JP2021094852A - 積層体、有機elデバイス、および積層体の製造方法 - Google Patents

積層体、有機elデバイス、および積層体の製造方法 Download PDF

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忠司 吉岡
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浩行 上林
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Abstract

【課題】フレキシブル性が良好であり、より高いガスバリア性を有する積層体を提供する。【解決手段】高分子基材1の少なくとも片面に、亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む無機化合物層A層2(以下、A層)および亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む無機化合物層B層3(以下、B層)を高分子基材1側からこの順に有し、A層において、X線光電子分光法(XPS)により亜鉛(Zn)原子およびケイ素(Si)原子の含有比率(Zn/Si)を深さ方向に10nm間隔で求めた値の平均値T1とB層において、X線光電子分光法(XPS)により亜鉛(Zn)原子およびケイ素(Si)原子の含有比率(Zn/Si)を深さ方向に10nm間隔で求めた値の平均値T2との関係が、下記式1を満たす、積層体。式1:0<T1−T2<1.0【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性が必要とされる、食品、医薬品の包装用途、太陽電池、電子ペーパー、有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイスなどの電子部材に使用される積層体、積層体を用いた有機ELデバイス、および積層体の製造方法に関する。
高分子基材のガスバリア性を向上させる技術として、例えば、高分子基材フィルムに亜鉛化合物とケイ素化合物と酸化アルミニウムとを含有するガスバリア層を有するガスバリア性フィルムにおいて、ガスバリア層の亜鉛(Zn)原子、およびケイ素(Si)原子の含有比率(Zn/Si)が高分子基材との界面側からガスバリア層の表面にかけて増大する特定の傾斜構造とすることによって、ガスバリア性を向上させる技術が開示されている(特許文献1)。
特許第6197428号公報
しかしながら、近年、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの大型デバイスでも巻き取り可能なローラブルディスプレイの開発が進められており、より高いガスバリア性が求められているが、上記特許文献1に記載の構成では改善の余地がある。
(1)高分子基材の少なくとも片面に、亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む無機化合物層A層(以下、A層)および亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む無機化合物層B層(以下、B層)を前記高分子基材側からこの順に有し、該A層において、X線光電子分光法(XPS)により亜鉛(Zn)原子およびケイ素(Si)原子の含有比率(Zn/Si)を深さ方向に10nm間隔で求めた値の平均値T1と該B層において、X線光電子分光法(XPS)により亜鉛(Zn)原子およびケイ素(Si)原子の含有比率(Zn/Si)を深さ方向に10nm間隔で求めた値の平均値T2との関係が、下記式1を満たす、積層体。
式1:0<T1−T2<1.0
(2)前記A層、およびB層において、T1とT2との関係が、下記式2を満たす、(1)に記載の積層体。
式2:0<T1−T2<0.5
(3)前記A層、およびB層がともに酸化亜鉛、二酸化ケイ素および酸化アルミニウムを含む、(1)または(2)に記載の積層体。
(4)前記A層、およびB層がともにX線光電子分光法(XPS)により測定される亜鉛(Zn)原子濃度が10.0〜35.0atom%、ケイ素(Si)原子濃度が7.0〜25.0atom%、アルミニウム(Al)原子濃度が0.5〜5.0atom%、酸素(O)原子濃度が45.0〜70.0atom%を満たす、(3)に記載の積層体。
(5)前記高分子基材とA層との間に樹脂層を有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の積層体。
(6)カールが5mm以下である(1)〜(5)のいずれかに記載の積層体。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の積層体を有する、有機ELデバイス。
