JP5217484B2 - 化粧シート - Google Patents

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本発明は化粧シートに関し、詳しくは基材としてポリ乳酸樹脂を用いる化粧シートに関する。
従来、化粧シートとしては、ポリ塩化ビニル系樹脂からなるシートを利用したものが主に用いられてきた。ポリ塩化ビニル系のシートは印刷適性、エンボス加工適性に優れ、化粧シートに加工しやすいだけでなく、Vカット、ラッピング等の後加工性にも優れており、また安価であるという利点がある。
一方、耐熱性や表面の耐汚染性を向上させる目的で、ポリ塩化ビニル系樹脂に代わる素材としてスチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリアミド系、エステル系等の熱可塑性エラストマーやEVA(エチレンビニルアルコール共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、アクリル樹脂などを用いた化粧シートが用いられてきた。
しかしながら、これらの素材を使用した化粧シートは、廃棄処分した際に樹脂がそのままゴミとして永久に残ってしまい、自然環境保護の観点から好ましくないという問題点があり、廃棄処分して放置しても自然に消滅し得る化粧シートとして、ポリ−L−乳酸を主成分とするポリ乳酸系樹脂シートからなる基材シートに装飾処理を施し、該基材シートに表面保護層を積層した化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、近年、炭酸ガス排出量増加に伴う地球温暖化といった環境問題の観点から、石油を原料としない、上述のポリ乳酸系樹脂などの非石油系の樹脂が注目されている。すなわち、これらはバイオマスを利用したプラスチックであり、開発当初は生分解性樹脂として注目を集めたものが、最近では植物由来樹脂との観点から見直されている。植物由来の樹脂は、その樹脂中の炭素が、大気中の炭酸ガスを光合成によって固定化した炭素であり、その後焼却廃棄しても、炭酸ガスの総量を増加させるものではなく、いわゆる「カーボンニュートラル」な材料である。
このような植物由来の樹脂のうち、各種物性と量産化の可能性などを考慮すると上記ポリ乳酸樹脂が有望であり、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を用いた成型品などが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、ポリ乳酸樹脂は剛性が高いためにフィルムや包装材など、柔軟性が要求される用途には必ずしも適切ではなく、柔軟性の高いものが求められていた。柔軟性を向上させる方法として、可塑剤を添加する方法があるが、可塑剤がブリードアウトする可能性があり、実用的ではない。
また、柔軟性を向上させる方法として、ポリ乳酸に脂肪族成分を加えた樹脂成分と有機過酸化物成分を溶融混練して得られるポリ乳酸系樹脂組成物が提案されている(特許文献3参照)。さらには、基材層に印刷インキ受容層を積層してなる印刷フィルムであって、基材層がポリ乳酸と乳酸系ポリエステルを含む乳酸系ポリエステルフィルムからなり、印刷インキ受容層が非晶性のポリ乳酸、又はポリ乳酸と乳酸系ポリエステルを含む非晶性の乳酸系ポリエステル組成物からなる印刷フィルムが提案されている(特許文献4参照)。
これらのポリ乳酸系樹脂組成物又は乳酸系ポリエステル組成物は、柔軟性の向上が期待されるが、基材の組成自体を変更する方法であるため、製造が煩雑である。そこで、従来のポリ乳酸樹脂を基材として用い、製造が簡便であり、環境負荷が低く、柔軟性があって、後加工が可能な化粧シートが切望されていた。
特開平11−129426号公報 特開2006−137908号公報 特開2001−26658号公報 特開2003−94586号公報
本発明は、このような状況下で、環境保護の観点から好適であって、かつ、柔軟性を有し、優れた加工適性を有する化粧シートを提供するものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂組成物からなる基材上に、特定のウレタン樹脂組成物からなる着色層を有し、かつ電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面保護層を有する化粧シートが、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に、少なくとも着色層及び表面保護層を有する化粧シートであって、基材がポリ乳酸樹脂組成物からなり、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化したものであり、かつ、着色層がウレタン樹脂組成物からなり、該ウレタン樹脂組成物の伸び率が100〜400%である化粧シート、
(2)着色層を構成するウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)が−50〜−20℃である上記(1)に記載の化粧シート、
(3)着色層を構成するウレタン樹脂組成物が、ウレタン樹脂と顔料を含み、該顔料の固形分の質量とウレタン樹脂の固形分の質量の比率(PV比)が1.8〜3.0である上記(1)又は(2)に記載の化粧シート、
(4)電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化粧シート、
(5)基材と着色層の間にプライマー層を有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の化粧シート、
(6)前記顔料がチタニアである上記(3)〜(5)のいずれかに記載の化粧シート、及び
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の化粧シートを基板に貼付した化粧板、
を提供するものである。
本発明によれば、環境保護の観点から好適であって、炭酸ガスの排出量を抑制することができ、しかも柔軟性を有し、優れた加工適性を有する化粧シートを提供することができる。
本発明の化粧シートは、基材上に、少なくとも着色層及び表面保護層を有し、基材がポリ乳酸樹脂組成物からなり、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化したものであり、かつ、着色層がウレタン樹脂組成物からなる。
