JP5076786B2 - 真空成形用化粧シート及び真空成形用化粧シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、真空成形に用いられる化粧シートに関するものである。
従来より、例えばキッチン扉や学童机用部材等の様に、複雑な三次元立体形状を有する化粧材の製造に当たっては、目的とする化粧材の三次元立体形状に予め成形した木質基材等の化粧材用基材の表面上に、熱可塑性樹脂製の化粧シートを加熱軟化しつつ展張し、該化粧シートの化粧材用基材側の空間を減圧し、必要に応じ反対側の空間を加圧することにより、該化粧シートを前記化粧材用基材の表面の三次元立体形状に沿って成形しつつ貼着積層する、いわゆる真空成形法が広く採用されている。
上記真空成形法としては、化粧シートの加熱及び化粧シートの化粧材用基材側の空間と反対側の空間との圧力差による化粧シートの化粧材用基材表面への押圧力の賦課を、化粧シートの化粧材用基材とは反対側に展張したシリコーンゴム膜等の可撓性且つ弾力性のメンブレンゴムを介して行う、いわゆるメンブレンプレス法と、該メンブレンゴムを使用せずに、化粧シートを直接加熱すると共に、化粧シート自体を押圧力賦課媒体として行う、いわゆるメンブレンレスプレス法とがある。我が国においては、従来よりメンブレンプレス法の真空成形機が中心として用いられている。
これらの真空成形に用いられる化粧シートの基材シートとして、従来は、塩化ビニル樹脂シートが多用されてきたが、最近では、それに替わってポリオレフィン系樹脂シート等の非塩ビ系の樹脂シートが使用される様になってきた。しかし、基材シートとしてポリオレフィン系樹脂を用いると、真空成形性が不十分な場合があった。この為、被着体の凹凸面へ真空成形積層法等で化粧シートをラミネートする場合に、化粧シートの凹凸追従性が不十分となったり、熱成形加工の適正条件幅が狭かったり(特に高結晶性ポリオレフィンを用いた場合)、或いは、化粧シートが延ばされる部分でネッキングが発生して局所的に不均一な伸びが発生したりする事があった。また、Vカット加工等の折曲加工性が不十分な場合があり、白化、亀裂、割れを生じ易かった。
これらの問題を解決すべく、基材シートとしてポリオレフィン樹脂及び/又は非晶質ポリエステル樹脂を用いるものが提案されている(特許文献1〜4参照)。
しかしながら、ポリオレフィン樹脂及び/又は非晶質ポリエステル樹脂を基材シートとして使用した化粧シートにおいても、依然として、折曲加工性が不十分な場合があり、真空成形により、木質基材等の化粧材用基材の角部に対応する化粧シートの角部が白化する問題があった。
特開2002−36460号公報 特開2002−36474号公報 特開2002−67242号公報 特開2002−67243号公報
本発明は、このような状況下で、真空成形後の化粧シートの角部が白化しない真空成形用化粧シートを提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、化粧シートの引張特性を改良することにより、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、基材シートの上に装飾層を積層し、装飾層の上に透明樹脂層を積層してなる真空成形用化粧シートであって、該真空成形用化粧シートの100℃における上降伏応力が20〜250N/cm2であることを特徴とする真空成形用化粧シートを提供するものである。
本発明によれば、真空成形後の化粧シートの角部が白化しない真空成形用化粧シートを提供することができる。
以下、本発明を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の真空成形用化粧シートの一実施態様の断面を示す模式図である。
本発明の真空成形用化粧シート10(以下、単に「化粧シート10」ということがある)は、基材シート11の上に装飾層12を積層し、装飾層12の上に透明樹脂層13を積層し、さらに所望により透明樹脂層13の上に表面保護層14を積層してなる真空成形用化粧シートである。そして、本発明の真空成形用化粧シート10の100℃における上降伏応力が20〜250N/cm2であることを特徴とする。低荷重負荷時でも伸びる化粧シートは真空成形後の化粧シートの角部が白化し易いが、低荷重負荷時でも伸びにくい、即ち、上降伏応力が20N/cm2以上である化粧シートは真空成形後の化粧シートの角部が白化しないことを本発明者らが見出したのである。この観点から、上降伏応力は、好ましくは25〜250N/cm2、より好ましくは30〜250N/cm2である。また、250N/cm2以内であれば、化粧シートの凹凸追従性や折曲加工性を良好に確保できる。
また、本発明の化粧シート10は、100℃における収縮率が1.2%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.8%以下であることがさらに好ましい。100℃における収縮率が1.2%以下であれば、真空成形後の化粧シートの収縮が少なく、化粧材基材から化粧シートが剥がれる浮きが見られない。
本発明に係る基材シート11は、非晶質ポリエステル樹脂からなることが好ましい。そして、基材シート11に非晶質ポリエステル樹脂を使用する事により、真空成形性等の成形性、折曲加工性、及び被着体への接着性が良好となる。
