JP2009079202A - 発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】結晶性ポリ乳酸系樹脂組成物からなることで耐熱性に優れ、しかも高発泡倍率を得ることが可能な、発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を提供する。
【解決手段】発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子であって、光学異性体比率が8質量%以下で結晶性を有するポリ乳酸を主成分とした樹脂組成物にて粒子状に形成されるとともに、分子量が2000以上であり疎水性有機媒体中で樹脂組成物の粒子を分散させることが可能である分散安定剤と、発泡剤とを含有し、発泡能力を有する。この樹脂粒子は、粒状の樹脂組成物の融点をTmとして、この粒状の樹脂組成物に、Tm−20℃〜Tm+20℃に調整された疎水性有機媒体中にて分散安定剤を用いながら発泡剤を含浸させることにより、製造される。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子およびその製造方法に関する。
近年、環境負荷低減の観点から、生分解性樹脂や植物由来樹脂が注目されている。そのうちでポリ乳酸は、トウモロコシやサツマイモなどに由来するデンプンを原料として大量生産可能なため、コストが低いうえに、石油原料の削減にも貢献できることから、環境負荷低減の観点に関し特に有用性が高い。
一方、樹脂を溶融させたうえで発泡させる押出発泡法や射出成形発泡法と比べ、樹脂を溶融させることなく発泡と同時に粒子同士を融着させて発泡成形体を得るビーズ発泡法は、高発泡倍率、自由度の高い成形性という点で優れた発泡法である。
これまで、光学異性体比率の高い非晶性ポリ乳酸を用いた、ビーズ発泡法による発泡粒子および発泡成形体に関する先行技術は、数多く提案されており、発泡倍率が60倍を超えるビーズ発泡体も報告されている(たとえば、特許文献1)。しかし非晶性ゆえに耐熱性に劣り、得られる発泡体の耐熱温度はせいぜい50℃程度である。このため用途に制限がある。
光学異性体比率の低い結晶性ポリ乳酸からなり、ビーズ発泡法により発泡された発泡粒子および発泡成形体に関する先行技術としては、無架橋ポリ乳酸ではたとえば特許文献2〜4に記載された技術があり、架橋ポリ乳酸ではたとえば特許文献5に記載された技術がある。また押出発泡法とビーズ発泡法を組み合わせることで結晶性ポリ乳酸を発泡させる技術も提案されている(特許文献6)。しかし、いずれの技術においても発泡倍率が7倍〜25倍程度と低く、このため得られる発泡体の密度が非晶性ポリ乳酸に比べて高いという問題がある。そのため、十分なクッション性、耐衝撃性、断熱性が得られず、コスト面、重量面でも十分でない。
ビーズ発泡法は、気体や揮発性液体などの物理発泡剤を樹脂粒子に混入させる発泡剤含浸工程と、物理発泡剤の膨張を利用してその含浸粒子を発泡させる発泡工程とに大きく分けられるが、高発泡倍率のポリ乳酸発泡体を得るためには、発泡剤含浸工程が特に重要となる。すなわち、分散媒体中に樹脂粒子を分散させて樹脂粒子同士の融着を防ぐのと同時に、樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させて発泡性を付与する必要がある。
ビーズ発泡において、非晶性ポリ乳酸に関しては、水性媒体中における発泡剤の含浸方法が多く提案されている(たとえば特許文献7)。しかし、これらの方法は結晶性ポリ乳酸に適用することはできない。なぜなら、同様の手法で含浸させようとすると、発泡剤含浸温度を樹脂の融点付近まで上げる必要があり、その結果、水性媒体中では加水分解を起こしてしまうためである。
それへの対応として、疎水性有機媒体中において発泡剤を含浸させる方法(たとえば特許文献8)や、発泡助剤を併用することで、分散媒体を用いずに、樹脂のガラス転移温度と融点との間の温度にて発泡剤を含浸させる方法(たとえば特許文献5、9〜10)が提案されている。しかし、これらの文献で開示されているように、これらの方法で発泡剤を含浸させても、結晶性ポリ乳酸は全く発泡しないか(特許文献8、10)、1.5倍や17倍といった低発泡倍率(特許文献9、5)にしかならない。すなわち、これらの技術は、非晶性ポリ乳酸のみに適用できる技術であって、結晶性ポリ乳酸には適用できない。
特開2005−264166号公報 特開2000−136261号公報 特開2002−020525号公報 特開2002−020526号公報 特開2000−017037号公報 特開2007−100026号公報 特開2004−359872号公報 特開2006−111704号公報 特開2003−301068号公報 特開2006−022242号公報
