JP6519234B2 - 太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール用バックシートおよび太陽電池モジュール Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池モジュール用バックシート、その太陽電池モジュール用バックシートと裏側封止材の積層体、および太陽電池モジュールに関するものである。
近年、二酸化炭素の増加による温室効果で地球の温暖化が生じることが予測され、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーの要求が高まっている。このような状況下で、太陽電池モジュールを利用した太陽光発電は、安全性と汎用性の高さから非常に注目されている。一般に、太陽電池モジュールは、受光面側から順にカバー材、表側封止材、光電変換を行う太陽電池セル、裏側封止材、およびバックシートが積層され、概略構成されている。
従来の太陽電池モジュール用バックシートにおいては、太陽電池セル同士の間を通過した光をバックシートで反射させ、セルに取り込むことにより太陽電池モジュールの効率を向上させる技術が開発されている。具体的に、基材表面に白色ビーズと白色バインダーにより反射層を形成し、モジュール効率を向上させる技術(特許文献1参照。)や、空洞を含む層を形成することにより高反射のバックシートを提供する技術(特許文献2参照。)が提案されている。
特開2012−84670号公報 特許第4766192号公報
しかしながら、特許文献1のように、基材表面に白色ビーズと白色バインダーにより反射層を形成する提案では、白色ビーズを使用することにより生産性が低下し、かつ白色ビーズ内の粒子が存在しない部分において光が透過し、反射率が低下するという課題がある。また、特許文献2のように、空洞を含む層を形成することにより高反射のバックシートとする提案では、この空洞量では、太陽電池モジュールの発電効率向上にはなお不十分であるという課題がある。
そこで本発明の目的は、これら従来技術の不具合に鑑みてなされたものであり、高拡散と高反射を併せ持つことにより発電効率が向上し、しかも生産性および低コスト性に優れた太陽電池モジュール用バックシートを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決せんとするものであり、本発明の太陽電池モジュール用バックシートは、拡散層と反射層の2層を有する太陽電池モジュール用バックシートであって、前記の拡散層は無機粒子を含み、かつ厚みが12μm以上であり、前記の反射層は空洞を含み、バックシート、封止材、及び金属ワイヤーを積層し、150℃の環境下で100kPaでプレスした場合に、プレス前後の厚みの変化率(「プレス前の厚み−プレス後の厚み」/「プレス前の厚み」×100)が20%以下であることを特徴とする太陽電池モジュール用バックシートである。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートの好ましい態様によれば、前記の反射層は、ポリエステル樹脂100質量部に対し、非相溶ポリマーを10質量部〜50質量部含むポリエステル樹脂組成物からなることである。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートの好ましい態様によれば、前記の拡散層は、前記の拡散層の全成分100質量%中に無機粒子を15質量%〜80質量%含むことである。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートの好ましい態様によれば、前記の拡散層と前記の反射層は、他の層を介さずに、直接積層されていることである。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートの好ましい態様によれば、前記の拡散層と前記の反射層は、接着層を介して積層されていることである。
本発明の太陽電池モジュールは、前記の拡散層が前記の裏側封止材と前記の反射層の間に配置されており、そして、カバー材、表側封止材、太陽電池セル、裏側封止材、および前記のいずれかに記載の太陽電池モジュール用バックシートがこの順に積層され、加熱されることにより得られるものである。
本発明の積層体は、前記のいずれかに記載の太陽電池モジュール用バックシートと裏側封止材の積層体であって、前記の拡散層が裏側封止材と反射層の間に配置されるように積層されてなる積層体である。
本発明によれば、無機粒子を含有した拡散層と空洞による反射層を併せ持つことにより、最大で1.0%太陽電池モジュールの発電量が向上し、しかも生産性および低コスト性に優れた太陽電池モジュール用バックシートが得られる。
図1は、本発明の太陽電池モジュールの一例を示す断面図である。 図2は、本発明の太陽電池モジュール用バックシートの一例を示す断面図である。 図3は、本発明の太陽電池モジュール用バックシートと裏側封止材の積層体の一例を示す断面図である。 図4は、本発明のバックシートのプレス前後の厚みを測定する際の測定方法の一例を示す断面図である。
次に、本発明の太陽電池モジュール用バックシートと太陽電池モジュールの実施の形態について詳細に説明する。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートは、拡散層と反射層の2層を有する太陽電池モジュール用バックシートであって、前記の拡散層は無機粒子を含み、かつ厚みが12μm以上であり、また前記の反射層は空洞を含むことを特徴とする太陽電池モジュール用バックシートである。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートにおいては、拡散層と反射層の両層を有することが重要である。太陽電池モジュール用バックシートが拡散層だけを有する場合には十分な反射特性が得られないため、太陽電池セルに入光する光が不十分となる。また、太陽電池モジュール用バックシートが反射層のみを有する場合は、カバー材や封止材との界面から形成される反射角度が不十分となるため、反射光がカバー材と封止材を透過してセルに入光することができない。
前記の拡散層に含まれる無機粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、アルミナ、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム、およびフッ化カルシウム等などを用いることが可能である。これらの中でも、耐候性および拡散性などの観点から酸化チタンを用いることが好ましい態様である。
酸化チタンとしては、例えば、アナタース型酸化チタンおよびルチル型酸化チタンのような結晶型の酸化チタンを挙げることができる。用いられるポリエステルとの屈折率の差を大きくするという観点からは、屈折率が2.7以上の酸化チタンであることが好ましく、例えば、ルチル型酸化チタンを用いることが特に好ましい。
さらに、酸化チタンの中でも純度の高い高純度酸化チタンを用いることが特に好ましい態様である。ここで、高純度酸化チタンとは、可視光に対する光吸収能が小さい酸化チタン、すなわち、バナジウム、鉄、ニオブ、銅およびマンガン等の着色元素の含有量が少ない酸化チタンの意である。
本発明では、酸化チタンに含まれるバナジウムの含有量が5ppm(質量基準)以下である酸化チタンを、高純度酸化チタンと称すことにする。高純度酸化チタンとしては、例えば、塩素法プロセスにより製造される酸化チタンを挙げることができる。塩素法プロセスでは、酸化チタンを主成分とするルチル鉱を1000℃程度の高温炉で塩素ガスと反応させて、まず、四塩化チタンを生成させる。次いで、この四塩化チタンを酸素で燃焼することにより、高純度酸化チタンを得ることができる。
