JP2014084336A - 保護粘着フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガラスやプラスチックなどのパネルに貼り合わせた際の外観に優れる保護粘着フィルムを提供する。
【解決手段】 フィルム基材に粘着剤層が設けられ、前記粘着剤層に剥離シートが積層された保護粘着フィルムであって、前記剥離シートの表面粗さRaが10〜100nmであり、前記粘着剤層の厚さが75μm以下、かつ、23℃における貯蔵弾性率G’が2.0×10Pa以上である保護粘着フィルムにより、ガラスやプラスチックなどのパネルに貼り合わせた際に、保護粘着フィルムが貼付されたパネル表面に光を反射させた場合にも、パネル表面がゆず肌状に見える外観不良を抑制でき、良好な外観を実現できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガラスやプラスチックなどのパネルに貼り合わせた際の外観に優れる保護粘着フィルムに関する。
モバイル用パソコンや電子手帳、携帯電話等の小型電子端末は小型化や薄型化が進んでおり、これに使用される液晶表示装置等の画像表示装置においては、近年益々の軽薄短小化が求められている。また、これら小型電子端末には、画像表示装置の傷つきや破損を防止するため保護用のスクリーンパネルが設けられることが多く、特に小型電子端末の多機能化によるタッチ入力が可能な小型電子端末の増加に伴い、傷つきや破損防止の要請が高まっている。
このような画像表示装置のスクリーンパネルには、剛性に優れたガラス製のパネルが使用されているが、パネル破損時にガラスが飛散するという安全上の問題があり、上記パネルの表面または裏面に保護粘着フィルムの貼付が検討されている。この保護粘着フィルムとしては、特定の層構成により高い表面硬度を実現した保護粘着フィルムなどが開示されている(特許文献1参照)。
しかしながら、画像表示装置の高精細化に伴い、高外観品質のパネルの要望が高まる中、従来の保護粘着フィルムが貼付されたパネル表面に光を反射させた場合、パネル表面がゆず肌状に見える外観不良が生じる場合があった。
特開2008−095064号公報
本発明が解決しようとする課題は、ガラスやプラスチックなどのパネルに貼り合わせた際の外観に優れる保護粘着フィルムを提供することにある。
本発明の保護粘着フィルムは、特定範囲の表面粗さを有する剥離シートに、特定範囲の貯蔵弾性率となる粘着剤層を組み合わせた保護粘着フィルムとすることで、ガラスやプラスチックなどのパネルに貼り合わせた際の外観に優れる保護粘着フィルムを実現した。
すなわち本発明は、フィルム基材に粘着剤層が設けられ、前記粘着剤層に剥離シートが積層された保護粘着フィルムであって、前記剥離シートの表面粗さRaが10nm以上であり、前記粘着剤層の厚さが75μm以下、かつ、23℃における貯蔵弾性率G’が2.0×10以上であることを特徴とする保護粘着フィルムを提供するものである。
本発明の保護粘着フィルムは、特定範囲の表面粗さを有する剥離シートに、特定範囲の貯蔵弾性率となる粘着剤層を組み合わせた保護粘着フィルムであるため、剥離フィルム表面の微細な凹凸が粘着剤層表面に転写され難く、粘着剤層表面の微細な凹凸が反射光の斑を防ぐことができ、外観不良が無く、製品の品質が向上する。
本発明の保護粘着フィルムは、フィルム基材に粘着剤層が設けられ、前記粘着剤層に剥離シートが積層された保護粘着フィルムであって、前記剥離シートの表面粗さRaが10nm以上であり、前記粘着剤層の厚さが75μm以下、かつ、23℃における貯蔵弾性率G’が2.0×10以上である保護粘着フィルムである。
[フィルム基材]
本発明に使用するフィルム基材は、一般に粘着シートの基材として使用される各種の樹脂フィルム基材を使用でき、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッソ樹脂、ナイロン、アクリル樹脂等の樹脂フィルムを挙げることができる。
本発明に使用するフィルム基材は、上記樹脂フィルムのみからなる基材であっても良いが、ハードコート層との密着性を向上させるために上記樹脂フィルムに薄いプライマー層を設けたフィルム基材であってもよい。また、ハードコート層や粘着剤層との密着性を向上させる目的で、サンドブラスト法や溶剤処理法などによる表面の凹凸化処理、あるいはコロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理、表面の酸化処理などの表面処理を施すことができる。
