JP4836583B2 - 発泡体用樹脂組成物及び発泡体 - Google Patents

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本発明は、樹脂発泡体を製造するのに有用な発泡体用樹脂組成物及びこの樹脂組成物で形成され、包装材、緩衝材、充填材(隙間又は目地部に充填するための充填材、合併浄化槽用の充填材など)などとして有用な発泡体に関する。
樹脂発泡体は、弾力性、柔軟性、断熱性などの性質を利用して、包装材、断熱材、緩衝材、容器などの各種用途で多用されている。また、近年では、環境的配慮から、生分解性高分子などを用いた発泡体も知られている。
例えば、デンプン系樹脂を用いた発泡体に関して、特開2004−123945号公報(特許文献1)には、エステル変性でんぷん系樹脂を基材樹脂の主成分とし、見掛け密度が30〜600kg/m、厚みが0.2〜10mm、連続気泡率が45%以下であるエステル変性でんぷん系樹脂発泡シートが開示されている。また、特開2004−262217号公報(特許文献2)及び特開2004−306507号公報(特許文献3)には、エステル変性でんぷん系樹脂発泡層の少なくとも片面に、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物で構成され、23℃における引張弾性率が400MPa以上の樹脂組成物からなるフィルム層を有し、連続気泡率が45%以下である複合発泡板が開示されている。しかし、このような組み合わせでは、得られる発泡体の連続気泡率のコントロールが困難である。
また、特開2001−200084号公報(特許文献4)には、セルロース・アセテート系樹脂を主成分として含有する発泡性樹脂組成物を押し出しすると同時に水分の気化膨張力により発泡させることにより製造されるセルロース・アセテート系樹脂発泡体において、上記発泡性樹脂組成物が、セルロース・アセテート系樹脂100重量部に対して10〜100重量部の割合で、コーンスターチ、米粉、デンプンなどの生分解性付与材(A)を含有する生分解性でかつ機械的特性や熱賦形性にも優れたセルロース・アセテート系樹脂発泡体が開示されている。しかし、特許文献4には、前記発泡体の気泡が、独立気泡及び連続気泡のいずれが多いのかについて、また、独立気泡率及び連続気泡率のいずれについても開示されていない。
特開2004−123945号公報(請求項1) 特開2004−262217号公報(請求項1) 特開2004−306507号公報(請求項1) 特開2001−200084号公報(請求項1)
従って、本発明の目的は、発泡体の連続気泡率を向上できる発泡体用樹脂組成物、及びこの樹脂組成物で形成される発泡体を提供することにある。
本発明の他の目的は、連続気泡率を効率よくコントロールできるとともに、生分解性を有する発泡体用樹脂組成物、及びこの樹脂組成物で形成される発泡体を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、融点または軟化点の異なる2種類のオレフィン系樹脂を用いると、発泡成形の冷却過程で融点または軟化点の高い樹脂が先に固化して樹脂間に歪みが生じることにより、生成した気泡が破泡しやすく、連続気泡率を改善または向上できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の発泡用樹脂組成物は、マトリックスを構成可能な第一のオレフィン系樹脂と、この第一のオレフィン系樹脂のマトリックスに分散可能である第二のオレフィン系樹脂とで構成された発泡体用樹脂組成物であって、前記第二のオレフィン系樹脂の融点または軟化点は、前記第一のオレフィン系樹脂の融点または軟化点より高い。前記発泡用樹脂組成物は、さらにデンプン類及び生分解性樹脂から選択された少なくとも一種を含有してもよい。
前記第一オレフィン系樹脂と第二オレフィン系樹脂との融点または軟化点の差は、5〜100℃程度であってもよい。また、前記第一のオレフィン系樹脂は、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体から選択された少なくとも一種であってもよく、前記第二のオレフィン系樹脂は結晶性ポリプロピレン、中密度ポリエチレン、及び高密度ポリエチレンから選択された少なくとも一種であってもよい。前記デンプン類は、例えば、デンプン、エーテル化デンプン及びエステル化デンプンから選択された少なくとも一種であってもよい。
前記デンプン類の割合は、第一のオレフィン系樹脂100重量部に対して、1〜150重量部程度であってもよい。第二のオレフィン系樹脂の割合は、第一のオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜70重量部程度であってもよい。前記樹脂組成物は、さらに脂肪酸アミド及び脂肪酸エステルから選択された少なくとも一種を含有してもよい。
