JP6586721B2 - 積層フィルム、積層フィルムの製造方法及び偏光板の製造方法 - Google Patents
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本発明のさらなる目的は、高品質な偏光板を容易に製造することができる、偏光板の製造方法を提供することにある。
<1> 光学フィルムと、保護フィルムとを備える積層フィルムであって、
前記保護フィルムの前記光学フィルム側の表面の算術平均粗さRa(μm)、及び前記光学フィルムと前記保護フィルムとの剥離強度F(N/50mm)が、式(1)及び式(2)を満たす、積層フィルム。
0<Ra≦0.18 式(1)
0.01≦F≦0.07 式(2)
<2> 前記光学フィルムが、脂環式構造含有重合体樹脂の層を有するフィルムである、<1>に記載の積層フィルム。
<3> 前記光学フィルムが、ポリウレタン樹脂の層をさらに有するフィルムである、<2>に記載の積層フィルム。
<4> 前記光学フィルムが、前記ポリウレタン樹脂の層として、材料Yを用いて構成される層を有し、
前記材料Yは、ガラス転移温度が−55〜40℃のポリウレタンを含む<3>に記載の積層フィルム。
<5> 前記保護フィルムは、ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂の層を有するフィルムである、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の積層フィルム。
<6> 前記ポリウレタン樹脂が、カーボネート構造を骨格に有する<3>〜<5>のいずれか1項に記載の積層フィルム。
<7> 前記光学フィルムの厚さが30μm以下である<1>〜<6>のいずれか1項に記載の積層フィルム。
<8> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の積層フィルムの光学フィルム側の表面に偏光子を貼合し、偏光子付き積層体を得る工程と、
前記偏光子付き積層体から保護フィルムを除去する工程とを含む、偏光板の製造方法。
本発明の偏光板の製造方法によれば、高品質な偏光板を容易に製造することができる。
本発明の積層フィルムは、光学フィルムと、保護フィルムとを備える。本発明の積層フィルムにおいては、光学フィルムと保護フィルムとは、直接接して貼合された状態で存在し、光学フィルム及び保護フィルムが、積層フィルム中において層をなす。
光学フィルムは、共に用いる保護フィルムとの剥離強度が所定の範囲となるものであれば特に限定されず、位相差フィルム、偏光フィルム、輝度向上フィルム、あるいは単に他の機能性を有する層の基材として用いられる基材フィルム等の、各種の光学的な用途に用いるフィルムとしうる。
本発明の好ましい態様において、光学フィルムは、熱可塑性樹脂により構成されるA層を有するフィルムである。光学フィルムは、A層のみからなる単層のフィルムであってもよいが、より好ましくは、光学フィルムは、光学的機能を発現する層としてのA層と、光学フィルムが他の部材の表面に接する際の親和性を調整するB層とを備える多層光学フィルムである。
A層を構成する熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ポリフェニレンサルファイドなどのポリアリーレンサルファイド樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;セルロースエステル樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリアリルサルホン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;脂環式構造含有重合体を含む樹脂;棒状液晶ポリマー;スチレン又はスチレン誘導体の単独重合体、又はスチレン又はスチレン誘導体、及びこれらと共重合しうるコモノマーとの共重合体を含むポリスチレン系樹脂;ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、あるいはこれらの多元共重合ポリマーなどが挙げられる。
ポリスチレン樹脂に含まれうるコモノマーの好ましい例としては、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、およびブタジエンが挙げられる。
熱可塑性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
脂環式構造含有重合体とは、その重合体の構造単位が脂環式構造を有する重合体である。脂環式構造含有重合体は、主鎖に脂環式構造を有する重合体、側鎖に脂環式構造を有する重合体、主鎖及び側鎖に脂環式構造を有する重合体、又はこれらの2以上の任意の比率の混合物としうる。中でも、機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を有する重合体が好ましい。
熱可塑性樹脂の成形の方法は特に制限されず、成形の方法の例としては、溶融成形法、及び溶液流延法が挙げられる。溶融成形法の例としては、溶融押し出しにより成形する押出成形法、並びに、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、及び延伸成形法が挙げられる。これらの方法の中でも、機械強度及び表面精度に優れたA層を得る観点から、押出成形法、インフレーション成形法及びプレス成形法が好ましい。その中でも特に、残留溶媒の量を減らせること、並びに、効率よく簡単な製造が可能なことから、押出成形法が特に好ましい。
