JP4496829B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

本発明は、木質系ボード類、無機系ボード類、金属板等の表面に接着剤で貼り合わせて化粧板として用いる化粧シートに関するものである。
従来、前記化粧板の用途に用いられる化粧シートとしては、塩化ビニル樹脂製シートが最も一般的であった。しかし近年になって、塩化ビニル樹脂は焼却時に酸性雨の原因となる塩化水素ガスや猛毒物質であるダイオキシンの発生の要因となり、さらに塩化ビニル樹脂製シートに添加された可塑剤のブリードアウトの問題などもあり、環境保護の観点から問題視されるようになってきている。ポリプロピレンやポリエチレン、アクリルなどの非塩化ビニル樹脂を使用した化粧シートが要望されるようになった。
このようなこと情により、塩化ビニル樹脂に替わる樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール、アクリル等の樹脂および共重合体を使用した化粧シートが提案され、市販されるようになってきている。
その中でも、化粧シートに要求される適度な柔軟性、耐磨耗性、耐傷性、耐熱性、耐薬品性、後加工性等を備え、なおかつ安価で提供されるポリプロピレンを用いた化粧シートがもっとも数多く提案されており、中には単層のものもあるが、意匠性の観点から、2層以上の積層体からなるものが大部分を占めている。
但し、一般的にポリプロピレン樹脂は無極性の為、同種又は異種の樹脂との接着性に乏しく、ポリプロピレン樹脂層を他の樹脂層に積層する際には、例えば、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂や、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体樹脂などの極性を有する樹脂層を介して積層する手法が用いられている。
近年、単に塩化ビニル樹脂以外の樹脂を使用した化粧シートということだけでなく、さらなる要求物性の向上の声が大きい。その中の主だった要求物性としては、ひとつには耐熱試験後の積層部強度の更なる向上であり、もうひとつには耐候試験後の積層部強度の更なる向上である。前記の耐熱性能の向上については、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を介してポリプロピレン樹脂を積層する方法が、有効な手法として既に提案されているが(特許文献1参照)、更なる耐候性能向上の施策としては、ポリプロピレン樹脂或いは化粧シートの表面保護層の中に添加する紫外線吸収剤や光安定剤等の種類や量を調節する程度の処方しかなく、その場合においても、現在上市されているポリプロピレン用途向けの各種耐候剤を処方する限りにおいては、現行の化粧シートと比較しても、格別に大きな向上効果は得られない。
特開2001−353828号公報
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、その課題とするところは、塩化ビニル樹脂以外の材料を用いて、適度な柔軟性、耐磨耗性、耐傷性、耐薬品性、後加工性及び耐熱性能を有しつつ、紫外線等の照射による耐候試験後の積層部強度低下が抑制されており、なおかつ意匠性に優れた化粧シートを提供することにある。
上記課題を達成するための本発明の請求項1に係る発明は、基材シート上に模様層、透明樹脂層および透明ポリプロピレン樹脂層を少なくともこの順に積層してなる化粧シートにおいて、前記基材シートが非塩化ビニル系材料からなり、前記透明樹脂層がエチレンを10モル%以上含有するポリプロピレン樹脂からなり、前記透明ポリプロピレン樹脂層がホモポリプロピレンからなることを特徴とする化粧シートである。
また、請求項2記載の発明は、前記エチレンを10モル%以上含有するポリプロピレン樹脂がブロックポリプロピレンであることを特徴とする請求項1記載の化粧シートである。
また、請求項記載の発明は、基材シート上に模様層、透明樹脂層および透明ポリプロピレン樹脂層を少なくともこの順に積層してなる化粧シートにおいて、前記基材シートが非塩化ビニル系材料からなり、前記透明樹脂層がポリプロピレン樹脂とエチレン成分を少なくとも含んだ熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイからなり、かつ前記ポリマーアロイ中のエチレン成分が10モル%以上あり、前記透明ポリプロピレン樹脂層がホモポリプロピレンからなることを特徴とする化粧シートである。
