JP2015185687A - 太陽電池用バックシート部材及びその製造方法、太陽電池用バックシート並びに太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池用バックシート部材及びその製造方法、太陽電池用バックシート並びに太陽電池モジュール Download PDF

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秀樹 冨澤
五十田 智丈
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Abstract

【課題】着色樹脂層の厚みが薄いにもかかわらず剥離し難い太陽電池用バックシート部材及びその応用を提供する。
【解決手段】アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む塗布液をポリエステルフィルムの片面に塗布した後、前記ポリエステルフィルムを少なくとも1回延伸することにより設けられた30nm〜300nmの厚みを有する易接着層17と、前記延伸されたポリエステルフィルム16と、前記易接着層の前記延伸されたポリエステルフィルムが接触している面とは反対側の面に接触して設けられ、アクリル樹脂及び着色顔料を含み、1μm〜3μmの厚みを有する着色樹脂層18と、を有する太陽電池用バックシート部材31及びその応用。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池用バックシート部材及びその製造方法、太陽電池用バックシート並びに太陽電池モジュールに関する。
太陽電池モジュールは、一般に、太陽光が入射する受光面側から透明なフロント基板/透明な充填材料(封止材)/太陽電池素子/封止材/裏面保護シート(バックシート)がこの順に積層された構造を有している。具体的には、太陽電池素子は一般にEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)等の樹脂(封止材)で包埋され、さらにこの上に太陽電池用バックシート(以下、「太陽電池用バックシート」と称する場合がある)が貼り付けられた構造に構成される。太陽電池用バックシートは、太陽電池モジュールの最外層に設けられ、太陽電池素子を保護する働きをする。
従来は、太陽電池用バックシートには、ガラスやフッ素樹脂等が用いられていたが、近年ではコスト抑制等の観点からポリエステルが適用されることが多い。ポリエステルを用いた太陽電池用バックシートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)を支持体として用い、これに他のポリマーシートを貼合する方法で作製したものが用いられている。
太陽電池用バックシートは、屋外の風雨や直射日光などに曝されるような過酷環境下に長期間置かれる状況が想定されるため、耐候性(耐湿熱性、耐熱性)に加えて、耐光性を有することが求められている。しかし、ポリエステルフィルムには、長期間湿熱経時すると強度が低下するという問題点があり、このようなポリエステルフィルムを支持体に有する太陽電池用バックシートは、長期間に亘りその機能を十分に発揮する上で更なる改善が求められている。
例えば、特許文献1には、A層/B層/C層の3層構成からなるポリオレフィン系樹脂多層フィルムとプラスチックフィルムと紫外線吸収層とがこの順に積層された太陽電池用バックシートフィルムであって、A層がポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂を混合した樹脂組成物からなり、B層が白色微粒子を含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなり、C層がポリプロピレン系樹脂組成物からなる太陽電池用バックシートが開示されている。
特許文献2には、ポリマー基材と、厚み2μm以下の下塗層と、バインダーと白色顔料を含む白色顔料層とをこの順で有する太陽電池用バックシートが開示されている。
特許文献3には、易接着性アクリル系コーティング層が形成されたポリエステルフィルム層と、アクリル系コーティング層の上部に特定のフッ素樹脂と二酸化チタンを含有するフッ素コーティング層と、を含む太陽電池用バックシートが開示されている。
特許文献4には、支持体と、支持体の一方の側に設けられ、ポリアクリル等のバインダー樹脂、並びに無機顔料を含有する第1のポリマー層と、支持体と第1のポリマー層との間に第2のポリマー層を有する太陽電池用バックシートが開示されている。
国際公報第2013/051403号 特開2012−174798号公報 特表2013−526033号公報 特開2012−119677号公報
本発明は、着色樹脂層の厚みが薄いにもかかわらず剥離し難い太陽電池用バックシート部材及びその製造方法、太陽電池用バックシート並びに太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
<1> アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む塗布液をポリエステルフィルムの片面に塗布した後、ポリエステルフィルムを少なくとも1回延伸することにより設けられた30nm〜300nmの厚みを有する易接着層と、
延伸されたポリエステルフィルムと、
易接着層の延伸されたポリエステルフィルムが接触している面とは反対側の面に接触して設けられ、アクリル樹脂及び着色顔料を含み、1μm〜3μmの厚みを有する着色樹脂層と、
を有する太陽電池用バックシート部材。
<2> 着色樹脂層が、アクリルポリオール樹脂と、紫外線吸収剤及び光安定化剤の少なくとも一方とが共重合したアクリル樹脂を含む<1>に記載の太陽電池用バックシート部材。
<3> 着色樹脂層が、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネートからなる群より選ばれた少なくとも1種のポリイソシアネートに由来する構造を有する<1>又は<2>に記載の太陽電池用バックシート部材。
<4> 着色樹脂層が、着色顔料として、平均粒子径が0.2μm〜0.5μmの酸化チタンを、着色樹脂層に含まれる樹脂100質量部に対して40質量部〜70質量部含む<1>〜<3>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート部材。
<5> 易接着層が、オキサゾリン基を持つ架橋剤に由来する構造を有する<1>〜<4>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート部材。
<6> 易接着層が、アクリル樹脂を含む<1>〜<5>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート部材。
<7> <1>〜<6>のいずれかに記載の太陽電池用バックシート部材を含む太陽電池用バックシート。
<8> 延伸されたポリエステルフィルムの易接着層及び着色樹脂層が設けられている側とは反対側にポリオレフィンを含む層を有する<7>に記載の太陽電池用バックシート。
<9> 太陽光が入射する透明性のフロント基板と、
太陽電池素子と、
太陽電池素子を封止する封止材と、
封止材のフロント基板とは反対側に配置され、封止材に、易接着層が設けられている面とは反対側が対向している<7>又は<8>に記載の太陽電池用バックシートと、
を含む太陽電池モジュール。
<10> ポリエステルを含む樹脂を溶融押出ししてポリエステルフィルムを形成する工程と、
ポリエステルフィルムの片面に、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む易接着層形成用塗布液を塗布する工程と、
易接着層形成用塗布液が塗布されたポリエステルフィルムを少なくとも1回延伸することにより30nm〜300nmの厚みを有する易接着層を形成する工程と、
易接着層上にアクリル樹脂及び着色顔料を含む着色樹脂層形成用塗布液を塗布して1μm〜3μmの厚みを有する着色樹脂層を形成する工程と、
を有する太陽電池用バックシート部材の製造方法。
本発明によれば、着色樹脂層の厚みが薄いにもかかわらず剥離し難い太陽電池用バックシート部材及びその製造方法、太陽電池用バックシート並びに太陽電池モジュールが提供される。
本発明の太陽電池用バックシート部材の層構成の一例を示す概略図である。 本発明の太陽電池用バックシートの層構成の一例を示す概略図である。 本発明の太陽電池モジュールの構成の一例を示す概略図である。
以下において、本発明の太陽電池用バックシート部材及びそれを備えた太陽電池用バックシート、並びに太陽電池モジュールについて詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[太陽電池用バックシート部材]
本発明の太陽電池用バックシート部材は、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む塗布液をポリエステルフィルムの片面に塗布した後、ポリエステルフィルムを少なくとも1回延伸することにより設けられた30nm〜300nmの厚みを有する易接着層と、延伸されたポリエステルフィルムと、易接着層の延伸されたポリエステルフィルムが接触している面とは反対側の面に接触して設けられ、アクリル樹脂及び着色顔料を含み、1μm〜3μmの厚みを有する着色樹脂層と、を有して構成されている。
上記構成により、本発明の太陽電池用バックシート部材は、着色樹脂層の厚みが薄いにも関わらず、剥離し難い。そのため、本発明の太陽電池用バックシート部材を含む太陽電池用バックシートを用いた太陽電池モジュールは、屋外等の過酷環境下に長期間に晒された場合であっても太陽電池用バックシートの着色樹脂層による反射性能や紫外線カット性能が長期にわたって維持され、長期にわたって発電性能が維持される。
図1は、本発明に係る太陽電池用バックシート部材の層構成の一例を概略的に示している。図2は、本発明に係る太陽電池用バックシートの層構成の一例を概略的に示している。図1に示す太陽電池用バックシート部材31は、ポリエステルフィルム16の一方の面側に、易接着層17と、着色樹脂層18とが積層されている。また、図2に示す太陽電池用バックシート32は、図1に示す太陽電池用バックシート部材32のポリエステルフィルム16に接着剤層19を介してポリオレフィンを含む層(ポリオレフィンフィルム)15が貼り付けられて構成されている。