多層光学フィルムを構成するB層は、重合体Ypを主成分とする材料Yを用いて構成される層である。
本願において、B層が材料Yを「用いて構成される」層であるとは、B層が、材料Yを材料として用いた層形成工程により形成された層であることを意味する。そのような成形により、材料Yはそのまま、又は必要に応じてその中の成分の反応、溶媒の揮発等を経て、B層となる。例えば、材料Yは、重合体Yp、架橋剤及び水等の揮発性の媒体を含む溶液又は分散液であり、媒体の揮発及び重合体Ypと架橋剤との架橋反応により、B層が形成される。
材料Yに含まれる重合体Ypは、通常、A層を構成する熱可塑性樹脂を構成する重合体とは異なる重合体である。
重合体Ypの好適な例としては、アクリル重合体、ビニル重合体、ポリウレタン、ポリエステル等の種々の重合体に官能基を導入したものが挙げられる。前記官能基の例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホ基などの極性基を挙げることができ、その中でも、メチロール基、水酸基、カルボキシル基、およびアミノ基のいずれかの基であることが好ましく、水酸基またはカルボキシル基がより好ましく、水酸基が特に好ましい。前記樹脂Yp中の極性基の含有量は、0.0001〜1当量/1kgが好ましく、特に0.001〜1当量/1kgが好ましい。
ポリエステルは、接着力向上のため、他の重合体と混合して用いうる。例えば、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体、これらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体、前記モノマー1種以上と前記モノマー以外のコモノマーとの重合により得られる共重合体等を、ポリエステルと混合し、ポリエステル樹脂アクリル樹脂複合物としたものを、重合体Ypとして用いうる。
材料Yは、重合体Ypの他に架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、重合体Ypにおける官能基(極性基)と反応して結合を形成できる官能基を分子内に2個以上有する化合物を用いうる。架橋剤の例としては、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、及びイソシアネート化合物を挙げることができる。架橋剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
エポキシ化合物としては、分子内に2個以上のエポキシ基を有する多官能のエポキシ化合物を用いうる。このようなエポキシ化合物を用いることにより、架橋反応を進行させてB層の機械的強度を効果的に向上させることができる。
また、市販品として入手可能なエポキシ化合物の例としては、ナガセケムテックス社製の「デナコール(デナコールEX−521,EX−614Bなど)」シリーズ等が挙げられる。
エポキシ化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
カルボジイミド化合物としては、1分子内にカルボジイミド基を2以上有する化合物を用いうる。このカルボジイミド化合物は、原料として有機モノイソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等の有機イソシアネートを用いて製造される。これらの有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が挙げられる。したがって、有機イソシアネートが有する有機基としては、芳香族及び脂肪族のいずれを用いてもよく、また、芳香族の有機基及び脂肪族の有機基を組み合わせて用いてもよい。中でも、反応性の観点から、脂肪族の有機基を有する有機イソシアネートが特に好ましい。通常、カルボジイミド化合物は、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。
オキサゾリン化合物としては、下記式(I)で示されるオキサゾリン基を有する重合体を用いうる。下記式(I)において、R4、R5、R6及びR7は、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群より選ばれるいずれかを表す。
オキサゾリン化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
イソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を含有する化合物即ちジイソシアネート化合物を用いうる。これらのジイソシアネート化合物は、脂肪族化合物でもよく、脂環式化合物でもよく、芳香族化合物でもよい。
脂肪族ジイソシアネート化合物としては、炭素原子数1〜12の脂肪族ジイソシアネートが好ましい。そのより具体的な例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(HDI)などが挙げられる。脂環式ジイソシアネート化合物としては、炭素原子数4〜18の脂環式ジイソシアネートが好ましい。そのより具体的な例としては、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)などが挙げられる。芳香族ジイソシアネートの例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