請求項1記載の発明によれば、エチレン含有量が10モル%以上の透明ポリプロピレン樹脂を用いることで、積層直前に通常行う樹脂表面へのコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理等による樹脂層表面への極性基の導入量が増し、模様層を設けた基材シートの模様層側との積層界面の密着力を強固にすることが可能になる。また、透明樹脂層上にさらに透明ポリプロピレン樹脂層を積層してなることにより、透明樹脂層により化粧シートに層間接着強度を付与し、さらに透明ポリプロピレン樹脂層により表面の耐傷性やVカット適性を付与することが可能となる。
また、請求項2記載の発明によれば、前記エチレン含有量が10モル%以上の透明ポリプロピレン樹脂がブロックポリプロピレンであることにより、プロピレンのマトリックスとエチレンのドメインによる海島構造を成す為、ラミネート界面を剥離する際の応力が緩和されて、ラミネート強度の向上効果が得られる。
また、請求項記載の発明によれば、ポリプロピレン樹脂とエチレン成分を少なくとも含んだ熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイであり、かつ該ポリマーアロイ中のエチレン成分が10モル%以上あるような樹脂を用いることで、ポリプロピレンのマトリックスと熱可塑性エラストマーのドメインによる海島構造を成す為、前記のブロックポリプロピレンの場合と同様に応力緩和作用が働いて、ブロックポリプロピレンを用いた場合とほぼ同等の物性を得ることが可能となる。また、透明樹脂層上にさらに透明ポリプロピレン樹脂層を積層してなることにより、透明樹脂層により化粧シートに層間接着強度を付与し、さらに透明ポリプロピレン樹脂層により表面の耐傷性やVカット適性を付与することが可能となる。
以下本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1に、本発明の化粧シートの一実施例の断面の構造を示す。非塩化ビニル系の材料からなる化粧シート用の基材シート1に、模様層2、エチレン含有量が10モル%以上の透明ポリプロピレン樹脂からなる透明樹脂層4をこの順に積層してなる。
図2に、本発明の化粧シートの他の実施例の断面の構造を示す。非塩化ビニル系の材料からなる化粧シート用の基材シート1に、模様層2、アンカーコート層3、エチレン含有量が10モル%以上の透明ポリプロピレン樹脂からなる透明樹脂層4、透明ポリプロピレン樹脂層5、トップコート層をこの順に積層してなる。
本発明における透明樹脂層4は、主に化粧シートの模様層の保護と意匠性の向上および、耐傷性、耐摩耗性、耐薬品性等を発現する為に用いられており、化粧シートの機能性向上の為に、必要に応じて熱安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒補足剤等が適宜添加される。また、図2における透明樹脂層4は、主に基材シート1と透明透明ポリプロピレン樹脂層5との接着性樹脂層として作用してなる。
本発明の透明樹脂層4に用いるポリプロピレン樹脂は一般的には極性基を持たない為に、異種材料との接着力に乏しい。それを補う為に、前記透明樹脂層4の、模様層2を設けてある非塩化ビニル樹脂系基材シート1との積層面側に、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理等の公知の技術による極性基の付与が、好適に用いられる。
また、透明樹脂層4と模様層2を設けた基材シート1との間に、図2に示す様にアンカーコート層3の積層が好適に用いられる。アンカーコート層3には、非塩素系の材料を用いるのであれば、その材質等に制限は無いが、ポリオールとイソシアネートとの反応でウレタン結合を形成する2液硬化型ウレタン系樹脂が望ましく、さらにはイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネートあるいはイソホロンジイソシアネートのうち、少なくとも一方を含むものが好適である。またアンカーコート層3の形成方法はグラビア法(グラビア印刷法、グラビア塗布法)が好適に用いられるが、これに限定されるものではない。
本発明の化粧シートにおいては、透明樹脂層4に、エチレン含有量が10モル%以上の透明ポリプロピレン樹脂を用いることで、模様層2を設けた基材シート1との積層界面の密着力を、更に強固にすることが可能になる。
前記透明ポリプロピレン樹脂のエチレン含有量が10モル%以下の範囲内にある場合には、前記のコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理等による樹脂層表面への極性基の導入量が少なくなってしまい、充分な強度が発現しない。これは、前記の各種表面処理における極性基導入が、プロピレン部よりもエチレン部により多く行われる為であり、積層界面に充分な極性基数を確保する為には、エチレン含有量が少なくとも10モル%以上は必要である。
