JP2014031493A - 発泡性樹脂組成物及び発泡体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも水により発泡可能な樹脂組成物は、デンプンを含む生分解性樹脂とポリプロピレン系樹脂と核剤とを含有させる。前記デンプンは、アミロペクチンを65〜100重量%の割合で含んでおり、未変性デンプン、エーテル化デンプン及びエステル化デンプンから選択された少なくとも一種を含んでいてもよい。前記生分解性樹脂は、さらにポリビニルアルコール系樹脂を含んでいてもよい。前記核剤は、タルク、炭酸カルシウム及びシリカから選択された少なくとも一種を含んでいてもよい。
【選択図】なし
Description
本発明の樹脂組成物は、少なくとも水により発泡可能であり、生分解性樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含む樹脂成分と、核剤を含む添加剤とを含んでいる。
(A)生分解性樹脂
生分解性樹脂は、微生物などにより分解可能な樹脂である限り特に制限されず、少なくともデンプンを含んでいる。デンプンは、線状のアミロース及び/又は分岐状のアミロペクチンを含んでいる。本発明では、発泡性を向上できる点から、アミロペクチンの含有量が多いデンプン、具体的には、アミロペクチンを65〜100重量%、好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは75〜100重量%(例えば、80〜100重量%)の割合で含むデンプンが好ましい。アミロペクチンの含有量は、沈殿法、電位差滴定法、濾紙クロマトグラフィーなどにより測定できる。
ポリプロピレン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂と比較して、高融点であり、固化温度が高いためか、少なくとも水により均一に発泡可能である。
発泡性樹脂組成物は、必要により軟質ポリマーを含んでいてもよい。軟質ポリマーは、後述の核剤と同様、気泡を微細化でき、発泡体の強度、柔軟性及び復元性を向上できる。また、軟質ポリマー(又はエラストマー)は、発泡体の耐熱性も向上でき、発泡体を高温下に晒しても、発泡体が破損するのを抑制できる。軟質ポリマーとしては、軟質ポリオレフィン(又はオレフィン系エラストマー)、軟質スチレン系ポリマー(又はスチレン系エラストマー)、軟質ポリエステル(又はポリエステル系エラストマー)、軟質ポリアミド(又はポリアミド系エラストマー)、軟質ポリウレタン(又はウレタン系エラストマー)などが例示できる。これらの軟質ポリマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの軟質ポリマーのうち、相溶性などの点から、軟質ポリオレフィン、軟質スチレン系ポリマーが好ましい。
(D)核剤
本発明では、樹脂組成物が核剤を含んでおり、少なくとも水により発泡させると、核剤が水分を吸着しつつ発泡が進行し、気泡を微細化でき、気泡膜を薄膜化できるため、発泡体の強度、柔軟性、表面平滑性を大きく向上できる。
デンプンに水分が含まれるため、水系発泡剤は必ずしも必要ないが、水系発泡剤を用いると、より高い発泡率で発泡できるとともに、均一な気泡構造を形成できる点で有利である。すなわち、本発明の樹脂組成物は、水系発泡剤を用いて発泡成形する用途にも適している。
樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない限り、他の添加剤、例えば、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維などの繊維充填剤など)、安定剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤;紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤など)、発泡助剤、難燃剤、着色剤(染料、顔料など)、分散剤、離型剤、防曇剤、滑剤、潤滑剤、衝撃改良剤、可塑剤、収縮防止剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、防腐剤、防カビ剤、光触媒(酸化チタンなど)などを含有してもよい。これらの添加剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の発泡体は、慣用の方法により、前記樹脂組成物を発泡成形することにより製造できる。発泡成形法としては、種々の方法、例えば、押出成形法(例えば、Tダイ法、インフレーション法など)、射出成形法などが使用できる。
(w2は吸水後の発泡体重量、w1は吸水前の発泡体重量、d1は発泡体の見掛け密度、d2は発泡体に使用されている樹脂組成物の見掛け密度、d3は測定時の水の密度)。
(A)デンプン
コーンスターチA(日本コーンスターチ(株)製、コーンスターチ、アミロペクチン含有量75重量%、平均粒子径15.8μm)
タピオカデンプン1(日本コーンスターチ(株)製、タップル25、アセチル化デンプン、アミロペクチン含有量83重量%、平均粒子径16.2μm)
タピオカデンプン2(日本コーンスターチ(株)製、HPT−1、エーテル化デンプン、アミロペクチン含有量75重量%、平均粒子径17.3μm)
ワキシーコーンスターチB(日本コーンスターチ(株)製、コンシスタ、エステル化デンプン、アミロペクチン含有量100重量%、平均粒子径16.7μm)
ソラマメ(松本ノーサン(株)製、ソラマメ、アミロペクチン含有量67.5重量%)
ハイアミローストウモロコシB(日本食品化工(株)製、ハイアミロースコーンスターチ、アミロペクチン含有量35重量%)
混合デンプン(コーンスターチA/ハイアミローストウモロコシB=63/37、アミロペクチン含有量60重量%)
PP1(日本ポリプロ(株)製、MA1B、ホモポリマー、MFR=21g/10分、融点162℃)