材料Yは、架橋剤に加えて、硬化促進剤、硬化助剤等の成分を含みうる。
硬化促進剤の例としては、架橋剤として例えばエポキシ化合物を用いる場合には、第3級アミン系化合物(4−位に3級アミンを有する2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基を有する化合物を除く)、及び三弗化ホウ素錯化合物が挙げられる。硬化促進剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化促進剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、官能基を有する重合体Ypの100重量部に対して、通常、0.001〜30重量部、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.03〜10重量部である。
材料Yは、本発明の効果を著しく損わない限り、前記した以外の任意成分を含みうる。
材料Yは、通常、水または水溶性の溶媒を含む。水溶性の溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルエチルケトン、トリエチルアミンなどが挙げられる。溶媒としては、水を用いることが好ましい。なお、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。配合する溶媒の量は、材料Yの粘度が、塗布に適した範囲になるように設定することが好ましい。具体的には、材料Yの固形分(材料Yを用いたB層の形成において、B層に残留する成分)の割合が1重量%以上、50重量%以下としうる。
好ましい態様において、光学フィルムは、B層として、ポリウレタン樹脂の層を有する。ポリウレタン樹脂の層とは、重合体Ypとしてポリウレタンを含む材料Yを用いて構成される層である。そして、さらに好ましい態様において、材料Y中の、重合体Ypとしてのポリウレタンは、そのガラス転移温度が−55〜40℃である。
重合体Ypとしてのポリウレタンのガラス転移温度は、ポリウレタンの単層のフィルムを形成し、当該フィルムのガラス転移温度を、動的粘弾性測定装置(ユービーエム社製「Rheogel−E4000」)を用いて、tanδのピークから測定することにより求めうる。2つピークが出る場合は、低い方のピークを採用しうる。
B層がこのような範囲のガラス転移温度を有するポリウレタンを含む材料を用いて構成される層であることにより、B層と他の層との接着性を向上させることができる。例えば、光学フィルムがその一方の表面側にB層を有する場合、光学フィルムの表面と他の部材の表面との強固な貼合を達成することができる。
B層の厚みは、50nm以上が好ましく、100nm以上がより好ましく、150nm以上が特に好ましく、また、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましく、3μm以下が特に好ましい。B層の厚みが前記下限値以上であることにより、A層とB層との間の高い接着強度を得ることができる。一方、B層の厚みを前記上限値以下とし、比較的軟らかい層となりうるB層の厚みを薄くすることにより、本発明の積層フィルムを巻回して巻回体としたときの変形を低減することができる。
多層光学フィルムは、A層及びB層に加えて、他の任意の層を備えていてもよい。任意の層の例としては、反射防止層、ハードコート層、帯電防止層、防眩層、防汚層、セパレーターフィルム等を挙げることができる。
多層光学フィルムの製造方法は、特に限定されないが、好ましい製造方法の例として:
工程(P1):A層を構成する熱可塑性樹脂からなるフィルム(A)を形成する工程、及び
工程(P2):フィルム(A)の表面に、材料Yを用いて、B層を形成し、A層及びB層を含む多層光学フィルムを形成する工程
を含む製造方法が挙げられる。以下においては、この製造方法を、多層光学フィルムの製造方法として説明する。
工程(P2−1):フィルム(A)の表面に材料Yを塗布して塗膜を形成する工程、及び
工程(P2−2):塗膜中の成分を硬化させてB層を得る工程
を含みうる。
段階(i):工程(P1)の後であって工程(P2−1)の前の段階、
段階(ii):工程(P2−1)の後であって工程(P2−2)の前の段階、
段階(iii):工程(P2−2)と同時、及び/又は
段階(iv):工程(P2−2)の後の段階
に行いうる。
平均水接触角は、例えば、親水化表面処理を施したB層の表面において、100cm2の範囲内で無作為に選んだ20点の水接触角を測定し、この測定値の加算平均により算出される。水接触角の標準偏差は、この測定値から算出される。親水化処理を行うことにより、B層の表面に、例えばヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、スルホン酸基などの官能基を導入することができる。
光学フィルムとして、上に述べた多層光学フィルムを用い、光学フィルムを、B層側の面が他のフィルム(例えば偏光膜等)と貼合した態様で使用する場合、通常、B層の高い親和性及び高い変形能等により、高い接着性を得ることができる。
保護フィルムは、積層フィルムにおいて、光学フィルムの表面を保護するために設けられるフィルムである。保護フィルムは、1の層のみから構成されていてもよく、2以上の層から構成されていてもよい。保護フィルムの具体的な例としては、樹脂の基材層のみからなる単層の保護フィルム、及び当該基材層とその片面又は両面に設けられた易接着層等の表面層とを有する多層フィルム(以下において、多層保護フィルムということがある)が挙げられる。
