JP5736101B2 - 真空成形用化粧シート - Google Patents
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Description
一方、表面保護層として紫外線硬化性樹脂などの電離放射線硬化性樹脂を用い、加飾シートの表面保護層を形成する樹脂の架橋密度を高めることにより、加飾成形品の表面の耐摩耗性や耐擦傷性を向上させる試みがなされたが、成形の際に成形品曲面部にクラックが生じるという問題があった。
すなわち、本発明は、基材シートの上に装飾層、透明樹脂層及び表面保護層をこの順に積層してなる真空成形用化粧シートであって、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を45:55〜30:70の比率(質量比)で含む樹脂組成物を架橋硬化してなる真空成形用化粧シート、を提供するものである。
本発明の真空成形用化粧シート(以下、単に「化粧シート」ということがある)10は、基材シート11の上に装飾層12、透明樹脂層13、及び表面保護層14をこの順に積層してなる真空成形用化粧シートである。
本発明に係る基材シート11としては、真空成形適性を考慮して選定され、代表的には熱可塑性樹脂からなる樹脂シートが使用される。該熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」という)等が使用される。なお、基材シート11は、上述の樹脂の単層シート、あるいは同種又は異種樹脂による複層シートとして使用することもできる。
非晶質ポリエステル樹脂としては、市販されているものとして、例えば、イーストマンケミカル社製の商標「Eastar PETG 6763」(商品名)(押出グレード)が使用できる他、既に樹脂シートとなっているものとしては、鐘紡(株)による「カネボウPETシート」(商品名)、帝人(株)による「テイジンテトロンシート」(商品名)、電気化学工業(株)による「デンカA−PETシート」(商品名)、東洋紡績(株)による「東洋紡PETMAXシート」(商品名)、長瀬産業(株)による「NAGASE A−PETシート」(商品名)、ポリテック(株)による「ポリテックA−PETシート」(商品名)、SAEHAN社による「SAEHAN APET SEET」(商品名)、三菱化学(株)による「ノバクリアー」(商品名)、三井・デュポンポリケミカル社による「シーラーPT」(商品名)等が使用できる。なお、包装材料分野でA−PET(APETと表記することもある)と呼ばれている樹脂又は樹脂シートは、非晶質ポリエステル樹脂であり、PET−G(PETGと表記することもある)と呼ばれている樹脂又は樹脂シートも、非晶質ポリエステル樹脂である。
例えば、酸成分としては、テレフタル酸以外にも、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;脂環式ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
また、ジオール成分としては、上述の1,4−シクロヘキサンジメタノール以外の脂環式ジオール;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール;キシレングリコール等の芳香族ジオール等が挙げられる。
本発明に係る基材シート11は無色透明であってもよいが、着色透明又は着色不透明(着色隠蔽性)が好ましい。基材シート11を着色するには、後述する隠蔽層121及び絵柄層122で述べる様な公知の着色剤を樹脂中に添加すればよい。
本発明に係る基材シート11は、通常、樹脂シートとして用意され、その厚さは用途によるが、通常、50〜300μm程度である。また、基材シート11は単層の他に2層、3層等の複層構成であってもよく、2種以上の非晶質ポリエステル樹脂からなる積層シートであってもよい。
本発明に係る装飾層12は、化粧シート10の意匠性を高めるために設けられる層であり、隠蔽層121及び/又は絵柄層122により構成される。
隠蔽層121は、基材シート11の着色を隠蔽する全面ベタ層であって、この隠蔽層121の上に絵柄層122を積層する場合は、絵柄層122にあわせてその着色が選択される。また、基材シート11が隠蔽層として機能する場合は、隠蔽層121を設けなくてもよく、基材シート11の表面上に絵柄層122を印刷してもよい。
隠蔽層121は、通常は印刷インキ或いは塗料でグラビア印刷等の公知の印刷又はグラビアコート、ロールコート等の塗工法により形成することができる。隠蔽層121の厚さは1〜10μm程度であり、通常5μm程度である。
絵柄層122の厚さは、絵柄模様に応じて適宜選択すればよい。
上記インキ又は塗料は、上述の各種樹脂よりなるバインダーに加えて、顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。
上述の隠蔽層121又は絵柄層122は、金属薄膜層等でも良い。金属薄膜層の形成は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で製膜する。或いはこれらの組み合わせでもよい。該金属薄膜層は、全面に設けても、或いは、部分的にパターン状に設けてもよい。
透明樹脂層13は、絵柄層122が透視可能な様に、透明又は半透明(無着色又は着色)である樹脂層であって、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂などが好適に用いられる。特に、成形加工性の観点から、非晶質のポリエステル樹脂からなることが好ましい。
非晶質ポリエステル樹脂としては、上述の基材シート11に用いられる各種非晶質ポリエステル樹脂を用いることができる。透明樹脂層13に用いられる非晶質ポリエステル樹脂は、基材シート11に用いられる非晶質ポリエステル樹脂と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、単層の他に2層、3層等の複層構成であっても良く、2種以上の非晶質ポリエステル樹脂からなる積層シートであってもよい。透明樹脂層13に非晶質ポリエステル樹脂を使用する事により、真空成形性等の成形性、折曲加工性、及び被着体への接着性が特に良好となる。
(1)(A)アタクチックポリプロピレン10〜90質量%と(B)アイソタクチックポリプロピレン90〜10質量%との混合物からなる軟質ポリプロピレン、
(2)エチレン−プロピレン−ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマー、
(3)(A)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン重合体(結晶性高分子)と(B)部分架橋したエチレン−プロピレン共重合体ゴム、不飽和エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重合体ゴムを均一に配合し混合してなるオレフィン系エラストマー、