以下、本発明の太陽電池用バックシート部材、太陽電池用バックシート、及び太陽電池モジュールについて具体的に説明する。なお、符号は適宜省略する。
<ポリエステルフィルム>
本発明の太陽電池用バックシート部材は、基材フィルムとして、少なくとも一方向に延伸されたポリエステルフィルム(以下、単に「ポリエステルフィルム」という場合がある。)を備えている。
本発明におけるポリエステルフィルムは、エステル樹脂を含む原料樹脂を溶融押出しして未延伸フィルムを形成した後、最初の延伸前又は最初の延伸後に、易接着層形成用塗布液が塗布され、その後、少なくとも1回の延伸工程が行われたポリエステルフィルムである。本発明におけるポリエステルフィルムは、少なくとも一軸延伸されたポリエステルフィルムであるが、二軸延伸されたポリエステルフィルムであることが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムを構成するエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略称する場合がある)、ポリエチレンナフタレート(以下PENと略称する場合がある)などが挙げられ、機械的強度や耐熱性、経済性の点から、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられ、長期間の特性維持が求められることから耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下耐加水分解性PETフィルムと略称する場合がある)であることがより好ましい。同様に、高い耐加水分解性が得られる理由でPENフィルムであることが好ましい。
本発明においてポリエステルフィルムとして好ましく用いられる耐加水分解性PETフィルムとは140℃高圧スチーム下で10時間保管後の引張伸度が初期の引張伸度の60%以上を保持するものである。
140℃高圧スチーム下で10時間保管後の引張伸度が初期の引張伸度の60%以上を保持する耐加水分解性PETフィルムが太陽電池用バックシート部材を構成するポリエステルフィルムとして使用されることで、太陽電池用バックシートの耐候性を大きく向上させ、太陽電池モジュールとしての10年以上の性能保証に寄与することができ、好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムとして好ましく用いられる耐加水分解性PETフィルムは、ジカルボン酸成分にテレフタル酸、ジオール成分にエチレングリコールを用いた固有粘度[η]が0.70〜1.20、より好ましくは0.75〜1.00のPETの二軸延伸フィルムにより達成される。ここで、固有粘度[η]は、o−クロロフェノールを溶媒としてPETを溶解し、25℃の温度で測定した値であり、固有粘度はPETの重合度に比例する。耐加水分解性を向上させるためにはPETの重合度を上げることが重要であり、重合度を上げる方法として、減圧下重合時にエチレングリコールを取り除きながら重合時間を長く取って重合を進行させる方法、一旦上述の重合を行ったPET樹脂を結晶化処理を行った後、減圧下高温で熱処理を行い、重合度をさらに上げるいわゆる固相重合と呼ばれる方法があり、これら方法により固有粘度[η]を目的の値にすることができる。固有粘度が0.70以上である場合には、耐加水分解性、耐熱性を付与することが容易となり、太陽電池用バックシート、さらには太陽電池モジュールの耐加水分解性能を向上させるため好ましい。また、固有粘度が1.20以下の場合には、溶融粘度が低くなり溶融押出成形が容易となり、フィルムの製膜性が向上するため好ましい。
これらのPET樹脂は、ホモPET樹脂であっても、共重合成分が含まれてもよく、共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分を用いることができる。また、このPET樹脂の中には、必要に応じて、本発明の効果が損なわれない量で適宜な添加剤、例えば耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、耐侯安定剤、有機の易滑剤、有機系微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていてもよい。
本発明において、ポリエステルフィルムとして好ましく用いられるPENフィルムは、ジカルボン酸成分に2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分にエチレングリコールを用い、公知の方法で重合された樹脂を上述の方法と同様に公知の方法で二軸延伸されたフィルムである。
これら耐加水分解性PETフィルム、あるいはPENフィルムの厚さは、20〜400μmが好ましく、フィルムの腰、耐電圧性、太陽電池用バックシートのコスト面及び太陽電池モジュール製造の際の加工適性から、50〜300μmがより好ましい。
さらに、難燃規格であるUL746Aにおける、HAI(高電流アーク・イグニッション)試験をパスするには、耐加水分解性PET、あるいはPENフィルムの厚さは200〜300μmであることが好ましい。
<易接着層>
本発明における易接着層は、いわゆるインラインコート法によって形成された層(以下、「インラインコート層」という場合がある)であり、具体的には、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む塗布液(易接着層形成用塗布液)をポリエステルフィルムの片面に塗布した後、ポリエステルフィルムを少なくとも1回延伸することにより設けられた30nm〜300nmの厚みを有する。
ここで、インラインコート法による易接着層の形成は、より具体的には、基材フィルムとなるポリエステルフィルムを製造する際、エステル樹脂の溶融押出し工程、延伸工程、塗布工程、巻き取り工程等の一連の製造工程において、溶融押出し工程後、最終的な延伸工程の前に、易接着層形成用塗布液を塗布する塗布工程を行った後、少なくとも1回の延伸工程を設けることでポリエステルフィルム上に30nm〜300nmの厚みを有する易接着層を形成する方法である。
易接着層形成用塗布液としては、バインダー樹脂として、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む液が用いられる。インラインコート法によれば、塗布後にポリエステルフィルムを延伸するため、厚みが薄い易接着層を形成することができ、30nm〜300nmの厚みを有する易接着層を形成することができる。
−バインダー樹脂−
易接着層は、バインダー樹脂として、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む。これらの樹脂は密着力を得やすいため好ましく用いられる。具体的には、例えば以下の樹脂が挙げられる。
アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート等を含有するポリマー等が好ましい。アクリル樹脂として、アクリルとシリコーンとの複合樹脂も好ましい。アクリル樹脂としては上市されている市販品を用いてもよく、例えば、AS−563A(ダイセルフアインケム(株)製)、ジュリマーET−410、同SEK−301(ともに日本純薬工業(株)製)が挙げられる。アクリルとシリコーンとの複合樹脂としては、セラネートWSA1060、同WSA1070(ともにDIC(株)製)、及びH7620、H7630、H7650(ともに旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
エステル樹脂としては、例えば、エステル樹脂として上市されている市販品を用いてもよく、例えば、バイロナールMD−1245(東洋紡(株)製)を好ましく用いることができる。
ウレタン樹脂としては、例えば、スーパーフレックス460(第一工業製薬(株)製)を好ましく用いることができる。
オレフィン樹脂としては、例えば、変性ポリオレフィン共重合体が好ましい。オレフィン樹脂としては上市されている市販品を用いてもよく、例えば、アローベースSE−1013N、SD−1010、TC−4010、TD−4010(ともにユニチカ(株)製)、ハイテックS3148、S3121、S8512(ともに東邦化学(株)製)、ケミパールS−120、S−75N、V100、EV210H(ともに三井化学(株)製)などを挙げることができる。中でも、低密度ポリエチレン、アクリル酸エステル、無水マレイン酸の三元共重合体である、アローベースSE−1013N、ユニチカ(株)製を用いることが密着性を向上させる上で好ましい。
これらの樹脂は単独で用いても2種以上併用して用いてもよいが、易接着層はアクリル樹脂を含むことが好ましい。2種以上併用する場合は、アクリル樹脂とオレフィン樹脂の組合せ、エステル樹脂とオレフィン樹脂の組合せ、ウレタン樹脂とオレフィン樹脂の組合せが好ましく、アクリル樹脂とオレフィン樹脂の組合せがより好ましい。
アクリル樹脂とオレフィン樹脂の組合せで用いる場合、易接着層中のオレフィン樹脂とアクリル樹脂の合計に対するアクリル樹脂の含有量は、3〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、7〜25質量%であることが特に好ましい。
オレフィン樹脂に、エステル樹脂(例えば、バイロナールMD−1245(東洋紡(株)製)を好ましく組合せて用いることができる。またオレフィン樹脂にウレタン樹脂を加えることも好ましく、例えば、スーパーフレックス460(第一工業製薬(株)製)を好ましく用いることができる。
−架橋剤−
易接着層に含まれるバインダー(樹脂)は、架橋剤により架橋されていてもよい。易接着層に架橋構造を形成させると密着性をより向上することができ、好ましい。架橋剤としては、エポキシ系、イソシアネート系、メラミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系等の架橋剤を挙げることができる。
その中でも易接着層では、架橋剤がオキサゾリン基を有するオキサゾリン系架橋剤であることが好ましい。オキサゾリン基を有する架橋剤として、エポクロスK2010E、同K2020E、同K2030E、同WS−500、同WS−700(いずれも日本触媒化学工業(株)製)等を利用することができる。