0<Ra≦0.18 式(1)
本発明の積層フィルムにおいては、光学フィルムと保護フィルムとの剥離強度F(N/50mm)は、式(2)を満たす。
0.01≦F≦0.07 式(2)
積層フィルムの製造方法は、特に限定されず、光学フィルムと保護フィルムとを別々に調製し、これらを貼合することにより製造しうる。貼合は、通常、長尺の光学フィルムと長尺の保護フィルムとを、ロールトゥロールの製造ラインにおいて、長尺方法を揃えて圧着することにより行い、それにより長尺の積層フィルムを得うる。得られた長尺の積層フィルムは、巻回し、巻回体として保存及び運搬しうる。得られた長尺の積層フィルムの巻回体から、積層フィルムを引き出し、必要に応じて他のフィルムと貼合した後、保護フィルムを剥離し、光学フィルムを所望の用途に用いうる。
本発明の積層フィルムの用途の好ましい例として、以下に説明する、本発明の偏光板の製造方法への利用が挙げられる。
本発明の偏光板の製造方法は、
工程(1):積層フィルムの光学フィルム側の表面に偏光子を貼合し、偏光子付き積層体を得る工程と、
工程(2):偏光子付き積層体から保護フィルムを除去する工程と
を含む。
但し本発明の積層フィルムはこれに限られず、例えば1層の光学フィルム及びその両面のそれぞれに1層ずつの保護フィルムを備える場合もあり得るので、その場合はどちらか一方の保護フィルムを剥離し、1層の光学フィルム及び1層の保護フィルムからなる積層フィルムとした後に工程(1)に供しうる。
工程(2)の具体的な例を、図3を参照して説明する。図3は、本発明の偏光板の製造方法における工程(2)の例を模式的に示す断面図である。この例において、保護フィルム121は、光学フィルム111から剥離されることにより、偏光子付き積層体から除去され、これにより、光学フィルム111及び偏光子211を備える偏光板300が得られる。この例において、保護フィルム121の剥離は、剥離位置Pが、矢印A1方向に進行するよう行われている。本発明の偏光板の製造方法においては、積層フィルムとして上に述べた特定の本発明の積層フィルムを用いることにより、光学フィルムの一端から他端への剥離の進行が一定に進み、ジッピングが抑制され、その結果、剥離後の光学フィルムの表面におけるスジ状の不具合の発生が低減され、高品質な偏光板を容易に製造することができる。
本発明の積層フィルムから剥離して得た光学フィルム、及び本発明の偏光板の製造方法により製造した偏光板は、液晶表示装置の構成要素として用いうる。
本発明の積層フィルムから剥離して得た光学フィルムは、容易に製造し高品質な状態で利用することができ、且つ、位相差を有する場合は複屈折の高度な補償が可能なので、それ単独あるいは他の部材と組み合わせて用いうる。例えば、光学フィルムを単独で位相差板又は視野角補償フィルムとして用いてもよい。また、例えば、位相差を有する光学フィルムを円偏光フィルムと組み合わせて輝度向上フィルムとして用いてもよい。また、これらは、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、FED(電界放出)表示装置、SED(表面電界)表示装置などに適用してもよい。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
(樹脂Ypのガラス転移温度の測定方法)
実施例及び比較例で用いたポリウレタンの水分散体(商品名「アデカボンタイター」又は商品名「スーパーフレックス」)をテフロン(登録商標)加工した容器に流し入れ、常温24時間で乾燥、その後、120℃のオーブンで1時間乾燥し、150μmの単膜を用意した。この単膜のガラス転移温度を、動的粘弾性測定装置(ユービーエム社製「Rheogel−E4000」)を用いて、tanδのピークから測定した。2つピークが出る場合は、低い方のピークを用いた。
ZYGO社製NewViewシリーズを用いて算術平均粗さRaを測定した。試験片は、100mm×100mmとし、測定倍率は、測定視野(面積)が1.82mm×1.36になるよう調整した。測定サンプルの中央付近の任意の位置を5点測定し、その平均値をRaとした。但し、測定結果の3次元画像において四隅が平坦でない場合(中央部よりも凹凸が大きい)は、その結果を排除して平均値を求めた。また、表面の大きなうねりを補正する為、解析はCylinderモードで実施した。
製造した積層フィルムの巻回体の巻末から長尺の積層フィルムを引き出して、3箇所から試験片を切り出した。それぞれの試験片の形状は幅方向50mm、長手方向200mmの矩形とし、試験片の長手方向が、長尺の積層フィルムの長手方向と一致するよう切り出した。3つの試験片を切り出す3つの位置は、長尺の積層フィルムの幅方向の3箇所(幅方向に間隔をあけて離れた3箇所)とした。
それぞれの試験片において、保護フィルムを光学フィルムから剥離し、剥離強度を測定した。保護フィルムの剥離方向は180°方向とし、剥離の速度は300mm/minとし、試験片の長手方向の一端から他端に剥離が進むよう剥離した。剥離強度を検出する機器としては、高性能型デジタルフォースゲージZP−5N(イマダ社製)を使用した。3つの試験片についての測定結果の平均値を剥離強度として得た。
製造した積層フィルム巻回体から、積層フィルムを引き出し、保護フィルムを、張力を制御した状態で連続的に剥離し、剥離の状態を観察した。保護フィルム剥離の張力が安定であった場合は安定と評価し、不安定になった場合は、ジッピング有と評価した。
