JP5282422B2 - 透明ガスバリアフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、透明ガスバリアフィルムに関するものであり、透明性、酸素あるいは水蒸気に対するバリア性、耐熱性、耐水性に優れ、さらに、ラミネート加工、印刷加工、製袋加工等の後加工適性を有し、飲食品、医薬品、電子機器部材、その他物品の充填包装適性、保存・保護適性等に優れた透明ガスバリアフィルムに関するものである。また用途はこの分野だけに限定したものでなく要求さえあれば応用展開可能である。
食品や非食品及び医薬品、電子機器部材等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらを遮断するガスバリア性等を備えることが求められている。そのため従来から、温度・湿度などの影響が少ないアルミニウム等の金属箔をガスバリア層として用いた包装材料が一般的に用いられてきた。
ところが、アルミニウム等の金属箔を用いた包装材料は、温度・湿度の影響がなく高度なガスバリア性に優れるが、包装材料を透視して内容物を確認することができない、使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならない、また検査の際金属探知器が使用できないなどの欠点を有し問題があった。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、例えば特許文献1、2等に記載されているような高分子フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物のバリア膜を形成したフィルムが開発されている。これらのバリアフィルムは、透明性及び酸素、水蒸気等のガス遮断性を有していることが知られ、金属箔等では得ることのできない透明性、ガスバリア性を有する包装材料として好適とされている。
しかしながら、従来酸化珪素を積層したガスバリアフィルムは、完全な透明ではなくやや着色しており、黄色味がかっているという欠点があった。
この問題を解決するために、酸化珪素ではく、透明性の高い酸化アルミニウムがバリア膜として用いられているが、酸化アルミニウムは高温高湿の環境下ではガスバリア性能を保持することが出来ないという欠点があった。
米国特許第3442686号明細書 特公昭63−28017号公報
本発明の目的は、透明性が高く、高温高湿度の環境下でガスバリア性能を保持する透明バリアフィルムを提供することにある。
本発明は特定の化学状態を有する酸化珪素のバリア膜を用いることにより上記の目的が達成することを見出した。
請求項1記載の発明は、基材フィルムの少なくとも一方の面に酸化珪素のバリア膜を設けた透明バリアフィルムであって、前記酸化珪素のバリア膜に対してX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行った場合、Si2p波形の解析から求めたSiO/SiO比が0.10以上0.24以下の範囲内であり、かつピークの半値幅(FWHM)が2.3eV以上2.7eV以下の範囲であることを特徴とする透明ガスバリアフィルムである。
これによると、SiO/SiO比を調整することにより、バリア膜の透明性を制御することができる。また、FWHMを調整することにより膜密度を最適化することができる。
請求項2記載の発明は、前記酸化珪素のバリア膜に対してX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行った場合、元素比O/Siが1.3以上1.8以下であることを特徴とする請求項1に記載の透明ガスバリアフィルムである。
これによると、元素比O/Siを調整することにより酸素や水蒸気等のガスに対してバリア性能を向上させることができる。
請求項記載の発明は、前記基材フィルムがポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、または、フッ素系樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の透明ガスバリアフィルムである。
これによると使用目的や使用環境によって適した基材を用いることにより高温高湿の環境下等で耐久性のあるガスバリアフィルムを提供することができる。また、上記樹脂フィルムは耐熱性・透明性に優れている。とくに基材フィルムがフッ素系樹脂フィルムからなるとき、さらに耐候性に優れている。
請求項記載の発明は、前記酸化珪素のバリア膜の上に、水溶性高分子と一種類以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水とアルコールの混合液を塗布して加熱乾燥してなる複合層を設けたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の透明ガスバリアフィルムである。
これによると、複合層は酸化珪素のバリア膜の保護層となり傷やクラックが生じることを防ぐことができる。
請求項記載の発明は、前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランもしくはトリイソプロポキシアルミニウムまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の透明ガスバリアフィルムである。
これによると、この複合層はこれ自体にガスバリア性を有するため、防湿性等に優れた部材となる。
