JP2013188978A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 基材フィルムの耐加水分解性が優れ、しかもα−オレフィン系樹脂を含む封止材に対する熱圧着接着性に優れ、例えば太陽電池裏面保護材用フィルムなどに好適に用いることのできる積層ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 末端カルボン酸量が26当量/トン以下であり、かつ、極限粘度が0.65dl/g以上である二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、プロピレン・α−オレフィン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体(A)、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格を有するポリウレタン(B)、および1種以上の架橋剤(C)を含む塗布液から形成された塗布層を有し、当該塗布層が少なくとも一方向に延伸され熱固定されていることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】 末端カルボン酸量が26当量/トン以下であり、かつ、極限粘度が0.65dl/g以上である二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、プロピレン・α−オレフィン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体(A)、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格を有するポリウレタン(B)、および1種以上の架橋剤(C)を含む塗布液から形成された塗布層を有し、当該塗布層が少なくとも一方向に延伸され熱固定されていることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明は、積層ポリエステルフィルムに関するものであり、詳しくは、基材フィルムの耐加水分解性に優れ、高温高湿度環境や屋外での長期使用においてもフィルムの劣化が少なく、しかもエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(以後、EVAと略すことがある)だけでなく、α−オレフィン系の封止材との接着性に優れる塗布層を有しており、たとえば太陽電池裏面保護用フィルムに好適な積層ポリエステルフィルムに関するものである。
太陽光発電は、近年、クリーンで、地球温暖化防止に役立つエネルギー源として非常に注目を集めており、既にかなりの普及が始まりつつある。この太陽光発電の代表として、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等の半導体を使った太陽電池を挙げることができる。太陽電池は、半導体に太陽光が当たると電流を取り出せるという原理を実用化したものである。近年注目されているものの一つに、比較的大型の太陽電池がある。太陽電池が設置されるのは、砂漠や荒地などの未利用地や、メガソーラー等のための工業用地や遊休地、家屋あるいは大型建造物の屋根などであり、何れも太陽があたる場所であり、かつ屋外で自然な状態に晒される場所である。太陽電池は心臓部である半導体セルに水分が及ぶとその性能が著しく低下するために、太陽電池には、強度や耐水性が過酷な自然環境に長時間耐えるパッケージが要求される。また、家屋等の屋根に設置するため太陽電池の軽量化も要求される。
このような耐久性のあるパッケージからなる太陽電池モジュールの構成として、代表的なものに、次のような構成が知られている。すなわち、受光面側の表面側透明保護部材としてのガラス基板と、裏面保護材用フィルムとの間に、EVA等の封止材を挿入して、太陽電池用セル、すなわち、半導体の光発電素子を固定した構成である。
上記の裏面保護材用フィルムとして、透明性、強度、コスト等の点で優れたポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルムを用いたものが知られている。しかし、裏面保護材用にポリエステルフィルムを使った場合には、ポリエステルフィルムとEVA等の封止材との接着性が弱く、接着性を改善するため、例えば易接着層を塗設して熱圧着することを可能としたり(特許文献1)、接着剤を使用したりすることが必要となる。これに対して我々は、EVA等の封止材との耐湿熱性に優れる易接着層を有するポリエステルフィルムを提案している(特許文献2、3)。
ところで、EVAはその分子内に酢酸エステル構造を有する。そのため、封止材にEVAを用いることに対しては、何らかの理由でEVAが分解した場合に発生する酢酸ガスの成分が太陽電池用セルに影響を与える可能性を懸念する考え方がある。これを避けることも含めて、EVAの代わりに酢酸ガスの発生のないα−オレフィン重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂を封止材として用いることが提案されている(特許文献4〜7)。
しかしながら、特許文献1〜3で用いられる易接着層は、主としてEVA等の封止材との熱圧着による接着性を良好せしめるものであり、この易接着層をそのまま特許文献4〜7のα−オレフィン重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂を含む封止材に適用した場合には、その熱圧着による接着性には不十分な場合があり、更なる改善が求められている。
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであって、その解決課題は、基材フィルムの耐加水分解性が優れ、しかもEVAだけでなく、α−オレフィン系樹脂を含む封止材に対する熱圧着接着性に優れ、例えば太陽電池裏面保護材用フィルムなどに好適に用いることのできる積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実状に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成からなる積層ポリエステルフィルムを用いれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、末端カルボン酸量が26当量/トン以下であり、かつ、極限粘度が0.65dl/g以上である二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、プロピレン・α−オレフィン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格を有するポリウレタン、および1種以上の架橋剤を含む塗布液から形成された塗布層を有し、当該塗布層が少なくとも一方向に延伸され熱固定されていることを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。
本発明の積層ポリエステルフィルムによれば、フィルム自体の耐加水分解性に優れ、高温高湿度環境や屋外での長期使用においてもフィルムの劣化が少なく、かつ、封止材として通常よく用いられるEVAだけでなく、α−オレフィン重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂を含む封止材との接着性にも優れる塗布層を有する。このため、例えば太陽電池裏面保護材用フィルム等の用途に好適であり、本発明の工業的価値は高い。
本発明のフィルム基材として使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4―シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらのポリエステルの中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、コストと性能のバランスに優れており、本発明においては、ポリエステルフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを好ましく用いることができる。
本発明の基材となるポリエステルフィルムのポリエステル原料は、通常ポリエステルの重合でよく用いられるアンチモン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属化合物重合触媒を用いることができる。ただし、これらの触媒量が多いと、フィルム化のためのポリエステルを溶融させた際に、分解反応起きやすくなり、分子量の低下などにより末端カルボン酸濃度が高くなり、耐加水分解性が劣るようになる。一方で重合触媒量が少な過ぎる場合には、重合反応速度が低下するので、重合時間が長くなって末端カルボン酸濃度が高くなり、結果的に耐加水分解性を悪化させることになる。このため、本発明においては、アンチモンであれば通常50〜400ppm、好ましくは100〜350ppm、チタンであれば通常1〜20ppm、好ましくは2〜15ppm、ゲルマニウムであれば通常3〜50ppm、好ましくは5〜40ppm、アルミニウムであれば通常5〜30、好ましくは10〜20ppmの範囲の使用量とするのがよい。またこれらの重合触媒は、2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。
上記の重合触媒の中でも、特にチタン触媒を用いて、かつ連続重合法で重合した場合には、チタン触媒を用いてバッチ式重合法で重合した場合や、他の触媒を用いて重合した場合に比べて、末端カルボン酸量が少ないポリエステルを効率的に製造できる点で、特に好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、後述する測定方法によってフィルム全体(塗布層を除いた部分)を測定したときに、末端カルボン酸量が26当量/トン以下であることが必要であり、好ましくは24当量/トン以下である。末端カルボン酸量が26当量/トンを超えると、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が劣る傾向となる。ポリエステルフィルムの耐加水分解性は、フィルム全体に関連する特性であり、本願発明においては、当該フィルムを構成するポリエステル全体として末端カルボン酸量が前述した範囲であることが必要である。一方、本発明の耐加水分解性を鑑みると、ポリエステルの末端カルボン酸量の下限はないが、重縮合反応の効率、溶融押出工程での加水分解や熱分解等の点から通常は10当量/トン程度である。
