JP2000094596A - 化粧シート - Google Patents

化粧シート

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JP2000094596A
JP2000094596A JP26407898A JP26407898A JP2000094596A JP 2000094596 A JP2000094596 A JP 2000094596A JP 26407898 A JP26407898 A JP 26407898A JP 26407898 A JP26407898 A JP 26407898A JP 2000094596 A JP2000094596 A JP 2000094596A
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resin
decorative sheet
layer
sheet
pigment
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JP26407898A
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English (en)
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Takashi Tominaga
孝史 冨永
Yukio Suzuki
幸雄 鈴木
Tsutomu Saito
努 齋藤
Yumiko Tsuruta
由美子 鶴田
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Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】燃焼時に塩素ガス等の有毒物質を発生しない非
ハロゲン系樹脂を使用した化粧シートであって、真空成
形等の立体成形時にネッキングや白化等の問題を生じる
ことがなく、しかも耐溶剤性等の表面物性にも優れた化
粧シートを提供する。 【解決手段】好ましくは温度範囲60℃〜85℃におけ
る周波数10Hzに対する動的弾性率4.0×108
1.0×1010Pa、動的損失6.0×107 〜6.0
×108 Paの熱可塑性アクリル系樹脂からなる基材シ
ート1の表面に、好ましくはガラス転移点60〜85
℃、引っ張り弾性率100〜300kgf/mm2 の熱
可塑性ポリエステル系樹脂からなる透明樹脂層2を具備
する化粧シートである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅等の建築物の
内外装材や、造作材、建具等の建築資材、家具什器類、
住設機器や家電製品等の表面化粧等に使用するための化
粧シートに関するものであり、特に、例えば室内扉、キ
ッチン扉、収納扉等の建具類の表面化粧用として、真空
成形法又は真空圧空成形法等により立体形状に成形して
使用するに好適な化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上記の様に立体形状に成形する用
途に使用される化粧シートは、特有の優れた熱成形性を
有し、しかも表面硬度、耐磨耗性、耐薬品性等の各種の
表面物性や耐候性、二次加工性等に幅広くバランスの良
い特性を有するポリ塩化ビニル樹脂製の化粧シートが、
最も広く用いられて来た。しかし、近年になって、ポリ
塩化ビニル樹脂は燃焼時に塩化水素等の有毒ガスやダイ
オキシン等の猛毒物質が発生する場合があるという問題
点が指摘され、係る問題のない塩素を含有しない樹脂に
よる代替が、社会的に強く要望される様になっている。
【0003】係る要望に応える為に、例えば熱可塑性ポ
リオレフィン系樹脂を使用した化粧シートが既に提案さ
れ(特開平6−16832号公報参照)、ポリ塩化ビニ
ル樹脂製の化粧シートに対する置き換えが徐々に進行し
つつある。このポリオレフィン系樹脂からなる化粧シー
トは、最も一般的な化粧シートの用途である平面状の化
粧板用やVカット加工用、ラッピング加工用等に対して
は優れた性能を有することが示され、ポリ塩化ビニル樹
脂製の化粧シートの代替品としては最も有力と看做され
ている。
【0004】しかし、ポリオレフィン系樹脂は本質的に
結晶性の高分子であり、それも非晶質のマトリクス中に
結晶化部分が散在した構造を有するため、引張等の応力
に対する強度は局所的に見ると不均一であり、塑性変形
の際も局所的に不均一な変形を起こし易い。この原理に
起因して、前述した様な立体形状に成形する用途の場合
には、ネッキング等の成形不良を発生し易く、立体的な
凹凸の大きな用途には使用することができないという問
題点があった。
【0005】この問題点を解決する為には、不均一な変
形を起こし難い、均一な構造を有する樹脂、例えば本質
的に非晶質の樹脂、を使用することが好ましいと考えら
れ、具体的には例えば熱可塑性アクリル系樹脂等が候補
として考えられる。熱可塑性アクリル系樹脂を使用した
化粧シート自体は既に各種の提案があり、具体的には例
えばオレフィン系樹脂の基材シートの表面にアクリル系
樹脂の表面保護シートを積層した化粧シート(特開平1
0−157018号公報参照)や、アクリル系樹脂の基
材シートの表面にアクリル系樹脂の表面保護シートを積
層した化粧シート(特開平8−48014号公報参照)
等の提案がある。
【0006】しかし、これらの化粧シートは、必ずしも
立体成形用途に好適なものと言うことはできないのが現
実である。何故なら、ポリメタクリル酸メチル等のアク
リル系樹脂は元来硬く脆い樹脂であって、化粧シート等
の用途に使用する為には、その加工上や取扱上要求され
る可撓性や柔軟性を付与する為に、一般に軟質成分やゴ
