JP2018116993A - 太陽電池モジュール用裏面保護シート - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽電池モジュールを製造するにあたり、耐光性に優れ、単位厚さあたりの部分放電電圧が高く、さらに難燃性や長期信頼性に優れた裏面保護シートを提供する。
【解決手段】耐光性フィルム(A層)、ポリエステルフィルム(B層)、および易接着性樹脂層(C層)をこの順に有し、B層は内部に10〜50%の空洞を含むポリエステル樹脂層(B1層)を少なくとも1層含み、C層は太陽電池素子を保持固定する封止材と40N/cm以上の密着強度を有し、A層側から積算量300kWh/mの紫外線を照射後の伸度保持率が60%以上であり、厚さが180μm以上であり、部分放電電圧が1000V以上である太陽電池モジュール用裏面保護シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール用裏面保護シートに関する。
太陽光発電は、無尽蔵で無公害の新たなエネルギー源として実用化されつつあり、このための太陽電池モジュールとしては表面保護シート、封止材シート1、配線を配設した太陽光発電素子、封止材シート2、および裏面保護シートを積層し、一体化したものが広く知られている。
前記裏面保護シートは、太陽電池モジュールに組み込まれ、設置後20年〜30年の長期にわたる品質保証を求められるなど、長期耐久性への要求は年々高まっており、とりわけ裏面保護シートと封止材シートとの密着性は、太陽光発電素子の保護、劣化防止の観点から、極めて重要な要求特性である。
さらに裏面保護シートは、直接太陽光にさらされることはないものの、設置方法によっては回り込みや照り返しによる太陽光が当たるため、裏面保護シートに耐光性を付与することは重要である。
また、太陽電池システム作動時に高い電圧が長期間かかるため、太陽電池モジュールの電気的な安全性に大きな注意を払うことが必要であり、裏面保護シートには、耐電圧特性が高いことが望まれる。耐電圧特性に劣ると、太陽電池システム作動時に部分放電と呼ばれる裏面保護シート内部での微小電荷の放電が発生し、これが延々と続くと裏面保護シートを構成する樹脂の化学的な劣化が進行する。部分放電現象により化学的な劣化が進行すると、落雷などでシステムに瞬間的に高電圧がかかった場合に、裏面保護シートに絶縁破壊を発生させる可能性がある。したがって、裏面保護シートとしては、部分放電現象の発生を少しでも抑えるために、部分放電現象の発生が開始する電圧(以後、「部分放電電圧」と称する)を高めることが要求されている。
部分放電電圧を高めるための裏面保護シートとしては、ポリプロピレン樹脂と無機フィラーまたは有機フィラーの少なくとも一方を含み、少なくとも1軸延伸されることで内部に空孔が形成された基材層を有する裏面保護シート(特許文献1参照)や、ポリエステル樹脂と非相溶ポリマーを含む樹脂組成物からなり、内部に空洞を有する反射層と無機粒子を含む拡散層からなる裏面保護シート(特許文献2参照)が提案されている。
特開2013−033959号公報 特開2016−046512号公報
しかしながら、特許文献1に記載の裏面保護シートにおいてはポリプロピレン樹脂の融点が低く、太陽電池モジュール製造時の加熱圧着工程において、とくに太陽電池モジュールの配線部分が凸状に盛り上がっている部分では、空孔が押しつぶされやすく、またポリプロピレン樹脂自身が押し流されやすいことから、膜減りによる絶縁性能の低下や、太陽電池モジュールの背面で電気配線の金属色や凹凸が見えやすいなど外観不良の問題があった。
また特許文献2に記載の裏面保護シートにおいては、空洞を有する反射層の難燃性や長期耐久性が十分とは言えず、実用面においては改善を要するものであった。
本発明が解決しようとする課題は、太陽電池モジュールを製造するにあたり、耐光性に優れ、単位厚さあたりの部分放電電圧が高く、さらに難燃性や長期信頼性に優れた裏面保護シートを提供することである。
本発明は上記課題を解決するため、以下の構成をとる。
第1の発明は、耐光性フィルム(A層)、ポリエステルフィルム(B層)、および易接着性樹脂層(C層)をこの順に有し、B層は内部に10〜50%の空洞を含むポリエステル樹脂層(B1層)を少なくとも1層含み、C層は太陽電池素子を保持固定する封止材と40N/cm以上の密着強度を有し、A層側から積算量300kWh/mの紫外線を照射後の伸度保持率が60%以上であり、厚さが180μm以上であり、部分放電電圧が1000V以上である太陽電池モジュール用裏面保護シートである。
第2の発明は、前記耐光性フィルム(A層)の波長300〜400nmにおける平均透過率が1%以下であり、積算量300kWh/mの紫外線を照射後の伸度保持率が50%以上であることを特徴とする。
第3の発明は、前記耐光性フィルム(A層)が耐光性ポリエステルフィルムであって、白色化剤が添加されたポリエステル樹脂層を少なくとも1層含むことを特徴とする。
第4の発明は、前記耐光性フィルム(A層)が耐光性フッ素フィルムであって、白色化剤が添加されたフッ素樹脂層を少なくとも1層含むことを特徴とする。
第5の発明は、前記耐光性フィルム(A層)の相対温度指数(Relative Thermal Index)が105℃以上であることを特徴とする。
第6の発明は、前記耐光性フィルム(A層)が、太陽電池モジュール用の安全規格UL94における難燃性を示すVTM−2規格以上の難燃性を有することを特徴とする。
第7の発明は、前記易接着性樹脂層(C層)側から測定した波長400nm〜1200nmにおける平均相対反射率が85%以上105%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、耐光性に優れ、単位厚さあたりの部分放電電圧が高く、さらに難燃性や長期信頼性に優れた裏面保護シートを提供することができる。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの一例を示した概略断面図である。 本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの一例を示した概略断面図である。 本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用した太陽電池モジュールの一例を示した概略断面図である。 本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートと封止材シートとの接着強度測定のためのサンプル作成方法を示した概略断面図である。
本発明は、耐光性フィルム(A層)、ポリエステルフィルム(B層)、および易接着性樹脂層(C層)をこの順に有し、B層は、内部に10〜50%の空洞を含むポリエステル樹脂層(B1層)を少なくとも1層含み、C層は、太陽電池素子を保持固定する封止材と40N/cm以上の密着強度を有し、A層側から積算量300kWh/mの紫外線を照射後の伸度保持率が60%以上であり、厚さが180μm以上であり、部分放電電圧が1000V以上である太陽電池モジュール用裏面保護シートである。
以下、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの一実施形態の例を説明する側断面図である。なお図に示すものは一実施形態であり、これに限定されるものではない。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートは、耐光性フィルム(A層)、ポリエステルフィルム(B層)、および易接着性樹脂層(C層)をこの順に有する。