また、上記樹脂フィルム中には、配合材料として帯電防止剤を添加して、帯電防止機能を付与することも好ましい。帯電防止剤としては、ノニオン系としてポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、脂肪酸ポリエチレングリコールエステル、脂肪酸ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸グリセリンエステル、アルキルポリエチレンイミン等を挙げることができる。カチオン系としてアルキルアミン塩、アルキル第4級アンモニウム塩、アルキルイミダゾリン誘導体等を挙げることができる。またエチレンオキサイドを骨格に持つアクリレート化合物なども使用することができる。導電性高分子としてポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン及びこれらの誘導体を使用することができる。金属酸化物としてアンチモンドープ型酸化錫(ATO)、錫ドープ型酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ型酸化亜鉛、アンチモン副酸化物などを使用することができる。またその他にリチウムイオンなどの金属イオンを混合するイオン伝導型の帯電防止剤も用いることができる。
本発明の保護粘着フィルムのフィルム基材は、傷や打痕などの外観欠点を防ぐため、少なくとも片面にハードコート層を有することも好ましい。
上記ハードコート層は、フィルム基材と積層してハードコートフィルムを形成した際に、ハードコート層表面の鉛筆硬度がH以上、好ましくは2H以上となるようなハードコート層であればよく、各種ハードコート剤の硬化物からなるものを使用できる。このようなハードコート剤としては、例えば、ガラスに10μmの膜厚で塗工した際のJIS K 5600−5−4(1999)に準拠して測定される表面硬度が3H以上となるハードコート剤が使用できる。
[剥離シート]
本発明に使用する剥離シートは、剥離シートの表面粗さ(算術平均粗さ)(Ra)(JIS B0601−2001)が、10〜100nmであり、30〜50nmがより好ましい。当該範囲の剥離シートの表面粗さにすることで、得られる保護粘着フィルムをガラスやプラスチックフィルムのパネルに貼り合わせた際のゆず肌状の外観不良を抑制でき、好適な外観を実現できる。また、剥離シートのロール形態でのブロッキングを防止しやすく、さらに粘着剤層表面への剥離シートの凹凸の転写を抑制しやすい。また、剥離シートの粘着剤層と積層される側の表面が剥離処理されていることが好ましく、剥離処理層が形成されている剥離シートが特に好ましい。
本発明の剥離シートの基材としては、一般に剥離シートの基材として使用される各種の樹脂フィルム基材を使用でき、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッソ樹脂、ナイロン、アクリル樹脂等の樹脂フィルムを挙げることができる。また、本発明の剥離シートの剥離剤層としては、熱硬化型や照射硬化型のシリコーン系剥離剤、長鎖アルキルポリマー型やオレフィン型の非シリコーン系剥離剤など公知慣用のものを用いることができる。本発明においては、特に、優れた剥離性を有するシリコーン系剥離剤が好適に用いられる。
[粘着剤層]
本発明に使用する粘着剤層は、その厚さが75μm以下であり、25〜50μmが好ましい。粘着剤層の厚みが上記範囲内であると、薄型化に優位であり、また薄型の保護粘着フィルムでありながら、ゆず肌状の外観不良を抑制しやすくなる。また、生産工程中での打痕跡が生じ難く、貼り合わせるパネルに印刷層が施されている場合にも印刷層に対して好適な追従性を得やすくなる。
本発明に使用する粘着剤層は、上記厚みを有すると共に、23℃における貯蔵弾性率G’が2.0×10Pa以上、好ましくは、2.5×10〜4.0×10Paの粘着剤層である。上記範囲内の貯蔵弾性率とすることで、粘着剤が軟らかくなりすぎず、剥離フィルム表面の凹凸の転写を防ぐことができ、ゆず肌状の外観不良を抑制できる。
なお、粘着剤層の23℃下での貯蔵弾性率は、粘弾性試験機により測定することができる。より具体的には、粘弾性試験機として、ティ・エイ・インスツルメントジャパン社製粘弾性試験機(アレス2kSTD)を用いて、次の測定条件で測定して求めることができる。
・試験片厚み:2mm
・周波数:1Hz
・圧縮荷重:40〜60g
本発明に用いる粘着剤層に使用される粘着剤組成物には、公知のアクリル系、ゴム系、シリコーン系の粘着樹脂を使用することができる。そのなかでも、反復単位として炭素数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体またはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体を主たる単量体成分として含有するアクリル系共重合体を主剤とする粘着剤組成物が、耐光性・耐熱性の点から好ましい。
炭素数2〜14の(メタ)アクリレート単量体としては、具体的には、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等が挙げられる。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体としては、具体的には、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−メトキシトリエチレングリコールアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、4−メトキシブチルアクリレート、4−エトキシブチルアクリレートなどが挙げられる。