酸化チタンの工業的な製造方法としては硫酸法プロセスもあるが、この方法によって得られる酸化チタンには、バナジウム、鉄、銅、マンガンおよびニオブ等の着色元素が多く含まれるので、可視光に対する光吸収能が大きくなる。従って、硫酸法プロセスでは高純度酸化チタンは得られ難い。
また、本発明の実施形態で用いられる酸化チタン(高純度酸化チタン)は、表面をシリカ、アルミナおよびジルコニアからなる群の中から選ばれた少なくとも一種類の不活性無機酸化物で被覆処理されていると、フィルムの耐光性が高まり、酸化チタンの光触媒活性が抑制され、酸化チタンの高い光反射性を損なうことがない。さらに、二種類あるいは三種類の不活性無機酸化物を併用して被覆処理された酸化チタンがより好ましく用いられ、中でもシリカを必須とする複数の不活性無機酸化物の組み合わせが特に好ましい態様である。
無機粒子のポリエステル樹脂への分散性を向上させるために、無機粒子の表面に、シリコン系化合物、多価アルコール系化合物、アミン系化合物、脂肪酸および脂肪酸エステル等で表面処理を施した無機粒子を使用することができる。
表面処理剤としては、例えば、シロキサン化合物およびシランカップリング剤等から選ばれた少なくとも一種類の無機化合物を用いることができ、これらを組み合わせて用いることもできる。さらに、シロキサン化合物、シランカップリング剤、ポリオールおよびポリエチレングリコールからなる群から選ばれた少なくとも一種の有機化合物等を用いることができる。また、これらの無機化合物と有機化合物とを組み合わせて用いることもできる。
本発明で用いられる無機粒子は、その数平均二次粒径が0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上3μm以下である。数平均二次粒径が0.05μm以上であれば、拡散層への分散性が低下することがないので、均質なフィルムが得られる。また、粒径が7μm以下であれば、形成される空隙が粗くなることはなく、高い反射率のフィルムが得られる。
拡散層の厚みは、拡散層に拡散性を持たせるために12μm以上であることが必要である。また、拡散層の厚みは、発電効率向上の観点から20μm以上であることがより好ましい態様である。拡散層の厚みが12μm未満の場合は、拡散効果が不十分となり、発電効率の向上が不十分となる。拡散層の厚みの上限に特に制約はないが、生産性と、拡散性能がある厚み以上あっても効果がないことから188μm以下であることが好ましい。また、拡散層の厚みを厚くすることで、太陽電池モジュール生産時の熱プレス工程におけるプレス前後の厚みの変化率を小さくすることが可能となる。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートにおいては、前記の反射層は、空洞を含むことが必要である。反射層とその反射層内部の空洞との屈折率差により、太陽電池モジュール用バックシートに入射した光を効率的に反射することが可能である。
前記の反射層は、ポリエステル樹脂と非相溶ポリマーを含むポリエステル樹脂組成物から構成されることが好ましい。ポリエステル樹脂中に、非相溶ポリマーを細かく分散させ、それを延伸(例えば、二軸延伸)することにより、この非相溶ポリマーの周りに空洞が形成され、空洞とポリエステル樹脂との屈折率差により、その界面において入射してきた光は反射するためフィルムは白色化し、高い反射率を得ることが可能となる。
前記の空洞は、連続でも不連続でもかまわないが、不連続な空洞であることが好ましい。不連続な空洞であれば、機械強度の低下を抑制しながら空洞を形成することが可能である。
また、前記の空洞の反射層の断面方向に占める面積の割合は10%〜50%であることが好ましく、より好ましくは20%〜40%である。空洞の反射層の断面方向に占める面積の割合を低くすることで、機械強度の低下を抑制することが可能となり、高くすることで反射率を向上させることが可能である。
前記の反射層が高い反射率を得るためには、反射層の厚みは50μm以上であることが好ましく、より好ましくは75μm以上であり、さらに好ましくは125μm以上である。前記の反射層の厚みに上限は特にないが、反射性能がある厚み以上あっても効果がないことから300μm未満であることが好ましい。
本発明で用いられるポリエステル樹脂は、ジオールとジカルボン酸、あるいは、ヒドロキシカルボン酸、あるいはそれらの誘導体とから縮重合によって得られるポリマーである。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸およびセバシン酸などで代表されるものである。また、ジオールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。
ポリエステル樹脂としては、具体的には、例えば、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。本発明においては、特にポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが好ましく用いられる。また、ポリエチレンテレフタレートは、耐水性、耐久性および耐薬品性などに優れており、最も好ましく用いられる。
これらのポリエステル樹脂は、ホモポリエステルであっても、コポリエステルであっても良く、共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコールおよびポリアルキレングリコールなどのジオール成分等が挙げられ、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸および5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸成分等が挙げられる。
また、このポリエステル樹脂の中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤および帯電防止剤などが添加することができる。
本発明で用いられる非相溶ポリマーとしては、例えば、ポリ−3−メチルフテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルロールトリアセテート、セルロールトリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、非晶ポリオレフィン、環状オレフィン共重合樹脂およびポリクロロトリフルオロエチレンなどから選ばれた融点180℃以上のポリマーであるが挙げられる。
中でも、ポリエステル樹脂母材に対する非相溶ポリマーとしては、ポリオレフィン、特にポリメチルペンテンおよび環状オレフィンが好ましく用いられる。環状オレフィン共重合樹脂とは、エチレンとビシクロアルケンおよびトリシクロアルケンからなる群から選ばれた少なくとも1種の環状オレフィンとからなる共重合体である。
反射層においては、これらのポリエステル樹脂と非相溶ポリマーとが、それぞれ、ポリエステル樹脂100質量部に対し、非相溶ポリマーを10質量部〜50質量部含むポリエステル樹脂組成物からなることが好ましい態様である。より好ましくは、10質量部以上30質量部以下であり、更に好ましくは10質量部以上25質量部以下である。非相溶ポリマーの添加量を多くすることで高い反射率を得ることが可能となり、添加量を減らすことで機械強度の低下を抑制し、生産性を向上させると同時に、太陽電池モジュール生産時の熱プレス工程におけるプレス前後の厚みの変化率を小さくすることが可能となる。