また、本発明には、前記樹脂組成物で形成された発泡体も含まれる。この発泡体の発泡倍率は9〜90倍程度であってもよい。また、前記発泡体の密度は0.01〜0.1g/cm程度であってもよい。前記発泡体の連続気泡率は10%以上であってもよい。
さらに本発明には、前記樹脂組成物を用いて発泡成形することにより、発泡体の連続気泡率を向上させる方法も含まれる。
本発明では、マトリックスと分散相とを形成し、かつ融点または軟化点の異なる2種類のオレフィン系樹脂とで発泡体用樹脂組成物を構成するので、発泡成形の冷却過程で融点または軟化点の高い樹脂が先に固化することにより、生成した気泡が破泡しやすく、連続気泡率を向上できる。また、さらにデンプン類及び/又は生分解性樹脂を用いる場合には、樹脂組成物に生分解性を付与できる。また、樹脂の割合などを調整することにより連続気泡率を効率よくコントロールすることもできる。
(発泡体用樹脂組成物)
本発明の発泡体用樹脂組成物は、マトリックスを構成可能な第一のオレフィン系樹脂と、この第一のオレフィン系樹脂のマトリックスに分散可能である第二のオレフィン系樹脂とで構成されており、前記第二のオレフィン系樹脂の融点または軟化点は、前記第一のオレフィン系樹脂の融点または軟化点より高い。
前記第一及び第二のオレフィン系樹脂としては、例えば、鎖状オレフィン系樹脂[例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどのα−C2−20オレフィン(好ましくはα−C2−6オレフィン)の単独又は共重合体、前記α−C2−20オレフィンと他の共重合性単量体((メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系単量体;マレイン酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその無水物;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;シクロペンテン、ノルボルネンなどの環状オレフィン類;ブタジエンなどのジエン類など)との共重合体(例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)など]、環状オレフィン系樹脂[環状オレフィン(例えば、シクロペンテンなどのシクロアルケン(C4−10シクロアルケンなど);シクロペンタジエンなどのシクロアルカジエン(シクロC4−10アルカジエンなど);ノルボルネン、ノルボルナジエンなどのビシクロアルケン又はビシクロアルカジエン(C8−20ビシクロアルケン又はビシクロアルカジエンなど);ジヒドロジシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンなどのトリシクロアルケン又はトリシクロアルカジエン(C10−25トリシクロアルケン又はトリシクロアルカジエンなど)など)の単独又は共重合体;前記環状オレフィンと他の共重合性単量体(前記共重合性単量体の他、前記α−C2−20オレフィンなど)との共重合体など]などが挙げられる。これらのオレフィン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて第一及び/又は第二のオレフィン系樹脂を構成してもよい。
なお、前記オレフィン系樹脂のうち、ポリエチレン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン;エチレン−プロピレン共重合体などのエチレンと他のオレフィン(例えば、α−C3−10オレフィンなど)との共重合体;エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート、エチレン−酢酸ビニルなどのエチレンと他の共重合性単量体などが挙げられる。なお、ポリエチレンには、メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレンも含まれる。また、ポリエチレンの密度は、例えば、0.86〜1.0g/cm程度の範囲から選択でき、好ましくは0.87〜0.99、さらに好ましくは0.88〜0.98程度であってもよい。なお、密度0.910〜0.925g/cm程度のポリエチレンをLDPE、密度0.941〜0.970g/cm程度のポリエチレンをHDPE、これらの範囲の中間の密度を有するポリエチレンを中密度ポリエチレンとするものとする。なお、LLDPEの密度は、通常、0.880〜0.945g/cm程度である。
上記オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、例えば、1×10〜50×10、好ましくは2×10〜10×10、さらに好ましくは3×10〜7×10程度である。
第1及び第2のオレフィン系樹脂は結晶性又は非結晶性のいずれであってもよい。分散相を効率よく固化させる点から、少なくとも分散相は結晶性のオレフィン系樹脂で構成するのが好ましく、連続相(マトリックス)及び分散相の双方を結晶性樹脂で構成してもよい。
