JP4329277B2 - 化粧シート - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅などの建築物の内装や、造作材、建具等の建築資材、家具什器類、住設機器や家電製品等の表面化粧に使用するための化粧シートに関するものである。更に詳しくは、平面状基材への貼着は勿論のこと、該貼着後のVカット折り曲げ加工、凹凸基材へのラッピング加工や基材端部へのエッジ加工、更には複雑な三次元立体形状を有する基材への真空成形加工にも適用可能な化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的な化粧シートとしては塩化ビニル樹脂系化粧シートが使用されてきたが、近年、塩化ビニル樹脂は燃焼時に塩化水素ガスやダイオキシン等の有害物質を発生する可能性があるとして、非塩化ビニル系樹脂からなる化粧シートが求められる様になった。これを受けて、塩化ビニル樹脂系化粧シートの代替品として、例えば熱可塑性オレフィン系樹脂を使用した化粧シートなどが開発されている。
【0003】
しかしながら、熱可塑性オレフィン系樹脂は、非晶質のマトリックスの中に結晶部が分散した海島構造に起因して、Vカット加工やラッピング加工等の折り曲げ加工の際に、非晶質部と結晶部との間の微細な剥離による白化や亀裂等を発生し易いことや、複雑な三次元立体形状を有する基材の表面への真空成形加工の際に、非晶質部と結晶部とで熱軟化挙動が異なる為の不均一な変形による成形不良や、結晶部を十分に軟化させる温度では非晶質部が軟化し過ぎることによるドローダウン、高伸長部分における非晶質部と結晶部との間の微細な剥離による白化や亀裂などといった種々の問題を発生し易く、従来の塩化ビニル樹脂系化粧シートの代替品として種々の用途に十分に対応できる状況にはないのが実情である。
【0004】
そこで、真空成形の用途にも十分に対応可能な非塩化ビニル系化粧シートとして、上記熱可塑性オレフィン系樹脂に替えて、所謂共重合ポリエステル樹脂等の、均一な内部構造に起因して優れた熱成形性を有する非結晶性ポリエステル樹脂を使用した化粧シートも既に提案されている。ところが、非結晶性ポリエステル樹脂は、オレフィン系樹脂等と比較して、耐溶剤性に著しく劣っているので、非結晶性ポリエステル樹脂フィルムの表面に常用のグラビア印刷法等により通常の印刷インキを使用して着色層や絵柄層を形成して巻き取ると、印刷インキ中の希釈用の有機溶剤が印刷中にフィルムを膨潤させてフィルム内に残留し、これがフィルムの巻き取りにより印刷面に接触した1周前又は後のフィルムの裏面を侵すことにより、フィルム同士が印刷面を介して固く接着してしまって、フィルムの再度の引き取り(巻き取ってあったフィルムを巻きほぐすこと)ができなくなったり、巻き取り後のロールを平置きした場合に、置き跡部でフィルム同士の剥離性が低下したり、絵柄層が反対面に取られる等の、所謂ブロッキング現象が発生し易いという問題がある。
【0005】
また、基材シートの印刷面側に透明熱可塑性樹脂層が積層された所謂ダブリングタイプの化粧シートにあっては、溶剤分が残留した印刷済フィルムの印刷面に透明熱可塑性樹脂層を積層すると、フィルム内に残留していた溶剤分が積層後に気化して界面に気泡を形成する所謂フクレ現象や、該気泡部をきっかけとして積層したフィルム同士がその界面で分離してしまう剥離現象などを発生し易いという問題もある。こうした問題を回避するためには、印刷後に十分に乾燥を行うこと、すなわち、印刷速度を低下させることによって印刷後のフィルムの乾燥機内での滞留時間を長く確保するか、若しくは、通常の印刷速度で印刷して一旦巻き取った後、これを再度巻きほぐしつつ乾燥機に通す再乾燥を行う等の対策が必要となる。しかし、この様な対策は、作業時間の増大および作業性の低下につながるので、生産性上の大きな負荷となる。
【0006】
こうした問題を解消するために、所謂共重合ポリエステル樹脂等の非結晶性ポリエステル樹脂に替えて、それよりも耐溶剤性に優れた非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂等の結晶性ポリエステル樹脂を結晶化させない熱的条件下で成形したもの)を使用することも考えられ、結晶性のオレフィン系樹脂フィルムや通常の結晶化した二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム等に比較すれば折り曲げ加工性や真空成形性に優れた化粧シートが得られることが解っている。しかしながら、この非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂を基材シートに使用した化粧シートは、折り曲げ加工性や真空成形性の面では非結晶性ポリエステル樹脂を使用したものにはなお及ばず、急角度での折り曲げ加工や高低差の大きい複雑な三次元立体形状への真空成形加工等の用途への適用は困難であるのが実情であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記したような問題点を解決するためになされたものであって、その課題とするところは、塩化ビニル樹脂を使用しない環境に優しい化粧シートでありながら、優れた折り曲げ加工適性や真空成形加工適性を有し、しかも、製造過程における印刷済みフィルムのブロッキングや接着面のフクレ等の問題を発生することなく、高品質の各種化粧部材を生産性良く安定的に製造可能な化粧シートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の化粧シートは、非結晶性ポリエステル樹脂からなる基層と、該基層の両面に非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる層との共押出ポリエステル樹脂フィルムからなる基材シートの片面に絵柄層、透明熱可塑性樹脂層を具備し、前記基材シートは、厚さが50〜500μmであり、かつ前記基層は、基材シート全厚の占める厚さの比が40%以上であり、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる層は、5μm以上の厚さであることを特徴とするものである。