光学特性との関係については、非相溶ポリマーの添加量を増加させるにつれて、空洞核が増加し空洞層数が増加することから、反射率が向上し高輝度に貢献する。
非相溶ポリマーを分散させるには、分散助剤を添加することが有効である。分散助剤とは、分散を促進させる効果を持つ化合物のことであり、次に挙げるような化合物にその効果が認められる。
すなわち、分散助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノール共重合体、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、さらにはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホネートナトリウム塩、グリセリンモノステアレート、テトラブチルホスホニウム、およびパラアミノベンゼンスルホネートなどが挙げられる。
本発明で使用される分散助剤としては、特にポリアルキレングリコールが好ましく、中でもポリエチレングリコールが好ましく用いられる。また、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合体なども、非相溶ポリマーの分散性を向上させるために好ましく用いられる。
分散助剤の添加量としては、非相溶ポリマーを含有するその層全体を100質量%として、3質量%以上40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以上25質量%以下であることが好ましい。分散助剤の添加量を多くすることで非相溶ポリマーの分散性を向上させることが可能であり、添加量を少なくすることでフィルム母材本来の特性を損なうことなく使用することが可能となる。
このような分散助剤は、予めフィルム母材ポリマー中に添加してマスターポリマ(マスターチップ)として調整することが可能である。光学特性との関係については、分散助剤を添加し、3質量%以上40質量%以下の領域までは、分散径が極度に小径化することから、同厚み当たりのボイド層数が増加し反射率が向上し、太陽電池モジュールの高効率化に寄与する。同時に、太陽電池モジュール生産時の熱プレス工程におけるプレス前後の厚みの変化率を小さくすることが可能となる。分散助剤の添加が40質量%より大きい領域では、添加量を増加させても分散径は、小径化しないことがあり添加しても効果がないことがある。
前記の拡散層に含まれる無機粒子は、拡散層全成分100質量%中に無機粒子が15質量%〜80質量%含まれていることが好ましい態様である。無機粒子量を増やすことで拡散性能を高めることが可能となり、無機粒子量を減らすことで拡散層の母材の特性を損なうことなく使用することが可能となる。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートは、バックシート、封止材、及び金属ワイヤーを積層し、150℃の環境下で100kPaでプレスした場合に、プレス前後の厚みの変化率(「プレス前の厚み−プレス後の厚み」/「プレス前の厚み」×100)が20%以下であることが好ましい。プレス前後の厚みの変化率を20%以下に抑えることで、太陽電池モジュール製造時において、モジュール内部の金属導電部などに接触し、バックシートを押し当てられた際に変形量が少なく、厚み減少による絶縁性の低下を少なくすることができる。厚み変化率は、小さければ小さいほど絶縁性の低下を抑制することが可能であり、より好ましくは10%以下である。
なお、プレス前後の厚みの変化率を20%以下に抑えるためには、例えば反射層中に前述の分散助剤を含有させる方法を挙げることができる。
前記の拡散層と前記の反射層は、光安定剤を含むことが好ましく、光安定剤の含有量は、拡散層あるいは反射層全成分の100質量%中に、0.1〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%であり、更に好ましくは1〜5質量%である。光安定剤の含有量を増やすことで耐候性を向上することが可能となり、含有量を減らすことで光安定剤の着色による影響を抑制することが可能となる。
本発明で用いられる光安定剤は、耐熱性に優れ、前述のポリエステル樹脂との相溶性が良く均一分散できると共に、着色が少なくポリエステル樹脂および反射層の反射特性に悪影響を及ぼさないものを選択することが望ましい。光安定剤としては、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系およびトリアジン系等の紫外線吸収剤や、ヒンダードアミン系等の紫外線安定剤の各種の光安定剤が適用可能である。より具体的な適用例は、次のとおりである。
(紫外線吸収剤)
・サリチル酸系紫外線吸収剤:p−t−ブチルフェニルサリシレートおよびp−オクチルフェニルサリシレート。
・ベンゾフェノン系紫外線吸収剤:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2’−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンおよびビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン。
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2(2’ヒロドキシ−5’−メタアクリロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールおよび2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’メチルフェニル]ベンゾトリアゾール。
・シアノアクリレート系紫外線吸収剤:エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート。
・トリアジン系紫外線吸収剤: 2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンおよび2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン。
・上記以外の紫外線吸収剤:2−エトキシ−2’−エチルオキザックアシッドビスアニリド、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールおよび2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニル。
(紫外線安定剤)
・ヒンダードアミン系紫外線安定剤:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケートおよびコハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物。
・上記以外の紫外線安定剤:ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、[2−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)]−n−ブチルアミンニッケル、ニッケルコンプレックス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸モノエチレート、ニッケル−ジブチルジチオカーバメート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートおよび2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ハイドロキシベンゾエート。