本発明において、第一のオレフィン系樹脂と第二のオレフィン系樹脂との組み合わせは、第二のオレフィン系樹脂の融点または軟化点が、第一のオレフィン系樹脂の融点または軟化点よりも高くなるような組み合わせであればよく、前記例示のオレフィン系樹脂から適宜選択して両樹脂を組み合わせることができる。
前記第一のオレフィン系樹脂と前記第二のオレフィン系樹脂との融点または軟化点の差は、例えば、5〜100℃、好ましくは10〜98℃、さらに好ましくは15〜95℃程度である。なお、第一及び第二のオレフィン系樹脂において、両樹脂間の融点または軟化点の差異は、ベースとなるオレフィン系単量体の種類だけでなく、共重合体の組成(共重合性単量体の種類及び割合など)、分子量などを適宜調整することにより、適当に調節することができる。
第一のオレフィン系樹脂と第二のオレフィン系樹脂との具体的な組み合わせとしては、例えば、下記の組み合わせなどが挙げられる。
(i)第一のオレフィン系樹脂としてのポリエチレン系樹脂[LDPE、LLDPEなどのポリエチレン;エチレン−プロピレン共重合体(例えば、エチレンの含量が60〜90モル%程度の共重合体)などのエチレンと他のオレフィン類との共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などのエチレンと他の共重合性単量体との共重合体など]と、第二のオレフィン系樹脂としてのC2−10オレフィン系樹脂[例えば、ポリエチレン系樹脂(中密度ポリエチレン、HDPEなどのポリエチレンなど)、ポリプロピレン系樹脂(ポリプロピレン;プロピレン−エチレン共重合体(例えば、プロピレンの含量が60〜90モル%程度の共重合体)などのプロピレンと他のオレフィン類(α−C2−6オレフィンなど)との共重合体;プロピレンと他の共重合性単量体との共重合体など)、ポリ1−ブテン系樹脂(ポリ1−ブテン;1−ブテンと他のオレフィン類との共重合体;1−ブテンと他の共重合性単量体との共重合体など)、ポリイソブテン系樹脂(ポリイソブテン;イソブテンと他のオレフィン類との共重合体;イソブテンと他の共重合性単量体との共重合体など)、ポリペンテン系樹脂(1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどのペンテン類の単独又は共重合体;ペンテン類と他のオレフィン類との共重合体;ペンテン類と他の共重合性単量体との共重合体など)など]との組み合わせ。
(ii)第一のオレフィン系樹脂としての前記ポリイソブテン系樹脂と、第二のオレフィン系樹脂としての前記ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂(エチレンと他のオレフィン類との共重合体、エチレンと他の共重合性単量体との共重合体など)、前記ポリ1−ブテン系樹脂、及び/又は前記ポリペンテン系樹脂などとの組み合わせ
(iii)第一のオレフィン系樹脂としてのポリ1−オクテン系樹脂と、第二のオレフィン系樹脂としての前記ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂(エチレンと他のオレフィン類との共重合体、エチレンと他の共重合性単量体との共重合体など)、前記ポリ1−ブテン系樹脂、及び/又は前記ポリペンテン系樹脂などとの組み合わせ。
なお、これらの組み合わせにおいて、前記ポリプロピレンの立体構造は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチック構造のいずれであってもよいが、特に、アイソタクティシティー(結晶化度)の高いポリプロピレンを用いるのが好ましい。ポリプロピレンの結晶化度は、例えば、80%以上(例えば、80〜99%程度)、好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上であってもよい。
上記組み合わせのうち、前記(i)の組み合わせ、特に、第一のオレフィン系樹脂としてのポリエチレン系樹脂(LDPE、LLDPE、EVAなど)と、第二のオレフィン系樹脂としてのポリエチレン系樹脂(中密度ポリエチレン、HDPEなど)及び/又はポリプロピレン系樹脂(結晶性ポリプロピレンなどのポリプロピレンなど)との組み合わせが好ましい。
樹脂組成物において、第二のオレフィン系樹脂の割合は、第一のオレフィン系樹脂のマトリックスに対して第二のオレフィン系樹脂が分散可能な範囲から適宜選択でき、第一のオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.1〜70重量部(例えば、0.5〜60重量部)、好ましくは1〜50重量部(例えば、1〜30重量部)、さらに好ましくは2〜25重量部程度であってもよい。なお、本発明では、第二の樹脂の固化(又は結晶化)に起因する破泡により連続気泡が形成されるので、第二のオレフィン系樹脂の割合を調整することにより連続気泡率をコントロールすることもできる。