本発明におけるポリエステルフィルム(B層)は、B1層の内部に10〜50%、好ましくは20〜40%の空洞を含むポリエステル樹脂層(B1層)を少なくとも1層含むことが必要であり、裏面保護シートとした際に高い部分放電電圧と高い反射率を付与する重要な層である。
前記B1層は、例えば、ポリエステル樹脂と非相溶ポリマー(ポリエステル樹脂に対して)を含むポリエステル樹脂組成物から構成される。ポリエステル樹脂中に、非相溶ポリマーを細かく分散させ、それを延伸(例えば、二軸延伸)することにより、この非相溶ポリマーの周りに空洞が形成される。B1層における空洞率が10%以上、好ましくは20%以上であると、ポリエステルフィルム(B層)の厚さ方向において十分な空洞含有量を得られ、フィルム厚さ方向において低誘電率とすることができ、高電圧を印加した場合においても、絶縁性能の劣る部分への電界の集中を抑えることでき、部分放電現象の発生を抑制することができる。またB1層における空洞率が50%以下、好ましくは40%以下であると、B1層を含むポリエステルフィルム(B層)の製膜安定性に優れ、良好な機械特性を有し、本発明の裏面保護シートを太陽電池モジュールに組み込んで使用した際に、外部から何らかの衝撃が加わったとき(例えば、運搬時の振動や、運搬、施工時の作業中に何らかの荷重がかかった場合)に、裏面保護シートの破断を抑制することができる。
加えて、前記B1層中のポリエステル樹脂と空洞との屈折率差により、太陽電池モジュール正面から裏面保護シートに入射した太陽光を効率的に反射させることが可能である。
また、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートのC層側から測定した、波長400〜1200nmにおける平均相対反射率が85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。B1層の空洞率が大きくなるほど平均相対反射率は高くなる傾向にあるが、B1層の空洞率は上記のとおり上限があり、平均反射率は105%以下が好ましい。
一般的に、受光面側の透明基板側から受光した太陽光の一部は発電素子と発電素子の隙間を抜けて太陽電池モジュール用裏面保護シートに入射する。この際に、太陽電池モジュール用裏面保護シートに入射した太陽光は透明基板側に反射して発電に寄与する。そして、発電への寄与は太陽電池モジュール用裏面保護シートの反射率が高いほど大きくなる。
本発明で用いられるポリエステル樹脂は、ジオールとジカルボン酸、あるいは、ヒドロキシカルボン酸、あるいはそれらの誘導体とから縮重合によって得られるポリマーである。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸およびセバシン酸などで代表されるものである。また、ジオールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。
ポリエステル樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。これらのポリエステル樹脂は、ホモポリエステルであっても、コポリエステルであっても良く、共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコールおよびポリアルキレングリコールなどのジオール成分等が挙げられ、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、上記のうちポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましく用いられ、特にポリエチレンテレフタレートは、耐水性、耐久性および耐薬品性などに優れており、最も好ましく用いられる。ここでポリエチレンテレフタレートとは、ジオール等成分全100モル%中にエチレングリコール成分を55モル%以上100モル%以下含み、かつ、ジカルボン酸等成分全100モル%中にテレフタル酸成分を55モル%以上100モル%以下含むホモポリエステル樹脂又はコポリエステル樹脂をいう。なお、ジオール等成分とは、縮重合によりポリマー鎖中に組み込まれた成分のうちジオール等に由来するものをいい、ジカルボン酸等成分とは、縮重合によりポリマー鎖中に組み込まれた成分のうちジカルボン酸等に由来するものをいう。
また、前記非相溶ポリマーとしては、例えば、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルロールトリアセテート、セルロールトリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、非晶ポリオレフィン、環状オレフィン共重合樹脂およびポリクロロトリフルオロエチレンなどから選ばれた融点180℃以上のポリマーが挙げられる。
中でも、ポリエステル樹脂に対する非相溶ポリマーとしては、ポリオレフィン、特にポリメチルペンテンおよび環状オレフィンが好ましく用いられる。環状オレフィン共重合樹脂とは、エチレンとビシクロアルケンおよびトリシクロアルケンからなる群から選ばれた少なくとも1種の環状オレフィンとからなる共重合体である。
B1層において、これらのポリエステル樹脂と非相溶ポリマーとが、それぞれ、ポリエステル樹脂100質量部に対し、非相溶ポリマーを10質量部〜50質量部含むポリエステル樹脂組成物からなることが好ましい。より好ましくは、10質量部以上30質量部以下であり、更に好ましくは10質量部以上25質量部以下である。非相溶ポリマーの添加量を10質量部以上とすることで、高い空隙率、高い部分放電電圧、高い反射率を得ることが可能となり、また添加量を50質量部以下とすることで機械強度の低下を抑制し、フィルム製膜時の生産性を向上させることができる。
非相溶ポリマーを分散させるには、分散助剤を添加することが有効である。分散助剤とは、分散を促進させる効果を持つ化合物のことであり、ポリエチレングリコールや、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合体などが好ましく用いられ、その添加量としては、非相溶ポリマーを含有するその層全体を100質量%として、3質量%以上40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上25質量%以下であることが好ましい。
加えて、本発明におけるポリエステルフィルム(B層)には、必要に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、充填剤、着色顔料等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲内で添加した樹脂フィルムも用いることができる。
次に、本発明におけるポリエステルフィルム(B層)の製膜方法の一例、特にB1層のみからなるフィルムの一例について具体的に説明する。