(8)高分子基材の少なくとも片面に、亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む無機化合物層A層(以下、A層)および亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む無機化合物層B層(以下、B層)を前記高分子基材側からこの順に有する積層体の製造方法であって、A層形成用スパッタターゲットの亜鉛原子濃度をZnA(atm%)、ケイ素原子濃度をSiA(atm%)とし、B層形成用スパッタターゲットの亜鉛原子濃度をZnB(atm%)、ケイ素原子濃度をSiB(atm%)としたとき、|ZnA−ZnB|≦0.1、かつ|SiA−SiB|≦0.1であり、B層形成時における酸素ガス分率がA層形成時の酸素ガス分率+5(体積%)以上A層形成時の酸素ガス分率+55(体積%)以下である、積層体の製造方法。
本発明によれば、より高いガスバリア性を有する積層体を提供することができる。また、本発明の積層体は、有機ELデバイスに好適である。
本発明の積層体の一例を示した断面図である。 本発明の積層体の別の一例を示した断面図である。 本発明の積層体を製造するための巻き取り式スパッタリング装置を模式的に示す概略図である。
[積層体]
図1に本発明の積層体の一例の断面図を示す。本発明の積層体は、高分子基材1の少なくとも片面に、亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む無機化合物層A層(A層)および亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む無機化合物層B層(B層)を前記高分子基材側からこの順に有し、該A層において、X線光電子分光法(XPS)により亜鉛(Zn)原子およびケイ素(Si)原子の含有比率(Zn/Si)を深さ方向に10nm間隔で求めた値の平均値T1と該B層において、X線光電子分光法(XPS)により亜鉛(Zn)原子およびケイ素(Si)原子の含有比率(Zn/Si)を深さ方向に10nm間隔で求めた値の平均値T2との関係が、下記式1を満たすことにより、高いガスバリア性を有するものとなる。
式1:0<T1−T2<1.0。
また、さらには前記T1とT2との関係が、下記式2を満たすことにより、より高いバリア性を有するものとなる。
式2:0<T1−T2<0.5。
[T1]
本発明において、T1は、A層において、X線光電子分光法により亜鉛(Zn)原子およびケイ素(Si)原子の含有比率(Zn/Si)を深さ方向に10nm間隔で求めた値について、A層と高分子基材との界面から10nmまでの測定点とA層とB層との界面から10nmまでの測定点を除いた値の平均値である。なお、各測定点における値について、厳密に10nm間隔で測定できないときは、その前後の測定点を直線で結び、値を補完する。例えば、例えば、測定点が38nm、49nmであり、それぞれの測定値がa、bである場合、40nmの測定点は(b−a)×(40−38)/(49−38)+aとなる。T2についても同様である。
[T2]
本発明において、T2は、B層において、X線光電子分光法により亜鉛(Zn)原子およびケイ素(Si)原子の含有比率(Zn/Si)を深さ方向に10nm間隔で求めた値について、表層側から10nmまでの測定点とA層とB層との界面から10nmまでの測定点を除いた値の平均値である。
[各層の界面]
本発明において、B層の最表面を表層(表層基準面)とする。次に表層から高分子基材方向に実施例の項に記載の条件でエッチングしながら組成分析を行ったとき、はじめて亜鉛(Zn)の含有比率が1.0atom%以下となった点をA層と高分子基材との界面(界面基準面)とする。また、A層とB層との界面については、工程の情報などによりA層厚みやB層厚みが既に分かっている場合は、その厚みから求めた界面に相当する計算値±30nmの領域における、亜鉛(Zn)の含有比率が最も高い点を指し、A層厚みやB層厚みが分かっていない場合は、表層基準面から界面基準面までの間で、亜鉛(Zn)の含有比率が最も高い点をA層とB層との界面とする。
[無機化合物層全体の膜厚]
A層およびB層を合わせて無機化合物層ということもあり、本発明において、表層基準面から界面基準面までの膜厚を無機化合物層全体の膜厚とする。
[式1、2]
T1−T2が0超過である場合、B層において、亜鉛(Zn)原子に結合する酸素が十分量結合した状態とすることができ、B層形成後に酸化進行に伴い発生するB層の膜応力が小さくなることからバリア性を十分なものとすることができる。同様の観点から、T1−T2は、膜応力によるバリア性低下抑制の観点から、より好ましくは、0.1より大きく、さらに好ましくは、0.3より大きいことである。
また、T1−T2を1.0未満とすることにより、B層形成時の積層レートを著しく悪化させたり、A層との密着性を悪化させることもなく、亜鉛(Zn)原子に結合する酸素を十分な量結合した状態とすることができる。良好なバリア性、密着性と生産性の観点から、T1−T2は1未満が好ましく、0.5未満がより好ましい。