【0009】
特に、上記化粧シートにおいて、前記熱可塑性樹脂層は、厚さが50〜300μm範囲であることを特徴とするものである。
【0010】
また特に、上記化粧シートにおいて、前記基材シートの絵柄層の表面側に、さらに、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂のいずれか1種からなる層、若しくはそれらから選ばれる1種以上からなる複数層の積層体によって構成される透明熱可塑性樹脂層を具備することを特徴とするものである。
【0011】
また特に、上記化粧シートにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層が、非結晶性ポリエステル樹脂及び/又は非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂から選ばれたポリエステル系樹脂からなることを特徴とするものである。
【0012】
また特に、上記化粧シートにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層が、絵柄層側から順に、非結晶性ポリエステル樹脂からなる下層と、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる上層との、2層のポリエステル樹脂層の積層体であることを特徴とするものである。
【0013】
また特に、上記化粧シートにおいて、前記透明熱可塑性樹脂層が、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる下層及び上層の間に、非結晶性ポリエステル樹脂からなる中層が挟持されてなる、3層のポリエステル樹脂層の積層体であることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1〜図10は、それぞれ本発明の実施の形態を示す模式断面図である。
【0015】
本発明の化粧シートは、例えば図1に示す様に、非結晶性ポリエステル樹脂を主体とする基材シート1の表面に絵柄層2が設けられてなる化粧シートであって、基材シート1が、非結晶性ポリエステル樹脂からなる基層11の絵柄層2形成面すなわち表面側に、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる表層12を具備して構成されるものである。この例では、絵柄層2の表面には絵柄層2や基材シート1を保護するためのトップコート層5が設けられており、一方、基材シート1の裏面には、被貼着基材への貼着の際の接着性を向上するためのプライマー層7が設けられている。
【0016】
絵柄層2は、基材シート1の表面に設ける代わりに、基材シート1の裏面に設けることも可能である。その例を示したのが図2で、この例では、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる層は、非結晶性ポリエステル樹脂からなる基層11の表面側ではなく、裏面側に裏層13として設けられている。
【0017】
図1に示す例におけるプライマー層7又は図2に示す例におけるトップコート層5を設けない場合や、これらを溶剤を使用せずに(例.転写法、無溶剤型塗料の使用等)、若しくは非結晶性ポリエステル樹脂を侵さない溶剤を使用して(例.水性塗料の使用等)設ける場合には、図1又は図2に示す形態で何ら支障はないのであるが、これらを非結晶性ポリエステル樹脂を侵す溶剤を使用して設ける場合には、図3又は図4に示す様に、基材シート1としては、非結晶性ポリエステル樹脂からなる基層11の両面に、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる層である表層12及び裏層13を有してなる、3層構成の基材シート1を使用することが望ましい。特に、基材シート1を材質面及び構造面から表裏対称の構成とすると、熱伸縮等による反りが発生しにくく、取扱性に優れる利点がある。
【0018】
非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる裏層13は、本発明の化粧シートを溶剤型接着剤を使用して被貼着基材の表面に貼着する際に、非結晶性ポリエステル樹脂からなる基層12が接着剤に含有される溶剤によって膨潤し、これが貼着後に気化することによる貼着界面での気泡の発生(フクレ)や、該気泡をきっかけとした界面剥離等の現象を防止する上でも有効である。
【0019】
なお、必要に応じて、化粧シートの表面に凹凸模様のエンボス6を施したり(図4)、該エンボス6の凹部にワイピング法等により着色剤を充填するなどの、各種の装飾加工を本発明の化粧シートに付加することも、勿論可能である。
【0020】
本発明の化粧シートにおいて、基材シート1の主たる構成層である非結晶性ポリエステル樹脂からなる基層11は、本発明の化粧シート1に、Vカット加工やラッピング加工等の折り曲げ加工は勿論のこと、真空成形加工等の三次元成形加工にも十分対応可能な、優れた柔軟性や熱成形性を付与する目的で設けられるものである。非結晶性ポリエステル樹脂は、均一な非晶質構造のために極めて均一な成形性が得られ、折り曲げ加工時や熱成形加工時にネッキングや破断、白化、不均一な伸長による柄伸び等の成形不良を発生することが殆どないからである。
【0021】
上記非結晶性ポリエステル樹脂とは、通常の成形条件下では殆ど結晶化することのない程度に結晶化速度を遅くしたポリエステル樹脂であり、具体的には例えば、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸又はそのエステルと、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオールとの縮合重合反応において、ジカルボン酸成分として例えばセバシン酸、エイコ酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の長鎖脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸を導入したり、及び/又は、ジオール成分としてポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の両末端に水酸基を有するポリエーテル系ジオール及び/又は脂環族ジオールを導入する等して製造された共重合ポリエステル樹脂等がある。