非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテンを用い、分散助剤としてポリエチレングリコール、およびポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコール共重合物を用い、これらをポリエチレンテレフタレートに混合し、それを十分混合し乾燥させて、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに供給する。Tダイ口金内で、押出機Aからのポリマーを押し出すことにより、シートとする。このようにして溶融され積層されたシートを、ドラム表面温度が10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気力によって密着冷却固化して未延伸フィルムとし、得られた未延伸フィルムを80〜120℃の温度に加熱したロール群に導き、長手方向に2.0〜5.0倍で縦延伸し、次いで20〜50℃の温度のロール群で冷却する。続いて、縦延伸されたフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜140℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手に垂直な方向に横延伸する。延伸倍率は、縦と横それぞれ2.5〜4.5倍に延伸するが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜16倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満では得られるフィルムの白さが不良となり、逆に、面積倍率が16倍を超えると延伸時に破れを生じやすくなり、製膜性が不良となる傾向がある。このようして二軸延伸されたフィルムの平面性と寸法安定性を付与するために、テンター内で150〜230℃の温度で熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り、ポリエステルフィルム(B層)を得る。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートにおけるポリエステルフィルム(B層)の厚さは、150μm以上250μm以下が好ましく、160μm以上200μm以下がより好ましい。ポリエステルフィルム(B層)に占めるB1層の厚さ割合は50%以上であることが好ましく、よってB1層の厚さは、75μm以上250μm以下が好ましく、80μm以上200μm以下がより好ましい。B1層の厚さが75μm以上であると、B1層に十分な量の空洞ができ、フィルム厚さ方向において低誘電性を得ることができ、太陽電池モジュール用裏面保護シートの厚さ方向に高電圧が印加された時に、厚さ方向の単位体積あたりに受ける電界を低減させて、部分放電現象の発生を抑制することができるため好ましい。一方、B1層の厚さに上限は特にないが、必要な部分放電電圧を達成できればよく、経済性の観点から250μm以下であることが好ましい。
本発明において、耐光性フィルム(A層)は、本発明の裏面保護シートが太陽電池モジュールに組み込まれた後、A層側からの光照射による裏面保護シートの劣化を抑制する機能を有する層である。このために波長300〜400nmにおける平均透過率が1%以下であり、積算量300kWh/mの紫外線を照射後の伸度保持率が60%以上であることが好ましい。波長300〜400nmにおける平均透過率が1%以下とすることでB層、C層の紫外線照射による劣化を抑えることができ、A層自身も積算量300kWh/mの紫外線を照射後の伸度保持率が50%以上とすることで、紫外線に対する保護機能を長期に保持することができるため好ましい。
耐光性フィルム(A層)は、白色化剤が添加された樹脂層(A1層)を少なくとも1層含むことで裏面保護シートとした際に耐光性、耐紫外線性を好ましく付与することができる。
前記A1層に含まれる白色化剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、アルミナ、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム、およびフッ化カルシウム等などを用いることが可能である。これらの中でも、耐候性および拡散性などの観点から酸化チタンを用いることが好ましい。
酸化チタンとしては、例えば、アナターゼ型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのような結晶型の酸化チタンを挙げることができる。用いられるポリエステルとの屈折率の差を大きくするという観点からは、屈折率が2.7以上の酸化チタンであることが好ましく、例えば、ルチル型酸化チタンを用いることが特に好ましい。
耐光性フィルム(A層)は、上記の白色化剤が添加されたポリエステル樹脂層を少なくとも1層含む耐光性ポリエステルフィルムであることが好ましい。ここで言うポリエステル樹脂とはB1層に用いられるのと同様であり、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましく用いられ、特にポリエチレンテレフタレートは、耐水性、耐久性および耐薬品性などに優れており、最も好ましく用いられる。
また、耐光性フィルム(A層)は、上記の白色化剤が添加されたフッ素樹脂層を少なくとも1層含む耐光性フッ素フィルムであることも好ましい。ここで言うフッ素樹脂とは、樹脂を形成する全原子100モル%中、フッ素原子を20モル%以上含む樹脂のことをいい、例えば、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、四フッ化エチレン−六フッ化ポリプロピレン共重合体(FEP)等を単独で又は複数種類を混合して用いることができる。中でも、太陽電池モジュールとしたときの長期耐久性の観点から、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンを用いることが好ましい。
太陽電池モジュール裏面保護シートのUL746Bに基づく相対温度指数(Relative Thermal Index:RTI)は、太陽電池モジュールが動作中に到達する最高到達温度+20℃で認定取得していることが望ましく、太陽電池モジュールの最高到達温度は、従来80℃程度であったが、近年、太陽電池モジュールの高効率化や発電量増大に伴い、太陽電池モジュールの最高到達温度は100℃前後とも言われている。そのため、本発明における耐光性フィルム(A層)のRTIが105℃以上であることが好ましく、より好ましくは125℃以上である。
さらに、本発明における耐光性フィルム(A層)は、難燃性を備えたフィルムであることが好ましく、太陽電池モジュール用の安全規格UL94における難燃性を示すVTM−2規格以上の難燃性を有することが好ましく、その耐光性フィルム(A層)が太陽電池モジュール用裏面保護シートに積層されることにより、太陽電池素子は裏面保護シートで保護され、太陽電池素子や配線などからの漏電発火や火災などの際に、燃え広がりを抑制することができる。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートにおける耐光性フィルム(A層)の厚さは、25μm以上100μm以下が好ましく、30μm以上75μm以下がより好ましく、これにより、裏面保護シートが長期にわたり屋外使用されるのに十分な耐光性、耐紫外線性を付与することができる。
本発明における耐光性フィルム(A層)は、具体的には、ポリエステル樹脂層と、白色化剤が添加されたポリエステル樹脂層とが共押し出し成形されてなる、白色耐加水分解性二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、東レ(株)製“ルミラー”(登録商標)MX11(厚さ50μm、75μm)やMG13(厚さ50μm、75μm)、MX70(厚さ38μm)を用いることができる。また、白色ポリフッ化ビニル(PVF)フィルムであるデュポン社製“テドラー”(登録商標)PV2001(厚さ37.5μm)やPV2111(厚さ25μm)、あるいは白色ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムであるアルケマ社製“カイナー”(登録商標)フィルム(厚さ30μm)等を用いることができる。
