JP2013214778A - 太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 着色された基材フィルムであり、耐加水分解性に優れ、太陽電池セルの封止材として使用されているEVAやPVB等との耐加水分解性に優れる接着性を有する太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 フィルムの末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であるポリエステルフィルム中に着色顔料を含有し、ポリエーテル骨格を有するポリウレタンと、カルボジイミド基を含むポリマーである架橋剤とを含有する塗布層を当該フィルムの少なくとも片面に有することを特徴とする太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】 フィルムの末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であるポリエステルフィルム中に着色顔料を含有し、ポリエーテル骨格を有するポリウレタンと、カルボジイミド基を含むポリマーである架橋剤とを含有する塗布層を当該フィルムの少なくとも片面に有することを特徴とする太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明は、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムに関するものであり、詳しくは、基材フィルムが例えば黒色あるいは濃色等の着色フィルムであって、しかも耐加水分解性に優れており、太陽電池セルの封止材として使用されているエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(以後、EVAと略することがある)やポリビニルアセタール樹脂(以後、PVBと略することがある)等の封止材樹脂との耐加水分解性に優れる接着性を有する太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムに関するものである。
太陽光発電は、近年、クリーンで、地球温暖化防止に役立つエネルギー源として非常に注目を集めており、既にかなりの普及が始まりつつある。この太陽光発電の代表として、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等の半導体を使った太陽電池を挙げることができる。太陽電池は、半導体に太陽光が当たると電流を取り出せるという原理を実用化したものである。近年注目されているものの一つに、比較的の大型の太陽電池がある。この太陽電池は、設置される場所が、砂漠や荒地などの未利用地や、家屋あるいは大型建造物の屋根などであり、いずれも太陽があたる場所であり、かつ屋外で自然環境に晒されるものである。太陽電池は心臓部である半導体セルに水分が及ぶと、その性能が著しく低下するために、太陽電池には強度や耐水性が過酷な自然環境に長期間耐えるパッケージが要求される。また、家屋等の屋根に設置するため太陽電池の軽量化も要求される。
このような耐久性のあるパッケージからなる太陽電池モジュールの構成として、代表的なものとして、次のような構成が知られている。太陽電池モジュールは、一般に受光面側の表面側透明保護部材としてのガラス基板と、裏面保護材用フィルムとの間に、EVA等の封止材樹脂を挿入して、太陽電池用セル、すなわち、半導体の光発電素子を封止した構成とされている。ここでEVAの役割は、太陽電池セルを固定することである。
裏面保護材にポリエステルフィルムを使った場合には、ポリエステルフィルムとEVA等との接着性が弱く、接着性を改善するため、例えば易接着層を塗設したり、接着剤を使用したりすることが必要となる。
ポリエステルフィルムとEVAとの接着に関しては、太陽電池用裏面保護膜用の易接着ポリエステルフィルムとして、架橋剤を10〜100重量%含有する樹脂被膜をポリエステルフィルム上に塗布したものが提案されている(特許文献1)。
ところで、太陽電池モジュールは、屋外で長期間(例えば20年以上)にわたって使用されることが前提のものであり、高温高湿度環境に晒されることもありうる。このとき、太陽電池封止材としてのポリエステルフィルムは、分子鎖中のエステル結合部位の加水分解が起こり、フィルム自体の機械的特性が経年劣化することが一つの問題として考えられ、もう一つは、EVA等との熱接着性を改善するための易接着層も、高温高湿度環境で同様に経年劣化して、EVA等との接着性を維持できなくなることが懸念点として推測される。
一方、太陽電池セルの間からの漏れ光が太陽電池裏面保護材フィルムに入射するが、その漏れ光を反射させることで利用して電換効率を向上させるために、太陽電池裏面保護材として白色ポリエステルフィルムがよく用いられている。
しかしながら、太陽電池の複数のセルの間から見える白色の裏面保護材フィルムが縁取りとなり、太陽電池パネル表面が幾何学模様に見えることが、風致地区にふさわしくないとする考え方があり、太陽電池の設置場所によっては、太陽電池裏面保護材フィルムは白色ではなく、黒やその他の濃い色調のフィルムであることが要求されることがある。しかし、黒やその他の濃い色調のポリエステルフィルムで、EVAやPBV等との耐加水分解接着性に優れたものは、これまで具体的には知られていなかった。
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、着色された基材フィルムであり、耐加水分解性に優れ、太陽電池セルの封止材として使用されているEVAやPVB等との耐加水分解性に優れる接着性を有する太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、フィルムの末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であるポリエステルフィルム中に着色顔料を含有し、ポリエーテル骨格を有するポリウレタンと、カルボジイミド基を含むポリマーである架橋剤とを含有する塗布層を当該フィルムの少なくとも片面に有することを特徴とする太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムに存する。
本発明のフィルムは、太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムとして、基材フィルムが黒色あるいは濃色の着色フィルムであり、これを用いた太陽電池パネルは、表面の幾何学模様が目立つことがないため、風致地区に設置しても不自然さが少ない。しかも基材フィルムとして耐加水分解性に優れており、さらにこの上に設けられた塗布層により、太陽電池セルの封止材として使用されているEVAやPVB等のとの耐加水分解性に優れる高度な接着性を有するものであり、その工業的利用価値は高い。
本発明は、基材となるポリエステルフィルムが高温高湿度環境下でも優れた耐加水分解性を有すると同時に、その上に付与された接着性改良のための塗布層も耐加水分解性を有することで、初めて易接着性フィルムとして耐加水分解性を有するものなる、との技術思想に基づくものである。基材のポリエステルフィルムか、その上に設けられた塗布層のいずれかが、耐加水分解性に劣る場合には、易接着性フィルムの耐加水分解性は、そのどちらか劣る方に強く影響されて、不十分なものとなってしまう。したがって、易接着性フィルムとして耐加水分解性に優れたポリエステルフィルムとするには、基材フィルムと塗布層とが共に耐加水分解性に優れることが、欠くことのできない要素である。この技術思想に基づいて、本発明の基材となるポリエステルフィルムと、塗布層に大別して順次説明する。
本発明の基材となるポリエステルフィルムは、着色顔料を含有するポリエステルフィルムであり、末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であることが必要である。