【0022】
中でも最も代表的なものは、通称PET−Gとして市販されている1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂であり、該樹脂からなるシートとして具体的には例えば長瀬産業株式会社製「NAGASE A−PET」、理研ビニル工業株式会社製「リベスター」等として市販されているものなどを挙げることができる。この1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂は、柔軟で成形性に優れ、複雑な三次元立体形状の化粧材用基材2に対しても十分に追従可能であることは勿論のこと、ガラス転移温度が約80℃であることから、真空成形等の熱成形において、従来のポリ塩化ビニル樹脂製の化粧シートの場合と同様の成形条件で良好に成形可能である利点がある。
【0023】
上記基層11の絵柄層2形成面側に設けられている非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる表層12及び/又は裏層13は、基材シート1の表面及び/又は裏面に、柔軟性や熱成形性を阻害することなく、絵柄層2等の印刷形成時の溶剤の攻撃に耐える良好な耐溶剤性を付与する目的で設けられるものである。すなわち非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂とは、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の、本来は結晶性である通常の熱可塑性ポリエステル樹脂を、結晶化させない(好ましくは結晶化度5%以下)成形条件でシート状に製膜したものであり、結晶部を殆ど含まないことから、折り曲げ加工時や熱成形時等の変形によっても、結晶部と非結晶部との相のずれが発生しにくく、非結晶性ポリエステル樹脂よりは若干劣るものの比較的均一な成形性が得られ、ネッキングや破断、白化、柄伸び等の成形不良を発生しにくいことに加え、非結晶性ポリエステル樹脂よりも耐溶剤性には優れているからである。
【0024】
上記非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂としては、ガラス転移温度(樹脂種のほか製膜条件にも依存する)が65〜85℃程度のものを使用すると、真空成形等の熱成形において、従来のポリ塩化ビニル樹脂製の化粧シートの場合と同様の成形条件で良好に成形可能である利点がある。従ってこの目的には、ホモポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体等の、ポリエチレンテレフタレート系ポリエステル樹脂が最も適している。
【0025】
係る非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂としては、通称A−PET樹脂として市販されている純粋又は純粋に近いポリエチレンテレフタレート樹脂からなるものが最も一般的であり、具体的には例えば帝人株式会社製「テイジンテトロンシート(A−PET)」、東洋紡績株式会社製「東洋紡PETMAXシートAシリーズ」、鐘紡株式会社製「カネボウA−PETシート」等として市販されているものなどを挙げることができる。
【0026】
本発明の化粧シートにおいて、基材シート1の厚さには特に制限はなく、従来の同種の化粧シートにおけると同様であり、具体的には10〜1000μm程度の範囲内とされるのが一般的であり、中でも50〜500μm程度の範囲内が種々の用途に最も好適である。この基材シート1を構成する各層の内、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる層(表層12及び/又は裏層13)の厚さが薄過ぎると、絵柄層2等の印刷形成の際に要求される耐溶剤性が不十分となるので、その厚さは少なくとも1μm以上、より好ましくは5μm以上とするのが良い。但し、厚くしすぎると、相対的に非結晶性ポリエステル樹脂からなる基層11の厚さの比率が低下し、化粧シートの折り曲げ加工性や真空成形加工性の低下の原因となるので、一般的には、基材シート1の全厚に占める非結晶性ポリエステル樹脂からなる基層11の厚さの比率が少なくとも40%以上、より好ましくは60%以上となるように、各層の厚さを適宜設計することが望ましい。
【0027】
基材シート1を構成する各層の積層手段には特に制限はなく、例えば適宜の接着剤を介したウェットラミネート法又はドライラミネート法、感熱接着剤を介した又は介さない熱ラミネート法、いずれかの層の片面又は両面に他の層を溶融状態で押し出すと同時に積層する押出ラミネート法、各層を構成する樹脂をそれぞれ溶融して押し出すと同時に積層する共押出法等、従来公知の任意の手段が採用可能である。非結晶性ポリエステル樹脂と非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂とは相溶性が高く、積層界面において容易に強固な接着を形成するので、生産性に優れた共押出法が最も適していると言えよう。
【0028】
基材シート1には、必要に応じて例えば紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていてもよい。また、基材シート1は透明や半透明であってもよいし、着色剤の添加により着色透明や着色不透明とされていてもよいが、特に目的とする化粧シートに被貼着基材の表面の好ましくない色彩や欠陥等に対する隠蔽性が要求される場合には、基材シート1は例えば酸化チタン系顔料や酸化鉄系顔料、カーボンブラック等の不透明性顔料の添加により隠蔽性とされていることが望ましい。これらの添加物は、基材シート1を構成する全ての層に添加されていても良いし、一部の層のみに添加されていても良く、必要とされる特性に合わせて所望により適宜設計することが可能である。