0<T1−T2<1.0とする達成手段として、例えば、A層、B層のスパッタターゲットは同じとし、B層形成時の酸素ガス分率をA層形成時の酸素ガス分率+5(体積%)以上A層形成時の酸素ガス分率+55(体積%)以下とする方法を好ましく挙げることができる。本方法を採用することで、スパッタターゲットの交換を必要とせず生産性よくA層とB層を形成することができる。スパッタターゲットの組成は誤差を考慮して、A層形成用スパッタターゲットの亜鉛原子濃度をZnA(atm%)、ケイ素原子濃度をSiA(atm%)とし、B層形成用スパッタターゲットの亜鉛原子濃度をZnB(atm%)、ケイ素原子濃度をSiB(atm%)としたとき、|ZnA−ZnB|≦0.1、かつ|SiA−SiB|≦0.1であることが生産安定性の観点で好ましい。
また、A層形成時におけるスパッタターゲット中における亜鉛の比率を上げることも挙げることができる。
本発明において、A層、およびB層はともに亜鉛化合物とケイ素化合物を含む層である。A層、およびB層は、亜鉛化合物とケイ素化合物とを含みさえすれば、詳細は特に限定されないが、アルミニウム化合物を含むことが好ましい。なお、良好なバリア性、密着性と生産性の観点からA層、およびB層はともに亜鉛(Zn)原子濃度が1.0atm%超過含むことが好ましい。
ここで、亜鉛化合物としては例えば酸化亜鉛、硫化亜鉛、窒化亜鉛、それらの混合物が挙げられ、ケイ素化合物として例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化窒化ケイ素、それらの混合物が挙げられ、アルミニウム化合物として例えば酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムが挙げられる。
さらにA層、およびB層はともにX線光電子分光法(XPS)により測定される亜鉛(Zn)原子濃度が10.0〜35.0atom%、ケイ素(Si)原子濃度が7.0〜25.0atom%、アルミニウム(Al)原子濃度が0.5〜5.0atom%、酸素(O)原子濃度が45.0〜70.0atom%であることがより好ましい。ここで、A層、およびB層はともにX線光電子分光法(XPS)により測定される亜鉛(Zn)原子濃度が10.0〜35.0atom%、ケイ素(Si)原子濃度が7.0〜25.0atom%、アルミニウム(Al)原子濃度が0.5〜5.0atom%、酸素(O)原子濃度が45.0〜70.0atom%であるとは、X線光電子分光法により、各元素の原子濃度をB層の最表面(表層基準面)からA層と高分子基材との界面(界面基準面)までの範囲を深さ方向に10nm間隔で求めた全ての測定点において、この範囲であることをいう。
Zn原子濃度を35.0atom%以下とすること、またはSi原子濃度を7.0atom%以上とすることにより、酸化亜鉛の結晶成長を抑制する酸化物が不足することなく、空隙部分や欠陥部分の増加を抑制できることから、十分なガスバリア性が得ることができる。Zn原子濃度を10.0atom%以上とすること、またはSi原子濃度を25.0atom%以下とすることにより、二酸化ケイ素の非晶質成分の増加による柔軟性の低下を抑制することができる。
Al原子濃度を5.0atom%以下とすることで、酸化亜鉛と二酸化ケイ素の親和性が過剰に高くなることによる硬度上昇を抑制することができ、熱や外部からの応力によるクラックの発生を抑制することができる。Al原子濃度を0.5atom%以上とすることにより、酸化亜鉛と二酸化ケイ素の親和性が十分となり、A層、およびB層を形成する粒子間の結合力が上がるため、柔軟性を得ることができる。
O原子濃度を70.0atom%以下とすることにより、A層、およびB層内部の欠陥量の増加を抑制でき、良好なガスバリア性が得ることができる。O原子濃度が45.0atom%以上とすることにより、亜鉛、ケイ素、アルミニウムを十分に酸化することができ、結晶成長を抑制できることから、良好なガスバリア性を得ることができる。
上記組成は、A層、およびB層の形成時に使用する混合焼結材料と同程度の組成で形成されるため、例えば目的とする組成に合わせた組成の混合焼結材料を使用することで調整できる。
また、内部欠陥量の増加抑制の観点、生産性の観点、及び密着性の観点から、B層におけるO原子濃度(atm%)−A層におけるO原子濃度(atm%)の値が0.5以上6.0以下であることが好ましく、1.5以上4.0以下であることがより好ましい。上記好ましい態様とする方法として、A層、B層のスパッタターゲットは同じとし、B層形成時の酸素ガス分率をA層形成時の酸素ガス分率+5(体積%)以上A層形成時の酸素ガス分率+55(体積%)以下とする方法を好ましく挙げることができる。
本発明の積層体のA層、およびB層は、例えば、酸化亜鉛と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムを目的とする組成に合わせた混合焼結材料を使用して、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって形成する事ができる。