これらの光安定剤の中でも、ポリエステル樹脂との相溶性に優れている2,2’−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールの適用が好ましい。
上記の光安定剤の適用は、単独でも2種以上の併用であっても良く、特に好ましくは、トリアジン誘導体が性能面で優れている。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートにおいて、前記の拡散層と前記の反射層が、他の層を介さずに直接積層することが、本発明のひとつの好ましい態様である。太陽電池モジュール用バックシートの製造方法として、例えば、拡散層と反射層の原料をそれぞれ別の押出機に投入し、Tダイからシート状に押し出す工程を含む製造方法(共押出法)、単膜で作製したシートに被覆層原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、および溶媒に溶解させたものを塗布・乾燥する方法(コーティング法)などが挙げられるが、拡散層を構成する樹脂がポリエステルの場合は共押出法であり、融点が150℃未満の、例えば、ポリエチレンなどの低融点ポリマーの場合は溶融ラミネート法であり、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールおよびポリシリケートなどのコーティング用樹脂を使用する場合は、コーティング法が好ましく用いられる。
次に、本発明において、反射層と拡散層の上記の積層方法について具体的に説明する。
(共押出法)
非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテンを用い、分散助剤としてポリエチレングリコール、およびポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコール共重合物を用い、これらをポリエチレンテレフタレートに混合し、それを十分混合し乾燥させて、270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに供給する。別に、酸化チタンなどの無機粒子を含むポリエチレンテレフタレートを押出機Bに供給し、Tダイ2層口金内で、押出機Aと押出機Bからのポリマーをそれぞれ1層ずつ押し出すことにより、反射層と拡散層が積層されたシートとすることが可能である。
このようにして溶融され積層されたシートを、ドラム表面温度が10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気力によって密着冷却固化して未延伸フィルムとし、得られた未延伸フィルムを80〜120℃の温度に加熱したロール群に導き、長手方向に2.0〜5.0倍で縦延伸し、次いで20〜50℃の温度のロール群で冷却する。続いて、縦延伸されたフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、90〜140℃の温度に加熱された雰囲気中で、長手に垂直な方向に横延伸する。延伸倍率は、縦と横それぞれ2.5〜4.5倍に延伸するが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜16倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満では得られるフィルムの白さが不良となり、逆に、面積倍率が16倍を超えると延伸時に破れを生じやすくなり、製膜性が不良となる傾向がある。このようして二軸延伸されたフィルムの平面性と寸法安定性を付与するために、テンター内で150〜230℃の温度で熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り、本発明の太陽電池モジュール用バックシートを得る。
(溶融ラミネート法)
拡散層として、酸化チタンなどの無機粒子を含むポリエチレンを200℃の温度に加熱された押出機Cに供給し、Tダイ口金から、前記の共押出法の押出機Bの供給樹脂を押出機Aと同一にしたこと以外は、共押出法と同様にして得られる反射層の上に吐出することにより積層され冷却して巻き取り、本発明の太陽電池モジュール用バックシートを得る。
(コーティング法)
前記の共押出法の押出機Bの供給樹脂を押出機Aと同一にしたこと以外、共押出法と同様にして得られる反射層に、グラビアコーターによって、事前に調合された酸化チタンなど無機粒子を含むアクリルポリオールとイソシアネートを塗布し、乾燥することにより拡散層を形成し、本発明の太陽電池モジュール用バックシートを得る。
本発明では、前記の拡散層と前記の反射層が、接着層を介して積層することも可能である。接着層を介して積層する方法としては、例えば、<ドライラミネート法>などが挙げられる。
上記の接着層を構成するドライラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチルおよび2−エチルヘキシルエステルなどのホモポリマー、あるいはこれらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリルおよびスチレンなどとの共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸およびメタクリル酸などのモノマーとの共重合体などからなるエチレン共重合体系接着剤、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂などからなるポリオレフィン系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレンおよびイソプレンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケートおよび低融点ガラス等からなる無機系接着剤等の接着剤を用いることができる。また、これらの接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型および分散型等のいずれの形態でも良く、さらに、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型および熱圧型等のいずれの形態の接着剤も用いることができる。
本発明においては、高耐熱性と耐湿熱性等に優れた接着剤を得るために、硬化剤または架橋剤を含ませることにより、上記の接着剤を架橋させることが好ましい。このような硬化剤または架橋剤としては、脂肪族系と脂環系のイソシアネート、あるいは、芳香族系イソシアネート等のイソシアネート系化合物を用いることができる。より具体的には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、およびキシリレンジイソシアネート(XDI)等を例示することができる。
上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、およびその他等のコート法、あるいは印刷法等によって、反射層と拡散層のどちらかにコーティングして用いることができる。接着剤のコーティング量は、0.1g/m〜10g/m(乾燥状態)の範囲内であることが好ましい。
上記の接着剤中には、紫外線劣化などを防止するために、前述の紫外線吸収剤あるいいは光安定化剤を添加することができる。上記の紫外線吸収剤あるいは光安定化剤としては、前述の紫外線吸収剤の1種ないしはそれ以上、あるいは、光安定化剤の1種ないしはそれ以上を同様に使用することができる。その使用量としては、その粒子形状、密度などによって異なるが、上記の接着剤成分100質量%中に、0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