本発明において耐光性フィルム(A層)を配設することで、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートのA層側から積算量300kWh/mの紫外線を照射後の伸度保持率を60%以上とすることが可能となる。積算量300kWh/mの紫外線を照射後の伸度保持率が60%未満では太陽電池モジュールの長期耐久性に問題が生じる場合がある。
本発明において、易接着性樹脂層(C層)は、表面保護シート、封止材シート1、配線を配設した太陽光発電素子、封止材シート2、および裏面保護シートをこの順に積層し、加熱圧着成型により一体化する太陽電池モジュールの製造過程において、裏面保護シートと封止材シートとの密着力を決定する。
封止材シートとしては、例えば、アイオノマー樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリウレタンおよび変性ポリオレフィンなどが挙げられる。これらの中では、耐候性や他部材との密着性および部材コストの観点からEVAが好ましく用いられる。
本発明におけいて、易接着性樹脂層(C層)面と封止材シートと加熱圧着成型した後の密着強度が40N/cm以上であることが重要である。加熱圧着成型した後の密着強度が40N/cm未満であると、太陽電池モジュールの設計の初期仕様を満足できない。また、その密着強度を屋外で曝露される環境下でも長期にわたり維持する必要があり、封止材シートと加熱圧着成型した後の密着強度が、85℃85%RH条件下にて1000時間保管後で、40N/cm以上であることが好ましい。
さらに、太陽電池モジュール前面から入射した光線のうち、セル間を抜けて封止材シート層を透過して裏面保護シートに到達する光に対して、光劣化反応を生じない耐性を示す樹脂を選定することが、長期にわたり密着性能を安定に維持するためには好ましい。従って、易接着性樹脂層(C層)を形成する樹脂(以下「易接着性樹脂」と称する。)は耐光性を有する樹脂が好ましく、アクリル系樹脂や、さらに耐光性に優れるフッ素系樹脂を用いることが好ましい。
アクリル系樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルポリオール共重合体、アクリル/ウレタン共重合体などが用いられる。例えば“アクリナール”(東栄化成(株)製)、“アクリット”(大成ファインケミカル(株)製)、“ヒタロイド”(日立化成工業(株)製)、“アクリディック”(DIC(株)製)、“ユーダブル”((株)日本触媒製)、“ダイヤナール”(三菱レイヨン(株)製)などが挙げられる。ポリウレタン系樹脂としては、例えば、“サンプレン”(三洋化成工業(株)製)、“タケラック”(三井化学(株)製)、TA(日立化成ポリマー(株)製)、“セイカボンド”(大日精化工業(株)製)などが挙げられる。
フッ素系樹脂としては、構成単位の観点から、例えばパーフルオロオレフィン単位を主体とするパーフルオロオレフィン系樹脂が挙げられる。具体例としては、テトラフルオロエチレンの単独重合体(PTFE)、またはテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)などとの共重合体、さらにはこれらと共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられる。これらのうち、テトラフルオロエチレンを主体とするフッ素系樹脂が、顔料分散性や耐候性、共重合性、耐薬品性に優れている点で好ましく、例えばダイキン工業(株)製の“ゼッフル”GKシリーズなどが例示できる。これらフッ素系樹脂は難燃性にも優れるため、太陽電池裏面保護シート用フィルムの難燃性を向上させる効果もある。
また、ポリエステルフィルム(B層)との密着性を向上させるため、あるいは本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートは、太陽電池モジュール製造工程において、高温処理に曝されることから塗膜の耐熱性を向上させることを目的に、これらの耐侯性樹脂に架橋構造を形成させることが好ましい。
本発明における易接着性樹脂層(C層)の厚さは0.2〜10μmが好ましく、さらに好ましくは1〜5μmである。この易接着性樹脂層(C層)を塗布方法により形成する場合、易接着性樹脂層(C層)の厚さが0.2μm未満であると、塗工時にはじきや膜切れといった現象を生じ易く、均一な塗膜を形成し難いために、ポリエステルフィルム(B層)及び封止材シートに対する密着強度が十分に発現しない場合がある。一方、易接着性樹脂層(C層)の厚さが10μmを越えると、密着強度は十分に発現するが、塗布方法に制約を生じる、生産コストが高くなる、搬送ロールへの塗膜粘着やそれに伴う塗膜の剥がれ等を生じ易くなるなどの点が懸念される。
本発明における易接着性樹脂層(C層)を塗布方法により形成するためのコーティング液の溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノールおよび水等を例示することができ、該コーティング液の性状としてはエマルジョン型および溶解型のいずれでも良い。
易接着性樹脂層(C層)をポリエステルフィルム(B層)上に形成する方法は特に制限されるべきものではなく、公知の塗布手法を用いることができる。塗布手法としては、種々の方法を適用することができ、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ダイコーティング法およびグラビアロールコーティング法等や、これらを組み合わせた方法を利用することができる。中でも、グラビアロールコーティング法は、易接着性樹脂層(C層)を安定して形成することができ一般的で好ましい。
本発明の易接着性樹脂層(C層)には、耐光性を付与する目的で無機系の着色顔料を添加することが好ましい。現在、太陽電池用裏面保護シートの外観は白色や黒色が主流であるが、本発明の目的のためには無機系の白色顔料を添加することが、易接着性樹脂層(C層)に耐光性を付与する目的のために好ましい。また、太陽電池モジュール内の電気配線パターンなどの設計パターンを目隠しできるという効果もある。
白色顔料としては、耐光性に優れる酸化チタンが好ましい。発色の観点から、その数平均粒子径は0.1〜1.0μmが好ましく、易接着性樹脂層(C層)に対する分散性やコストの観点からより好ましくは0.2〜0.5μmである。なお、数平均粒子径は、島津製作所製レーザ回折式粒子径分布測定装置SALD−2300を用い、レーザ回折・散乱法により測定することができる。
着色顔料の配合量に関しては、発色させたい色調の設計に合わせて適宜調整すれば良い。ただし、顔料配合量が少なすぎる場合には意匠性に優れた色調外観が得られないこと、耐光性能が不十分になること、逆に配合量が多すぎる場合にはコストが高くなること、樹脂層の硬度が大幅に向上すること、対封止材シートとの密着力の不足や低下を生じやすくなること、顔料が塗膜表面にブリードアウトするなどの懸念がある。
上記の理由から、着色顔料の配合量としては、易接着性樹脂100質量部に対して、20〜80質量部が好ましく、より好ましくは30〜70質量部である。着色顔料が20質量部未満だと適切な耐光性能が得られず、また80質量部より多いと樹脂層が脆くなり適切な強度が得にくかったり、易接着性樹脂と着色剤の分散不良が発生して、耐光性能が低下したりする傾向がある。