本発明のフィルムの基材として使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られる芳香族ポリエステルを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのポリエステルの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、コストと性能のバランスに優れており、本発明においては、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを好ましく用いることができる。
本発明の基材となるポリエステルフィルムのポリエステル原料は、通常ポリエステルの重合でよく用いられるアンチモン、チタン、ゲルマニウムなどの金属化合物重合触媒を用いることができる。ただし、これらの触媒量が多いと、フィルム化のためのポリエステルを溶融させた際に、分解反応起きやすくなり、分子量の低下などにより末端カルボン酸濃度が高くなり、耐加水分解性が劣るようになる。一方で重合触媒量が少な過ぎる場合には、重合反応速度が低下するので、重合時間が長くなって末端カルボン酸濃度が高くなり、結果的に耐加水分解性を悪化させることになる。このため、本発明においては、アンチモンであれば通常50〜400ppm、好ましくは100〜350ppm、チタンであれば通常1〜20ppm、好ましくは2〜15ppm、ゲルマニウムであれば通常3〜50ppm、好ましくは5〜40ppmの範囲の使用量とするのがよい。またこれらの重合触媒は、2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。
本発明の基材となるポリエステルフィルムは、着色顔料を含有する必要がある。ここで言う着色顔料とは、白色以外の顔料を指すものであり、この着色顔料によってフィルムの色調が黒色あるいは濃色に着色される。この着色顔料には、公知の無機顔料、有機顔料などを用いることができる。使用される無機顔料としては、例えばベンガラ、モリブデンレッド、カドミウムレッド、などの赤色顔料、赤口黄鉛、クロムパーミリオンなどの橙色顔料、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルーなどの青色顔料、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、コバルトグリーンなどの緑色顔料、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエローなどの黄色顔料、マンガンバイオレット、ミネラルバイオレットなどの紫色顔料、黒色酸化鉄などの黒色顔料が挙げられる。黒色顔料には、カーボンブラック(チャネル、ファーネス、アセチレン、サーマル等)、カーボンナノチューブ(単層、多層)、アニリンブラック等も用いることもできる。また、有機顔料としては、例えば縮合アゾ、フタロシアニン、キナクリドン、オキサジン、キサンテン、イソインドリノン、キノフタロン、アンスラキノン系などを挙げることができる。これらのなかでは、有機顔料よりも無機顔料やカーボンブラックやカーボンナノチューブなどの方が、ポリエステルの溶融成型時の耐熱性や、屋外で使用した際の耐光性に優れることが多い。さらにこれらのなかでも、太陽電池セルとの色調の類似性、着色顔料の着色力や経済性、ポリエステルに対して分解を促進させる等の影響が殆ど無いことを加味すると、カーボンブラックが本発明の太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムには好適である。
上記の着色顔料は1種類を単独で用いてもよいが、色調を調整する目的等で2種類以上の着色顔料を併用できる。また、上記の着色顔料は、粒子種によってその好ましい粒子径の範囲が異なるが、平均粒子径としては通常0.01〜10μm、好ましくは0.02〜5μmの範囲の範囲いから選択するのが良い。特に着色顔料に隠蔽力に関しては、一般的に平均粒子径の小さくなるに従い隠蔽力が高まり、光の波長の1/2前後の大きさで最大となり、さらに小さくなると隠蔽力は急激に減少して透明性が大きくなることを勘案して、0.05〜2μm程度の平均粒子径のものを使用することが、隠蔽力を高める上で好ましい。
ポリエステルフィルム中の着色顔料の量は、ポリエステルフィルム1m2当たり0.05g以上であることが好ましく、1m2当たり0.1g以上であることがさらに好ましい。着色顔料含有量が0.05g/m2を下回ると、フィルムの着色性・隠蔽性が十分でなく、本発明の効果が享受されないことがある。上限に関しては特に設けるものではないが、1m2当たり15gを超えると、隠蔽性は既に飽和しており、コストの面で不利となる。またポリエステルフィルムの厚みによっては、フィルムを構成するポリエステルの重量に対して、着色顔料の添加量が多過ぎ、ポリエステルフィルムの機械的強度を損なう等の弊害が生じることもある。
ポリエステルフィルム中に添加する上記着色顔料の他に、色調を調整するなどの目的で、付加的に白色顔料を併用して添加することができる。この白色顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウムなどを例示することができる。白色顔料の平均粒径は、通常0.01〜10μm、好ましくは0.02〜5μmの範囲で選択できる。そして調色した後のフィルムの色調は、明度(L*)は40%以下、さらには30%以下とするように添加量を調節して、太陽電池セルの色調(明度)に近づけることが好ましい。
さらに、本発明のポリエステルフィルム中には、上記の着色顔料や白色顔料の他に、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合してもよい。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化珪素、カオリン、酸化アルミニウム等の粒子が挙げられる。また、特公昭59―5216号公報、特開昭59―217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
また、易滑性を付与するために用いる粒子は、平均粒径で通常0.1〜10μmが好ましく、添加量としては、0.005〜5.0重量%の範囲で選択することができる。
ポリエステルフィルム中に上記の着色顔料や易滑性付与粒子等を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、原料となるポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後に添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き二軸押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とを混錬する方法、または乾燥させた粒子とポリエステル原料とを混錬する方法などによって行われる。特に着色顔料や白色顔料の場合には、高濃度のマスターバッチとしてポリエステル原料に添加しておき、フィルムの製膜時にこれを希釈する形で使用することが、フィルムを構成するポリエステルの末端カルボン酸基量を低くする点で好ましい。
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、上述の着色顔料や易滑性付与粒子等の他に、必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等を添加することができる。また、耐光性を向上する目的で、ポリエステルに対して0.01〜5重量部の範囲で紫外線吸収剤を含有させることができる。この紫外線吸収剤には、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾオキサジノン系などを挙げることができるが、これらの中でも、特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等が好ましく用いられる。また、これらの紫外線吸収剤は、後述するようにフィルム自体が3層以上の積層構造である場合には、その中間層に添加する方法も好ましく用いることができる。もちろん、これらの紫外線吸収剤や添加剤は、高濃度マスターバッチとして作成し、これを製膜時に希釈使用することができる。