本発明の化粧シートの典型的な構造を、図1を用いて説明する。図1は本発明の化粧シート1の断面を示す模式図である。図1に示す例では、基材2上に全面を被覆する一様均一なプライマー層3、着色層4、絵柄層5、第2プライマー層6、及び表面保護層7がこの順に積層されたものである。
本発明で用いられる基材2はポリ乳酸樹脂組成物からなる。ポリ乳酸樹脂は、トウモロコシやジャガイモなどの植物原料や植物性の食品廃棄物などから得たデンプンを発酵などの方法によって乳酸とし、該乳酸を重合して得られるものである。
本発明において使用されるポリ乳酸は、L−乳酸、D−乳酸又はDL−乳酸単位を主成分とする重合体又はこれらの重合体の混合物であり、乳酸の光学異性体を共重合したものであってもよい。すなわち、L−乳酸に対してD−乳酸を、D−乳酸に対してL−乳酸を共重合したものでもよい。また、該ポリ乳酸は、少量の共重合成分として他のヒドロキシカルボン酸等を含んでいてもよい。
ポリ乳酸樹脂の重合方法としては特に限定されず、例えば縮合重合法、開環重合法等により製造することができる。縮合重合法では、上記L−乳酸、D−乳酸又はこれらの混合物を直接脱水縮合重合してポリ乳酸樹脂を得る。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調節剤等を用いながら、適当な触媒を使用してポリ乳酸樹脂を得る。
本発明で使用されるポリ乳酸樹脂は、重量平均分子量が5万〜40万の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が5万以上であると、耐熱性等において良好な物性を得ることができ、40万以下であると良好な成形加工性を得ることができる。以上の点から、ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は10万〜25万の範囲がより好ましい。
なお、本発明における基材2を構成するポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂の他に他の樹脂を有していてもよいが、環境保護の観点からは、樹脂成分中、ポリ乳酸樹脂の含有量は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%であることが特に好ましい。また、ポリ乳酸樹脂組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤等の各種の添加剤を加えることができる。
本発明の化粧シートにおける基材2は、上記ポリ乳酸樹脂組成物を、例えば溶融押出法によりフィルム状基材として製造することができる。該基材は延伸しても、また無延伸でもよい。延伸する場合は1軸延伸のもの及び2軸延伸のもののいずれも用いることができるが、通常は2軸延伸したものが、基材の結晶化が進むことにより、耐久性に優れたものとなるため好ましい。さらに、80〜120℃程度で加熱処理(アニーリング)して耐熱性、耐熱収縮性を付与することもできる。また、2軸延伸した基材は、透明度も高い。なお、延伸倍率は2〜4倍程度が好ましい。一方、無延伸の基材は塑性変形しやすく成形性が良好である。
本発明で使用する基材の厚さは、通常20〜100μm程度であり、加工性等を考慮するとさらに40〜50μmの範囲が好ましい。
また、該基材2には、隠蔽性を付与する目的で、顔料及び/又は染料を配合してもよい。顔料としては、無機顔料と有機顔料とに分類することができ、無機顔料としては、酸化チタン白、亜鉛華、鉛白、カーボンブラック、弁柄、朱、黄鉛、群青、コバルト青、コバルト紫、ジンククロメートなどが挙げられる。有機顔料としては、フタロシアニン系、ジオキサジン系、アントラキノン系などの顔料が挙げられ、代表的なものとして、キナクリドン、ウォッチアングレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
また染料としては、天然染料と合成染料に分類することができ、天然染料としては、インジゴ(藍)等が代表される。合成染料としては、アゾ染料、インジゴイド染料、硫化染料、ニトロ染料、ニトロソ染料等が挙げられる。これらの顔料および染料は、1種または2種以上併用して使用することができ、耐光性に優れ、基材に隠蔽性を持たせるようにするためには、無機顔料が最適である。
また、本発明における基材2は、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理のうち、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
次に、図1に示されるプライマー層3は、基材2と着色層4との密着性を向上させる目的で、所望により設けられる層であり、プライマー層3を構成する材料としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル変性ポリウレタン樹脂、アクリル/ウレタン共重合系樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、基材2と着色層3との接着性を向上させ、かつ、後述する着色層の機能とあいまって、本発明の化粧シートに柔軟性と優れた加工適性を付与するものである。
これらの樹脂の重量平均分子量(Mw)は1万〜10万の範囲が好ましい。重量平均分子量が1万以上であると、印刷時にブロッキングを生じないという利点があり、一方、10万以下であると、印刷時の塗工液の粘度を低くすることができるために塗工適性に優れる。以上の観点から、重量平均分子量は2万〜6万の範囲がさらに好ましい。
また、これらの樹脂のTgは−50〜50℃の範囲が好ましい。Tgが50℃以下であると、化粧シートが柔軟であり、十分な加工性を付与することができる。一方、Tgの下限値については特に制限はないが、通常−50℃程度である。
また、プライマー層3を構成する樹脂組成物中には、着色層4を印刷する際のインキの転移性を上げ、意匠性を向上させる目的でシリカ粒子を含有していてもよい。シリカ粒子の粒径としては、1〜10μm程度のものが好ましく、2〜5μmの範囲のものがさらに好ましい。
