JP4022957B2 - 難燃発泡性シート、難燃発泡シート及びそれよりなる壁紙並びに床材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼時に煙を発生せず、安全性、難燃性に優れ、高度の意匠性を持つポリオレフィン系樹脂からなる発泡性シートに関するものであり、例えば防火壁装材料として建築基準法でいう準不燃または不燃級に合格する新規な床材、壁紙やその他建築内装材を提供する発泡性シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
床材や壁紙等の建築内装材としては、火災に対する安全性の面から、難燃性が要求され、建築基準法で一定の難燃性が義務付けられている場合も多い。また、建築内装材には、室内の居住空間としての快適性を高める為に高い意匠性が求められ、特に立体的な意匠(ボリューム感)を持たせる為には、柔軟性のみでなく高度に発泡させ得る材料が有利となる。この様な要求に応え得る材料として、従来、塩化ビニル樹脂を用いたものが広く用いられてきた。しかし、塩化ビニル樹脂等のハロゲンを含む樹脂組成物は火災時や焼却時に多量の煙を発生する為、ハロゲンを含まない材料が求められていた。
【0003】
塩化ビニル樹脂の場合は、難燃化効果のある塩素を多量に含有している為に難燃化させることは比較的容易である。しかし、ハロゲンを含まない原料の場合には、ノンハロゲン難燃化の技術が必要である。ノンハロゲン難燃剤としては、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物が一般に用いられている。特開平5−200948号公報、及び特開平6−128402号公報では、特定の密度と特定の熔融特性を持つエチレンとα−オレフィン共重合体(以下、VLDPEと略す)に金属水酸化物あるいは更に他の無機化合物を充填した材料を提案している。しかしながら、金属水酸化物は多量に配合することが必要なため、樹脂本来の発泡特性が損われる。実際、これらの公報に開示されている材料の発泡倍率は、最大でも2.5倍程度とボリューム感の少ないものであった。
【0004】
金属水酸化物を多量に配合したポリオレフィンの発泡体については、電離放射線照射や過酸化物等によって架橋ゲル化処理をしたものが高い発泡倍率を示すことがよく知られている。しかし、どちらの方法もラジカルを樹脂組成物中に発生させることで架橋反応が進行するものであるから、ラジカル捕捉剤であるヒンダードフェノール系酸化防止剤等の効果を減殺させるので、該酸化防止剤を増量する必要がある。しかし、過度にヒンダードフェノールを配合すると着色する場合があるので、その量の調節が容易ではないという問題を持っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、ハロゲンを含まず、床材や壁紙等の建築内装材として用いた場合に必要な難燃性と高い意匠性を持つ新規な発泡性シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる課題に対して鋭意検討したところ、金属水酸化物の粒子形状が発泡特性に強く影響することを見出した。この知見に基づいて更に鋭意検討を重ねたところ、ポリオレフィン系樹脂に特定の粒子形状をもつ金属水酸化物と発泡性樹脂に通常用いられる化学発泡剤とを配合すれば、高い難燃性と発泡倍率が高くボリューム感豊かな優れた意匠性を持つ発泡シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、本質的には、
(A)ポリオレフィン系樹脂、
(B)アスペクト比(直径/厚み)が2〜10であり、かつ平均粒子径が2μm以下である板状の金属水酸化物、
(C)化学発泡剤
よりなり、また、必要に応じて
(D)無機充填剤
を含むことを特徴とする発泡性シート、並びに、該発泡性シートより得られる発泡シート、該発泡性シートや発泡シートと表皮材及び/又はバッキング材若しくは基材紙とよりなることを特徴とする床材若しくは壁紙等の建築内装材に関するものである。
【0008】