また、本発明の易接着性樹脂層(C層)の耐熱性や機械特性を向上させる目的で前述のとおり架橋構造とすることが好ましく、易接着性樹脂層(C層)に導入した水酸基と反応し得る官能基を有する架橋剤を配合しても良い。架橋剤を併用した場合には、ポリエステルフィルム(B層)と易接着性樹脂層(C層)との間の密着力の向上、あるいは架橋構造の導入に伴う易接着性樹脂層(C層)の耐熱性向上といった効果が得られる。太陽電池モジュール製造工程のうち、ガラスラミネート工程において、易接着性樹脂層(C層)が最大150℃程度の高温下で、長い場合には30分以上の熱処理に曝されるため、その環境下で樹脂層(塗膜)が溶融、流動などを示さないよう、特に耐熱性が要求される。本発明では、水酸基と反応し得る架橋剤としてポリイソシアネート系樹脂を硬化剤として使用し、ウレタン結合(架橋構造)の生成を促す処方が好ましい。架橋剤として用いるポリイソシアネート系樹脂としては、芳香族系ポリイソシアネート、芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂環族系ポリイソシアネートおよび脂肪族系ポリイソシアネート等が例示できる。中でもポリイソシアネートの原料としては、樹脂骨格中に紫外線域の光の吸収帯を有する芳香環を含有する樹脂は、紫外線照射に伴い黄変し易いことから、脂環族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリイソシアネートを主成分とする硬化剤を用いることが好ましく、架橋反応の易進行性、架橋度、耐熱性、耐紫外線性などの観点からヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート変性体が好ましい。
さらに、本発明の易接着性樹脂層(C層)には、その特性を損なわない限りにおいて、熱安定剤、酸化防止剤、強化剤、劣化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、滑剤、架橋助剤、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤、密着改良剤、つや消し剤などを添加してもよい。
使用できる熱安定剤、酸化防止剤及び劣化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン類、硫黄化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物が挙げられる。
使用できる強化剤としては、例えばクレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
使用できる架橋助剤としては、従来公知のスズ系、他の金属系、有機酸系、アミノ系の架橋助剤が使用できる。
使用できる紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤が例示できる。
使用できる光安定化剤としては、ヒンダードアミン系等の光安定化剤が挙げられる。
本発明における耐光性フィルム(A層)やポリエステルフィルム(B層)を積層し、シート状に加工する手法としては、公知のドライラミネート法が利用できる。ドライラミネート法を用いた樹脂フィルムの貼り合わせには、ポリエーテルポリウレンタン系樹脂、ポリエステルポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエポキシ系樹脂などの主剤とポリイソシアネート系の硬化剤とを含有成分とする公知のドライラミネート用接着剤を用いることができる。ただし、これらの接着剤を用いて形成される接着剤層には、接着強度が長期間の屋外使用で劣化することに起因する剥離を生じないこと、外観の悪化や光線反射率の低下につながる黄変を生じないことなどが必要である。また、接着剤層の厚さとしては、好ましくは1〜10μmの範囲である。1μm未満であると十分な接着強度が得られ難い場合がある。一方、10μmを越えると接着剤塗工のスピードが上がらず、さらには接着剤使用量が増加し生産コストの上昇につながる。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートは、気中法における部分放電電圧が1000V以上であることが必要であり、好ましくは1050V以上である。気中法における部分放電電圧の測定法は後述するが、本部分放電電圧が高ければ、太陽電池モジュールを使用する際に太陽電池モジュール用裏面保護シートに高電圧が印加されても、シート内部で部分放電が発生しにくくなる。その結果、太陽電池モジュール用裏面保護シートの電気絶縁性が担保されやすくなる。気中法における部分放電電圧は、太陽電池モジュール用裏面保護シートの全体厚さを厚くするか、B1層の空洞率を高めることで高くすることが可能である。また気中法における部分放電電圧は、必要となる最大許容システム電圧を満足していれば実用上問題なく、1500V未満が好ましく、さらに好ましくは1250V以下である。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの厚さは、上述の耐光性フィルム(A層)、ポリエステルフィルム(B層)、及び易接着性樹脂層(C層)のそれぞれ好ましい厚さ範囲を適宜採用することにより、180μm以上であることが必要であり、好ましくは190μm以上である。裏面保護シートの厚さを180μm以上とすることで、目的とする高い部分放電電圧を達成することができる。一方、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートの厚さに上限は特にないが、必要な部分放電電圧を達成できればよく、加工性および経済性の観点から360μm以下であることが好ましく、より好ましくは300μm以下である。これら厚さ範囲とすることで、単位厚さあたりの部分放電電圧に優れ、4.9V/μm以上とすることができ、好ましくは5.0V/μm以上である裏面保護シートを得ることができる。単位厚さあたりの部分放電電圧は、高いほど省資源で高耐電圧の裏面保護シートとすることができるが、4.9V/μm以上という単位厚さあたりの部分放電電圧は、本発明におけるA層、B層、C層の組み合わせによる各種特性にバランスがとれた裏面保護シートを特徴づける重要な指標である。
本発明における太陽電池モジュール用裏面保護シートは、耐光性フィルム(A層)、ポリエステルフィルム(B層)、及び易接着性樹脂層(C層)をこの順に有していればよく、A層とB層の間、あるいはB層とC層の間にその他のプラスチックフィルムを積層していてもよい。その他のプラスチックフィルムとしては、白色フィルム、金属酸化物蒸着層を有するバリアフィルム、太陽光発電素子から外部への放電を防止する絶縁フィルムなどが挙げられ、これらから1つ以上を積層することにより、各種要求特性を満たす太陽電池モジュール用裏面保護シートを得ることができる。
白色フィルムを積層した場合には光反射性や隠蔽性が向上し、金属酸化物蒸着層を有するフィルムを積層した場合には水蒸気遮断性が付与され、また絶縁フィルムを積層した場合には、裏面保護シートの厚さが増し、絶縁破壊電圧や部分放電電圧等の電気特性を向上させることができる。また、本発明における裏面保護シートに積層するフィルムは必ずしも1枚である必要はなく、付与したい特性に応じて、適宜各部材フィルムを組み合わせ、裏面保護シートを設計すれば良い。
白色フィルムとしては、白色ポリエチレンテレフタレートフィルムである東レ(株)製“ルミラー”E20が例示できる。金属酸化物蒸着層を有するフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材上に酸化アルミニウム蒸着層が形成されてなる東レフィルム加工(株)製“バリアロックス”(登録商標)1011HGが例示できる。絶縁フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルムである東レ(株)製“ルミラー”S10が例示できる。