次に、本発明の反射層と拡散層が接着層を介する積層方法について説明する。
反射層として、前記の共押出法の押出機Bの供給樹脂を押出機Aと同一にしたこと以外、共押出法と同様にして得られる反射層に接着層を形成するための接着剤を塗布し、拡散層として酸化チタンなどの無機粒子を含むフィルムをラミネートし、本発明の太陽電池モジュール用バックシートを得ることができる。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートの厚みは、25μm〜500μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは50μm〜300μmの範囲である。厚みが25μmより薄いと、反射層の反射性能と拡散層の拡散性能の効果が不十分となり発電量の向上が不足する懸念がある。また、厚みが500μmより厚いと、生産性が悪化し、太陽電池モジュール用バックシートの重量が重くなってしまうという懸念がある。
本発明の太陽電池モジュールは、前記の拡散層が、裏側封止材と反射層の間に配置されており、そして、カバー材、表側封止材、太陽電池セル、裏側封止材、および本発明の前述の太陽電池モジュール用バックシートの順に積層され、加熱され得られる。
本発明において、上記の各材料を積層し加熱する方法については、具体的には大気圧の状態で封止材の融点以上の温度環境下で、加圧することにより熱圧着する方法や、真空状態で封止材の融点以上の温度環境下で、加圧することにより熱圧着する方法などが挙げられるが、太陽電池モジュール内の気泡発生を抑制する観点から、真空状態で加圧し熱圧着することが好ましい態様である。
本発明の太陽電池モジュールや本発明の積層体においては、前記の拡散層が裏側封止材と反射層の間に配置されることにより、太陽電池セルの隙間を通過し、反射層で反射された光をより効率的に太陽電池セルに入射することが可能となる。
本発明の太陽電池モジュールの概略構成を図1に、太陽電池モジュール用バックシートの概略構成を図2に、太陽電池モジュール用バックシートと裏側封止材の積層体の概略構成を図3に、それぞれ示す。
図1において、太陽電池モジュール1は、カバー材7、表側封止材6、太陽電池セル8、裏側封止材5、および本発明の前述の2太陽電池モジュール用バックシート2の順に積層され、加熱され得られる。太陽電池セル8は1枚あるいは複数枚が直列、または並列に導電材料を用いて接続されており、表側封止材6と裏側封止材5の間に隣り合う太陽電池セル8同士の間に隙間ができるように設置される。
図2において、太陽電池モジュール用バックシート2には、拡散層3と反射層4が積層されており、図1および図2に示されるように拡散層3は裏側封止材5と反射層4の間に位置することが重要である。拡散層3と反射層4は直接積層されていても、他の層を介して積層されていても良い。
太陽電池モジュール用バックシートと裏側封止材の積層体9は通常、太陽電池モジュール1を作製する際に積層される裏側封止材5と太陽電池モジュール用バックシート2を、事前に積層することにより得られるものである。太陽電池モジュール用バックシートと裏側封止材の積層体9は、拡散層3が裏側封止材5と反射層4の間に位置することが重要である。拡散層3と裏側封止材5は直接積層されていても、他の層を介して積層されていても良く、また、拡散層3と反射層4は直接積層されていても、他の層を介して積層されていても良い。
本発明で用いられるカバー材は、太陽電池モジュールの最表面に位置する材料であり、太陽光が直接照射される部分である。カバー材には、太陽光に対する透過性と、電気絶縁性や積雪や風圧などに対する機械的強度、酸性雨や長期の温度、湿度および紫外線などに対する耐候性、および砂塵や太陽電池モジュール施工の際の耐傷付性などが要求される。
カバー材の材料としては、ガラスおよび樹脂成形品が用いられることが多く、樹脂成形品としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリル、ポリカーボネート、ポリエステルおよびフッ素樹脂などが挙げられる。これらの材料の中でも、カバー材としては、強度と耐候性の観点からガラスとポリカーボネートが好ましく用いられる。
カバー材の厚さについては、50μm以上10cm以下の範囲であることが好ましい。厚みが50μmより薄いと機械的強度が不足する懸念があり、また、厚みが10cmより厚いと重量が重くなってしまい、太陽電池モジュールを設置する際の施工性が悪化する懸念がある。
太陽電池モジュールに用いられる封止材としては、例えば、アイオノマー樹脂、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂)、ポリビニルブチラール、シリコン樹脂、ポリウレタンおよび変性ポリオレフィンなどが挙げられる。これらの中では、耐候性や他部材との密着性および部材コストの観点からEVAが好ましく用いられる。
表側封止材と裏側封止材の厚みは、200μm以上1cm以下の範囲であることが好ましい。封止材の厚みが200μmより薄いと積載、加熱する際の圧力で太陽電池セルが割れてしまう懸念があり、また、厚みが1cmより厚いと重量が重くなってしまい、太陽電池モジュールを設置する際の施工性が悪化する懸念がある。
太陽電池セルとは、太陽光からの光エネルギーを電気エネルギーに変換する光起電力素子であり、表側封止材と裏側封止材の間に太陽電池セル同士が隙間を空けて直列または並列に接続されて配列されている。太陽電池セルとしては、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、化合物型、および有機薄膜型などがあり、どの種類の太陽電池セルに対しても、本発明の太陽電池モジュール用バックシートは好適に使用することが可能である。
本発明の太陽電池モジュール用バックシートと裏側封止材の積層体を構成する場合は、前記の拡散層が裏側封止材と反射層の間に配置されるように積層されることが好ましい。前記の拡散層が裏側封止材と反射層の間に配置されることにより、太陽電池セルの隙間を通過し、反射層で反射された光をより効率的に太陽電池セルに入射することが可能となる。
カバー材、表側封止材、太陽電池セル、裏側封止材、および本発明の前述の太陽電池モジュール用バックシートの順に積層された太陽電池モジュールのカバー材表面からバックシート表面までの厚みは、475μm以上12.5cm以下の範囲であることが好ましい。厚みが475μmより薄い場合は、機械強度が不十分となる懸念があり、また、厚みが12.5cmより厚いと重量が重くなってしまい、太陽電池モジュールを設置する際の施工性が悪化する懸念がある。
<特性の評価方法>
(1)バックシートの厚みと各層の厚み:
太陽電池モジュール用バックシートの厚みは、JIS C2151:2006に準じて測定した。バックシートを、ミクロトームを用いて厚み方向に切断し、切片サンプルを得た。その切片サンプルの断面を、日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用いて、3000倍の倍率で3点撮像し、3点の撮像から層の厚みの平均値を採寸し各層の厚みと各層の厚みの合計である総厚みを算出した。
(2)反射層の空洞有無の確認と空洞連続性、空洞の反射層の断面方向に占める面積の割合:
反射層の空洞の有無と空洞連続性は、反射層を、ミクロトームを用いて厚み方向に切断し、得られたサンプルの断面を、日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用いて、3000倍の倍率で3点撮像し、下記の基準で評価し、○がより好ましく、○と△を合格とした。
・空洞が有り、不連続:○
・空洞が有り、連続:△
・空洞が無い:×