本発明の発泡性シートを構成する(A)成分はポリオレフィン系樹脂であればいかなるものでも使用することが出来、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレンと他のモノマーとの共重合体が例示される。該共重合体としては、直鎖状低密度ポリエチレンを含むエチレンとα−オレフィンとの共重合体 (以下、LLDPE等と略す)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(以下、EVAと略す)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂(以下、EEAと略す)が例示される。これらの1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用したブレンドでもよい。
【0009】
ここでいうα−オレフィンとは、CH2=CRR’骨格(ここにR、R’はそれぞれ独立に水素もしくは一価の炭化水素基)を有するモノマーであり、炭素数は3以上のものである。例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が例示されるが、上記のα−オレフィンの定義に適合する限りに於いて、これらの構造異性体も例示される。また、これらα−オレフィンは単一化合物であってもよいし、複数が併用されてもよい。
感触的に柔軟であることが壁紙等の建築内装材に要求される場合がある。その観点からは、(A)成分は結晶性が低い方が、従って、融点が低い方が望ましい。特に、示差走査熱量計による(以下、同じ)熔融吸熱ピークが100℃未満のものが好ましい。従って、ポリエチレン系樹脂としては(A1)LLDPE等が好ましい。この様なLLDPE等としては、所謂メタロセン系触媒によって製造されるものも含まれる。また、(A2)EVAや(A3)EEAも柔軟性の面から好適に使用できる。これらは単独で用いてもよいし、(A1)〜(A3)の複数種のブレンドを用いても良いが、全体としての熔融吸熱ピークが100℃未満であることが、柔軟性の面では必要である。必要に応じて他のポリオレフィンを加えても良い。
【0010】
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を使用する際、(A)成分中に占める酢酸ビニル含有量を10〜45重量%とすることで、柔軟性、加工時の取り扱い性、そして経済性に優れた発泡性シートを得ることが出来る。
【0011】
(B)成分は金属水酸化物であり、本発明の発泡性シート及びそれを用いた建築内装材に難燃性を付与するためのものである。優れた難燃性は本成分を大量に配合することでもたらされるが、大量に配合した場合に意匠性を支える高い発泡倍率をもった発泡体を得る為には、(B)成分の粒子の形状と大きさとが重要である。即ち、アスペクト比(径/厚み)が2〜10であり、かつ平均粒子径が2μm以下である板状の粒子形状をもつことが必要である。本発明でいうアスペクト比とは、結晶粒子を顕微鏡等で拡大観察して測定される多角形の面の中心を通る代表径(d)と厚み(t)との比(d/t)をいう。
【0012】
即ち、平均粒子径が2μmを上回るものでは発泡倍率が低くなる。また、平均粒子径が2μm以下であっても球状あるいは不定形状等、アスペクト比が2に満たない粒子形状の金属水酸化物では、好ましい発泡体を得ることは出来ない。アスペクト比が10を越える場合には、板状金属水酸化物を樹脂中に十分な状態で分散させることが困難となり、やはり高い発泡倍率を持った発泡体を得ることは出来ない。
【0013】
尚、dやtはX線回折ピークの半値幅によって測定される結晶子径とは異なるものである。即ち、(A)成分のマトリックスに囲まれる(B)成分の粒子形状や大きさが発泡性に重要なのであって、(B)成分の個々の粒子が一つの結晶子で構成されている必要はない。従って、結晶子径とdやtが必ずしも一致している必要はない。
【0014】
かかる金属水酸化物としては水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化亜鉛、水酸化マグネシウムとニッケルや亜鉛等の2価金属の水酸化物との固溶体、及び、水酸化マグネシウム粒子の表面層が該固溶体となっているものをあげることができる。中でも好適なのは水酸化マグネシウム、ニッケルや亜鉛等の2価金属の水酸化物と水酸化マグネシウムとの固溶体、及び、水酸化マグネシウム粒子の表面層が該固溶体となっているもの等である。これらの物質の粒子は、その製造条件(晶析条件)を調整することで、様々な形状(アスペクト比)や粒子径のものを製造できる。
【0015】
