JP5359774B2 - 光学フィルム用保護フィルム - Google Patents
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Description
しかしながら、粘着剤中の低分子量成分の含有量が少ないと、粘着剤層の硬度が大きくなり、光学フィルムとの密着性が低下するという問題が生じる。特に、モスアイ構造のような数nm〜数百nmの微細凹凸を有する光学フィルムでは、保護フィルムの粘着剤層の硬度が大きいと、粘着剤が微細凹凸内部まで入り込まず、他の被保護体に比べて光学フィルムと保護フィルムの粘着剤層との接触面積が小さくなるので、光学フィルムと保護フィルムの密着性が大幅に低下し、光学フィルムの保管時や運搬時に保護フィルムが剥がれてしまう。
本発明の光学フィルム用保護フィルムは、その構成により2つの実施態様に分けることができる。以下、各実施態様に分けて説明する。
本発明の光学フィルム用保護フィルムの第1実施態様は、ナノメートルオーダーの微細凹凸を有する光学フィルムに用いられる光学フィルム用保護フィルムであって、基板と、上記基板上に形成され、表面粗さRaが0.030μm以下であり、剛体振り子測定における対数減衰率上昇温度が−35℃以上である粘着剤層とを有することを特徴とするものである。
図1は、本実施態様の光学フィルム用保護フィルムの一例を示す概略断面図である。図1において、光学フィルム用保護フィルム1は、基板2と、基板2上に形成され、所定の表面粗さRaおよび剛体振り子測定における対数減衰率上昇温度(硬度)を有する粘着剤層3とを備えている。
本実施態様における粘着剤層は、基板上に形成され、表面粗さRaが0.030μm以下であり、剛体振り子測定における対数減衰率上昇温度が−35℃以上であるものである。
なお、上記表面粗さRaは、オリンパス社製白色干渉計RBX3300H Liteにて測定した値とする。
ここで、剛体振り子法とは、剛体振り子を用い、振り子の振動の減衰過程を解析することによって、固体の表面物性等を評価する方法である。
剛体振り子測定では、極低温から温度を上げていき、振り子の減衰率を測定する。本実施態様においては、−100℃から60℃まで3℃/minで昇温させ、振り子の減衰率を測定する。
本実施態様において、対数減衰率上昇温度とは、剛体振り子測定において対数減衰率が急激に上昇し始める温度であり、温度に対する対数減衰率の傾き(ΔE/ΔT)が0.005となる温度をいう。なお、測定範囲内でΔE/ΔT=0.005となる温度が複数点ある場合は、最も温度が低いものを対数減衰率上昇温度とする。
すなわち、本実施態様において、対数減衰率とは、−100℃から60℃まで3℃/minで昇温させたときに得られる対数減衰率の値を意味するものであり、対数減衰率上昇温度とは、剛体振り子測定において−100℃から60℃まで3℃/minで昇温させたときに対数減衰率が急激に上昇し始める温度であり、温度に対する対数減衰率の傾き(ΔE/ΔT)が0.005となる温度を意味するものである。
このような金属キレートの具体例としては、アルミニウムイソプレピレート、アルミニウムブチレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセネート、アルミニウムアルキルアセトアセネートなどのアルミニウムキレート化合物やジプロポキシ−ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジブトキシチタン−ビス(オクチレングリコレート)、ジプロポキシチタン−ビス(エチルアセトアセテート)、ジプロポキシチタン−ビス(ラクテート)、ジプロポキシチタン−ビス(トリエタノールアミナート)、ジ−n−ブトキシチタン−ビス(トリエタノールアミナート)、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、ブチルチタネートダイマー、ポリ(チタンアセチルアセトナート)等のチタンキレート化合物やジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムモノアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテートなどのジルコニウムキレート化合物、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等の有機カルボン酸金属塩、アセチルアセトン亜鉛キレート、ベンゾイルアセトン亜鉛キレート、ジベンゾイルメタン亜鉛キレート、アセト酢酸エチル亜鉛キレート等の亜鉛キレート化合物が挙げられる。中でも、アルミニウムイソプレピレート、アルミニウムブチレート、アルミニウムエチレート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセネート、アルミニウムアルキルアセトアセネートなどのアルミニウムキレート化合物を好ましく用いることができる。上記粘着剤を架橋する架橋速度の調整が容易だからである。
