルギー線硬化性のアクリル樹脂の含有量は、バックコート層の固形分総量100質量%に対して、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、更に60質量%以上であることが好ましく、特に70質量%以上であることが好ましい。
上記した、モノマー、オリゴマー、プレポリマーの重合を開始させるために、光重合開始剤を含有することが好ましい。かかる光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
上記光重合開始剤の含有量は、バックコート層の固形分総量100質量%に対して0.1〜10質量%の範囲が適当であり、0.5〜8質量%の範囲が好ましい。
バックコート層は、ハードコート層の機能を有することが好ましい。バックコート層がハードコート層の機能を有することにより、ガスバリアフィルムの耐擦傷性が向上する。上記観点から、バックコート層は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度が、F以上であることが好ましく、H以上であることがより好ましい。上限は9H程度である。
バックコート層は、ガスバリア層側の面と接触したときの動摩擦係数が小さいことが好ましい。前述したように、本発明のガスバリアフィルムは、バックコート層側の面とガスバリア層側の面との動摩擦係数が0.7以下である。 上記の動摩擦係数を確保し、かつ高い透明性(ヘイズ値が0.8%未満)を満足させるためには、例えば、バックコート層表面の算術平均粗さRaは、1.5nm以上15nm未満であることが好ましい。バックコート層表面の算術平均粗さRaが1.5nm未満になると、動摩擦係数が高くなり、良好な滑り性が得られなくなることがある。一方、バックコート層表面の算術平均粗さRaが15nm以上になると、ヘイズ値が高くなり、ガスバリアフィルムの透明性が低下することがある。
また、バックコート層の算術平均粗さRaが15nm以上となると、ガスバリアフィルムの生産工程や加工工程でロール状巻取られた時に、ガスバリア層側の面とバックコート層側の面とが大きい圧力で接触することにより、ガスバリア層にクラックや傷が入り、ガスバリア性が悪化することがある。
バックコート層表面の算術平均粗さRaは、動摩擦係数を小さくするという観点から、1.5nm以上が好ましく、1.8nm以上がより好ましく、特に2.0nm以上が好ましい。一方、ヘイズ値の上昇を抑制するという観点から、バックコート層表面の算術平均粗さRaは、15nm未満が好ましく、10nm未満がより好ましく、さらに8nm未満が好ましく、特に5nm未満が好ましい。
バックコート層表面の算術平均粗さRaを1.5nm以上15nm未満とするには、例えば、バックコート層は、平均粒子径(r:μm)がバックコート層の厚み(d:μm)より小さい粒子を含有することが好ましく、さらに、バックコート層表面に上記粒子による突起が形成されていることが好ましい。このように、バックコート層の厚み(d)より平均粒子径(r)が小さい粒子によって、バックコート層表面に突起を形成することにより、ガスバリアフィルムのヘイズ値の上昇を抑制しながら、滑り性を向上させることができる。
バックコート層表面に粒子による突起が形成されているかどうかは、バックコート層表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することによって、容易に確認することができる。 平均粒子径(r:μm)とバックコート層の厚み(d:μm)との比率(r/d)は、具体的には、0.8以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましく、0.2以下が特に好ましい。下限は、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.03以上が特に好ましい。上記比率(r/d)が0.01未満となると、バックコート層表面に粒子による突起が十分に形成されず、動摩擦係数が高くなり、良好な滑り性が得られなくなることがある。
バックコート層表面に形成される粒子による突起は、その平均高さは、上述の動摩擦係数を0.7以下に制御するという観点から、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が特に好ましい。突起の平均高さの上限は、ヘイズ値の上昇を抑制するという観点および生産工程におけるガスバリア性の悪化を抑制するという観点から、0.3μm以下が好ましく、0.25μm以下がより好ましく、さらに0.2μm以下が好ましく、特に0.1μm以下が好ましい。 本明細書において、突起高さとは突起の頂点からバックコート層表面までの長さを意味する。突起の高さは、バックコート層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することによって確認することができる。 バックコート層表面に形成される粒子による突起の密度は、100μm当たり100個以上であることが好ましく、200個以上であることがより好ましく、300個以上であることが特に好ましい。上限は10000個以下が好ましく、7000個以下がより好ましく、4000個以下が特に好ましい。
ここで、突起は、個々の粒子が独立して個々の突起を形成してもよいし、複数個の粒子がランダムに凝集もしくは集合して突起を形成してもよい。上記した突起の密度(100μm当たりの個数)は、粒子1個によって形成された突起を意味する。
突起の密度は、バックコート層表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することによって、容易に確認することができる。