上記非晶質ポリエステル樹脂としては、市販されているものとして、例えば、イーストマンケミカル社製の商標「Eastar PETG 6763」(商品名)(押出グレード)が使用出来る他、既に樹脂シートとなっているものとしては、鐘紡株式会社による「カネボウPETシート」(商品名)、帝人株式会社による「テイジンテトロンシート」(商品名)、電気化学工業株式会社による「デンカA−PETシート」(商品名)、東洋紡績株式会社による「東洋紡PETMAXシート」(商品名)、長瀬産業株式会社による「NAGASE A−PETシート」(商品名)、ポリテック株式会社による「ポリテックA−PETシート」(商品名)、SAEHAN社による「SAEHAN APET SEET」(商品名)、三菱化学株式会社による「ノバクリアー」(商品名)、三井・デュポンポリケミカル社による「シーラーPT」(商品名)等が使用できる。なお、包装材料分野でA−PET(APETと表記することもある)と呼ばれている樹脂又は樹脂シートは、非晶質ポリエステル樹脂であり、PET−G(PETGと表記することもある)と呼ばれている樹脂又は樹脂シートも、非晶質ポリエステル樹脂である。
非晶質ポリエステル樹脂の酸成分及びジオール成分は、例えば上記イーストマンケミカル社製の「Eastar PETG 6763」の場合は、酸成分にはテレフタル酸を、ジオール成分にはエチレングリコールの他の更に1,4−シクロヘキサンジメタノールを併用した共重合樹脂である。エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの割合を調整する事で、結晶化速度を約ゼロとする事ができると言われている。また、この割合を調整する事で、物性を調整する事も出来る。
上記は非晶質ポリエステル樹脂の酸成分及びジオール成分の一例であったが、本発明で使用する非晶質ポリエステル樹脂としては、この他の酸成分及びジオール成分から構成される樹脂でも非晶質を呈する樹脂であれば構わない。例えば、酸成分としては、テレフタル酸以外にも、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸の芳香族ジカルボン酸、或いは脂環式ジカルボン酸、或いは、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。また、ジオール成分としては、上述1,4−シクロヘキサンジメタノール以外のその他の脂環式ジオール、或いは、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、キシレングリコール等の芳香族ジオール等が挙げられる。非晶質ポリエステル樹脂は、通常、ジオール及び酸成分の合計が3種以上となる様に、これらの、1種又は2種以上のジオール成分と、1種又は2種以上の酸成分との共重合体として得られる。なお、非晶質とは結晶化を全く起こさない様な樹脂でも良いが、非結晶性を呈する部分と共に結晶性を呈する部分を有する樹脂でも良い。また、非晶質ポリエステル樹脂には結晶性ポリエステル樹脂が混合されていても良い。
本発明に係る基材シート11は無色透明であっても良いが、着色透明又は着色不透明(着色隠蔽性)が好ましい。基材シート11を着色するには、後述する隠蔽層121及び絵柄層122で述べる様な公知の着色剤を樹脂中に添加すれば良い。
本発明に係る基材シート11は、通常、樹脂シートとして用意され、その厚さは用途によるが、通常、50〜300μm程度である。また、基材シート11は単層の他に2層、3層等の複層構成であっても良く、2種以上の非晶質ポリエステル樹脂からなる積層シートであっても良い。
本発明に係る装飾層12は、化粧シート10の意匠性を高めるために設けられる層であり、隠蔽層121及び/又は絵柄層122により構成される。
隠蔽層121は、基材シート11の着色を隠蔽する全面ベタ層であって、この隠蔽層121の上に絵柄層122を積層する場合は、絵柄層122にあわせてその着色が選択される。また、基材シート11が隠蔽層として機能する場合は、隠蔽層121を設けなくても良く、基材シート11表面上に絵柄層122を印刷しても良い。
隠蔽層121は、通常は印刷インキ或いは塗料でグラビア印刷等の公知の印刷又はグラビアコート、ロールコート等の塗工法により形成すれば良い。隠蔽層121の厚さは1〜10μm程度であり、通常5μm 程度である。
本発明において、所望により、隠蔽層121の上に積層される絵柄層122は、模様や文字等とパターン状の絵柄を表現する層である。絵柄層122の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字等からなる絵柄である。絵柄層122は、通常は、印刷インキでグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、昇華転写印刷、インキジェット印刷等公知の印刷法により形成する。
絵柄層122の厚さは、絵柄模様に応じて適宜選択すれば良い。
本発明に係る装飾層12を構成する隠蔽層121及び/又は絵柄層122に用いられるインキ又は塗料のバインダーとして、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、或いは、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン樹脂等を、1種又2種以上混合して用いる。但し、塩素化ポリオレフィン樹脂は塩化ビニル樹脂同様に塩素を含有する樹脂となる為、本発明の非塩ビ系の化粧シートとしては、好ましくは使用しない方が良い。上記インキ又は塗料は、上述の各種樹脂よりなるバインダーに加えて、顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。