酸化亜鉛と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの単体材料を使用する場合は、酸化亜鉛と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムをそれぞれ別の蒸着源またはスパッタ電極から同時に成膜し、所望の組成となるように混合させて形成することができる。
また、A層とB層の積層は、同一の蒸着源、またはスパッタ電極を用いて、A層を積層後、続いて、B層を積層することで形成することが出来るが、複数の蒸着源、または複数のスパッタ電極を用いることで、A層とB層を連続して形成することが出来る。
これらの方法の中でも、組成再現性の観点から、混合焼結材料を使用したスパッタリング法がより好ましい。
本発明の0<T1−T2<1.0を達成する手段として、例えば、A層とB層について、同一の混合焼結材料を使用し、A層とB層を形成する際の酸素ガス分率をそれぞれ調整する方法を好ましく挙げることができる。
A層、およびB層がともに酸化亜鉛、二酸化ケイ素および酸化アルミニウムを含むことでより高いガスバリア性を発現できるため好ましい。
本発明の積層体のA層、およびB層は、他の金属、例えば、チタン、錫、銅、インジウム、ガリウム、ジルコニウム、二オブ、モリブデン、タンタルなどの金属、あるいはこれらの金属の酸化物、窒化物、硫化物を、本発明の効果を阻害しない範囲で含むことができる。
本発明の積層体の無機化合物層全体の厚みは、良好なガスバリア性を得るという観点から、50nm以上が好ましく、150nm以上がより好ましい。一方、厚みの上限は、積層体のカールを抑制するという観点から、500nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましい。
[樹脂層]
図2に本発明の積層体の別の一例の断面図を示す。高分子基材1とA層2との間に樹脂層4を有するものである。樹脂層を有することにより高分子基材の表面に突起やキズなどが存在しても平坦化することができ、A層、さらにはB層が均一に成長するため、より高いガスバリア性が得られる。つまり本発明の積層体は、高分子基材と前記A層の間に樹脂層を有し、樹脂層は、高分子基材及びA層と接していることが好ましい。
なお、高分子基材表面の突起やキズなどが比較的少なく平坦で、A層の膜形成に悪影響を及ぼさない場合は、本発明の積層体は、高分子基材及びA層が接している態様が好ましい。
樹脂層を形成するための塗剤は、樹脂成分として熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂を含むことが好ましく、更に、紫外線や電子線等の活性エネルギー線によって硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂を含むことが好ましい。特に、活性エネルギー線硬化性のアクリル樹脂が好ましい。
活性エネルギー線硬化性のアクリル樹脂としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の重合性官能基を有する、モノマー、オリゴマー、プレポリマーを適宜混合した組成物を用いることができる。
モノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ(メタ)アクリレート等の単官能アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)トリアクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、トリメチロールプロパン安息香酸エステル等の多官能アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネート等のウレタンアクリレート等を挙げることができる。
オリゴマー、プレポリマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アルキット(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記した、モノマー、オリゴマー、プレポリマーは、単独もしくは複数混合して使用してもよいが、3官能以上の多官能モノマーを用いることが好ましい。
上記の活性エネルギー線硬化性のアクリル樹脂の含有量は、硬化前の樹脂層の固形分総量100質量%に対して、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、更に60質量%以上であることが好ましく、特に70質量%以上であることが好ましい。
上記した、モノマー、オリゴマー、プレポリマーの重合を開始させるために、樹脂層を形成するための塗剤は光重合開始剤を含有することが好ましい。かかる光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
上記光重合開始剤の含有量は、硬化前の樹脂層の固形分総量100質量%に対して0.1〜10質量%の範囲が適当であり、0.5〜8質量%の範囲が好ましい。