仮にエチレン含有量が10モル%以下であっても、各種表面処理の処理度をアップさせることで、積層界面に多くの極性基を導入することは可能ではあるが、その場合には、過剰な表面処理により、透明ポリプロピレン側の積層界面の、プロピレン部の分子鎖が切断されて低分子量化してしまい、化粧シートの積層界面強度の耐候性能が低下してしまう。
また、前記エチレン含有量が10モル%以上の透明ポリプロピレン樹脂がブロックポリプロピレンである場合には、プロピレンのマトリックスとエチレンのドメインによる海島構造を成す為、ラミネート界面を剥離する際の応力が緩和されて、ラミネート強度の向上効果が得られる。尚、この効果は常態環境下よりもむしろ、サンシャインウェザーメータなどによる長期の実使用環境を想定した耐候試験後のラミネート強度評価において、より健著にあらわれる。
なお、一般的にエチレンを高濃度で含有するブロックポリプロピレンは、一般的なホモポリプロピレンやランダムポリプロピレンと比べて透明性の面で劣る為、化粧シートの印刷模様のラミネート用途としては適さない場合が多いが、エチレンブロックの平均粒径を3μm以下にすることで、実用上問題の無い透明性を確保することができる。
ブロックポリプロピレンの替わりに、エチレンプロピレンゴムなどのエチレン系の熱可塑性エラストマーをポリプロピレンに添加したアロイ樹脂を用いても、ポリプロピレンのマトリックスと熱可塑性エラストマーのドメインによる海島構造を成す為、前記のブロックポリプロピレンの場合と同様に応力緩和作用が働いて、ブロックポリプロピレンを用いた場合とほぼ同等の物性を得ることが可能である。但しこの場合も、該アロイ樹脂のエチレン含有量が10モル%を下回らない様に、エチレン系の熱可塑性エラストマーの添加量を決定する必要がある。
図2の透明ポリプロピレン樹脂層5に用いるポリプロピレン樹脂としては、一例を挙げると、耐傷性を重視するならペンタッド分率の高い、高結晶ホモポリプロピレンを用いればよいし、Vカット適性を重視するならば、エチレン含量の高いランダムポリプロピレンか、またはペンタッド分率の低い、低結晶ホモポリプロピレンを用いればよい。但し一方、透明ポリプロピレン樹脂層には印刷模様層との積層界面の強度を充分に保持できるような性能を与える必要がある為、これらを1種類のポリプロピレンで同時に得ることが不可能な場合は、図2に示す様に、透明樹脂層4と透明ポリプロピレン樹脂層5との2層構造にして、透明樹脂層4に模様層との積層界面の強度が得られるようなを選定し、もう一方の透明ポリプロピレン樹脂層5には、耐傷性やVカット適性を有するような樹脂を選定すれば良い。
透明樹脂層4と透明ポリプロピレン樹脂層5との積層方法については、公知の手法を用いればよいが、より簡便に積層を行う為には、Tダイによる加熱溶融共押出し法が望ましい。
さらにここで、エチレン含有量が10モル%以上の透明ポリプロピレン樹脂を、不飽和カルボン酸、あるいはその無水物で変性すれば、樹脂自体が極性基を持つことになり、前記のコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理等の工程を省略することも可能になる。但し、その代わりに積層層間の強度は、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理を行ったものと比較すると劣る傾向にある。また、極性基を増やすために変性量をむやみに上げると、ポリプロピレン樹脂が茶褐色に変色してしまう問題が発生してしまう。そのため、図1または図2の透明樹脂層4を変性した場合においても、該樹脂のコロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理などの各種表面処理は行ったほうがよい。樹脂の変性による極性基の付与と、各種表面処理を組合わせた場合には、表面処理量が同じであれば、樹脂の変性により極性基を付与していた方が、層間強度は高くなる傾向にある。
尚、不飽和カルボン酸あるいはその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、およびそれらの無水物などが挙げられるが、これらの中で無水マレイン酸が特に好ましい。