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成またはそれ以上に層の数を増やした構成のフィルムとすることができる。着色顔料を含有させるポリエステル層は、任意の層を選択することができる。すなわち、中間層に着色顔料を存在させることも可能であるし、あるいは表層の片側あるいは両側に存在させることも可能であるし、表層・中間層の両方に存在させることも可能である。
但し、添加する着色顔料が多量でポリエステル層中の着色顔料が高濃度となる場合には、後述する塗布層が塗布される表面には、着色顔料を添加しないか、添加する場合には着色顔料が高濃度であるポリエステル層より少ない量に留めておき、塗布層とは接しない中間層や反対面を構成する表層に多量に添加することが、塗布層とポリエステルフィルムとの密着性を長期間保持する点で好ましい。
本発明のフィルムは、後述する測定方法によってフィルム全体(塗布層や着色顔料を除いた部分)を測定したときに、末端カルボン酸量が26当量/トン以下であることが必要であり、好ましくは24当量/トン以下である。末端カルボン酸量が26当量/トンを超えると、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が劣る傾向となる。ポリエステルフィルムの耐加水分解性は、フィルム全体に関連する特性であり、本願発明においては、当該フィルムを構成するポリエステル全体として末端カルボン酸量が前述した範囲であることが必要である。一方、本願発明の耐加水分解性を鑑みると、ポリエステルの末端カルボン酸量の下限はないが、重縮合反応の効率、溶融押出工程での加水分解や熱分解等の点から通常は10当量/トン程度である。
本発明において、ポリエステルフィルムの末端カルボン酸量を特定範囲とするため、フィルム製造での、ポリエステルチップを溶融押出する工程において、a)ポリエステルチップに含まれる水分によって加水分解を受けることを極力避けること、b)押出機およびメルトライン内でのポリエステルの滞留時間をできるだけ短くすること、などによって行われる。a)の具体的な例としては、一軸押出機を使用する場合は、原料をあらかじめ水分量が50ppm以下、好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥すること、二軸押出機を使用する場合は、ベント口を設け、40ヘクトパスカル以下、好ましくは30ヘクトパスカル以下、さらに好ましくは20ヘクトパスカル以下の減圧を維持すること等の方法を採用することができる。b)の具体的な例としては、押出機への原料投入から溶融シートが口金から吐出し始めるまでの滞留時間として、20分以下、さらには15分以下とすることが好ましい。
また、原料として低末端カルボン酸量のポリエステルを用いて製膜することで、末端カルボン酸量が特定範囲のポリエステルフィルムを得ることも重要である。具体的には、原料ポリエステルの末端カルボン酸量が、トータルとして20当量/トン、さらには15当量/トン以下とすることが好ましい。原料ポリエステルの末端カルボン酸量を低くする方法としては、重合効率を上げる方法や重合速度を速くする方法、分解速度を抑制する方法、溶融重合と固相重合とを併用するなどの従来公知の方法を採用しうる。例えば、重合時間を短くする方法、重合触媒量を増やす方法、高活性の重合触媒を使用する方法、重合温度を低くする方法などによって行われる。固相重合を併用する場合には、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素等の不活性気流中で180〜240℃の温度範囲で固相重合を施せばよく、得られるポリエステルの固有粘度は0.55dl/g以上であることが好ましく、0.60〜0.90dl/gであることがさらに好ましい。また、フィルム製造において、溶融工程を経た再生原料を配合すると末端カルボン酸量が増大するので、本願発明においてはかかる再生原料を配合しないことが好ましく、配合するとしても20重量部以下とすることが好ましい。
本発明の基材となるポリエステルフィルムは、フィルム全体を測定したときに、後述する蛍光X線分析装置を用いた分析にて検出されるリン元素量が、0〜170ppmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0〜140ppmの範囲であり、0ppmであってもよい。当該リン元素は、通常はリン酸化合物に由来するものであって、ポリエステル製造時に触媒成分として添加される。本発明においては、リン元素量が上記範囲を満足することにより、耐加水分解性をフィルムに付与することができる。リン元素量が多すぎると、リン酸化合物が原因となる加水分解を促進することになるため好ましくない。ポリエステルフィルムの耐加水分解性は、フィルム全体に関連する特性であり、本願発明においては含有するリンの含有量は、当該フィルムを構成するポリエステル全体として含有量が前述の範囲であることが好ましい。
リン酸化合物の例としては、リン酸、亜リン酸あるいはそれらのエステル、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、亜ホスホン酸化合物、亜ホスフィン酸化合物など公知のものが該当し、具体例としては、正リン酸、モノメチルフォスフェート、ジメチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、モノエチルフォスフェート、ジエチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、エチルアシッドホスフェート、モノプロピルフォスフェート、ジプロピルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、モノブチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、モノアミルフォスフェート、ジアミルフォスフェート、トリアミルフォスフェート、モノヘキシルフォスフェート、ジヘキシルフォスフェート、トリヘキシルフォスフェートなどが挙げられる。
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
ポリエステルフィルムが単層構成の場合には1台の溶融押出機を使用し、ポリエステルフィルムが多層構成の場合には、その積層構成に応じて必要な数の溶融押出機と、それらを合流積層させるフィードブロックあるいは多層のマルチマニホールドダイを用いる。公知の手法により乾燥したポリエステルチップを一軸押出機に供給、または、未乾燥のポリエステルチップを減圧系に繋いだベント口を有する二軸押出機に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱溶融する。この際、異物を除去するために公知の適切なポリマーフィルターを通してもよいし、ギアーポンプを用いて溶融ポリマーの脈動を低減する方法も採用できる。次いで、溶融したポリマーを口金から押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向(MD方向)に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向(TD方向)に90〜160℃で2〜6倍に延伸を行い、160〜240℃で1〜600秒間熱処理を行う。または、同時二軸延伸機を用いて、縦方向および横方向に70〜160℃で面積倍率として5〜20倍の範囲で同時に延伸した後、同条件で熱処理を行ってもよい。
さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
後述する塗布層をインラインコーティング法により塗布する場合には、縦延伸が終了した時点で、塗布を行い乾燥した後、横延伸を行うことが好ましい。
次に、本発明においてフィルムに設ける塗布層について述べる。
本発明の太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルムの少なくとも片面には、EVAやPVB、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)、エチレン−αオレフィン共重合体などの各種の太陽電池の封止樹脂とポリエステルフィルムとの間で、加水分解での劣化の少ない接着性を付与するために、ポリエーテル骨格を有するポリウレタンと、カルボジイミド基を含むポリマーである架橋剤とを含有する塗布層を有することが必要である。