これらの金属水酸化物が表面処理されていることは樹脂組成物中での分散性に優れ、また(A)成分との間の親和性が高い為、高い発泡性を実現する上で好適である。その様な表面処理剤としては、高級脂肪酸あるいはその塩、長鎖アルキル基をもつ燐酸エステル類あるいはその塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等のカップリング剤などが例示される。
【0016】
(C)成分は化学発泡剤と呼ばれる熱分解タイプの発泡剤である。即ち、加熱処理によって熱分解し、揮発性成分を発生するものであり、この揮発性成分が加熱処理によって熔融軟化した(A)成分を発泡させる。化学発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミド(以下、ADCAと略す)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等の有機系発泡剤や炭酸塩、重炭酸塩等の無機系発泡剤がある。用いる発泡剤は本発明の発泡性シートの製造、該シートの紙基材等の基材への貼合、その他、発泡性シートの発泡処理より前に施される過程に於いて実質的に熱分解を起こさず、また、発泡させる際には速やかに分解するものを選ぶことが好ましい。
【0017】
発泡速度、発泡体表面、発泡体の着色等の発泡状態の調整の為に、複数の発泡剤を併用してもよい。発泡剤の種類によっては発泡剤の分解温度を調整するための助剤を添加することも好適に実施される。その様な助剤としては、様々なものが公知である。例えば、ADCAを発泡剤として用いる場合には、有機化合物としては、尿素系化合物、グリセリン、ジエチレングリコール、ジブチル錫マレエート、金属石鹸等が例示される。金属石鹸としては、カルシウム、バリウム、亜鉛系のものが挙げられる。また、無機化合物では、酸化亜鉛や酸化マグネシウム等の金属酸化物、亜燐酸亜鉛等の塩類が例示される。
【0018】
本発明の(D)成分は無機充填剤であり、この成分の大量充填によってシートとしての機能のひとつである下地に対する隠蔽力、易燃性である樹脂成分の量を相対的に減少させることによる難燃性の向上等の役割を果たす。更に、発泡処理過程で着色する場合には、二酸化チタンや硫化亜鉛等の隠蔽力の強いものを配合することでこの着色を緩和する効果もある。また、本成分の価格によっては、その大量充填によってより安価に発泡性シートを得ることができる。
【0019】
このような無機充填剤としては炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、珪砂、硫化亜鉛、二酸化チタン、硫酸バリウム等があり、単品で用いても、複数種類を混合して用いても良い。
【0020】
本発明において、(B)成分の配合量が少ない場合には、難燃性能が低下し、(D)成分を併用する場合には発泡性も低下する。また隠蔽性が重要な場合には、(D)成分が必須である。従って、本発明における(A)、(B)、(D)成分の好ましい配合量は次のとおりである。(B)成分は(A)成分100重量部あたり1〜120重量部配合することが好ましい。1重量部以上の配合によって高い難燃性発現が容易となり、(D)成分を併用する系に於いては(D)成分によって引き起こされる発泡状態の低下が抑制できる。特に30重量部以上の配合が好ましい。一方、(B)成分の120重量部以下の配合であれば発泡性は大きくは損われない。(D)成分の配合量は(A)成分100重量部あたり100重量部以下が好ましい。この範囲において、発泡性に優れた発泡性シートを得ることが出来る。特に、70重量部以下が好ましい。隠蔽性の観点からは、(D)成分は(A)成分100重量部に対して10重量部以上が必要である。
【0021】
難燃性の観点からは、(B)成分と(D)成分との配合量の合計は5重量部以上が好ましい。製品の発泡シートの難燃性は、発泡性シートの単位面積あたりの(A)成分の量、即ち発泡性シートの厚みに依存する。従って、(B)成分と (D)成分の合計を5重量部以上とすることで、発泡性シート厚みを0.1mm以上にしても充分な難燃性が実現でき、より高い意匠性の発泡シートが得られる。 (C)成分の配合量は、用いる(A)、(B)、(D)成分の種類と量、発泡処理の温度と時間、発泡助剤の種類と量、及び所望の発泡倍率に応じて適宜調整すればよい。
【0022】
本発明の(A)、(B)、(C)あるいは更に(D)成分を含んだものをシートに成形する手段は特に限定されない。例えば、(ア)有機溶剤を媒質としてこれらの成分を分散もしくは溶解させたものを基材上に塗布して乾燥する方法、 (イ)水を媒質とした分散液(以下、エマルジョンと呼ぶ)を同様に基材上に塗布して乾燥する方法、(ウ)これらの成分を加熱溶融混練して成形する方法等が挙げられる。