本発明の化粧シートにおける、模様層2を設けた基材シート1と透明樹脂層4、あるいは透明樹脂層4と透明ポリプロピレン樹脂層4の積層物との積層方法としては、熱および圧力をかけて貼り合わせる熱ラミネート法、接着剤を介して貼り合わせるドライラミネート法およびウエットラミネート法、基材シート上にポリプロピレン樹脂をTダイから加熱溶融押出する押出ラミネート法、2つ以上の樹脂をTダイから同時に加熱溶融押出する共押出ラミネート法等がある。この中で押出ラミネート方か共押出しラミネート法が、生産性が良いため好適に用いられる。
本発明の化粧シートにおいては、基材シート1に用いられる樹脂として、非塩化ビニル系の樹脂材料としてポリプロピレン樹脂が望ましいが、必ずしもこの限りではない。例えば一例を挙げると、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ABS、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66等がある。
また、基材シート1に用いられる上記樹脂中には、無機顔料、酸化防止剤、光安定剤、ブロッキング防止剤などの添加剤の1種もしくは2種以上を適宜量に添加することは可能である。
本発明の化粧シートにおいては、基材シート1に、隠蔽を施した非塩化ビニル系の材料からなる基材シートを用いることができる。隠蔽を施す理由は、貼り合わせる木質系ボード、無機系ボード、金属板などの下地材が、化粧シートの表面から見えないようにするためである。
本発明化粧シートの前記基材シート1に貼り合わせる木質系ボード、無機系ボード、金属板等の下地材が、化粧シートの表面から見えないようにするためには、基材シート1に対して、顔料の添加又は顔料塗布層(隠蔽性層)の形成などの手段により、化粧シートの基材シート1やその中間層に隠蔽性を付与しておくことが望ましい。但し、下地材の素材感を活かしたい場合には、その限りではない。
基材シート1に対して、これらの隠蔽性(隠蔽性層)および模様層2を形成する方法としては、基材シート1の表面あるいは裏面、あるいはその両方にグラビア印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、シルク印刷、静電印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷方法により印刷するのが一般的であるが、必ずしもこの限りではない。また用いられるインキも公知のもの、すなわちビヒクルに染料または顔料等の着色剤や体質顔料などを添加し、さらに可塑剤、安定剤、ワックス、グリース、乾燥剤、硬化剤、増粘剤、分散剤、充填剤等を任意に添加して溶剤、希釈剤等で充分混練して成るインキでよい。
また、上記化粧シート用の基材シート1とは別の任意の転写用基材シートに、上記形成方法等によって隠蔽性層あるいは模様層2、あるいはその両方を形成しておき、前記した熱ラミネート法、ドライラミネート法、またはウエットラミネート法、押出ラミネート法等により、上記基材シート1と貼り合わせた後に、前記転写用基材シートを剥離して、隠蔽性層あるいは模様層2あるいはその両方を基材シート1に転写する方法を用いることもできる。
また、基材シート1の製造方法としてTダイ押出法を用いる場合には、基材シート1を製膜するための合成樹脂材料を染料や顔料などの隠蔽性のある着色剤により直接着色して加熱溶融状態でTダイから押出して、基材シート1を製膜することにより隠蔽性の効果を持たせることもできる。
この場合のTダイ押出法における基材シート1の着色方法としては、ドライカラー法やマスターバッチ法等が公知であるが、特に限定されるものではない。ドライカラー法とは、顔料を分散助剤や界面活性剤で処理した微粉末状の着色剤を、基材シート1を製膜するための着色されていない通常の合成樹脂材料中に直接混入して着色を行う方法である。一方、マスターバッチ法とは、基材シート1を製膜するための着色されていない通常の合成樹脂材料と高濃度の顔料を、溶融混練して予備分散したマスターバッチペレットを予め作製しておき、押出ホッパ内でこのマスターバッチペレットと基材シート1を製膜するための着色されていない通常の合成樹脂樹脂材料とをドライブレンドするという方法である。
顔料の種類も通常用いられているものでよいが、特に耐熱性、耐候性を考慮して、酸化チタン、群青、カドミウム顔料、酸化鉄等の無機顔料が望ましい。また有機顔料でもフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料等は使用できる。顔料の対樹脂比率や色は、隠蔽の度合い、意匠性を鑑みて適宜決められるものであり、特に制約はない。