以下に、本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートを使用して太陽電池モジュールを製造する方法について説明する。図3のようにガラス板等の表面保護シート、封止材シート1、配線を配設した太陽発電素子、封止材シート2、本発明の裏面保護シートをこの順に積層し、次いでこれらを真空吸引等により一体化して加熱圧着するラミネ−ション法等の通常の成形法を利用し、上記の各層を一体成形体として加熱圧着成形して、枠を装着して太陽電池モジュールを製造する。
上記の太陽電池モジュールを構成する表面保護シートは、太陽光の透過性、絶縁性、耐候性、耐熱性、耐光性、耐水性、防湿性、防汚性など物理的あるいは化学的強度性を有することが好ましい。上記の表面保護シートとしては、ガラス板等、ポリアミド系樹脂(各種のナイロン)、ポリエステル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アセタ−ル系樹脂、その他等の各種の樹脂フィルムないしシートを使用することができる。
太陽電池モジュールを構成する光起電力素子としての太陽発電素子は、従来から公知のもの、例えば、単結晶シリコン型太陽発電素子、多結晶シリコン型太陽発電素子等の結晶シリコン太陽発電素子、シングル接合型あるいはタンデム構造型等からなるアモルファスシリコン太陽発電素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽発電素子、カドミウムテルル(CdTe)や銅インジウムセレナイド(CuInSe)等のII−VI族化合物半導体太陽発電素子、有機太陽発電素子、その他等を使用することができる。さらに、薄膜多結晶性シリコン太陽発電素子、薄膜微結晶性シリコン太陽発電素子、薄膜結晶シリコン太陽発電素子とアモルファスシリコン太陽発電素子とのハイブリット素子等も使用することができる。
次に、実施例を挙げて、具体的に本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートについて説明する。
[特性の評価方法]
本発明で用いた特性の評価方法は、下記のとおりである。
(1)裏面保護シートの厚さと各層の厚さ
太陽電池モジュール用裏面保護シートの厚さは、JIS C2151:2006に準じて測定した。また、裏面保護シートを、ミクロトームを用いて厚さ方向に切断し、切片サンプルを得た。その切片サンプルの断面を、日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用いて、3000倍の倍率で3点撮像し、3点の撮像から層の厚さの平均値を採寸し各層の厚さと各層の厚さの合計である総厚さを算出した。
(2)空洞率
空洞率は、ポリエステルフィルム(B層)を、ミクロトームを用いて厚さ方向に切断し、得られたサンプルの断面を、日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用いて、3000倍の倍率で3点撮像し、フィルムを構成する各層のうち空洞が最も多く含まれている層をB1層として特定した。次いで、B1層における空洞部分のみを透明なフィルム上にトレースし、イメージアナライザー(ニレコ株式会社製:“ルーゼックス”(登録商標)IID)を用いて測定した空洞面積と、観察画像内のB1層に相当する部分の面積との比を算出した。3点の測定値の平均値をB1層の空洞率とした。なお面積が0.1μmに達していない空洞は存在しないものとして扱った。
(3)部分放電電圧
200mm×300mmの太陽電池モジュール用裏面保護シートをMPS社製部分放電試験機“TPP5”を使用し、部分放電電圧を測定した。温度23±2℃、湿度50±5%RHに調節された部屋において、0Vから印加電圧を上昇させ電荷量が2pCとなる電圧を開始電圧とした。この開始電圧の1.1倍の電圧まで印加電圧を上昇させ、この電圧で10秒間印加した。その後、印加電圧を下げていき電荷が消滅する電圧(閾値1pC)となる電圧を部分放電消滅電圧(V)とした。この部分放電消滅電圧のn=10での測定結果の平均、標準偏差、安全係数(1.25、1.2)、交流から直流への変換を用いて、以下の式に従い計算し、得られた値を部分放電電圧とした。
部分放電電圧(V)=(部分放電消滅電圧の平均値−部分放電消滅電圧の標準偏差)×1.414÷(1.2×1.25)
(4)封止材シートと熱圧着した時の密着強度(接着性)
封止材シートとして、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)から成るサンビック(株)製、PV−45FR000 厚さ450μmを使用し、図4に示すように、太陽電池モジュール用裏面保護シートのC層側が封止材シート2と離型フィルムに向かい合う方向で、太陽電池モジュール用裏面保護シート/離型フィルム/封止材シート2/封止材シート1/ガラス板をこの順に積層し、(株)エヌ・ピー・シー製、太陽電池モジュールラミネーター(LM−50×50−S)に設置後、真空時間5分、制御時間1分、プレス時間9分、温度142℃の条件にて加熱圧着した。圧着後、室温冷却し、疑似モジュールを作製した。当該疑似モジュールを用いて、太陽電池モジュール用裏面保護シートと封止材シートの密着強度を下記の通り測定した。
太陽電池モジュール用裏面保護シート側から10mm幅にて太陽電池モジュール用裏面保護シート/封止材シート2層間にて剥離し、室温条件下にて(株)ORIENTEC製テンシロンPTM−50を用いて、剥離角度180°、剥離スピード100mm/minで剥離し、密着強度を測定した。
(5)平均透過率
耐光性フィルム(A層)を50mm角の評価用サンプルとし、JIS K 7105(2006年度版)に基づいて、島津製作所社製紫外可視近赤外分光光度計UV−3600Plusを使用し分光スペクトルの測定を実施し、波長300〜400nmにおける2nm刻みの透過率の算術平均により平均透過率を算出した。
(6)紫外線照射後の伸度保持率
スガ試験機(株)製スーパーキセノンウエザーメーターSX2−75を用いて、温度63℃、50%RH雰囲気にて紫外線強度180W/mで太陽電池モジュール用裏面保護シートの耐光性フィルム(A層)側に紫外線照射(紫外線照射積算量300kWh/m)を行った。その前後の破断伸度を(株)オリエンテック製テンシロンPTM−50を用いて、引っ張りスピード300mm/minで引張り、測定した。破断伸度保持率の判定として60%以上であるものを合格とした。
また、上記と同様に、耐光性フィルム(A層)に紫外線照射(紫外線照射積算量300kWh/m)を行い、その前後の破断伸度を測定した。破断伸度保持率の判定として50%以上であるものを合格とした。なお、耐光性フィルム(A層)が複数層からなる場合は、白色化剤が添加された樹脂層(A1層)側から紫外線照射を行うものとする。
(7)燃焼性
耐光性フィルム(A層)を長さ200mm×幅50mmの評価用サンプルとし、太陽電池モジュール用安全標準、UL94薄手材料垂直燃焼試験(サンプル厚さが250μm以下の場合)の手順に基づき、燃焼試験を実施した。評価用サンプルを23±2℃、50±5%RH中で48時間放置したのち、円筒状に巻き、クランプに垂直に取付け、n=5の試験片に対して、20mm炎による3秒間接炎を2回行い、VTM−0、VTM−1、VTM−2の評価基準に沿って難燃性を評価した。
(8)平均相対反射率
裏面保護シートを5cm×5cmで切り出した。島津製作所社製紫外可視近赤外分光光度計UV−3600Plusに付属の積分球を用いた基本構成で400nm〜1200nmにおける平均相対反射率の測定を行った。測定は、装置付属の硫酸バリウムの白板を基準とし、測定条件としてスリットは12nmとし、サンプリングピッチは1nmとし、スキャンスピードは高速で測定した。また、測定光の入射面がC層側となるようにサンプルを配置して測定を実施した。
[易接着樹性脂層(C層)形成用塗料1の調製]