【0023】
(ア)や(イ)の方法は、現在の壁紙の製法の主流であるペーストポリ塩化ビニルゾルの塗布に用いられている装置が適用できる利点がある。但し、(ア)の場合には、乾燥工程で多量の有機溶剤が蒸発するので、作業環境悪化を抑制する対策が必要であること、(イ)の場合には、水分の蒸発が比較的緩慢である為に、生産性確保の面からは樹脂組成物層の厚みを薄くせざるを得ず、従って、意匠性に乏しいこと等の問題もある。
【0024】
一方、(ウ)の方法は、これらの問題はなく、樹脂組成物成形に通常用いられる押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等の混練方法によって混練製造された樹脂組成物を、カレンダー成形、インフレーション成形、キャスト成形、T−ダイ成形等の公知の方法でシート化できるので、好ましい実施形態である。尚、(A)成分の全て、若しくは一部としてEVAやEEAを用いて(ウ)の方法でシート化する場合には、酢酸ビニルやアクリル酸エステルの含有量が(A)成分全体の中で45重量%以下にすることで、加工機への粘着性を適性に抑制でき、良好な加工性にてシートを製造できる。5重量%以上にすることで、樹脂の燃焼熱が小さくなるので、難燃性の点で好ましい。
【0025】
本発明による発泡性シートを床材や壁紙に用いる場合、発泡シートとしてから表皮材、バッキング材、基材紙等に張り付けてもよく、また発泡性シート作成時にこれらの基材を張り付けてもよい。壁紙に用いる場合の基材紙としては水酸化アルミニウムで処理された不燃紙、グアニジン類等で含浸処理した難燃紙を用いることが好ましいが、このような処理のなされていない一般紙を用いることも出来る。発泡は通常の壁紙製造時に用いられる熱風式発泡炉あるいは遠赤外線ヒーター等を用いて常圧下で実施することが出来る。床材に用いる表皮材やバッキング材としては、表面硬度、柔軟性、耐摩耗性等、それぞれの部材として必要な特性を有する、ポリマーであれば特に限定されない。
【0026】
さらに、発泡性シート又は発泡シートの表面に模様等を印刷することや、エンボス加工することにより立体感に富んだ極めて意匠性の高い難燃性建築内装材を得ることが出来る。印刷に先立って、シート表面をコロナ放電処理やオゾン処理等をすれば、印刷適性が向上する。
【0027】
本発明の発泡性シートやそれによる建築内装材には、本発明の趣旨を損わぬ範囲で、種々の添加剤等を添加することができる。例えば、物性改善の為の変性ポリマー、(B)成分以外の難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、架橋剤、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、滑剤、顔料等が挙げられる。
【0028】
物性改善の為の変性ポリマーは、無機化合物である(B)、(D)成分と(A)成分との親和性を向上させ、発泡性シートの加工性、発泡特性の改善効果を目的として添加されるもので、酸変性ポリオレフィンやポリシロキサン変性ポリアクリレート等が挙げられる。
【0029】
(B)成分以外の難燃剤はハロゲンを含んではならない。その様なものとしては、赤燐、燐の各種酸素酸のエステルや塩、縮合燐酸塩、金属酸化物等が挙げられる。
【0030】
酸化防止剤としては、公知のものが使用でき、ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、イオウ系等のものが例示される。
【0031】
光安定剤としては、サリシレート系、ヒドロキシベンゾエート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の光吸収剤やヒンダードアミン系が挙げられる。 架橋剤としては、過酸化物系、アゾ系等が挙げられるが、発泡挙動やシート成形性、製品の劣化を引き起こさない程度にその使用量を制限する必要がある。
【0032】
帯電防止剤は、静電気によるコンピューター等の誤動作防止や塵の付着防止に効果があり、例えば、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の各種界面活性剤が例示される。
【0033】
抗菌剤や防黴剤は内装材の表面や裏面での黴や様々な微小生物の発生を抑制するためのもので、ピリジニウム塩等の4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩や銀イオンを含んだ化合物等が例示される。
