JP4802819B2 - 化粧シート及び化粧シートの製造方法 - Google Patents
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Description
このような表面化粧板に使用される化粧シートには、ラミネート加工、ラッピング加工、Vカット加工などの二次加工のための適度な柔軟性、切削性、耐破断性などの加工適性、使用状態における耐候性、耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤性、表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性など、種々の特性が要求される。
こうした要求を満たすために、上記加工適性を十分に満足する基材を用い、該基材の表面に表面保護層を施すことが行われており、表面保護層としては電離放射線硬化性樹脂組成物が好ましく用いられている(例えば、特許文献1参照)。
(1)基材上に少なくとも表面保護層を有する化粧シートであって、該表面保護層が硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、かつ、該表面保護層の表面に表面張力が30dyne/cm以上である部分(a)が存在することを特徴とする化粧シート、
(2)前記部分(a)以外の部分の表面張力が22.6dyne/cm未満である上記(1)に記載の化粧シート、
(3)前記部分(a)がコロナ放電処理又はプラズマ処理されたものである上記(1)又は(2)に記載の化粧シート、
(4)プラズマ処理が大気圧プラズマ処理である上記(3)に記載の化粧シート、
(5)表面保護層を構成する硬化性樹脂組成物中に表面張力降下剤を含有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の化粧シート、
(6)前記表面張力降下剤がシリコーン化合物又はフッ素化合物である上記(5)に記載の化粧シート、
(7)硬化性樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂組成物である上記(1)〜(6)のいずれかに記載の化粧シート、
(8)電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である上記(7)に記載の化粧シート、
(9)基材がポリエステル樹脂フィルムである上記(1)〜(8)のいずれかに記載の化粧シート、
(10)電離放射線硬化性樹脂組成物が(メタ)アクリレート系モノマーを含有してなる上記(7)〜(9)のいずれかに記載の化粧シート、
(11)(メタ)アクリレート系モノマーが多官能性(メタ)アクリレート系モノマーである上記(10)に記載の化粧シート、
(12)電離放射線硬化性樹脂組成物がさらに重合性オリゴマーを含有してなる上記(10)又は(11)に記載の化粧シート、
(13)上記(1)〜(12)のいずれかに記載の化粧シートを基板に貼付した化粧板、及び
(14)表面保護層の表面の少なくとも一部をコロナ放電処理又はプラズマ処理する上記(1)〜(12)のいずれかに記載の化粧シートの製造方法
を提供するものである。
本発明の化粧シートの典型的な構造を、図1を用いて説明する。図1は本発明の化粧シート1の断面を示す模式図である。図1に示す例では、基材2上に全面を被覆する一様均一なプライマー層5、絵柄層3、硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面保護層4がこの順に積層されたものである。
これらの基材、特にプラスチックフィルムやプラスチックシートを基材として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い各種紙が挙げられる。さらには、事務分野や通常の印刷、包装などに用いられるコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等を用いることもできる。また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布や不織布も基材として使用することができる。各種繊維としてはガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、アクリル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成樹脂繊維が挙げられる。
ここで、ポリエステル樹脂フィルムは、いわゆる押出口金から溶融押し出されたポリエステル樹脂フィルムであって、通常、無延伸又は縦方向および横方向の二軸方向に配向させたフィルムである。このポリエステル樹脂フィルムには、ジカルボン酸とグリコールとから縮重合によって得られたポリマーが用いられる。ここで、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などが挙げられ、またグリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。具体的には例えばポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。本発明の場合、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエステル樹脂等の樹脂フィルムの厚みとしては20〜100μm、コストおよび使用上の取扱の良さから40〜50μmが好ましい。紙基材を用いる場合には、坪量は、通常20〜150g/m2程度、好ましくは30〜100g/m2の範囲である。
また該基材はプライマー層5を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
熱硬化性樹脂組成物としては、フェノール樹脂、フェノール−ホルマリン樹脂、尿素樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、汎用の2液硬化型アクリル樹脂(アクリルポリオール硬化物)などを例示することができる。
ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