アクリル系共重合ポリマーとブロックイソシアネート化合物を含有する東洋インキSCホールディングス株式会社製コーティング剤PRC−112W(固形分濃度:30質量%)100重量部と希釈剤として酢酸n−ブチルを20重量部配合し、15分間攪拌することにより易接着性樹脂層形成用塗料1(固形分濃度25質量%)を得た。
[易接着性樹脂層(C層)形成用塗料2の調製]
水酸基含有テトラフルオロエチレン系共重合樹脂と無機顔料として配合された酸化チタンを含むダイキン工業(株)製のコーティング剤“ゼッフル”GK570白(固形分濃度:65質量%)100重量部、ヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂である住化バイエル社製“デスモジュール”N3300(固形分濃度:100質量%)4重量部および希釈剤として酢酸n−ブチルを126重量部配合し、15分間攪拌することにより耐光性の易接着性樹脂層形成用塗料2(固形分濃度30質量%)を得た。
(実施例1)
ポリエステルフィルム(B層)のB1層として、ポリエチレンテレフタレートを55質量部と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を5質量部と、全ジカルボン酸単位またはジオール単位中イソフタル酸を10mol%と分子量1000のポリエチレングリコール5mol%が共重合されたポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/I/PEG)を10質量部と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン30質量部とを、調整混合し、180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機aに供給した。
一方、B1層と共押し出し成形される樹脂層(B2層)として、ポリエチレンテレフタレートのチップ70質量部と、白色化剤として、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン50質量%を分散させたポリエチレンテレフタレートマスターチップ(マスターチップ総量に対して二酸化チタン50質量%含有)30質量部とを、180℃の温度で3時間真空乾燥した後、280℃の温度に加熱された押出機bに供給し、これらのポリマーを、B2層/B1層/B2層として、フィルム層の厚さ比で10:140:10となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形しフィルムを得た。さらに、このフィルムを、表面温度が25℃の冷却ドラムで冷却固化して得られた未延伸フィルムを、85〜98℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、21℃の温度のロール群で冷却した。続いて、このようにして得られた縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃の温度に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後、テンター内で200℃の温度の熱固定を行い、均一に徐冷後、25℃まで冷却して、巻き取り厚さ160μmのポリエステルフィルム(B層)を得た。B1層の空洞率は35%であった。
得られたポリエステルフィルム(B層)の一方の面に、ワイヤーバーを用いて易接着性樹脂層(C層)形成用塗料1を塗布し、150℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布厚さが2μmとなるように易接着性樹脂層(C層)を設けた。
また、耐光性フィルム(A層)として、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート樹脂層と白色化剤が添加された耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート樹脂層とが共押し出し成形された東レ(株)製耐加水分解性白色ポリエチレンテレフタレートフィルム“ルミラー”MX70(38μm、RTI:130℃、難燃性:VTM−2)を準備した。
次に、ポリエステルフィルム(B層)の易接着性樹脂層(C層)を形成した面とは反対側の面に、ワイヤーバーを用いてウレタン系接着剤層(東洋モートン(株)製AD503 10重量部と同社製イソシアネート系硬化剤CAT−10 1重量部との混合物)を乾燥後塗布厚さが5μmとなるように塗布、乾燥し、MX70の耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート樹脂層側と60N/cmのニップ圧でラミネートを実施した。積層したフィルムは、温度40℃にて72時間エージングを実施し、接着剤層の硬化反応を促し、太陽電池モジュール用裏面保護シートとした。その評価結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリエステルフィルム(B層)のB1層として、ポリエチレンテレフタレートを62質量部と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を5質量部と、全ジカルボン酸単位またはジオール単位中イソフタル酸を10mol%と分子量1000のポリエチレングリコール5mol%が共重合されたポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/I/PEG)を10質量部と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン23質量部とし、また、B2層/B1層/B2層のフィルム層厚さ比を20:160:20となるようにし、巻き取り厚さを200μmとした以外は実施例1と同様にポリエステルフィルム(B層)を得た。B1層の空洞率は25%であった
さらに、耐光性フィルム(A層)を耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート樹脂層と白色化剤が添加された耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート樹脂層が共押し出し成形された東レ(株)製耐加水分解性白色ポリエチレンテレフタレートフィルム“ルミラー”MX11(75μm、RTI:125℃、難燃性:VTM−2)とした以外は実施例1と同様に太陽電池モジュール用裏面保護シートとした。その評価結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリエステルフィルム(B層)のB1層として、ポリエチレンテレフタレートを45質量部、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を5質量部、全ジカルボン酸単位またはジオール単位中イソフタル酸10mol%と分子量1000のポリエチレングリコール5mol%とが共重合されたポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/I/PEG)を10質量部、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテンを40質量部とし、B2層/B1層/B2層のフィルム層厚さ比を10:130:10となるようにし、巻き取り厚さを150μmとした以外は実施例1と同様にポリエステルフィルム(B層)を得た。B1層の空洞率は45%であった
得られたポリエステルフィルム(B層)の一方の面に、ワイヤーバーを用いて易接着性樹脂層(C層)形成用塗料2を塗布し、150℃で30秒間乾燥し、乾燥後塗布厚さが10μmとなるように易接着性樹脂層(C層)を設けた。