本発明の樹脂組成物は、さらに生分解成分、例えば、多糖類(デンプン類、キチン、キトサン、カラギーナン、ポリガラクトサミン、プルラン、キサンタン、デキストラン、セルロースなど)、生分解性樹脂(3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシ吉草酸との直鎖状共重合体、3−ヒドロキシ酪酸と4−ヒドロキシ酪酸との直鎖状共重合体、ポリヒドロキシアルカノエート;脂肪族ポリエステル、例えば、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、グリコール酸−乳酸共重合体などのポリラクチド類など)、ペプチド又はタンパク質類(ポリ(γ−グルタミン酸)など)などを含有してもよい。生分解成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの成分のうち、デンプン類、生分解性樹脂などを用いる場合が多い。
なお、前記デンプン類としては、微生物などにより分解可能であればよく、例えば、デンプン(例えば、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、タピオカデンプンなどの各種生デンプン)、物理変性デンプン(α化デンプン、アミロースなど)、化学変性デンプン(酸化デンプン、エステル化デンプン、エーテル化デンプン、カチオン化デンプン、架橋デンプンなど)などが挙げられる。デンプン類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。上記デンプン類のうち、デンプン、エステル化デンプン(有機酸及び/又は無機酸でデンプンのヒドロキシル基の少なくとも一部をエステル化したデンプン、例えば、アセチルデンプン、アリルデンプンなどのカルボン酸変性デンプン;硝酸エステル化デンプン、リン酸エステル化デンプンなどの無機酸変性デンプンなど)、エーテル化デンプン(デンプンのヒドロキシル基の少なくとも一部がエーテル化されたデンプン、例えば、メチルデンプンなどのアルキルデンプン;カルボキシメチルデンプンなどのカルボキシアルキルデンプン;ヒドロキシエチルデンプンなどのヒドロキシアルキルデンプンなど)などを用いる場合が多い。
本発明において、生分解成分の割合は、第一のオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、1〜150重量部(例えば、5〜100重量部)、好ましくは6〜50重量部(例えば、6〜40重量部)さらに好ましくは7〜30重量部程度である。
発泡体用樹脂組成物は、さらに脂肪酸アミド及び脂肪酸エステルから選択された少なくとも一種を含有してもよい。脂肪酸アミドとしては、一価又は二価の長鎖脂肪酸(C10−30飽和又は不飽和脂肪酸など)とアミン類、アンモニアとの酸アミド、例えば、カプリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミドなどのC16−24飽和脂肪酸の酸アミド;オレイン酸アミドなどのC16−24不飽和脂肪酸の酸アミド;C1−6アルカンジアミン(特に、C1−4アルカンジアミン)とC16−24脂肪酸とのビスアミド(例えば、エチレンビスステアリルアミド、ヘキサメチレンジアミン−ジステアリン酸アミドなどのC16−24飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスオレイン酸アミドなどのC16−24不飽和脂肪酸ビスアミドなど)などが挙げられる。これらの脂肪酸アミドは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記脂肪酸エステルとしては、一価又は二価の長鎖脂肪酸(C10−30飽和又は不飽和脂肪酸など)と、一価アルコールとのエステル(アルキルエステル、例えば、ブチルステアレート、2−エチルヘキシルベヘネートなどのC16−24飽和脂肪酸のC1−10アルキルエステル;ブチルオレエートなどのC16−24不飽和脂肪酸のC1−10アルキルエステルなど)、前記長鎖脂肪酸と多価アルコール(例えば、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのジ乃至テトラオールなど)とのエステル(エチレングリコールモノ又はジステアリン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリステアリン酸エステル、エチレングリコールモノ又はジオレイン酸エステル、グリセリンモノ乃至トリオレイン酸エステルなど)などが挙げられる。これらの脂肪酸エステルは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の樹脂組成物において、脂肪酸アミド及び脂肪酸エステルの割合は、両成分の総量として、第一のオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部程度である。