ム成分等が添加される。その結果、延伸等の変形の際に
白化が発生し易くなる他、表面硬度も低下し、耐溶剤性
や耐汚染性等も悪化する。これは一般用途の化粧シート
についても言えることであるが、特に立体成形性用の様
に高度の柔軟性や熱成形性が要求される用途ではなおさ
らである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の様な
問題点を解決するためになされたものであって、その課
題とするところは、燃焼時に塩素ガス等の有毒物質を発
生しない非ハロゲン系樹脂を使用した化粧シートであっ
て、真空成形等の立体成形時にネッキングや白化等の問
題を生じることがなく、しかも耐溶剤性等の表面物性に
も優れた化粧シートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性アク
リル系樹脂からなる基材シートの表面に、熱可塑性ポリ
エステル系樹脂からなる透明樹脂層を具備することを特
徴とする化粧シートである。
【0009】また本発明は、上記化粧シートにおいて、
前記熱可塑性ポリエステル系樹脂が、ガラス転移点が6
0℃以上85℃以下であり、引っ張り弾性率が100〜
300kgf/mm2 である共重合ポリエステル樹脂で
あることを特徴とする化粧シートである。
【0010】また本発明は、上記のいずれかの化粧シー
トにおいて、前記熱可塑性アクリル系樹脂が、温度範囲
60℃〜85℃における周波数10Hzに対する動的弾
性率が4.0×108 Pa以上1.0×1010Pa以下
であり、動的損失が6.0×107 Pa以上6.0×1
8 Pa以下であることを特徴とする化粧シートであ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】図1に本発明の化粧シートの一例
の模式断面図を示す。本発明の化粧シートは、熱可塑性
アクリル系樹脂からなる基材シート1の表面に、必要に
応じて適宜設けられる絵柄層3を介して、熱可塑性ポリ
エステル系樹脂からなる透明樹脂層2が設けられて構成
されるものである。
【0012】基材シート1を構成する熱可塑性アクリル
系樹脂は、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル又
はメタクリル酸エステル等のアクリル酸誘導体を主成分
として単独又は共重合して得られる熱可塑性樹脂であ
る。特に好ましくはメチルメタクリレート等のメタクリ
ル酸エステルを主成分とする樹脂であって、柔軟性や熱
成形性の改善を目的として、例えばメタクリル酸ブチル
等のメタクリル酸の長鎖アルキルエステルや、アクリル
酸メチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸又はア
クリル酸等から選ばれる単量体が共重合成分として添加
され、所望の適宜の物性のフィルムが調製される。勿
論、更に物性改善等の目的で他の適宜の共重合成分や添
加剤等を併用することも差し支えない。
【0013】なお、良好な熱成形性を達成する為に、基
材シート1を構成する上記熱可塑性アクリル系樹脂は、
温度範囲60℃〜85℃における周波数10Hzに対す
る動的弾性率が4.0×108 Pa以上1.0×1010
Pa以下であり、動的損失が6.0×107 Pa以上
6.0×108 Pa以下であることが望ましい。動的弾
性率が1.0×1010Paを越えると、熱成形時の変形
応答性が不足し、クラックや白化、成形不良等の原因と
なり、一方4.0×108 Paを下回ると、熱成形時に
軟化し過ぎて、ドローダウンや柄流れ等の原因となる。
また、動的損失が6.0×108 Paを越えると、本質
的に応力緩和の速い塑性変形し易い樹脂であるので、こ
れもドローダウンや柄流れ等の原因となり、一方6.0
×107 Paを下回ると応力緩和が遅過ぎ、熱成形時に
成形速度に追従しにくい為の成形不良や、内部応力の残
留等の原因となるからである。
【0014】目的の化粧シートに、被貼着基材の好まし
くない色彩や欠陥等を隠蔽するための隠蔽性が要求され
る場合には、上記基材シート1を構成する熱可塑性アク
リル系樹脂に隠蔽性顔料を添加することによって、隠蔽
性を付与することができる。また、基材シート1を隠蔽
性とする替わりに、基材シート1の表面又は裏面、若し
くは透明樹脂層2の裏面に、隠蔽層4を設けても良く、
両者を併用することもできる。但し、立体成形用途の場
合には、隠蔽層4単独では立体成形時の延伸によって薄
くなったり亀裂を生じたりして隠蔽性が不十分となるお
それがあるので、少なくとも基材シート1を隠蔽性顔料
を添加しておくことが好ましい。また、基材シート1に
隠蔽性顔料を添加しておくと、仮に立体成形時に基材シ
ート1に白化の原因となるべき現象(例えば樹脂内部の
微細な亀裂や樹脂分子の配列状態の変化等)が多少生じ
ることがあっても、当該基材シート1に含有される隠蔽
性顔料によってそれが隠蔽される結果、事実上白化とし
て意匠性に影響を与えることがないという利点もある。
【0015】上記隠蔽性顔料とは従来周知の様に、分散
媒たる樹脂と比較して著しく高い屈折率を有する微細粉
末状顔料であって、その屈折率差による界面での光の反
射や屈折による光散乱効果によって、シートの表裏面間
での光の直接透過が妨げられ、隠蔽性が発現するのであ
る。熱可塑性アクリル系樹脂等の樹脂の屈折率は概ね
1.5前後であるから、隠蔽性顔料としては屈折率が概
ね2.0以上の顔料が選ばれるのが一般的であり、また
光(可視光線)に対する散乱能の観点から通常は粒径
0.1〜1μm程度の範囲のものが使用される。なお、
基材シート1を構成する熱可塑性アクリル系樹脂への隠
蔽性顔料の添加量は、隠蔽性の観点からは多い程好まし
いが、あまり多過ぎると樹脂が脆化し熱成形性を損なう