架橋剤の添加量は、易接着層が含むバインダーに対して0.5質量%〜50質量%が好ましく、より好ましくは3質量%〜40質量%であり、特に好ましくは5質量%以上30質量%未満である。特に架橋剤の添加量は、0.5質量%以上であると、易接着層の強度及び接着性を保持しながら充分な架橋効果が得られ、50質量%以下であると、塗布液のポットライフを長く保て、40質量%未満であると塗布面状を改良できる。
−架橋剤の触媒−
易接着層において架橋剤を用いる場合には、架橋剤の触媒をさらに併用してもよい。架橋剤の触媒を含有することで、バインダー(樹脂)と架橋剤との架橋反応が促進され、耐溶剤性の向上が図られる。また、架橋が良好に進むことで、易接着層の密着性がより改善される。
特に、架橋剤としてオキサゾリン基を有する架橋剤(オキサゾリン系架橋剤)を用いる場合、架橋剤の触媒を使用することがよい。
架橋剤の触媒としては、オニウム化合物を挙げることができる。
オニウム化合物としては、アンモニウム塩、スルホニウム塩、オキソニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ニトロニウム塩、ニトロソニウム塩、ジアゾニウム塩等が好適に挙げられる。
易接着層に含まれる架橋剤の触媒は、1種のみであってもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の触媒の添加量は、架橋剤に対して、0.1質量%以上15質量%以下の範囲が好ましく、0.5質量%以上12質量%以下の範囲がより好ましく、1質量%以上10質量%以下の範囲が特に好ましく、2質量%以上7質量%以下がより特に好ましい。架橋剤に対する架橋剤の触媒の添加量が0.1質量%以上であることは、架橋剤の触媒を積極的に含有していることを意味し、架橋剤の触媒の含有によりバインダーと架橋剤の間の架橋反応がより良好に進行し、より優れた耐溶剤性が得られる。また、架橋剤の触媒の含有量が15質量%以下であることで、溶解性、塗布液のろ過性、封止剤との密着性向上の点で有利である。
易接着層には、バインダー、架橋剤、架橋剤の触媒に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいてさらに種々の添加剤を含有してもよい。
添加剤としては、帯電防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、防腐剤などが挙げられる。
本発明における易接着層の厚みは30〜300nmであり、易接着層上に形成される着色樹脂層の接着力を高める観点から、易接着層の厚みは50nm以上200nm以下であることが好ましく、75nm以上150nm以下であることがより好ましい。
<着色樹脂層>
着色樹脂層は、易接着層の延伸されたポリエステルフィルム側とは反対側の面に接触して設けられている。着色樹脂層は、アクリル樹脂及び着色顔料を含み、1μm〜3μmの厚みを有する。
一般的に、着色樹脂層に含まれる着色顔料の含有量が多いほど反射性能や紫外線カット性能が向上する反面、接着力が小さく、また、着色樹脂層の厚みが薄いほど剥離し易い。
これに対し、本発明の太陽電池用バックシート部材は、ポリエステルフィルムと着色樹脂層との間に、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含み、インラインコート法によって形成された30〜300nmの厚みを有する易接着層が配置されていることで、着色樹脂層がポリエステルフィルムに直接接着している場合に比べ、湿熱環境下に置かれても着色樹脂層の接着力の低下が抑制され、剥離し難い。
−バインダー樹脂−
着色樹脂層にバインダー樹脂として含まれるアクリル樹脂は、エステル樹脂、オレフィン系樹脂などと比較して、耐光性に優れる。
着色樹脂層の密着力向上を目的に、あるいは本発明の太陽電池用バックシート部材を用いた太陽電池用バックシートは、太陽電池モジュールの製造工程において高温処理に曝されることから、着色樹脂層の耐熱性向上を目的に、適切な架橋構造を導入可能なようにアクリル系樹脂の中でも特にアクリルポリオール樹脂が好ましい。着色樹脂層は、アクリルポリオール樹脂と、紫外線吸収剤及び光安定化剤の少なくとも一方(以下、「紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤」と記す場合がある。)とが共重合したアクリル樹脂を含むことが好ましい。
−着色顔料−
着色樹脂層に含まれる着色顔料は、(1)樹脂層に発色させる、(2)色調の維持(退色しない)、(3)紫外線及び/又は可視光カット、という目的で選定し、用いる。着色顔料は目的に応じて選択すればよく、一般的に使用される白色顔料だけでなく、黒色顔料など白色以外の着色顔料を用いてもよい。
例えば、太陽電池用バックシートとしては、光反射性及び意匠性の観点から白色のシートが主流であるが、シートを黒色にすると、発電素子間の隙間が白色に見える白色シートと比較して意匠性に優れる。また、これらの顔料自体も特定の波長の光線を吸収及び/又は反射することから、着色することにより光線から基材シートを保護するという効果が得られる。また、太陽電池モジュール内の電気配線パターンなどの設計パターンを目隠しできるという効果もある。
白色顔料としては、耐紫外線性を有する酸化チタンが好ましい。発色の観点から、その数平均粒子径は0.1〜1.0μmが好ましく、アクリルポリオール樹脂に対する分散性やコストの観点からより好ましくは0.2〜0.5μmである。白色顔料の数平均粒子径が1.0μm以下であると、膜の平坦性が良好となり、面状故障による密着の低下を抑制することができる。
黒色顔料としては、無機顔料、有機顔料等の各種着色顔料を使用できるが、汎用性、価格、発色性能、また耐紫外線性の観点からカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの平均粒子径は、発色の観点から0.01〜0.5μmが好ましく、バインダー樹脂に対する分散性やコストの観点も考慮すると0.02〜0.1μmがより好ましい。
着色顔料の配合量に関しては、発色させたい色調の設計に合わせて適宜調整すれば良い。ただし、顔料配合量が少なすぎる場合には意匠性に優れた色調外観が得られないこと、逆に配合量が多すぎる場合にはコストが高くなること、樹脂層の硬度が大幅に向上することによる基材および端子ボックス接着用シリコーン樹脂との密着力不良を生じやすくなるなどの理由から、バインダー樹脂に紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂100質量部に対し10〜500質量部の範囲が好ましい。
着色樹脂層は、隠蔽性、反射率、耐UV耐性の観点から着色顔料として、平均粒子径が0.2μm〜0.5μmの酸化チタンを、着色樹脂層に含まれる樹脂100質量部に対して40質量部〜70質量部含むことが特に好ましい。着色顔料の上記含有量が、40質量部以上であると耐UV耐性が優れ、耐候性試験後の密着性の低下が抑制される。着色顔料の上記含有量が、70質量部以下であると膜質の脆化が抑制され、密着性が良好となる。
なお、本発明における着色顔料の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定される値である。
着色樹脂層は、アクリル樹脂及び着色顔料のほか、紫外線吸収剤、光安定化剤、可塑剤等を含むことができる。
着色樹脂層は、(1)紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂、(2)着色顔料、及び(3)可塑剤とで構成されていることが好ましい。
一般に、着色樹脂層に紫外線カット性能を付与し、耐光性を向上させる手法としては、有機系紫外線吸収剤や無機系紫外線吸収剤を単独で、あるいは複数種を混合してバインダー樹脂に混ぜ、さらに光により励起されるラジカルを失活させるメカニズムによって光安定性を増す目的で光安定化剤(HALS)を併用する。
バインダー樹脂に紫外線吸収剤や光安定化剤を後添加して形成した樹脂層では、高温加湿環境下、あるいは紫外線受光に伴い、紫外線吸収剤や光安定化剤が塗膜中から塗膜表面にブリードアウトし、ぬれ性、塗膜表面の密着力などが変化するだけでなく、当初発現していた紫外線カット性能が失われるといった不具合を生じやすい。
これに対して、アクリル樹脂に紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させることで、紫外線吸収剤や光安定化剤が塗膜表面にブリードアウトすることを防ぎ、紫外線カット性能を長期にわたり保持することができる。
紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を固定させる共重合モノマーとしては、アクリル系モノマーが汎用性が高く、経済的にも好ましい。耐光性という点では、アクリル系ビニルモノマーとの共重合が最も好ましく使用される。従ってアクリル系樹脂を構成する1つの重合モノマー成分は、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸、不飽和炭化水素及びビニルエステルからなる群のうち1つ以上の不飽和化合物である。
使用できる不飽和カルボン酸エステルとしてはメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
使用できる不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸等が挙げられる。
使用できるその他の単量体としては、ブタジエン、エチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。好ましいのは、不飽和カルボン酸エステルである。不飽和カルボン酸エステルのうちメチルメタクリレート、メチルアクリレートが汎用性、価格、対光安定性の観点から特に好ましい。
次に着色樹脂層の耐熱性向上を目的に導入する架橋構造の基点となる水酸基を導入し、アクリルポリオール樹脂とするための重合モノマーについて説明する。アクリル樹脂に水酸基を与える目的で用いる重合モノマー成分としては、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシビニルエーテル、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等の不飽和化合物の単量体が挙げられる。これらの水酸基を有する不飽和化合物は単独で、または2種類以上組み合わせて選択することができる。
−紫外線吸収剤−