(4)(B)未架橋モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)と、(A)オレフィン系共重合体(結晶性、ハードセグメント)と架橋剤とを混合し、加熱し剪断応力を加えつつ動的に部分架橋させてなるオレフィン系エラストマー、
(5)(A)ペルオキシド分解型オレフィン重合体、(B)ペルオキシド架橋型モノオレフィン共重合体ゴム、(C)ペルオキシド非架橋型炭化水素ゴム、及び(D)パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油系軟化剤を混合し、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理してなるオレフィン系エラストマー、
(6)エチレン−スチレン−ブチレン共重合体からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー、などである。
なお、透明樹脂層(単層ではなく、多層の場合は全体として)の厚さは、用途、層構成(単層、多層)等によるが、通常は10〜400μm程度である。
なお、上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系等の有機物の紫外線吸収剤の他に、粒径0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を用いることができる。
また、光安定剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を用いることができる。
表面保護層14は、本発明の化粧シート10に耐摩耗性、耐擦傷性や耐汚染性等を付与する目的で、透明樹脂層13の上に積層される。本発明の化粧シートは、該表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を45:55〜30:70の質量比で含有する樹脂組成物を架橋硬化してなることが特徴である。
電離放射線硬化性樹脂は、電磁波又は荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線等を照射することにより、架橋、硬化するものをいう。
電離放射線硬化性樹脂としては、従来公知の化合物を適宜使用すればよく、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用される重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。以下に代表例を記載する。
より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が好ましい。
また、メタクリル酸メチルと他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体においては、メタクリル酸メチルに由来する構成単位100モルに対して、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位が0.1〜200モルの範囲であることが好ましい。メタクリル酸メチルに由来する構成単位100モルに対して、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位が上記範囲内であると、耐摩耗性、耐擦傷性、耐溶剤性が向上する。
なお、(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
なお、ここで重量平均分子量とは、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算のものである。ここで用いる溶媒としては通常用いられるものを適宜選択して行うことができ、例えば、テトラヒドロフラン(THF)又はN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)などが挙げられる。
また、前記(メタ)アクリル酸系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、55〜150℃の範囲が好ましく、60〜110℃がさらに好ましい。ガラス転移温度(Tg)を低くすると、塗工性は向上する傾向にあるが、その反面、架橋硬化し表面保護層を形成した後の成形性及び表面の耐摩耗性、耐擦傷性のいずれも低下する傾向にある。上記範囲内とすることで、架橋硬化して表面保護層を形成した後の成形性及び表面の耐摩耗性、耐擦傷性のいずれも高いレベルで得ることができる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
上記シリコーン(メタ)アクリレートの含有量は、表面保護層の表面張力が所望の範囲となるように適宜調節すればよいが、耐汚染性の向上とその使用効果を十分に得る観点から、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して0.5〜4質量部が好ましく、1.0〜2.5質量部がより好ましい。また、シリコーン(メタ)アクリレートの官能基当量(分子量/官能基数)としては、例えば1000〜20000の条件を有するものが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでも良い。有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル等が挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2'−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
上記耐摩耗性向上剤としては、無機物が好ましく、中でもシリカが最も好ましい。シリカは耐摩擦性を向上させ、かつ表面保護層の透明性を阻害しない。シリカとしては従来公知のシリカから適宜選択して用いることが可能であり、例えば、コロイダルシリカを好適に挙げることができる。コロイダルシリカは、添加量が増えた場合であっても、透明性に影響を及ぼし難く、また流動性も損なわないため印刷に与える影響が少なく、好ましい。
シリカの粒子径としては、1次粒子径が5〜1000nmのものを用いることが好ましく、10〜50nmのものがさらに好ましく10〜30nmのものが特に好ましい。1次粒子径が1000nm以下のシリカを用いると透明性が確保される。また、用いるシリカの1次粒子径は一種類である必要はなく、異なる1次粒子径のシリカを混合して用いることも可能である。