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決し、結晶性ポリ乳酸系樹脂組成物からなることで耐熱性に優れ、しかも高発泡倍率を得ることが可能な、発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子およびポリ乳酸系樹脂発泡成形体を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、結晶性ポリ乳酸を主成分とする樹脂組成物に対し、樹脂組成物の融点をTmとして、Tm−20℃〜Tm+20℃の範囲の温度で、疎水性有機媒体中において分散安定剤とともに発泡剤を含浸させ、その後に発泡処理を行うことにより、発泡剤含浸工程においてはポリ乳酸の結晶化を防ぎながら、発泡工程においては結晶化を十分進行させることができ、このため耐熱性に優れ、しかも高発泡倍率とすることが可能な、発泡粒子および発泡成形体を製造できることを見出して本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)光学異性体比率が8質量%以下で結晶性を有するポリ乳酸を主成分とした樹脂組成物にて粒子状に形成されるとともに、分子量が2000以上であり疎水性有機媒体中で樹脂組成物の粒子を分散させることが可能である分散安定剤と、発泡剤とを含有し、発泡能力を有することを特徴とする発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子。
(2)分散安定剤が粒子の表面に付着していることを特徴とする(1)の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子。
(3)分散安定剤が、樹脂組成物と疎水性有機媒体との両方に親和性のあるポリマーであって粒子表面に立体的な障壁を形成するものであることを特徴とする(2)の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子。
(4)分散安定剤が、疎水性有機媒体に親和性の高いセグメントと、樹脂組成物に親和性の高いセグメントとを有した、ジブロック共重合ポリマーと、トリブロック共重合ポリマーと、グラフト共重合ポリマーとのいずれかであることを特徴とする(3)の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子。
(5)分散安定剤の含有量が、樹脂粒子全体の10重量%以下であることを特徴とする(1)から(4)までのいずれかの発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子。
(6)粒子形状が、立方体状、直方体状、四角柱状または三角柱状のいずれかであることを特徴とする(1)から(5)までのいずれかの発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子。
(7)熱可塑性樹脂組成物にて粒子状に形成されるとともに、粒子形状が、立方体状、直方体状、四角柱状または三角柱状のいずれかであり、かつ、分子量が2000以上であり疎水性有機媒体中で樹脂組成物の粒子を分散させることが可能である分散安定剤と、発泡剤とを含有し、発泡能力を有することを特徴とする発泡剤を含浸させた樹脂粒子。
(8)熱可塑性樹脂組成物の主成分が脂肪族ポリエステルであることを特徴とする(7)の発泡剤を含浸させた樹脂粒子。
(9)光学異性体比率が8質量%以下で結晶性を有するポリ乳酸を主成分とした粒状の樹脂組成物の融点をTmとして、前記粒状の樹脂組成物に、Tm−20℃〜Tm+20℃に調整された疎水性有機媒体中にて、分子量が2000以上であり前記疎水性有機媒体中で樹脂組成物の粒子を分散させることが可能である分散安定剤を用いながら、発泡剤を含浸させることを特徴とする発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子の製造方法。
(10)分散安定剤として、樹脂組成物と疎水性有機媒体との両方に親和性のあるポリマーであって粒子表面に立体的な障壁を形成するものを用いることを特徴とする(9)の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子の製造方法。
(11)分散安定剤として、疎水性有機媒体に親和性の高いセグメントと、樹脂組成物に親和性の高いセグメントとを有した、ジブロック共重合ポリマーと、トリブロック重合ポリマーと、グラフト共重合ポリマーとのいずれかを用いることを特徴とする(10)の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子の製造方法。
(12)粒状の熱可塑性樹脂組成物の融点をTmとして、前記粒状の熱可塑性樹脂組成物に、Tm−20℃〜Tm+20℃に調整された疎水性有機媒体中にて、分子量が2000以上であり前記疎水性有機媒体中で樹脂組成物の粒子を分散させることが可能である分散安定剤を用いながら、発泡剤を含浸させることを特徴とする発泡剤を含浸させた樹脂粒子の製造方法。