さらに本発明の積層ポリエステルフィルムは、極限粘度が0.65dl/g以上であることが必要であり、より好ましくは0.68dl/g以上である。ポリエステルフィルムの極限粘度を0.65dl/g未満であると、ポリエステルの加水分解の程度が比較的少なくても、ポリエステルの分子量が低くなるので、結果的にポリエステルフィルムの機械的強度が劣ることとなる。
本発明において、ポリエステルフィルムの末端カルボン酸量を特定範囲とするため、またポリエステルフィルムの極限粘度を低下させないために、フィルム製造でのポリエステルチップを溶融押出する工程において、a)ポリエステルチップに含まれる水分によって加水分解を受けることを極力避けること、b)押出機およびメルトライン内でのポリエステルの滞留時間をできるだけ短くすること、などを行うことが好ましい。a)の具体的な例としては、一軸押出機を使用する場合は、原料をあらかじめ水分量が50ppm以下、好ましくは30ppm以下になるように十分乾燥すること、二軸押出機を使用する場合は、ベント口を設け、40ヘクトパスカル以下、好ましくは30ヘクトパスカル以下、さらに好ましくは20ヘクトパスカル以下の減圧を維持すること等の方法を採用することができる。b)の具体的な例としては、押出機への原料投入から溶融シートが口金から吐出し始めるまでの滞留時間として、20分以下、さらには15分以下とすることが好ましい。
さらに、原料として低末端カルボン酸量でかつ高い極限粘度のポリエステルを用いて製膜することで、末端カルボン酸量が特定範囲でかつ高い極限粘度のポリエステルフィルムを得ることも重要である。具体的には、原料ポリエステルの末端カルボン酸量が、トータルとして20当量/トン、さらには15当量/トン以下とすることが好ましい。原料ポリエステルの末端カルボン酸量を低くする方法としては、重合効率を上げる方法や重合速度を速くする方法、分解速度を抑制する方法、溶融重合と固相重合とを併用するなどの従来公知の方法を採用しうる。例えば、重合時間を短くする方法、重合触媒量を増やす方法、高活性の重合触媒を使用する方法、重合温度を低くする方法などによって行われる。固相重合を併用する場合には、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素等の不活性気流中で180〜240℃の温度範囲で固相重合を施せばよく、得られるポリエステルの固有粘度は0.70dl/g以上であることが好ましく、0.75〜0.90dl/gであることがさらに好ましい。
また、フィルム製造において、溶融工程を経た再生原料を配合すると末端カルボン酸量が増大するので、本願発明においてはかかる再生原料を配合しないことが好ましく、配合するとしても20重量部以下とすることが好ましい。
本発明の基材となるポリエステルフィルムは、フィルム全体を測定したときに、後述する蛍光X線分析装置を用いた分析にて検出されるリン元素量が、0〜170ppmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0〜140ppmの範囲であり、0ppmであってもよい。当該リン元素は、通常はリン酸化合物に由来するものであって、ポリエステル製造時に触媒成分として添加される。本発明においては、リン元素量が上記範囲を満足することにより、耐加水分解性をフィルムに付与することができる。リン元素量が多すぎると、リン酸化合物が原因となる加水分解を促進することになるため好ましくない。ポリエステルフィルムの耐加水分解性は、フィルム全体に関連する特性であり、本願発明においては含有するリンの含有量は、当該フィルムを構成するポリエステル全体として含有量が前述の範囲であることが好ましい。
リン酸化合物の例としては、リン酸、亜リン酸あるいはそれらのエステル、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、亜ホスホン酸化合物、亜ホスフィン酸化合物など公知のものが該当し、具体例としては、正リン酸、モノメチルフォスフェート、ジメチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、モノエチルフォスフェート、ジエチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、エチルアシッドホスフェート、モノプロピルフォスフェート、ジプロピルフォスフェート、トリプロピルフォスフェート、モノブチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、モノアミルフォスフェート、ジアミルフォスフェート、トリアミルフォスフェート、モノヘキシルフォスフェート、ジヘキシルフォスフェート、トリヘキシルフォスフェートなどが挙げられる。
本発明の基材フィルム中には、フィルムの易滑性付与や、光線反射性を有する白色化、着色隠蔽性付与等を目的として、微粒子を配合することができる。
易滑性付与を目的とした微粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化珪素、カオリン、酸化アルミニウム等の粒子が挙げられる。また、特公昭59―5216号公報、特開昭59―217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
フィルムの光線反射性を有する白色化のために用いられる微粒子としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウムなどの白色顔料を例示することができる。着色隠蔽性付与のために用いられる微粒子としては、カーボンブラックや、公知の無機顔料微粒子および有機顔料微粒子などの着色顔料を例示することができる。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜10μmが好ましい。平均粒径が0.01μm未満の場合には、フィルムに易滑性を与える効果が不足する。一方、10μmを超える場合には、フィルム生産時に破断が頻発して生産性が低下する場合がある。
さらに、ポリエステル中の粒子含有量は、フィルムに易滑性を付与するための微粒子であれば、通常0.0003〜1.0重量部、好ましくは0.0005〜0.5重量部の範囲とし、白色化、着色隠蔽性付与のための微粒子であれば、1〜30重量部、好ましくは2〜25重量部の範囲から選択することができる。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後に添加し、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
なお、本発明のポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等を添加することができる。また、耐光性を向上する目的で、ポリエステルに対して0.01〜5重量部の範囲で紫外線吸収剤を含有させることができる。この紫外線吸収剤には、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾオキサジノン系などを挙げることができるが、これらの中でも、特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等が好ましく用いられる。また、これらの紫外線吸収剤やその他の添加剤等は、後述するようにフィルム自体が3層以上の積層構造である場合には、その中間層に添加する方法も好ましく用いることができる。
本発明においては、ポリエステルの溶融押出機を2台または3台以上用いて、いわゆる共押出法により2層または3層以上の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料とを用いたA/B構成、またはA/B/A構成、さらにC原料を用いてA/B/C構成またはそれ以上に層の数を増やした構成のフィルムとすることができる。着色顔料を含有させるポリエステル層は、任意の層を選択することができる。すなわち、中間層に着色顔料を存在させることも可能であるし、あるいは表層の片側あるいは両側に存在させることも可能であるし、表層・中間層の両方に存在させることも可能である。
ただし、添加する白色顔料や着色顔料が多量でポリエステル層中のこれらの顔料が高濃度となる場合には、後述する塗布層が塗布される表層は、これらの顔料を添加しないか、添加する場合にはこれらの顔料が高濃度であるポリエステル層より少ない量に留めておき、塗布層とは接しない中間層や反対面を構成する表層に多量に添加することが、塗布層とポリエステルフィルムとの密着性を長期間保持する点で好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、縦方向(長手方向)および横方向(幅方向)に延伸され、その後熱固定された二軸配向ポリエステルフィルムであることが必要である。未延伸のフィルムや一方向のみに延伸したフィルムでは、ポリエステルフィルムとしての優れた機械的強度と耐熱性のバランスが得られない。
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