ポリエーテル骨格を有するポリウレタンとは、ポリエーテル骨格を有する化合物を、各々ポリオールとして使用したものである。
塗布層のポリウレタンに用いるポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレンポリオール(ポリエチレングリコールなど)、ポリオキシプロピレンポリオール(ポリプロピレングリコールなど)、ポリオキシテトラメチレンポリオール(ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど)、共重合ポリエーテルポリオール(ポリオキシエチレングリコールとポリオキシプロピレングリコールなどのブロック共重合体やランダム共重合体など)などが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシテトラメチレングリコールが接着性を向上させる点で良好であり、しかも耐加水分解性に関しても良好であるため、好ましい。
ポリエーテルポリオールは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の数平均分子量で、300〜5000であることが好ましい。
上述したポリエーテルポリオールを用いたポリウレタンは、その他の汎用ポリオールであるポリエステルポリオールを用いたポリウレタンよりも、加水分解に対する耐性が良好なものとなる。
これらのポリエーテルポリオールは、各々1種類だけを単独で用いてもよいが、2種類以上を併用することも可能である。また、ポリカーボネートポリオールと併用することもできる。
塗布層のポリウレタンに用いるポリイソシアネートには、公知の脂肪族、脂環族、芳香族等のポリイソシアネートを挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートの具体例として、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、水添ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等を挙げることができる。
またこれらのポリイソシアネートは単独で使用してもよいが、2種以上混合して使用することもできる。
鎖長延長剤などの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水などがある。
本発明の塗布層に使用する、ポリカーボネート構造またはポリエーテル構造の少なくとも一種を有するポリウレタンは、有機溶剤を媒体とするものであってもよいが、好ましくは水を媒体とするものである。ポリウレタンを水に分散または溶解させるには、乳化剤を用いる強制乳化型、ポリウレタン樹脂中に親水性基を導入する自己乳化型あるいは水溶型等がある。特に、ポリウレタン樹脂の骨格中にイオン性基を導入しアイオノマー化した自己乳化タイプが、液の貯蔵安定性や得られる塗布層の耐水性、透明性、接着性に優れており好ましい。
また、導入するイオン性基としては、アニオン性基としては、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、リン酸塩基、ホスホン酸塩基等が挙げられ、カチオン性基としては、4級アンモニウム等が挙げられる。例えばアニオン性基としてカルボン酸塩基を例に挙げれば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸、トリメリット酸‐ビス(エチレングリコール)エステルなどのアンモニウム塩や低級アミン塩等を好ましく用いることができる。またカチオン性基の4級アンモニウムについては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミンなどの4級化物を好ましく用いることができる。これらのイオン性基の中でも、カルボン酸塩基であって、かつ、カウンターイオンがアンモニアやトリエチルアミン等の沸点が150℃以下の有機アミンである場合には、後述するオキサゾリン系架橋剤やカルボジイミド系架橋剤との反応性が高く、塗布層の架橋密度を高める点で特に好ましい。
ウレタン樹脂にイオン性基を導入する方法としては、重合反応の各段階の中で種々の方法が取り得る。例えば、プレポリマー合成時に、イオン性基を持つ樹脂を共重合成分として用いたり、ポリオールや鎖延長剤などの一成分としてイオン性基を持つ成分を用いたりすることができる。
本発明の塗布層には、上述したポリウレタンの他に、塗布層に耐熱性、耐熱接着性、耐湿性、耐ブロッキング性を付与するために、架橋剤を併用する必要がある。この架橋剤は、水溶性あるいは水分散性であることが好ましく、具体的には、カルボジイミド系化合物を含有させる。カルボジイミド系化合物であって、それ自体がポリマーである架橋剤が、塗布層の耐熱・耐湿接着性が大きく向上するため、特に好ましい。カルボジイミド系架橋剤は、例えば日清紡ケミカル株式会社の商品名カルボジライト(登録商標)として工業的に入手できる。また、これらの架橋剤の添加量は、塗布層中のポリウレタンに対する重量比で、10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20の割合で使用することが好ましい。
本発明の塗布層には、以上述べたポリウレタンと架橋剤成分との合計が、50重量%以上、さらには75重量%以上の量で存在していることが好ましい。これらの樹脂成分以外に、付加的にその他の樹脂を添加することができる。付加的に添加できる樹脂成分としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂などが挙げられる。但し、ポリエステル系樹脂やポリエステルポリウレタン樹脂は、耐加水分解性に劣ることが多く、これらの樹脂は塗布層へ添加しないか、添加してもその添加量を10重量%未満とすることが好ましい。
また、本発明では、塗布層のブロッキングの防止や滑り性の付与のために、塗布層中に微粒子を添加することも可能である。微粒子としては例えば、シリカやアルミナ、酸化金属等の無機粒子、あるいは架橋高分子粒子等の有機粒子等を用いることができる。微粒子の大きさは150nm以下、好ましくは100nm以下で、塗布層中の添加量としては、0.5〜10重量%の範囲で選択するのが好ましい。
その他、塗布層中に、必要に応じて上記述べた成分以外を含むことができる。例えば、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等である。これらの添加剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明における塗布層は、前述したように、主として水を媒体とした塗布液としてポリエステルフィルム上に塗工されることが好ましい。塗布されるポリエステルフィルムは、予め二軸延伸されたものでもよいが、塗布した後に少なくとも一方向に延伸され、さらに熱固定をする、いわゆるインラインコーティング法を用いることが好ましい。インラインコーティング法によれば、通常200℃以上の高温でポリエステルフィルムと塗布層が同時に熱固定されるため、塗布層の熱架橋反応が十分に進行すると共に、ポリエステルフィルムとの密着性が向上する。
また塗布液は、その分散性や保存安定性の向上、あるいは塗布性や塗布膜特性の改善を目的に、水以外に、通常20重量%以下の量で水との相溶性のある有機溶剤の一種または二種以上を加えることも可能である。
基材となるポリエステルフィルムへの塗布液の塗布方法としては、公知の任意の方法が適用できる。具体的には、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、バーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法およびカーテンコート法、ダイコート法などを単独または組み合わせて適用することができる。
本発明における塗布層は、その塗工量としては、乾燥・固化された後の、あるいは二軸延伸・熱固定等を施された後の最終的な乾燥皮膜として、0.005〜1.0g/m2、さらには0.01〜0.5g/m2の範囲とするのが好ましい。この塗工量が0.005g/m2未満では、接着性が不十分となる傾向にあり、1.0g/m2を超える場合には、もはや接着性は飽和しており、逆にブロッキング等の弊害が発生しやすくなる傾向がある。