(13)分散安定剤として、樹脂組成物と疎水性有機媒体との両方に親和性のあるポリマーであって粒子表面に立体的な障壁を形成するものを用いることを特徴とする(12)の発泡剤を含浸させた樹脂粒子の製造方法。
(14)分散安定剤として、疎水性有機媒体に親和性の高いセグメントと、樹脂組成物に親和性の高いセグメントとを有した、ジブロック共重合ポリマーと、トリブロック重合ポリマーと、グラフト共重合ポリマーとのいずれかを用いることを特徴とする(13)の発泡剤を含浸させた樹脂粒子の製造方法。
(15)上記(1)から(6)までのいずれかの発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子、または、上記(7)あるいは(8)の発泡剤を含浸させた樹脂粒子を発泡したものであることを特徴とする樹脂発泡粒子。
(16)発泡倍率が30倍以上であることを特徴とする(15)の樹脂発泡粒子。
(17)上記(1)から(6)までのいずれかの発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子、または、上記(7)あるいは(8)の発泡剤を含浸させた樹脂粒子、または、上記(15)あるいは(16)の樹脂発泡粒子を発泡成形したものであることを特徴とする樹脂発泡成形体。
(18)発泡倍率が30倍以上であることを特徴とする(17)の樹脂発泡成形体。
(19)上記(15)または(16)の樹脂発泡粒子を用いたものであることを特徴とするクッション。
本発明の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子によれば、結晶性を有するポリ乳酸を主成分とした樹脂組成物にて粒状に形成されることにより耐熱性に優れ、しかも、分子量が2000以上であり分散媒としての疎水性有機媒体中で樹脂組成物の粒子を分散させることが可能である分散安定剤を含有することにより、分散媒中での分散性に優れて発泡剤が良好に含浸されたものであり、このため高発泡倍率を達成することができる。
本発明の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子の製造方法によれば、結晶性を有するポリ乳酸を主成分とした粒状の樹脂組成物の融点をTmとして、この粒状の樹脂組成物に、Tm−20℃〜Tm+20℃に調整された分散媒としての疎水性有機媒体中にて、分子量が2000以上であり前記疎水性有機媒体中で樹脂組成物の粒子を分散させることが可能である分散安定剤を用いながら、発泡剤を含浸させるため、分散媒中での粒子の分散性を優れたものとすることができて、粒子に発泡剤を良好に含浸させて高発泡倍率を達成することができ、しかも結晶性を有するポリ乳酸を主成分とした粒状の樹脂組成物を用いることで、耐熱性に優れた粒子および発泡成形体を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書で使用する語句について説明する。本発明では、ビーズ発泡法による発泡体製造に供するために、樹脂組成物を粒子状に加工する必要がある。これを「ビーズ状粒子」と呼ぶこととする。このビーズ状粒子に発泡剤を含浸させると、「含浸粒子」が得られる。この含浸粒子を熱処理して発泡させると、「発泡粒子」が得られる。発泡粒子を金型内にてさらに加熱成形すると「発泡成形体」が得られる。あるいは、発泡粒子を製造する工程を経ずに、含浸粒子から1段階で発泡成形体を得ることも可能である。
樹脂の組成や、発泡剤の含浸条件によっては、発泡しない含浸粒子が得られることがある。これに対し、発泡工程において発泡する含浸粒子のみが、「発泡性を有している」と言える。
環境負荷低減の観点から、本発明の樹脂粒子は、ポリ乳酸を主成分とした樹脂組成物にて粒状に形成されている。ポリ乳酸を主成分とするとは、たとえばポリ乳酸を40質量%以上含むことが、好ましい態様として挙げられる。60質量%以上含むと、植物由来度が高くなるためより好ましく、80質量%以上含むとさらに好ましい。
本発明で用いるポリ乳酸は、光学異性体比率が8質量%以下の結晶性ポリ乳酸であることが必要である。光学異性体比率が8質量%を超えるポリ乳酸は、結晶化速度が著しく低く実質的に結晶化が起こらないため、発泡粒子および発泡体の耐熱性が不十分となる。光学異性体比率が低いほど、融点が高く耐熱性に優れた発泡体が得られるが、結晶化が進行しやすい分、発泡が困難になる。したがって、光学異性体比率が2質量%〜7質量%の範囲であるポリ乳酸が好ましく、3質量%〜6質量%の範囲であるポリ乳酸がさらに好ましい。
樹脂粒子を構成する樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、主成分であるポリ乳酸以外に他の樹脂成分および/または添加剤を含有することが可能である。