請求項記載の発明は、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコール、セルロースおよびデンプンから選択された1種類以上を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の透明ガスバリアフィルムである。
これによると、この複合層はこれ自体にガスバリア性を有するため、防湿性等に優れた部材となる。
本発明によれば、このような透明ガスバリアフィルムは、透明かつ高温高湿の環境下においてもバリア性能が劣化することのない耐久性に優れたものとなる。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の透明ガスバリアフィルムを説明する断面概略図である。プラスチック樹脂基材フィルム1の表面上に酸化珪素のバリア膜2が形成されている構造である。
図2は、図1で示した透明ガスバリアフィルムの酸化珪素のバリア膜2側に複合層3を積層した場合の一例を説明する断面概略図である。酸化珪素のバリア膜2、複合層3は基材フィルム1の両面に形成してもよく、また2層以上の多層にしてもよい。
図3は、図1、2で示した透明ガスバリアフィルムの酸化珪素のバリア膜2を形成する前の基材フィルム1表面にバリア膜2との接着性を向上させるため、符号4で示される、コロナ処理やリアクティブイオンエッチング処理等のプラズマ処理またはプライマー層を設けた場合の一例を説明する断面概略図である。前記プラズマ処理は好ましくはインラインで行った方がよい。
本発明の透明ガスバリアフィルムのバリア膜には酸化珪素を用いている。その他のバリア膜として用いる材料としては酸化アルミニウムと酸化マグネシウムが代表として挙げられるが、これらは高温高湿の環境下ではバリア性能が著しく低下することが知られている。しかし、酸化珪素は高温高湿の環境下でもバリア膜の劣化が起きないため、バリア性能の低下を防止することができる。
酸化珪素のバリア膜の化学構造の解析には、X線光電子分光法(以下、XPSと記す)を用いた。XPSによる測定は、被測定物質の表面から数nmの深さ領域の元素の種類とその濃度やその元素と結合している隣り合った元素の種類等の化学結合状態が解析できる。
酸化珪素のバリア膜の化学状態は二酸化珪素(SiO)または一酸化珪素(SiO)等が考えられる。SiOの場合の元素比O/Siは2.0、SiOの場合の元素比O/Siは1.0である。またこれらのSi2pの半値幅(FWHM)は1.8eVから2.0eVの値を示す(X線源がMgKα、アナライザー透過エネルギーが10eVの条件で測定)。SiO/SiO2比はそれぞれ単独に存在する場合は値として存在しない。
SiOの場合、膜は透明であるがバリア膜自体の柔軟性が劣るために膜の残留応力によってマクロ欠陥が生じやすくバリア性能が出ないまたは出たとしても劣化しやすい。また、SiOのバリア膜は膜の色が茶褐色となり、透明な膜ではない。
これに対して、本発明の透明ガスバリアフィルムは、バリア膜中のSiOとSiOの比を調整することにより、化学状態が改質され、SiO/SiO比が0.10〜0.24、元素比O/Siが1.3〜1.8、Si2pの半値幅が2.3〜2.7eVを示すものである。これらは、酸化珪素のバリア膜層として極めて良好な透明性、バリア性を示し、高温高湿環境下でもバリア性能を保持するという特徴がある。
なお、本発明で規定するSiO/SiO比、元素比O/Siおよび半値幅を達成するには、成膜中のチャンバーの真空度を調整する方法を挙げることができる。
図4はXPS測定で得られた酸化珪素バリア膜のSi2p波形をピーク分離解析したスペクトルである。Si2p波形はSiO結合5、SiO結合6に分離でき、Si2pの半値幅は7で表される。
本発明における酸化珪素のバリア膜の厚さは、一般的には5〜300nmの範囲内が望ましい。ただし、膜厚が5nm未満であると均一な膜を得ることができず、また、十分な膜厚でないため、ガスバリア性能を十分に発現することができない場合がある。また、膜厚が300nmを越える場合は、バリア膜内の残留応力により、柔軟性を保持することができず、成膜後外的要因により、バリア膜に容易に亀裂を生じる恐れがある。このため、さらには10〜150nmの範囲内にあることが好ましい。
本発明における酸化珪素のバリア膜を基材フィルム表面に積層する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等を用いることができる。ただし、生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式のいずれかを用いることが好ましいが、電子線加熱方式や抵抗加熱方式を用いることがよりこの好ましい。また、酸化珪素のバリア膜と基材フィルム表面との密着性及び酸化珪素のバリア膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、酸化珪素のバリア膜の成膜する際に、酸素等の各種ガス等を吹き込む反応蒸着を用いても構わない。