[偏光子の製造]
厚み80μmのポリビニルアルコールフィルムを、0.3%のヨウ素水溶液中で染色した。その後、染色したポリビニルアルコールフィルムを4%のホウ酸水溶液及び2%のヨウ化カリウム水溶液中で5倍まで延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、偏光子を製造した。
[接着液の製造]
アセトアセチル基を含むポリビニルアルコール(日本合成化学工業製「ゴーセファイマーZ410」)に水を加えて固形分3%に希釈し、接着液を製造した。
(1−1.フィルム(A)の製造)
シクロオレフィン系重合体を含む樹脂(ガラス転移温度137℃;日本ゼオン社製「ZEONOR1420R」)のペレットを100℃で5時間乾燥した。その後、乾燥した樹脂のペレットを、単軸の押出し機に供給した。樹脂は押出し機内で溶融された後、ポリマーパイプ及びポリマーフィルターを経て、Tダイからキャスティングドラム上にシート状に押出されて、冷却された。これにより、厚み115μm、幅500mmのフィルム(A)を得た。
ポリウレタンの水分散体(商品名「アデカボンタイター」、アデカ社製、重合体Ypとして極性基を有するカーボネート系ポリウレタンを含む、ガラス転移温度−16℃)を100部(水分散体中のポリウレタンの重量としての量)取り、ここにエポキシ化合物(商品名「デナコールEX−521」、ナガセケムテックス社製)9部と、アジピン酸ジヒドラジド5部と、水とを配合して、材料Yを、固形分20%の液状の水系樹脂組成物として得た。
コロナ処理装置(春日電機社製)を用いて、出力500W、電極長1.35m、搬送速度15m/minの条件で、(1−1)で得たフィルム(A)の一方の表面に放電処理を施した。フィルム(A)の放電処理を施した側の表面に、(1−2)で得た材料Yを、乾燥膜厚が2.3μmになるようにロールコーターを用いて塗布した。その後、テンター式横延伸機を用いて、フィルム(A)の両端部をクリップで把持して、延伸温度155℃、延伸倍率4.6倍で連続的に横一軸延伸し、さらに左右両端の部分を裁断して除去した。これにより、塗布された材料Yを乾燥させ硬化させる工程と、フィルム(A)を延伸する工程とが同時に実施され、フィルム(A)の表面にB層が形成された。これにより、(A層)/(B層)の層構成を有し、A層厚み25μm、B層厚み0.5μm、幅1330mmの光学フィルム1を得た。
保護フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートのフィルム(東洋紡社製「コスモシャインA4100」)を用意した。この保護フィルムは、片面のみに易接着処理が施されたフィルムであり、易接着面の算術平均粗さRaは0.003μm、反易接着面の算術平均粗さRaは0.003μmであった。本実施例では、反易接着面を保護フィルム正面として用いた。
また、本実施例では、光学フィルム1を、そのB層側の面を正面として用いた。
(1−3)で得た光学フィルム1と、保護フィルムとを、光学フィルム1の正面(B層側の面)と、保護フィルムの正面(反易接着面)とが向き合った状態で重ねて、1対のロールの狭隙間を通し、これらを圧着した。これにより、光学フィルム1と保護フィルムとを貼合し、(A層)/(B層)/(保護フィルム)の層構成を有する積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは巻回して巻回体とした。
(1−4)で得られた積層フィルムについて、剥離強度を測定したところ、0.054N/50mmであった。保護フィルム剥離時の安定性は、安定と評価された。保護フィルムを剥離した後、光学フィルムの正面の算術平均粗さRaを測定したところ、0.002μmであり、良好な平滑性を有していた。
(1−4)で得られた積層フィルムと偏光子とを、接着液を介して、積層フィルムの光学フィルム側の表面と偏光子の一方の表面とが向き合った状態で重ねて、ロールラミネーターで貼合し、(偏光子)/(接着層)/(光学フィルム)/(保護フィルム)の層構成を有する多層フィルムを得た。
さらに、この多層フィルムと、トリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製、商品名「フジタック」、厚さ60μm)を、接着液を介して、多層フィルムの偏光子側の表面とトリアセチルセルロースフィルムの一方の表面とが向き合った状態で重ねて、ロールラミネーターで貼合し、(トリアセチルセルロースフィルム)/(接着層)/(偏光子)/(接着層)/(光学フィルム)/(保護フィルム)の層構成を有する、偏光子付き積層体を得た。
さらに、この偏光子付き積層体から、保護フィルムを除去し、(トリアセチルセルロースフィルム)/(接着層)/(偏光子)/(接着層)/(光学フィルム)の層構成を有する偏光板を得た。
得られた偏光板を肉眼で観察したところ、光学フィルム表面の凹凸は確認されず、視認性は良好であった。
実施例1の(1−4)において、保護フィルムを、ポリエチレンのフィルム(Tredegar Film Products Corporation製「Force Field 1035」)に変更した。この保護フィルムは、一方の面の算術平均粗さRaが0.16μm、他方の面の算術平均粗さRaが0.72μmであり、本実施例では、算術平均粗さRaが0.16μmの面を正面として用いた。