アクリルポリオール樹脂と共重合させる紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が例示できる。具体的には、例えば、サリチル酸系のp−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、ベンゾフェノン系の2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、ベンゾトリアゾール系の2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、シアノアクリレート系のエチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート)、その他として、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなどやこれらの変性物、重合物、誘導体などが例示できる。
−光安定化剤−
また、同様にアクリルポリオール樹脂と共重合させる光安定化剤としては、ヒンダードアミン系等の光安定化剤が挙げられる。具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル〕ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ]−4−ピペリジニル]エステルなどやこれらの変性物、重合物、誘導体などが例示できる。
これらの紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤をアクリルポリオール樹脂に共重合する製造方法等については、特開2002−90515の〔0019〕〜〔0039〕に詳細に開示されている。中でもアクリルモノマーと紫外線吸収剤の共重合物を有効成分として含むハルスハイブリッド(登録商標)((株)日本触媒製)などを使用することができる。
本発明における着色樹脂層の厚みは1μm〜3μmである。
着色樹脂層の厚みが1μm以上であると、高い光反射性能や紫外線カット性能を発揮することができる。また、着色樹脂層を塗布方法により形成する場合、塗工時にはじきや膜切れといった現象を生じにくく、均一な塗膜を形成し易い。その結果、高い密着力、光反射性能、紫外線カット性能が十分に発現する。
一方、着色樹脂層の厚みが3μm以下であると、厚膜塗布が可能な特異プロセスを用いなくとも通常の塗布装置で塗布できるので塗工方式に制約を生じることがなく、生産コストを抑えることができるので好ましい。さらに、搬送ロールへの塗膜粘着やそれに伴う塗膜の剥がれ等を生じにくくなるので好ましい。
−可塑剤−
前述したように、本発明の着色樹脂層は可塑剤を含んでもよい。
着色樹脂層のアクリル樹脂としてアクリルポリオール樹脂を用いた場合、着色樹脂層に可塑剤を含有する効果が顕著に現れる。本発明における可塑剤は、易接着層とアクリルポリオール樹脂及び着色顔料を含む着色樹脂層との密着力向上に貢献する。
元来、アクリルポリオール樹脂は種々の樹脂フィルムに対する密着力が特段悪い樹脂材料ではないが、着色樹脂層の着色を目的に着色顔料を比較的高い濃度で配合した場合には着色樹脂層の硬度が高まり、さらに着色樹脂層中のアクリルポリオール樹脂の濃度が相対的に低下するために、他の層と着色樹脂層との間の密着力は低下する傾向にある。そこで、アクリルポリオール樹脂と比較して樹脂軟化点が低い傾向にある可塑剤成分を配合することで着色樹脂層の硬度を調整し、易接着層との密着力を向上させることができる。
本発明で用いる可塑剤としては、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤又はこれらの組み合わせが耐熱性、耐候性、コスト、汎用性などの観点から好ましい。
ポリエステル系可塑剤としては、例えばアジピン酸系可塑剤が好ましく用いられる。エポキシ系可塑剤としては、例えば、エポキシ化脂肪酸エステルが好ましく用いられる。エポキシ系可塑剤としては、エポキシ化植物油も用いることができ、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油が例示できる。フタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジシソデシル、又は、フタル酸ジブチル等が好ましく用いられる。
本発明に用いられる可塑剤としては、例えばポリエステル系可塑剤であるDIC社製ポリサイザーW−220EL、エポキシ系可塑剤であるDIC社製エポサイザーW−121、エポキシ化大豆油系可塑剤であるDIC社製エポサイザーW−100−EL、フタル酸エステル系可塑剤であるDIC社製ジオクチルフタレートなどが挙げられる。
可塑剤の配合量に関しては、アクリルポリオール樹脂に紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を共重合させた樹脂100質量部に対し、4〜40質量部の範囲が好ましく、より好ましくは10〜30質量部である。可塑剤の配合量が4質量部以上であると密着力等の改善効果が現れる。可塑剤の配合量が40質量部以下であると、着色樹脂層中に占める紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤を含むアクリルポリオール樹脂の相対量が充分にあるために、着色樹脂層自体の耐紫外線性や、基材フィルムを紫外線から保護する機能(紫外線遮断性能)が損なわれることがない。
−その他添加剤−
さらに、本発明における着色樹脂層には、その特性を損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化剤、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤などを添加してもよい。
使用できる熱安定剤、酸化防止剤及び劣化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、硫黄化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
使用できる強化剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
−架橋剤−
また、前述の通り、着色樹脂層の特性向上の目的でアクリルポリオールの水酸基と反応し得る官能基を有する架橋剤を配合しても良い。架橋剤を併用した場合には、着色樹脂層と隣接する層との間の密着力の向上、あるいは架橋構造の導入に伴う着色樹脂層の耐熱性向上といった効果が得られる。特に、本発明における着色樹脂層が最外層に位置する場合には、太陽電池モジュールの製造工程、具体的にはガラスラミネート工程(セル充填工程)において、着色樹脂層が最大150℃程度の高温下で、長い場合には30分以上の熱処理に曝されるため、特に耐熱性が要求される。
着色樹脂層のバインダー樹脂として、アクリルポリオール樹脂と紫外線吸収剤及び/又は光安定化剤とを共重合させた樹脂を用いる場合、樹脂が有する水酸基と反応し得る架橋剤の使用が可能であり、中でもポリイソシアネート系樹脂を硬化剤として使用し、ウレタン結合(架橋構造)の生成を促す処方が好ましい。架橋剤として用いるポリイソシアネート系樹脂としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートおよび脂肪族ポリイソシアネート等が例示でき、各々以下に示すジイソシアネート化合物を原料とする樹脂である。
芳香族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、m−またはp−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4′−、2,4′−又は2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、および4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が例示される。
芳香族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート(XDI)や、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が例示される。
脂環族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、4,4′−、2,4′−または2,2′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、および1,3−または1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)等が例示される。
脂肪族ポリイソシアネートの原料となるジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−、2,3−または1,3−ブチレンジイソシアネート、および2,4,4−または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が例示される。
ポリイソシアネートの原料としては、これらのジイソシアネートを複数種組み合わせて用いること、ビューレット変性体、ヌレート変性体などの変性体として用いることも可能である。中でもポリイソシアネートの原料としては、樹脂骨格中に紫外線域の光の吸収帯を有する芳香環を含有する樹脂は、紫外線照射に伴い黄変し易いことから、脂環族ポリイソシアネート及び/又は脂肪族ポリイソシアネートを主成分とする硬化剤を用いることが好ましい。さらに、太陽電池モジュールの仕上げ工程で、太陽電池裏面封止材の最外層に付着した樹脂や汚れを拭き取るためにエタノールを用いることが多く、太陽電池裏面封止材の最外層に耐エタノール性が求められるが、脂環族ポリイソシアネートを主成分とする硬化剤を用いることで、脂肪族ポリイソシアネートより着色樹脂層の硬化が進み、耐エタノール性が向上するため、脂環族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。また、アクリルポリオール樹脂との架橋反応の易進行性、架橋度、耐熱性、耐紫外線性などの観点からヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート変性体が好ましい。
[太陽電池用バックシート部材の製造方法]