【0029】
絵柄層2は、所望の意匠の絵柄を印刷等によって表現したものであり、その絵柄の種類や構成材料、形成方法等に関しては一切制限はない。一般的には、絵柄としては例えば木目柄や石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学模様、文字又は記号、或いはそれらの組み合わせ等であるが、単色無地(ベタ)であっても勿論構わない。基材シート1の隠蔽性が不十分である場合には、意匠絵柄と併用して若しくは単独で、不透明顔料を大量に含有する隠蔽ベタを設けることもできる。構成材料は、染料又は顔料等の着色剤を合成樹脂等の展色剤と共に適宜の溶剤中に溶解又は分散した印刷インキ又は塗料等を使用するのが一般的である。本発明の化粧シートにおいては、折り曲げ加工時や真空成形加工時のシートの伸びに追従可能な柔軟性を備えた材料によって構成することが望ましく、具体的には例えばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、繊維素誘導体等を展色剤とする印刷インキ又は塗料を使用することが望ましい。
【0030】
絵柄層2の形成方法としては、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、インクジェット印刷法、転写印刷法等の公知の印刷方法や、ベタ状の場合には例えばグラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法等の公知の塗工方法等を用いることができる。また、絵柄層2の印刷形成前に、被印刷面に予め例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、電離放射線処理、酸処理、アルカリ処理、アンカー処理又はプライマー処理等の易接着処理を施すことによって接着性を向上させることも、必要に応じて任意に実施することができる。
【0031】
本発明の化粧シートには、必要に応じて、表面に凹凸模様のエンボス6を施すことにより立体的な意匠感を付与することもできる。エンボス6の凹凸模様の種類にも特に制限はなく、例えば木目調(特に導管溝模様状)、石目調、布目調、和紙調、幾何学模様状等の各種の模様状であっても良いし、或いは例えば砂目状、梨地状等の艶消状や、スウェード状、皮革状、ヘアライン状、平行直線群又は平行直線群若しくはそれらの組み合わせ等であっても良い。また、これらのエンボス6の凹凸模様を絵柄層2の絵柄模様と同調させることによって更なる意匠性の向上を図ることもできるが、その必要がなければ非同調であっても良く、また、絵柄層2の絵柄と同調した模様と同調しない模様との両者を含む模様状のエンボス6を設けることもできる。なお、エンボス6の凹部には、必要に応じてワイピング法等の手法により着色剤を充填してもよく、これによってエンボス6による凹凸模様と同調した色彩模様を有する意匠性に優れた化粧シートを得ることができる。
【0032】
また、本発明の化粧シートには、必要に応じて、絵柄層2や基材シート1を外部からの物理的又は化学的刺激から保護するためのトップコート層5を設けることもできる。トップコート層5の材質は本発明において特に限定されるものではないが、各種表面物性の観点からは硬化型樹脂を使用することが望ましい。具体的には、例えばウレタン系樹脂、アミノアルキド系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系樹脂等の熱硬化型樹脂や、不飽和ポリエステル系樹脂、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂等の電離放射線硬化型樹脂等を用いることができる。
【0033】
中でも、表面硬度や耐摩耗性等の表面物性と、折り曲げ加工や三次元成形加工等に適した可撓性とのバランスに優れた、2液硬化型ウレタン系樹脂、すなわち、アクリルポリオール又はアクリルポリエーテルを主剤とし、イソシアネート硬化剤を添加して架橋硬化させる熱硬化型樹脂等が、本発明の目的には最も適している。トップコート層5の膜厚は、本発明において特に制限されるものではないが、物性面及び可撓性面の兼ね合いから、通常3〜20μm程度とするのが適当である。
【0034】
トップコート層5には必要に応じて、例えば紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、艶調整剤、滑剤、帯電防止剤、結露防止剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、着色剤、充填剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上を添加しても良い。また、トップコート層5は同種又は異種の2層以上から構成しても良く、例えば、シリカ、アルミナ、炭化珪素等の高硬度耐摩耗性粒子を含有する第1の層の上に、係る粒子を含有しない第2の層を設けて、耐摩耗性や耐傷付き性と表面光沢や表面平滑性との両立を図ったり、全面に設けられた第1の層の上に、それとは艶状態の異なる第2の層を任意の模様状に設けて、艶変化による視覚的な立体感を表現する等の応用も可能である。
【0035】
本発明の化粧シートを、各種の被貼着基材の表面に積層貼着した後に塗装を施す用途に供する場合には、トップコート層5としてリコート性(後塗装適性)を有する樹脂を選択するか、若しくはトップコート層5に代えて易接着層を設けておくといった応用も可能である。具体的には、例えば水酸基やカルボキシル基、アミノ基等の活性官能基を分子の末端又は側鎖に有する樹脂を採用したり、硬化性樹脂にあっては、硬化剤が不足又は過剰となる配合とするか、又は、硬化不完全な状態とすることによって、架橋反応性の官能基を残存させる等の手法が採用される。例えば、従来より屡々行われている様に、三次元立体形状を有する被貼着基材の表面に、真空成形法により化粧シートを成形積層貼着した後に、紫外線硬化型塗料による塗装を施す場合などに有用である。