虞があるので、樹脂100重量部に対し1〜10重量部
の範囲内とすることが好ましい。
【0016】係る隠蔽性顔料の内、光吸収性の高い顔料
は、入射した光の一部を吸収して着色作用を発現するの
で着色顔料と称され、逆に光吸収性の殆どない顔料は、
光散乱効果により入射光の大部分を入射方向へ反射して
色調を明るく(白く)見せる作用を発現するので白色顔
料と称される。そして、光吸収係数と屈折率とのバラン
スの良い顔料を選択するか、若しくは、上述した着色顔
料と白色顔料とを適宜の比率で配合して使用することに
より、任意の所望の色調を得ることができる訳である。
【0017】前記隠蔽性顔料としては、有機及び無機の
各種の顔料が知られているが、一般に有機顔料よりも無
機顔料の方が屈折率が高く隠蔽性に優れている他、耐光
性(耐褪色性)や耐薬品性にも優れているので、耐久性
や堅牢性の面からも、無機顔料を使用することが好まし
い。特に立体成形用途の化粧シートの場合には、立体成
形により樹脂が延伸を受けた際に、樹脂と無機顔料との
間でミクロ的な剥離が起こり、内部応力を吸収する結
果、優れた成形性を発現する効果があり、これは有機顔
料を使用した場合には見られないことである。
【0018】係る無機顔料の内、着色顔料としては例え
ば黄鉛、黄色酸化鉄、チタンイエロー、バリウムイエロ
ー、オーレオリン、モリブデートオレンジ、弁柄、鉛
丹、辰砂、マルスバイオレット、マンガンバイオレッ
ト、コバルトバイオレット、コバルトブルー、セルリア
ンブルー、群青、紺青、エメラルドグリーン、クロムバ
ーミリオン、酸化クロム、ビリジアン、鉄黒、カーボン
ブラック等、白色顔料としては例えば酸化チタン(チタ
ン白、チタニウムホワイト)、酸化亜鉛(亜鉛華)、塩
基性炭酸鉛(鉛白)、塩基性硫酸鉛、硫化亜鉛、リトポ
ン、チタノックス等を使用することができる。
【0019】中でも、隠蔽性や耐光性に優れ、意匠面で
も色調的に化粧シート用に好適な顔料として、着色顔料
としては弁柄、黄色酸化鉄、鉄黒等の酸化鉄系顔料、白
色顔料としては酸化チタン系顔料を使用することが好ま
しい。
【0020】上記酸鉄系顔料の内、弁柄は酸化第二鉄F
2 3 (別名、赤鉄鉱)からなる赤色顔料であって、
平均粒径0.2〜0.6μm程度のものが用いられ、例
えば東邦顔料社製Anchor FR-110G、日本弁柄社製EP-20
D、日本フェロー社製Ferro Color NF-150-P、鐵原社製
NAT、利根産業社製SR-580、戸田工業社製Toda Color 12
0ED、森下弁柄社製モリシタレッド七宝等として市販さ
れている。
【0021】黄色酸化鉄は酸化水酸化鉄γ−FeO(O
H)(別名、鱗鉄鉱)又はその水和物からなる黄色顔料
であって、平均粒径0.3〜0.8μm程度のものが用
いられ、例えば東邦顔料社製Anchor FY-766 、森下弁柄
社製Morishita Yellow MTY-10 、日本弁柄社製NYB-40、
戸田工業社製Toda Color Y-1、利根産業社製YP-100SB、
東洋色素社製東色合成鉄黄、BASF社製Sicotrans Ye
llow L 1916 等として市販されている。
【0022】鉄黒は四酸化三鉄Fe3 4 (別名、磁鉄
鉱)からなる黒色顔料であって、平均粒径0.5μm前
後のものが用いられ、例えば森下弁柄社製Morishita Bl
ackMTB-10、利根産業社製TB-50SB 、戸田工業社製Toda
Color KN-320 、東洋色素社製東色合成鉄黒等として市
販されている。そして、これらの酸化鉄系顔料を適宜組
み合わせて配合して使用することによって、黄色から黄
土色、茶色、黒色にかけての広い範囲の色調を任意に得
ることができる。
【0023】酸化チタン系顔料は、二酸化チタンTiO
2 からなる白色顔料であって、アナターゼ型(別名、鋭
錐石)とルチル型(別名、金紅石)との2種類があり、
屈折率はそれぞれ2.45〜2.55及び2.61〜
2.90であり、ルチル型の方が屈折率が高い分だけ隠
蔽性に優れる他、化学的安定性や耐光性にも優れるので
好適である。平均粒径0.1〜0.5μm程度のものが
用いられ、例えばチタン工業社製KR-310、帝国化工社製
JR、古河鉱業社製FR-41 、石原産業社製CR-50 等として
市販されている。
【0024】なお、以上に詳述した酸化鉄系顔料及び酸
化チタン系顔料に加えて、色調の調整の目的で他の隠蔽
性又は非隠蔽性の無機顔料又は有機顔料を少量併用する
ことは差し支えない。但し、飽くまでも酸化鉄系顔料及
び酸化チタン系顔料を主体とすることが肝要であって、
他の顔料の使用量は顔料全体に占める比率で概ね20重
量%以下とすることが好ましい。併用する顔料としては
耐光性の高いものを選択することが好ましく、無機顔料
の中ではコバルトブルー又はカーボンブラック等、有機
顔料の中ではフタロシアニンブルー等のフタロシアニン
系顔料等を使用することが好ましい。その他、必要に応
じて例えばシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の
体質顔料を併用することもできる。
【0025】その他、基材シート1を構成する熱可塑性
アクリル系樹脂には、目的の化粧シートの用途により必
要に応じて、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定
剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充
填剤等の従来公知の各種の添加剤の1種以上が添加され
ていても良い。
【0026】酸化防止剤としては例えばフェノール系、
硫黄系、リン系等、紫外線吸収剤としては例えばベンゾ
フェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、
シアノアクリレート系、ホルムアミジン系、オキザニリ
ド系等、光安定剤としては例えばヒンダードアミン系、
ニッケル錯体系等、熱安定剤としては例えばヒンダード
フェノール系、硫黄系、ヒドラジン系等、可塑剤として
は樹脂の種類にもよるが例えばフタル酸エステル系、リ
ン酸エステル系、脂肪酸エステル系、脂肪族二塩基酸エ
ステル系、オキシ安息香酸エステル系、エポキシ系、ポ
リエステル系等、滑剤としては例えば脂肪酸エステル
系、脂肪酸系、金属石鹸系、脂肪酸アミド系、高級アル
コール系、パラフィン系等、帯電防止剤としては例えば
カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両イオン系等、
難燃剤としては例えば臭素系、リン系、塩素系、窒素
系、アルミニウム系、アンチモン系、マグネシウム系、
硼素系、ジルコニウム系等、充填剤としては例えば炭酸
カルシウム、硫酸バリウム、滑石、蝋石、カオリン等か
ら選ばれる1種又は2種以上の混合系で使用される。
【0027】基材シート1の厚さには特に制限はなく、
従来の一般の化粧シートの基材シートと同様の厚さのも
のを使用することができる。具体的には、化粧シートの
用途や樹脂の種類にもよるが、一般に20〜200μm
程度の範囲から選ばれ、特に好ましい範囲は50〜15
0μm程度である。基材シート1の成形方法にも特に制
限はなく、例えば押出成形法、インフレーション成形
法、カレンダー成形法、キャスト成形法等の従来公知の
任意の成形方法によって製膜された基材シート1を使用
することができる。
【0028】熱可塑性ポリエステル系樹脂からなる透明
樹脂層2は、基材シート1やその表面の絵柄層3を外界
から保護する目的で設けられるものであって、本発明に
おいては立体成形時の耐白化性や耐溶剤性等の観点か
ら、特に熱可塑性ポリエステル系樹脂を採用したもので
ある。ここで、透明樹脂層2の「透明」とは、高い透明
性を有することが好ましいことは勿論であるが、少なく
とも絵柄層3を透視可能な程度の透明性を備えていれば
良く、その限りにおいて半透明乃至着色透明であっても
良い。
【0029】上記熱可塑性ポリエステル系樹脂として
は、例えば例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポ
リアリレート、ポリカーボネート等の他、ジカルボン酸
又はジカルボン酸エステルとジオールとの縮合重合反応
において、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の
芳香族ジカルボン酸及び/又はシクロヘキサンジカルボ
ン酸等の脂環族ジカルボン酸と、エチレングリコール、
1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオール及び/又は
シクロヘキサンジオール等の脂環族ジオールとを使用し
てなる硬い構造単位と、ジオールとしてポリエチレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール等の両末端に
水酸基を有するポリエーテル系ジオールを使用し、及び
/又は、ジカルボン酸としてセバシン酸、エイコ酸、ド
デカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸及
び/又は脂環族ジカルボン酸を使用してなる柔らかい構
造単位との−(A−B)−n型のブロック共重合体から
なり熱可塑性エラストマーの性質を示す共重合ポリエス
テル樹脂等、又はこれらから選ばれる2種以上の混合
物、積層体等を使用することができる。
【0030】また、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂に
は、目的の化粧シートの用途により必要に応じて、例え
ば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可
塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の従来公知
の各種の添加剤の1種以上が添加されていても良い。こ
れらの添加剤として具体的には、例えば既に基材シート
1を構成する熱可塑性アクリル系樹脂に添加すべき添加
剤として例示したもの等を使用することができる。
【0031】本発明の化粧シートにあっては、前記透明
樹脂層2を構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂が、ガ
ラス転移点が60℃以上85℃以下であり、引っ張り弾
性率が100kgf/cm2 以上300kgf/cm2
以下であることが好ましい。その理由は、通常の真空成
形等の立体成形における加熱温度(60〜85℃程度)
における十分な立体成形性が得られ、内部応力の残留も
少なく、適度な柔軟性と共に適度な腰や表面硬度をも備
えているので、立体成形時にしわやドローダウン等を発
生することもなく、表面の耐傷付き性等の表面物性も化
粧シートとして十分な水準のものが得られるからであ
る。
【0032】上記熱可塑性ポリエステル系樹脂のガラス
転移点が60℃に満たないと、立体成形時に成形熱によ
り軟化し過ぎてしわや傷、ドローダウン等の原因とな
り、一方85℃を越えると、立体成形時の軟化が不十分
であり、成形不良や内部応力の残留、割れ、白化等の原
因となる。引っ張り弾性率が100kgf/mm2 に満
たないと、樹脂が柔軟過ぎて表面の耐傷付き性が必ずし
も十分でない他、ラミネート時のしわや傷、ドローダウ
ン等の原因となり、一方300kgf/mm2 を越える
と、樹脂の柔軟性が不十分なため加工適性に劣り、成形