バックコート層に含有される粒子の平均粒子径(r)の範囲は、バックコート層の厚み(d)との比率(r/d)が0.8以下となる範囲から選択することが好ましく、具体的には0.03〜0.5μmの範囲が好ましく、0.04〜0.4μmの範囲がより好ましく、特に0.05〜0.3μmの範囲が好ましい。バックコート層に含有される粒子の平均粒子径(r)が0.03μm未満であると、バックコート層表面に突起が形成されず、滑り性および耐ブロッキング性が不十分となることがある。平均粒子径(r)が0.5μmを越えると、ヘイズ値が高くなり、透明性が低下することがある。
バックコート層に含有させる粒子としては、有機粒子や無機粒子が挙げられる。
有機粒子を構成する樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、あるいは上記樹脂の合成に用いられる2種以上のモノマーの共重合樹脂が挙げられる。これらの中でもアクリル系樹脂粒子が好ましく用いられる
アクリル系樹脂粒子としては、アクリル樹脂粒子、メタクリル樹脂粒子、アクリルモノマーあるいはメタクリルモノマーと他のモノマー(例えば、スチレン、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、シリコーンアクリレート、シリコーンメタクリレート等)との共重合樹脂粒子が挙げられる。
これらの有機粒子は乳化重合法により合成されることが好ましく、乳化重合法で合成されることによって平均粒子径が0.5μm以下の有機粒子を得ることができる。
無機粒子としては、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、ゼオライトなどの無機粒子が挙げられる。これらの中でもシリカ粒子が好ましく、特にコロイダルシリカが好ましい。
バックコート層の厚み(d:μm)より平均粒子径(r:μm)が小さい粒子によって、バックコート層に十分な突起を形成するには、粒子をバックコート層の表面近傍に比較的多く存在させることが好ましい。つまり、バックコート層に含まれる粒子の一部が層の表面近傍に移動(浮上)して表面近傍における粒子密度が大きくなることが好ましい。
バックコート層に含有させる粒子は、粒子の一部が層の表面近傍に移動(浮上)しやすい粒子であることが好ましく、この観点から無機粒子が好ましく、特にシリカ粒子が好ましい。更に、上記観点から、表面自由エネルギーを小さくするような表面処理が施された無機粒子、界面活性剤で処理された無機粒子を用いることが好ましい。このような処理が施された無機粒子は層の表面近傍に移動(浮上)しやすくなる。
上記の無機粒子の表面自由エネルギーを小さくするため表面処理剤としては、フッ素原子を有するオルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、あるいは該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物が挙げられる。
上記の界面活性剤で処理された無機粒子としては、例えばシリカ粒子(好ましくはコロイダルシリカ)を分子中にエチレンオキシ基を有する界面活性剤で処理した無機粒子が挙げられる。
バックコート層における粒子(平均粒子径がバックコート層の厚みより小さい粒子)の含有量は、動摩擦係数を低下させるという観点から、バックコート層の固形分総量100質量%に対して1.5質量%以上が好ましく、3.5質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、特に7質量%以上が好ましい。粒子の含有量が多くなり過ぎると、ヘイズ値が上昇することから、上限の含有量は、バックコート層の固形分総量100質量%に対して30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
バックコート層の厚み(d:μm)は、0.5〜20μmの範囲が適当であり、ガスバリアフィルムの透過率を高くし、フレキシブル性を持たせるという観点から0.5〜10μmの範囲がより好ましく、0.7〜3μmの範囲が特に好ましい。バックコード層の厚み(d:μm)が0.5μm未満となるとバックコート層の硬度が低下し、傷が入りやすくなる。一方、バックコード層の厚み(d:μm)が20μmより大きくなるとバックコート層にクラックが発生したり、ガスバリアフィルムにカールが発生するなどの不都合が生じることがある。
バックコート層は、更に各種添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、有機系帯電防止剤、滑剤、着色剤、顔料等を含有することができる。
バックコート層の屈折率の範囲は、1.48〜1.54の範囲であることが好ましく、1.50〜1.54の範囲がより好ましい。ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、前述した易接着層(屈折率が1.55〜1.61)を介して、屈折率が1.48〜1.54のバックコート層を積層することにより、バックコート層面の反射色をニュートラルな無色とすることができる。
バックコート層をウェットコーティングするときに用いられる塗布方法としては、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スピンコート法、エクストルージョンコート法等が挙げられる。中でも、バックコート層の好ましい厚み範囲(0.5μm以上10μm以下)の塗工に好適な手法として、特にグラビアコート法が好ましい。
[バックコート層とアンダーコート層の算術平均粗さ]
前述したように、バックコート層表面の算術平均粗さRa(RaBと略記することがある。)は、1.5nm以上15nm未満であることが好ましく、また、アンダーコート層表面の算術平均粗さRa(RaUと略記することがある。)は、1.5nm未満であることが好ましい。