さらに、耐光性フィルム(A層)をデュポン社製白色ポリフッ化ビニルフィルム“テドラー”PV2111(25μm、RTI:120℃、燃焼性:HB(UL94水平燃焼試験による))とした以外は実施例1と同様に太陽電池モジュール用裏面保護シートとした。その評価結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリエステルフィルム(B層)のB1層として、ポリエチレンテレフタレートを72質量部と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を5質量部と、全ジカルボン酸単位またはジオール単位中イソフタル酸を10mol%と分子量1000のポリエチレングリコール5mol%が共重合されたポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/I/PEG)を10質量部と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン13質量部とした以外は実施例2と同様に、巻き取り厚さが200μmのポリエステルフィルム(B層)を得た。B1層の空洞率は15%であった。さらに、実施例2と同様の手順で太陽電池モジュール用裏面保護シートとした。その評価結果を表1に示す。
B1層の空洞率が低く、裏面保護シートとして、C層側から測定した反射率が低かったが、実用上問題ないものであった。
(実施例5)
耐光性フィルム(A層)を白色化剤が添加された耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート樹脂層からなる東レ(株)製耐加水分解性白色ポリエチレンテレフタレートフィルム“ルミラー”MG13(75μm、RTI:105℃、難燃性:VTM−2)とした以外は実施例2と同様に太陽電池モジュール用裏面保護シートとした。その評価結果を表1に示す。
耐光性フィルム(A層)の平均透過率が高く、紫外線照射した際の伸度保持率が低いため、裏面保護シートとして、A層側から紫外線照射した際の伸度保持率が低かったが、実用上問題ないものであった。
(比較例1)
ポリエステルフィルム(B層)におけるB2層/B1層/B2層のフィルム層厚さ比を10:105:10となるようにし、巻き取り厚さを125μmとした以外は実施例1と同様にポリエステルフィルム(B層)を得た。B1層の空洞率は35%であった。さらに、実施例1と同様の手順で太陽電池モジュール用裏面保護シートとした。その評価結果を表1に示す。
太陽電池モジュール用裏面保護シートの厚みが170μmとなり、部分放電電圧が1000V未達であった。
(比較例2)
ポリエステルフィルム(B層)のB1層として、ポリエチレンテレフタレートを80質量部と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を5質量部と、全ジカルボン酸単位またはジオール単位中イソフタル酸を10mol%と分子量1000のポリエチレングリコール5mol%が共重合されたポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/I/PEG)を10質量部と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン5質量部とした以外は実施例1と同様に巻き取り厚さが160μmのポリエステルフィルム(B層)を得た。B1層の空洞率は8%であった。さらに、実施例1と同様の手順で太陽電池モジュール用裏面保護シートとした。その評価結果を表1に示す。
B1層の空洞率が低いため、単位厚さあたりの部分放電電圧が低くなり、裏面保護シートの部分放電電圧が1000V未達であった。
(比較例3)
耐光性フィルム(A層)を積層させなかった以外は、実施例2と同様の手順で太陽電池モジュール用裏面保護シートとした。その評価結果を表1に示す。
ポリエステルフィルム(B層)は難燃性試験においてVTM−2の基準を満足せず、また裏面保護シートのB層側から紫外線照射した際の伸度保持率が低く、実用上の問題があった。
本発明の太陽電池モジュール用裏面保護シートによれば、高い部分放電電圧を示し、長期間にわたり屋外使用する際に、十分な絶縁性を有する太陽電池モジュール用裏面保護シートを提供することができる。
10:太陽電池モジュール用裏面保護シート
11:耐光性フィルム(A層)
12;白色化剤が添加された樹脂層(A1層)
13:A1層と共押し出し成形される樹脂層(A2層)
14:ポリエステルフィルム(B層)
15:空洞を含むポリエステル樹脂層(B1層)
16:B1層と共押し出し成形される樹脂層(B2層)
17:易接着性樹脂層(C層)
18:接着剤
22:封止材シート1
23:封止材シート2
24:ガラス板
25:配線を配設した光起電力素子としての太陽発電素子
32:封止材シート1
33:封止材シート2
34:ガラス板
35:離型フィルム

Claims (7)

  1. 耐光性フィルム(A層)、ポリエステルフィルム(B層)、および易接着性樹脂層(C層)をこの順に有し、
    B層は、内部に10〜50%の空洞を含むポリエステル樹脂層(B1層)を少なくとも1層含み、
    C層は、太陽電池素子を保持固定する封止材と40N/cm以上の密着強度を有し、
    A層側から積算量300kWh/mの紫外線を照射後の伸度保持率が60%以上であり、
    厚さが180μm以上であり、部分放電電圧が1000V以上である太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  2. 前記耐光性フィルム(A層)の波長300〜400nmにおける平均透過率が1%以下であり、積算量300kWh/mの紫外線を照射後の伸度保持率が50%以上である請求項1に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  3. 前記耐光性フィルム(A層)が耐光性ポリエステルフィルムであって、白色化剤が添加されたポリエステル樹脂層を少なくとも1層含むことを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  4. 前記耐光性フィルム(A層)が耐光性フッ素フィルムであって、白色化剤が添加されたフッ素樹脂層を少なくとも1層含むことを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  5. 前記耐光性フィルム(A層)の相対温度指数(Relative Thermal Index)が105℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  6. 前記耐光性フィルム(A層)が、太陽電池モジュール用の安全規格UL94における難燃性を示すVTM−2規格以上の難燃性を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
  7. 前記易接着性樹脂層(C層)側から測定した波長400nm〜1200nmにおける平均相対反射率が85%以上105%以下であることを特徴とする請求項1〜6に記載の太陽電池モジュール用裏面保護シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021003762A1 (zh) * 2019-07-09 2021-01-14 山东光韵智能科技有限公司 一种高紫外光矿野用高能太阳能电池板及其制造方法

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