シリカの含有量としては、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜20重量部の割合であることが好ましい。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の公知の着色用顔料等が用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
このようにして調製された樹脂組成物を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると、所望の機能を有する表面保護層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜10μm程度である。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚さが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された表面保護層14には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等を付与することもできる。
120%以上であることがさらに好ましい。一方、伸び率についての上限は特に限定されないが、伸び率が大きいほど、耐擦傷性が劣る傾向があるため、通常500%以下であることが好ましく、400%以下であることがさらに好ましい。
ここで、伸び率はJIS K7113−1995に準拠して測定した値であり、具体的には、2号試験片を用い、試験温度120℃、試験速度1000mm/min±10%の条件で測定したものである。
化粧シート10が真空成形金型に密着した後、化粧シート10を冷却し、成形した化粧シート10から真空成形金型をはずし、固定枠から成形された化粧シート10をはずす。真空成形は通常80〜130℃程度、好ましくは90〜120℃程度で行われる。
(評価方法)
1.成形性
各実施例及び比較例にて製造した化粧シートについて、真空成形機((有)STI製「曲面接着真空プレス」)を用いて成形加工を行い、曲面部におけるクラックの発生の有無について、目視にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
○;クラックなし
△;小さなクラックがやや認められる
×;クラックが認められる
JIS K7113−1995に準拠して測定した。具体的には、2号試験片を用い、試験温度120℃、試験速度1000mm/min±10%の条件で測定した。
各実施例及び比較例にて製造した化粧シートについて、タオルラビング試験により評価した。松村(株)製のガーゼを用い、荷重1.5kgの条件で表面保護層を50往復擦った。評価は目視により行い、評価基準は以下のとおりである。
◎;全く傷がつかない
○;傷がほとんど目立たない
△;わずかに傷がつく
×;大きい傷がつく
基材シート11として、非晶質ポリエステル樹脂〔イーストマンケミカル社製、商標「Easter PETG 6763」〕に、カレンダー性を良くするために滑剤(エチレンビスステアリン酸アミド)を添加し、着色剤としてチタン白、黄鉛、弁柄を主体とする着色顔料を添加して、黄褐色に着色した着色樹脂をカレンダー法により成膜して、厚さ150μmで隠蔽性の着色樹脂シートを用意した。次に、この着色樹脂シートの片面に、全面ベタ層である隠蔽層121をグラビアコートし、その上に木目模様の絵柄層122をグラビア印刷により形成して印刷シートとした。隠蔽層121及び絵柄層122は、バインダーの樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との1対1質量比の混合樹脂を使用し、着色剤に弁柄及びカーボンブラックを種々の配合比率で使用した着色インキを用いた。
該透明樹脂層13の上に下記配合内容の樹脂組成物をグラビアリバース法で塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、該樹脂組成物を架橋硬化させて表面保護層14を得た。
(樹脂組成物の組成)
(1)電子線硬化性樹脂である2官能ウレタンアクリレート(オリゴマー)と熱可塑製樹脂であるポリメタクリル酸メチル(Tg;105℃、重量平均分子量;62000、数平均分子量;37000)の45:55(質量比)混合物 100質量部
(2)2官能シリコーンメタクリレート 1質量部
(3)コロイダルシリカ(1次粒子径10〜15μmの複核体) 10質量部
表面保護層14を形成する樹脂組成物中の、電子線硬化性樹脂(表中ではEBと記載)と熱可塑性樹脂(表中ではTPと記載)の配合比率を第1表に示すように変更し、添加剤として用いる2官能シリコーンメタクリレート及びコロイダルシリカの含有量を第1表に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを製造した。実施例1と同様に評価した結果を第1表に示す。
11 基材シート
12 装飾層
121 隠蔽層
122 絵柄層
13 透明樹脂層
14 表面保護層
Claims (5)
- 基材シートの上に装飾層、透明樹脂層及び表面保護層をこの順に積層してなる真空成形用化粧シートであって、前記基材シートが非晶質ポリエステル樹脂を含有する層の単層で形成されてなり、前記透明樹脂層が非晶質のポリエステル樹脂からなり、前記基材シートの非晶質ポリエステル樹脂と、前記透明樹脂層の非晶質ポリエステル樹脂とが同一種であり、前記表面保護層が電離放射線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を45:55〜30:70の比率(質量比)で含む樹脂組成物を架橋硬化してなる真空成形用化粧シート。
- 前記熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂である請求項1に記載の真空成形用化粧シート。
- 前記基材シートの非晶質ポリエステル樹脂及び前記透明樹脂層の非晶質ポリエステル樹脂が、酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールを併用した共重合樹脂である請求項1又は2に記載の真空成形用化粧シート。
- 前記電離放射線硬化性樹脂が電子線硬化性樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の真空成形用化粧シート。
- JIS K7113−1995に準拠し、2号試験片を用い、試験温度120℃、試験速度1000mm/min±10%により測定した伸び率が80%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の真空成形用化粧シート。
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