ガスバリアフィルムのヘイズ値を低くして高い透明性を確保するという観点から、上記のRaBとRaUとの合計は、13nm未満が好ましく、10nm未満がより好ましく、さらに7nm未満が好ましく、5nm未満が特に好ましい。合計の下限は、良好な滑り性を維持するという観点から、2.5nm以上が好ましく、3.0nm以上がより好ましい。
また、上記RaBとRaUとの差(RaB−RaU)は、滑り性およびガスバリア層の均質かつ緻密形成の観点から、0.3〜5.0nmの範囲が好ましく、0.5〜4.0nmの範囲がより好ましく、0.8〜3.0nmの範囲が特に好ましい。
[ガスバリアフィルムの適用例]
本発明のガスバリアフィルムは、有機薄膜太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイス、電子ペーパーなどの電子部品のガスバリアフィルムとして好適である。
本発明のガスバリアフィルムを有機ELデバイスに適用する場合、基材フィルムとして環状ポリオレフィンフィルムを用いることが好ましい。環状ポリオレフィンフィルムは、低リタゼーション(複屈折率が小さい)であり、また透明性が高いので、有機ELデバイスに好適である。
有機ELデバイスに適用されるガスバリアフィルムは、高度なフレキシブル性が求められる。つまり、ガスバリアフィルムを折り曲げても割れないことが好ましい。この特性を満足させるための一つの指標として、円筒形マンドレル法(JIS K5600−5−1:1999)を用いた耐屈曲性試験がある。
本発明のガスバリアフィルムは、円筒形マンドレル法(JIS K5600−5−1:1999)に準拠した直径2mmの円筒マンドレルを用いて行う耐屈曲性試験においてクラックが発生しないことが好ましい。
具体的には、ガスバリアフィルムを、バックコート層が外側になるように(ガスバリアフィルムのガスバリア層側の面が円筒形マンドレルと接するように)直径2mmの円筒形マンドレルに巻き付けたときに、その巻き付け部分のバックコート層にクラックが発生しないことが好ましい。同様に、ガスバリアフィルムのガスバリア層側の面が外側になるように(ガスバリアフィルムのバックコート層面が円筒形マンドレルと接するように)直径2mmの円筒形マンドレルに巻き付けたときに、その巻き付け部分のガスバリア層にクラックが発生しないことが好ましい。
バックコート層に上述の耐屈曲性を付与するという観点から、バックコート層のナノインデンテーション法により測定される押し込み硬さが、200〜600N/mmの範囲が好ましく、250〜550N/mmの範囲がより好ましく、特に300〜500N/mmの範囲が好ましい。
ガスバリア層に上述の耐屈曲性を付与するという観点から、ガスバリア層を形成する材料としては、亜鉛化合物が好ましく用いられる。亜鉛化合物としては酸化亜鉛が好ましい。さらに、亜鉛化合物にケイ素、アルミニウム、銅、錫、二酸化ケイ素、および酸化アルミニウムが混合されていることが好ましい。特に、ガスバリア層は、酸化亜鉛、二酸化ケイ素および酸化アルミニウムの混合物であることが好ましい。
また、基材フィルムとガスバリア層との間にアンダーコート層を設ける場合は、アンダーコート層は、伸長クラック伸度が7%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。上限の伸長クラック伸度は200%以下が適当であり、100%以下が好ましい。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
各実施例および比較例における評価方法を説明する。評価n数は、特に断らない限り、n=5とし平均値を求めた。
(1)ガスバリア層の厚み
断面観察用サンプルをマイクロサンプリングシステム(日立製FB−2000A)を使用してFIB法により(具体的には「高分子表面加工学」(岩森暁著)p.118〜119に記載の方法に基づいて)作製した。透過型電子顕微鏡(TEM、日立製H−9000UHRII)により、加速電圧300kVとして、観察用サンプルの断面を観察し、ガスバリア層の厚みを求めた。
(2)ガスバリアフィルムの水蒸気透過率の測定
温度40℃、相対湿度90%、測定面積50cmの条件で、英国テクノロックス(Technolox)社製の水蒸気透過率測定装置“DELTAPERM”を使用して測定した。サンプル数は水準当たり2検体とし、測定回数は各検体について5回とし、得られた10点の平均値を水蒸気透過率(g/m・day)とした。
(3)バックコート層の鉛筆硬度の測定
ガスバリアフィルムのバックコート層の鉛筆硬度を、鉛筆硬度試験機HEIDON−14(新東科学(株))を用いて、JIS K5600−5−4(1999)に従って測定した。
(4)動摩擦係数の測定
バックコート層側の面とガスバリア層側の面との動摩擦係数を、JIS K7125(1999)に従い測定した。
(5)バックコート層の耐擦傷性の評価(スチールウール引っかき試験)
サイズ15cm×5cmに切り出したガスバリアフィルムのバックコート層表面を、スチールウール♯0000で20往復擦った後の表面状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
A:傷が全くない。
B:1−10本の傷がある。
C:11−20本の傷がある。
D:21本以上の傷がある。
(6)屈曲性試験後のガスバリア性(水蒸気透過率)評価
ガスバリアフィルムについて、JIS C5016(1994)に準拠した耐屈曲性試験を行った。耐屈曲性試験は、ガスバリアフィルムを、ガスバリア層が凹面に形成されるようにしてU字状に屈曲させた状態で、耐屈曲性試験機の固定板と可動板との間に取り付けた後、可動板を所定のストロークで複数回繰り返して往復運動させることにより行った。ガスバリアフィルムの屈曲半径は5mmとし、ストロークは40mmとし、可動板の往復運動の回数は500回とした。屈曲性試験後のガスバリアフィルムの水蒸気透過率を上記(2)と同様の方法にて測定した。