【0034】
滑剤は熔融混練時やシート成形時に於ける樹脂組成物の流動性やシート成形性の調整に用いられるもので、各種ワックス類、高級脂肪酸類、高級脂肪酸アミド類、高級脂肪酸の低級アルコール、芳香族アルコール、多価アルコールとのエステル類、高級脂肪族アルコール類、金属石鹸等が例示される。
【0035】
【実施例】
次に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
尚、A1−1はメタロセン触媒に依るものであり、一方、A1−2はチーグラー触媒によるものである。
【0037】
[(B)成分]
実施例、比較例に用いた(B)成分の粒子形状、アスペクト比、平均粒子径を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に於ける粒子形状は走査型電子顕微鏡を用いて観察したものであり、板状とは、多角形状の面を有し、多角形の中心を通る径に対して明らかに小さい厚みを持つ形状を称した。不定形とは、形状を特定出来ないもの、及び1次粒子が球状であっても強く凝集しているものを称した。また、板状のもののアスペクト比は、走査型電子顕微鏡で拡大観察して、任意に選択した30個の多角形の中心を通る代表径と厚みから求め、その平均値を示した。また、粒子径は、マイクロトラックによって測定した平均粒子径である。
【0040】
[(C)成分]
実施例、比較例には、(C)成分としてADCAを用いた。
【0041】
[(D)成分]
実施例、比較例に用いた(D)は次の3種である。
【0042】
D1:軽質炭酸カルシウム(平均粒子径:0.97μm)
D2:重質炭酸カルシウム(平均粒子径:2.1μm)
D3:二酸化チタン(平均粒子径:0.21μm)
D4:硫化亜鉛(平均粒子径:0.30μm)
[実施例1〜5、比較例1〜7]
(A)、(B)、(C)成分、及び発泡助剤としてのステアリン酸亜鉛を表2に示す割合で、オープンロールを用いて熔融混練して樹脂組成物を得た。ステアリン酸亜鉛の配合量はADCAの30重量%とした。該組成物をオープンロールによって圧延し、更に難燃紙と熱融着によって張り合わせて、樹脂組成物層(発泡性シート)の厚みが0.1mm、0.11mm及び0.12mmである発泡性原反を得た。
【0043】
発泡シートと難燃紙とからなる発泡原反は発泡性原反を、スモールオーブン (ウエルナマチス社製)によって210℃で60秒間加熱して得た。次の式を用いて求めた発泡倍率を表2に示す。
【0044】
発泡倍率=発泡シート厚み/発泡性シート層厚み
発泡シートの外観(表面平滑性)は目視観察から、次の判定基準によって判断した。その結果は表2に示す。
【0045】
表面荒れなし:◎、表面ほぼ平滑:○、表面荒れあり:×
また、発泡シートの柔軟性は、指で押下した際の感触から、次の判定基準によって判断し、その結果を表2に示す。
【0046】
柔軟感豊か:◎、柔軟感あり:○、柔軟感不足:×
次に、発泡原反をスモールオーブンで210℃、5秒間加熱し、直ちにエンボスロールを用いて、エンボス加工を行なった。エンボス性(模様転写性)は目視で判定した。その結果を次の様に表2に示す。
【0047】
転写性良好:◎、転写性不良:×
発泡原反をJIS A 1321(1994年)に定められたボードに糊を用いて張り付け、JIS A 1321(1994年)に準じて表面試験を実施した。発煙係数CAはいずれも20以下であり、加熱開始3分以内に標準曲線を温度曲線は越えなかった。また、加熱開始10分後に加熱を停止したが、直ちに炎が消失した。従って、Tdθ(温度時間面積:単位℃・min)の値に基づいて、次の様な判定基準で判断した結果を表2に示す。即ち、下記の厚みの発泡性シートによる発泡原反では、難燃2級(建築基準法でいう法定不燃石膏ボードもしくは法定準不燃材料の基材に貼り合わせた時に準不燃相当)を満足したことを示す。
【0048】
0.12mmの発泡性シート厚みでTdθ≦100となった:◎
0.11mmの発泡性シート厚みでTdθ≦100となった:○
0.10mmの発泡性シート厚みでTdθ≦100となった:△
0.10mmの発泡性シート厚みでもTdθ≦100とならなかった:×
【0049】
【表2】
【0050】
