JP4248065B2

JP4248065B2 - 発泡性樹脂組成物、及び発泡シート

Info

Publication number: JP4248065B2
Application number: JP03308699A
Authority: JP
Inventors: 忠義見持; 寛之大倉
Original assignee: Lonseal Corp
Current assignee: Lonseal Corp
Priority date: 1999-02-10
Filing date: 1999-02-10
Publication date: 2009-04-02
Anticipated expiration: 2019-02-10
Also published as: JP2000230068A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡性樹脂組成物及び発泡シートに関し、さらに詳しくは、無機充填剤を高充填しても発泡性に優れ、燃焼時に環境を汚染するガス等を発生することなく、しかも難燃性を有する、壁紙、レザー、床材等に好適な発泡性樹脂組成物及び発泡シートに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来においては加工性、難燃性、コストの点から塩化ビニル樹脂製の発泡体が広く提供されていたが、塩化ビニル樹脂は、燃焼により塩化水素ガスを発生するため、環境や安全の面から好ましくない。そこで近年塩化ビニル樹脂に代わるものとして、オレフィン系樹脂を用いた壁紙、例えば特開平５−２００９４８号公報及び特開平７−１８６３３６号公報が提案されている。
【０００３】
しかしながら、オレフィン系樹脂を用いた場合、難燃性を付与する為に無機充填剤や難燃剤を多量に使用しており、このため発泡ガスを放出しやすく発泡倍率を高くすることはできないと共に表面が荒れてしまうという問題があった。
【０００４】
また、発泡セル調整剤として一般的に使用されているアクリル系樹脂主成分の樹脂系及び、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面活性剤系を使用した場合によっても、無機充填剤を多量に使用した場合、発泡セル形状を安定化することができず、気泡の破壊や潰れを改善することができず、発泡倍率を高くすることができなかった。
したがって、壁紙、レザー及び床材等に好適なオレフィン系の発泡性樹脂組成物が未だ提案されていないのが実状である。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来における問題を解決し、特に無機充填剤を高充填しても発泡性に優れ、燃焼時に環境を汚染するガスを発生することなく、しかも難燃性を有するオレフィン系の発泡性樹脂組成物及び発泡シート、例えば壁紙、レザー、床材等に好適な発泡シートを提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明が前記課題を解決するために講じた手段は、請求項１においてはＭＦＲが０．５〜１０．０ｇ／１０分であるオレフィン系樹脂１００重量部に対して無機充填剤を５０〜１５０重量部と、発泡剤を２〜１５重量部添加してなる樹脂組成物に、ポリエーテルを０．１〜５．０重量部含有することを特徴とする発泡性樹脂組成物としたものであり、請求項２では該ポリエーテルがポリエチレングリコールであることを特徴とする発泡性樹脂組成物としたことであり、請求項３においては前記発泡性樹脂組成物をシート状に成形して発泡することである。
【０００７】
【発明の実施の形態】
本発明の発泡性樹脂組成物は、オレフィン系樹脂、無機充填剤、発泡剤からなる樹脂組成物にポリエーテルを含有してなり、さらに必要に応じてその他の成分を添加することができる。
【０００８】
本発明のオレフィン樹脂としては、この種の技術分野において周知であり、一般の市販品が使用でき、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンと他のモノマーとの共重合体、例えば直鎖状低密度ポリエチレンを含むエチレンとα−オレフィンとの共重合樹脂（以下ＬＬＤＰＥと略す）、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂（以下ＥＶＡと略す）、エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂（以下ＥＥＡと略す）、ポリプロピレン（ホモ、ブロック、ランダム）、ポリブテン、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、オレフィン系エラストマーなどが挙げられ、これらは１種のみを使用してもよく、２種以上を併用してもよい。
【０００９】
また、本発明のオレフィン樹脂はＭＦＲ（メルトフローレート）が０．５〜１０．０ｇ／１０分の範囲のものが使用可能であり、好ましくは１．０〜７．０ｇ／１０分である。また、オレフィン樹脂を２種以上で使用する場合は単体ではＭＦＲが前記範囲内である必要はなく、単体で前記範囲外のものを使用しても、混合物としてＭＦＲが前記範囲内であれば良い。ＭＦＲが０．５ｇ／１０分未満であると加工中の流動性が低いため加工性が悪くなり、ＭＦＲが１０．０ｇ／１０分を超えるとベタツキが大きくなり加工が困難になる。
【００１０】
オレフィン樹脂としてＥＶＡを使用することにより発泡倍率がより高くなり、さらに好ましい。ＥＶＡを使用する場合、ＥＶＡ樹脂に占める酢酸ビニル含有量を１０〜４５重量％とすることで柔軟性、加工時の取り扱い性の点で好ましい。
【００１１】
本発明の無機充填剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、硼酸亜鉛、ハイドロタルサイト等の水和金属化合物、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、雲母、クレー、硫酸バリウム等、公知の無機充填剤が単独又は併用して使用できる。無機充填剤の粒径としては平均粒径０．５〜１５μが使用でき、好ましくは１〜５μである。無機充填剤の添加量は前記オレフィン樹脂１００重量部に対し、５０〜１５０重量部であり、特に好ましくは７０〜１２０重量部である。添加量が５０重量部未満であると、難燃性が低下し、１５０重量部を超える場合、発泡倍率と加工性が低下する。また前記無機充填剤においてはアスペクト比が２〜１０のもの使用すると板状体であるため発泡時、ガスの放散を防ぎ発泡体の外観の向上に好ましい。これら板状充填剤は無機充填剤の使用範囲内であればいくらでも使用可能である。