(7)ヘイズ値の測定
JIS K7361(1997)に基づき、濁度計NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。測定は、縦5cm×横5cmのサイズに切り出したガスバリアフィルム3枚について行った。測定回数は各5回とし、合計15回測定の平均値をヘイズ値とした。
(8)全光線透過率
JIS K7361(1997)に基づき、濁度計NDH2000(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。測定は、縦5cm×横5cmのサイズに切り出したガスバリアフィルム3枚について行った。測定回数は各5回とし、合計15回測定の平均値を全光線透過率とした。
(9)滑り性
ガスバリアフィルムを切断して2枚のシート片(20cm×15cm)を作製する。
この2枚のシート片のバックコート層側の面とガスバリア層側の面とが向き合うように2枚のシート片を僅かにずらして重ね合わせて平滑な台上の置き、下方のシート片を指で台上に固定し、上方のシート片を手で滑らせる方法で滑り性の良否判定を行った。
A:上方のシート片の滑り性が良好である。
B:上方のシート片の滑り性は劣るが比較的良好である。
C:上方のシート片が滑らない。
(10)耐ブロッキング性の評価
ガスバリアフィルムを切断して2枚のシート片(縦20cm×横15cm)を作製する。この2枚のシートのバックコート層側の面とガスバリア層側の面とが向き合うようにして重ね合わせる。次に、2枚のシート片を重ね合わせた試料をガラス板で挟み込み、約2kgの重りを載せて、50℃、90%(RH)の雰囲気下に48時間放置する。次に、重ね合わせ面を目視により観察しニュートンリングの発生状況を確認した後、両者を剥離し、以下の基準で評価した。
A:剥離前はニュートンリングが発生しておらず、剥離時には剥離音を立てずに軽く剥離される。
B:剥離前は一部ニュートンリングが発生しており、剥離時には小さな剥離音を立てながら剥離される。
C:剥離前は全面にニュートンリングが発生しており、剥離時には大きな剥離音を立てて剥離される。
(11)算術平均粗さ(Ra)の測定
JIS B0601(2013)に準拠して、光干渉式非接触表面形状測定器として、非接触表面・層断面計測システム(株式会社菱化システム製「VertScan2.0」)を用いて、ガスバリアフィルムの表面観察(観察視野:93.91μm×70.20μm)を実施し、バックコート層表面、およびアンダーコート層表面について、算術平均粗さ(Ra)を測定した。
(12)バックコート層に含有される平均粒子径の測定
バックコート層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察(約1万〜10万倍)し、その断面写真から、無作為に選択した30個の粒子のそれぞれの最大長さを計測し、それらを平均した値を粒子の平均粒子径とした。
(13)アンダーコート層の伸長クラック伸度の測定
実施例および比較例において、アンダーコート層のみ積層した中間段階のフィルムを常温で1日保管後、縦11cm×横20cmの短形に切り出して試験サンプルを作製した。引張試験機(島津製作所製の「オートグラフAGS−500NX」)を用いて、チャック間距離50mm、引張速度50mm/minで、目視にてアンダーコート層のクラック発生状態を確認しながら引張試験を行った。クラックが発生したときの伸び率(下記式1で算出)を伸長クラック伸度とした。それぞれ5回測定し、平均した。測定時の環境は、23℃±2℃、相対湿度55%±5%である。
伸長クラック伸度(%)=(L1−L0)×100/L0 ・・・式1
式中、L0は引張試験を行う前の寸法、L1は引張試験を実施してクラックが発生したときの寸法である。
(14)バックコート層表面における粒子による突起の有無の判断
下記方法で突起の個数を測定し、突起が2μm四方(面積4μm)当たり平均4個以上存在することをもって、粒子による突起を有すると判断する。
<突起の個数の測定>
バックコート層の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて5箇所撮影(約1万〜10万倍)し、5つの画像(表面写真)を作製する。次に、5つの画像それぞれについて、画像の2μm四方(面積4μm)の範囲に存在する突起の個数を計測し、平均する。
(15)バックコート層表面における平均突起高さの測定
バックコート層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察(約1万〜10万倍)し、その断面写真から、無作為に選択した粒子の突起の頂点からバックコート層表面までの長さを計測した。10個の突起の高さを計測し平均した。
(16)加圧試験後のガスバリア性(水蒸気透過率)評価
ガスバリアフィルムを縦10cm×横15cmのサイズに切断して2枚のシート片AおよびBを作製する。シート片Aのガスバリア層側の面とシート片Bのバックコート層側の面とが向き合うようにして重ね合わせる。次に、2枚のシート片を重ね合わせた試料を平面圧力プレス機で挟み込み、150kgf/cmの圧力をかけ30分間放置する。次に、2つのシート片を剥離し、シート片Aの水蒸気透過率を上記(2)と同様の方法にて測定した。
(17)易接着層およびバックコート層の屈折率の測定
易接着層およびバックコート層のそれぞれの塗布液(あるいは組成物)をシリコンウエハー上にスピンコーターにて塗工して形成した塗膜(乾燥厚み約2μm)について、25℃の温度条件下で位相差測定装置(ニコン(株)製:NPDM−1000)で633nmの屈折率を測定した。