ポリエステルフィルムが単層構成の場合には1台の溶融押出機を使用し、ポリエステルフィルムが多層構成の場合には、その積層構成に応じて必要な数の溶融押出機と、それらを合流積層させるフィードブロックあるいは多層のマルチマニホールドダイを用いる。公知の手法により乾燥したポリエステルチップを一軸押出機に供給、または、未乾燥のポリエステルチップを減圧系に繋いだベント口を有する二軸押出機に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱溶融する。この際、異物を除去するために公知の適切なポリマーフィルターを通してもよいし、ギアーポンプを用いて溶融ポリマーの脈動を低減する方法も採用できる。次いで、溶融したポリマーを口金から押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを二軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向(長手方向、MD方向)に70〜145℃で2〜6倍に延伸し、縦一軸延伸フィルムとした後、後述する塗布液のコーティングを行う。その後、塗布フィルムを乾燥・予熱して横方向(幅方向、TD方向)に90〜160℃で2〜6倍に延伸を行い、さらに160〜240℃で1〜600秒間熱処理を行う。または、同時二軸延伸機を用いて、まず未延伸シートに塗布液のコーティングを行った後に、縦方向および横方向に70〜160℃で面積倍率として5〜20倍の範囲で同時に延伸した後、同条件で熱処理を行ってもよい。
さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、その少なくとも片面に、3種の必須成分、すなわち、プロピレン・α−オレフィン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格を有するポリウレタン、および1種以上の架橋剤を含む塗布液から形成される塗布層を有することが必要である。
以下、この塗布層に関して詳述する。
本発明の積層ポリエステルフィルムの塗布層は、プロピレン・α−オレフィン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体を含有することが必要である。
本発明で用いるプロピレン・α−オレフィン共重合体で、プロピレンとの共重合に用いることのできるα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルンルネン、ビニルシクロヘキサン等のα−オレフィンを例示することができる。またこれらの他に、塩素化したα−オレフィンとして塩素化エチレンや塩素化プロピレン等も例示することができる。ただし環境負荷を低減する目的からは、α−オレフィンは実質的に塩素を含まないことが望ましい。これらのα−オレフィンは1種類を選択してプロピレンと共重合してもよいが、2種類以上を選択することも可能である。これらのα−オレフィンを用いたプロピレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、塩素化エチレン・プロピレン共重合体等を挙げることができる。これらのプロピレン・α−オレフィン共重合体の中でも、プロピレン・ブテン共重合体が樹脂として汎用性が高く、しかも接着性を高める点で優れているため、最も好ましい。
上記のプロピレン・α−オレフィン共重合体のプロピレンとα−オレフィン比率は、接着する対象物によっても異なるが、通常、プロピレン/α−オレフィン=30/70〜90/10モル%、好ましくは40/60〜80/20モル%の範囲であることが好ましい。
プロピレン・α−オレフィン共重合体は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよいが、好ましくは、より効率的に共重合体の融点を下げるランダム共重合体である。融点を下げることで、より低い温度で熱圧着が可能となる点で有利である。ただし、あまり融点が低い場合には、これを用いた塗布層にべたつきが発生したり、熱圧着した後の塗布層の耐熱性が低下したりするため、好ましい融点の範囲としては、50〜120℃の範囲である。
上述したプロピレン・α−オレフィン共重合体に、さらにポリエーテルを結合してグラフト共重合体とする必要があるが、グラフトするポリエーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール/プロピレングリコール共重合体等が例示できる。
プロピレン・α−オレフィン共重合体とポリエーテルとを結合させてグラフト共重合体とする方法は特に限定されないが、(1)まずプロピレン・α−オレフィン共重合体に(無水)マレイン酸や(メタ)アクリル酸等の反応性官能基を有する化合物を結合させて、(2)さらにこの官能基に、例えば、片末端を1級アミノ基で変性したポリエーテル(以後、ポリエーテルアミンと称することがある)を反応させる方法などを用いることができる。
前記(1)の方法としては、プロピレン・α−オレフィン共重合体の重合時に、反応性官能基を有する不飽和化合物を共存させて重合する方法や、プロピレン・α−オレフィン共重合体に対して、ラジカル開始剤を使って反応性官能基を有する不飽和化合物をラジカルグラフト反応させる方法などを用いることができる。後者の場合には、トルエン等の有機溶媒にプロピレン・α−オレフィン共重合体と、反応性官能基を有する不飽和化合物とを溶解させて、これにラジカル開始剤を加えて加熱・反応させる方法、またはプロピレン・α−オレフィン共重合体と、反応性官能基を有する不飽和化合物およびラジカル開始剤をブレンドして、押出機等で溶融混錬りして反応させる方法を用いることができる。
また、前記(2)の方法としては、反応性官能基として(無水)マレイン酸等を導入させたプロピレン・α−オレフィン共重合体と、前述のポリエーテルアミンとをトルエン等の有機溶媒中で加熱・反応させる方法などを用いることができる。
上記のように作成したプロピレン・α−オレフィン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体は、例えば、水と水に溶解性のある有機溶媒を加えて分散化させた後、有機溶媒を留去して水分散体とすることができる。このようにして作成した水分散体は、プロピレン・α−オレフィン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体が自己乳化性であるため、界面活性剤を添加しなくとも、安定な水分散体とすることができる。 本発明の積層ポリエステルフィルムの塗布層は、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格を有するポリウレタンを含有することが必要である。このポリウレタンは、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格を各々ポリオールとして使用したものである。尚、本発明ではポリカーボネート骨格とポリエーテル骨格とを同時に有しているものも含むものとする。
塗布層のポリウレタンに用いるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジアルキルカーボネート、エチレンカーボネートあるいはホスゲンとジオールとの反応などで得られる。
ここで用いるジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン等が挙げられる。これらの中でも、1,6−ヘキサンジオールを用いたポリカーボネートポリオールは、工業的に入手し易く、しかも接着性を向上させる点で好ましい。
ポリカーボネートポリオールは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量で、300〜5000であることが好ましい。
塗布層のポリウレタンに用いるポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシエチレンポリオール(ポリエチレングリコールなど)、ポリオキシプロピレンポリオール(ポリプロピレングリコールなど)、ポリオキシブチレンポリオール(ポリテトラメチレングリコールなど)、共重合ポリエーテルポリオール(ポリオキシエチレングリコールとポリオキシプロピレングリコールなどのブロック共重合体やランダム共重合体など)等が挙げられる。これらの中でも、ポリテトラメチレングリコールが接着性を向上させる点で好ましい。
ポリエーテルポリオールは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の数平均分子量で、300〜5000であることが好ましい。
上述したポリカーボネートポリオールまたはポリエーテルポリオールを用いたポリウレタンは、その他の汎用高分子ポリオールであるポリエステルポリオールを用いたポリウレタンよりも、加水分解に対する耐性が良好なものとなる。
これらのポリカーボネートポリオールまたはポリエーテルポリオールは、1種類だけを単独で用いてもよいが、2種類以上を併用することも可能である。また前述したように、これらのポリカーボネートポリオールとポリエーテルポリオールとを併用することもできる。
塗布層のポリウレタンに用いるポリイソシアネートには、公知の脂肪族、脂環族、芳香族等のポリイソシアネートを挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートの具体例として、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、水添ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等を挙げることができる。
上記のポリイソシアネートの中でも、脂肪族または脂環族ポリイソシアネートである場合には、さらには脂環族ポリイソシアネートである場合には、接着性が向上するため、好ましく用いることができる。
またこれらのポリイソシアネートは単独で使用してもよいが、2種以上混合して使用することもできる。
鎖長延長剤などの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒドラジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、水などがある。
本発明の塗布層に使用するポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格を有するポリウレタンは、有機溶剤を媒体とするものであってもよいが、好ましくは水を媒体とするものである。ポリウレタンを水に分散または溶解させるには、乳化剤を用いる強制乳化型、ポリウレタン樹脂中に親水性基を導入する自己乳化型あるいは水溶型等がある。特に、ポリウレタン樹脂の骨格中にイオン性基を導入しアイオノマー化した自己乳化タイプが、液の貯蔵安定性や得られる塗布層の耐水性、透明性、接着性に優れており好ましい。