そのなかでも、炭素数が4〜9のアルキル側鎖を有するアルキルメタクリレート又は炭素数が4〜9のアルキル側鎖を有するアルキルアクリレートが好ましく、炭素数が4〜9のアルキル側鎖を有するアルキルアクリレートがより好ましい。なかでもn−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、エチルアクリレートが特に好ましい。当該範囲の炭素数のアルキル側鎖を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用することで、好適な粘着力を確保しやすくなる。
本発明の粘着剤組成物の主剤として使用するアクリル系共重合体を構成する単量体中の炭素数2〜14の(メタ)アクリレートまたはアルコキシアルキル(メタ)アクリレート単量体の含有量は、90〜99重量%とすることが好ましく、90〜96重量%にすることがより好ましい。当該範囲のカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体中の上記炭素数2〜14の(メタ)アクリレートの含有量にすることで、好適な粘着力を確保しやすくなる。
当該アクリル系共重合体には、さらに単量体成分として、側鎖に水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの極性基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体やその他のビニル系単量体を含有することが好ましい。
水酸基を有する単量体としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートを使用でき、中で2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートを共重合成分として使用するのが好ましい。
カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸2量体、エチレンオキサイド変性コハク酸アクリレート等を使用でき、なかでもアクリル酸を共重合成分として使用するのが好ましい。
窒素原子を有する単量体としては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−(パーヒドロフタルイミド−N−イル)エチルアクリレート等のアミド基含有ビニルモノマーを使用でき、中でもN−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリンを共重合成分として使用するのが好ましい。
その他の極性基を有するビニル系単量体として、酢酸ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
極性基を有する単量体の含有量は、アクリル系共重合体を構成する単量体成分の0.1〜20重量%であることが好ましく、1〜13重量%であることがより好ましく、1.5〜8重量%であることが更に好ましい。当該範囲で含有することにより、粘着剤の凝集力や保持力、接着性を好適な範囲に調整しやすい。
粘着剤組成物の主剤として使用するアクリル系共重合体の重量平均分子量Mwは40万〜140万であることが好ましく、60万〜120万であることが、より好ましい。当該アクリル系共重合体の重量平均分子量Mwが上記範囲内であると、接着力を特定範囲に調整しやすく、また、保護粘着フィルムとした際に、フィルム表面への荷重を好適に緩和しやすい。
なお、当該アクリル系共重合体の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。より具体的には、GPC測定装置として、東ソー株式会社製「SC8020」を用いて、ポリスチレン換算値により、次のGPC測定条件で測定して求めることができる。
(GPCの測定条件)
・サンプル濃度:0.5重量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHHR−H」
・検出器:示差屈折
さらに粘着剤層の凝集力をあげるために、粘着剤中に架橋剤を添加するのが好ましい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤等が挙げられる。架橋剤の添加量としては、粘着剤層のゲル分率25〜80%になるよう調整するのが好ましい。さらに好ましいゲル分率は、40〜75%である。そのなかでも50〜70%が最も好ましい。ゲル分率は、養生後の粘着剤層をトルエン中に浸漬し、24時間放置後に残った不溶分の乾燥後の重量を測定し、元の重量に対する百分率で表す。
さらに粘着剤層の23℃下での貯蔵弾性率を好適な範囲に調整するため、粘着剤組成物の主剤として使用するアクリル系共重合体と併用して、ガラス転移温度が60℃以上で重量平均分子量10万以下のアクリル系共重合体を添加することが好ましい。当該アクリル共重合体のガラス転移温度および重量平均分子量が上記範囲内であると、透明性を維持したまま、23℃での貯蔵弾性率の高めることができる。