【００１２】
無機充填剤への表面処理は特に制限はないが、アルコール、パラフィン、有機酸、有機酸塩、カップリング剤等で処理したものは充填剤の分散性が向上するため好適に用いられる。
【００１３】
本発明に使用する発泡剤は、この種の技術分野において周知の熱分解型発泡剤が使用でき、例えば、アゾジカルボン酸アミド（ＡＤＣＡ）、アゾビスイソブチロニトリル（ＡＩＢＮ）等のアゾ系化合物、Ｐ，Ｐ‘−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド（ＯＢＳＨ）等のスルホニルヒドラジド化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミン（ＤＰＴ）等のニトロソ化合物等の化学発泡剤が挙げられる。これらは単独で使用しても良く、２種以上を併用することもできる。これらの中で、加工性と安定性の面からアゾジカルボン酸アミドが好ましい。発泡剤の添加量は前記樹脂分１００重量部に対して２〜１５重量部であり、２重量部未満の場合は発泡倍率が充分に得られず、１５重量部を超える場合には効果が飽和する。発泡剤の分解温度を調整するものとして発泡調整剤が用いられ、例えば金属石鹸、金属酸化物、尿素系化合物、酸無水物、有機酸等の添加剤を単独又は併用して使用することができる。その添加量は０．１〜５重量部程度である。
【００１４】
本発明に使用するポリエーテルとしては、一般には
ＨＯ−（ＭＯ−）ｎＨ
で表され、Ｍはメチレン基あるいはその誘導体、ｎは１以上の整数であり、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールがあり、特にポリエチレングリコールが好ましい。ポリエーテルの分子量については特に限定はないが、発泡倍率および発泡セルの安定性の面で１００〜２００００が好ましく、２００〜６０００がより好ましい。これらポリエーテルは単独でも２種以上の併用でも良く、また、他の界面活性剤と併用することもできる。ポリエーテルの添加量は前記樹脂分１００重量部に対し０．１〜５．０重量部であり、発泡剤分解ガスの放出をおさえ、発泡倍率を高めることができる。
【００１５】
本発明におけるその他の成分としては、特に制限はなく、発泡性樹脂組成物の用途等に応じて適宜選択することができるが、例えば、分散剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、帯電防止剤、顔料、蛍光増白剤、難燃剤、加工性安定剤、滑剤、可塑剤、金属酸化物、繊維、木粉等の各種添加剤が使用できる。
【００１６】
本発明の発泡性樹脂組成物は、公知の混合装置、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、押出機等を用いて混合することにより得られる。
【００１７】
また、発泡性樹脂組成物のシート化については、公知のシート化装置、例えばカレンダー、押出機、インフレーション装置等を用いることができる。
【００１８】
本発明の発泡シートは、前記発泡性樹脂組成物をシート化後、公知の加熱装置で発泡して得られる。発泡シートの表面又は裏面のいずれか一方又は両面に非発泡樹脂層或いは基材を積層しても良く、積層は発泡前でも発泡後のどちらでもよい。非発泡樹脂層は特に制限はないが、本発明の発泡性樹脂組成物で使用するオレフィン系樹脂が好ましい。基材として使用できるものは、紙、織布、不織布、合成樹脂シート等特に制限はない。
【００１９】
例えば、壁紙として使用する場合の基材は、一般紙、難燃紙を使用することができる。難燃紙としては、例えば、パルプに自己消火性の水酸化アルミニウムを主体として、クレー、カオリン、タルク、二酸化チタン等を併用して混抄したものや、グアニジン化合物等を含浸したもの、水酸化アルミニウム紙、ガラス繊維紙等の難燃紙が挙げられる。
【００２０】
本発明の発泡シートは、１００〜１６０℃の範囲で未発泡のシート化を行うことが好ましく、この未発泡シートを２００〜２４０℃に加熱することで発泡シートとする。この発泡シートの厚みに特に制限はないが、発泡後の厚みは壁紙の場合には０．５〜２．０ｍｍ程度で、発泡倍率は３倍以上であり、レザーの場合は０．５〜３．０ｍｍ程度で、発泡倍率は３倍以上であり、床材の場合には１．０〜５．０ｍｍ程度で、発泡倍率は３倍以上であるが、いずれにしてもボリューム感をだすには５．０倍以上の発泡倍率が好ましい。
【００２１】
本発明の発泡シートには、プライマー処理、グラビア等の印刷、表面処理等を行うことができ、これらは発泡前、発泡後のいずれも行うことができる。また、エンボス加工を行うことで凹凸模様を付与することもできる。さらに汚れ防止フィルムやシート等、表面の保護層を必要に応じて適宜選択して積層することもできる。
【００２２】
本発明の発泡シートは、発泡性に優れ、燃焼時に環境を汚染するガスを発生することなく、しかも難燃性を有しており、壁紙、レザー、床材等に好適である。
【００２３】
【実施例】
次に、具体的な実施例よって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【００２４】
実施例１〜１３
表１に示す配合剤をバンバリーミキサーにより混合した後、温度１４０℃の逆Ｌ型カレンダー成形機で０．２ｍｍの厚みの未発泡シートを得た。この未発泡シートを厚さ０．１２ｍｍの一般紙と積層した。この積層シートを２１０℃の加熱オーブンにより６０秒間加熱して未発泡シートを発泡させて発泡体を得た。前記未発泡シートの加工性と発泡体の発泡状態及び発泡倍率を測定した。その結果を表１に示す。
【００２５】
比較例１〜７
表２に示す配合剤を混合した後、前記実施例１〜１３と同様にして発泡体を作製し、同様な測定をした。その結果を表２に示す。
【００２６】
実施例１４〜２０
表３に示す配合剤をバンバリーミキサーにより混合した後、温度１４０℃の逆Ｌ型カレンダー成形機で０．１ｍｍの厚みの未発泡シートを得た。この未発泡シートを厚さ０．１２ｍｍの難燃紙と積層した。この積層シートを２１０℃の加熱オーブンにより６０秒間加熱して未発泡シートを発泡させた後、表面にグラビア印刷を施し、エンボス加工を行って立体感のある意匠性の高い壁紙を得た。この壁紙の加工性、発泡状態及び発泡倍率を測定した。その結果を表３に示す。
【００２７】
比較例８〜１０
表３に示す配合剤を混合した後、実施例１４〜２０と同様にして壁紙を作製し、同様な測定をした。その結果を表３に示す。
【００２８】
なお、実施例及び比較例に使用した成分は、下記の通りであり、配合部数は全て重量部である。
【００２９】
オレフィン系樹脂