本発明の樹脂組成物は、さらに気泡調整剤を含有してもよい。気泡調整剤としては、例えば、無機粒子(タルクなどの粘土質鉱物;酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタンなどの金属酸化物;水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物;炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩など)、有機粒子(セルロース粉末、キチン、キトサン、木粉、ステアリン酸金属塩など)などが挙げられる。これらの気泡調整剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの気泡調整剤のうち、無機粒子、特に、タルク、金属水酸化物、金属炭酸塩などを用いる場合が多い。
気泡調整剤の割合は、第一のポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、例えば、0.01〜15重量部、好ましくは0.05〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5重量部程度であってもよい。
発泡体用樹脂組成物は、発泡体の成形方法に応じて、さらに発泡剤を含んでいてもよい。発泡剤としては、物理発泡に用いられる揮発性発泡剤や、化学発泡に用いられる分解性発泡剤などが挙げられる。
揮発性発泡剤としては、例えば、不活性又は不燃性ガス(窒素、炭酸ガス、フロン、代替フロンなど)、水、有機系物理発泡剤[例えば、脂肪族炭化水素(プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン(n−ペンタン、イソペンタン)、ヘキサン(n−ヘキサンなど)など)、芳香族炭化水素(トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(三塩化フッ化メタンなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、石油エーテルなど)、ケトン類(アセトンなど)など]が挙げられる。また、分解性発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機炭酸塩;クエン酸などの有機酸;2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミドなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物;N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)などのニトロソ化合物;テレフタルアジドなどのアジド化合物などが挙げられる。これらの発泡剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
前記発泡剤のうち、通常、有機系物理発泡剤(特に、脂肪族炭化水素類)を用いる場合が多い。発泡剤として、複数の有機系物理発泡剤を混合した混合発泡剤(例えば、イソブタンと、n−ブタン、n−ペンタン、及び/又はイソペンタンなどとを組み合わせた混合発泡剤など)を用いてもよい。
発泡剤(例えば、有機系物理発泡剤)の割合は、第1及び第2のポリオレフィン系樹脂の総量100重量部に対して、例えば、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部程度である。
樹脂組成物は、必要により、界面活性剤、例えば、ノニオン性界面活性剤[例えば、エーテル型、エステルエーテル型、エステル型、含窒素型界面活性剤など]、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを含有してもよい。これらの界面活性剤のうち、ノニオン性界面活性剤、特に、多価アルコール脂肪酸エステルなどのエステル型ノニオン性界面活性剤、例えば、(ポリ)グリセリン、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトール、グリセリン、ショ糖等の多価アルコールと高級脂肪酸とのエステル[例えば、グリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレート、グリセリルモノベンゾエートなどのグリセリンC8−24脂肪酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステルなどのショ糖C8−24脂肪酸エステル、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジオレート、ソルビタントリオレートなどのソルビタンC8−24脂肪酸エステルなど]を用いる場合が多い。これらの界面活性剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤の添加量(割合)は、第一及び第二のポリオレフィン系樹脂の総量100重量部に対して、例えば、0.3〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部程度であってもよい。