本発明において、電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、後に詳述するように、表面保護層を構成する未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。
なお、ここで表面張力とはJIS K 6768に準拠して測定したものである。
コロナ放電処理の条件を変更することにより、表面保護層の表面の表面張力を制御することができ、具体的には、化粧シートと化粧シートの上方に設置する電極との間隔、化粧シートが電極間を通過する速度、いわゆる加工速度を変化させることにより行なう。これら条件の変更は、コロナ放電処理装置によって異なるので、一概には言えないが、一例として、通常の加工条件においては、電極との間隔を、通常0.5〜3mmの範囲で制御し、かつ、通常の加工条件においては、加工速度を10〜30m/分程度とすればよい。
また、表面張力を降下させることにより、化粧シートの耐汚染性、マジック消去性、耐セロファンテープ性、レベリング性、表面平滑性、くもり性(透明度)が向上し、かつ、すべり性がおさえられる。
ここで用い得る界面活性剤としては特に制限はなく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び両性界面活性剤を使用することができる。アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルファスルフォ脂肪酸エステル、アルファオレフィンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アミン塩系などが挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。
シリコーン系化合物としては、ポリシロキサンからなるシリコーンオイル、アニオン型シリコーン系界面活性剤、ノニオン型シリコーン系界面活性剤、カチオン型シリコーン系界面活性剤及び両性型シリコーン系界面活性剤が挙げられる。アニオン型シリコーン系界面活性剤としては、カルボン酸塩変性シリコーン、スルホン酸塩変性シリコーン、硫酸エステル塩変性シリコーン及びリン酸エステル塩変性シリコーンなどが挙げられ、ノニオン型シリコーン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、(ポリ)グリセリン変性シリコーン、糖類変性シリコーンなどが挙げられ、カチオン型シリコーン系界面活性剤としては、4級アンモニウム変性シリコーンなどが挙げられ、両性型シリコーン系界面活性剤としては、ベタイン変性シリコーンなどを挙げることができる。
また、フッ素系化合物としては、フルオロアルキルスルホン酸またはその塩、フルオロアルキルカルボン酸またはその塩を挙げることができ、具体的には、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム等を挙げることができる。
また、上記表面張力降下剤の含有量は、硬化性樹脂組成物を基準に0.01〜10質量%の範囲であることが好ましい。0.01質量%以上であると、部分(a)以外の部分の表面張力を十分に低下させ、十分な耐汚染性を得ることができる。一方、10質量%以下であるとインキの泡立ちに起因するクレータやロービングがなく、塗工面の油膜等の外観上の不具合が少ない均一な塗工面を形成しやすい。また、シートを巻き取る際に、表面張力降下剤のシート裏面側への移行を抑制することができる。さらに経済性の点でも有利である。以上の点から表面張力降下剤の含有量は0.5〜5質量%の範囲がさらに好ましい。
ここで、表面保護層の電離放射線硬化性樹脂に含有される1乃至2官能シリコーンメタクリレートは、表面張力を降下させ、主に耐汚染性、マジック消去性、耐セロファンテープ性を付与し、多官能シリコーンアクリレートは主にレベリング性、表面平滑性、くもり性(透明度)の向上及びすべり性を減じる特性を付与するものである。
このようなシリコーンメタクリレートとしては、好ましくは分子量1000〜6000、より好ましくは3000〜6000、官能基当量(分子量/官能基数)好ましくは500〜3000、より好ましくは1500〜3000の条件を有するものが用いられる。
このようなシリコーンアクリレートとしては、好ましくは分子量3000〜100000、より好ましくは10000〜30000、官能基当量(分子量/官能基数)好ましくは750〜25000、より好ましくは3000〜6000の条件を有するものが用いられる。
また、シリコーンメタクリレートとシリコーンアクリレートとの含有量の比は、好ましくは1:1〜1:5、より好ましくは1:2〜1:3(いずれも質量比)である。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
被着体となる基板は、特に限定されず、プラスチックシート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの基板、特にプラスチックシートを基板として用いる場合には、化粧シートとの密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材等が挙げられる。これらは単独で、または積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル、火山灰を主原料とした板等が例示される。
これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基材として使用できる。
化粧シートの基板上への貼着は、通常、本発明の化粧シートの裏面に接着剤層を形成し、基板を貼着するか基板の上に接着剤を塗布し、化粧シートを貼着する等の方法による。
(評価方法)
各実施例で得られた化粧シートについて、以下の方法で評価した。
(1)耐汚染性
JIS K−6902に準拠して、汚染物を化粧シート表面に塗布し、ふき取った後の汚染物の残存具合を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
○ 汚染物の残存は全くない