樹脂層は、ハードコート層の機能を有することが好ましい。樹脂層がハードコート層の機能を有することにより、ガスバリアフィルムの耐擦傷性が向上する。上記観点から、樹脂層は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度が、F以上であることが好ましく、H以上であることがより好ましい。上限は9H程度である。
樹脂層は、積層体の耐屈曲性を向上させるという観点から、伸長クラック伸度が7%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。上限の伸長クラック伸度は200%以下が適当であり、100%以下が好ましい。
伸長クラック伸度とは、高分子基材上に樹脂層が積層された状態の高分子基材の片側を固定して引張速度50mm/minで高分子基材を引っ張ったときに、樹脂層にクラックが発生するときの伸び率である。
上記観点から、樹脂層を形成するための塗剤は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーもしくはウレタン(メタ)アクリレートモノマー)を含有することが好ましい。特にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーもしくはウレタン(メタ)アクリレートモノマーとしては、具体的には、共栄化学社製のAT−600、UA−101l、UA−306H、UA−306T、UA−306l、UF−8001、UF−8003等、日本合成化学社製のUV7550B、UV−7600B、UV−1700B、UV−6300B、UV−7605B、UV−7640B、UV−7650B等、新中村化学社製のU−4HA、U−6HA、UA−100H、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A、U−2PPA、UA−NDP等、ダイセルユーシービー社製のEbecryl−270、Ebecryl−284、Ebecryl−264、Ebecryl−9260、Ebecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等、根上工業社製のUN−3220HA、UN−3220HB、UN−3220HC、UN−3220HS等、三菱レイヨン社製のRQシリーズ、荒川化学工業社製の「ビームセット」(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
樹脂層の厚みは、0.5μm以上、10μm以下が好ましい。樹脂層の厚みが0.5μmより薄くなると、基材フィルムの凹凸の影響を受けて、樹脂層表面の平滑性が低下することがあり、その結果、ガスバリア層の均一性が低下し、ガスバリア性が低下する場合がある。
樹脂層の厚みが10μmより厚くなると、樹脂層の層内に残留する応力が大きくなることによって高分子基材が反り、ガスバリア層にクラックが発生しガスバリア性が低下する場合がある。従って、樹脂層の厚みは0.5μm以上、10μm以下が好ましく、フレキシブル性を確保する観点から0.7μm以上、5μm以下がより好ましく、特に1μm以上、2μm以下が好ましい。
樹脂層は、ウェットコーティングされることが好ましく、かかるウェットコーティングに用いられる塗布方法としては、例えばリバースコート法、スプレーコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スピンコート法、エクストルージョンコート法等が挙げられる。
[カール]
本発明において、積層体を5cm×5cmサイズにサンプリングし、A層およびB層が積層された面を下向きにして定盤上に設置した際の定盤からの浮きをカールとする。
カールは、高分子基材にA層およびB層を積層する際に熱が発生し、A層およびB層を積層した後、冷却された際に高分子基材と無機化合物層であるA層およびB層に熱膨張差が生じることやA層およびB層を積層した後のA層およびB層の内部応力により発生するものと考えられる。 本発明の0<T1−T2<1.0とすることにより、A層とB層の内部応力を低減することができ、カールを抑制することができる。
カールを5mm以下とすることにより、バリア層であるA層およびB層の構造的な欠陥やクラックの発生によるバリア性の悪化を抑制することができるとともに、本積層体を用いた有機ELデバイス等の加工の際の取り扱いが容易となる。良好なバリア性と加工性の観点から、カールは5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。
[高分子基材]