樹脂組成物は、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維などの繊維充填剤等)、安定剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤;紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤等)、発泡助剤、難燃剤、着色剤(染料、顔料など)、分散剤、離型剤、防曇剤、核剤、滑剤、潤滑剤、衝撃改良剤、可塑剤、収縮防止剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、防腐剤、防カビ剤、光触媒(酸化チタンなど)などを含有してもよい。これらの添加剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の樹脂組成物では、少なくとも溶融混練状態(又は溶融混練により得られた樹脂組成物)において、第一のオレフィン系樹脂がマトリックスを形成し、このマトリックスに第二のオレフィン系樹脂が分散した構造を形成可能であればよい。そのため、本発明の樹脂組成物には、構成成分を単に混合した混合物も含まれる。また、本発明の樹脂組成物は、溶融混合物又はその固化物(ペレット状組成物など)なども含む。
本発明の発泡体用樹脂組成物は、慣用の方法により、構成成分を少なくとも混合することにより製造できる。また、溶融混練物又はその固化物は、慣用の方法、例えば、(i)混合機(タンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサー、リボンミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機など)で各成分を予備混合して溶融混練機(一軸又はベント式二軸押出機など)で溶融混練し、必要によりペレット化手段(ペレタイザーなど)でペレット化する方法、(ii)所望の成分のマスターバッチ(例えば、デンプン類などを高濃度で含有する第一及び/又は第二のポリオレフィン系樹脂のマスターバッチ)を調製し、第一及ポリオレフィン系樹脂及び/又は第二のポリオレフィン系樹脂と、必要により他の成分とを混合して溶融混練機で溶融混練して、必要によりペレット化する方法、(iii)各成分を溶融混練機に供給して溶融混練して、必要によりペレット化する方法、(iv)所定の成分(例えば、デンプン類、気泡調整剤、添加剤など)を溶融混練機の途中部で添加し、混練して、必要によりペレット化する方法などにより調製できる。
マトリックスに分散相が分散した構造を有する樹脂組成物において、マトリックスに対する分散相の分散形態は、特に制限されず、例えば、海島構造、コア/シェル構造、サラミ構造、オニオン構造などのいずれであってもよいが、通常、海島構造である場合が多い。なお、分散相の形状は、特に制限されず、球状、回転楕円状であってもよく、棒状などであってもよい。分散相のサイズ(平均粒径)は、例えば、0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、さらに好ましくは0.2〜3μm程度であってもよい。
(発泡体)
本発明の発泡体は、慣用の方法により、必要により前記例示の発泡剤を用いて、前記樹脂組成物を発泡成形することにより製造できる。なお、発泡剤は、樹脂又はその組成物にあらかじめペレットなどの形態で含有させてもよく、発泡成形過程で樹脂組成物に添加又は圧入してもよい。発泡成形法としては、種々の方法、例えば、押出成形法(例えば、Tダイ法、インフレーション法など)、射出成形法などが使用できる。
なお、押出成形機での溶融混練温度は、材料に応じて適宜選択でき、例えば、120〜300℃、好ましくは140〜280℃、さらに好ましくは150〜260℃程度であってもよい。
発泡体の形状は、特に制限されず、例えば、棒状、紐状などの一次元的形状、シート状、フィルム状、二次元網目(ネット)状などの二次元的形状、ブロック状、板状、三次元網目状、パイプ状などの三次元的形状であってもよい。なお、成形体(シート状成形体など)の表面は、平滑であってもよく、凹凸を有していてもよい。シート状成形体には、両表面が平滑なシートの他、一方の表面が波状などの凹凸を有し、他方の表面が平滑なシート、両表面が波状などの凹凸を有するシートなども含まれる。シート状発泡体の厚みは、例えば、0.5〜3mm、好ましくは1〜2mm、さらに好ましくは1〜1.5mm程度であってもよい。