ポリ乳酸以外の樹脂成分としては、ポリ乳酸以外のポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂等が挙げられる。
たとえばポリエステル系樹脂としては、ポリ乳酸以外のヒドロキシ酸重縮合物;ポリカプロラクトン等のラクトンの開環重合物;ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート等の脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸との重縮合物;ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸と芳香族多価カルボン酸との重縮合物等が挙げられる。これらの樹脂成分は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物に含ませることが可能な添加剤としては、たとえば熱安定剤、酸化防止剤、顔料、耐候剤、難燃剤、可塑剤、分散剤、結晶核剤、発泡核剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、架橋剤、鎖延長剤、末端封鎖剤、充填材等を使用できる。これらの添加剤は、溶融混練時あるいは重合時に加えることができる。
熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばホスファイト系有機化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物を使用することができる。結晶核剤および/または発泡核剤としては、たとえば酸化チタン、タルク、カオリン、クレー、珪酸カルシウム、シリカ、クエン酸ソーダ、炭酸カルシウム、珪藻土、焼成パーライト、ゼオライト、ベントナイト、ガラス、石灰石、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸第二鉄、ポリテトラフルオロエチレン粉末などが挙げられる。分散剤としては、流動パラフィン、ミネラルオイル、クレオソート油、潤滑油、シリコーンオイルなどの工業用オイル、あるいはコーン油、大豆油、菜種油、パーム油、亜麻仁油、ホホバ油などの植物油、あるいはイオン性およびノニオン性の界面活性剤等が挙げられる。末端封鎖剤としては、カルボジイミド、オキサゾリン、エポキシなどが挙げられる。充填材のうち、無機充填材としては、タルク、層状珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。充填材のうち、有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ、ケナフ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ビーズ状粒子は、重合で作製した樹脂組成物をそのまま用いても良いし、押出機を用いた溶融混練で作製した樹脂組成物をペレタイズして用いても良い。
ビーズ状粒子はいかなる形状でもよいが、含浸粒子は角ばった形状に形成することができる。本発明でいうところの角ばった形状とは、立方体、直方体、四角柱、三角柱などの形状のことであり、平面と角を有している。含浸粒子の角が、完全な角ではなく、角丸である場合、角丸の半径(かどのアール)が、含浸体の最も短い辺の長さの4分の1以下であるならば、角ばった形状をしていると判断できる。5分の1以下であることが好ましく、10分の1以下であることがさらに好ましい。また、詳細は後述するが、本発明の発泡粒子も、同様な基準で角ばった形状に形成することができる。
角ばった形状の含浸粒子は、上述のポリ乳酸を主成分とした樹脂組成物に代えて、一般的な熱可塑性樹脂組成物によって形成することも可能である。ここにいう熱可塑性樹脂組成物としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、たとえば、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシアルカノエート等の脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族脂肪族ポリエステルが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
次に、本発明の樹脂粒子の製造方法を説明する。なお、以下においては、主に本発明の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子の製造方法について説明する。ただし、発泡剤を含浸させた樹脂粒子の製造方法も同様である。
ポリ乳酸系樹脂粒子を得るための樹脂組成物は、通常の押出機を用いて溶融混練法により製造することができる。押し出された樹脂組成物をペレタイズすることで、ビーズ状粒子が得られる。ビーズ状粒子の大きさは、必要に応じて適宜選択できるが、通常は0.005〜100mg/個であることが好ましい。樹脂組成物が吸水または吸湿している場合は、水分率300ppm以下にまで乾燥することが好ましい。