上述した基材フィルム1は蒸着薄膜層の透明性を生かすために可能であれば透明なプラスチックフィルム基材であることが好ましい。基材の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィンフィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素系樹脂フィルム等が挙げられる。基材は、延伸、未延伸のどちらでも良く、また機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。この中で、ポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、または、フッ素系樹脂フィルムが好ましく、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムがさらに好ましく用いられる。またこの基材フィルムのバリア膜が設けられる面と反対側の表面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが使用されていても良い。
基材フィルムの厚さはとくに制限を受けるものではなく、また包装材料としての適性を考慮して単体フィルム以外に異なる性質のフィルムを積層したフィルムを使用できる。尚プライマー層、酸化珪素からなるバリア膜層、複合層を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、特に6〜50μmとすることが好ましい。
次いで、複合層3を説明する。複合層はガスバリア性を持った被膜層であり、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。例えば、水溶性高分子を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させたものに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合したものを溶液とする。この溶液を酸化珪素のバリア膜上にコーティング後、加熱乾燥し形成される。コーティング剤に含まれる各成分について更に詳細に説明する。
本発明でコーティング剤に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと略す)を本発明のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものである。PVAとしては例えば、酢酸基が数10%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等用いることができ、これ以外のものを用いても一向に構わない。
また、金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n (M:Si、Ti、Al、Zr等の金属、R:CH、C 等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−iso−C〕などがあげられ、中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
この溶液中にガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることも可能である。
金属アルコキシドは加水分解後縮合し、ガラスなどのセラミック膜を形成することは周知の事実である。しかし無機酸化物は硬く、さらに縮合時の体積縮小による歪みによりクラックが入りやすい為、フィルム上に薄く透明で均一な縮合体被膜を形成することは非常に困難である。そこで、高分子を添加する事によって構造体に柔軟性を付与しクラックを防止して造膜する事ができる。しかし高分子の添加は目視では均一でも、微視的には無機酸化物と高分子部分とに分離している事が多く、ガスはこの分離した部分を通るために高いバリア性が得られない。そこで、水酸基をもつ高分子を添加する事により、高分子の水酸基と金属アルコキシドの加水分解物の水酸基との強い水素結合を利用して、無機酸化物が縮合に際し高分子との間に上手く分散してセラミックに近い高いバリア性を発現する。
しかし金属アルコキシドあるいはその加水分解物と水酸基を有する水溶性高分子の混合からなる複合層は水素結合からなるため水に膨潤し溶解する。バリア膜との積層構造による相乗効果があっても過酷な条件での処理ではバリア劣化は免れない。そこで、RSi(OR(OR、ORは加水分解性基であり、Rは有機官能基である。)いわゆるシランカップリング剤を添加することにより、この膨潤を防ぐことができる。RSi(ORは加水分解によりSi(ORとなり、水溶性高分子と水素結合を形成するために良く分散することができ、また一方で有機官能基はネットワークをつくることで水素結合の膨潤を防ぐ。なかでも、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、イソシアネート基を持つものは、官能基が疎水性であるため耐水性はさらに向上する。
Si(ORはSiOに、RSi(ORをRSi(OH)に換算したとき、RSi(ORの固形分が全固形分に対し1〜50重量%であることが望ましい。1重量%以下であると耐水性効果は低く、50重量%以上であると官能基がバリアの孔になるためである。ボイル、レトルト殺菌処理に必要な耐水性と、高いバリア性を考慮するとより好ましくは5〜30%であることが望ましい。