本発明の塗布層はポリエステルフィルムの片面だけに設けてもよいし、両面に設けてもよい。さらに、上述したポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格の少なくとも一種を有するポリウレタンと、架橋剤とを含有する塗布層塗布層を片面に設けて、反対面にはそれ以外の塗布層を設けることも可能である。反対面の塗布層には、例えば帯電防止性を有するもの、金属あるいは酸化金属の蒸着との易接着性塗布層、公知の接着剤との易接着性塗布層などを設けることもできる。
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
(1)末端カルボン酸量(当量/トン)
いわゆる滴定法によって、末端カルボン酸の量を測定した。すなわちポリエステルをベンジルアルコールに溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定した。フィルムに塗布層が設けてある場合には、この影響を無くすため、研磨剤入りクレンザーを使って塗布層を水で洗い流してから、イオン交換水で十分にすすいで乾燥した後、同様に測定を行った。また、ポリエステルフィルム中に着色顔料や白色顔料が含まれている場合は、ベンジルアルコールに対する不溶成分であるこれらの顔料を、遠心沈降法により取り除いたものに対し適定することで、ポリエステル成分に対する末端カルボキシル基量(当量/トン)を求めた。
いわゆる滴定法によって、末端カルボン酸の量を測定した。すなわちポリエステルをベンジルアルコールに溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定した。フィルムに塗布層が設けてある場合には、この影響を無くすため、研磨剤入りクレンザーを使って塗布層を水で洗い流してから、イオン交換水で十分にすすいで乾燥した後、同様に測定を行った。また、ポリエステルフィルム中に着色顔料や白色顔料が含まれている場合は、ベンジルアルコールに対する不溶成分であるこれらの顔料を、遠心沈降法により取り除いたものに対し適定することで、ポリエステル成分に対する末端カルボキシル基量(当量/トン)を求めた。
(2)触媒由来元素の定量
蛍光X線分析装置(株式会社島津製作所製 型式「XRF−1500」)を用いて、下記表1に示す条件下で、フィルム中の元素量を求めた。積層フィルムの場合はフィルムを溶融してディスク状に成型して測定することにより、フィルム全体に対する含有量を測定した。また、フィルムに塗布層が設けてある場合には、この影響を無くすため、研磨剤入りクレンザーを使って塗布層を水で洗い流してから、イオン交換水で十分にすすいで乾燥した後、同様に測定を行った。なお、この方法での検出限界は、通常1ppm程度である。
蛍光X線分析装置(株式会社島津製作所製 型式「XRF−1500」)を用いて、下記表1に示す条件下で、フィルム中の元素量を求めた。積層フィルムの場合はフィルムを溶融してディスク状に成型して測定することにより、フィルム全体に対する含有量を測定した。また、フィルムに塗布層が設けてある場合には、この影響を無くすため、研磨剤入りクレンザーを使って塗布層を水で洗い流してから、イオン交換水で十分にすすいで乾燥した後、同様に測定を行った。なお、この方法での検出限界は、通常1ppm程度である。
(3)極限粘度
測定試料1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cm3の溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηrを測定し、極限粘度[η]を求めた。
測定試料1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cm3の溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηrを測定し、極限粘度[η]を求めた。
(4)フィルム伸度耐加水分解性
平山製作所製 パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−Eを用いて、120℃―100%RHの雰囲気にてフィルムを35時間処理した。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、フィルムの機械的特性として、製膜方向(MD方向)の破断伸度を測定した。測定には株式会社島津製作所製 万能試験機AUTOGRAPHを使用し、幅15mmのサンプルで、チャック間50mmとして、引張り速度200mm/分の条件で行った。処理前後での破断伸度の保持率(%)を下記の式(1)にて算出し、下記の基準で判断した。
破断伸度保持率=処理後の破断伸度÷処理前の破断伸度×100 …(1)
◎:保持率が80%以上
○:保持率が60〜80%未満
△:保持率が30〜60%未満
×:保持率が30%未満
平山製作所製 パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−Eを用いて、120℃―100%RHの雰囲気にてフィルムを35時間処理した。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、フィルムの機械的特性として、製膜方向(MD方向)の破断伸度を測定した。測定には株式会社島津製作所製 万能試験機AUTOGRAPHを使用し、幅15mmのサンプルで、チャック間50mmとして、引張り速度200mm/分の条件で行った。処理前後での破断伸度の保持率(%)を下記の式(1)にて算出し、下記の基準で判断した。
破断伸度保持率=処理後の破断伸度÷処理前の破断伸度×100 …(1)
◎:保持率が80%以上
○:保持率が60〜80%未満
△:保持率が30〜60%未満
×:保持率が30%未満
(5)EVAとの接着強度
長手方向がMD方向となるように、長さ300mm、幅25mmのポリエステルフィルムの小片を2本切り取った。一方で長さ50mm、幅25mmであるEVAフィルムの1本の小片を切り取り、2本のポリエステルフィルムの小片の塗布層面でEVAフィルムを挟むように重ねた。これをヒートシール装置(テスター産業株式会社製 TP−701−B)を用いてラミネートした。使用したEVAフィルムは、ドイツ Etimex社製 485.00(標準硬化タイプ、厚み0.5mm)で、ヒートシール条件は、温度150℃、圧力0.13MPaで、20分間の条件を用いた。EVAとの接着強度を測定するため、まず25mmの幅のポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネート小片から、長さ300mm、幅15mmのサンプルを切り取る。この15mm幅のポリエステルフィルムの小片のラミネートされていない端部を、引張/曲げ試験機(株式会社島津製作所製 EZGraph)の中に取り付ける。引き続き、角度180°、速度100mm/分でこのポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートを分離するために必要な力(接着強度)を10個の試料について測定して、その平均値を下記のように分類にした。
◎:接着強度が50N/15mm幅以上
○:接着強度が30N/15mm幅〜50N/15mm幅未満
△:接着強度が10N/15mm幅〜30N/15mm幅未満
×:接着強度が10N/15mm幅未満
長手方向がMD方向となるように、長さ300mm、幅25mmのポリエステルフィルムの小片を2本切り取った。一方で長さ50mm、幅25mmであるEVAフィルムの1本の小片を切り取り、2本のポリエステルフィルムの小片の塗布層面でEVAフィルムを挟むように重ねた。これをヒートシール装置(テスター産業株式会社製 TP−701−B)を用いてラミネートした。使用したEVAフィルムは、ドイツ Etimex社製 485.00(標準硬化タイプ、厚み0.5mm)で、ヒートシール条件は、温度150℃、圧力0.13MPaで、20分間の条件を用いた。EVAとの接着強度を測定するため、まず25mmの幅のポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネート小片から、長さ300mm、幅15mmのサンプルを切り取る。この15mm幅のポリエステルフィルムの小片のラミネートされていない端部を、引張/曲げ試験機(株式会社島津製作所製 EZGraph)の中に取り付ける。引き続き、角度180°、速度100mm/分でこのポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートを分離するために必要な力(接着強度)を10個の試料について測定して、その平均値を下記のように分類にした。