基材シート1に模様層2を施す方法としては、基材シート1の表面に施す方法と、基材シート1自体(シート1の層内)に施す方法があり、表面に施す方法としては上記のような印刷方式や転写方式を用いることができる。基材シート1自体に施す方法としては、高濃度の顔料を基材シート1の樹脂とは流動特性の異なる樹脂に溶融混練して予備分散したマスターバッチペレット、あるいは木粉、ガラス粉末等を、基材シート1を製膜するための隠蔽性を付与した上記合成樹脂材料に添加して加熱溶融し、押出し、製膜して、隠蔽性のある基材シート1自体にマスターバッチペレットや木粉やガラス粉末等による模様を形成する方法もある。勿論、基材シート1自体に着色隠蔽性や模様を形成するこれらの方法と、前述した印刷方法、転写方法等を併用することもできる。
また、隠蔽性のある基材シート1の製造方法としてカレンダー法を用いる場合において、同様の手法、即ち基材シート1をカレンダー法にて製造しながら、同時に基材シート1自体に着色隠蔽性や模様を形成する方法、またはこれらの方法と前述した印刷方法、転写方法等とを併用した手法で、基材シート1に対して隠蔽性および模様を形成することができる。
本発明の化粧シートにおいては、場合によっては、化粧シートの表面の手触り感や、より一層の意匠感を得るため、図1の透明樹脂層4あるいは図2の透明ポリプロピレン樹脂層5に凹陥模様を施し、その凹陥部内に充填インキを埋め込み(ワイピングし)、最外表面にトップコート層を設けることも好適に行われる。(図示しない)
凹陥模様を施す方法としては、通常の熱圧エンボス加工法でよく、何ら限定されるものではない。また、化粧シートの製造方法としてTダイ押出法を用いる場合には、溶融樹脂を冷却固化させるチルロールの表面に凹陥模様を反転した突起模様を施しておき、押し出された樹脂をチルロールとプレスロールとの間でエンボスして、透明樹脂層あるいは透明ポリプロピレン樹脂層の表面に凹陥模様を施す方法が一般的である。また、施された凹陥模様の凹陥部内にインキを埋め込み、最外表面にトップコート層を設けることも好適に行われるが、これらの方法は、従来の塩化ビニル樹脂製化粧シートで行われているワイピング処理およびトップコート処理と同様の方法で実施可能である。
基材シートとして、ランダムポリプロピレン樹脂に無機顔料を6重量%、フェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した樹脂を溶融押出したシートを用い、そのシート表面にコロナ処理を施した後、グラビア印刷法により絵柄用インキ(東洋インキ製造株式会社製;ラミスター)を使用して木目模様を施し、模様層を形成した。さらに木目模様の模様層2上に2液硬化型のウレタン系アンカーコート剤(三井武田ケミカル株式会社製;タケラック(主剤)、タケネート(硬化剤))を、グラビア印刷法により厚み約1μmで塗工して、アンカーコート層を形成した。
次に模様層の施された上記基材シート上のアンカーコート層面に、エチレン含有量が27モル%の透明ブロックポリプロピレン(出光石油化学株式会社製;出光TPO)にフェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した、表面に凹陥模様のエンボスされた透明なポリプロピレン樹脂層を、導管エンボスの施された冷却ロールと加圧ロールとの間に、前記基材シートを介してTダイより加熱溶融押出にて、ラミネート界面にはオゾン濃度20g/m(0℃1気圧下の数値)オゾン流量3m/h(0℃1気圧下の数値)の条件でオゾン処理を行いながら、同時に表面には凹陥模様のエンボス模様を施しながらラミネートした。
このラミネートされた積層体の凹陥模様が施された透明ポリプロピレン樹脂層の最外表面に、ヒンダードアミン系光安定剤を1.5重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を2.5重量%添加した、ウレタン系トップコート剤を用いてトップコート層を施し、化粧シートを得た。
エチレン含有量が27モル%の透明ブロックポリプロピレンの替わりに、エチレン含有量が4モル%のランダムポリプロピレンとエチレン・プロピレン共重合ゴム(三井化学株式会社製;三井EPT)とのアロイ物を使用した他は、実施例1と同様の製造方法を用いることで、化粧シートを得た。
基材シートとして、ランダムポリプロピレン樹脂に無機顔料を6重量%、フェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.3重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加した樹脂を溶融押出したシートを用い、そのシート表面にコロナ処理を施した後、グラビア印刷法により絵柄用インキ(東洋インキ製造株式会社製;ラミスター)を使用して木目模様を施し、模様層を形成した。さらに木目模様の模様層上に2液硬化型のウレタン系アンカーコート剤(三井武田ケミカル株式会社製;タケラック(主剤)、タケネート(硬化剤))を、グラビア印刷法により厚み約1μmで塗工して、アンカーコート層を形成した。