また、空洞の反射層の断面方向に占める面積の割合は3点の撮像の平均値から空洞の反射層の断面方向に占める面積の割合を、次の式に従い算出した。
・空洞の反射層の断面方向に占める面積の割合
=視野内の空洞の面積/視野内の反射層の面積。
(3)プレス前後の厚みの変化率
プレス前後の厚みの変化率の測定は、真空ラミネータによる熱プレス前後の金属ワイヤー積層部におけるバックシートの厚みを測定することで求めた。熱プレスは、真空ラミネータの熱板の上に、カバー材として190mm×190mmのガラス(旭硝子社製太陽電池用3.2mm厚白板熱処理ガラス)及び190mm×190mmの離形フィルム(東レフィルム加工社製25μm“セラピール”(登録商標)WZ)、金属ワイヤーとして直径0.8mm、長さ100mmの半田線(半田組成がSn:60質量%、Pb:40質量%)、裏側封止材として、190mm×190mmのエチレンビニルアセテート(エチレンビニルアセテート100質量%中のビニルアセテート含有量が28質量%で、0.5mm厚の封止材)、190mm×190mmのバックシートをこの順に重ねて積層した状態で、熱板設定温度を150℃として4分間真空に引き、その後100kPaで10分間プレスした。プレスされた積層体から、ガラス、離形フィルム、及び金属ワイヤーを取り除き、得られた裏側封止材とバックシートの積層体を、ミクロトームを用いて厚み方向に切断し、切片サンプルを得た。その切片サンプルの断面を、日立製作所製電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)S−800を用いて、500倍の倍率で最もバックシートの厚みが薄くなっている部分を撮像し、プレス後の厚みを算出した。
得られたプレス後の厚みと、プレス前の厚みとして(1)で測定されたバックシートの厚みを以下の式に従い算出し、得られたプレス前後の厚みの変化率を以下の基準で評価し、○を合格とした。
・プレス前後の厚みの変化率=
(プレス前の厚み−プレス後の厚み)/プレス前の厚み×100
○:プレス前後の厚みの変化率が20%以下
△:プレス前後の厚みの変化率が20%を超えて40%以下
×:プレス前後の厚みの変化率が40%を超える
(4)平均相対反射率:
バックシートを5cm×5cmで切り出した。島津製作所製分光光度計(UV−3150 UV−VIS−NIR Spectrophotometer)に付属の積分球を用いた基本構成で400nm〜1200nmにおける平均相対反射率の測定を行った。測定は、装置付属の硫酸バリウムの副白板を基準とし、測定条件としてスリットは12nmとし、サンプリングピッチは1nmとし、スキャンスピードは高速で測定した。また、測定光の入射面が拡散層側となるようにサンプルを配置して測定を実施した。
(5)反射層製膜安定性:
反射層を安定に製膜することができるか、下記の基準で評価し、○を合格とした。
○:24時間以上安定に製膜できる。
△:12時間以上24時間未満安定に製膜できる。
×:12時間以内に破断が発生し、安定な製膜ができない。
(6)モジュール化による発電向上率:
多結晶シリコン型太陽電池セル「ジンテック社製G156M3」の表面と裏面の銀電極部分に、フラックス「HOZAN社製H722」をディスペンサーで塗布し、表面と裏面の銀電極の上に、155mmの長さに切断した配線材「日立電線社製銅箔SSA−SPS0.2×1.5(20)」を、表面側のセルの片端から10mm離れたところが配線材の端に、そして裏面側は表面側と対称になるように乗せ、半田ごてを用いて、セル裏面側から半田ごてを接触させて表面と裏面を同時に半田溶着し、1セルストリングスを作製した。
次に、作製した1セルストリングスのセルから飛び出している前記の配線材の長手方向と、180mmに切断した取り出し電極「日立電線社製銅箔A−SPS0.23×6.0」の長手方向が垂直になるよう置き、前記の配線材と取り出し電極が重なる部分に前記のフラックスを塗布して半田溶着を行い、取り出し電極付きストリングスを作製した。この時点において、JIS C8914:2005の基準状態に準じて短絡電流の測定を実施し、セル単体の発電性能とした。
次に、カバー材として190mm×190mmのガラス(旭硝子社製太陽電池用3.2mm厚白板熱処理ガラス)と、表側封止材として190mm×190mmのエチレンビニルアセテート(サンビック社製封止材0.5mm厚)と、セル単体の発電性能評価を実施した取り出し電極付きストリングスと、裏側封止材として190mm×190mmのエチレンビニルアセテート(サンビック社製封止材0.5mm厚)と、拡散層がエチレンビニルアセテートと反射層の間に位置する向きになるよう設置された、190mm×190mmに裁断したバックシートの順に積層し、該ガラスを真空ラミネータの熱板と接触するようにセットし、熱板温度145℃、真空引き4分、プレス1分および保持時間10分の条件で、真空ラミネートを行い太陽電池モジュールを得た。このとき、取り出し電極付きストリングスはガラス面がセル表面側になるようにセットした。得られた太陽電池モジュールを、JIS C8914:2005の基準状態に準じて測定した短絡電流の測定を実施し、モジュール化後の発電性能とした。
このようにして得られたセル単体の発電性能とモジュール化後の発電性能から、次の式に従い、モジュール化による性能向上率を算出した。
・モジュール化による発電向上率(%)=(モジュール化後の発電性能/セル単体の発電性能−1)×100(%)
(7)テープ剥離:
バックシートの拡散層側に、ニチバン社製“セロテープ”(登録商標)LP−15を張り合わせ、JIS Z0237:2009に準じてテープを剥離し、剥離したテープのサンプル密着面の状態を確認し、無機粒子の付着有無を目視で確認した。
次に、本発明について実施例を用いて説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例により限定して解釈されるものではない。なお、実施例2,3,9,10は順に参考例1〜4とする。
[実施例1]
反射層材料として、ポリエチレンテレフタレートを75質量部と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を5質量部と、全ジカルボン酸単位またはジオール単位中イソフタル酸を10mol%と分子量1000のポリエチレングリコール5mol%が共重合されたポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/I/PEG)を10質量部と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン10質量部とを、調整混合し、180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに供給した(反射層)。
一方、拡散層材料として、ポリエチレンテレフタレートのチップ70質量部と、無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン50質量%を分散させたポリエチレンテレフタレートマスターチップ(マスターチップ総量に対して二酸化チタン50質量%含有)を30質量部とを、180℃の温度で3時間真空乾燥した後、280℃の温度に加熱された押出機Aに供給し(拡散層)、これらのポリマーを、拡散層/反射層/拡散層となり、フィルム層の厚み比で12:126:12となるように積層装置を通して積層し、Tダイからシート状に成形しフィルムを得た。さらに、このフィルムを、表面温度が25℃の冷却ドラムで冷却固化して得られた未延伸フィルムを、85〜98℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、21℃の温度のロール群で冷却した。続いて、このようにして得られた縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃の温度に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後、テンター内で200℃の温度の熱固定を行い、均一に徐冷後、25℃まで冷却して、巻き取り厚み150μmの太陽電池モジュール用バックシートを得た。得られた太陽電池モジュール用バックシートを使用した際のモジュール化による発電向上率は、8.1%であり、物性は表1のとおりである。この実施例1においては、プレス前後の厚みの変化率が14%と小さく、製膜安定性があり、テープ剥離による無機粒子の滑落はなかった。