本実施態様に用いられる基板としては、保護対象である光学フィルムに傷が付かないように十分な強度を有するものであれば特に限定されるものではない。このような基板の構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールもしくはエチレン−ビニルアルコール共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデンもしくはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、または、ポリアミド系樹脂等を挙げることができる。中でも、ポリエチレンテレフタレートを好ましく用いることができる。ポリエチレンテレフタレートは、透明性に優れ、光学フィルム用途に適しており、また平滑性の良好な基板が得られるからである。
本実施態様の光学フィルム用保護フィルムの剥離強度(剥離力)としては、光学フィルムと密着できれば特に限定されるものではないが、微細凹凸を有する被着体との剥離強度が、0.010N/25mm〜5.000N/25mmの範囲内であることが好ましく、中でも0.010N/25mm〜3.000N/25mmの範囲内、特に0.015N/25mm〜1.000N/25mmの範囲内であることが好ましい。上記範囲であることにより、光学フィルムに十分な強度で密着することができ、且つ不要となった際に光学フィルムから剥し易いからである。
なお、上記剥離強度とは、以下の方法で測定した剥離強度をいう。すなわち、光学フィルム用保護フィルムを巾25mm×長さ150mmの大きさの短冊状の試験片にカットした後、JIS Z0237の規格に準拠した条件で、微細凹凸を有する被着体にラミネートする。そして、試験片を剥離角180°、剥離速度300mm/min、室温下の条件で、試験片の長さ方向に剥がしたときの剥離強度を測定する。剥離強度測定には、例えばインストロン社製の万能試験機5565を用いることができる。微細凹凸を有する被着体としては、通常、実際に本発明の光学フィルム用保護フィルムを貼り合わせるものを用いることとする。
本実施態様の光学フィルム用保護フィルムは、少なくとも基板と粘着剤層とを有するものであればよいが、中でも、粘着剤層表面にこの粘着剤層を被覆するセパレータが設けられた積層体からセパレータが剥離されたものであることが好ましい。セパレータの表面粗さRaを適宜選択することにより、セパレータ剥離後の粘着剤層の表面粗さRaを制御することができるからである。
なお、セパレータについては、後述の第2実施態様の項に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
本実施態様の光学フィルム用保護フィルムは、ナノメートルオーダーの微細凹凸を有する光学フィルムに用いられるものである。ナノメートルオーダーの微細凹凸を有する光学フィルムとしては、例えば、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細凹凸(以下、「モスアイ構造」と称する場合がある。)を有する反射防止フィルム、ワイヤーグリット偏光板等が挙げられる。中でも、本実施態様の光学フィルム用保護フィルムは、モスアイ構造を有する反射防止フィルムに好適に用いられる。
図4に例示するように、反射防止フィルム21は、光透過性基板22と、光透過性基板22上に形成され、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細凹凸を有する反射防止層23とを有するものである。以下、反射防止フィルムにおける各構成について説明する。
反射防止フィルムに用いられる反射防止層は、光透過性基板上に形成され、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細凹凸を有するものであり、反射防止フィルムに所望の反射防止機能を付与するものである。
なお、錐形の構造物が形成された周期、高さ、および間隔は、それぞれ図5におけるP、Q、およびRで表される距離を指すものである。
構造物の高さが上記範囲よりも高いと、個々の構造物が損壊しやすくなってしまう場合があり、また高さが上記範囲よりも低いと、長波長側の反射率が増加する傾向にあるからである。
なお、上記間隔はすべての構造物において均一ではない場合があるが、その場合における上記距離は、単位面積あたりに形成された構造物間の間隔の平均距離を指すものとする。
反射防止フィルムに用いられる光透過性基板は、上述した反射防止層を支持するものであり、上記反射防止層と相まって反射防止フィルムに所望の反射防止機能を付与するものである。
ここで、上記光透過率は、例えば島津製作所製紫外可視光分光光度計UV−3600により測定することができる。
反射防止フィルムは、少なくとも反射防止層と光透過性基板とを有するものであればよく、必要に応じて他の任意の構成を有していてもよい。任意の構成としては、反射防止層と光透過性基板との間に形成されるハードコート層、および光透過性基板の反射防止層が形成された面とは反対面上に形成される粘着層を挙げることができる。