上記の事項以外は実施例1と同様にして、積層フィルム及び偏光板を得て評価した。剥離強度は0.015N/50mmであった。保護フィルム剥離時の安定性は、安定と評価された。保護フィルムを剥離した後、光学フィルムの正面の算術平均粗さRaを測定したところ、0.049μmであり、良好な平滑性を有していた。また、得られた偏光板を肉眼で観察したところ、光学フィルム表面の凹凸は確認されず、視認性は良好であった。
(3−1.積層フィルムの製造)
保護フィルムとして、ポリエチレンのフィルム(東レフィルム加工製「トレテック」)を用意した。この保護フィルムは、一方の面の算術平均粗さRaが0.084μm、他方の面の算術平均粗さRaが0.32μmであり、本実施例では、算術平均粗さRaが0.084μmの面を正面として用いた。
また、本実施例では、実施例1の(1−3)で得た光学フィルム1を、そのA層側の面を正面として用いた。
実施例1の(1−3)で得た光学フィルム1と、保護フィルムとを、光学フィルム1の正面(A層側の面)と、保護フィルムの正面とが向き合った状態で重ねて、1対のロールの狭隙間を通し、これらを圧着した。これにより、光学フィルム1と保護フィルムとを貼合し、(保護フィルム)/(A層)/(B層)の層構成を有する積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは巻回して巻回体とした。
(3−1)で得られた積層フィルムについて、剥離強度を測定したところ、0.036N/50mmであった。保護フィルム剥離時の安定性は、安定と評価された。保護フィルムを剥離した後、光学フィルムの正面の算術平均粗さRaを測定したところ、0.025μmであり、良好な平滑性を有していた。
積層フィルムとして、(1−4)で得られた積層フィルムに代えて、(3−1)で得られた積層フィルムを用いた他は、実施例1の(1−6)と同様にして、偏光板を製造して評価した。得られた偏光板を肉眼で観察したところ、光学フィルム表面の凹凸は確認されず、視認性は良好であった。
(4−1.光学フィルムの製造)
実施例1の(1−3)において得られた光学フィルム1のA層側の表面に、コロナ処理装置(春日電機社製)を用いて、出力500W、電極長1.35m、搬送速度10m/minの条件で放電処理を施した。この放電処理を施した表面に、実施例1の(1−2)において得られた材料Yを、乾燥膜厚が0.5μmになるようにロールコーターを用いて塗布し、その後、90℃の乾燥オーブンに通した。これにより、もう1層のB層(以下において、先に形成せいたB層と区別してB2層という)を形成し、(B層)/(A層)/(B2層)の層構成を有する光学フィルム2を得た。
保護フィルムとして、ポリエチレンのフィルムポリエチレンのフィルム(Tredegar Film Products Corporation製「Force Field 1035」)を用意した。この保護フィルムは、一方の面の算術平均粗さRaが0.16μm、他方の面の算術平均粗さRaが0.72μmであり、本実施例では、算術平均粗さRaが0.16μmの面を正面として用いた。
また、本実施例では、(4−1)で得た光学フィルム2を、そのB層側の面を正面として用いた。
(4−1)で得た光学フィルム2と、保護フィルムとを、光学フィルム2の正面(B層側の面)と、保護フィルムの正面とが向き合った状態で重ねて、1対のロールの狭隙間を通し、これらを圧着した。これにより、光学フィルム2と保護フィルムとを貼合し、(保護フィルム)/(B層)/(A層)/(B2層)の層構成を有する積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは巻回して巻回体とした。
(4−2)で得られた積層フィルムについて、剥離強度を測定したところ、0.016N/50mmであった。保護フィルム剥離時の安定性は、安定と評価された。保護フィルムを剥離した後、光学フィルムの正面の算術平均粗さRaを測定したところ、0.049μmであり、良好な平滑性を有していた。
積層フィルムとして、(1−4)で得られた積層フィルムに代えて、(4−2)で得られた積層フィルムを用いた他は、実施例1の(1−6)と同様にして、偏光板を製造して評価した。得られた偏光板を肉眼で観察したところ、光学フィルム表面の凹凸は確認されず、視認性は良好であった。
(5−1.光学フィルムの製造)
実施例1の(1−2)において、ポリウレタンの水分散体を、商品名「スーパーフレックス」(第一工業製薬社製、重合体Ypとして、極性基を有するエステル系ポリウレタンを含む、ガラス転移温度41℃)に変更した。上記の事項以外は実施例1の(1−1)〜(1−3)と同様にして、光学フィルム3を得た。
保護フィルムとして、ポリエチレンのフィルム(Tredegar Film Products Corporation製「Force Field 1035」)を用意した。この保護フィルムは、一方の面の算術平均粗さRaが0.15μm、他方の面の算術平均粗さRaが0.82μmであり、本実施例では、算術平均粗さRaが0.15μmの面を正面として用いた。
また、本実施例では、(5−1)で得た光学フィルム3を、そのB層側の面を正面として用いた。
(5−1)で得た光学フィルム3と、保護フィルムとを、光学フィルム3の正面と、保護フィルムの正面とが向き合った状態で重ねて、1対のロールの狭隙間を通し、これらを圧着した。これにより、光学フィルム3と保護フィルムとを貼合し、(A層)/(B層)/(保護フィルム)の層構成を有する積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは巻回して巻回体とした。