△ 汚染物の残存はあるものの軽微なもので実用上問題がない
× 汚染物の残存が著しい
(2)表面張力
JIS K6768に準じて測定した。
(3)ラベルの接着性
JIS Z0237(90度引き剥がし粘着力の測定)に準拠して測定した。試験には3M社製スコッチテープ(品番#600)を使用し、剥離力(g/inch)によって評価した。
厚さ50μmの白色ポリエステル樹脂フィルム(ダイヤホイル(株)製、W−410と同一仕様で、白色とし、蛍光増白剤であるKyaphor NV liquid(日本化薬カラーズ製)を0.01%添加したもの)よりなる基材2の表面に、透明ポリエステル系ウレタン樹脂を3〜5g/m2(ドライ)塗布することによりプライマー処理を行い、プライマー層5を形成した後、ニトロセルロース・アルキッド系樹脂(ザ・インクテック(株)製、KL−MAX)からなるインキを使用して木目模様の絵柄層3をグラビア印刷した。
次に絵柄層3の上に3官能アクリレートモノマーであるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリアクリレートを60質量部と6官能アクリレートモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを40質量部、平均粒子径5μmのシリカ粒子2質量部及びシリコーンアクリレートプレポリマー1質量部よりなる電子線硬化性樹脂組成物を5g/m2 でグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層4とした。次いで、70℃で24時間の養生を行い、化粧シートを得た。
この化粧シートの耐汚染性について評価した。また、この化粧シートの一部に、以下の条件でコロナ放電処理を行い、該部分(a)における表面張力の測定及びラベルの接着性について評価した。その結果を第1表に示す。
コロナ放電処理の条件;ナビタス(株)製「MultiDyne」を使用し、出力500W・min/m、電極と被処理体との距離3mmで処理した。
実施例1で製造した化粧シートの一部に、以下の条件でプラズマ処理を行い、該部分(a)における表面張力の測定及びラベルの接着性について評価した。その結果を第1表に示す。
プラズマ処理の条件;ARCOTEC社製「Plasma Generator Arcospot PGS061」を使用し、出力0.9kVA、電極と被処理体との距離15mm、処理速度100m/minで処理した。
なお、ここで用いた装置は部分的なプラズマ処理が可能であり、電極を移動操作することにより、任意の位置に処理部分(a)を形成することができた。
実施例1と同様にして化粧シートを得、コロナ放電処理及びプラズマ処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様に評価した。その結果を第1表に示す。
実施例1で製造した化粧シートを幅500mmに裁断し、その一部を絶縁性テープ(住友スリーエム(株)製No.8403)で覆うことでマスキングした。次いで、特開2003−93870の図1に示される装置を用い、化粧シート全体に対して放電プラズマ処理を行った。化粧シートの搬送速度は100mm/minとし、処理ガスとして、乾燥空気をガス流速2m/secの速度で、ガス供給ノズルから放電空間に吹き出した。また、電極と化粧シートとの距離を15mmとし、プラズマの出力を0.9kVAとした。
プラズマ処理後、マスキングテープを剥離し、マスキング部分と処理部分(a)とのラベルの接着性について、上記方法にて評価したところ、マスキング部分のテープ密着強度が40g/inchであり、処理部分(a)のテープ密着強度が187g/inchであった。以上のように本方法によれば、所望のマスキングパターンに応じて、製品ラベルや装飾部材を容易に貼付することができる。
2.基材
3.絵柄層
4.表面保護層
5.プライマー層
Claims (13)
- 基材上に少なくとも表面保護層を有する化粧シートであって、該表面保護層が硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、かつ、該表面保護層の表面に表面張力が30dyne/cm以上である部分(a)が存在しており、前記部分(a)以外の部分の表面張力が22.6dyne/cm未満であることを特徴とする化粧シート。
- 前記部分(a)がコロナ放電処理又はプラズマ処理されたものである請求項1に記載の化粧シート。
- プラズマ処理が大気圧プラズマ処理である請求項2に記載の化粧シート。
- 表面保護層を構成する硬化性樹脂組成物中に表面張力降下剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記表面張力降下剤がシリコーン化合物又はフッ素化合物である請求項4に記載の化粧シート。
- 硬化性樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂組成物である請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
- 電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である請求項6に記載の化粧シート。
- 基材がポリエステル樹脂フィルムである請求項1〜7のいずれかに記載の化粧シート。
- 電離放射線硬化性樹脂組成物が(メタ)アクリレート系モノマーを含有してなる請求項6〜8のいずれかに記載の化粧シート。
- (メタ)アクリレート系モノマーが多官能性(メタ)アクリレート系モノマーである請求項9に記載の化粧シート。
- 電離放射線硬化性樹脂組成物がさらに重合性オリゴマーを含有してなる請求項9又は10に記載の化粧シート。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の化粧シートを基板に貼付した化粧板。
- 表面保護層の表面の少なくとも一部をコロナ放電処理又はプラズマ処理する請求項1〜11のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
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