不良や内部応力の残留、割れ、白化等の原因となる。
【0033】透明樹脂層2を構成する熱可塑性ポリエス
テル系樹脂に上記した範囲の物性を有せしめる為には、
当該熱可塑性ポリエステル系樹脂としては、前述した硬
軟の構造単位のブロック共重合体からなる共重合ポリエ
ステル樹脂を採用することが最も望ましい。
【0034】熱可塑性ポリエステル系樹脂からなる透明
樹脂層2の厚さには特に制限はなく、例えば従来の一般
の複層型の化粧シートにおける透明樹脂層の厚さと同等
とすることができる。一般に、厚い程耐磨耗性や耐溶剤
性等の表面物性や耐候性、塗装感や深み感、エンボス深
さ等の意匠性の面で有利であるが、反面化粧シートとし
ての柔軟性や可撓性、熱成形時の基材表面形状への追従
性等の面で不利となるので、両者のバランスの取れる厚
み範囲が選ばれる。具体的には、化粧シートの用途やそ
れに応じた要求品質、使用する熱可塑性ポリエステル系
樹脂の種類等にもよるが、一般に20〜200μm程度
の範囲から選ばれ、特に好ましい範囲は50〜100μ
m程度である。
【0035】絵柄層3は、目的とする化粧シートに任意
の所望の絵柄の意匠性を付与する目的で設けられるもの
である。従って、例えば単なる表面着色や色彩調整のみ
を目的とした無地の化粧シートの様に、基材シート1の
着色や隠蔽層4の形成等によって十分に前記表面着色や
色彩調整が達せられる場合や、基材シート1自体に顔料
の練り込みや昇華性乃至溶融移行性染料の移行等により
絵柄が施されている場合等には、絵柄層3は特に設けら
れない場合もある。しかし一般的には、基材シート1の
表面又は透明樹脂層2の裏面に、印刷法等の適宜の手段
により適宜の絵柄層3が設けられる場合が多い。
【0036】絵柄層3の構成材料や形成方法には一切制
限はなく、従来より係る化粧シートの絵柄層に適用され
て来た任意の画像形成材料や画像形成方法を適宜適用す
ることができる。具体的には例えば、染料又は顔料等の
着色剤を、適当な結着剤樹脂と共に、適当な溶剤中に溶
解又は分散してなる印刷インキ又はコーティング剤等を
使用することができる。
【0037】前記着色剤としては、例えばカーボンブラ
ック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッ
ド等の無機顔料や、アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキ
ノン顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イ
ソインドリノン顔料、イミダゾロン顔料、ジオキサジン
顔料等の有機顔料、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム
粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料、魚鱗粉、塩基性炭酸
鉛、酸化塩化ビスマス、酸化チタン被覆雲母等の真珠光
沢顔料、蛍光顔料、夜光顔料等、又はこれらから選ばれ
る2種以上の混合物等を使用することができる。
【0038】また、前記結着剤樹脂としては、例えば、
アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ウレタン系樹脂、ポリビニル系樹脂、アルキド系樹
脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミ
ン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘
導体、ゴム系樹脂等の各種合成樹脂類、又はそれらの2
種以上の混合物、共重合体等を使用することができる。
【0039】また、前記溶剤としては、例えばヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチル
ベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の
石油系有機溶剤や、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2
−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエス
テル系有機溶剤、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン等のケトン系有機溶剤、ジエチルエーテ
ル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有
機溶剤、ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチ
レン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤等の各
種有機溶剤や、水等の無機溶剤、又はそれらの2種以上
の混合溶剤等を使用することができる。
【0040】その他、必要に応じて例えば体質顔料や可
塑剤、分散剤、界面活性剤、粘着付与剤、接着助剤、乾
燥剤、安定剤、硬化剤、硬化促進剤又は硬化遅延剤等の
各種の添加剤を適宜添加することもできる。
【0041】絵柄層3の形成方法には特に制限はなく、
例えばグラビア印刷法やオフセット印刷法、スクリーン
印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット
印刷法等の従来公知の各種の印刷方法を使用することが
できる。また、例えば全面ベタ状の場合には上記した各
種の印刷方法の他、例えばロールコート法やナイフコー
ト法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコ
ート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート
法、ディップコート法等の各種のコーティング方法によ
ることもできる。その他、例えば手描き法、墨流し法、
写真法、転写法、レーザービーム又は電子ビーム描画
法、金属等の部分蒸着法やエッチング法等、又はこれら
の方法を複数組み合わせて行うことも勿論可能である。
【0042】なお、絵柄層3は、基材シート1と透明樹
脂層2との積層前に基材シート1側に設けておいても良
いが、透明樹脂層2側に設けておいても良い。また、絵
柄層3の形成に先立ち必要に応じて、基材シート1又は
透明樹脂層2の被印刷面に例えばコロナ処理、オゾン処
理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、
アンカー又はプライマー処理等の表面処理を施すことに
よって、基材シート1又は透明樹脂層2と絵柄層3との
密着性を向上することもできる。
【0043】上記した絵柄層3が構成する絵柄の種類に
は特に制限はなく、例えば従来より係る化粧シートの分
野において広く採用されている木目柄や、石目柄、抽象
柄等、或いは単なる着色や色彩調整を目的とする場合に
は単色無地であっても良く、要するに、目的の化粧シー
トの用途に応じ任意の所望の絵柄を採用することができ
る。
【0044】隠蔽層4は、既に述べた様に、目的の化粧
シートに隠蔽性が要求される場合に必要に応じて設けら
れるものであって、その構成材料や形成方法は、隠蔽性
顔料を少なくとも使用すべき点を除けば、上記の絵柄層
3の場合と同様であり、特に制限はない。隠蔽性顔料と
して選択すべき顔料の種類は、前述した基材シート1を
隠蔽性とする場合に用いるべきものと同様であって、無
機顔料、特に二酸化チタン系顔料又は酸化鉄系顔料を主
体とする顔料組成物を使用することが好ましい。隠蔽性
顔料の添加量は、結着剤樹脂100重量部に対して30
0〜600重量部程度、隠蔽層4の厚さは2〜10μm
程度が、それぞれ一般的には好ましいが、特にこれらに
限定されるものではない。
【0045】本発明において基材シート1と透明樹脂層
2との積層方法には特に制限はなく、従来公知の任意の
方法を適宜適用することができる。具体的には例えば、
予めフィルム状乃至シート状に成形された熱可塑性ポリ
エステル系樹脂からなる透明樹脂層1をドライラミネー
ト接着剤、感熱接着剤、感圧接着剤又は電離放射線硬化
型接着剤等の適宜の接着剤層5を介して基材シート1の
表面上に接着する方法、或いは接着剤を介さずに熱圧着
又は超音波溶着等の手段によって直接接着する方法や、
熱可塑性ポリエステル系樹脂を加熱溶融しフィルム乃至
シート状に押し出し成形すると同時に基材シート1の表
面上に積層し接着させる方法等、従来公知の各種の方法
の中から、樹脂の特性に合致した方法を適宜選択して使
用することができる。
【0046】なお、上記積層に先立ち、基材シート1及
び/又は透明樹脂層2に絵柄層3や隠蔽層4等を施して
おいても良いことは勿論であるが、その他、接着性の向
上を目的として、基材シート1及び/又は透明樹脂層2
の接着面に、コロナ処理又はオゾン処理等の適宜の表面
活性化処理や、適宜の接着性樹脂組成物からなるアンカ
ー層6,6’等を施しておくこともできる。また押し出
しラミネート法の場合には、熱可塑性ポリエステル系樹
脂と共に接着性樹脂を基材シート1との間に挟持する様
に共押し出し積層することにより、接着性の向上を図る
こともできる。
【0047】熱可塑性ポリエステル系樹脂からなる透明
樹脂層2の表面には、従来公知の如く、必要に応じて所
望の適宜の模様のエンボス7を設けることもできる。エ
ンボス7の模様の種類にも特に制限はなく、例えば木目
調(特に導管模様状)、石目調、和紙調、布目調、幾何
学模様状等の各種模様状であっても良いし、或いは例え
ば単なる艶消状や砂目状、ヘアライン状、スウェード調
等であっても良い。また、これらのエンボス7の模様を
絵柄層3の絵柄と同調させることによって更なる意匠性
の向上を図ることも出来るが、その必要がなければ非同
調であっても良く、また絵柄層2の絵柄と同調した模様
と同調しない模様との両者を含む模様のエンボス7を設
けることもできる。
【0048】エンボス7の形成方法にも特に制限はない
が、金属製のエンボス版を使用した機械エンボス法が最
も一般的である。またエンボス7の形成時期にも特に制
限はなく、基材シート1との積層前、積層と同時又は積
層後の中から任意の時期を選択することができ、またこ
れらの中から選ばれる複数の時期に同一又は異なる模様
のエンボス7を複数回に亘って施すこともできる。な
お、エンボス7の凹陥部には、必要に応じてワイピング
法等の手法により着色剤8を充填しても良く、これによ
って表面の凹凸模様と同調した色彩模様を有する意匠性
に優れた化粧シートを得ることができる。
【0049】また、化粧シートの表面に更に優れた表面
物性を付与する目的で、熱可塑性ポリエステル系樹脂か
らなる透明樹脂層2の表面にトップコート層9を設ける
こともできる。トップコート層9の構成材料としては、
従来より係る化粧シートのトップコート層の構成材料と
して使用されている公知の各種のトップコート剤の中か
ら選ばれる任意のものを使用することができる。一般的
には、少なくとも下地を透視可能な透明性を有する必要
がある他、化粧シートの用途により要求される耐磨耗性
や耐擦傷性、耐溶剤性、耐汚染性等の表面物性を具備さ
せるべく、硬化性樹脂を主成分とする材料から構成する
ことが好ましい。但し、立体成形用途の場合には、化粧
シートの伸びに追従すべく柔軟性にも配慮する必要があ
る。
【0050】上記トップコート層9の構成材料として具
体的には、例えばメラミン系樹脂、フェノール系樹脂、
尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキド系樹脂、
ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹
脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル系樹脂等の電離放射線
硬化性樹脂等を、好適に使用することができる。また必
要に応じて、艶調整剤、滑剤、帯電防止剤、結露防止
剤、抗菌剤、防黴剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種
添加剤を適宜添加することができる。また、トップコー
ト層9を艶の異なる2層以上から構成し、その内1層以
上を絵柄状に設けることによって、表面の艶の変化によ
る材質感や視覚的立体感を有する化粧シートを得ること
もできる。
【0051】トップコート層9の形成方法にも特に制限
はなく、例えばグラビアコート法、ロールコート法、デ
ィップコート法、エアーナイフコート法、ナイフコート
法、コンマコート法、ダイコート法、リップコート法、
キスコート法、ロッドコート法、スプレーコート法、フ
ローコート法等の従来公知の任意のコーティング法を適
宜適用することができる。
【0052】なお、熱可塑性ポリエステル系樹脂からな
る透明樹脂層2とトップコート層9との密着性が不十分
である場合には、トップコート層9の塗工形成に先立
ち、透明樹脂層2の表面に例えばコロナ処理、オゾン処
理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理、
アンカー又はプライマー処理等の表面処理を施すことに
よって、透明樹脂層2とトップコート層9との間の密着
性を向上することもできる。
【0053】本発明の化粧シートは、既に説明した様
に、従来の化粧シートと同様、木質系基材や無機質系基
材等の各種の基材の表面に貼着(ラミネート)して使用
するものであり、一般的には該貼付の際には例えばウレ
タン系や酢酸ビニル系等の適宜の接着剤が使用される
が、係る接着剤の種類によっては基材シート1を構成す
る熱可塑性アクリル系樹脂との接着性が不十分である場
合もある。係る場合に備えて、基材シート1の裏面に、
ラミネート用接着剤との接着性に優れた樹脂からなるプ
ライマー層10を設けておくことが好ましい。
【0054】プライマー層10としては例えばウレタン
系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体系等の各種のプライマー
剤が知られており、これらの中から基材シート1に合わ
せたものを選んで使用する。なお、プライマー層10に
例えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム等の粉末を添加しておくと、プライマー層10の表面
が粗面化することによって化粧シートの巻取保存時のブ
ロッキングが防止できる他、投錨効果による前記ラミネ
ート用接着剤との接着性の向上を図ることもできる。
【0055】本発明の化粧シートは、上記の通りの構成
により、立体成形性や表面の耐傷付き性等に優れるのみ
ならず、表面側に熱可塑性ポリエステル系樹脂の透明樹
脂層を具備することにより、従来の各種の熱可塑性ポリ
エステル系樹脂を使用した化粧シートと共通する数多く
の利点を備えているものである。例えば、熱可塑性ポリ
エステル系樹脂に特有の優れた透明性により、絵柄の鮮
鋭性や表面の高光沢性に優れた化粧シートを容易に得る
ことができる。また、熱可塑性ポリエステル系樹脂は耐
温水性や耐油性にも優れているので、例えば浴室やキッ
チン回り等の用途にも好適に使用することができる。
【0056】
【実施例】隠蔽性の無機顔料(酸化鉄系茶、酸化鉄系黄
土、酸化チタン系白)を主体とし少量のカーボンブラッ
ク墨及びコバルトブルー(又はフタロシアニンブルー)
を含む顔料が添加された着色アクリル系樹脂(動的弾性
率1.0×109 Pa、動的損失8.0×107 Pa)
を押出機で厚さ120μmに押し出しながらその両面に
コロナ処理を施して表面濡れ指数を38dyn/cm以
上に調整し、基材シートを作製した。
【0057】一方、厚さ50μm、ガラス転移点78
℃、引っ張り弾性率200kgf/mm2 の共重合ポリ
エステル樹脂フィルム(イーストマン ケミカル ジャ
パン社製、Spectar)の両面をコロナ処理後、裏
面に通常の建材用ウレタン系グラビア印刷インキを使用
してグラビア印刷法により木目の絵柄を印刷し、次いで
隠蔽性の無機顔料(酸化鉄系茶、酸化鉄系黄土、酸化チ
タン系白)を主体とし少量のカーボンブラック墨及びコ
バルトブルー(又はフタロシアニンブルー)を混合した
顔料組成物を含有するウレタン樹脂系インキを使用して
グラビア印刷法により隠蔽層を印刷形成し、更に熱可塑
性ウレタン系アンカー剤を乾燥後の膜厚6μmに塗布し
た。
【0058】次に、前記した基材シートの表面に2液ウ
レタン系ドライラミネート接着剤を乾燥後の膜厚8μm
に塗布し、該塗布面に前記共重合ポリエステル樹脂フィ
ルムのアンカー剤塗布面を重ね、120℃、25kg/
cm2 、ラインスピード20m/minの条件でドライ
ラミネートした。そして、共重合ポリエステル樹脂フィ
ルム側の表面に、光安定剤0.2重量%及び紫外線吸収
剤0.3重量%を添加したアクリレート系紫外線硬化型
樹脂を硬化後の膜厚20μmに塗工してトップコート層
を形成し、180℃の金属製エンボスロールにて導管柄
のエンボスを施した。
【0059】しかる後、基材シートの裏面にコロナ処理
を施して濡れ指数を38dyn/cm以上に調整し、シ
リカ粉末を配合したウレタン樹脂系プライマー剤をグラ