ビーズ状粒子に発泡剤を含浸させて、発泡性が付与された含浸粒子を製造する方法について説明する。本発明では、発泡剤含浸工程においてビーズ状粒子同士が融着することを防ぐために、ビーズ状粒子を疎水性有機媒体中に分散させながら発泡剤を含浸させる。発泡剤含浸温度は、樹脂組成物の融点Tmを基準として、Tm−20℃〜Tm+20℃の間であることが必要であり、Tm−10℃〜Tm+10℃の間であることが好ましい。発泡剤含浸温度がTm−20℃よりも低温である場合には、ビーズ状粒子に発泡剤が含浸されても発泡倍率が上がらない。反対に発泡剤含浸温度がTm+20℃を超える場合は、樹脂組成物の粘度が下がりすぎて、粒子同士の融着あるいは粒子と反応容器との融着が起こる。
本発明では、ビーズ状粒子に発泡性を付与するために、上述のように樹脂組成物に発泡剤を含浸させる必要があるが、化学変化の起きにくい物理発泡剤を用いることが好ましい。物理発泡剤のうち、揮発性の有機系発泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素や、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1,2,2,2−テトラフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素や、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類が挙げられる。樹脂組成物に含浸された炭化水素は、常温・常圧にて自然放散しにくく、好ましく使用できる。中でも、ブタン類を用いると高発泡倍率になるため、またプロパンを用いると得られる発泡粒子および発泡体の気泡が細かくなるため、さらに好ましい。これらの発泡剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
無機系発泡剤としては、水、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気等が挙げられる。
発泡剤のほかに発泡助剤を用いても良い。発泡助剤としては、たとえば低級アルコール、ケトン類、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。
本発明の製造方法においては、ポリ乳酸を主成分とする樹脂組成物が発泡剤含浸工程で加水分解されないよう、分散媒として疎水性有機媒体を用いる。上記のTm−20℃〜Tm+20℃の範囲で含浸処理をするとき、水性媒体を用いると樹脂組成物が加水分解を起こしてしまう。疎水性有機媒体としては、樹脂組成物が溶解せず、かつ加水分解を促進しない限り、どんな媒体でも良い。たとえばブタノール類などのアルコールや、ペンタン類、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの炭化水素や、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類や、流動パラフィン、ミネラルオイル、クレオソート油、潤滑油、シリコーンオイルなどの工業用オイルや、コーン油、大豆油、菜種油、パーム油、亜麻仁油などの植物油等が挙げられる。また、上記に挙げた発泡剤を分散媒として兼用することも可能である。これらの分散媒は、単独で用いてもよく2種類以上を組み合わせて用いても良い。
本発明の製造方法においては、発泡剤含浸工程において樹脂組成物同士の融着を防ぎ分散状態を維持するために、分散安定剤を用いることが必要である。
一般に、発泡剤含浸工程を水性媒体中で行う場合は、分散安定剤として、界面活性剤を用いたり、ビーズ状粒子と分散媒の両方へ親和性をもつ両親媒性低分子化合物を用いたりすることが行われる。すなわち分散安定剤を用いることで、ビーズ状粒子間に静電的反発力やエントロピー的反発力が働いて分散状態が安定となる。
しかし、発泡剤含浸工程を疎水性有機媒体中で行う場合は、静電的反発力を働かせることは難しい。またビーズ状粒子と分散媒の間の界面エネルギーの差がもともと小さいので、分子量が2000未満の一般的な両親媒性低分子化合物や界面活性剤では、安定化効果が不十分である。そのため本発明では、分散安定剤として、分子量2000以上の両親媒性ポリマーを用いる。本発明の両親媒性ポリマーとは、分散媒に溶解または懸濁し、発泡剤含浸工程でビーズ状粒子の表面に付着して立体的な障壁をつくることで、ビーズ状粒子同士の融着を阻害し、分散状態を安定化する効果をもつ高分子化合物を指す。あるいは、予め樹脂組成物中に分散安定剤が含まれている場合には、発泡剤含浸工程でビーズ状粒子の表面に張り出して立体的な障壁をつくる。