本発明に用いられる高分子基材1は、熱可塑性樹脂フィルムが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムは、単層フィルム、あるいは、2層以上の、例えば、共押し出し法で製膜したフィルムが好ましく例示される。また、一軸方向あるいは二軸方向に延伸されたフィルム等を使用することができる。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、環状ポリオレフィンもしくはその共重合体、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フッ素樹脂、アイオノマーおよびポリアクリロニトリルからなる群から選択された少なくとも1種である熱可塑性樹脂からなるフィルムを使用することができる。上記した熱可塑性樹脂フィルムの中でも、透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性、耐薬品性などに優れていることから、ポリエステルフィルムおよび環状ポリオレフィンフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)が特に好ましい。
環状ポリオレフィンフィルムとして、環状ポリオレフィン樹脂(COP)あるいは環状ポリオレフィン共重合樹脂(COC)を主成分とする樹脂フィルムが例示される。ここで、主成分とするとは、樹脂フィルムを構成する樹脂成分のうち、COPあるいはCOCの構成比率が50質量%以上であることを意味するものであり、COPあるいはCOCの構成比率は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。
環状ポリオレフィンフィルムは、低リタゼーション(複屈折率が小さい)で、有機ELデバイス等に使用した際、色の視野角依存性が小さいという利点を備えている。
環状ポリオレフィン樹脂(COP)とは、「主鎖に環状オレフィンを含有した繰り返し単位」のみを重合させた樹脂を意味する。環状ポリオレフィン共重合樹脂(COC)とは、少なくとも「主鎖に環状オレフィンを含有した繰り返し単位」と「主鎖に環状オレフィンを含有しないオレフィンからなる繰り返し単位」を共重合させた樹脂を意味する。
COP、COCを構成する環状オレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどの単環式オレフィン、
ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕トリデカ−2,4,6,11−テトラエンなどの多環式オレフィン、
などが挙げられる。これらの環状オレフィンは、それぞれ単独であるいは2種以上組合せて用いることができる。
環状ポリオレフィン共重合樹脂(COC)を構成する環状オレフィン以外の他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。
環状ポリオレフィンフィルムは、市販品として入手することもできる。市販品としては、例えば、日本ゼオン(株)製の「ゼオネックス」(登録商標)、「ゼオノア」(登録商標)、積水化学工業(株)の「エッシーナ」(登録商標)、JSR(株)の「アートン」(登録商標)、日立化成(株)の「オプトレッツ」(登録商標)、三井化学(株)の「アペル」(登録商標)などがある。
また、本発明は、樹脂層として高分子基材の上に設けられた易接着層を用いてもよい。
易接着層は、樹脂として、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂を含有することが好ましい。特に、少なくともポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
易接着層は、上記樹脂と架橋剤を含有する熱硬化層であることが好ましい。かかる架橋剤としては、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤が挙げられる。
易接着層は、さらに易滑性向上のために、平均粒子径が0.1〜0.4μmの無機粒子を含有することが好ましい。無機微粒子としてはコロイダルシリカが好ましく用いられる。
易接着層の厚みは、0.01μm〜0.3μmの範囲が好ましく、0.02〜0.25μmの範囲がより好ましく、特に0.03〜0.2μmの範囲が好ましい。
高分子基材の厚みは特に限定されないが、柔軟性を確保する観点、および有機ELデバイスの厚みを小さくするという観点から、本発明の積層体の厚みも小さいことが好ましい。この観点から200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。引張りや衝撃に対する強度を確保する観点から5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。
本発明の積層体はより高いガスバリア性を有する積層体であることから、ガスバリア性フィルムとして好適に用いることができる。
さらに、本発明の積層体はより高いガスバリア性を有する積層体であることから、本発明の積層体を含む有機ELデバイスとして用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
まず、各実施例および比較例における評価方法を説明する。
(1)無機化合物層(A層、およびB層)の組成