【0036】
プライマー層7は、本発明の化粧シートを使用して各種の化粧材を作製するために、各種の被貼着基材の表面に積層貼着する際に使用される、例えばイソシアネート硬化型ウレタン樹脂系や変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン系等の各種のラミネート用接着剤との接着性を十分に確保する目的で、必要に応じて設けられるものである。その材質としては、例えばウレタン系、アクリル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、ポリアミド系等の各種のプライマー塗工剤が知られており、これらの中から基材シート1の材質及びラミネート用接着剤の種類に合わせたものを選んで使用する。例えば、ラミネート用接着剤として変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤を使用する場合には、ウレタン系プライマー剤で良好な接着が得られる。なお、プライマー層7に例えばシリカ等の無機質微粉末を添加しておくと、プライマー層7の表面が粗面化することにより、化粧シートの巻取保存時のブロッキングが防止できる他、投錨効果によるラミネート用接着剤との接着性の向上を図ることもできる。
【0037】
本発明の化粧シートは上記の他、例えば図5に示す様に、上述した基材シート1の表面側に、さらに透明熱可塑性樹脂層4を設けた構成とすることもできる。この様に構成すると、透明熱可塑性樹脂層4は、塗工法によって設けられるトップコート層5と比較して、十分に厚く設けることが可能であり、またその材質も、高分子量のため強靱性に優れ、しかも熱可塑性のため柔軟性にも優れた材質を用いることができるので、外的な物理的又は化学的刺激からの絵柄層2や基材シート1の保護の為にはより有効である。
【0038】
上記透明熱可塑性樹脂層4は、基材シート1上に接着剤層3を介してウェットラミネート法、ドライラミネート法又は熱ラミネート法等によって積層しても良いし、図6に示す様に、接着剤層3を介さずに直接(但し、基材シート1の表面側に絵柄層2が形成される場合には該絵柄層2を介して)熱ラミネート法、溶融押出ラミネート法等によって積層しても良い。
【0039】
なお、この透明熱可塑性樹脂層4の形成は、基材シート1が非結晶性ポリエステル樹脂からなる基層11の絵柄層2面側にのみ非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる層(図5及び図6では表層12)を有している場合にも、両面に有している場合(図7)にも、共に適用可能であることは言うまでもない。また、透明熱可塑性樹脂層4を溶融押出ラミネート法によって基材シート1上に積層形成する場合には、必要に応じて、図8に示す様に、基材シート1上に予めアンカー層31を形成しておいたり、及び/又は、透明熱可塑性樹脂層4の主たる構成層である上層41と基材シート1との間に、共押出法等の適宜の手段により、例えば不飽和カルボン酸(無水物)変性オレフィン系樹脂等の接着性樹脂層44を介在させることによって、基材シート1と透明熱可塑性樹脂層4との間での強固な密着性を確保することもできる。
【0040】
上記透明熱可塑性樹脂層4を構成する熱可塑性樹脂の種類には特に制限はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体金属水和物(所謂アイオノマー)等のオレフィン系共重合体樹脂等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂、アセチルセルロース、ニトロセルロース等の繊維素誘導体等、或いはこれらの2種以上の混合物、共重合体、積層体、複合体等からなるフィルム乃至シート状物を使用することができる。
【0041】
但し、近年頓に社会問題化しつつある環境問題への適応を考慮すると、例えばポリ塩化ビニル樹脂やポリフッ化ビニル樹脂等の様に塩素やフッ素等のハロゲン元素を含有する樹脂の使用は好ましくなく、非ハロゲン系樹脂を使用することが望ましい。中でも、市場での価格や流通量、調達の容易性を始め、化粧シートの構成材料としての適度の柔軟性と強度のバランスや、折曲や切断・切削、熱成形等の加工適性、耐摩耗性や耐溶剤性等の表面物性、耐候性等の各種の側面から見て、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂を採用することが最も好ましい。
【0042】
上記オレフィン系樹脂としては、上掲したものを始め、種々の単独重合体や共重合体が知られているが、中でも化粧シート用素材として最も好適なのはポリプロピレン系樹脂、すなわちポリプロピレンを主成分とする単独又は共重合体であり、具体的には、例えばホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、及び、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1、のコモノマーを15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体などを例示することができる。また、通常ポリプロピレン系樹脂の柔軟化に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、アタクチックポリプロピレン等の改質剤を添加することもできる。
【0043】
上記ポリプロピレン系樹脂の他に使用可能なオレフィン系樹脂としては、柔軟性や成形性と強度や腰とのバランスに優れた高密度ポリエチレンや、結晶性ポリオレフィン成分と非結晶性エラストマー成分との単純ブレンド、ブロック共重合体又は架橋体などからなり熱可塑性樹脂としての性質とエラストマーとしての性質とを兼ね備えたオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂(TPO)等を挙げることができる。
【0044】