(18)ガスバリア層の組成分析
ガスバリア層の組成分析はICP発光分光分析(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、SPS4000)により行った。試料を、硝酸および硫酸で加熱分解し、希硝酸で加温溶解してろ別した。不溶解分は加熱灰化したのち、炭酸ナトリウムで融解し、希硝酸で溶解して、先のろ液とあわせて定容とした。この溶液について、亜鉛原子、ケイ素原子、アルミニウム原子の含有量を測定し、原子数比に換算した。なお、酸素原子は亜鉛原子、ケイ素原子、アルミニウム原子が、それぞれ酸化亜鉛(ZnO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)として存在すると仮定して求めた計算値とした。
(19)ガスバリアフィルムのバックコート層の耐屈曲性(A)の評価
円筒形マンドレル法(JIS K5600−5−1:1999)に準拠して、直径2mmの円筒形マンドレルに、ガスバリアフィルムのバックコート層側が外側になるように巻き付け、その巻き付け部分のバックコート層にクラックが生じるか否かを目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:クラックが確認できない。
B:クラックが確認される。
(20)ガスバリアフィルムのガスバリア層の耐屈曲性(B)の評価
上記(19)と同様にして耐屈曲性を評価した。但し、直径2mmの円筒形マンドレルに、ガスバリアフィルムのガスバリア層側が外側になるように巻き付け、ガスバリア層にクラックが発生しているかどうかを評価した。
(21)バックコート層のナノインデンテーション法による押し込み硬さの測定
(株)エリオニクス製のナノインデンター「ENT−2100」を用いて測定した。ガスバリアフィルムのガスバリア層側の面を、接着剤(東亞合成(株)製“アロンアルファ(登録商標)”)を介して専用のサンプル固定台に固定し、バックコート層の押し込み硬さ(HIT(N/mm))を、稜間角115°の三角錐ダイヤモンド圧子(Berkovich圧子)を用いて下記条件にて測定した。測定データは「ENT−2100」の専用解析ソフト(version 6.18)により処理した。
<測定条件>
・測定モード:負荷−除荷試験
・最大荷重:100mN
・最大荷重に達した時の保持時間:1秒
・荷重速度、除荷速度:10mN/sec
・押し込み深さ:膜厚の1/10。
(実施例1)
[易接着層が積層されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの作製]
実質的に外部添加粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施した後、一軸延伸フィルムの両面にそれぞれ下記の易接着層Aを塗布した。
次に、両面にそれぞれの易接着層Aが塗布された1軸延伸フィルムをクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度75℃で乾燥、ラジエーションヒーターを用いて110℃に上げ、再度90℃で乾燥した後、引き続き連続的に120℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸し、続いて220℃の加熱ゾーンで20秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した二軸延伸PETフィルムを作製した。
このようにして得られた易接着層積層PETフィルムの厚みは100μm、両面に積層された易接着層Aの膜厚はそれぞれ0.08μm、屈折率はそれぞれ1.58であった。

(易接着層A)
ナフタレン環を含むポリエステル樹脂を100質量部、メチロール型メラミン系架橋剤(三和ケミカル(株)製の「ニカラック MW12LF」)を5質量部、平均粒子径が0.19μmのコロイダルシリカを2質量部含有する。
[アンダーコート層の積層]
易接着層が両面に積層されたPETフィルムの一方の面に、アンダーコート層を積層した。アンダーコート層形成用の塗工液として、DIC(株)製“ユニディック(登録商標)”RC29−124(ウレタンアクリレート系UV硬化型フィルムコート剤)をMEKにてNV(固形分濃度)50質量%に調製したものを用いた。この塗工液をバーコーターで塗布、100℃で1分間乾燥後、紫外線を300mJ/cmの強度で照射して硬化させ、厚みが1μmのアンダーコート層を設けた。このアンダーコート層の伸長クラック伸度は、12%であった。
[バックコート層の積層]
上記でアンダーコート層が積層されたPETフィルムのアンダーコート層とは反対面に、下記のバックコート層形成用塗布液(活性エネルギー線硬化性組成物a1)を乾燥厚みが1μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、90℃で乾燥後、紫外線を400mJ/cmの強度で照射して硬化させ、バックコート層を形成した。このバックコート層の屈折率は1.51であり、このバックコート層表面には、粒子による突起が形成されていた。また、このバックコート層の厚み(d=1μm)に対する粒子の平均粒子径(r=0.13μm)の比率(r/d)は、0.13であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物a1>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、アクリレート化合物(東亜合成株式会社製の“アロニックス(登録商標)”M111)37質量部、下記の表面処理シリカ粒子分散液1を固形分換算で8質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)5質量部を有機溶剤(メチルエチルケトン)に混合して調製した。