無機化合物層の組成分析は、X線光電子分光法(XPS法)により行った。アルゴンイオンを用いたスパッタエッチングにより、B層表面から高分子基材方向に向けて、1回のエッチング毎に組成比率を分析した。表層の組成比率を分析した後に、エッチング、および組成比率の分析を繰り返し行い、Znの組成比率が1.0%以下となったところで分析を終了した。XPS法の測定条件は下記の通りである。
・装置 :QuanteraSXM(PHI社製)
・励起X線 :monochromatic AlKα
・X線径 :100μm
・光電子脱出角度 :45°
・Arイオンエッチング条件 :3.0kV
・エッチングレート :13.3nm/min(SiO2換算)。
(2)各層の厚み
X線光電子分光法により無機化合物層の組成分析を行った際のエッチング時間とSiO2換算のエッチングレートより、無機化合物層全体、A層、およびB層の膜厚みを算出した。
(3)ガスバリア性(水蒸気透過率)の測定
特許第4407466号に記載のカルシウム腐食法により、温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下での水蒸気透過率を測定した。サンプル数は1水準あたり2検体とし、測定回数は各検体について5回とし、得られた10点の平均値を水蒸気透過率(g/m2・day)とした。
(4)カール
5cm×5cmサイズに切り出したサンプルをA層およびB層が積層された面を下向きにして定盤上に設置し、サンプルの4つの角の定盤からの距離を直尺にて測定した。測定した4点の値の最大値をカールとした。サンプル数は1水準あたり5検体とし、得られた5点の値の最大値をカール(mm)とした。
[実施例1]
高分子基材として、厚みが50μmの環状オレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン(株)の「ZeonorFilm」(登録商標)ZF14−050:片面に保護フィルムを積層)を用いた。
(A層の積層)
図3に示す構造の巻き取り式のスパッタリング装置を使用し、酸化亜鉛と二酸化ケイ素と酸化アルミニウムで形成された混合焼結材であるスパッタターゲットをスパッタ電極12に設置してアルゴンガスおよび酸素ガスによるスパッタリングを実施し、環状オレフィン樹脂フィルムの保護フィルムを積層していない方の面上にA層を膜厚150nm狙いで積層した。
具体的な操作は以下のとおりである。まず、スパッタ電極12に酸化亜鉛/二酸化ケイ素/酸化アルミニウムの組成質量比が77/20/3で焼結されたスパッタターゲットを設置した巻き取り式スパッタ装置5の巻き取り室6の中で、巻き出し軸7に前記高分子基材1のA層を積層した面がスパッタ電極12に対向するようにセットし、巻き出し、ガイドロール8,9,10を介して、クーリングドラム11に通した。減圧度2×10−1Paとなるように酸素ガス分率を10体積%としてアルゴンガスおよび酸素ガスを導入し、直流パルス電源により投入電力3,000Wを印加することにより、アルゴン・酸素ガスプラズマを発生させ、A層を積層した。厚みは、フィルム搬送速度により調整した。その後、ガイドロール13,14,15を介して巻き取り軸16に巻き取った。
(B層の積層)
酸素ガス分率を50体積%とした以外は、A層積層時と同様にして、A層の上にB層を膜厚150nm狙いで積層した。
得られた積層体のT1−T2は、0.4であった。
[実施例2]
B層積層時の酸素ガス分率を30体積%とした以外は、実施例1と同様にして、A層、およびB層を積層した。
得られた積層体のT1−T2は、0.3であった。
[実施例3]
B層積層時の酸素ガス分率を20体積%とした以外は、実施例1と同様にして、A層、およびB層を積層した。
得られた積層体のT1−T2は、0.1であった。
[実施例4]
B層積層時の酸素ガス分率を60体積%とした以外は、実施例1と同様にして、A層、およびB層を積層した。
得られた積層体のT1−T2は、0.7であった。
[実施例5]
高分子基材として、厚みが50μmの環状オレフィン樹脂フィルム(日本ゼオン(株)の「ZeonorFilm」(登録商標)ZF14−050:片面に保護フィルムを積層)の保護フィルムが積層されていない方の面に、コロナ処理を施し、下記の塗剤をグラビアコーターで塗布し、90℃で乾燥後、紫外線を400mJ/cm2照射し硬化させて樹脂層4を形成した。この樹脂層の厚みは1.5μmであった。
(樹脂層用塗剤)
ウレタンアクリレートオリゴマーを含有する紫外線硬化性樹脂塗布液(日本合成化学(株)の「UV−1700B」)を、有機溶剤(MEK)で固形分濃度が20質量%となるように希釈した。
上記で得られた樹脂層が積層された環状オレフィン樹脂フィルムの樹脂層の面に、実施例1と同様にしてA層、およびB層を積層した。
得られた積層体のT1−T2は、0.4であった。
[実施例6]
高分子基材として、厚みが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)の「ルミラー」(登録商標)U48:フィルムの両面に易接着層あり)の一方の面に実施例5と同様にして樹脂層4を形成した。
上記で得られた樹脂層が積層されたポリエチレンテレフタレートフィルムの樹脂層の面に、実施例1と同様にしてA層、およびB層を積層した。