(5−2)で得られた積層フィルムについて、剥離強度を測定したところ、0.017N/50mmであった。保護フィルム剥離時の安定性は、安定と評価された。保護フィルムを剥離した後、光学フィルムの正面の算術平均粗さRaを測定したところ、0.045μmであり、良好な平滑性を有していた。
積層フィルムとして、(1−4)で得られた積層フィルムに代えて、(5−2)で得られた積層フィルムを用いた他は、実施例1の(1−6)と同様にして、偏光板を製造して評価した。得られた偏光板を肉眼で観察したところ、光学フィルム表面の凹凸は確認されず、視認性は良好であった。
(6−1.光学フィルムの製造)
コロナ処理及び材料Yの塗布を実施しなかった他は、実施例1の(1−1)及び(1−3)と同様にして、延伸されたA層のみからなる光学フィルム4を得た。
保護フィルムとして、ポリエチレンのフィルム(東レフィルム加工製「トレテック」)を用意した。この保護フィルムは、一方の面の算術平均粗さRaが0.084μm、他方の面の算術平均粗さRaが0.32μmであり、本実施例では、算術平均粗さRaが0.084μmの面を正面として用いた。
また、本実施例では、(6−1)で得た光学フィルム4を用いた。
(6−1)で得た光学フィルム4と、保護フィルムとを、光学フィルム4の一方の面と、保護フィルムの正面とが向き合った状態で重ねて、1対のロールの狭隙間を通し、これらを圧着した。これにより、光学フィルム4と保護フィルムとを貼合し、(A層)/(保護フィルム)の層構成を有する積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは巻回して巻回体とした。
(6−2)で得られた積層フィルムについて、剥離強度を測定したところ、0.036N/50mmであった。保護フィルム剥離時の安定性は、安定と評価された。保護フィルムを剥離した後、光学フィルムの正面の算術平均粗さRaを測定したところ、0.025μmであり、良好な平滑性を有していた。
積層フィルムとして、(1−4)で得られた積層フィルムに代えて、(6−2)で得られた積層フィルムを用いた他は、実施例1の(1−6)と同様にして、偏光板を製造して評価した。得られた偏光板を肉眼で観察したところ、光学フィルム表面の凹凸は確認されず、視認性は良好であった。
(C1−1.積層フィルムの製造)
保護フィルムとして、ポリエチレンのフィルム(Tredegar Film Products Corporation製「Force Field 1035」)を用意した。この保護フィルムは、一方の面の算術平均粗さRaが0.21μm、他方の面の算術平均粗さRaが0.96μmであり、本比較例では、算術平均粗さRaが0.21μmの面を正面として用いた。
また、本比較例では、実施例1の(1−3)で得た光学フィルム1を、そのA層側の面を正面として用いた。
実施例1の(1−3)で得た光学フィルム1と、保護フィルムとを、光学フィルム1の正面(A層側の面)と、保護フィルムの正面とが向き合った状態で重ねて、1対のロールの狭隙間を通し、これらを圧着した。これにより、光学フィルム1と保護フィルムとを貼合し、(保護フィルム)/(A層)/(B層)の層構成を有する積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは巻回して巻回体とした。
(C1−1)で得られた積層フィルムについて、剥離強度を測定したところ、0.020N/50mmであった。保護フィルム剥離時の安定性は、安定と評価された。保護フィルムを剥離した後、光学フィルムの正面の算術平均粗さRaを測定したところ、0.056μmであり、凹凸形状が大きく平滑性が乏しかった。
積層フィルムとして、(1−4)で得られた積層フィルムに代えて、(C1−2)で得られた積層フィルムを用いた他は、実施例1の(1−6)と同様にして、偏光板を製造して評価した。得られた偏光板を肉眼で観察したところ、光学フィルム表面の凹凸がムラとして見えてしまい、視認性は不良であった。
実施例1の(1−4)において、保護フィルムを、ポリエチレンのフィルム(東レフィルム加工製「トレテック」)に変更した。この保護フィルムは、一方の面の算術平均粗さRaが0.09μm、他方の面の算術平均粗さRaが0.56μmであり、本比較例では、算術平均粗さRaが0.56μmの面を正面として用いた。
上記の事項以外は実施例1と同様にして、積層フィルムの製造を試みたが、光学フィルムと保護フィルムとの密着力が不足し、貼合を行うことができなかった。
(C3−1.積層フィルムの製造)
保護フィルムとして、ポリエチレンのフィルム(東レフィルム加工製「トレテック」)を用意した。この保護フィルムは、一方の面の算術平均粗さRaが0.06μm、他方の面の算術平均粗さRaが0.4μmであり、本比較例では、算術平均粗さRaが0.4μmの面を正面として用いた。
また、本比較例では、実施例1の(1−3)で得た光学フィルム1を、そのA層側の面を正面として用いた。
実施例1の(1−3)で得た光学フィルム1と、保護フィルムとを、光学フィルム1の正面(A層側の面)と、保護フィルムの正面とが向き合った状態で重ねて、1対のロールの狭隙間を通し、これらを圧着し、積層フィルムの製造を試みたが、光学フィルムと保護フィルムとの密着力が不足し、貼合を行うことができなかった。