また、上記アクリル系樹脂としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル等のアクリル酸誘導体を主成分として単独又は共重合して得られる熱可塑性樹脂を使用することができる。特に好ましくは、メチルメタクリレート等のメタクリル酸エステルを主成分とする樹脂であって、柔軟性や熱成形性の改善を目的として、例えばメタクリル酸ブチル等のメタクリル酸の長鎖アルキルエステルや、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸又はアクリル酸等から選ばれる単量体が共重合成分として添加され、所望の適宜の物性のフィルムが調製される。勿論、更に物性改善等の目的で他の適宜の共重合成分や添加剤等を併用することも差し支えない。
【0045】
また、上記ポリエステル系樹脂としては、前記したポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の汎用の結晶性のポリエステル樹脂であっても良いが、特に、折り曲げ加工や真空成形加工等の用途には、本発明において基材シート1に採用したものと同様の、柔軟性や熱成形性に優れた非結晶性ポリエステル樹脂や非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂を好適に使用することができる。
【0046】
透明熱可塑性樹脂層4には、必要に応じて例えば紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、充填剤、難燃剤、艶調整剤、帯電防止剤、結露防止剤、滑剤、抗菌剤、防黴剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていても良い。紫外線吸収剤としては例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等、光安定剤としては例えばヒンダードアミン系等、酸化防止剤としては例えばフェノール系、リン系やそれらの混合系等がそれぞれ代表的なものである。また、基材シート1と透明熱可塑性樹脂層4との間に絵柄層2が設けられる場合にあっても、少なくとも絵柄層2が透視可能な限りにおいて、透明熱可塑性樹脂層4に染料又は顔料等の着色剤が添加されて着色されていても良い。これらの各種の添加剤は、透明熱可塑性樹脂層4が複数層の積層体によって構成される場合には、それらの全ての層に添加されていても一部の層のみに添加されていても良く、所望の特性に応じて適宜設計すれば良い。
【0047】
透明熱可塑性樹脂層4の厚さには特に制限はないが、一般的には10〜500μm程度であり、中でも50〜300μm程度の範囲内が最も好適である。なお、この場合、化粧シート全体の厚さが50〜1000μm程度、より好ましくは100〜500μm程度の範囲内となる様に、基材シート1の厚さが設計される。
【0048】
透明熱可塑性樹脂層4を構成する樹脂の種類は、目的の化粧シートの用途や要求物性等に応じて適宜選定すれば良い。例えば、折り曲げ加工性や真空成形加工性等の後加工性の要求はさほど強くないが耐溶剤性や耐薬品性、耐擦傷性等の表面物性が強く要求される用途にはオレフィン系樹脂、後加工性に加えて高透明性や高耐候性が強く要求される用途にはアクリル系樹脂、後加工性に加え経済性やリサイクル適性が強く要求される用途にはポリエステル系樹脂、といった選択が考えられる。また、必要に応じて、これらオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれる同種又は異種の複数層を積層して構成することによって、それぞれの樹脂の利点を活かし欠点を補い合って、全体的にバランスの取れた特性を有する化粧シートを得ることも可能である。
【0049】
例えば、透明熱可塑性樹脂層4の材質としてポリエステル系樹脂を採用する場合、目的とする用途によっては、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂では折り曲げ加工性や真空成形加工性が不十分である一方、非結晶性ポリエステル樹脂では表面硬度や耐傷付き性、耐溶剤性等が不十分であるため、いずれを採用しても十分に満足すべき特性の化粧シートを得ることができないことがある。この様な場合には、図9に示す様に、透明熱可塑性樹脂層4を、加工性にはやや劣るが表面物性に優れた非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる上層41と、表面物性にはやや劣るが加工性に優れた非結晶性ポリエステル樹脂からなる下層42との2層から構成したり、或いは、図10に示す様に、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる上層41、非結晶性ポリエステル樹脂からなる中層43及び非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる下層43の3層から構成したりすることによって、加工性及び表面物性の両面で十分な特性を有する化粧シートを容易に実現することができる。
【0050】
例えば図1、図3、図4、図9、図10に示す様に、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる層を表面側に有する構成の化粧シートにあっては、被貼着基材の表面への貼着前、貼着時、貼着後の折り曲げ加工時又は折り曲げ加工後のいずれかの時点において、加熱処理により表面側の非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる層を部分的に結晶化(加熱条件にもよるが通常30〜60%程度)させると、表面硬度や耐傷付き性、耐溶剤性、耐薬品性等の各種表面物性を更に向上させることができる。特に、三次元立体形状を有する被貼着基材の表面に沿って真空成形法により熱成形すると同時に積層貼着する手法による場合には、該熱成形時の熱により、また該熱成形時に延伸される場合には熱及び延伸の効果により、成形・積層貼着と同時に表面側の非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる層を部分的に結晶化させて、優れた表面物性を発現させることができるので、各種表面物性に優れた化粧材を最も効率的に生産することができる利点がある。