◎:接着強度が50N/15mm幅以上
○:接着強度が30N/15mm幅〜50N/15mm幅未満
△:接着強度が10N/15mm幅〜30N/15mm幅未満
×:接着強度が10N/15mm幅未満
(6)EVAとの接着強度耐加水分解性
上記(5)で作成したポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートの25mm幅の試験片を用いて、上記(4)と同様に120℃―100%RHの雰囲気にて35時間の湿熱処理を行った。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、サンプルから15mm幅の測定サンプルを切り取り、上記(5)と同様に、ポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートを分離するために必要な力(接着強度)の平均値を求めた。
この値と、湿熱処理を行う前の接着強度から、接着強度保持率を次式にて算出し、下記の基準で判断した。
接着強度保持率(%)=(湿熱処理後の接着強度)/(湿熱処理前の接着強度)
◎:保持率が70%以上
○:保持率が50〜70%未満
△:保持率が50%未満
×:ポリエステルフィルム自体の劣化が著しく、破れや損傷が発生する
上記(5)で作成したポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートの25mm幅の試験片を用いて、上記(4)と同様に120℃―100%RHの雰囲気にて35時間の湿熱処理を行った。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、サンプルから15mm幅の測定サンプルを切り取り、上記(5)と同様に、ポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートを分離するために必要な力(接着強度)の平均値を求めた。
この値と、湿熱処理を行う前の接着強度から、接着強度保持率を次式にて算出し、下記の基準で判断した。
接着強度保持率(%)=(湿熱処理後の接着強度)/(湿熱処理前の接着強度)
◎:保持率が70%以上
○:保持率が50〜70%未満
△:保持率が50%未満
×:ポリエステルフィルム自体の劣化が著しく、破れや損傷が発生する
(7)ポリビニルブチラール(PVB)との接着性
・評価用PVBシートの作成
粉末状のPVB(分子量約11万、ブチラール化度65モル%、水酸基量約34モル%)6重量部、トリ(エチレングリコール)−ビス−2−エチルヘキサノエート(可塑剤)4重量部を45重量部のトルエンと混合し膨潤させた後、45重量部のエタノールを加え溶解させた。この溶液をテフロン(登録商標)製のシャーレに入れ、熱風オーブンにて100℃、1時間乾燥して厚さ約0.4mmのPVBシートを作成した。
・評価用PVBシートの作成
粉末状のPVB(分子量約11万、ブチラール化度65モル%、水酸基量約34モル%)6重量部、トリ(エチレングリコール)−ビス−2−エチルヘキサノエート(可塑剤)4重量部を45重量部のトルエンと混合し膨潤させた後、45重量部のエタノールを加え溶解させた。この溶液をテフロン(登録商標)製のシャーレに入れ、熱風オーブンにて100℃、1時間乾燥して厚さ約0.4mmのPVBシートを作成した。
・接着性評価
上記PVBシートを幅1cm、長さ10cmに切り出し、2枚の供試フィルムで易接着面が該シートに向くように挟み、ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製 TP−701)で熱圧着する。条件は以下のとおりである。
圧力:0.13MPa
温度:140℃
時間:3分
一昼夜の放冷後、圧着部分を手で剥離し下記の基準により接着性を判定した。
○:接着強度が良好(供試フィルムまたはPVBシートが損傷するまたは接着界面で剥離するが強い力がいる)
△:接着強度が普通(接着界面で剥離するが軽い手応えがある)
×:接着強度が不良(接着界面でほとんど手応えがなく、簡単に剥離する)
××:ポリエステルフィルム自体の劣化が著しく、破れや損傷が発生する
上記PVBシートを幅1cm、長さ10cmに切り出し、2枚の供試フィルムで易接着面が該シートに向くように挟み、ヒートシールテスター(テスター産業株式会社製 TP−701)で熱圧着する。条件は以下のとおりである。
圧力:0.13MPa
温度:140℃
時間:3分
一昼夜の放冷後、圧着部分を手で剥離し下記の基準により接着性を判定した。
○:接着強度が良好(供試フィルムまたはPVBシートが損傷するまたは接着界面で剥離するが強い力がいる)
△:接着強度が普通(接着界面で剥離するが軽い手応えがある)
×:接着強度が不良(接着界面でほとんど手応えがなく、簡単に剥離する)
××:ポリエステルフィルム自体の劣化が著しく、破れや損傷が発生する
(8)PVBとの接着性耐加水分解性
上記(7)で作成した接着性評価試験サンプルを、ESPEC株式会社製 恒温恒湿槽PR−2KPを用いて、85℃/85%RHの条件で500時間湿熱処理を行った。このサンプルを恒温恒湿槽から取り出した後、一昼夜放冷してから、(7)と同様に接着性の評価を行った。
上記(7)で作成した接着性評価試験サンプルを、ESPEC株式会社製 恒温恒湿槽PR−2KPを用いて、85℃/85%RHの条件で500時間湿熱処理を行った。このサンプルを恒温恒湿槽から取り出した後、一昼夜放冷してから、(7)と同様に接着性の評価を行った。
次に以下の例で使用したポリエステル原料について説明する。
<ポリエステル(1)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物に三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には40パスカルとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.61に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(1)の極限粘度は0.61、ポリマーの末端カルボン酸量は30当量/トンであった。
<ポリエステル(1)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物に三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には40パスカルとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.61に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(1)の極限粘度は0.61、ポリマーの末端カルボン酸量は30当量/トンであった。
<ポリエステル(2)の製造法>
ポリエステル(1)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(2)を得た。ポリエステル(2)の極限粘度は0.81、ポリマーの末端カルボン酸量は7当量/トンであった。
ポリエステル(1)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(2)を得た。ポリエステル(2)の極限粘度は0.81、ポリマーの末端カルボン酸量は7当量/トンであった。
<ポリエステル(3)の製造法>
ポリエステル(1)の製造において、エステル交換反応後に、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.6μmの非晶質シリカ粒子0.1重量部を加えた以外は同様の方法で、ポリエステル(3)を得た。得られたポリエステル(3)の極限粘度は0.61、ポリマーの末端カルボン酸量は28当量/トンであった。