得られた積層体のT1−T2は、0.3であった。
[比較例1]
B層積層時の酸素ガス分率を10体積%とした以外は、実施例1と同様にして、A層、およびB層を積層した。
得られた積層体のT1−T2は、0であった。
[比較例2]
B層積層時の酸素ガス分率を5体積%とした以外は、実施例1と同様にして、A層、およびB層を積層した。
得られた積層体のT1−T2は、−0.3であった。
[比較例3]
A層積層時の酸素ガス分率を20体積%とした以外は、実施例1と同様にして、A層、およびB層を積層した。
得られた積層体のT1−T2は、−0.2であった。
[比較例4]
A層積層時の酸素ガス分率を30体積%、B層積層時の酸素ガス分率を20体積%とした以外は、実施例1と同様にして、A層、およびB層を積層した。
得られた積層体のT1−T2は、−0.4であった。
[比較例5]
高分子基材として、厚みが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)の「ルミラー」(登録商標)U48:フィルムの両面に易接着層あり)を用いた。
A層積層時の酸素ガス分率を30体積%、B層積層時の酸素ガス分率を10体積%とした以外は、実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、実施例1と同様にしてA層、およびB層を積層した。
得られた積層体のT1−T2は、−0.2であった。
[評価]
上記の実施例および比較例で得られた積層体について、前述の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2021094852
1 高分子基材
2 A層
3 B層
4 樹脂層
5 巻き取り式スパッタリング装置
6 巻き取り室
7 巻き出し軸
8、9、10 巻き出し側ガイドロール
11 クーリングドラム
12 スパッタ電極
13、14、15 巻き取り側ガイドロール
16 巻き取り軸

Claims (8)

  1. 高分子基材の少なくとも片面に、亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む無機化合物層A層(以下、A層)および亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む無機化合物層B層(以下、B層)を前記高分子基材側からこの順に有し、該A層において、X線光電子分光法(XPS)により亜鉛(Zn)原子およびケイ素(Si)原子の含有比率(Zn/Si)を深さ方向に10nm間隔で求めた値の平均値T1と該B層において、X線光電子分光法(XPS)により亜鉛(Zn)原子およびケイ素(Si)原子の含有比率(Zn/Si)を深さ方向に10nm間隔で求めた値の平均値T2との関係が、下記式1を満たす、積層体。
    式1:0<T1−T2<1.0
  2. 前記A層、およびB層において、T1とT2との関係が、下記式2を満たす、請求項1に記載の積層体。
    式2:0<T1−T2<0.5
  3. 前記A層、およびB層がともに酸化亜鉛、二酸化ケイ素および酸化アルミニウムを含む、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記A層、およびB層がともにX線光電子分光法(XPS)により測定される亜鉛(Zn)原子濃度が10.0〜35.0atom%、ケイ素(Si)原子濃度が7.0〜25.0atom%、アルミニウム(Al)原子濃度が0.5〜5.0atom%、酸素(O)原子濃度が45.0〜70.0atom%を満たす、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記高分子基材とA層との間に樹脂層を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. カールが5mm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の積層体を有する、有機ELデバイス。
  8. 高分子基材の少なくとも片面に、亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む無機化合物層A層(以下、A層)および亜鉛化合物とケイ素化合物とを含む無機化合物層B層(以下、B層)を前記高分子基材側からこの順に有する積層体の製造方法であって、A層形成用スパッタターゲットの亜鉛原子濃度をZnA(atm%)、ケイ素原子濃度をSiA(atm%)とし、B層形成用スパッタターゲットの亜鉛原子濃度をZnB(atm%)、ケイ素原子濃度をSiB(atm%)としたとき、|ZnA−ZnB|≦0.1、かつ|SiA−SiB|≦0.1であり、B層形成時における酸素ガス分率がA層形成時の酸素ガス分率+5(体積%)以上A層形成時の酸素ガス分率+55(体積%)以下である、積層体の製造方法。
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