ビアコート法にて乾燥後の塗布量1g/m2 に施してプ
ライマー層を形成し、本発明の化粧シートを完成した。
【0060】曲率半径0.5の形状のポリエステル樹脂
系3次元基材の表面に、水性ウレタン系接着剤を乾燥後
の塗布量10g/m2 にスプレー塗装、乾燥した後、上
記の化粧シートをシート温度80℃の条件で3次元成形
ラミネートし、ラミネート化粧材を作製した。
【0061】得られたラミネート化粧材の耐傷付き性は
鉛筆硬度2Hであり、耐汚染性(JAS 特殊合板)、
耐温水性(60℃10日)も合格であり、表面白化や割
れもなく、表面光沢の高い、耐汚染性や耐傷付き性に優
れたラミネート化粧材を得ることができた。
【0062】
【発明の効果】本発明の化粧シートは、熱可塑性アクリ
ル系樹脂からなる基材シートの表面に、熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂からなる透明樹脂層を設けたことにより、
非ハロゲン系樹脂を使用したので燃焼時に塩素ガス等の
有毒物質を発生しないことは勿論のこと、真空成形等の
立体成形時にネッキングや白化等の問題を生じることが
なく、しかも耐溶剤性等の表面物性にも優れるという顕
著な利点を有するものである。
【0063】また特に、前記熱可塑性ポリエステル系樹
脂が、ガラス転移点が60℃以上85℃以下であり、引
っ張り弾性率が100〜300kgf/mm2 である共
重合ポリエステル樹脂であることにより、立体成形時の
割れや白化、しわ、ドローダウン等の問題が発生するこ
とがなく、しかも耐傷付き性や耐磨耗性、耐溶剤性等の
各種表面物性にも極めて優れるという顕著な利点を有す
るものである。
【0064】また特に、前記熱可塑性アクリル系樹脂
が、温度範囲60℃〜85℃における周波数10Hzに
対する動的弾性率が4.0×108 Pa以上1.0×1
10Pa以下であり、動的損失が6.0×107 Pa以
上6.0×108 Pa以下であることにより、熱による
立体成形時の変形応答性に優れ、例えばクラックや白
化、成形不良、ドローダウン、柄流れ、内部残留応力等
の問題のない立体成形ラミネート製品を生産性良く製造
することができるという顕著な利点を有するものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの一例の積層構造を示す模
式断面図である。
【符号の説明】
1‥‥基材シート 2‥‥透明樹脂層 3‥‥絵柄層 4‥‥隠蔽層 5‥‥接着剤層 6、6’‥‥アンカー層 7‥‥エンボス 8‥‥着色剤 9‥‥トップコート層 10‥‥プライマー層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年9月25日(1998.9.2
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】また本発明は、上記化粧シートにおいて、
前記熱可塑性ポリエステル系樹脂が、ガラス転移点が6
0℃以上85℃以下であり、引っ張り弾性率が100〜
300kgf/mm2 である共重合ポリエステル樹脂で
あることを特徴とする化粧シートである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】本発明の化粧シートにあっては、前記透明
樹脂層2を構成する熱可塑性ポリエステル系樹脂が、ガ
ラス転移点が60℃以上85℃以下であり、引っ張り弾
性率が100kgf/mm2 以上300kgf/mm2
以下であることが好ましい。その理由は、通常の真空成
形等の立体成形における加熱温度(60〜85℃程度)
における十分な立体成形性が得られ、内部応力の残留も
少なく、適度な柔軟性と共に適度な腰や表面硬度をも備
えているので、立体成形時にしわやドローダウン等を発
生することもなく、表面の耐傷付き性等の表面物性も化
粧シートとして十分な水準のものが得られるからであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鶴田 由美子 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA21H AA23H AA37H AH07H AH08H AK25A AK41B AK51G AL01B BA02 CA13 CB02 GB07 GB08 GB48 GB81 HB00 HB01 HB21 HB31 JA05B JB07 JB16B JK07B JK16 JK20B JL01 JN01B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性アクリル系樹脂からなる基材シー
    トの表面に、熱可塑性ポリエステル系樹脂からなる透明
    樹脂層を具備することを特徴とする化粧シート。
  2. 【請求項2】前記熱可塑性ポリエステル系樹脂が、ガラ
    ス転移点が60℃以上85℃以下であり、引っ張り弾性
    率が100〜300kgf/mm2 である共重合ポリエ
    ステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の化
    粧シート。
  3. 【請求項3】前記熱可塑性アクリル系樹脂が、温度範囲
    60℃〜85℃における周波数10Hzに対する動的弾
    性率が4.0×108 Pa以上1.0×1010Pa以下
    であり、動的損失が6.0×107 Pa以上6.0×1
    8 Pa以下であることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の化粧シート。
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