【0051】
【実施例】
以下に本発明の化粧シートの具体的な実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳細に説明する。
【0052】
<実施例1>
非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ60μmの基層の両面に、非晶状態の結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ20μmの表層及び裏層を有する、厚さ100μmの着色3層共押出ポリエステル樹脂フィルムを基材シートとし、その表面に、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール及び酢酸エチルを主成分とする溶剤分を50重量%含有するウレタン系グラビア印刷インキを使用して、グラビア印刷法により木目柄の連続印刷を施して絵柄層を形成し、ロールの状態で1,000mを直径約15cmの紙管に巻き取った。
【0053】
次に、上記基材シートをロールから巻き出しつつ、その印刷面に、イソシアネート硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤を介して、厚さ100μmの透明ポリプロピレン樹脂フィルムを積層した。しかる後、該透明ポリプロピレン樹脂フィルム面に、熱ロールエンボス法により梨地状のエンボスを施し、さらに、2液硬化型ウレタン系樹脂を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工してトップコート層を形成すると共に、裏面にはウレタン系易接着プライマーを乾燥後の塗布量1g/m2に塗工してプライマー層を形成して、本発明の化粧シートを作製した。
【0054】
<実施例2>
非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ140μmの基層の両面に、非晶状態の結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ30μmの表層及び裏層を有する、厚さ200μmの着色3層共押出ポリエステル樹脂フィルムを基材シートとし、これに上記実施例1と同一の要領にて絵柄層を形成し、ロール状に巻き取った。
【0055】
次に、上記基材シートをロールから巻き出しつつ、その印刷面に、上記実施例1と同一の要領にて、厚さ500μmの透明ポリメチルメタクリレート樹脂フィルムを積層した。しかる後、該透明ポリメチルメタクリレート樹脂フィルム面に、熱ロールエンボス法により木目導管溝状のエンボスを施し、さらに、上記実施例1と同一の要領にてトップコート層及びプライマー層を形成して、本発明の化粧シートを作製した。
【0056】
<実施例3>
上記実施例2に用いたものと同一の絵柄印刷済基材シートの印刷面に、上記実施例1と同一の要領にて、非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ80μmの下層と、非晶状態の結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムからなる厚さ20μmの上層とからなる、厚さ100μmの透明2層共押出ポリエステル樹脂フィルムの下層面を貼り合わせた。しかる後、熱ロールエンボス法により木目導管溝状のエンボスを施し、さらに、上記実施例1と同一の要領にてトップコート層及びプライマー層を形成して、本発明の化粧シートを作製した。
【0057】
<実施例4>
上記実施例3において、透明2層共押出ポリエステル樹脂フィルムに代えて、非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ140μmの中層の表裏に、非晶状態の結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ各30μmの上層及び下層を有する、厚さ200μmの透明3層共押出ポリエステル樹脂フィルムを用い、その他は上記実施例3と全く同一の要領にて本発明の化粧シートを作製した。
【0058】
<実施例5>
上記実施例3において、透明2層共押出ポリエステル樹脂フィルムに代えて、非晶状態の結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ100μmの透明ポリエステル樹脂フィルムを用い、その他は上記実施例3と全く同一の要領にて本発明の化粧シートを作製した。
【0059】
<実施例6>
上記実施例3において、透明2層共押出ポリエステル樹脂フィルムに代えて、非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ100μmの透明ポリエステル樹脂フィルムを用い、その他は上記実施例3と全く同一の要領にて本発明の化粧シートを作製した。
【0060】
<比較例1>
上記実施例1において、着色3層共押出ポリエステル樹脂フィルムに代えて、非結晶性1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ100μmの着色ポリエステル樹脂フィルムを基材シートとし、その他は上記実施例1と全く同一の要領にて化粧シートを作製した。
【0061】
<比較例2>
上記実施例1において、着色3層共押出ポリエステル樹脂フィルムに代えて、厚さ100μmの着色ポリオレフィン系樹脂フィルムを基材シートとし、その他は上記実施例1と全く同一の要領にて化粧シートを作製した。
【0062】
<性能比較>
上記実施例1〜6及び比較例1〜2の化粧シートについて、以下の2通りの条件で被貼着基材の表面に貼着し、その仕上がり状態を評価した。
(1)真空成形加工:予めエマルジョン系接着剤(CVC555:コニシ株式会社製)をスプレー塗布し指触乾燥させた、4方2R曲面加工済みの中密度繊維板に、メンブレンプレス型の真空成形機にて真空成形積層貼着。