本発明における水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、でんぷん、セルロース類が好ましい。特にポリビニルアルコール(以下、PVAと記す)を本発明のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れる。なぜならPVAはモノマー単位中に最も多く水酸基を含む高分子であるため加水分解後の金属アルコキシドの水酸基と非常に強固な水素結合をもつ。ここで言うPVAとは、一般にポリ酢酸ビニルをケン化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分ケン化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全ケン化PVAまでを含む。PVAの分子量は重合度が300〜数千まで多種あるがどの分子量のものを用いても効果に問題はない。しかし一般的にケン化度が高くまた重合度が高い高分子量のPVAは耐水性が高いため好ましい。
Si(ORにテトラエトキシシラン、水溶性高分子にPVAを用いた場合、金属アルコキシドあるいは金属アルコキシドの加水分解物を金属酸化物(例えばSiO)に換算したときの金属酸化物と水溶性高分子との重量比率は、特にSiO/PVAが100/10〜100/100であることがより好ましい。PVAが100/10より少ないとガスバリア性被膜層が硬くヒビ割れしやすく柔軟性が低くバリアが劣化しやすい。またPVAが100/100以上であれば耐水性阻害の原因となる。
コーティング溶液の混合方法は、加水分解したSi(ORと水酸基をもつ水溶性高分子、RSi(ORをどの順番で混合しても効果は発現する。特にSi(ORとRSi(ORを別々に加水分解してから水溶性高分子に添加する方法はSiOの微分散およびSi(ORの加水分解効率を考慮すると望ましい。
該複合層のコーティング溶液へ、インキ、接着剤との密着性、濡れ性、収縮によるクラック発生防止を考慮して、イソシアネート化合物、コロイダルシリカやスメクタイトなどの粘土鉱物、安定化剤、着色剤、粘度調整剤などの公知の添加剤などを、ガスバリア性や耐水性を阻害しない範囲で添加する事ができる。
複合層3の積層方法としては、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を用いることが可能である。
複合層3の厚さは、コーティング剤の種類や加工機や加工条件によって最適条件が異なり特に限定しない。但し乾燥後の厚さが、0.01μm以下の場合は、均一な塗膜を得ることができず、十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。これにより、本発明における複合層の厚さは、0.01〜50μmの範囲にあることが好ましく、さらには0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
また、複合層は加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥することにより金属アルコキシドが加水分解し、さらに加水分解物と水溶性高分子の水酸基と強い水素結合を起こすためである。
以下に本発明の透明ガスバリアフィルムの実施例を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<バリア膜の化学状態分析>
測定装置は日本電子株式会社製のX線光電子分光分析装置JPS−90MXV(以下、実施例においてXPSと記す)を用いた。X線源として非単色化MgKα(1253.6eV)を使用し、X線出力は100W(10kV−10mA)で測定した。定量分析には、それぞれO1sで2.28、Si2pで0.9の相対感度因子を用いて計算した。Si2pの波形解析には装置付属の波形分離ソフトを用い、ガウシアン関数とローレンツ関数の混合関数を使用して、SiOは約103.5eV、SiOは約101.0eVとして波形分離解析を行った。
<実施例1>
厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンレテフタレート(PET)フィルムの片面に、抵抗加熱式の真空蒸着法を用いて、酸化珪素の蒸着膜を約30nmの厚さで成膜し、ガスバリアフィルムを作製した。この時の酸素導入後の蒸着チャンバーの真空度を5.2×10−4Paに調整した。XPS測定における酸化珪素のバリア膜の化学状態がSiO/SiO比は0.23、元素比O/Si 1.4、Si2pピークの半値幅は2.7eVであった。
<実施例2>
酸素導入後の蒸着チャンバーの真空度を9.3×10−3Paに調整した。XPS測定における酸化珪素のバリア膜の化学状態がSiO/SiO比は0.17、元素比O/Siは1.5、Si2pピークの半値幅は2.6eVであった以外は実施例1と同様な方法でガスバリアフィルムを作製した。
<実施例3>
酸素導入後の蒸着チャンバーの真空度を6.1×10−3Paに調整した。XPS測定における酸化珪素のバリア膜の化学状態がSiO/SiO比は0.15、元素比O/Siは1.6、Si2pピークの半値幅は2.5eVであった以外は実施例1と同様な方法でガスバリアフィルムを作製した。
<実施例4>
酸素導入後の蒸着チャンバーの真空度を2.9×10−3Paに調整した。XPS測定における酸化珪素のバリア膜の化学状態がSiO/SiO比は0.13、元素比O/Siは1.7、Si2pピークの半値幅は2.4eVであった以外は実施例1と同様な方法でガスバリアフィルムを作製した。
<比較例1>