PP2(住友化学(株)製、FS2016、ホモポリマー、MFR=2.1g/10分、融点160℃)
PVA(日本酢ビポバール(株)製、JF−17S)
タルク(日本タルク(株)製、ミクロエースSG−95、平均粒子径2.5μm)
炭酸カルシウム(白石工業(株)製、合成炭酸カルシウムSL−101、平均粒子径1.3μm)
シリカ(東ソー・シリカ(株)製、ニップシールAQ、平均粒子径3.5μm)
なお、デンプンと核剤の平均粒子径(粒度積算分布50%径)は、レーザー回折・散乱式粒度分析計(日機装(株)製、マイクロトラックMT3300)を用いて測定した。
発泡性は、発泡倍率から計算して以下の基準により評価した。
2…10倍以上35倍未満
3…35倍以上60倍未満
4…60倍以上。
試験片の長さ方向の中心部を基点にして180°に曲げ、その曲げた部分の状態(亀裂の有無)を目視で観察する。曲げ操作を10回実施し、次式により脆性の割合を計算し、以下の基準により脆性を評価した。
1…50%以上の割合で亀裂が入る
2…50%未満の割合で亀裂が入る
3…亀裂は入らないが、折り曲げた跡が残る
4…亀裂が入らず、折り曲げた跡も目立たない。
試験片の外径方向(厚み方向)に外径(厚み)の50%まで圧縮し、直ちに圧縮を解除して120秒後の外径(厚み)を測定し、次式により復元性を計算し、以下の基準により評価した。
1…50%未満
2…50%以上80%未満
3…80%以上95%未満
4…95%以上。
発泡性、脆性、復元性(ソフト性)の評価値を合計し、以下の基準により評価した。
良好…9以上。
デンプン、ポリビニルアルコール及び/又はポリプロピレンと核剤とを、表1〜2に示す割合で混合し、得られた組成物を押出機(口金2.6mmφ)内で溶融混練し、押出機の途中から発泡剤を表1〜2に示す割合で注入し、棒状に押し出し、外径約15mmφの発泡体を得た。得られた発泡体を長さ200mmに切断して棒状の試験片を作製した。
2軸押出機(スクリュー径46mmφ)に、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン及び核剤を、表2に示す割合で含む組成物を入れ、押出機の中間部から発泡剤を表2に示す割合で注入した。押出機の樹脂温度を発泡温度にして、押出機先端に装着されたダイス直径160mm、押出し溝数70、押出し溝の直径1.0mmの金型で回転押し出しにより、筒状に連続的に押し出し、得られた筒状ネットを径方向にカットして二分した後、所定の寸法(幅320mm×長さ460mm)に切断し、ネット状の試験片(ストランド径8mm、ピッチ35mm、ストランド数35本)を作製した。
2軸押出機(スクリュー径46mmφ)に、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン及び核剤を、表2に示す割合で含む組成物を入れ、押出機の中間部から発泡剤を表2に示す割合で注入した。押出機の樹脂温度を発泡温度にして、押出機先端に装着されたサーキュラーダイから筒状に連続的に押し出し、得られた筒状の発泡シートをセンターカットした後、所定の寸法(幅350mmX長さ420mm)に切断し、一方の面が平滑であり、かつ他方の面に46個のリブ(幅6mm)が平行に延びたシート状の試験片(厚み:凸部5mm、平坦部5mm)を作製した。
Claims (14)
- 少なくとも水により発泡可能である樹脂組成物であって、デンプンを含む生分解性樹脂とポリプロピレン系樹脂とを含む樹脂成分と、核剤とを含んでおり、前記デンプンが、アミロペクチンを65〜100重量%の割合で含む発泡性樹脂組成物。
- 生分解性樹脂が、さらにポリビニルアルコール系樹脂を含む請求項1記載の発泡性樹脂組成物。
- 核剤が、タルク、炭酸カルシウム及びシリカから選択された少なくとも一種を含む請求項1又は2記載の発泡性樹脂組成物。
- 核剤の平均粒子径が、0.1〜20μmである請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
- 核剤の割合が、樹脂成分100重量部に対して、0.5〜7.5重量部である請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
- ポリプロピレン系樹脂が、融点151〜165℃及びメルトフローレート1〜35g/10分のうち、少なくとも一方の特性を満たす請求項1〜5のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
- デンプンが、未変性デンプン、エーテル化デンプン及びエステル化デンプンから選択された少なくとも一種を含む請求項1〜6のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
- デンプンの平均粒子径が、5〜45μmである請求項1〜7のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
- 生分解性樹脂とポリプロピレン系樹脂との割合(重量比)が、前者/後者=30/70〜95/5である請求項1〜8のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
- さらに、樹脂成分100重量部に対して、1.8〜20重量部の割合で水系発泡剤を含む請求項1〜9のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の発泡性樹脂組成物で発泡成形された発泡体。
- 連続気泡率が10〜60体積%である請求項11記載の発泡体。
- 見かけ密度が0.01〜0.05g/cm3である請求項11又は12記載の発泡体。
- ロッド、ネット又はシートである請求項11〜13のいずれかに記載の発泡体。
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