また、導入するイオン性基としては、アニオン性基としては、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、リン酸塩基、ホスホン酸塩基等が挙げられ、カチオン性基としては、4級アンモニウム等が挙げられる。例えばアニオン性基としてカルボン酸塩基を例に挙げれば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸、トリメリット酸‐ビス(2−ヒドロキシエチル)エステルなどのアンモニウム塩や低級アミン塩等を好ましく用いることができる。またカチオン性基の4級アンモニウムについては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミンなどの4級化物を好ましく用いることができる。これらのイオン性基の中でも、カルボン酸塩基であって、かつ、カウンターイオンがアンモニアやトリエチルアミン等の沸点が150℃以下の有機アミンである場合には、後述するオキサゾリン系架橋剤やカルボジイミド系架橋剤との反応性が高く、塗布層の架橋密度を高める点で特に好ましい。
ウレタン樹脂にイオン性基を導入する方法としては、ウレタン化反応の各段階の中で種々の方法が取り得る。例えば、プレポリマー合成時に、イオン性基を持つ樹脂を共重合成分として用いたり、鎖延長剤などの一成分としてイオン性基を持つ成分を用いたりすることができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムの塗布層は、1種以上の架橋剤を含有する塗布液から形成されることが必要である。塗布液に架橋剤を加えることで、塗布層の接着性、耐熱性、耐熱接着性、耐湿性、耐ブロッキング性を高めることができる。
この架橋剤は、水溶性あるいは水分散性であることが好ましく、具体的には、メチロール化あるいはアルコキシメチロール化したメラミン系化合物やベンゾグアナミン系化合物、尿素系化合物、アクリルアミド系化合物、エポキシ系化合物、ブロックイソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、シランカップリング剤系化合物、チタンカップリング剤系化合物などから選ばれた少なくとも1種類を含有させることが必要である。
これらの架橋剤の中でも、オキサゾリン系化合物、カルボジイミド系化合物であって、それ自体がポリマーである架橋剤が、塗布層の接着性を大きく向上することができるため特に好ましい。このようなオキサゾリン系架橋剤は、例えば株式会社日本触媒の商品名エポクロス(登録商標)として、カルボジイミド系架橋剤は、例えば日清紡ケミカル株式会社の商品名カルボジライト(登録商標)として、工業的に入手できる。
以上述べてきたように、本発明の積層ポリエステルフィルムの塗布層は、プロピレン・α−オレフィン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体(A)、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格を有するポリウレタン(B)、1種以上の架橋剤(C)を含む塗布液から形成されることが必要であるが、それらの塗布液中の固形分量比については、(A)、(B)、(C)の各成分が全て10重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは15重量%以上であり、最も好ましくは20重量%以上である。そして(A)、(B)、(C)の合計が60重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは75重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。
本発明の積層ポリエステルフィルムの塗布層は、ブロッキングの防止や滑り性の付与のために、塗布層中に微粒子を添加することも可能である。微粒子としては例えば、シリカやアルミナ、酸化金属等の無機粒子、あるいは架橋高分子粒子等の有機粒子等を用いることができる。微粒子の大きさは150nm以下、好ましくは100nm以下で、塗布層中の添加量として、0.5〜10重量%の範囲で選択するのが好ましい。
その他、塗布層中に、必要に応じて上記述べた成分以外を含むことができる。例えば、界面活性剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等である。これらの添加剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明の積層ポリエステルフィルムの塗布層は、配向・結晶化が完了する前のフィルムに塗布液を塗布した後に、少なくとも一方向に延伸され、さらに熱固定を行う、いわゆるインラインコーティング法を用いて付与されたものである必要がある。インラインコーティング法によれば、塗布液を塗布した後に延伸し、通常200℃以上の高温でポリエステルフィルムと塗布層が同時に熱固定される。これにより、塗布層に存在する架橋剤の熱架橋反応を十分に進行すると同時に、塗布層とポリエステルフィルムとの密着性が向上する。このため、本発明の積層ポリエステルフィルムの塗布層は、予め二軸延伸および熱固定されたフィルムに塗布液を塗布して形成したものではなく、塗布層がフィルムと共に少なくとも一軸に延伸され熱固定されていることが必要となる。
上記のインラインコーティング法を行うため、塗布層を形成させるための塗布液は、主として水を媒体とした塗布液としてポリエステルフィルム上に塗工されることが好ましい。ただし、塗布液中の樹脂成分等の分散性や保存安定性の向上、あるいは塗布性や塗布層外観の改善を目的に、水以外に、通常20重量%以下の量で水との相溶性のある有機溶剤の1種または2種以上を加えることも可能である。
ポリエステルフィルムへの塗布液の塗布方法としては、公知の任意の方法が適用できる。具体的には、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、バーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法およびカーテンコート法、ダイコート法などを単独または組み合わせて適用することができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムにおける塗布層は、二軸延伸・熱固定等を施された後の最終的な塗布層厚みとして、0.005〜0.5μm、好ましくは0.01〜0.3μmの範囲とするのが好ましい。塗布層厚みが0.005μm未満では、接着性が不十分となり、0.5μmを超える場合には、もはや接着性は飽和しており、一方でブロッキング等の弊害が発生しやすくなる傾向がある。
本発明の塗布層はポリエステルフィルムの片面だけに設けてもよいし、両面に設けてもよい。さらに、上記で説明した塗布層を片面に設けて、反対面にはそれ以外の塗布層を設けることも可能である。
本発明の積層ポリエステルフィルムの塗布層は、EVAとの接着性の他に、特にα−オレフィン系の材料を用いた封止材との接着性にも優れる。
上記封止材に用いられるα−オレフィン系材料としては、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・ヘキセン共重合体であり、さらに好ましくはプロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体などが例示できる。これらの重合体は、1種で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
またα−オレフィン系封止材は、太陽電池の封止材としての耐熱性を向上させるために、架橋構造とすることも可能である。このために、α−オレフィン系封止材中に、例えば有機過酸化物を用いた架橋剤や、必要に応じて架橋反応を促進させる架橋助剤を含有させて、本発明の積層ポリエステルフィルムの塗布層と熱圧着させると同時に封止材を架橋させて、封止材に耐熱性を持たせることも可能である。ただし、この場合には、架橋反応を進行させるために、比較的長い時間(数分〜1時間程度)の熱圧着が必要となる。
架橋剤として用いる有機過酸化物には、例えばt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(t−ブチル)パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、ジクロヘキサノンパーオキサイドなどが挙げられる。
架橋助剤の具体例としては、ポリアリル化合物やポリ(メタ)アクリロキシ化合物のような多価不飽和化合物を例示することができる。より具体的には、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエートのようなポリアリル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートのようなポリ(メタ)アクリロキシ化合物、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
その他α−オレフィン系の封止材には、通常のポリオレフィン系樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、着色剤、分散剤、充填剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を添加することができる。
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの諸物性の測定および評価方法を以下に示す。
(1)末端カルボン酸量(当量/トン)
いわゆる滴定法によって、末端カルボン酸の量を測定した。すなわちポリエステルをベンジルアルコールに溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定した。フィルムに塗布層が設けてある場合には、この影響を無くすため、研磨剤入りクレンザーを使って塗布層を水で洗い流してから、イオン交換水で十分にすすいで乾燥した後、同様に測定を行った。