上記インキ又は塗料に用いる着色剤としては、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノンイエロー、ハンザイエローA、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮、等の金属粉末からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料、蛍光顔料等を、1種又は2種以上混合して用いる。
上述の隠蔽層121又は絵柄層122は、金属薄膜層等でも良い。金属薄膜層の形成は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で製膜する。或いはこれらの組み合わせでも良い。該金属薄膜層は、全面に設けても、或いは、部分的にパターン状に設けても良い。
透明樹脂層13は、絵柄層122が透視可能な様に、透明又は半透明(無着色又は着色)である樹脂層であって、ポリオレフィン系樹脂からなるものであっても良いが、真空成形後の化粧シート10の角部が白化することを防止する観点からは非晶質ポリエステル樹脂からなることが好ましい。
非晶質ポリエステル樹脂としては、上述の基材シート11に用いられる各種非晶質ポリエステル樹脂が用いられる。透明樹脂層13に用いられる非晶質ポリエステル樹脂は、基材シート11に用いられる非晶質ポリエステル樹脂と同じであっても良いし、異なっていても良い。また、単層の他に2層、3層等の複層構成であっても良く、2種以上の非晶質ポリエステル樹脂からなる積層シートであっても良い。透明樹脂層13に非晶質ポリエステル樹脂を使用する事により、真空成形性等の成形性、折曲加工性、及び被着体への接着性が特に良好となる。
一方、透明樹脂層13に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(低密度、中密度、又は高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレンランダム共重合体(例えば、メタロセン触媒アイソタクチックエチレン−プロピレンランダム共重合体)、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂、或いは各種のオレフィン系熱可塑性エラストマーが用いられる。オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば下記のものが使用できる。
(1)(A) アタクチックポリプロピレン10〜90質量%と(B) アイソタクチックポリプロピレン90〜10質量%、との混合物からなる軟質ポリプロピレン。
(2)エチレン−プロピレン−ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマー。
(3) (A) ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン重合体(結晶性高分子)と(B) 部分架橋したエチレン−プロピレン共重合体ゴム、不飽和エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重合体ゴムを均一に配合し混合してなるオレフィン系エラストマー。
(4)(B) 未架橋モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)と、(A) オレフィン系共重合体(結晶性、ハードセグメント)と架橋剤とを混合し、加熱し剪断応力を加えつつ動的に部分架橋させてなるオレフィン系エラストマー。
(5) (A)ペルオキシド分解型オレフィン重合体、(B)ペルオキシド架橋型モノオレフィン共重合体ゴム、(C)ペルオキシド非架橋型炭化水素ゴム、及び(D) パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油系軟化剤、とを混合し、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理してなるオレフィン系エラストマー。
(6)エチレン−スチレン−ブチレン共重合体からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー。
透明樹脂層13の形成は、基材シート11上に隠蔽層121及び/又は絵柄層122を積層した上に、予め熔融押出法、カレンダー法等の公知の成膜方法によってシート(フィルム)化した樹脂シートをドライラミネーション、又は熱融着によって積層する事で形成できる。或いは、透明樹脂層13を構成する樹脂を、隠蔽層121及び/又は絵柄層122を積層した上に、熔融押出塗工法(EC法)によって成膜と同時に形成しても良い。
なお、透明樹脂層(単層ではなく、多層の場合は全体として)の厚さは、用途、層構成(単層、多層)等によるが、通常は10〜400μm程度である。
また、透明樹脂層13中には、その透明性又は半透明性を損なわない範囲で必要に応じ、充填剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤を添加しても良い。透明樹脂層13を半透明な層として用いる場合は、例えば、透明樹脂層13中に微粒子シリカ等を適宜添加し、半透明にすれば良い。
なお、上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系等の有機物の紫外線吸収剤の他に、粒径0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を用いることができる。光安定剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を用いることができる。