実施例1〜3は、アスペクト比が2〜10であり、かつ平均粒子径が2μm以下である板状の水酸化マグネシウムを用いた例である。いずれも発泡特性(発泡倍率、外観、柔軟性)に優れ、かつ、難燃性も難燃2級に合格した。一方、使用した水酸化マグネシウムの粒子径が大きい場合(比較例1)、アスペクト比の小さい場合(比較例2)、不定形の場合(比較例3〜5)には、発泡倍率が低く、外観やエンボス転写性に劣った。
【0051】
(B)成分として水酸化アルミニウムを用いた場合、板状でアスペクト比や平均粒子径が本発明の条件を満たしていれば(実施例4)、やはり発泡特性、難燃性とも優れたものが得られた。板状でもアスペクト比が小さい場合(比較例6)や不定形の場合(比較例7)には、発泡特性、外観やエンボス性に劣った。
【0052】
(B)成分として本発明の条件に適合した水酸化カルシウムを用いた場合(実施例5)にも、難燃性と発泡特性に優れた発泡原反が得られた。
【0053】
[実施例6〜13、比較例8〜11]
(D)成分の1種若しくは2種を実施例1、比較例4、6、7及び8の金属水酸化物と併用する形で用い、表3に示した配合で実施例1と同様に発泡原反を調製し、その発泡特性と難燃性とを評価した。但し、実施例10、12及び13に於いては発泡性原反を40秒間加熱して発泡させた。
【0054】
【表3】
【0055】
表2の実施例に於いては、発泡シートは若干黄色に着色したが、(A)成分100重量部に対して、(D)成分として二酸化チタンを10重量部配合した場合(実施例6)には、その様な着色は殆どみられず、(D)成分の隠蔽性が示された。
【0056】
(D)成分として、重質炭酸カルシウム(天然炭酸カルシウムの粉砕品)、軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)、二酸化チタン、硫化亜鉛のいずれも発泡特性に大きな影響は与えなかった。但し、(D)成分合計量を(A)成分100重量部に対して80重量部(実施例12)、110重量部(実施例13)にすると発泡倍率、外観、エンボス性が多少低下したが、難燃性は良好であった。
一方、実施例6の(B)成分の水酸化マグネシウムを粒子形状や粒子径が本発明の範囲に入っていないものを用いて検討した(比較例8〜11)ところ、いずれも、発泡特性が満足の行くものではなかった。
【0057】
[実施例14〜15]
(B)成分、(D)成分の配合量の影響を明らかにする為に、実施例10の組成において、(B)成分、(D)成分の量を減じたものの組成と評価結果を表3に示した。(B)成分を(A)成分100重量部に対して5重量部に減じた場合(実施例14)、発泡倍率が多少低下したものの良好な結果となった。また、更に(D)成分を配合しない場合(実施例15)には、難燃性が低下して発泡性シート厚みを0.1mmまで薄くする必要があったが、その他の面では良好な結果となった。
【0058】
[実施例16〜21]
使用する樹脂の種類が発泡シートの柔軟性に及ぼす影響を検討した。即ち、表4に示した配合で、上記の実施例と同様の操作によって、発泡原反を調製し、その発泡特性と難燃性とを評価した。その結果を表4に示す。
【0059】
【表4】
【0060】
各種のポリオレフィンが本発明の条件に適合する(B)成分を用いると良好な発泡特性と難燃性の発泡原反を与えた。但し、熔融吸熱ピークが100℃を越える場合(実施例17)には、柔軟性に多少劣った。
【0061】
[実施例22]
A2−2をA2−4に変えた以外は実施例1と同様に発泡原反を調製し、その発泡特性と難燃性とを評価した(表4参照)。但し、ロールへの粘着性が他の実施例よりも強い為、発泡性シートの厚みを0.5mmとした。発泡倍率は8.5で、外観、柔軟性、エンボス性、難燃性のいずれも実施例1と同様、◎であった。
【0062】
[実施例23]
EVAのエマルション(樹脂分50重量%、樹脂中の酢酸ビニル含有率85重量%)に、該樹脂分100重量部に対して、100重量部のB1−1、10重量部の二酸化チタン、12重量部のADCA、及び3重量部のステアリン酸亜鉛を配合し、水酸化アルミニウムで処理された不燃紙に塗布し、140−150℃の温度で2分間加熱して、発泡性原反とした。この発泡性原反を調製した。この発泡性原反を210℃で60秒加熱して、発泡原反を得た。この発泡原反について、実施例1と同様の評価を行なったところ、発泡倍率3.1倍、外観○、柔軟性◎、エンボス性○、難燃性◎であった。
【0063】
[比較例12]
B1−1をB1−8に置き換えた他は実施例23と同様にして発泡原反を調製し、同様の評価を行なったところ、発泡倍率1.9倍、外観×、柔軟性◎、エンボス性×、難燃性◎であった。
【0064】