[実施例2]
反射層のポリエチレンテレフタレートを37質量部に、そして非相溶ポリマーとしてのポリメチルペンテンを48質量部と変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で厚み150μmの太陽電池モジュール用バックシートを得た。得られた太陽電池モジュール用バックシートを使用した際のモジュール化による発電向上率は8.3%であり、物性は表1のとおりである。この実施例2においても、製膜安定性があり、テープ剥離による無機粒子の滑落はなかったがプレス前後の厚みの変化率が63%と大きかった。
[実施例3]
反射層材料として、ポリエチレンテレフタレートを70質量部と、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合物(PBT/PTMG、商品名:東レデュポン社製“ハイトレル”(登録商標))を5質量部と、全ジカルボン酸単位またはジオール単位中イソフタル酸を10mol%と分子量1000のポリエチレングリコール5mol%が共重合されたポリエチレンテレフタレート共重合体(PET/I/PEG)を10質量部と、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテン15質量部とを、調整混合し、180℃の温度で3時間乾燥させた後、270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに供給した(反射層)。
このポリマーを、Tダイからシート状に成形しフィルムを得た。さらに、このフィルムを表面温度が25℃の冷却ドラムで冷却固化して得られた未延伸フィルムを、85〜98℃の温度に加熱されたロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、21℃の温度のロール群で冷却した。続いて、このようにして得られた縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃の温度に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で200℃の温度の熱固定を行い、均一に徐冷後、25℃まで冷却して巻き取り、厚み150μmの反射層(フィルム)を得た。
[拡散層形成用塗料の調合]
(i)主剤の調製
表2の主剤の欄に示される配合によって、(株)日本触媒製のコーティング剤である“ハルスハイブリットポリマー”(登録商標)UV−G301(固形分濃度:40質量%)に、着色顔料および溶剤を一括混合し、これらをビーズミル機を用いて分散した。その後、可塑剤を添加して、固形分濃度が51質量%である拡散層形成用の塗料1の主剤を得た。
上記のようにして得られた主剤に、表2に示されるヌレート型ヘキサメチレンジイソシアネート樹脂である住化バイエルウレタン(株)製“デスモジュール”(登録商標)N3300(固形分濃度:100質量%)を、樹脂層形成用主剤塗料との質量比が100/4の比になるように予め計算した量を配合し、さらに固形分濃度20質量%(樹脂固形分濃度)の塗料となるように予め算出した表2に示される希釈剤:酢酸n−プロピルを量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度20質量%(樹脂固形分濃度)の塗料1を得た。
上記の調製に用いた着色顔料および可塑剤としては、表2に示される下記の製品を使用した。
・白色顔料:テイカ(株)製酸化チタン粒子JR−709
・可塑剤:DIC(株)製ポリエステル系可塑剤“ポリサイザー”(登録商標)W−220EL。
先に得られた150μmの反射層(フィルム)の一方の面に、ワイヤーバーを用いて拡散層形成用の塗料1を塗布し、100℃の温度で60秒間乾燥し、乾燥後の塗料厚みが12μmとなるように拡散層を設け太陽電池モジュール用バックシートとした。得られた太陽電池モジュール用バックシートを使用した際のモジュール化による発電向上率は8.2%であり、物性は表1のとおりである。この実施例3においても、プレス前後の厚みの変化率が21%と比較的小さく、製膜安定性があり、テープ剥離による無機粒子の滑落はなかった。
[実施例4]
ポリエチレンテレフタレートのチップ50質量部に、無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン30質量%ポリエチレンテレフタレートマスターチップ(マスターチップ総量に対して二酸化チタン30質量%含有)50質量部を180℃で3時間真空乾燥した後、280℃に加熱された押出機Dに供給し、Tダイよりシート状に成形しフィルムを得た。さらに、このフィルムを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化して得られた未延伸フィルムを、85〜98℃の温度に加熱したロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、21℃の温度のロール群で冷却した。続いて、このようにして得られた縦延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃の温度に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後、テンター内で200℃の温度で熱固定を行い、均一に徐冷後、25℃の温度まで冷却して、巻き取り厚み188μmの拡散機能を有する拡散層(フィルム)を得た。
[ドライラミネート用接着剤の調合]
ドライラミネート用接着剤として、DIC(株)製ドライラミネート剤“ディックドライ”(登録商標)TAF−300を36質量部、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート系樹脂を主成分とするDIC(株)製TAFハードナーAH−3を3質量部、および酢酸エチルを30質量部量りとり、15分間攪拌することにより固形分濃度30質量%のドライラミネート用接着剤を得た。
得られたドライラミネート用接着剤を、実施例3で得られた150μmの反射層に、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃の温度で45秒間乾燥し、乾燥後塗布量が5.0g/m(厚み5μm)となるようにドライラミネート接着剤層を形成した。次に、前記の188μmの拡散機能を有する拡散層(フィルム)と、ドライラミネート接着剤層を形成した150μmの反射層とをドライラミネートし、40℃の温度で3日間エージングし太陽電池モジュール用バックシートとした。得られた太陽電池モジュール用バックシートを使用した際のモジュール化による発電向上率は8.2%であり、物性は表1のとおりである。この実施例4においても、プレス前後の厚みの変化率が5%と小さく、製膜安定性があり、テープ剥離による無機粒子の滑落はなかった。
[実施例5]