いわゆる滴定法によって、末端カルボン酸の量を測定した。すなわちポリエステルをベンジルアルコールに溶解し、フェノールレッド指示薬を加え、水酸化ナトリウムの水/メタノール/ベンジルアルコール溶液で滴定した。フィルムに塗布層が設けてある場合には、この影響を無くすため、研磨剤入りクレンザーを使って塗布層を水で洗い流してから、イオン交換水で十分にすすいで乾燥した後、同様に測定を行った。
(2)極限粘度
測定試料1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cm3の溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηrを測定し、極限粘度[η]を求めた。
測定試料1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量部)の溶媒に溶解させて濃度c=0.01g/cm3の溶液を調製し、30℃にて溶媒との相対粘度ηrを測定し、極限粘度[η]を求めた。
(3)フィルム伸度耐加水分解性
平山製作所製 パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−Eを用いて、120℃−100%RHの雰囲気にてフィルムを35時間処理した。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、フィルムの機械的特性として、MD方向の破断伸度を測定した。測定には株式会社島津製作所製 万能試験機AUTOGRAPHを使用し、幅15mmのサンプルで、チャック間50mmとして、引張り速度200mm/分の条件で行った。処理前後での破断伸度の保持率(%)を下記の式(1)にて算出し、下記の基準で分類した。
破断伸度保持率=処理後の破断伸度÷処理前の破断伸度×100 …(1)
ランクA:保持率が80%以上
ランクB:保持率が60〜80%未満
ランクC:保持率が30〜60%未満
ランクD:保持率が30%未満
平山製作所製 パーソナルプレッシャークッカーPC−242HS−Eを用いて、120℃−100%RHの雰囲気にてフィルムを35時間処理した。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、フィルムの機械的特性として、MD方向の破断伸度を測定した。測定には株式会社島津製作所製 万能試験機AUTOGRAPHを使用し、幅15mmのサンプルで、チャック間50mmとして、引張り速度200mm/分の条件で行った。処理前後での破断伸度の保持率(%)を下記の式(1)にて算出し、下記の基準で分類した。
破断伸度保持率=処理後の破断伸度÷処理前の破断伸度×100 …(1)
ランクA:保持率が80%以上
ランクB:保持率が60〜80%未満
ランクC:保持率が30〜60%未満
ランクD:保持率が30%未満
(4)EVAとの接着強度
長手方向がMD方向となるように、長さ300mm、幅25mmのポリエステルフィルムの小片を2本切り取った。一方で長さ50mm、幅25mmであるEVAフィルムの1本の小片を切り取り、2本のポリエステルフィルムの小片の塗布層面でEVAフィルムを挟むように重ねた。これをヒートシール装置(テスター産業株式会社製 TP−701−B)を用いてラミネートした。使用したEVAフィルムは、ドイツ Etimex Solar社製 485.00(標準硬化タイプ、厚み0.5mm)で、ラミネート条件は、温度150℃、圧力0.13MPaで、20分間の条件を用いた。EVAとの接着強度を測定するため、まず25mmの幅のポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネート小片から、長さ300mm、幅15mmのサンプルを切り取る。この15mm幅のポリエステルフィルムの小片のラミネートされていない端部を、引張/曲げ試験機(株式会社島津製作所 EZGraph)の中に取り付ける。引き続き、角度180°、速度100mm/分でこのポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートを分離するために必要な力(接着強度)を測定して、その平均値を下記の基準で分類した。
ランクA:50N/15mm幅以上
ランクB:30N/15mm幅〜50N/15mm幅未満
ランクC:10N/15mm幅〜30N/15mm幅未満
ランクD:10N/15mm幅未満
長手方向がMD方向となるように、長さ300mm、幅25mmのポリエステルフィルムの小片を2本切り取った。一方で長さ50mm、幅25mmであるEVAフィルムの1本の小片を切り取り、2本のポリエステルフィルムの小片の塗布層面でEVAフィルムを挟むように重ねた。これをヒートシール装置(テスター産業株式会社製 TP−701−B)を用いてラミネートした。使用したEVAフィルムは、ドイツ Etimex Solar社製 485.00(標準硬化タイプ、厚み0.5mm)で、ラミネート条件は、温度150℃、圧力0.13MPaで、20分間の条件を用いた。EVAとの接着強度を測定するため、まず25mmの幅のポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネート小片から、長さ300mm、幅15mmのサンプルを切り取る。この15mm幅のポリエステルフィルムの小片のラミネートされていない端部を、引張/曲げ試験機(株式会社島津製作所 EZGraph)の中に取り付ける。引き続き、角度180°、速度100mm/分でこのポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートを分離するために必要な力(接着強度)を測定して、その平均値を下記の基準で分類した。
ランクA:50N/15mm幅以上
ランクB:30N/15mm幅〜50N/15mm幅未満
ランクC:10N/15mm幅〜30N/15mm幅未満
ランクD:10N/15mm幅未満
(5)EVAとの接着強度耐加水分解性
上記(4)で作成したポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートの25mm幅の試験片を用いて、上記(3)と同様に120℃−100%RHの雰囲気にて35時間の湿熱処理を行った。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、サンプルから15mm幅の測定サンプルを切り取り、(4)と同様に、ポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートを分離するために必要な力(接着強度)の平均値を求めて、(4)と同様の基準で分類した。ただし、基材となるポリエステルフィルムが加水分解で脆化して破れる場合には、次のランクEに当てはめることとした。
ランクE:基材となるポリエステルフィルムが脆化していて破れる
上記(4)で作成したポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートの25mm幅の試験片を用いて、上記(3)と同様に120℃−100%RHの雰囲気にて35時間の湿熱処理を行った。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、サンプルから15mm幅の測定サンプルを切り取り、(4)と同様に、ポリエステルフィルム/EVAフィルムラミネートを分離するために必要な力(接着強度)の平均値を求めて、(4)と同様の基準で分類した。ただし、基材となるポリエステルフィルムが加水分解で脆化して破れる場合には、次のランクEに当てはめることとした。
ランクE:基材となるポリエステルフィルムが脆化していて破れる
(6)α−オレフィン系樹脂シートとの接着強度
α−オレフィン系樹脂シートには、エチレン・1−ブテン共重合体(住友化学社製 エクセレン(登録商標)FX)100重量部に対して、有機過酸化物である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを0.5重量部添加して溶融混錬した後、溶融押出して得られたキャストシート(厚み1mm)を用いた。これを長さ50mm、幅25mmの小片に切り出した。一方でポリエステルフィルムは、長手方向がMD方向となるように、長さ300mm、幅25mmの小片を2本切り取った。2本のポリエステルフィルムの小片の塗布層面でα−オレフィン系樹脂シートを挟むように重ねた。これをヒートシール装置(テスター産業株式会社製 TP−701−B)を用いてラミネートした。ラミネート条件は、温度180℃、圧力0.49MPaで、10分間の条件を用いた。α−オレフィン系樹脂シートとの接着強度を測定するためのサンプルとして、25mmの幅のポリエステルフィルム/α−オレフィン系樹脂シートのラミネート小片から、長さ300mm、幅15mmのサンプルを切り出した。このサンプルで剥離強度を引っ張り試験機で測定すると、強く密着しているサンプルでは、多くの場合でフィルム切れが発生してしまい、剥離強度は測定できなかった。そのため、引っ張り試験機は使用せずに、サンプルの両側にあるポリエステルフィルムを各々両手で掴み、ゆっくり広げるようにして剥がそうとしたときの状態を評価して、次のようにランク分けした。
α−オレフィン系樹脂シートには、エチレン・1−ブテン共重合体(住友化学社製 エクセレン(登録商標)FX)100重量部に対して、有機過酸化物である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを0.5重量部添加して溶融混錬した後、溶融押出して得られたキャストシート(厚み1mm)を用いた。これを長さ50mm、幅25mmの小片に切り出した。一方でポリエステルフィルムは、長手方向がMD方向となるように、長さ300mm、幅25mmの小片を2本切り取った。2本のポリエステルフィルムの小片の塗布層面でα−オレフィン系樹脂シートを挟むように重ねた。これをヒートシール装置(テスター産業株式会社製 TP−701−B)を用いてラミネートした。ラミネート条件は、温度180℃、圧力0.49MPaで、10分間の条件を用いた。α−オレフィン系樹脂シートとの接着強度を測定するためのサンプルとして、25mmの幅のポリエステルフィルム/α−オレフィン系樹脂シートのラミネート小片から、長さ300mm、幅15mmのサンプルを切り出した。このサンプルで剥離強度を引っ張り試験機で測定すると、強く密着しているサンプルでは、多くの場合でフィルム切れが発生してしまい、剥離強度は測定できなかった。そのため、引っ張り試験機は使用せずに、サンプルの両側にあるポリエステルフィルムを各々両手で掴み、ゆっくり広げるようにして剥がそうとしたときの状態を評価して、次のようにランク分けした。