【００３０】
無機充填剤
イ：炭酸カルシウム平均粒径＝１μ（不定形のためアスペクト比なし）
ロ：水酸化アルミニウム平均粒径＝４μ（アスペクト比＝４）
ハ：水酸化マグネシウム平均粒径＝１μ（アスペクト比＝５）
【００３１】
ポリエテール
(1)：ポリエチレングリコール２００（平均分子量２００）
(2)：ポリエチレングリコール１０００（平均分子量１０００）
(3)：ポリプロピレングリコール（平均分子量１０００）
【００３２】
評価基準
<加工性>
加工温度１４０℃のカレンダー成形機における未発泡シートの加工性を評価した。
◎：加工性が良好。
○：加工可能。
×：加工性が悪い。
<発泡状態>
発泡温度２１０℃で６０秒間加熱発泡して得られた発泡シートの外観を評価した。
◎：表面が平滑できれい。
○：表面が平滑。
×：表面が凸凹している。
<発泡倍率>
未発泡シートの厚みと発泡シートの厚み比で示した。
◎：発泡倍率７倍以上。
○：発泡倍率５倍以上。
△：発泡倍率３倍以上。
×：発泡倍率２倍未満。
<難燃性>
発煙量（ＣＡ）及び発熱量（Ｔｄθ）は、ＪＩＳＡ１３２１建築物の内装材料及び工法の難燃性試験法によって測定した。なお、ＣＡは発煙係数であり、Ｔｄθは温度時間面積（℃・分）を示す。
◎：ＣＡが６０以下かつｔｄθが１００以下。
×：ＣＡが６０を超える、又はＴｄθが１００を超える。
【００３３】
【表１】