両親媒性ポリマーは、分散媒と樹脂組成物の両方に親和性のあるポリマーであれば良い。両親媒性ポリマーがビーズ状粒子の表面に付着する様式は、親和性に基づく物理的な吸着でも、官能基同士の反応による化学的結合でも構わない。好ましい構造をもつポリマーとしては、分散媒に親和性の高いセグメント(I)と、樹脂組成物に親和性の高いセグメント(II)とを有し、かつ各セグメントが明確に分割された分子鎖をもつポリマーが挙げられる。具体的には、ジブロック共重合ポリマー(I−II型)、トリブロック共重合ポリマー(I−II−I型またはII−I−II型)およびグラフト共重合ポリマーが挙げられる。中でも、I−II−I型のトリブロック共重合ポリマーと、グラフト共重合ポリマーとが特に好ましい。
両親媒性ポリマーの数平均分子量は、それぞれのセグメントが2000〜20000の間にあることが好ましく、それぞれのセグメントが4000〜15000の間にあるとさらに好ましい。分子量が小さすぎると、分散安定効果が不十分となりビーズ状粒子同士が融着しやすくなる。分子量が大きすぎると、分散媒に溶解または懸濁しにくくなる。
両親媒性ポリマーを構成するセグメント(I)の成分は、分散媒に応じて適宜選択される。たとえばポリオレフィン、ポリブタジエン等の高級脂肪族鎖や、ジメチルポリシロキサン等のシリコーンオイル類や、ポリエチレングリコール等のポリエーテル類や、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル酸類等が挙げられる。
両親媒性ポリマーを構成するセグメント(II)の成分は、樹脂組成物の成分に応じて適宜選択される。ポリ乳酸を主成分とする樹脂組成物に対応したセグメント(II)の成分としては、たとえばポリ乳酸等のヒドロキシ酸縮合物や、ポリカプロラクトン等のラクトンの開環重合物や、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸との重縮合物や、ポリエチレンテレフタレート等の脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸と芳香族多価カルボン酸との重縮合物等が挙げられる。またはこれらの共重合物でも良い。セグメント(II)には、ビーズ状粒子の表面の官能基と反応させるための官能基を導入してもよい。また、セグメント(II)は、直鎖構造であっても分岐構造であっても構わないが、直鎖構造である方が好ましい。
含浸粒子における分散安定剤の含有量あるいは粒子表面への付着量は、含浸粒子全体の10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。含有量あるいは付着量が10質量%を超えると、発泡工程において粒子同士の接着性不良の原因となることがある。
ビーズ状粒子と分散安定剤とを化学的に結合させて、より強固に付着させてもよい。ビーズ状粒子表面の官能基を増やすために、例えば、コロナ処理などが利用できる。化学結合としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合など、どんな結合でも良い。
分散安定剤と組み合わせて分散助剤も使用できる。分散助剤としては、ドデシルフェニルオキサイドジスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等のノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
含浸工程においては、分散媒としての疎水性有機媒体と、分散安定剤と、ビーズ状粒子とを予め密閉容器内に入れておき、発泡剤を容器内に充填する。必要に応じて発泡助剤も予め入れておく。目的とする発泡粒子の発泡倍率や気泡の細かさによっても変わるが、含浸温度における発泡剤の圧力は、0.5〜30MPaの範囲となるように調整する。好ましくは5MPa〜20MPaの範囲である。含浸時間は、通常1分〜24時間であることが好ましい。含浸粒子に対する発泡剤の含浸率は、通常1〜30質量%であることが好ましい。ブタン類やプロパンを発泡剤に用いる場合は、その含浸率を3〜20質量%とするとさらに好ましい。
本発明においては、含浸粒子、およびこの含浸粒子から得られる発泡粒子を、その粒子形状が角ばった形状、具体的には、立方体状、直方体状、四角柱状、三角柱状などであるようにするために、また含浸工程で分散状態を維持するために、含浸工程において、撹拌羽根による撹拌を実施することが好ましい。容器の内径、深さ、分散媒の容量などにあわせて、撹拌羽根の種類は適宜選択することができる。例えば、ファンタービン型、湾曲ファンタービン型、角度付ファンタービン型、かい十字型、ソフト十字型、プロペラ型、マリン型、パドル型などの撹拌羽根が挙げられる。中でも、撹拌と垂直方向への流れの発生とを行うことができるように、角度が付いたタイプの撹拌羽根、例えば角度付ファンタービン型、かい十字型、プロペラ型、マリン型、パドル型などの撹拌羽根を、好ましく用いることができる。撹拌羽根の大きさは、容器の内径に対して70%以上の直径であることが好ましい。撹拌羽根は、単独で用いても良く、複数用いても良い。