上記重量平均分子量10万以下のアクリル系共重合体としては、炭素数2〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体を主たる単量体成分として含有するアクリル系共重合体が好ましい。
炭素数2〜14の(メタ)アクリレート単量体としては、具体的には、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソノニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等が挙げられる。
そのなかでも、炭素数が2〜9のアルキル側鎖を有するアルキルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートがさらに好ましい。当該範囲の炭素数のアルキル側鎖を有するアルキルメタクリレートを使用することで、好適な範囲にガラス転移温度を調整しやすい。
上記重量平均分子量10万以下のアクリル系共重合体を構成する単量体中の炭素数2〜14の(メタ)アクリレートの含有量は、90〜99重量%とすることが好ましく、90〜96重量%にすることがより好ましい。当該範囲の(メタ)アクリル酸エステル共重合体中の上記炭素数2〜14の(メタ)アクリレートの含有量にすることで、好適な範囲にガラス転移温度を調整しやすい。
重量平均分子量10万以下のアクリル系共重合体には、さらに単量体成分として、側鎖に水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの極性基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体やその他のビニル系単量体を含有することが好ましい。
水酸基を有する単量体としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートを使用でき、中で2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートを共重合成分として使用するのが好ましい。
カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸2量体、エチレンオキサイド変性コハク酸アクリレート等を使用でき、なかでもアクリル酸を共重合成分として使用するのが好ましい。
窒素原子を有する単量体としては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−(パーヒドロフタルイミド−N−イル)エチルアクリレート等のアミド基含有ビニルモノマーを使用でき、中でもN−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリンを共重合成分として使用するのが好ましい。
その他の極性基を有するビニル系単量体として、酢酸ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
極性基を有する単量体の含有量は、アクリル系共重合体を構成する単量体成分の0.1〜20重量%であることが好ましく、1〜13重量%であることがより好ましく、1.5〜8重量%であることが更に好ましい。当該範囲で含有することにより、粘着剤樹脂と相溶しやすく、透明性を維持できる。
粘着剤層に使用するアクリル系共重合体の重量平均分子量Mwは3千〜10万であることが好ましく、5千〜3万であることがより好ましい。当該アクリル系共重合体の重量平均分子量Mwが上記範囲内であると、粘着剤樹脂と相溶しやすく、透明性を維持しやすくなる。
上記重量平均分子量10万以下のアクリル共重合体の添加量としては、粘着剤樹脂がアクリル系共重合体である場合は、アクリル系共重合体100重量部に対して3〜30重量部を添加するのが好ましく、5〜20重量部がさらに好ましい。
さらに粘着剤層の粘着力を向上させるため、粘着付与樹脂を添加しても良い。本発明の粘着テープの粘着剤層に添加する粘着付与樹脂は、アクリル系共重合体、ロジンやロジンのエステル化物等のロジン系樹脂;ジテルペン重合体やα−ピネン−フェノール共重合体等のテルペン系樹脂;脂肪族系(C5系)や芳香族系(C9)等の石油樹脂;その他、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
接着性と耐黄変性を両立させるには、高不均化ロジンエステルと重合ロジンエステルと石油樹脂を併用するのが好ましい。
粘着付与樹脂の添加量としては、粘着剤樹脂がアクリル系共重合体である場合は、アクリル系共重合体100重量部に対して10〜60重量部を添加するのが好ましい。接着性を重視する場合は、20〜50重量部を添加するのが最も好ましい。また、粘着剤樹脂がゴム系の樹脂である場合は、ゴム系の樹脂100重量部に対して、粘着付与樹脂を80〜150重量部添加するのが好ましい。なお、一般的に粘着剤樹脂がシリコーン系樹脂である場合は、粘着付与樹脂を添加しない。
粘着剤には、上記以外に公知慣用の添加剤を添加することができる。例えば、ガラスへの接着性を向上するために、0.001〜0.005の範囲でシランカップリング剤を添加することができる。その他、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、難燃剤等が添加できる。