発泡体において、発泡倍率は、例えば、5〜100倍程度の範囲から選択でき、好ましくは、9〜100倍(例えば、10〜90倍)、さらに好ましくは15〜80倍(例えば、20〜70倍)程度であってもよい。
発泡体の密度(見掛け密度)は、例えば、0.005〜0.1g/cm、好ましくは0.01〜0.1g/cm(例えば、0.01〜0.08g/cm)、さらに好ましくは0.015〜0.05g/cm程度である。
本発明では、前記発泡用樹脂組成物を発泡成形することにより、得られる発泡体の連続気泡率を向上又は改善することができる。このような連続気泡率の向上または改善方法も本発明に含まれる。
発泡体の連続気泡率は、10%以上(例えば、10〜90%程度)、好ましくは15〜85%、さらに好ましくは20〜80%程度である。本発明では、特定の融点(又は軟化点)の関係を有する複数のオレフィン系樹脂を用いるので、連続気泡率の高い発泡体を得ることができる。発泡体の連続気泡率は、特に、15〜65%、さらに好ましくは20〜55%程度であってもよい。
なお、発泡体用樹脂組成物(及び発泡体)において、生分解成分(デンプン類、生分解性樹脂など)は、連続相(第一のオレフィン系樹脂のマトリックス)及び分散相(第二のオレフィン系樹脂の分散相)のいずれに含有(通常、分散)されていてもよく、いずれか一方の相だけに含有されていてもよく、双方の相に含有されていてもよい。
本発明の発泡体は、各種緩衝材用途、特に高い連続気泡率に由来する緩衝性を利用して、例えば、軽量物用緩衝材、果実用緩衝材、隙間または目地部に充填するための充填材、合併浄化槽用の充填材、キャップなどに有用である。緩衝材は、シート状、ネット状、袋状、キャップ状などの種々の形態であってもよく、バラ状緩衝材であってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
参考例1、実施例〜4及び比較例1〜3
低密度ポリエチレン(LDPE)((株)東ソー製,ペトロセン310)、高密度ポリエチレン(HDPE)((株)東ソー製、2500)、EVA樹脂((株)東ソー製、ウルトラセン751)、ポリプロピレン(住友化学(株)製、FS3012)、デンプン(日本コーンスターチ(株)製,コーンポールCPR−EX1)、ステアリン酸アミド、ステアリン酸モノグリセライド及びタルクを、表1に示す割合で用いて、押出機(50φ/60φ)を用いて、第1ステージで混練溶融させつつ、イソブタン/n−ペンタン(重量比)=50/50の混合発泡剤を注入した。さらに第2ステージで、混合物をさらに均一に混練し、冷却しつつ、ダイスから混合物を棒状(25φ)に押出し、引き取って発泡体を得た。
結果を表1に示す。
Figure 0004836583

Claims (9)

  1. マトリックスを構成可能な第一のオレフィン系樹脂と、第一のオレフィン系樹脂のマトリックスに分散可能である第二のオレフィン系樹脂とで構成された発泡体用樹脂組成物で形成された発泡体であって、
    前記第二のオレフィン系樹脂の融点または軟化点が、前記第一のオレフィン系樹脂の融点または軟化点より高く、
    前記第一のオレフィン系樹脂が、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体から選択された少なくとも一種であり、
    前記第二のオレフィン系樹脂が結晶性ポリプロピレンであり、
    前記第二のオレフィン系樹脂の割合が、前記第一のオレフィン系樹脂100重量部に対して、1〜30重量部であり、かつ
    連続気泡率が20〜80%である発泡体。
  2. さらに、デンプン類及び生分解性樹脂から選択された少なくとも一種を含む請求項1記載の発泡体。
  3. 第一のオレフィン系樹脂と第二のオレフィン系樹脂の融点または軟化点の差が5〜100℃である請求項1記載の発泡体。
  4. デンプン類が、デンプン、エーテル化デンプン及びエステル化デンプンから選択された少なくとも一種である請求項2記載の発泡体。
  5. デンプン類の割合が、第一のオレフィン系樹脂100重量部に対して、1〜150重量部である請求項2記載の発泡体。
  6. 第二のオレフィン系樹脂の割合が、第一のオレフィン系樹脂100重量部に対して、25重量部である請求項1記載の発泡体。
  7. さらに、脂肪酸アミド及び脂肪酸エステルから選択された少なくとも一種を含む請求項1記載の発泡体。
  8. 発泡倍率が9〜90倍であり、密度が0.01〜0.1g/cmである請求項1記載の発泡体。
  9. 請求項1記載の樹脂組成物を用いて発泡成形することにより、発泡体の連続気泡率を向上させる方法。
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