シリカの含有量としては、プライマー層3を構成する樹脂組成物中に0.1〜5質量%の範囲で含有することが好ましく、1〜3質量%の範囲がさらに好ましい。
図1に示される着色層4は、化粧シートの意匠性を高める目的で設けられ、隠蔽層、あるいは全面ベタ層とも称されるものである。着色層は基材2上の表面の色を整えることで、基材2自身が着色していたり、色ムラがあるときに形成して、基材2の表面に意図した色彩を与えるものである。通常不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。
本発明においては、着色層4はウレタン樹脂と顔料を含むウレタン樹脂組成物によって構成されることが好ましく、該ウレタン樹脂組成物の伸び率が100〜400%であることが特徴である。該伸び率が100%以上であると、該着色層4に柔軟性を持たせることができ、剛性の高いポリ乳酸樹脂組成物からなる基材を用いても、表面保護層に基材への追随性を付与することができ、表面保護層にクラック等を生じさせない。一方、該伸び率が400%以下であると、印刷時にブロッキングを生じることがない。以上の観点から、着色層を構成するウレタン樹脂組成物の伸び率は150〜300%の範囲であることが好ましい。
着色層4を構成するウレタン樹脂組成物は、ウレタン樹脂と顔料以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で他の樹脂成分を含んでいてもよいが、全樹脂成分に対して、ウレタン樹脂は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。さらには、他の樹脂成分を含有せず、ウレタン樹脂100質量%であることが最も好ましい。
上記伸び率の測定方法は以下のような方法による。
(伸び率の測定方法)
MD方向(Machine Direction、フィルム成形時の押出し方向)及びCD方向(Cross Direction、MD方向に対して垂直な方向)のいずれの方向にも900%以上の伸び率を有する厚さ90μmのポリプロピレンフィルム上に、7g/m2の塗布量でウレタン樹脂組成物を塗布し、ポリプロピレンフィルムのMD方向に沿って、縦120mm、横25mmのダンベル形状とし、40mm/分の速度でMD方向に引張り、ウレタン樹脂組成物の割れが生じた時点での伸び率を測定する。
着色層に用いられるウレタン樹脂としては、上記伸び率を示すものであれば特に限定されるものではなく、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物を反応して得られる通常のウレタン樹脂を用いることができる。
ここで用いられるウレタン樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が−50℃〜−20℃であるものが好ましい。Tgが−20℃以下であると、着色層に柔軟性を持たせることができ、表面保護層に基材への追随性を付与することができる。一方、Tgの下限値については、特に制限はないが、ウレタン樹脂においては、通常−50℃程度である。
また、ウレタン樹脂の重量平均分子量としては、1万〜10万の範囲であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲内であると、十分な柔軟性が得られ、かつ印刷時のブロッキング性、及び塗工粘度の点でも有利である。以上の観点から、ウレタン樹脂の重量平均分子量は2万〜6万の範囲であることがさらに好ましい。
また、着色層を構成するウレタン樹脂組成物は、上述のように、化粧シートの隠蔽を目的とするものであり、通常白色の顔料が添加される。顔料の種類としては特に制限はなく、一般に白色顔料として用いられるものを使用することができる。具体的には、隠蔽性が良好なチタニアが好適に用いられる。
該顔料の含有量については、該顔料の固形分の質量とウレタン樹脂の固形分の質量の比(以下「PV比」という)として、1.8〜3.0の範囲が好ましい。PV比が1.8以上であると十分な隠蔽性が得られ、一方、PV比が3.0以下であると化粧シートの柔軟性が向上する。以上の観点から、PV比は1.9〜2.6の範囲がさらに好ましい。
図1に示される絵柄層5は基材2に装飾性を与えるものであり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、オーク、チーク、ウォルナット等の柾目又は板目状の木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層5の形成に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。特に木目の「照り」をよく表現するためには、パール顔料や金属顔料などの光輝性顔料を添加することが好ましい。
次に、表面保護層7は電離放射線樹脂組成物によって構成される。電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
本発明において、電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、後に詳述するように、表面保護層を構成する未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。
また本発明における硬化性樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
本発明において、表面保護層7の形成方法としては特に制限はないが、前記の電離放射線硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。これらの塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
上述のようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
また、本発明の化粧シートにおいては、表面保護層7と着色層4又は絵柄層5との間に第2プライマー層6を塗工することができる。第2プライマー層6は、絵柄層5の凹凸をならし、また、表面保護層7と着色層4又は絵柄層5との接着性を向上させるために用いられるものである。
第2プライマー層6を構成する樹脂組成物としては、特に制限はないが、本発明の化粧シートに柔軟性を付与するとの観点から、上述のプライマー層3で用いるのと同様の樹脂組成物を使用することが好ましい。