本発明の太陽電池用バックシート部材を製造する方法は、上記構成の太陽電池用バックシート部材(積層フィルム)を作製することができれば特に限定されないが、例えば、ポリエステルを含む樹脂を溶融押出ししてポリエステルフィルムを形成する工程と、ポリエステルフィルムの片面に、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む易接着層形成用塗布液を塗布する工程と、易接着層形成用塗布液が塗布されたポリエステルフィルムを少なくとも1回延伸することにより30nm〜300nmの厚みを有する易接着層を形成する工程と、易接着層上にアクリル樹脂及び着色顔料を含む着色樹脂層形成用塗布液を塗布して1μm〜3μmの厚みを有する着色樹脂層を形成する工程と、を有する。
・ポリエステルフィルム形成工程:
ポリエステルフィルム形成工程、すなわちポリエステルフィルムを製膜する工程では、エステル樹脂等を含む溶融体をギアポンプや濾過器を通し、その後、ダイを介して冷却ロールに押出し、これを冷却固化させることで(未延伸)フィルムを形成することができる。溶融は押出し機を用いて行なうが、単軸押出し機を用いてもよく、2軸押出し機を用いてもよい。
添加剤は、直接これらの押出し機に添加してもよいが、予めポリエステルとマスターバッチを形成し押出し機に投入することが、押出し安定性の観点から好ましい。
押出し機の温度は使用するポリエステルの融点から融点+80℃以下で行なうことが好ましく、より好ましくは融点+10℃以上、融点+70℃以下、さらに好ましくは融点+20℃以上、融点+60℃以下である。融点+10℃未満では充分に樹脂が融解せず、一方、温度が融点+80℃を超えるとポリエステル、添加剤等が分解する可能性がある。なお、この押出しの前に、ポリエステル等のマスターバッチを乾燥しておくことが好ましく、好ましい含水率は10ppm〜300ppm、より好ましくは20ppm〜150ppmである。
押出された溶融体は、ギアポンプ、濾過機、多層ダイを通してキャストドラム上に流涎される。多層ダイの方式はマルチマニホールドダイ、フィードブロックダイ、どちらも好適に用いることができる。ダイの形状はT−ダイ、ハンガーコートダイ、フィッシュテール、いずれでも構わない。このようなダイの先端(ダイリップ)に上述のような温度変動を付与することが好ましい。キャストドラム上では、溶融樹脂(メルト)を、静電印加法を用いて冷却ロールに密着させることができる。この際、キャストドラムの駆動速度に上記のような変動を与えることが好ましい。キャストドラムの表面温度は、おおよそ10℃〜40℃とすることができる。キャストドラムの直径は0.5m以上5m以下が好ましく、より好ましくは1m以上4m以下である。キャストドラムの駆動速度(最外週の線速度)は1m/分以上50m/分以下が好ましく、より好ましくは3m/分以上30m/分以下である。
・延伸工程:
ポリエステルフィルム形成工程によって形成された(未延伸)フィルムは、延伸工程において、延伸処理を施すことができる。延伸は縦方向(MD:Machine Direction)、横方向(TD:Transverse Direction)の少なくとも一方に行なう。より好ましくは、MD、TDの両方延伸を行なうことが、フィルムの物性にバランスが取れ好ましい。このような2方向延伸は、縦、横逐次におこなってもよく、同時に実施してもよい。
延伸工程においては、冷却ロールで冷却固化させた(未延伸)フィルムに1つ又は2つの方向に延伸されることが好ましく、2つの方向に延伸されることがより好ましい。2つの方向への延伸(二軸延伸)は、長手方向(MD)の延伸(「縦延伸」ともいう)及び幅方向(TD)の延伸(「横延伸」ともいう)であることが好ましい。縦延伸、横延伸は各々1回で行ってもよく、複数回に亘って実施してもよく、同時に縦、横に延伸してもよい。
なお、本発明の太陽電池用バックシート部材の作製において、未延伸フィルムを一方向のみに延伸する場合、又は、二方向同時に延伸する場合は、延伸工程の前に、未延伸フィルムに対し、後述する易接着層形成用塗布液の塗布工程を行えばよい。二方向の延伸を逐次行う場合は、未延伸フィルムに対して塗布工程を行った後、縦、横逐次に延伸を行ってもよいし、二方向の延伸後、塗布工程を行い、次いで他方向の延伸を行ってもよい。
延伸処理は、フィルムのガラス転移温度(Tg)℃〜(Tg+60)℃で行うのが好ましく、より好ましくは(Tg+3)℃〜(Tg+40)℃、さらに好ましくは(Tg+5)℃〜(Tg+30)℃である。
好ましい延伸倍率は少なくとも一方に270%〜500%、より好ましくは280%〜480%、さらに好ましくは290%〜460%である。二軸延伸の場合、縦、横均等に延伸してもよいが、一方の延伸倍率を他方より大きくし不均等に延伸するほうがより好ましい。縦(MD)、横(TD)いずれを大きくしてもよい。ここで云う延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)/(延伸前の長さ)〕
二軸延伸処理は、例えば、フィルムのガラス転移温度である(Tg)℃〜(Tg+60)℃で長手方向に1回もしくは2回以上、合計の倍率が3倍〜6倍になるよう延伸し、その後、(Tg)℃〜(Tg+60)℃で幅方向に倍率が3〜5倍になるよう施すことができる。
縦二軸延伸処理は出口側の周速を速くした2対以上のニップロールを用いて、長手方向に延伸することができ(縦延伸)、またチャックで幅方向を把持した後、このチャック間の長手方向の間隔を広げることで延伸してもよい。
横延伸はフィルムの両端をチャックで把持しこれを直交方向(長手方向と直角方向)に広げておこなうことができる(横延伸)。
同時延伸は、チャックで把持したあと、長手方向にチャック間隔を拡げる操作と、幅方向にチャック間隔を拡げる操作を組み合わせることで実施できる。
なお、延伸工程が複数工程設けられている場合、易接着層の塗布工程の前に一部の延伸工程を行い、易接着層の塗布工程後、残りの延伸工程を行ってもよい。
ポリエステルフィルムの延伸工程と易接着層の塗布工程は、例えば、下記のような組合せで実施することができる。
(a)縦延伸→塗布→横延伸
(b)塗布→縦延伸→横延伸
(c)塗布→縦、横同時延伸
(d)縦延伸→横延伸→塗布→縦延伸
(e)縦延伸→横延伸→塗布→横延伸
この中で好ましいのが(a)、(b)、(c)であり、より好ましいのが(a)である。この手法が最も密着力が高く、設備もコンパクトとなり好ましい。
延伸工程においては、延伸処理の前又はその後、好ましくは延伸処理後に、フィルムに熱処理を施すことができる。熱処理を施すことによって、微結晶を生成し、力学特性や耐久性を向上させることができる。180〜230℃程度(更に好ましくは、185〜210℃)で1〜60秒間(更に好ましくは2〜30秒間)の熱処理をフィルムに施してもよい。
延伸工程においては、熱処理後、熱緩和処理を施すことができる。熱緩和処理とは、フィルムに対して応力緩和のために熱を加えて、フィルムを収縮させる処理である。熱緩和処理は、フィルムのMD及びTDの両方向に施すことが好ましい。
熱緩和処理における諸条件は、熱処理温度より低い温度で処理することが好ましく、130℃〜220℃が好ましい。また、熱緩和処理は、フィルムの熱収縮率(150℃)がMD及びTDがいずれも-1〜12%であることが好ましく、-1〜10%が更に好ましい。尚、熱収縮率(150℃)は、測定方向350mm、幅50mmのサンプルを切り出し、サンプルの長手方向の両端近傍300mm間隔に標点を付け、150℃の温度に調整されたオーブンに一端を固定、他端をフリーで30分間放置し、その後、室温で標点間距離を測定し、この長さをL(mm)とし、かかる測定値を用いて、下記式にて熱収縮率を求めることができる。
150℃熱収縮率(%)=100×(300−L)/300
また、熱収縮率が正の場合は縮みを、負は伸びを表わす。
−その他事項−
ポリエステルフィルムの厚みは、30μm以上350μmが好ましいが、耐電圧の観点から、160μm以上300μm以下がより好ましく、さらに好ましくは180μm以上280μm以下である。
ポリエステルフィルムは、120℃、相対湿度100%の条件で50時間保存した後の破断伸びが、保存前の破断伸びに対して50%以上であるものが好ましい(以下、当該条件により湿熱処理した支持体の処理前後における破断伸びの保持率を、単に「破断伸び保持率」ともいう。)。破断伸び保持率が50%以上であることで、加水分解に伴う変化が抑えられ、長期使用の際に塗布層との密着界面での密着状態が安定的に保持されることにより、経時での剥離等が防止される。これにより、バックシートが、例えば屋外等の高温、高湿環境や曝光下に長期に亘り置かれる場合でも、高い耐久性能を示す。より好ましくは50%に達する時間は、75時間以上200時間以下が好ましく、より好ましくは100時間以上180時間以下である。
ポリエステルフィルムは180℃で50時間熱処理した後の破断強度が、熱処理前の破断強度の50%以上であることが好ましい。より好ましくは180℃で80時間熱処理した後の破断強度が熱処理前の破断強度の50%以上であり、さらに好ましくは180℃で100時間熱処理した後の破断強度が熱処理前の破断強度の50%以上である。これにより高温に曝されたときの耐熱性を良好にすることができる。
ポリエステルフィルムは150℃で30分間熱処理をした時の熱収縮がMD,TDとも1%以下、より好ましくは0.5%以下であることが好ましい。熱収縮を1%以下に保つことにより、太陽電池モジュールを形成した時の反りを防止することができる。
ポリエステルフィルムは必要に応じてコロナ放電処理、火炎処理、グロー放電処理のような表面処理を行ってもよい。これらのうちでコロナ放電処理は低コストで行うことができる、好ましい表面処理方法である。
コロナ放電処理は、通常誘導体を被膜した金属ロール(誘電体ロール)と絶縁された電極間に高周波、高電圧を印加して、電極間の空気の絶縁破壊を生じさせることにより、電極間の空気をイオン化させて、電極間にコロナ放電を発生させる。そして、このコロナ放電の間を、ポリエステルフィルムを通過させることにより行う。
本発明で用いる好ましい処理条件は、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランス1〜3mm、周波数1〜100kHz、印加エネルギー0.2〜5kV・A・分/m程度が
好ましい。
グロー放電処理は、真空プラズマ処理又はグロー放電処理とも呼ばれる方法で、低圧雰囲気の気体(プラズマガス)中での放電によりプラズマを発生させ、基材表面を処理する方法である。本発明の処理で用いる低圧プラズマはプラズマガスの圧力が低い条件で生成する非平衡プラズマである。本発明の処理は、この低圧プラズマ雰囲気内に被処理フィルムを置くことにより行われる。