<表面処理シリカ粒子分散液1>
コロイダルシリカ(日産化学工業株式会社製の「オルガノシリカゾル IPA−STZL」)150質量部に、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン13.7質量部と10質量%蟻酸水溶液1.7質量部を混合し、70℃にて1時間撹拌した。次いで、フッ素化合物(HC=CH−COO−CH−(CFF)13.8質量部および2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.57質量部を加えた後、60分間90℃にて加熱撹拌して分散液を得た。
[ガスバリア層の形成]
上記アンダーコート層及びバックコート層が積層されたPETフィルムのアンダーコート層上にスパッタリング装置を使用し、酸化亜鉛/二酸化ケイ素/酸化アルミニウムの組成質量比が77/20/3である混合焼結材をスパッタターゲットとして使用し、アルゴンガスおよび酸素ガスによるスパッタリングを実施しガスバリア層を設けた。
具体的な操作は以下の通りである。まず、図4に示すように、スパッタ電極9および60にスパッタターゲットを設置した、ロール・ツー・ロールの巻き取り式スパッタ装置6中で、巻き出しロール7に、上記でアンダーコート層およびバックコート層が設けられた基材フィルム(PETフィルム)1のアンダーコート層側の面がスパッタ電極9および60に対向するようにセットして巻き出し、ガイドロール10,50,を介して、冷却水で15℃に調整された冷却ロール8に通した。2×10−1Paとなるようにアルゴンガスおよび酸素ガス(酸素ガスの比率は10%)を導入した。直流電源により投入電力4000Wを印加することにより、アルゴン・酸素ガスプラズマを発生させ、スパッタリングによりアンダーコート層の表面上にガスバリア層を厚み0.15μmで形成し、ガスバリアフィルムを作製した。その後、ガイドロール51、52、53を介して巻き取りロール11に巻き取った。
上記のようにして得られたガスナリア層の組成は、Zn原子濃度が27.5atom%、Si原子濃度が13.1atom%、Al原子濃度が2.3atom%、O原子濃度が57.1atom%であった。
(実施例2)
バックコート層形成用塗布液を下記の活性エネルギー線硬化性組成物a2に変更する以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを作製した。このバックコート層の屈折率は1.51であり、このバックコート層表面には、粒子による突起が形成されていた。また、このバックコート層の厚み(d=1μm)に対する粒子の平均粒子径(r=0.13μm)の比率(r/d)は、0.13であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物a2>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを40質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)製の“アートレジン(登録商標)”UN901T)を45質量部、有機粒子としてスチレン−アクリル系共重合樹脂粒子(ガンツ化成(株)製の商品名「スタフィロイド EA−1135」;平均粒子径0.13μm)を固形分換算で10質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製“イルガキュア(登録商標)”184)5質量部を有機溶媒(酢酸エチル:トルエン=1:1(質量比)の混合溶媒)に溶解あるいは分散した組成物(固形分濃度30質量%)である。
(実施例3)
アンダーコート層の塗工液を、大成ファインケミカル(株)製「8KX−077(UV硬化型アクリルポリマー)」をMEKにてNV(固形分濃度)20質量%に希釈し、次いで光開始材I−184を3%添加して調製した塗工液に変更する以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを作製した。このアンダーコート層の伸長クラック伸度は15%であった。
(実施例4)
バックコート層形成用塗布液を下記の活性エネルギー線硬化性組成物a3に変更する以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを作製した。このバックコート層の屈折率は1.51であり、このバックコート層表面には、粒子による突起が形成されていた。また、このバックコート層の厚み(d=1μm)に対する粒子の平均粒子径(r=0.08μm)の比率(r/d)は、0.08であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物a3>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、アクリレート化合物(東亜合成株式会社製の“アロニックス(登録商標)”M111)35質量部、下記の表面処理シリカ粒子分散液2を固形分換算で10質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)5質量部を有機溶剤(メチルエチルケトン)に混合して調製した。
(表面処理シリカ粒子分散液2)
気相法シリカ(日本アエロジル(株)の「アエロジルOX50」)を有機溶剤(MEK)中で分散してシリカ濃度が15質量%の分散液を得た。分散装置としてビーズミルを用いた。
次に、この分散液300質量部に、フルオロアルキルアルコキシシラン(信越化学(株)製の「KBM7103」)を8質量部混合し、50℃で1時間加熱撹拌して、表面処理されたシリカ粒子の分散液を得た。
(比較例1)