本発明の化粧シートは、各種基板に貼着して化粧板として使用することができる。即ち、基板に接着剤層を介して本発明の化粧シートを貼着するものである。
被着体となる基板は、特に限定されず、プラスチックシート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの基板、特にプラスチックシートを基板として用いる場合には、化粧シートとの密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
プラスチックシートとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等からなるものを用いることができ、またこれらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。
木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材等が挙げられる。これらは単独で、または積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル、火山灰を主原料とした板等が例示される。
これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基材として使用できる。
また該基板はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。被着体となる基板としては各種素材の平板、曲面板等の板材、或いは上記素材が単体か或いは複合された立体形状物品(成形品)が対象となる。
化粧シートに、和紙、洋紙、合成紙、不織布、織布、寒冷紗、含浸紙、合成樹脂シート等の裏打ち材を貼着して用いてもよい。裏打ち材を貼着することにより、化粧シート自体の補強、化粧シートの割れや破け防止、接着剤の化粧シート表面への染み出し防止等の作用がなされ、不良品の発生が防止されると共に、取り扱いが容易となることとなり、生産性を向上させることができる。
このようにして接着剤を介して枚葉ごとにあるいは連続して化粧シートが載置された基板を、コールドプレス、ホットプレス、ロールプレス、ラミネーター、ラッピング、縁貼り機,真空プレス等の貼着装置を用いて圧締して、化粧シートを基板表面に接着し、化粧板とする。
接着剤はスプレー、スプレッダー、バーコーター等の塗布装置を用いて塗布する。この接着剤には、酢酸ビニル樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、イソシアネート系等の接着剤を、単独であるいは任意混合した混合型接着剤として用いられる。接着剤には、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、クレー、チタン白等の無機質粉末、小麦粉、木粉、プラスチック粉、着色剤、防虫剤、防カビ剤等を添加混合して用いることができる。一般に、接着剤は固形分を35〜80質量%とし、塗布量50〜300g/m2の範囲で基板表面に塗布される。
化粧シートの基板上への貼着は、通常、本発明の化粧シートの裏面に接着剤層を形成し、基板を貼着するか基板の上に接着剤を塗布し、化粧シートを貼着する等の方法による。
以上のようにして製造される化粧板は、また、該化粧板を任意切断し、表面や木口部にルーター、カッター等の切削加工機を用いて溝加工、面取加工等の任意加飾を施すことができる。そして種々の用途、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装または外装材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の表面化粧板、キッチン、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装、外装等に用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、以下の方法で評価した。
(1)折り曲げ試験
化粧シートを180度折り曲げて、表面保護層の割れの度合いを目視にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎;割れが全く見られなかった
○;曲げた部分のごく一部で軽微な割れが見られた
△;曲げた部分の数箇所で割れが見られた
×;曲げた部分の殆どの箇所で割れが見られた
(2)揉み試験
化粧シートを手で揉み、表面保護層の剥離の度合いを目視にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎;剥離が全く見られなかった
○;揉んだ部分のごく一部で軽微な剥離が見られた
△;揉んだ部分の数箇所で剥離が見られた
×;揉んだ部分の殆どの箇所で剥離が見られた
(3)伸び率(%)
明細書本文中に記載する方法にて測定した。なお、ウレタン樹脂組成物の塗布は、(株)グラボウ製グラビア印刷試験機「GP10」を用い、伸び率の測定は、(株)オリエンテック製「テンシロン万能試験機」を用いた。
実施例1
厚さ50μmの白色ポリ乳酸樹脂フィルム(三菱樹脂(株)製「エコロージュSW」)よりなる基材2の表面に、ポリエステル変性ポリウレタン樹脂(重量平均分子量;30000、Tg;23℃)にシリカ(平均粒径;3.5μm)を2.2質量%含有するポリウレタン樹脂組成物を、乾燥重量で3g/m2塗布することによりプライマー処理を行い、プライマー層3を形成した。
次いで、ポリウレタン樹脂(重量平均分子量(Mw);55000、Tg;−30℃)に白色顔料としてチタニアをPV比2.4となるように加え、硬化剤としてヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネートを加えたポリウレタン樹脂組成物を、乾燥重量で10g/m2塗布することにより着色層4を形成した。着色層4の上に、ニトロセルロース・アルキッド系樹脂(ザ・インクテック(株)製、KL−MAX)からなるインキを使用して木目模様の絵柄層5をグラビア印刷した。