酸素導入後の蒸着チャンバーの真空度を3.3×10−4Paに調整した。XPS測定における酸化珪素のバリア膜の化学状態がSiO/SiO比は0.25、元素比O/Siは1.4、Si2pピークの半値幅は2.8eVであった以外は実施例1と同様な方法でガスバリアフィルムを作製した。
<比較例2>
酸素導入後の蒸着チャンバーの真空度を1.4×10−4Paに調整した。XPS測定における酸化珪素のバリア膜の化学状態がSiO/SiO比は0.26、元素比O/Siは1.3、Si2pピークの半値幅は2.9eVであった以外は実施例1と同様な方法でガスバリアフィルムを作製した。
<比較例3>
酸素導入後の蒸着チャンバーの真空度を9.8×10−2Paに調整した。XPS測定における酸化珪素のバリア膜の化学状態がSiO/SiO比は0.00、元素比O/Siは1.9、Si2pピークの半値幅は2.2eVであった以外は実施例1と同様な方法でガスバリアフィルムを作製した。
下記に示すA液とB液を配合比(重量比)で6/4に混合した溶液を作製した。
A液:テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分3重量%(SiO換算)の加水分解溶液。
B液:ポリビニルアルコールの3重量%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコールが重量比で90:10)。
実施例1から4、比較例1から3のバリアフィルム上にこの溶液をグラビアコート法により塗布、加熱乾燥し、厚さ0.5μmの複合層を形成した。
<評価1>
上記サンプルの透明性について目視観察により評価した。透明なサンプルを透明とし、色がついたサンプルを黄色とした。評価結果を表1に示す。
<評価2>
上記サンプルについて、サンプルをプレッシャークッカーテスト(105℃−100%)機の高温高湿環境下に60時間放置した後、ガスバリア性の指標として酸素透過度(cc/m・day)および水蒸気透過度(g/m・day)を測定した。測定方法はモコン法を用いて行い、その時の測定条件は、酸素透過度が30℃−70%RH、水蒸気透過度が40℃−90%RHとした。測定結果を表1に示す。
Figure 0005282422
したがって、酸化珪素のバリア膜の化学状態において、SiO/SiO比は0.10以上0.24以下、元素比O/Siは1.3以上1.8以下、半値幅は2.3eV以上2.7eV以下に調整した以外の比較例1、2、3の透明性あるいはガスバリア性が劣ることが示された。
以上のように本発明の透明ガスバリアフィルムは、透明でかつ高温高湿の環境下でもバリア性能が劣化しない透明ガスバリアフィルムを提供することができる。
透明ガスバリアフィルムの一例の断面図である。 透明ガスバリアフィルムの他の例の断面図である。 透明ガスバリアフィルムの他の例の断面図である。 酸化珪素のバリア膜のXPS Si2p波形分離スペクトル図である。
符号の説明
1 基材プラスチックフィルム
2 酸化珪素のバリア膜
3 複合層
4 プラズマ処理層あるいはプライマー層
5 SiOピーク
6 SiOピーク
7 Si2pピークの半値幅(FWHM)

Claims (6)

  1. 基材フィルムの少なくとも一方の面に酸化珪素のバリア膜を設けた透明バリアフィルムであって、前記酸化珪素のバリア膜に対してX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行った場合、Si2p波形の解析から求めたSiO/SiO比が0.10以上0.24以下の範囲内であり、かつピークの半値幅(FWHM)が2.3eV以上2.7eV以下の範囲であることを特徴とする透明ガスバリアフィルム。
  2. 前記酸化珪素のバリア膜に対してX線光電子分光測定(測定条件:X線源MgKα、X線出力100W)を行った場合、元素比O/Siが1.3以上1.8以下であることを特徴とする請求項1に記載の透明ガスバリアフィルム。
  3. 前記基材フィルムがポリエステル系樹脂フィルム、ポリアミド系樹脂フィルム、ポリ(メタ)アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、環状ポリオレフィン系樹脂フィルム、または、フッ素系樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の透明ガスバリアフィルム。
  4. 前記酸化珪素のバリア膜の上に、水溶性高分子と一種類以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水とアルコールの混合液を塗布して加熱乾燥してなる複合層を設けたことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の透明ガスバリアフィルム。
  5. 前記金属アルコキシドが、テトラエトキシシランもしくはトリイソプロポキシアルミニウムまたはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の透明ガスバリアフィルム。
  6. 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコール、セルロースおよびデンプンから選択された1種類以上を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の透明ガスバリアフィルム。
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