実施例1の(1−4)において、保護フィルムを、ポリエチレンテレフタレートのフィルム(東洋紡社製「コスモシャインA4300」)に変更した。この保護フィルムは、両面に易接着処理が施されたフィルムであり、どちらの面も算術平均粗さRaは0.003μmであった。本比較例では、それらのうち一方の面を正面として用いた。
上記の事項以外は実施例1と同様にして、積層フィルム及び偏光板を得て評価した。剥離強度は0.210N/50mmであった。保護フィルム剥離時の安定性は、張力が安定せず、ジッピング有と評価された。保護フィルムを剥離した後、光学フィルムの正面の算術平均粗さRaを測定したところ、0.002μmであり、良好な平滑性を有していた。また、得られた偏光板を肉眼で観察したところ、表面の凹凸は確認されず、視認性は良好であった。
(C5−1.光学フィルムの製造)
コロナ処理及び材料Yの塗布を実施しなかった他は、実施例1の(1−1)及び(1−3)と同様にして、延伸されたA層のみからなる光学フィルム4を得た。
保護フィルムとして、ポリエチレンのフィルム(Tredegar Film Products Corporation製「Force Field 1035」)を用意した。この保護フィルムは、一方の面の算術平均粗さRaが0.23μm、他方の面の算術平均粗さRaが0.93μmであり、本実施例では、算術平均粗さRaが0.23μmの面を正面として用いた。
また、本実施例では、(C5−1)で得た光学フィルム4を用いた。
(C5−1)で得た光学フィルム4と、保護フィルムとを、光学フィルム4の一方の面と、保護フィルムの正面とが向き合った状態で重ねて、1対のロールの狭隙間を通し、これらを圧着した。これにより、光学フィルム4と保護フィルムとを貼合し、(A層)/(保護フィルム)の層構成を有する積層フィルムを得た。得られた積層フィルムは巻回して巻回体とした。
(C5−2)で得られた積層フィルムについて、剥離強度を測定したところ、0.021N/50mmであった。保護フィルム剥離時の安定性は、安定と評価された。保護フィルムを剥離した後、光学フィルムの正面の算術平均粗さRaを測定したところ、0.059μmであり、凹凸形状が大きく平滑性が乏しかった。
積層フィルムとして、(1−4)で得られた積層フィルムに代えて、(C5−2)で得られた積層フィルムを用いた他は、実施例1の(1−6)と同様にして、偏光板を製造して評価した。得られた偏光板を肉眼で観察したところ、光学フィルム表面の凹凸がムラとして見えてしまい、視認性は不良であった。
2) 保護フィルムの材質。PET1:ポリエチレンテレフタレート(片面のみ易接着面。反易接着面を正面として使用)。PET2:ポリエチレンテレフタレート(両面易接着面)。PE:ポリエチレン。
3) A層、B層、保護フィルムをそれぞれA、B、Pとして、積層フィルムの層構成を模式的に表示。
4) 積層フィルムから保護フィルムを除去した後の、光学フィルム正面のRa。
111:光学フィルム
121:保護フィルム
211:偏光子
200:偏光子付き積層体
300:偏光板
Claims (8)
- 脂環式構造含有重合体樹脂の層及びポリウレタン樹脂の第1の層を有する光学フィルムと、保護フィルムとを、前記脂環式構造含有重合体樹脂の層、前記第1の層、及び前記保護フィルムの順で備え、巻回体である積層フィルムであって、
前記保護フィルムの前記光学フィルム側の表面の算術平均粗さRa(μm)、及び前記光学フィルムと前記保護フィルムとの剥離強度F(N/50mm)が、式(1)及び式(2)を満たす、積層フィルム。
0<Ra≦0.18 式(1)
0.01≦F≦0.07 式(2) - 前記光学フィルムが、更にポリウレタン樹脂の第2の層を有し、前記積層フィルムが、前記第2の層、前記脂環式構造含有重合体樹脂の層、前記第1の層、及び前記保護フィルムをこの順で備える、請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記光学フィルムが、前記ポリウレタン樹脂の第1の層及び/又はポリウレタン樹脂の第2の層として、材料Yを用いて構成される層を有し、
前記材料Yは、ガラス転移温度が−55〜40℃のポリウレタンを含む請求項1又は2に記載の積層フィルム。 - 前記保護フィルムは、ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂の層を有するフィルムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 前記ポリウレタン樹脂が、カーボネート構造を骨格に有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 前記光学フィルムの厚さが30μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルムの光学フィルム側の表面に偏光子を貼合し、偏光子付き積層体を得る工程と、
前記偏光子付き積層体から保護フィルムを除去する工程とを含む、偏光板の製造方法。 - 脂環式構造含有重合体樹脂の層の表面に、ポリウレタン樹脂の第1の層を形成して光学フィルムを形成する工程、
前記光学フィルムと保護フィルムとを貼合し、前記脂環式構造含有重合体樹脂の層、前記ポリウレタン樹脂の第1の層、前記保護フィルムをこの順で備える積層フィルムを得る工程、
前記積層フィルムを巻回す工程、
を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルムの製造方法。
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