ポリエチレンのチップ50質量部と、無機粒子として、数平均二次粒径0.25μmの二酸化チタン30質量%を分散させたポリエチレンマスターチップ(マスターチップ総量に対して二酸化チタン30質量%含有)50質量部とを、180℃の温度に加熱された押出機Eに供給し、Tダイから押し出されたポリエチレンフィルム(拡散層)を、実施例3で得られた150μmの反射層に積層し太陽電池モジュール用バックシートとした。得られた太陽電池モジュール用バックシートを使用した際のモジュール化による発電向上率は8.3%であり、物性は表1のとおりである。この実施例5においてもプレス前後の厚みの変化率が18%と小さく、製膜安定性があり、テープ剥離による無機粒子の滑落はなかった。
[実施例6]
フィルム層厚み比で12:76:12となるように積層装置を通して積層し、Tダイよりシート状に成形する以外、実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルムを使用した際のモジュール化による発電向上率は8.0%であり、物性は表1のとおりである。この実施例6においても、プレス前後の厚みの変化率が16%と小さく、製膜安定性があり、テープ剥離による無機粒子の滑落はなかった。
[実施例7]
フィルム層厚み比で12:276:12となるように積層装置を通して積層し、Tダイよりシート状に成形したこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池モジュール用バックシートを得た。得られた太陽電池モジュール用バックシートを使用した際のモジュール化による発電向上率は8.4%であり、物性は表1のとおりである。この実施例7においても、プレス前後の厚みの変化率が13%と小さく、製膜安定性があり、テープ剥離による無機粒子の滑落はなかった。
[実施例8]
裏側封止材の樹脂としてエチレン−ビニルアセテート共重合体(VAコンテント28質量%)をエチレンビニルアセテートの厚みが300μmとなるように100℃の温度に加熱された押出機Eに供給し、実施例1で得られた太陽電池モジュール用バックシートの拡散層の上に積層した。得られた太陽電池モジュール用バックシートと封止材の積層体を使用した際のモジュール化による発電向上率は8.2%であり、物性は表1のとおりである。この実施例8においても、プレス前後の厚みの変化率が14%と小さく、製膜安定性があり、テープ剥離による無機粒子の滑落はなかった。また、裏側封止材を積層する必要がないため、モジュール化が容易であった。
[実施例9]
反射層のポリエチレンテレフタレートを62質量部に、そして非相溶ポリマーとしてのポリメチルペンテンを23質量部と変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で厚み150μmの太陽電池モジュール用バックシートを得た。得られた太陽電池モジュール用バックシートを使用した際のモジュール化による発電向上率は8.1%であり、物性は表1のとおりである。この実施例9においては、プレス前後の厚みの変化率が35%であるが、製膜安定性があり、テープ剥離による無機粒子の滑落はなかった。
[実施例10]
反射層のポリエチレンテレフタレートを55質量部に、そして非相溶ポリマーとしてのポリメチルペンテンを30質量部と変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で厚み150μmの太陽電池モジュール用バックシートを得た。得られた太陽電池モジュール用バックシートを使用した際のモジュール化による発電向上率は8.1%であり、物性は表1のとおりである。この実施例9においては、製膜安定性があり、テープ剥離による無機粒子の滑落はなかったが、プレス前後の厚みの変化率が50%と大きかった。
[比較例1]
反射層のポリエチレンテレフタレートを70質量部、非相溶ポリマーとしてポリメチルペンテンを15質量部とし、フィルム層の厚み比を9:132:9となるように積層装置を通して積層したこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池モジュール用バックシートを得た。得られた太陽電池モジュール用バックシートを使用した際のモジュール化による発電向上率は7.5%であり、物性は表3のとおりである。この比較例1では、プレス前後の厚みの変化率が25%と小さく、製膜安定性がありテープ剥離による無機粒子の滑落はなかったが、拡散層の厚みが9μmと薄くモジュール化による発電向上率が劣るものであった。
[比較例2]
反射層をポリエチレンテレフタレートのみとし、フィルム層の厚み比を12:136:12となるように積層装置を通して積層したこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池モジュール用バックシートを得た。得られた太陽電池モジュール用バックシートを使用した際のモジュール化による発電向上率は6.2%であり、物性は表3のとおりである。この比較例2では、プレス前後の厚みの変化率が1%と小さく、製膜安定性がありテープ剥離による無機粒子の滑落はなかったが、反射層に空洞が見られず、平均相対反射率が61%と低く、モジュール化による発電向上率が劣るものであった。
1:太陽電池モジュール
2:太陽電池モジュール用バックシート
3:拡散層
4:反射層
5:裏側封止材
6:表側封止材
7:カバー材
8:太陽電池セル
9:太陽電池モジュール用バックシートと裏側封止材の積層体
10:金属ワイヤー

Claims (7)

  1. 拡散層と反射層の2層を有する太陽電池モジュール用バックシートであって、
    前記拡散層は無機粒子を含み、かつ厚みが12μm以上であり、
    前記反射層は空洞を含み、
    バックシート、封止材、及び金属ワイヤーを積層し、150℃の環境下で100kPaでプレスした場合に、プレス前後の厚みの変化率(「プレス前の厚み−プレス後の厚み」/「プレス前の厚み」×100)が20%以下であることを特徴とする太陽電池モジュール用バックシート。
  2. 反射層が、ポリエステル樹脂100質量部に対し、非相溶ポリマーを10質量部〜50質量部含むポリエステル樹脂組成物からなることを特徴とする請求項に記載の太陽電池モジュール用バックシート。
  3. 拡散層が、前記拡散層の全成分100質量%中に無機粒子を15質量%〜80質量%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用バックシート。
  4. 拡散層と反射層が、他の層を介さずに、直接積層されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池モジュール用バックシート。
  5. 拡散層と反射層が、接着層を介して積層されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池モジュール用バックシート。
  6. 拡散層が裏側封止材と反射層の間に配置されており、そして、カバー材、表側封止材、太陽電池セル、裏側封止材、および請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池モジュール用バックシートがこの順に積層され、加熱されることにより得られる太陽電池モジュール。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池モジュール用バックシートと裏側封止材の積層体であって、
    拡散層が裏側封止材と反射層の間に配置されるように積層されてなる積層体。
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