本発明の化粧シート10は、本発明の化粧シート10に耐摩耗性、耐傷付性や耐汚染性等を付与する目的で、所望により、透明樹脂層13の上に表面保護層14を積層しても良い。表面保護層14としては、例えばウレタン系樹脂やアクリル系樹脂等により形成される表面保護層や、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる表面保護層を挙げることができる。なかでも電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる表面保護層が特に好ましく、後述の形成方法により形成することができる。
表面保護層14に好ましく用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、電磁波又は荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線等を照射することにより、架橋、硬化する電離放射線硬化性樹脂と、その他の所望の成分とからなる組成物である。
表面保護層14に用いられる電離放射線硬化性樹脂としては、従来公知の化合物を適宜使用すれば良く、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用される重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。以下に代表例を記載する。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであれば良く、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート等が挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、中でもラジカル重合性不飽和基を持つアクリレート系オリゴマーが好ましく、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等が挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール等が挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
表面保護層14に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物には、シリコーン(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。シリコーン(メタ)アクリレートは、電離放射線硬化性樹脂との相乗効果により、主に化粧シート10に耐汚染性等の表面物性を付与する目的で添加されるものである。シリコーン(メタ)アクリレートは、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのうち、又は片方乃至両方の末端に(メタ)アクリル基を導入した変性シリコーンオイルの中の一つである。シリコーン(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものが使用でき、有機基が(メタ)アクリル基であれば特に限定されず、該有機基を1〜6つ有する変性シリコーンオイルを好ましく用いることができる。また、変性シリコーンオイルの構造は、置換される有機基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、有機基の結合位置には、特に制限はない。
上記シリコーン(メタ)アクリレートの含有量は、表面保護層の表面張力が所望の範囲となるように適宜調節すれば良いが、耐汚染性の向上とその使用効果を十分に得る観点から、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して0.5〜4質量部が好ましく、1.0〜2.5質量部がより好ましい。また、シリコーン(メタ)アクリレートの官能基当量(分子量/官能基数)としては、例えば1000〜20000の条件を有するものが挙げられる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる表面保護層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでも良い。有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル等が挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2'−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば、有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。粒径は、通常膜厚の10〜200%程度とする。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール等が、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物等が用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の公知の着色用顔料等が用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