これとは別に、透明ポリプロピレン樹脂層としてホモポリプロピレン樹脂にフェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.5重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%添加したポリプロピレン樹脂と、透明樹脂層としてエチレン含有量が27モル%の透明ブロックポリプロピレン(出光石油化学株式会社製;出光TPO)とを、導管エンボスの施された冷却ロールと加圧ロールとの間に、前記基材シートを介してTダイより加熱溶融共押出を行い、ラミネート界面にはオゾン濃度20g/m(0℃1気圧下の数値)オゾン流量3m/h(0℃1気圧下の数値)の条件でオゾン処理を行いながら、同時に表面には凹陥模様のエンボス模様を施しながらラミネートした。
このラミネートされた積層体の凹陥模様が施された透明ポリプロピレン樹脂層5の最外表面に、ヒンダードアミン系光安定剤を1.5重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を2.5重量%添加した、ウレタン系トップコート剤を用いてトップコート層6を施し、化粧シートを得た。
透明樹脂層として用いるエチレン含有量が27モル%の透明ブロックポリプロピレン(出光石油化学株式会社製;出光TPO)樹脂を無水マレイン酸でグラフト重合(変性ランダムポリプロピレン1g中のカルボニル基含量は0.02ミリモル当量)した他は、実施例3と同様の手法を用いて、化粧シートを得た。
<比較例1>
実施例3におけるブロックポリプロピレンのエチレン含有量を8モル%に変更した他は、実施例3と同様の手法を用いて、化粧シートを得た。
<比較結果>
このようにして実施例1〜4および比較例1にて得られたそれぞれ化粧シートについて、23℃雰囲気下での剥離試験、およびサンシャインウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)による2000時間の紫外線照射試験後の剥離試験を行い、各条件におけるラミネート強度を測定した。その結果を下記表1に示す。
Figure 0004496829
表から見て明らかなように、本発明の実施例1〜4の化粧シートは、比較例1の化粧シートと比べてサンシャインウェザーメーターでの2000時間の紫外線照射試験後の剥離試験結果に優位性が見受けられる。
本発明の化粧シートは、塩化ビニルを一切使用しないため環境問題の心配もなく、且つ適度な柔軟性、耐磨耗性、耐傷性、耐薬品性、後加工性、耐熱性に加えて実用上充分な耐候性を有するなどの優れた効果を発揮し、意匠性にも優れた化粧シートを提供できる。
本発明の化粧シートの一実施例の断面の構造を示す説明図である。 本発明の化粧シートの他の実施例の断面の構造を示す説明図である。
符号の説明
1…基材シート
2…模様層
3…アンカーコート層
4…透明樹脂層
5…透明ポリプロピレン樹脂層

Claims (3)

  1. 基材シート上に模様層、透明樹脂層および透明ポリプロピレン樹脂層を少なくともこの順に積層してなる化粧シートにおいて、前記基材シートが非塩化ビニル系材料からなり、前記透明樹脂層がエチレンを10モル%以上含有するポリプロピレン樹脂からなり、前記透明ポリプロピレン樹脂層がホモポリプロピレンからなることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記エチレンを10モル%以上含有するポリプロピレン樹脂がブロックポリプロピレンであることを特徴とする請求項1記載の化粧シート。
  3. 基材シート上に模様層、透明樹脂層および透明ポリプロピレン樹脂層を少なくともこの順に積層してなる化粧シートにおいて、前記基材シートが非塩化ビニル系材料からなり、前記透明樹脂層がポリプロピレン樹脂とエチレン成分を少なくとも含んだ熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイからなり、かつ前記ポリマーアロイ中のエチレン成分が10モル%以上あり、前記透明ポリプロピレン樹脂層がホモポリプロピレンからなることを特徴とする化粧シート。
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