次に絵柄層5の上に、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネートを15質量部添加させたアクリルポリオール樹脂から構成される第2プライマー層6を設け、その上に、3官能アクリレートモノマーであるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリアクリレートを60質量部と6官能アクリレートモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを40質量部、平均粒子径5μmのシリカ粒子15質量部及びシリコーンアクリレートプレポリマー1質量部よりなる電子線硬化性樹脂組成物を5g/m2 でグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層7を形成した。次いで、70℃で24時間の養生を行い、化粧シートを得た。この化粧シートについて上記方法にて評価した。その結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1において、着色層4を構成するポリウレタン樹脂組成物として、ポリウレタン樹脂(重量平均分子量(Mw);30000、Tg;−40℃)に白色顔料としてチタニアをPV比2.5となるように加え、硬化剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートを加えたポリウレタン樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。この化粧シートについて、実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
実施例3
実施例1において、着色層4を構成するポリウレタン樹脂組成物として、ポリウレタン樹脂(重量平均分子量(Mw);30000、Tg;−40℃)に白色顔料としてチタニアをPV比2.0となるように加え、硬化剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートを加えたポリウレタン樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。この化粧シートについて、実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において、着色層4を構成するポリウレタン樹脂組成物として、ポリウレタン樹脂(重量平均分子量(Mw);25000、Tg;−10℃)に白色顔料としてチタニアをPV比4.0となるように加えたポリウレタン樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。この化粧シートについて、実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
比較例2
実施例1において、着色層4を構成するポリウレタン樹脂組成物に代えて、アクリルポリオール樹脂とポリウレタン樹脂(伸び率:100%未満)の1:1(質量比)混合物(重量平均分子量(Mw);25000、Tg;15℃)に白色顔料としてチタニアをPV比2.5となるように加え、硬化剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートを加えた樹脂組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。この化粧シートについて、実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
比較例3
実施例1において、着色層4を構成するポリウレタン樹脂組成物に代えて、アクリルポリオール樹脂(重量平均分子量(Mw);2万、Tg;50℃)に白色顔料としてチタニアをPV比2.5となるように加え、硬化剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートを加えた樹脂組成物を用いたこと、及びプライマー層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。この化粧シートについて、実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
Figure 0005217484
本発明の化粧シートは、基材としていわゆるカーボンニュートラルな材料を用いているので、炭酸ガスの排出量を抑制することができる環境に配慮した化粧シートであり、しかも、柔軟性を有し、優れた加工適性を有する化粧シートである。
本発明の化粧シートの一例を示す断面模式図である。
符号の説明
1.化粧シート
2.基材
3.プライマー層
4.着色層
5.絵柄層
6.第2プライマー層
7.表面保護層

Claims (7)

  1. 基材上に、少なくとも着色層及び表面保護層を有する化粧シートであって、基材がポリ乳酸樹脂組成物からなり、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化したものであり、かつ、着色層がウレタン樹脂組成物からなり、該ウレタン樹脂組成物の伸び率が100〜400%であり、前記着色層を構成するウレタン樹脂組成物が、ウレタン樹脂と顔料とを含み、該顔料の固形分の質量とウレタン樹脂の固形分の質量の比率(PV比)が1.8〜2.0であり、前記ウレタン樹脂の重量平均分子量が2万〜6万である化粧シート。
  2. 着色層を構成するウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)が−50〜−20℃である請求項1に記載の化粧シート。
  3. 電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 基材と着色層の間にプライマー層を有する請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 着色層と表面保護層との間に第2プライマー層を有する請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 前記顔料がチタニアである請求項〜5のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シートを基板に貼付した化粧板。
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