ポリエステル(1)の製造において、エステル交換反応後に、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.6μmの非晶質シリカ粒子0.1重量部を加えた以外は同様の方法で、ポリエステル(3)を得た。得られたポリエステル(3)の極限粘度は0.61、ポリマーの末端カルボン酸量は28当量/トンであった。
<ポリエステル(4)の製造法>
ポリエステル(3)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(4)を得た。ポリエステル(4)の極限粘度は0.73、ポリマーの末端カルボン酸量は10当量/トンであった。
ポリエステル(3)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(4)を得た。ポリエステル(4)の極限粘度は0.73、ポリマーの末端カルボン酸量は10当量/トンであった。
<ポリエステル(5)の製造法>
ポリエステル(1)の製造において、エステル交換反応後に正リン酸0.047重量部(リン元素として0.015部)を添加した後、三酸化アンチモン0.04重量部を加えた以外は同様の方法で、ポリエステル(5)を得た。得られたポリエステル(5)の極限粘度は0.61、ポリマーの末端カルボン酸量は31当量/トンであった。
ポリエステル(1)の製造において、エステル交換反応後に正リン酸0.047重量部(リン元素として0.015部)を添加した後、三酸化アンチモン0.04重量部を加えた以外は同様の方法で、ポリエステル(5)を得た。得られたポリエステル(5)の極限粘度は0.61、ポリマーの末端カルボン酸量は31当量/トンであった。
<ポリエステル(6)の製造法>
ポリエステル(5)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(6)を得た。ポリエステル(6)の極限粘度は0.73、ポリマーの末端カルボン酸量は10当量/トンであった。
ポリエステル(5)を出発原料とし、真空下220℃にて固相重合を行ってポリエステル(6)を得た。ポリエステル(6)の極限粘度は0.73、ポリマーの末端カルボン酸量は10当量/トンであった。
<カーボンブラックマスターバッチ1(BMB−1)の製造法>
上記ポリエステル(2)をベント付き二軸押出機に供して、カーボンブラック(オイルファーネスブラック 平均一次粒径70nm)を10重量%となるように供給してチップ化を行い、カーボンブラックマスターバッチ(BMB−1)を得た。
上記ポリエステル(2)をベント付き二軸押出機に供して、カーボンブラック(オイルファーネスブラック 平均一次粒径70nm)を10重量%となるように供給してチップ化を行い、カーボンブラックマスターバッチ(BMB−1)を得た。
<フタロシアニンブルーマスターバッチ(BMB−2)の製造法>
上記ポリエステル(2)をベント付き二軸押出機に供して、銅フタロシアニンブルー(平均一次粒径150nm)を10重量%となるように供給してチップ化を行い、銅フタロシアニンブルーマスターバッチ(BMB−2)を得た。
上記ポリエステル(2)をベント付き二軸押出機に供して、銅フタロシアニンブルー(平均一次粒径150nm)を10重量%となるように供給してチップ化を行い、銅フタロシアニンブルーマスターバッチ(BMB−2)を得た。
<カーボンブラックマスターバッチ3(BMB−3)の製造法>
上記ポリエステル(6)をベント付き二軸押出機に供して、カーボンブラック(オイルファーネスブラック 平均一次粒径70nm)を10重量%となるように供給してチップ化を行い、カーボンブラックマスターバッチ3(BMB−3)を得た。
上記ポリエステル(6)をベント付き二軸押出機に供して、カーボンブラック(オイルファーネスブラック 平均一次粒径70nm)を10重量%となるように供給してチップ化を行い、カーボンブラックマスターバッチ3(BMB−3)を得た。
<酸化チタンマスターバッチ1(WMB−1)の製造法>
上記ポリエステル(2)をベント付き二軸押出機に供して、酸化チタン(アナターゼ型 平均粒径0.3μm)を50重量%となるように供給してチップ化を行い、白色顔料マスターバッチ(WMB−1)を得た。
上記ポリエステル(2)をベント付き二軸押出機に供して、酸化チタン(アナターゼ型 平均粒径0.3μm)を50重量%となるように供給してチップ化を行い、白色顔料マスターバッチ(WMB−1)を得た。
<塗布剤および塗布剤配合>
塗布層の塗布剤配合は下記表2に示す。なお、表2中の添加量は、全て固形分重量%を表す。用いた塗布剤は下記に示すとおりである。
塗布層の塗布剤配合は下記表2に示す。なお、表2中の添加量は、全て固形分重量%を表す。用いた塗布剤は下記に示すとおりである。
・U−1:数平均分子量約1000のポリテトラメチレングリコールとジメチロールプロピオン酸とイソホロンジイソシアネートからなるポリウレタン(カルボン酸のカウンターイオンがアンモニア)であるポリウレタン水分散体
・U−2:ヘキサメチレンジオールのポリカーボネートポリオール(数平均分子量約1000)とジメチロールプロピオン酸と水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートからなるポリウレタン(カルボン酸のカウンターイオンがトリエチルアミン)である水分散体
・U−3:芳香族ポリエステルと脂肪族ジイソシアネートとのポリエステルポリウレタン水分散体である、DIC株式会社 商品名ハイドラン(登録商標)AP−40F。
・E−1:芳香族ポリエステルの水分散体である、DIC株式会社 商品名ファインテック(登録商標)ES−670
・X−1:オキサゾリン系水溶性樹脂架橋剤 株式会社日本触媒 商品名エポクロス(登録商標)WS−500
・X−2:カルボジイミド系水溶性樹脂架橋剤 日清紡ケミカル株式会社 商品名カルボジライト(登録商標)V−02−L2
・X−3:水溶性エポキシ系架橋剤 ナガセケムテックス株式会社 商品名デナコール(登録商標)EX−521
・D−1:シリカ微粒子水分散体(平均粒子径60nm)
・U−2:ヘキサメチレンジオールのポリカーボネートポリオール(数平均分子量約1000)とジメチロールプロピオン酸と水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートからなるポリウレタン(カルボン酸のカウンターイオンがトリエチルアミン)である水分散体
・U−3:芳香族ポリエステルと脂肪族ジイソシアネートとのポリエステルポリウレタン水分散体である、DIC株式会社 商品名ハイドラン(登録商標)AP−40F。
・E−1:芳香族ポリエステルの水分散体である、DIC株式会社 商品名ファインテック(登録商標)ES−670
・X−1:オキサゾリン系水溶性樹脂架橋剤 株式会社日本触媒 商品名エポクロス(登録商標)WS−500
・X−2:カルボジイミド系水溶性樹脂架橋剤 日清紡ケミカル株式会社 商品名カルボジライト(登録商標)V−02−L2
・X−3:水溶性エポキシ系架橋剤 ナガセケムテックス株式会社 商品名デナコール(登録商標)EX−521
・D−1:シリカ微粒子水分散体(平均粒子径60nm)
比較例1:
上記のポリエステル(1)、ポリエステル(4)およびカーボンブラックマスターバッチ1(BMB−1)を65:30:5の重量比で混合したポリエステルを原料として、ベント付き二軸押出機に投入して、290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸シートを得た。この溶融押出での最も長い滞留時間は11分であった。得られたシートをロール延伸法により、縦方向に85℃で3.6倍延伸した。ここで、フィルム表面にコロナ放電処理を施した後、その処理面に、上記表2に示した塗布剤1をバーコーターで塗布し、最終的なフィルムでの塗工量が0.03g/m 2 となるように調整した。この後テンターに導き、100℃で乾燥した後、110℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに220℃で熱処理を行った後、200℃で幅方向に4%縮めた。得られたフィルムの厚さは50μmであった。この溶融押出での最も長い滞留時間は11分であった。このフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。フィルムの色調は、太陽電池セルと類似の黒色であり、しかも隠蔽性も高いものであった。