グロー放電処理において、プラズマを発生させる方法としては、直流グロー放電、高周波放電、マイクロ波放電等の方法を利用することができる。放電に用いる電源は直流でも交流でもよい。交流を用いる場合は30Hz〜20MHz程度の範囲が好ましい。
交流を用いる場合には50又は60Hzの商用の周波数を用いてもよいし、10〜50kHz程度の高周波を用いてもよい。また、13.56MHzの高周波を用いる方法も好ましい。
グロー放電処理で用いるプラズマガスとして、酸素ガス、窒素ガス、水蒸気ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の無機ガスを使用することができ、特に、酸素ガス、又は、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスが好ましい。具体的には、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用することが望ましい。酸素ガスとアルゴンガスを用いる場合、両者の比率としては、分圧比で酸素ガス:アルゴンガス=100:0〜30:70位、より好ましくは、90:10〜70:30位が好ましい。また、特に気体を処理容器に導入せず、リークにより処理容器にはいる大気や被処理物から出る水蒸気などの気体をプラズマガスとして用いる方法も好ましい。
ここで、プラズマガスの圧力としては、非平衡プラズマ条件が達成される低圧が必要である。具体的なプラズマガスの圧力としては、0.005〜10Torr、より好ましくは0.008〜3Torr程度の範囲が好ましい。プラズマガスの圧力が0.005Torr未満の場合は接着性改良効果が不充分な場合があり、逆に10Torrを超えると電流が増大して放電が不安定になる場合がある。
プラズマ出力としては、処理容器の形状や大きさ、電極の形状などにより一概には言えないが、100〜2500W程度、より好ましくは、500〜1500W程度が好ましい。
グロー放電処理の処理時間は0.05〜100秒、より好ましくは0.5〜30秒程度が好ましい。処理時間が0.05秒未満の場合には接着性改良効果が不充分な場合があり、逆に100秒を超えると被処理フィルムの変形や着色等の問題が生じる場合がある。
グロー放電処理の放電処理強度はプラズマ出力と処理時間によるが、0.01〜10kV・A・分/mの範囲が好ましく、0.1〜7kV・A・分/mがより好ましい。放電処理強度を0.01kV・A・分/m以上とすることで充分な接着性改良効果が得
られ、10kV・A・分/m以下とすることで被処理フィルムの変形や着色といった問
題を避けることができる。
グロー放電処理では、あらかじめ被処理フィルムを加熱しておくことも好ましい。この方法により、加熱を行わなかった場合に比べ、短時間で良好な接着性が得られる。加熱の温度は40℃〜被処理フィルムの軟化温度+20℃の範囲が好ましく、70℃〜被処理フィルムの軟化温度の範囲がより好ましい。加熱温度を40℃以上とすることで充分な接着性の改良効果が得られる。また、加熱温度を被処理フィルムの軟化温度以下とすることで処理中に良好なフィルムの取り扱い性が確保できる。
真空中で被処理フィルムの温度を上げる具体的方法としては、赤外線ヒーターによる加熱、熱ロールに接触させることによる加熱などが挙げられる。
・塗布工程
本発明では、易接着層をインラインコート法にて形成する。すなわち、溶融押出しによって未延伸のポリエステルフィルムを形成した後、延伸工程の前又は複数の延伸工程の間の工程として、易接着層(インラインコート層)を形成するための易接着層形成用塗布液の塗布工程を行った後、少なくとも1回の延伸工程を行うことで、ポリエステルフィルムの表面に易接着層が形成される。
易接着層形成用塗布液としては、バインダー樹脂として、前述したアクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含み、必要に応じて添加剤を含む塗布液を用いる。例えば、ポリエステルフィルムの縦延伸工程後、横延伸工程の前に、ポリエステルフィルムの片面に易接着層形成用塗布液を塗布する。
易接着層形成用塗布液に用いる溶媒としては、バインダー樹脂の種類等に応じて選択すればよい。水でもよいし、トルエンやメチルエチルケトン等の有機溶媒でもよいが、環境負荷の観点から、水を塗布溶媒とした水系塗布液に調製されることが好ましい。
溶媒は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。バインダーを水分散した水系塗布液を塗布する方法が好ましい。この場合、溶媒中の水の割合は60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
易接着層形成用塗布液をポリエステルフィルムに塗布する塗布方法としては特に制限はなく、バーコーター塗布、スライドコーター塗布等の公知の方法を用いることができる。
インラインコート法によって30nm〜300nmの厚みを有する易接着層を形成することができる。なお、易接着層の厚みは、易接着層形成用塗布液中の固形分濃度、ポリエステルフィルムへの塗布量、塗布後の延伸倍率、塗布後の延伸工程の回数などによって調整することができる。
以上の工程を経て、30〜300nmの厚みを有する易接着層が形成されたポリエステルフィルム(易接着層付きポリエステルフィルム)が製造される。
・着色樹脂層形成工程
易接着層付きポリエステルフィルムの易接着層上に、着色樹脂層を塗布法により形成するための塗布液(着色樹脂層形成用塗布液)を塗布して着色樹脂層を形成する。
着色樹脂層形成用塗布液は、前述したアクリル樹脂及び着色顔料、さらに必要に応じて添加剤を溶媒に添加して調製される。
着色樹脂層形成用塗布液の溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールおよび水等を例示することができる。
着色樹脂層を形成するための塗布液の性状としてはエマルジョン型および溶解型のいずれでもよい。
本発明では、着色樹脂層の厚みが1〜3μmとなるように易接着上に形成する。着色樹脂層を易接着層上に形成する方法は特に制限されるべきものではなく、公知のコーティング手法を用いることができる。着色樹脂層形成用塗布液のコーティング手法としては、種々の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法、グラビアロールコーティング法、これらを組み合わせた方法等を利用することができる。なかでも、グラビアロールコーティング法は、着色樹脂層形成用組成物の安定性を増す理由で好ましい方法である。
以上の工程を経て、本発明に係る太陽電池用バックシート部材を製造することができる。
[太陽電池用バックシート]
本発明の太陽電池用バックシートは、前述した太陽電池用バックシート部材を含んで構成される。
本発明の太陽電池用バックシートは、例えば、前述した太陽電池用バックシート部材の延伸されたポリエステルフィルムの易接着層及び着色樹脂層が設けられている側とは反対側の面上に他のフィルム、例えばポリオレフィンを含む層を積層した構成とすることができる。
(ポリオレフィンを含む層)
延伸されたポリエステルフィルムに積層するポリオレフィンを含む層としては、例えば、A層/B層/C層の3層構成からなり、C層が上記接着剤層と接着し、A層が最外層側(封止材と接着させる側)に位置する構成のポリオレフィンフィルムを採用することができる。具体的には、国際公開第2013−051403号明細書の[0029]〜[0061]に記載されているポリオレフィン系樹脂多層フィルムを採用することができる。すなわち、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂を混合した樹脂組成物からなるA層と、白色微粒子を含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなるB層と、ポリプロピレン系樹脂組成物からなるC層を積層したポリオレフィン系樹脂多層フィルムを用いることができる。
本発明において、太陽電池用バックシート部材のポリエステルフィルムとポリオレフィン系樹脂多層フィルムとの貼り合せに使用する接着剤は、特に限定されるものではないが、イソシアネート架橋型接着剤が一般的に使用される。中でも、耐候性に優れ、経時に対して接着力の低下が少ない太陽電池用バックシートとするためには、耐加水分解性に優れた接着剤を使用することが好ましい。
本発明における接着剤に用いる溶剤としては、エステル類、ケトン類、脂肪族類、芳香族類等の活性水素を持たない溶剤が好ましい。エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等を挙げる事ができる。ケトン類としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等を挙げることができる。脂肪族としては、n−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等をあげることができる。芳香族類としては、トルエン、キシレン等を挙げることができる。これらの中で、溶解度、塗工適性の観点から酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトンが特に好ましい。
接着剤層の厚さは、0.1〜10μmが好ましく、コスト面及び接着性の点から2〜6μmがより好ましい。
本発明の太陽電池用バックシートの製造方法としては、例えば、太陽電池用バックシート部材におけるポリエステルフィルムの易接着層とは反対側の面に、グラビア・ロールコート法、ロールコート法、リバースコート法、キスコート法、その他のコート法、あるいは、印刷法等を用いて接着剤を塗工するドライラミネートなどの公知手法を用いて他のフィルムあるいは積層体を積層する。このとき、ポリエステルフィルムは必要に応じて、コロナ処理、プラズマ処理などの接着性を向上させるための表面処理を施すことも可能である。
次に、ポリエステルフィルムの接着剤塗工面とポリオレフィン系樹脂多層フィルムのC層側の面とを張り合わせる。これにより、太陽電池用バックシート部材におけるポリエステルフィルムの易接着層とは反対側の面に、接着剤層を介してポリオレフィン系樹脂多層フィルムが積層された太陽電池用バックシートを作製することができる。