粘着剤層は、粘着シートの塗布に一般的に使用されている方法でフィルム基材上に形成することができる。粘着剤層の組成物を基材フィルムに直接塗布し、乾燥するか、或いは、いったん剥離フィルム上に塗布し、乾燥後、基材フィルムに貼り合わせる。
[保護粘着フィルム]
本発明の保護粘着フィルムの構成は、上記フィルム基材の一方に上記粘着剤層が設けられ、粘着剤層表面に上記剥離フィルムが設けられた保護粘着フィルムである。
本発明の保護粘着フィルムの厚みは、上記保護粘着フィルムが貼付されたパネルの薄膜から、総厚300μm以下が好ましく、200μm以下がさらに好ましい。当該厚みとすることで、画像表示装置の薄型化に優位となる。
本発明の保護粘着フィルムの透明性は、剥離シートを剥離した後の380〜780nmの光の透過率が90%以上、ヘイズが1.0以下であることが好ましく、全光線透過率が91%以上、ヘイズが0.5以下であることがより好ましい。当該保護粘着フィルムの透明性が上記範囲内だと、当該保護粘着フィルムを使用されたディスプレイの透明性が保たれやすい。
本発明の保護粘着フィルムの温度23℃、相対湿度50%RHの環境下で、ガラスに対し、2kgローラーを使用して圧着回数一往復で圧着し、1時間静置した後の300mm/minでの180°剥離接着力は、ガラスに対してそれぞれ5〜20N/25mmであることが好ましい。上記範囲内だと、端面からの剥がれを抑制しやすく、また、製造工程での貼り合わせ不良品において保護粘着フィルムの剥離が可能となる。
本発明の金属面貼付用両面粘着シートおよび粘着フィルムが貼付されるパネルは、特に限定されないが、具体的には、ガラスパネル、ポリメタクリル酸メチルやポリカーボネートなどのプラスチックパネルが挙げられる。
本発明の保護粘着フィルムは、一般的に使用されている方法で作成できる。例えば、フィルム基材または離型シート上に粘着剤層を形成して製造することができる。具体的には、粘着剤の組成物をフィルム基材に直接塗布し乾燥または硬化・重合するか、或いは、いったん離型シート上に塗布し、乾燥または硬化・重合し、粘着剤層を形成後、同様にして離型シート上に作成した粘着剤層又は基材フィルムに貼り合わせる方法などにより製造できる。
[実施態様]
本発明の保護粘着フィルムは、ガラスパネルやプラスチックパネルに貼り付けた際にも光の反射斑による外観不良を生じさせず、さらに透明性に優れるため、画像表示パネルにガラスパネルやプラスチックパネルを使用した携帯端末などのディスプレイに使用される画像表示パネルを保護する際に好適に使用できる。例えば、タッチパネルと画像表示パネルが積層された画像表示装置の表面保護に好適に使用できる。
以下に実施例および比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
<アクリル共重合体(1)>
アクリル共重合体の調製攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート90重量%、メチルメタクリレート6重量%、アクリル酸4重量%と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2部とを酢酸エチル100重量%に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して重量平均分子量80万のアクリル共重合体(1)を得た。
<アクリル共重合体(2)>
アクリル共重合体の調製攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート24重量%、2−メトキシエチルアクリレート75重量%、2−ヒドロキシエチルアクリレート1重量%と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2部とを酢酸エチル100重量%に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して重量平均分子量70万のアクリル共重合体(2)を得た。
<アクリル共重合体(3)>
アクリル共重合体の調製攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート85重量%、メチルメタクリレート10重量%、ジメチルアミノエチルメタクリレート5重量%と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2部とを酢酸エチル100重量%に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して重量平均分子量80万のアクリル共重合体(1)を得た。
<アクリル共重合体(4)>
アクリル共重合体の調製攪拌機、寒流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、メチルメタクリレート95.0重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレート5.0重量部と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル1.0重量部とを酢酸エチル100重量部に溶解し、窒素置換後、80℃で8時間重合して重量平均分子量2万のアクリル共重合体(4)を得た。