実施例1において、バックコート層側の易接着層Aを下記の易接着層Bに変更する以外は、実施例1と同様にして易接着層が両面に積層されたPETフィルムを作製した。このPETフィルムの易接着層Aの面に、実施例1と同様にしてアンダーコート層およびガスバリア層を積層して、ガスバリアフィルムを得た。但し、PETフィルムの易接着層Bの面にはバックコート層は設けなかった。
(易接着層B)
ナフタレン環を含むポリエステル樹脂を100質量部、メチロール型メラミン系架橋剤(三和ケミカル(株)製の「ニカラック MW12LF」)を5質量部、平均粒子径が0.3μmのコロイダルシリカを5質量部含有する。
(比較例2)
バックコート層形成用塗布液を下記の活性エネルギー線硬化性組成物a4に変更する以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを作製した。このバックコート層の屈折率は1.51であり、このバックコート層表面には、粒子による突起が形成されていなかった。
<活性エネルギー線硬化性組成物a4>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを45質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)製の「アートレジンUN901T」を50質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製“イルガキュア(登録商標)”184)5質量部を有機溶媒(酢酸エチル:トルエン=1:1(質量比)の混合溶媒)に溶解あるいは分散した組成物(固形分濃度30質量%)である。
(比較例3)
バックコート層形成用塗布液を下記の活性エネルギー線硬化性組成物a5に変更する以外は、実施例1と同様にして、ガスバリアフィルムを作製した。このバックコート層の屈折率は1.51であり、このバックコート層表面には、粒子による突起が形成されていた。また、このバックコート層の厚み(d=1μm)に対する粒子の平均粒子径(r=1.5μm)の比率(r/d)は、1.5であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物a5>
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを45質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業(株)製の「アートレジンUN901T」を47質量部、有機粒子として信越化学(株)製の有機粒子「KMP590」、平均粒子径1.5μm)を固形分換算で3質量部、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製“イルガキュア(登録商標)”184)5質量部を有機溶媒(酢酸エチル:トルエン=1:1(質量比)の混合溶媒)に溶解あるいは分散した組成物(固形分濃度30質量%)である。
(比較例4)
ガスバリア層形成時に二酸化ケイ素を焼結したスパッタターゲットを使用した以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
(比較例5)
ガスバリア層形成時に酸化アルミニウムを焼結したスパッタターゲットを使用した以外は実施例1と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
<ガスバリアフィルムの評価>
上記で作製した実施例および比較例のガスバリアフィルムを評価した結果を表1に示す。
Figure 2017130617
Figure 2017130617
(実施例11)
厚みが50μmの環状オレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン(株)の“ZeonorFilm(登録商標)”ZF14:片面に保護フィルムを積層)の保護フィルムを剥離し、この剥離面に、バックコート層形成用塗布液(活性エネルギー線硬化性組成物a6)を乾燥厚みが1.5μmとなるようにグラビアコーターで塗布し、90℃で乾燥後、紫外線を400mJ/cmの強度で照射して硬化させ、バックコート層を形成した。このバックコート層の屈折率は1.51であり、このバックコート層表面には、粒子による突起が形成されていた。
このバックコート層の厚み(d=1.5μm)に対する粒子の平均粒子径(r=0.13μm)の比率(r/d)は、0.09であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物a6>
3官能のウレタンアクリレートオリゴマーを含有する紫外線硬化性樹脂塗布液(日本合成化学(株)の「UV−7550B」)に、実施例1で使用した表面処理シリカ粒子分散液1を固形分換算で塗布液の全固形分に対して9質量%となるように添加し、有機溶剤(MEK)で希釈して固形分濃度が20質量%の塗布液を調製した。
<ガスバリア層の積層>
上記でバックコート層が積層された環状ポリオレフィンフィルムのバックコート層とは反対面に、実施例1と同様にしてガスバリア層を積層して、ガスバリアフィルムを得た。
(実施例12)
バックコート層形成用塗布液を下記の活性エネルギー線硬化性組成物a7に変更する以外は、実施例11と同様にしてガスバリアフィルムを得た。このバックコート層の屈折率は1.51であり、このバックコート層表面には、粒子による突起が形成されていた。
このバックコート層の厚み(d=1.5μm)に対する粒子の平均粒子径(r=0.08μm)の比率(r/d)は、0.05であった。
<活性エネルギー線硬化性組成物a7)
アイカ工業(株)製の紫外線硬化性コート剤“アイカアイトロン(登録商標)”Z−850−3に、実施例4で使用した表面処理シリカ粒子分散液2を固形分換算で塗布液の全固形分に対して11質量%となるように添加し、有機溶剤(MEK)で希釈して固形分濃度が20質量%の塗布液を調製した。