なお、ポリエステルフィルムとポリオレフィン系樹脂多層フィルムとの密着強度は、2N/15mm以上が好ましい。これらフィルム間の密着強度が、2N/15mm以上であると、積層したフィルムの層間強度が十分得られ、太陽電池モジュールの加工時あるいは促進試験等による層間剥離が起こり難く、6N/15mm以上であることがより好ましい。
本発明の太陽電池用バックシートは、着色樹脂層の厚みが薄いにもかかわらず剥離し難いため、長期にわたって光反射性能及び紫外線カット性能を発揮することができる。
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池モジュールは、例えば、太陽光の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池素子を、太陽光が入射する透明性の基板と太陽電池用バックシートとの間に配置し、基板とバックシートとの間をエチレン−酢酸ビニル共重合体などの封止材で封止している。
図3は、本発明に係る太陽電池モジュールの構成の一例を概略的に示している。図3に示す太陽電池モジュール10は、太陽光が入射する透明性のフロント基板24と、太陽電池素子20と、太陽電池素子20を封止する封止材22と、封止材22のフロント基板24とは反対側に太陽電池用バックシート32が配置されている。太陽電池用バックシート32は、ポリエステルフィルム16の易接着層17及び着色樹脂層18が設けられている側とは反対側に接着剤層19を介してポリオレフィンを含む層(ポリオレフィンフィルム)15が設けられ、ポリオレフィンフィルム15が封止材22に対向して接着している。そして、太陽電池用バックシート32として、本発明の太陽電池用バックシート部材31を含む太陽電池用バックシートが適用される。
太陽電池モジュール、太陽電池セル、バックシート以外の部材については、例えば、「太陽光発電システム構成材料」(杉本栄一監修、(株)工業調査会、2008年発行)に詳細に記載されている。
透明性のフロント基板は、太陽光が透過し得る光透過性を有していればよく、光を透過する基材から適宜選択することができる。発電効率の観点からは、光の透過率が高いものほど好ましく、このような基板として、例えば、ガラス基板、アクリル樹脂などの透明樹脂などを好適に用いることができる。
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
以下に、本発明の太陽電池用バックシートを使用して太陽電池モジュールを製造する方法について説明する。
太陽電池用バックシートの厚さは200〜400μmの範囲が好ましい。厚さを200μm以上とすることで、高い部分放電圧を確保することができ、さらに十分な剛性が確保でき、ハンドリング時の折れ欠陥が著しく減少する。一方、厚さを400μm以下とすることで、必要十分な剛性や耐電圧特性を保持しながら、ロールに巻き取る際のロール当たりの長さを大きくすることができ、生産性に優れたものとすることができる。さらに好ましくは250〜350μmの範囲である。
太陽電池用バックシートのポリオレフィン系樹脂多層フィルム面が接着性樹脂層(封止材)と向かい合う方向で、本発明の太陽電池用バックシート/接着性樹脂層(封止材)/配線を配設した光起電力素子としての太陽電池素子/接着樹脂層層(封止材)/太陽電池モジュール用表面保護シート(透明性のフロント基板)をこの順に積層し、更に、必要ならば各層間にその他の素材を任意に積層する。次いでこれらを真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネーション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、枠を装着して太陽電池モジュールを製造する。
接着性樹脂層(封止材)としては、耐候性、耐熱性、透明性を有することが好ましい。具体的には、上記の充填剤層としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体、または、酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、その他等の樹脂の1種ないし2種以上の混合物を使用することができる。
太陽電池モジュールの枠体としては、アルミニウム型材が好適である。
本発明に係る太陽電池モジュールは、太陽電池用バックシートの着色樹脂層の厚みが薄いにも関わらず剥離し難いため、長期にわたって光反射性能及び紫外線カット性能が維持され、発電性能の低下が抑制される。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(易接着層形成用塗料の調製)
下記成分を混合撹拌して易接着層形成用塗料を調製した。
・イオン交換水 17.3質量部
・エポクロスWS700(日本触媒社製、固形分濃度25.0%) 15.1質量部
・AS−563A(ダイセル社製、固形分濃度28.0%) 67.3質量部
・界面活性剤 0.36質量部
(ナトリウム−1.2−{ビス(3,3,4,4,5,5,6,6,6−ナノフルオロヘキシルカルボニル)}エタンスルホナート)
(ポリオレフィン系樹脂多層フィルムの作製)
以下の方法によって、A層、B層、C層が積層されたポリオレフィン系樹脂多層フィルムを作製した。
A層に使用する樹脂として、融点127℃、密度0.940g/cm、MFR5.0g/10分のLLDPE80質量部に対し、融点112℃、密度0.912g/cm、MFR4.0g/10分のLDPEを20質量部(ポリエチレン合計100質量部)、及びポリプロピレン系樹脂として、融点150℃、密度0.900g/cm、MFR7g/10分のエチレン含有量4モル%のエチレン・プロピレンランダム共重合体100質量部を混合した樹脂混合物を用いた。
B層に使用する樹脂としては、融点が160℃、密度0.90g/cm、MFR7g/10分のホモポリプロピレン100質量部に対して、酸化チタンマスタバッチA30質量部を混合した樹脂混合物を用いた。着色化剤である酸化チタンの添加量は13.8重量%である。
また、C層に使用する樹脂として、融点160℃、密度0.900g/cm、MFR4.0g/10分、エチレン含有量7モル%のエチレン・プロピレンブロック共重合樹脂を用いた。
このようにして用意したA層、B層、C層の樹脂混合物を各々単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ260℃にて溶融してA層/B層/C層型のマルチマニホールド型のTダイに導き、30℃に保たれたキャスティングドラム上に押し出し、非ドラム面側から25℃の冷風を吹き付けて冷却固化して、各層の厚み構成比率がA層/B層/C層=10%/80%/10%であるフィルム厚み150μmのポリオレフィン系樹脂多層フィルムを得た。
作製したポリオレフィン系樹脂多層フィルムのC層側にコロナ放電処理を行い、表面の濡れ張力を40mN/mとして巻き取った。
(着色樹脂層形成用塗料の調製)
アクリル樹脂:(株)日本触媒製、紫外線吸収剤および光安定化剤(HALS)がアクリルポリオール樹脂に架橋されたハルスハイブリットポリマー(登録商標)BK1(固形分濃度:40質量%)を35質量部、導電材料:大塚化学製デントールWK500(酸化チタンに酸化スズを被覆した針状結晶である無機固体導電材料。数平均繊維長は5〜15μmの範囲で分布している)15質量部、白色顔料:酸化チタン粒子(テイカ社製 JR−709)を50質量部および溶剤:酢酸エチル100質量部を一括混合し、ビーズミル機を用いて分散し、固形分濃度が50質量%である主剤塗料を得た。
この主剤塗料に、ヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂である住化バイエル社製 デスモジュール(登録商標)N3300(固形分濃度:100質量%)を、主剤塗料/ヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂=100/4の質量比になるように配合した。さらに固形分濃度20質量%(樹脂固形分濃度)の塗料となるように希釈剤:酢酸n−プロピルを加え、15分間攪拌した。こうして、固形分濃度20質量%(樹脂固形分濃度)の着色樹脂層形成用塗料を得た。
(ドライラミネート用接着剤の調製)
DIC(株)製ドライラミネート剤 ディックドライ(登録商標)LX−903を16質量部、硬化剤としてDIC(株)製KL−75を2質量部、および酢酸エチルを29.5質量部量りとり、15分間攪拌した。これにより固形分濃度20%のドライラミネート用接着剤を得た。
<実施例1>
(太陽電池用バックシート部材の作製)
−ポリエステルの合成−
高純度テレフタル酸(三井化学(株)製)100kgとエチレングリコール(日本触媒(株)製)45kgのスラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応
槽に、4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行なった。その後、得られたエステル化反応生成物123kgを重縮合反応槽に移送した。
引き続いて、エステル化反応生成物が移送された重縮合反応槽に、エチレングリコールを、得られるポリマーに対して0.3質量%添加した。5分間撹拌した後、酢酸コバルト及び酢酸マンガンのエチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対してそれぞれ30ppm、15ppmとなるように加えた。更に5分間撹拌した後、チタンアルコキシド化合物の2質量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して5ppmとなるように添加した。その5分後、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10質量%エチレングリコール溶液を、得られるポリマーに対して5ppmとなるように添加した。その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から285℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし、常圧に戻し、重縮合反応を停止した。そして、冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングしてポリマーのペレット(直径約3mm、長さ約7mm)を作製した。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は3時間であった。