ランクA:非常に強く密着しており、剥がそうとするとα−オレフィン系樹脂シートが凝集破壊するか、ポリエステルフィルムが破れる。
ランクB:手で剥離可能であるが、密着が強く、剥離する際にバリバリ音をたてて剥がれる(ジッピングする)
ランクC:手で剥離可能で、スムースに剥離できる(ジッピングしない)
ランクD:密着していない
ランクB:手で剥離可能であるが、密着が強く、剥離する際にバリバリ音をたてて剥がれる(ジッピングする)
ランクC:手で剥離可能で、スムースに剥離できる(ジッピングしない)
ランクD:密着していない
(7)α−オレフィン系樹脂シートとの接着強度耐加水分解性
上記(6)で作成したポリエステルフィルム/α−オレフィン系樹脂シートラミネートの25mm幅の試験片を用いて、上記(3)と同様に120℃−100%RHの雰囲気にて35時間の湿熱処理を行った。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、サンプルから15mm幅の測定サンプルを切り取り、上記(6)と同様に、接着強度を評価してランク分けした。
ただし、上記(6)の試験で密着していないサンプルについては、接着強度耐加水分解性の試験は行わないこととした。また、基材となるポリエステルフィルムが加水分解で脆化して破れる場合には、次のランクEに当てはめることとした。
ランクE:基材となるポリエステルフィルムが脆化していて破れる
上記(6)で作成したポリエステルフィルム/α−オレフィン系樹脂シートラミネートの25mm幅の試験片を用いて、上記(3)と同様に120℃−100%RHの雰囲気にて35時間の湿熱処理を行った。次いで、23℃×50%RHで24時間調温・調湿した後、サンプルから15mm幅の測定サンプルを切り取り、上記(6)と同様に、接着強度を評価してランク分けした。
ただし、上記(6)の試験で密着していないサンプルについては、接着強度耐加水分解性の試験は行わないこととした。また、基材となるポリエステルフィルムが加水分解で脆化して破れる場合には、次のランクEに当てはめることとした。
ランクE:基材となるポリエステルフィルムが脆化していて破れる
次に以下の例で使用した基材フィルム用のポリエステル原料について説明する。
<ポリエステル(1)の製造法>
1個のスラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続式重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを重量比で100:45の割合で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してリン原子としての含有量が4重量ppmとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製し、このスラリーを、窒素雰囲気下で267℃、相対圧力100kPa、平均滞留時間4時間に設定され、反応生成物が存在する第1段目のエステル化反応槽に連続的に流量120kg/hrで供給し、次いで、第1段目のエステル化反応生成物を、窒素雰囲気下で265℃、相対圧力5kPa、平均滞留時間2時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、さらにエステル化反応させた。その際、第2段エステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、エチレングリコールを生成するポリエステル樹脂に対して322モル/トンになる量を連続的に供給した。この場合、第2段エステル化反応槽におけるエステル化率は97%であった。
<ポリエステル(1)の製造法>
1個のスラリー調製槽、およびそれに直列に接続された2段のエステル化反応槽、および2段目のエステル化反応槽に直列に接続された3段の溶融重縮合槽からなる連続式重合装置を用い、スラリー調製槽に、テレフタル酸とエチレングリコールを重量比で100:45の割合で連続的に供給すると共に、エチルアシッドホスフェートのエチレングリコール溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してリン原子としての含有量が4重量ppmとなる量で連続的に添加して、攪拌、混合することによりスラリーを調製し、このスラリーを、窒素雰囲気下で267℃、相対圧力100kPa、平均滞留時間4時間に設定され、反応生成物が存在する第1段目のエステル化反応槽に連続的に流量120kg/hrで供給し、次いで、第1段目のエステル化反応生成物を、窒素雰囲気下で265℃、相対圧力5kPa、平均滞留時間2時間に設定された第2段目のエステル化反応槽に連続的に移送して、さらにエステル化反応させた。その際、第2段エステル化反応槽に設けた上部配管を通じて、エチレングリコールを生成するポリエステル樹脂に対して322モル/トンになる量を連続的に供給した。この場合、第2段エステル化反応槽におけるエステル化率は97%であった。
上述のエステル化反応生成物を、移送配管を経由して第1段重縮合反応槽に連続的に供給した。このとき移送配管に設けた移送ポンプの吐出圧は500kPaであった。移送配管中のエステル化反応生成物に、酢酸マグネシウム4水和物のエチレングリコール0.6 重量%溶液を、生成ポリエステル樹脂に対してマグネシウム原子としての含有量が7重量ppmとなる量で連続的に添加した。添加配管を使用して、テトラ−n−ブチルチタネートのエチレングリコール溶液を生成ポリエステル樹脂に対してチタン原子としての含有量が4重量ppmとなる量だけ連続的に添加した。
溶融重縮合の反応条件は、第1段重縮合反応槽が269℃、絶対圧力4kPa、平均滞留時間1時間であり、第2段重縮合反応槽は274℃、絶対圧力0.4kPa、平均滞留時間0.9時間、第3段重縮合反応槽は277℃、絶対圧力0.2kPa、平均滞留時間1時間であった。第3段重縮合反応槽から取り出した溶融重縮合反応生成物は、ダイからストランド状に押出して冷却およびチップ化して、ポリエステル(1)を得た。ポリエステル(1)の極限粘度は0.64dl/g、末端カルボキシル基量は14当量/tであった。
<ポリエステル(2)の製造法>
ポリエステル(1)を出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるようにチップが重ならないようにした状態で連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.83dl/gとなるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル(2)を得た。末端カルボキシル基量は6当量/tであった。
ポリエステル(1)を出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるようにチップが重ならないようにした状態で連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエステル樹脂の極限粘度が0.83dl/gとなるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエステル(2)を得た。末端カルボキシル基量は6当量/tであった。
<ポリエステル(3)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール200重量部とを出発原料とし、エステル交換触媒として、酢酸マグネシウム・4水和物を得られるポリエステル樹脂1tあたりのマグネシウム含有量が46g/樹脂tとなる量で、加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子、エチルアシッドホスフェート、酢酸マグネシウム・4水和物、そしてテトラ−n−ブチルチタネートとの混合物からなるエチレングリコールスラリー溶液を添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。なお、エチレングリコールスラリー溶液中の各化合物の量は、得られるポリエステルに対する含有量について、シリカ粒子は3.0重量%となるように、エチルアシッドホスフェートについてはリン元素量として74g/樹脂tとなるように、酢酸マグネシウム・4水和物については、マグネシウム元素量とし46g/樹脂tとなるように(エステル交換時に添加したマグネシウムも含めて、マグネシウム元素量として合計92g/樹脂tとなる)、テトラ−n−ブチルチタネートについてはチタン元素量として5g/樹脂tとなるように、調整してある。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーをストランド状に吐出させ、冷却およびチップ化してポリエステル(3)を得た。極限粘度は0.60dl/g、末端カルボキシル基量は21当量/tであった。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール200重量部とを出発原料とし、エステル交換触媒として、酢酸マグネシウム・4水和物を得られるポリエステル樹脂1tあたりのマグネシウム含有量が46g/樹脂tとなる量で、加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2 .5μmのシリカ粒子、エチルアシッドホスフェート、酢酸マグネシウム・4水和物、そしてテトラ−n−ブチルチタネートとの混合物からなるエチレングリコールスラリー溶液を添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。なお、エチレングリコールスラリー溶液中の各化合物の量は、得られるポリエステルに対する含有量について、シリカ粒子は3.0重量%となるように、エチルアシッドホスフェートについてはリン元素量として74g/樹脂tとなるように、酢酸マグネシウム・4水和物については、マグネシウム元素量とし46g/樹脂tとなるように(エステル交換時に添加したマグネシウムも含めて、マグネシウム元素量として合計92g/樹脂tとなる)、テトラ−n−ブチルチタネートについてはチタン元素量として5g/樹脂tとなるように、調整してある。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.60に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーをストランド状に吐出させ、冷却およびチップ化してポリエステル(3)を得た。極限粘度は0.60dl/g、末端カルボキシル基量は21当量/tであった。