Figure 2014084336
BA:アクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
MEA:アクリル酸メトキシエチル
AA:アクリル酸
HEA:アクリル酸ヒドロキシエチル
DMAEA:ジメチルアミノエチルメタクリレート
<粘着剤(A)>
上記アクリル共重合体(1)100重量部に、上記アクリル共重合体(4)を10重量部添加し、酢酸エチルで希釈し樹脂固形分30%の粘着剤(A)を得た。
<粘着剤(B)>
上記アクリル共重合体(2)100重量%に、酢酸エチルで希釈し樹脂固形分30%の粘着剤(B)を得た。
<粘着剤(C)>
上記アクリル共重合体(3)100重量%に、酢酸エチルで希釈し樹脂固形分30%の粘着剤(c)を得た。
(実施例1)
上記粘着剤(A)100重量%にエポキシ系架橋剤(三菱ガス化学(株)製テトラッドC、固形分5%)を0.3重量%添加し15分攪拌後、表面粗さRa30nmで厚み50μmのポリエステルフィルムの片面にシリコーン化合物で剥離処理が施されている剥離シートの剥離処理面上に乾燥後の厚さが25μmになるように塗工して、75℃で5分間乾燥した。得られた粘着シートを、片面をハードコート処理した厚さ50μmのポリエステルフィルムのハードコート未処理面に貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し厚さ75μmの保護粘着フィルムを得た。
(実施例2)
剥離シートの表面粗さRaを50nmにする以外は、実施例1と同様にして保護粘着フィルムを得た。
(実施例3)
粘着シートの厚みを50μmにする以外は、実施例1と同様にして保護粘着フィルムを得た。
(実施例4)
粘着シートの厚みを10μmにする以外は、実施例1と同様にして保護粘着フィルムを得た。
(比較例1)
上記粘着剤(B)100重量%にイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製コロネートHX、固形分75%)を0.1重量%添加し15分攪拌後、表面粗さRa30nmで厚み50μmのポリエステルフィルムの片面にシリコーン化合物で剥離処理が施されている剥離シートの剥離処理面上に乾燥後の厚さが25μmになるように塗工して、75℃で5分間乾燥した。得られた粘着シートを、片面をハードコート処理した厚さ50μmのポリエステルフィルムのハードコート未処理面に貼り合わせた。その後23℃で7日間熟成し厚さ75μmの保護粘着フィルムを得た。
(比較例2)
粘着シートの厚みを50μmにする以外は、比較例1と同様にして保護粘着フィルムを得た。
(比較例3)
粘着剤(B)を粘着剤(C)にする以外は、比較例1と同様にして保護粘着フィルムを得た。
(比較例4)
粘着シートの厚みを50μmにする以外は、比較例3と同様にして保護粘着フィルムを得た。
(剥離フィルムの表面粗さの測定)
剥離フィルムの任意の10点を測定ポイントとし、光干渉型表面形状測定装置(東レエンジニアリング(株)製、SP−500)にて、長さ0.75mm、幅0.75mmにおける算術平均粗さRaを測定し、得られた測定値の平均を求めた。
(ゆず肌)
上記の実施例及び比較例で得られた保護粘着フィルムの剥離シートを剥がして、ガラス板に貼り合わせて調整した試験サンプルを、蛍光灯下で観察して、ゆず肌が見えない場合は良好(○)、ゆず肌が見える場合は不良(×)と判定した。
(全光線透過率及びヘイズ)
上記の実施例及び比較例で得られた保護粘着フィルムの剥離シートを剥がして、ガラス板に貼り合わせて調整した試験サンプルを、(株)村上色彩技術研究所製「HR−100型」を使用し、測定した。
Figure 2014084336
Figure 2014084336
表から明らかなとおり、実施例1〜4の保護粘着フィルムは、ガラスへ貼り合わせた後に優れた外観特性を有した。一方、比較例1〜4の保護粘着フィルムは、透明性には優れるものの、ゆず肌が発生した。

Claims (4)

  1. フィルム基材に粘着剤層が設けられ、前記粘着剤層に剥離シートが積層された保護粘着フィルムであって、
    前記剥離シートの表面粗さRaが10〜100nmであり、
    前記粘着剤層の厚さが75μm以下、かつ、23℃における貯蔵弾性率G’が2.0×10Pa以上であることを特徴とする保護粘着フィルム。
  2. 総厚さが300μm以下である請求項1に記載の保護粘着フィルム。
  3. 剥離シートを剥離した後の波長380〜780nmの光透過率が、90%以上、ヘイズ1以下である請求項1又は2に記載の保護粘着フィルム。
  4. ガラスパネル又はプラスチックパネルへの貼付に使用する請求項1〜3のいずれかに記載の保護粘着フィルム。
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