【００３４】
【表２】

【００３５】
【表３】

【００３６】
本発明はＭＦＲが０．５〜１０．０ｇ／１０分であるオレフィン系樹脂１００重量部に対して無機充填剤を５０〜１５０重量部と、発泡剤を２〜１５重量部添加してなる樹脂組成物に、ポリエーテルを０．１〜５．０重量部含有することにより、無機充填剤を高充填しても加工性に優れ、発泡倍率が高く、表面が平滑で発泡状態も良く、燃焼時に環境を汚染するガス等を発生することもなく、環境や安全面でも良好で、しかも難燃性の優れた壁紙、レザー、床材等に好適な発泡性樹脂組成物を得ることができる。
【００３７】
また、ポリエーテルがポリエチレングリコールであることによって、発泡分解ガスの放散を抑え、発泡倍率を高めることができる。
【００３８】
さらに、これらの発泡性樹脂組成物をシート状に成形して、これを発泡してなることにより、無機充填剤を高充填しても加工性が優れ、発泡倍率も高くて表面荒れが無く表面平滑な発泡状態が良好でかつ発泡セル形状が安定した気泡の破壊や潰れのない発泡シートであり、しかも燃焼時に環境を汚染するガス等が発生せず、難燃性の優れた壁紙、レザー、床材等に好適な発泡シートを提供することができる。

Claims

ＭＦＲが０．５〜１０．０ｇ／１０分であるオレフィン系樹脂１００重量部に対して無機充填剤を５０〜１５０重量部と、発泡剤を２〜１５重量部添加してなる樹脂組成物に、ポリエーテルを０．１〜５．０重量部含有することを特徴とする発泡性樹脂組成物。
ポリエーテルがポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項１に記載の発泡性樹脂組成物。
請求項１又は請求項２記載の発泡性樹脂組成物をシート状に成形して、これを発泡してなることを特徴とする発泡シート。