(実施例13)
実施例11において、環状ポリオレフィンフィルムとガスバリア層との間に、実施例1と同様のアンダーコート層を設けること以外は、実施例11と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
(実施例14)
実施例12において、環状ポリオレフィンフィルムとガスバリア層との間に、実施例1と同様のアンダーコート層を設けること以外は、実施例12と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
(比較例11)
バックコート層形成用塗布液を下記の活性エネルギー線硬化性組成物a7に変更する以外は、実施例11と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
<活性エネルギー線硬化性組成物a7)
10官能のウレタンアクリレートオリゴマーを含有する紫外線硬化性樹脂塗布液(日本合成化学(株)の「UV−1700B」)を、有機溶剤(MEK)で希釈して固形分濃度が20質量%の塗布液を調製した。
(比較例12)
ガスバリア層形成時に二酸化ケイ素を焼結したスパッタターゲットに変更した以外は、実施例11と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
上記で作製した実施例および比較例のガスバリアフィルムを評価した結果を表2に示す。
Figure 2017130617
Figure 2017130617
1 基材フィルム
2 ガスバリア層
3 バックコート層
4 アンダーコート層
5 オーバーコート層
6 巻き取り式スパッタ装置
7 巻き出しロール
8 冷却ロール
9、60 スパッタ電極
10、50、51、52、53 ガイドロール
11 巻き取りロール

Claims (17)

  1. 基材フィルムの一方の面にガスバリア層を有し、基材フィルムの他方の面にバックコート層を有するガスバリアフィルムであって、ヘイズ値が0.8%未満、水蒸気透過率が3.0×10−3g/m・day未満であり、かつ前記バックコート層側の面とガスバリア層側の面との動摩擦係数が0.7以下であることを特徴とする、ガスバリアフィルム。
  2. 前記ガスバリア層が、亜鉛化合物を含有する、請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記ガスバリア層が、酸化亜鉛−二酸化ケイ素−酸化アルミニウムの共存相からなる層である、請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記ガスバリア層が、ICP発光分光分析法により測定される亜鉛(Zn)原子濃度が20.0〜40.0atom%、ケイ素(Si)原子濃度が5.0〜20.0atom%、アルミニウム(Al)原子濃度が0.5〜5.0atom%、酸素(O)原子濃度が35.0〜70.0atom%である、請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  5. 水蒸気透過率が1.0×10−3g/m・day未満である、請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  6. 前記バックコート層の算術平均粗さRaが、1.5nm以上15nm未満である、請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  7. 前記バックコート層が、平均粒子径(r:μm)がバックコート層の膜厚(d:μm)より小さい粒子を含有し、バックコート層表面に前記粒子による突起を有する、請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  8. 前記バックコート層の膜厚(d:μm)と粒子の平均粒子径(r:μm)との比率(r/d)が0.8以下である、請求項7に記載のガスバリアフィルム。
  9. 前記バックコート層の鉛筆硬度がF以上である、請求項1〜8のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  10. 前記基材フィルムとガスバリア層との間にアンダーコート層を有する、請求項1〜9のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  11. 前記アンダーコート層の算術平均粗さRaが1.5nm未満である、請求項10に記載のガスバリアフィルム。
  12. 前記ガスバリア層の上に、オーバーコート層を有する、請求項1〜11のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  13. 基材フィルムとバックコート層との間に、屈折率が1.55〜1.61である易接着層を有する、請求項1〜12のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  14. 前記基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムまたは環状ポリオレフィンフィルムである、請求項1〜13のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載のガスバリアフィルムを備えた、有機薄膜太陽電池。
  16. 請求項1〜14のいずれかに記載のガスバリアフィルムを用いた、有機ELデバイス。
  17. 請求項1〜14のいずれかに記載のガスバリアフィルムを用いた、電子ペーパー。
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