<ポリエステル(4)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.55dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーをストランド状に吐出させ、冷却およびチップ化してポリエステル(4)を得た。極限粘度は0.55dl/g、末端カルボキシル基量は35当量/tであった。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラ−n−ブチルチタネートを得られるポリエステル樹脂1t当たりのチタン原子としての含有量が5g/樹脂tとなる量で加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.55dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーをストランド状に吐出させ、冷却およびチップ化してポリエステル(4)を得た。極限粘度は0.55dl/g、末端カルボキシル基量は35当量/tであった。
<ポリエステル(5)の製造法>
ポリエステルチップ(4)を真空下220℃で固相重合し、ポリエステル(5)を得た。極限粘度は0.75dl/g、末端カルボキシル基量は24当量/tであった。
ポリエステルチップ(4)を真空下220℃で固相重合し、ポリエステル(5)を得た。極限粘度は0.75dl/g、末端カルボキシル基量は24当量/tであった。
<ポリエステル(6)の製造法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を0.02部加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドホスフェート0.03部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.64に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーをストランド状に吐出させ、冷却およびチップ化してポリエステル(6)を得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.64dl/g、末端カルボキシル基量は45当量/tであった。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム四水塩を0.02部加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃ とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドホスフェート0.03部を添加した後、重縮合槽に移し、三酸化アンチモンを0.04部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.64に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーをストランド状に吐出させ、冷却およびチップ化してポリエステル(6)を得た。この、ポリエステルの極限粘度は0.64dl/g、末端カルボキシル基量は45当量/tであった。
<プロピレン・α−オレフィン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体>
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、トルエン250g、プロピレン・1−ブテン共重合体(プロピレン/1−ブテン=74/26モル%)117gを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、110℃に昇温した。昇温後無水マレイン酸12gを加え、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナート3.6gを加え、10時間同温度で攪拌を続けて反応を行った。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えて、沈殿したポリマーを濾別した。さらにアセトンで洗浄し濾別した後、得られたポリマーを減圧乾燥することにより、白色粉末状の無水マレイン酸変性ポリマーがられた。この変性ポリマーの無水マレイン酸基の含量は、2.1重量%(無水マレイン酸基として0.21mmol/g、カルボン酸基として0.42mmol/g)であった。
還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、トルエン250g、プロピレン・1−ブテン共重合体(プロピレン/1−ブテン=74/26モル%)117gを入れ、容器内を窒素ガスで置換し、110℃に昇温した。昇温後無水マレイン酸12gを加え、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナート3.6gを加え、10時間同温度で攪拌を続けて反応を行った。反応終了後、系を室温付近まで冷却し、アセトンを加えて、沈殿したポリマーを濾別した。さらにアセトンで洗浄し濾別した後、得られたポリマーを減圧乾燥することにより、白色粉末状の無水マレイン酸変性ポリマーがられた。この変性ポリマーの無水マレイン酸基の含量は、2.1重量%(無水マレイン酸基として0.21mmol/g、カルボン酸基として0.42mmol/g)であった。
次に、還流冷却管、温度計、攪拌機のついたガラスフラスコ中に、得られた無水マレイン酸変性ポリマー10g(無水マレイン酸基の含量2.1mmol)とトルエン25g を加え、温度を110℃に昇温し完全に溶解した。次いで、メトキシポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)−2−プロピルアミン(分子量1000)を2g(2mmol、プロピレン−ブテン共重合体100重量部に対し、ポリエーテル20重量部に相当)を加え、110℃で1時間反応させた。その後モルホリン0.18g(2mmol)を加え、110℃で1時間反応させて、プロピレン・α−オレフィン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体を得た。
この反応液を60℃に保ち、加熱・撹拌しながらイソプロパノールと水の混合液を加えた後、減圧下、トルエンとイソプロパノールと水を留去して、固形分濃度25重量%の水性樹脂分散体(O1)を得た。
<塗布剤および塗布剤配合>
塗布層を形成する塗布液の配合を下記表1に示す。なお、表1中の配合量は、全て固形分重量%を表す。用いた塗布剤は下記に示すとおりである。
・O1:上記で製造した、プロピレン・α−オレフィン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体の水分散体
・O2:ポリプロピレン水分散体(ノニオン性界面活性剤含有)
・U1:ヘキサメチレンジオールのポリカーボネートポリオール(数平均分子量約1000)とジメチロールプロピオン酸と水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートからなるポリウレタン(カルボン酸のカウンターイオンがトリエチルアミン)である水分散体
・U2:数平均分子量約1000のポリテトラメチレングリコールとジメチロールプロピオン酸とイソホロンジイソシアネートからなるポリウレタン(カルボン酸のカウンターイオンがアンモニア)であるポリウレタン水分散体
・U3:芳香族ポリエステルと脂肪族ジイソシアネートとのポリエステルポリウレタン水分散体
・X1:オキサゾリン系樹脂架橋剤水溶液 (2−オキサゾリン基がブランチされた水溶性ポリメタクリレート共重合体)
・X2:カルボジイミド系樹脂架橋剤水分散体 日清紡ケミカル株式会社 商品名カルボジライト(登録商標)
・X3:水溶性エポキシ系架橋剤水溶液 ポリグリセロールポリグリシジルエーテル
・D1:シリカ微粒子水分散体(平均粒子径60nm)
塗布層を形成する塗布液の配合を下記表1に示す。なお、表1中の配合量は、全て固形分重量%を表す。用いた塗布剤は下記に示すとおりである。
・O1:上記で製造した、プロピレン・α−オレフィン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体の水分散体
・O2:ポリプロピレン水分散体(ノニオン性界面活性剤含有)
・U1:ヘキサメチレンジオールのポリカーボネートポリオール(数平均分子量約1000)とジメチロールプロピオン酸と水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートからなるポリウレタン(カルボン酸のカウンターイオンがトリエチルアミン)である水分散体
・U2:数平均分子量約1000のポリテトラメチレングリコールとジメチロールプロピオン酸とイソホロンジイソシアネートからなるポリウレタン(カルボン酸のカウンターイオンがアンモニア)であるポリウレタン水分散体
・U3:芳香族ポリエステルと脂肪族ジイソシアネートとのポリエステルポリウレタン水分散体
・X1:オキサゾリン系樹脂架橋剤水溶液 (2−オキサゾリン基がブランチされた水溶性ポリメタクリレート共重合体)
・X2:カルボジイミド系樹脂架橋剤水分散体 日清紡ケミカル株式会社 商品名カルボジライト(登録商標)
・X3:水溶性エポキシ系架橋剤水溶液 ポリグリセロールポリグリシジルエーテル
・D1:シリカ微粒子水分散体(平均粒子径60nm)
実施例1:
基材フィルム用のポリエステル原料(2)およびポリエステル原料(3)を96:4の重量比で混合したポリエステルを原料とした。この原料をベント付き二軸押出機に投入し、ベント孔の圧力が10ヘクトパスカルとなるように減圧し、290℃の温度で溶融押出しして、静電印加密着法を用いて表面温度40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させ、未延伸シートを得た。この溶融押出しでの滞留時間は14分であった。得られたシートをロール延伸法により、縦方向に85℃で3.4倍延伸した。ここで、片面に上記表1に示した塗布液1をバーコーターで塗布し、最終的なフィルムでの塗布厚みが0.03μmとなるように調整した。この後テンターに導き、100℃で乾燥した後、110℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに225℃で熱処理を行った後、200℃で幅方向に4%縮めた。このようにして作成したフィルムの耳部をトリミングした後、所定の幅にスリットしてからロール状に巻き取り、フィルムロールとした。得られたフィルムの厚さは50μmであった。このフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。なお、以下の表中の「塗布液」の各成分の数値は、固形分重量%を表す。
基材フィルム用のポリエステル原料(2)およびポリエステル原料(3)を96:4の重量比で混合したポリエステルを原料とした。この原料をベント付き二軸押出機に投入し、ベント孔の圧力が10ヘクトパスカルとなるように減圧し、290℃の温度で溶融押出しして、静電印加密着法を用いて表面温度40℃に設定したキャスティングドラム上で急冷固化させ、未延伸シートを得た。この溶融押出しでの滞留時間は14分であった。得られたシートをロール延伸法により、縦方向に85℃で3.4倍延伸した。ここで、片面に上記表1に示した塗布液1をバーコーターで塗布し、最終的なフィルムでの塗布厚みが0.03μmとなるように調整した。この後テンターに導き、100℃で乾燥した後、110℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに225℃で熱処理を行った後、200℃で幅方向に4%縮めた。このようにして作成したフィルムの耳部をトリミングした後、所定の幅にスリットしてからロール状に巻き取り、フィルムロールとした。得られたフィルムの厚さは50μmであった。このフィルムの特性および評価結果を下記表2に示す。なお、以下の表中の「塗布液」の各成分の数値は、固形分重量%を表す。
実施例2:
実施例1において、基材フィルム用のポリエステル原料として、ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(3)およびポリエステル原料(5)が46:4:50の重量比となるように混合したものに変更する以外は、実施例1と全く同様の方法で厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの特性および評価結果を表2に示す。
実施例1において、基材フィルム用のポリエステル原料として、ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(3)およびポリエステル原料(5)が46:4:50の重量比となるように混合したものに変更する以外は、実施例1と全く同様の方法で厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの特性および評価結果を表2に示す。
比較例1
実施例1において、基材フィルム用のポリエステル原料として、ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(3)およびポリエステル原料(5)が16:4:80の重量比となるように混合したものに変更する以外は、実施例1と全く同様の方法で厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの特性および評価結果を表2に示す。
実施例1において、基材フィルム用のポリエステル原料として、ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(3)およびポリエステル原料(5)が16:4:80の重量比となるように混合したものに変更する以外は、実施例1と全く同様の方法で厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの特性および評価結果を表2に示す。
比較例2
実施例1において、基材フィルム用のポリエステル原料として、ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(3)およびポリエステル原料(6)が36:4:60の重量比となるように混合したものに変更する以外は、実施例1と全く同様の方法で厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの特性および評価結果を表2に示す。
実施例1において、基材フィルム用のポリエステル原料として、ポリエステル原料(2)、ポリエステル原料(3)およびポリエステル原料(6)が36:4:60の重量比となるように混合したものに変更する以外は、実施例1と全く同様の方法で厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの特性および評価結果を表2に示す。
比較例3
実施例1において、基材フィルム用のポリエステル原料として、ポリエステル原料(1)、ポリエステル原料(2)およびポリエステル原料(3)が70:26:4の重量比となるように混合したものに変更する以外は、実施例1と全く同様の方法で厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの特性および評価結果を表2に示す。
実施例1において、基材フィルム用のポリエステル原料として、ポリエステル原料(1)、ポリエステル原料(2)およびポリエステル原料(3)が70:26:4の重量比となるように混合したものに変更する以外は、実施例1と全く同様の方法で厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの特性および評価結果を表2に示す。
比較例4
実施例1において、塗布層を設けないこと以外は実施例1と全く同様の方法で厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの片面に、塗布液1を乾燥後の厚みで0.03μmとなるようにバーコーターで塗布した後、150℃で乾燥して塗布層を設けた。このフィルムの特性および評価結果を表2に示す。
実施例1において、塗布層を設けないこと以外は実施例1と全く同様の方法で厚さ50μmのフィルムを得た。このフィルムの片面に、塗布液1を乾燥後の厚みで0.03μmとなるようにバーコーターで塗布した後、150℃で乾燥して塗布層を設けた。このフィルムの特性および評価結果を表2に示す。
実施例3〜7、比較例5〜8
実施例1において、縦方向の延伸の後に行う塗布の塗布液を変更すること以外は、実施例1と全く同様の方法でフィルムを得た。このフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
実施例1において、縦方向の延伸の後に行う塗布の塗布液を変更すること以外は、実施例1と全く同様の方法でフィルムを得た。このフィルムの特性および評価結果を下記表3に示す。
表2で示されているように、本発明の要件を満たす基材フィルムと塗布層を有する実施例1および実施例2は、基材フィルムの耐加水分解性が良好であり、かつ、EVAシートおよびα−オレフィン系樹脂シートとの接着強度およびその耐加水分解性に優れるものである。それに対して、比較例1〜3は、基材となるポリエステルフィルムが本発明の要件を満たしていないため、ポリエステルフィルムの加水分解によりフィルムの劣化が顕著となるのが判る。また比較例4では、塗布層が少なくとも一方向に延伸され熱固定されたものでないため、EVAシートおよびα−オレフィン系樹脂シートとの接着強度に劣るものであった。
表3で示されているように、本発明の要件を満たす基材フィルムと塗布層を有する実施例3〜7は、基材フィルムの耐加水分解性が良好であり、かつ、EVAシートおよびα−オレフィン系樹脂シートとの接着強度およびその耐加水分解性に優れるものである。それに対して、比較例5、7、8は、塗布層が本発明の要件を満たしていないため、EVAシートまたはα−オレフィン系樹脂シートとの接着性、または両者の接着性が不十分である。また比較例6も塗布層が本発明の要件を満たしていないため、EVAシートおよびα−オレフィン系樹脂シートとの初期の接着強度は良好であるが、接着強度の耐加水分解性に劣るものであった。なお、一部の比較例については、常態での接着強度の結果を見て、接着強度耐加水分解性の試験を実施しなかった。
本発明により得られる積層ポリエステルフィルムは、たとえば太陽電池裏面保護用フィルムとして好適に用いることができる。
Claims (2)
- 末端カルボン酸量が26当量/トン以下であり、かつ、極限粘度が0.65dl/g以上である二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、プロピレン・α−オレフィン共重合体にポリエーテルが結合したグラフト共重合体、ポリカーボネート骨格またはポリエーテル骨格を有するポリウレタン、および1種以上の架橋剤を含む塗布液から形成された塗布層を有し、当該塗布層が少なくとも一方向に延伸され熱固定されていることを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
- 架橋剤が、オキサゾリン基を含む重合体、カルボジイミド基を含む重合体、およびブロックイソシアネート基を含む重合体から選ばれる少なくとも一つの化合物である請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012058042A JP2013188978A (ja) | 2012-03-15 | 2012-03-15 | 積層ポリエステルフィルム |
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