表面保護層14の形成に電離放射線硬化性樹脂組成物を用いる場合は、まず、重合性モノマーや重合性オリゴマー等の電離放射線硬化性樹脂、必要に応じて用いられるシリコーン(メタ)アクリレート、及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合して得られる、電離放射線硬化性樹脂組成物を調製する。この電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であれば良く、特に制限はないが、必要に応じて溶剤を添加しても良い。
このようにして調製された電離放射線硬化性樹脂組成物を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると、所望の機能を有する表面保護層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
次いで、上記の未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚さに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚さが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された表面保護層14には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等を付与することもできる。
本発明の化粧シート10の用途は特に限定されず、真空成形により積層可能な各種被着体に用いられる。被着体は各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)等である。例えば、木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる木質板素材、鉄、アルミニウム等の板材、立体形状物品或いはシート等として用いられる金属素材、ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯業系素材、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品或いはシート等として用いられる樹脂素材等が挙げられる。
被着体に本発明の化粧シート10を積層する真空成形方法としては、固定枠に固定した化粧シート10が軟化する所定の温度になるまでシリコーンゴムシートを介してヒーターで加熱し、加熱され軟化した化粧シート10に真空成形金型を押し付け、同時に真空成形金型から真空ポンプ等で空気を吸引し化粧シート10を真空成形金型にしっかりと密着させる。必要に応じ、更に適宜化粧シート10側からの圧空押付けを併用しても良い。
化粧シート10が真空成形金型に密着した後、化粧シート10を冷却し、成形した化粧シート10から真空成形金型をはずし、固定枠から成形された化粧シート10をはずす。真空成形は通常80〜130℃程度、好ましくは90〜120℃程度で行われる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、真空成形用化粧シートの上降伏応力及び収縮率並びに真空成形後の成形品の角部白化性及びシボ追従性は、下記の方法に従って測定した。
1.上降伏応力
上降伏応力の定義は、JIS Z2241:1998に記載された「上降伏応力」による。JIS Z2241:1998によれば、上降伏応力とは、「最初に力の減少が観測される瞬間の応力の値」をいう。測定は、JIS K7113−1995に準拠して実施した。具体的には、2号試験片を用い、試験温度100℃、試験速度H(200mm/min±10%)により上降伏応力を測定した。
2.収縮率
1辺12cmの正方形の化粧シート10の中心部分を通る流れ方向(MD)10cmと幅方向(TD)10cmの直線を形成し、化粧シートを100℃、1分間加熱後室温まで急冷し、流れ方向(MD)及び幅方向(TD)の前記直線の収縮後の長さを測り、収縮後の面積{収縮後の流れ方向(MD)の長さ×収縮後の幅方向(TD)の長さ}を測定した。
{(元の面積100cm2−収縮後の面積)/(元の面積100cm2)}×100を収縮率(%)とした。
ここで、流れ方向とは、化粧シート10の巻き出し巻き取りの長手方向をいい、幅方向とは、流れ方向の直角方向をいう。
3.角部白化性
真空成形後の成形品の角部白化性を以下の基準で目視により評価した。
◎:角部白化が全く認められなかった。
○:微細な角部白化があったが、成形品の商品性が低下する程ではなかった。
×:角部白化が認められ、成形品の商品性が低下した。
4.シボ追従性
真空成形後の成形品のシボ追従性を以下の基準で目視により評価した。
◎:成形品の凹部の浮きが全く認められなかった。
○:成形品の深い凹部の浮きがわずかに認められたが、成形品の商品性が低下する程ではなかった。
×:成形品の凹部の浮きが認められ、成形品の商品性が低下した。
実施例1
基材シート11として、非晶質ポリエステル樹脂〔イーストマンケミカル社製、商標「Easter PETG 6763」〕に、カレンダー性を良くするために滑剤(エチレンビスステアリン酸アミド)を添加し、着色剤としてチタン白、黄鉛、弁柄を主体とする着色顔料を添加して、黄褐色に着色した着色樹脂をカレンダー法により成膜して、厚さ100μmで隠蔽性の着色樹脂シートを用意した。次に、この着色樹脂シートの片面に、全面ベタ層である隠蔽層121をグラビアコートし、その上に木目模様の絵柄層122をグラビア印刷により形成して印刷シートとした。隠蔽層121及び絵柄層122は、バインダーの樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との1対1質量比の混合樹脂を使用し、着色剤に弁柄及びカーボンブラックを種々の配合比率で使用した着色インキを用いた。