本発明の光学フィルム用保護フィルムの第2実施態様は、ナノメートルオーダーの微細凹凸を有する光学フィルムに用いられる光学フィルム用保護フィルムであって、基板と、上記基板上に形成され、剛体振り子測定における対数減衰率上昇温度が−35℃以上である粘着剤層と、上記粘着剤層上に形成され、表面粗さRaが0.030μm以下であるセパレータとを有することを特徴とするものである。
図6は、本実施態様の光学フィルム用保護フィルムの一例を示す概略断面図である。図6において、光学フィルム用保護フィルム1は、基板2と、基板2上に形成され、所定の剛体振り子測定における対数減衰率上昇温度(硬度)を有する粘着剤層3と、粘着剤層3上に形成され、所定の表面粗さRaを有するセパレータ4とを備えている。
本実施態様に用いられるセパレータは、粘着剤層上に形成され、表面粗さRaが0.030μm以下であるものである。
なお、上記表面粗さRaは、オリンパス社製白色干渉計RBX3300H Liteにて測定した値とする。
本実施態様に用いられる粘着剤層は、基板上に形成され、剛体振り子測定における対数減衰率上昇温度が−35℃以上であるものである。
なお、上記表面粗さRaは、オリンパス社製白色干渉計RBX3300H Liteにて測定した値とする。
粘着剤層の形成には、主剤としてポリアクリル酸ブチル(アクリル系粘着剤)およびイソシアネート系架橋剤を用いた。また、セパレータとしてPETフィルムを用いた。
まず、基材となる厚み38μmのPETの上に粘着剤溶液を塗工し、乾燥後に膜厚が10μmとなるように乾燥させ粘着層を形成した。次に、乾燥後の粘着層に厚み25μmのPETフィルム(セパレータ)をラミネートし、エージング処理をして保護フィルムAを作製した。
セパレータをOPPに変更した以外は、実施例1と同様にして保護フィルムBを作製した。
保護フィルムとして東セロ株式会社保護フィルムLA10を用いた。
保護フィルムとして日東電工株式会社保護フィルムTP300を用いた。
保護フィルムとして日東電工株式会社保護フィルムRP300を用いた。
(剛体振り子測定における対数減衰率上昇温度)
粘着剤層について、剛体振り子物性試験機(型番:RPT−3000W 株式会社エー・アンド・デイ社製)を用いて、−100℃〜60℃の温度範囲で対数減衰率ΔEの測定を行った。得られたグラフを図8に示す。図8よりΔE/ΔT=0.005となる温度を求めた。
粘着剤層の表面粗さ、セパレータの表面粗さについては、オリンパス社白色干渉計RBX3300H Liteにて測定を行った。
(剥離強度)
保護フィルムの剥離強度については、インストロン社製の万能試験機5565を用いた。光学フィルム用保護フィルムを巾25mm×長さ150mmの大きさの短冊状の試験片にカットした後、JIS Z0237の規格に準拠した条件で、微細凹凸を有する被着体(錐形の構造物の周期100nm、高さ300nm、間隔20nm)にラミネートした。そして、試験片を剥離角180°、剥離速度300mm/min、室温下の条件で、試験片の長さ方向に剥がしたときの剥離強度を測定した。
(被着体汚染)
被着体汚染については、貼り付け後24時間放置し、剥離後、蛍光灯下、目視で保護フィルム貼り付け部分の反射率変化が確認できるものを×、確認できないものを○とした。
2 … 基板
3 … 粘着剤層
4 … セパレータ
11 … 光学フィルム
12 … 基板
13 … 凹凸層
Claims (2)
- ナノメートルオーダーの微細凹凸を有する光学フィルムに用いられる光学フィルム用保護フィルムであって、
基板と、
前記基板上に形成され、表面粗さRaが0.030μm以下であり、剛体振り子測定における対数減衰率上昇温度が−35℃〜−15℃の範囲内である粘着剤層と
を有し、
前記光学フィルムが、光透過性基板と、前記光透過性基板上に形成され、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細凹凸を有する反射防止層とを有する反射防止フィルムであり、
前記微細凹凸は、錐形の構造物が周期的に形成されたものであり、
前記錐形の構造物の周期は、50nm〜250nmの範囲内であり、
前記錐形の構造物の高さは、100nm〜500nmの範囲内である
ことを特徴とする光学フィルム用保護フィルム。 - ナノメートルオーダーの微細凹凸を有する光学フィルムに用いられる光学フィルム用保護フィルムであって、
基板と、
前記基板上に形成され、剛体振り子測定における対数減衰率上昇温度が−35℃〜−15℃の範囲内である粘着剤層と、
前記粘着剤層上に形成され、表面粗さRaが0.030μm以下であるセパレータと
を有し、
前記光学フィルムが、光透過性基板と、前記光透過性基板上に形成され、表面に可視光領域の波長以下の周期で形成された微細凹凸を有する反射防止層とを有する反射防止フィルムであり、
前記微細凹凸は、錐形の構造物が周期的に形成されたものであり、
前記錐形の構造物の周期は、50nm〜250nmの範囲内であり、
前記錐形の構造物の高さは、100nm〜500nmの範囲内である
ことを特徴とする光学フィルム用保護フィルム。
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