(2)ラッピング加工:化粧シートの裏面に溶剤系接着剤(5210:ノーテープ工業株式会社製)をナイフ塗布し指触乾燥後、角柱状基材の4面にラッピング積層貼着。
その結果を以下の表に示す。但し、剥離強度は被貼着基材と化粧シートとの間での180度剥離強度(単位[N/m])である。
【0063】
Figure 0004329277
【0064】
なお、上表において、比較例1の化粧シートで発生したフクレは、貼着前の化粧シートの状態で既に基材シートと透明ポリプロピレン樹脂フィルムとの界面に認められると共に、ラッピング加工にあっては、被貼着基材と化粧シートとの界面においても認められた(被貼着基材と化粧シートとの間の部分的なウキ)。また、比較例1の化粧シートは、印刷済基材シートを巻き取った際のブロッキングのため、一部に絵柄の不良(柄取られ)が認められた。
【0065】
【発明の効果】
以上詳細に説明した様に、本発明の化粧シートは、非結晶性ポリエステル樹脂を主体とする基材シートに絵柄層を設けた化粧シートにおいて、前記基材シートとして、非結晶性ポリエステル樹脂からなる基層の絵柄層形成面に、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる層を有する積層ポリエステル樹脂フィルムを採用したことにより、柔軟性や熱成形性に優れた非結晶性ポリエステル樹脂からなる基層を備えたことで、Vカット加工やラッピング加工、真空成形加工等にも十分に適用可能な後加工適性を備えると同時に、該基層の絵柄層形成側の面に、非結晶性ポリエステル樹脂よりも耐溶剤性に優れた非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる層を備えたことで、基材シートに絵柄層を印刷形成する際の印刷インキに含有される溶剤による基材シートの膨潤が抑えられ、基材シート中に溶剤分が残留しにくいので、印刷後のシートをロール状に巻き取った際のブロッキングや、ダブリングタイプの場合における積層界面でのフクレの発生や剥離等の問題を効果的に防止し、仕上がりに外観上の問題のない各種化粧部材を容易且つ安定的に製造することができるという顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図2】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図3】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図4】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図5】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図6】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図7】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図8】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図9】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図10】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【符号の説明】
1 基材シート
11 基層
12 表層
13 裏層
2 絵柄層
3 接着剤層
31 アンカー層
4 透明熱可塑性樹脂層
41 上層
42 下層
43 中層
44 接着性樹脂層
5 トップコート層
6 エンボス
7 プライマー層

Claims (6)

  1. 非結晶性ポリエステル樹脂からなる基層と、該基層の両面に非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる層との共押出ポリエステル樹脂フィルムからなる基材シートの片面に絵柄層、透明熱可塑性樹脂層を具備し、前記基材シートは、厚さが50〜500μmであり、かつ前記基層は、基材シート全厚の占める厚さの比が40%以上であり、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる層は、5μm以上の厚さであることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記熱可塑性樹脂層は、厚さが50〜300μm範囲であることを特徴とする請求項1記載の化粧シート。
  3. 前記基材シートの絵柄層の表面側に、さらに、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂及びポリエステル系樹脂のいずれか1種からなる層、若しくはそれらから選ばれる1種以上からなる複数層の積層体によって構成される透明熱可塑性樹脂層を具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記透明熱可塑性樹脂層が、非結晶性ポリエステル樹脂及び/又は非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂から選ばれたポリエステル系樹脂からなることを特徴とする請求項3に記載の化粧シート。
  5. 前記透明熱可塑性樹脂層が、絵柄層側から順に、非結晶性ポリエステル樹脂からなる下層と、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる上層との、2層のポリエステル樹脂層の積層体であることを特徴とする請求項4に記載の化粧シート。
  6. 前記透明熱可塑性樹脂層が、非晶状態の結晶性ポリエステル樹脂からなる下層及び上層の間に、非結晶性ポリエステル樹脂からなる中層が挟持されてなる、3層のポリエステル樹脂層の積層体であることを特徴とする請求項4に記載の化粧シート。
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