次に、非晶質ポリエステル樹脂〔イーストマンケミカル社製、商標「Easter PETG 6763」〕をTダイからの溶融押出法により、厚さ200μmで無着色の透明樹脂層13を成膜した。
さらに、透明樹脂層13の上に下記配合内容のシリコーンアクリレート系電離放射線硬化性樹脂を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアダイレクト法で塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化させて、表面保護層14を得た。
シリコーンアクリレート系電離放射線硬化性樹脂含有組成物の組成内容
(1)ウレタンアクリレート(オリゴマー) 84質量部
(2)2官能シリコーンアクリレート 2質量部
(3)ワックス 5質量部
(4)シリカ 5質量部
(5)紫外線吸収剤 4質量部
次いで、上記印刷シートと、表面保護層を有した透明樹脂層を熱融着法により積層し、厚さ310μmの化粧シートを得た。得られた化粧シートの上降伏応力及び収縮率を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
透明樹脂層13として、非晶質ポリエステル樹脂〔イーストマンケミカル社製、商標「Easter PETG 6763」〕の樹脂2層の間に、ポリテック株式会社による「ポリテックA−PETシート」(商品名)の層が挟み込まれた2種3層構造の樹脂シートを同時押出法により、厚さ250μmの無色透明の樹脂シートを成膜した。この樹脂シートを透明樹脂層13として用いた以外は、実施例1と同様にして厚さ360μmの化粧シートを得た。得られた化粧シートの上降伏応力及び収縮率を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
透明樹脂層13として、非晶質ポリエステル樹脂〔イーストマンケミカル社製、商標「Easter PETG 6763」〕に、カレンダー性を良くするために滑剤(エチレンビスステアリン酸アミド)を添加し、カレンダー法により成膜して、厚さ200μmの無色透明の樹脂シートを用意した。この樹脂シートを透明樹脂層13として用いた以外は、実施例1と同様にして厚さ310μmの化粧シートを得た。得られた化粧シートの上降伏応力及び収縮率を測定した。結果を表1に示す。
次に、実施例1及び2と比較例1の3種類の化粧シートを深い凹凸を有するMDF(中密度繊維板)に100℃で真空成形し、成形品を得た、これら3種類の成形品の角部白化性及びシボ追従性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005076786
表1から分かるように、実施例1及び2の化粧シートは、比較例1と比較して、いずれも上降伏応力が高く、角部白化性が良好であった。更に、実施例1及び2の化粧シートは、比較例1と比較して、いずれも収縮率が低く、シボ追従性が良好であった。
本発明の真空成形用化粧シートは、真空成形後の成形品において、角部白化しにくく、シボ追従性も良好であるので、建築物の外装、内装、建具、家具、車両内装等の表面装飾等に用いられる化粧シートとして、各種の真空成形品に好適に用いられる。
本発明の真空成形用化粧シートの一実施態様の断面を示す模式図である。
符号の説明
10 化粧シート
11 基材シート
12 装飾層
121 隠蔽層
122 絵柄層
13 透明樹脂層
14 表面保護層

Claims (7)

  1. 非晶質ポリエステル樹脂からなる基材シートの上に装飾層を積層し、装飾層の上に非晶質ポリエステル樹脂からなる透明樹脂層を積層してなる真空成形用化粧シートであって、前記基材シートがカレンダー法により成膜され、前記透明樹脂層が溶融押出法により成膜されてなり、該真空成形用化粧シートの100℃における上降伏応力が20〜250N/cm2であることを特徴とする真空成形用化粧シート。
  2. 前記真空成形用化粧シートの100℃における収縮率が1.2%以下である請求項1に記載の真空成形用化粧シート。
  3. 前記透明樹脂層が2種の非晶質ポリエステル樹脂を3層積層した複層構成からなる請求項1又は2に記載の真空成形用化粧シート。
  4. 前記基材シートが2種以上の非晶質ポリエステル樹脂からなる積層シートである請求項1〜3のいずれかに記載の真空成形用化粧シート。
  5. 前記透明樹脂層の上に表面保護層を積層してなる請求項1〜4のいずれかに記載の真空成形用化粧シート。
  6. 前記表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる請求項5に記載の真空成形用化粧シート。
  7. カレンダー法により成膜した非晶質ポリエステル樹脂からなる基材シートの上に装飾層を積層した後、当該装飾層上に、非晶質ポリエステル樹脂を溶融押出し法により成膜した透明樹脂層を熱融着により積層する、100℃における上降伏応力が20〜250N/cm 2 である真空成形用化粧シートの製造方法。
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