但し、チタンアルコキシド化合物には、特開2005−340616号公報の段落番号[0083]の実施例1で合成しているチタンアルコキシド化合物(Ti含有量=4.44質量%)を用いた。
−固相重合−
上記で得られたペレットを、40Paに保たれた真空容器中、220℃の温度で30時間保持して、固相重合を行った。
−ベース形成−
以上のように固相重合を経た後のペレットを、280℃で溶融して金属ドラムの上にキャストし、厚さ約3mmのポリエチレンテレフタレート未延伸ベース(PET基材)を作製した。
その後、90℃で縦方向に3.4倍に延伸(MD延伸)し、下記条件でコロナ放電処理を行った。
−コロナ放電処理−
MD延伸後のPET基材の一方の面に行ったコロナ放電処理の条件は以下の通りである。
・電極と誘電体ロールギャップクリアランス:1.6mm
・処理周波数:9.6kHz
・処理速度:20m/分
・処理強度:0.375kV・A・分/m
−易接着層(B)の形成−
次いで、易接着層形成用塗料を、PET基材のコロナ放電処理面に、塗布量が5.1ml/mとなるように、MD延伸後、TD延伸前にインラインコート法にてワイヤーバーを用いて塗布した。
なお、TD延伸温度は、105℃で、TD方向に3.9倍に延伸し、膜面200℃で15秒間の熱処理を行い、190℃でMD緩和率5%、TD緩和率11%でMD・TD方向に熱緩和を行った。これにより、片面に厚さ300nmの易接着層が形成された厚み250μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(易接着層付きPETフィルム)を得た。
−着色樹脂層(C)の形成−
得られた易接着層付きPETフィルムの易接着層上に、ワイヤーバーを用いて着色樹脂層形成用塗料を塗布し、120℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布量が4.0g/mの着色樹脂層を設けた。
このようにして太陽電池用バックシート部材1を製造した。
(太陽電池用バックシート1の作製)
太陽電池用バックシート部材1の着色樹脂層とは反対側のPETフィルムの表面に、ドライラミネート用接着剤をワイヤーバーで塗布し、80℃で45秒間乾燥して厚さ3.5μmの接着剤層を形成した。
次に、この接着剤層に、ポリオレフィン系樹脂多層フィルム1のコロナ処理面をハンドローラーを用いて貼り合わせた。
このようにして作製したシートを40℃に加熱したオーブン内で3日間エージングして太陽電池用バックシート1を得た。
[評価]
(湿熱経時後の着色樹脂層の接着性)
得られた太陽電池用バックシート1を85℃、85%RHの環境条件下で1000時間保持した後、25℃、60%RHの環境下において1時間調湿した。その後、下記の方法で接着性を評価した。
太陽電池用バックシートの着色樹脂層側の表面に片刃のカミソリで、縦横それぞれ6本ずつ3mm間隔にキズをつけ、25マスのマス目を形成した。
この上に幅20mmのマイラーテープ(NITTO社製、ポリエステル粘着テープ)を貼り付けた。次いでマイラーテープを手動で、バックシートの表面に沿って180°方向に引っ張って剥離した。このとき、剥離されたマス目の数によって、着色樹脂層と基材フィルムとの接着性を下記の評価基準にしたがってランク分けした。なお、各例の太陽電池用バックシートにつき、5回試験を行い、平均数とした。
評価ランク3〜5が、実用上許容可能な範囲である。
<評価基準>
5:剥離したマス目はなかった(0マス)
4:剥離したマス目はゼロであるが、キズ部分が僅かに剥離している
3:剥離したマス目が1マス未満であった
2:剥離したマス目が1マス以上、3マス未満であった
1:剥離したマス目が3マス以上であった
<比較例1>
実施例1における易接着層付きPETフィルムの作製において、MD延伸後、易接着層形成用塗料の塗布を行わないこと以外は同様にして二軸延伸PETフィルムを作製した。
次いで、PETフィルムのコロナ放電処理した面上に、ワイヤーバーを用いて実施例1と同様にして着色樹脂層を設けた。これにより太陽電池用バックシート部材を得た。
さらに、着色樹脂層とは反対側のPETフィルムの表面に、実施例1と同様にして接着剤層を形成し、接着剤層にポリオレフィン系樹脂多層フィルム1のコロナ処理面をハンドローラーを用いて貼り合わせた後、40℃に加熱したオーブン内で3日間エージングして太陽電池用バックシートを得た。
得られた太陽電池用バックシートについて、実施例1と同様にして湿熱経時後の着色樹脂層の接着性を評価した。
<実施例2〜25>
易接着層の構成及び着色樹脂層の構成をそれぞれ表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池用バックシートを作製し、評価を行った。
<比較例2〜5>
易接着層の厚み及び着色樹脂層の厚みをそれぞれ表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池用バックシートを作製し、評価を行った。
実施例及び比較例で用いた易接着層形成用塗料の構成(種類、配合量)を表2及び表3に示す。なお、表2、表3において配合量を示す数値は全て質量基準である。
Figure 2015185687
Figure 2015185687
Figure 2015185687
表1から、実施例の太陽電池用バックシートは、比較例の太陽電池用バックシートに比べて、湿熱経時後の接着性が高いことがわかる。
[実施例101]
<太陽電池モジュールの作製と評価>
厚さ3mmの強化ガラスと、EVAシート(三井化学ファブロ(株)製のRC02B)と、結晶系太陽電池セルと、EVAシート(三井化学ファブロ(株)製のRC02B)と、各実施例で作製した太陽電池用バックシートとをこの順に重ね合わせ、真空ラミネータ(日清紡(株)製、真空ラミネート機)を用いてホットプレスすることにより、EVAと各部材を接着させた。このとき、各実施例の太陽電池用バックシートはそのポリオレフィン系樹脂多層フィルムがEVAシートと接触するように配置した。また、接着方法としては、真空ラミネータを用いて、150℃で3分間の真空引き後、10分間加圧して接着した。
このようにして、結晶系の太陽電池モジュールを作製した。得られた太陽電池モジュールを用いて発電運転したところ、いずれも太陽電池として良好な発電性能を示し、長期間に亘って安定運転した。
10 太陽電池モジュール
15 ポリオレフィンを含む層(ポリオレフィンフィルム)
16 ポリエステルフィルム
17 易接着層(インラインコート層)
18 着色樹脂層
19 接着剤層
20 太陽電池素子
22 封止材
24 透明性のフロント基板
31 太陽電池用バックシート部材
32 太陽電池用バックシート

Claims (10)

  1. アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む塗布液をポリエステルフィルムの片面に塗布した後、前記ポリエステルフィルムを少なくとも1回延伸することにより設けられた30nm〜300nmの厚みを有する易接着層と、
    前記延伸されたポリエステルフィルムと、
    前記易接着層の前記延伸されたポリエステルフィルムが接触している面とは反対側の面に接触して設けられ、アクリル樹脂及び着色顔料を含み、1μm〜3μmの厚みを有する着色樹脂層と、
    を有する太陽電池用バックシート部材。
  2. 前記着色樹脂層が、アクリルポリオール樹脂と、紫外線吸収剤及び光安定化剤の少なくとも一方とが共重合したアクリル樹脂を含む請求項1に記載の太陽電池用バックシート部材。
  3. 前記着色樹脂層が、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネートからなる群より選ばれた少なくとも1種のポリイソシアネートに由来する構造を有する請求項1又は請求項2に記載の太陽電池用バックシート部材。
  4. 前記着色樹脂層が、前記着色顔料として、平均粒子径が0.2μm〜0.5μmの酸化チタンを、前記着色樹脂層に含まれる樹脂100質量部に対して40質量部〜70質量部含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池用バックシート部材。
  5. 前記易接着層が、オキサゾリン基を持つ架橋剤に由来する構造を有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の太陽電池用バックシート部材。
  6. 前記易接着層が、アクリル樹脂を含む請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の太陽電池用バックシート部材。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の太陽電池用バックシート部材を含む太陽電池用バックシート。
  8. 前記延伸されたポリエステルフィルムの前記易接着層及び前記着色樹脂層が設けられている側とは反対側にポリオレフィンを含む層を有する請求項7に記載の太陽電池用バックシート。
  9. 太陽光が入射する透明性のフロント基板と、
    太陽電池素子と、
    前記太陽電池素子を封止する封止材と、
    前記封止材の前記フロント基板とは反対側に配置され、前記封止材に、前記易接着層が設けられている面とは反対側が対向している請求項7又は請求項8に記載の太陽電池用バックシートと、
    を含む太陽電池モジュール。
  10. ポリエステルを含む樹脂を溶融押出ししてポリエステルフィルムを形成する工程と、
    前記ポリエステルフィルムの片面に、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む易接着層形成用塗布液を塗布する工程と、
    前記易接着層形成用塗布液が塗布された前記ポリエステルフィルムを少なくとも1回延伸することにより30nm〜300nmの厚みを有する易接着層を形成する工程と、
    前記易接着層上にアクリル樹脂及び着色顔料を含む着色樹脂層形成用塗布液を塗布して1μm〜3μmの厚みを有する着色樹脂層を形成する工程と、
    を有する太陽電池用バックシート部材の製造方法。
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