即ち、本発明の条件に適合した金属水酸化物を用いることで、エマルションを塗布する方法でも高い発泡特性の発泡性シートが得られる。
【0065】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のポリオレフィン系樹脂に特定の金属水酸化物若しくは特定の金属水酸化物と無機充填剤とを用いて化学発泡させることで、難燃性を満足し、高い発泡倍率と優れた意匠性を持つ発泡シートが得られ、また意匠性に優れた床材や壁紙等の建築内装材が製造できる。
Claims (13)
- (A)ポリオレフィン系樹脂、(B)アスペクト比(直径/厚み比)が2〜10であり、かつ平均粒子径が2μm以下である板状の金属水酸化物、及び、(C)化学発泡剤よりなることを特徴とする発泡性シート。
- (A)ポリオレフィン系樹脂、(B)アスペクト比(直径/厚み比)が2〜10であり、かつ平均粒子径が2μm以下である板状の金属水酸化物、(C)化学発泡剤、及び、(D)無機充填剤よりなることを特徴とする発泡性シート。
- (A)のポリオレフィン系樹脂100重量部に対して(B)の金属水酸化物が1〜120重量部、及び、(D)の無機充填剤が100重量部以下含有されており、かつ(B)成分と(D)成分との合計が5重量部以上であることを特徴とする請求項2に記載の発泡性シート。
- (A)のポリオレフィン系樹脂100重量部に対して(B)の金属水酸化物が30〜120重量部、及び、(D)の無機充填剤が70重量部以下含有されていることを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の発泡性シート。
- (A)のポリオレフィン系樹脂100重量部に対して(B)の金属水酸化物が30〜120重量部、及び、(D)の無機充填剤が10〜70重量部含有されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の発泡性シート。
- (A)のポリオレフィン系樹脂が次の(A1)、(A2)及び(A3)から選ばれる1種若しくは2種以上からなる混合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発泡性シート。
(A1)エチレンとα−オレフィンとの共重合体
(A2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂
(A3)エチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂 - (A)のポリオレフィン系樹脂が酢酸ビニル含有量10〜45重量%の(A2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂又は(A2)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂と(A1)エチレンとα−オレフィンとの共重合体及び(A3)エチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂から選ばれる1種若しくは2種からなる混合物であって混合物中の酢酸ビニル含有量10〜45重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発泡性シート。
- 加熱溶融混練して成形することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の発泡性シート。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の発泡性シートより得られる発泡シート。
- 請求項9に記載の発泡シートにさらに表皮材及び/又はバッキング材と貼り合わせた床材。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の発泡性シートにさらに表皮材及び/又はバッキング材と貼り合わせた床材原反。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の発泡性シートより得られる発泡シート及び基材紙よりなることを特徴とする壁紙。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の発泡性シート及び基材紙よりなることを特徴とする壁紙原反。
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