上記のポリエステル(1)、ポリエステル(4)およびカーボンブラックマスターバッチ1(BMB−1)を65:30:5の重量比で混合したポリエステルを原料として、ベント付き二軸押出機に投入して、290℃で溶融押出し、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸シートを得た。この溶融押出での最も長い滞留時間は11分であった。得られたシートをロール延伸法により、縦方向に85℃で3.6倍延伸した。ここで、フィルム表面にコロナ放電処理を施した後、その処理面に、上記表2に示した塗布剤1をバーコーターで塗布し、最終的なフィルムでの塗工量が0.03g/m 2 となるように調整した。この後テンターに導き、100℃で乾燥した後、110℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに220℃で熱処理を行った後、200℃で幅方向に4%縮めた。得られたフィルムの厚さは50μmであった。この溶融押出での最も長い滞留時間は11分であった。このフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。フィルムの色調は、太陽電池セルと類似の黒色であり、しかも隠蔽性も高いものであった。
比較例2:
比較例1において、ポリエステル原料としてポリエステル(6)、ポリエステル(4)およびカーボンブラックマスターバッチ1(BMB−3)を65:30:5の重量比で混合したものを用いて溶融押出しをしたが、この際に吐出量とライン速度を下げて行い、溶融押出での最も長い滞留時間は21分とした。その後は比較例1と全く同様の方法により、厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの特性および評価結果を表3に示す。フィルムの色調は、太陽電池セルと類似の黒色であり、しかも隠蔽性も高いものであった。
比較例1において、ポリエステル原料としてポリエステル(6)、ポリエステル(4)およびカーボンブラックマスターバッチ1(BMB−3)を65:30:5の重量比で混合したものを用いて溶融押出しをしたが、この際に吐出量とライン速度を下げて行い、溶融押出での最も長い滞留時間は21分とした。その後は比較例1と全く同様の方法により、厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの特性および評価結果を表3に示す。フィルムの色調は、太陽電池セルと類似の黒色であり、しかも隠蔽性も高いものであった。
比較例3:
比較例1において、原料をポリエステル(2)、ポリエステル(4)、および白色顔料マスターバッチ1(WMB−1)を65:30:5の重量比で混合したポリエステルに変更した以外は、比較例1と全く同様の方法で厚さ50μmのフィルムを得た。この溶融押出での最も長い滞留時間は11分であった。このフィルムの特性および評価結果を表4に示す。このフィルムの色調は白色であり、太陽電池セルの黒色とは強いコントラストを示す。このため、太陽電池の複数のセルの間から見える白色の裏面保護材フィルムが縁取りとなり、太陽電池パネル表面が幾何学模様に見えてしまい、風致地区の設置にふさわしくないものとなった。
比較例1において、原料をポリエステル(2)、ポリエステル(4)、および白色顔料マスターバッチ1(WMB−1)を65:30:5の重量比で混合したポリエステルに変更した以外は、比較例1と全く同様の方法で厚さ50μmのフィルムを得た。この溶融押出での最も長い滞留時間は11分であった。このフィルムの特性および評価結果を表4に示す。このフィルムの色調は白色であり、太陽電池セルの黒色とは強いコントラストを示す。このため、太陽電池の複数のセルの間から見える白色の裏面保護材フィルムが縁取りとなり、太陽電池パネル表面が幾何学模様に見えてしまい、風致地区の設置にふさわしくないものとなった。
実施例1、比較例5〜9:
上記のポリエステル(2)およびポリエステル(4)を70:30の重量比で混合したポリエステルをポリエステルA層用原料とし、さらにポリエステル(2)とカーボンブラックマスターバッチ1(BMB−1)を90:10の重量比で混合したポリエステルをポリエステルB層用原料とした。これらの各原料を別々に二台のベント付き二軸押出機に投入して、290℃で溶融押出し、A/B/A=3/44/3の層構成比になるようにマルチマニホールドダイで合流積層させた後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸シートを得た。この溶融押出での最も長い滞留時間は14分であった。得られたシートをロール延伸法により、縦方向に85℃で3.6倍延伸した。ここで、ポリエステルA層表面にコロナ放電処理を施した後、その処理面に、上記表2に示した塗布剤2〜10をバーコーターで塗布し、最終的なフィルムでの塗工量が0.02g/m 2 となるように調整した。この後テンターに導き、100℃で乾燥した後、110℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに220℃で熱処理を行った後、200℃で幅方向に4%縮めた。得られたフィルムの厚さは50μmであった。このフィルムの特性および評価結果を下記表4および5に示す。これらのフィルムの色調は、太陽電池セルと類似の黒色であり、しかも隠蔽性も高いものであった。なお、表3〜5中のフィルム積層構成に「塗」とあるのは、いずれも塗布層を意味する。
上記のポリエステル(2)およびポリエステル(4)を70:30の重量比で混合したポリエステルをポリエステルA層用原料とし、さらにポリエステル(2)とカーボンブラックマスターバッチ1(BMB−1)を90:10の重量比で混合したポリエステルをポリエステルB層用原料とした。これらの各原料を別々に二台のベント付き二軸押出機に投入して、290℃で溶融押出し、A/B/A=3/44/3の層構成比になるようにマルチマニホールドダイで合流積層させた後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させて未延伸シートを得た。この溶融押出での最も長い滞留時間は14分であった。得られたシートをロール延伸法により、縦方向に85℃で3.6倍延伸した。ここで、ポリエステルA層表面にコロナ放電処理を施した後、その処理面に、上記表2に示した塗布剤2〜10をバーコーターで塗布し、最終的なフィルムでの塗工量が0.02g/m 2 となるように調整した。この後テンターに導き、100℃で乾燥した後、110℃で横方向に3.9倍延伸し、さらに220℃で熱処理を行った後、200℃で幅方向に4%縮めた。得られたフィルムの厚さは50μmであった。このフィルムの特性および評価結果を下記表4および5に示す。これらのフィルムの色調は、太陽電池セルと類似の黒色であり、しかも隠蔽性も高いものであった。なお、表3〜5中のフィルム積層構成に「塗」とあるのは、いずれも塗布層を意味する。
本発明のフィルムは、例えば、太陽電池裏面保護材用フィルムとして好適に利用することができる。
Claims (2)
- フィルムの末端カルボキシル基量が26当量/トン以下であるポリエステルフィルム中に着色顔料を含有し、ポリエーテル骨格を有するポリウレタンと、カルボジイミド基を含むポリマーである架橋剤とを含有する塗布層を当該フィルムの少なくとも片面に有することを特徴とする太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム。
- 着色顔料がカーボンブラックである請求項1記載の太陽電池裏面保護材用ポリエステルフィルム。
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- 2013-07-20 JP JP2013151167A patent/JP2013214778A/ja active Pending
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