撹拌速度は、分散媒を入れる容器の大きさや撹拌羽根の大きさにより適宜変更できるが、通常100rpm〜1000rpmの範囲が利用される。300rpm〜600rpmがより好ましい。100rpmを下回ると分散が不十分となる場合があり、1000rpmを上回ると激しい撹拌のために含浸粒子がいびつな形状になる場合がある。
含浸粒子を熱処理することで、発泡粒子を得ることができる。そのための熱処理の方法および装置は、公知のものを利用できる。たとえば、熱風、蒸気、輻射熱等により含浸粒子を加熱することで、発泡させることができる。発泡のための熱処理温度は、Tm−60℃〜Tm+20℃の間であることが好ましい。この範囲以外の温度では、発泡が全く起こらなかったり、発泡倍率が低かったり、得られた発泡粒子および発泡成形体が溶融したりすることがある。
減圧処理により発泡させることもできる。その場合も、公知の方法が利用できる。すなわち、上記の含浸温度で保持した後、室温まで冷却せずに高圧の密閉容器から低圧域へ含浸粒子を放出することで発泡させる。このときの発泡温度も、Tm−60℃〜Tm+20℃の間であることが好ましい。
上述の、含浸粒子が角ばった形状である場合は、それから得られる発泡粒子も、同様に角ばった形状とすることができる。
発泡粒子を金型内に充填してさらに加熱することにより、任意の形の発泡成形体を得ることができる。成形に用いる装置は、公知のものを利用できる。たとえば、発泡ポリスチレン用の成形機や発泡ポリオレフィン用の成形機を利用できる。
また、含浸粒子を金型内に充填して加熱することで、発泡粒子を製造する工程を経ずに、含浸粒子から1段階で発泡成形体を得ることも可能である。2段階の熱処理で発泡成形体を製造する場合と比べ、1段階の方が、成形時の接着性を確保できる点や、発泡粒子の輸送コストの点で好ましい。
本発明の角のある特異な形をした発泡粒子は、成形することなく粒子のまま使用することにより、特異なクッション性を有したクッションを提供することが可能となる。
本発明の発泡粒子及び発泡成形体は、その軽量性、耐熱性、断熱性、耐衝撃性、クッション性、遮音性を活かして包装材、梱包材、緩衝材、断熱材、保温材、保冷材、消音材、吸音材、防音材、制振材、建材、クッション材、資材、容器などに利用することができる。具体例としては、ソファ、ベッドマット、椅子、寝具、マットレス、電灯カバー、ぬいぐるみ、スリッパ、クッション、ヘルメット、カーペット、枕、靴、ポーチ、マット、クラッシュパッド、スポンジ、文具、玩具、DIY用品、パネル、畳芯材、マネキン、自動車内装部材・クッション、カーシート、デッドニング、ドアトリム、サンバイザー、自動車用制振材・吸音材、スポーツ用マット、フィットネス用品、スポーツ用プロテクター、ビート板、グラウンドフェンス、レジャーシート、医療用マットレス、医療用品、介護用品、リハビリ用品、建築用断熱材、建築目地材、面戸材、建築養生材、反射材、工業用トレー、チューブ、パイプカバー、エアコン断熱配管、ガスケット芯材、コンクリート型枠、土木目地、つらら防止パネル、保護材、軽量土、盛土、人工土壌、梱包材・包装資材、梱包資材、ラッピング、生鮮品・野菜・果物等の梱包材・包装材、電子機器等の梱包材・緩衝包装材、生鮮品・野菜・果物等の保温・保冷箱、カップラーメン・弁当箱等の食品容器、食用トレー、飲料容器、農業用資材、発泡模型、スピーカ用振動板などが挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。しかし、本発明は下記の実施例のみに限定されるものではない。
[評価方法]
(1)分散性:
各実施例および比較例に示す発泡剤含浸工程が終了した時点の含浸粒子の分散状態を、目視により次の基準にもとづいて評価した。
○:良好(含浸粒子が独立・分散を維持)
×:不良(含浸粒子同士が融着、または含浸粒子が容器や撹拌羽根に付着)
××:加水分解化(加水分解して含浸粒子が脆化)
(2)発泡剤含浸率:
含浸粒子を密閉容器中で重クロロホルムに溶解し、容器を開けずに1度目のH NMR測定を行った。1度目の測定後に、重クロロホルムと発泡剤を蒸発させ、再度重クロロホルムに溶解して2度目のH NMR測定を行った。発泡剤のピークは分散媒や分散安定剤のピークと重複するため、1度目の測定結果から2度目の測定結果を差し引くことで、含浸粒子中の発泡剤含浸量を求めた。
(3)発泡倍率:
湿式電子比重計を用いて、発泡剤含浸前のビーズ状粒子と、発泡粒子と、発泡成形体との見かけ体積を測った。それぞれの質量と見かけ体積との比から見かけ密度を計算し、発泡倍率は以下の式より求めた。
発泡倍率 = (発泡剤含浸前のビーズ状粒子の見かけ密度)
/(発泡粒子または発泡成形体の見かけ密度)
(4)耐熱性:
発泡成形体を、100℃で20時間、熱風乾燥機にて熱処理した。熱処理前後の体積変化率を求め、以下の基準で耐熱性を評価した。
○:耐熱性良好(体積変化率±5%未満)
×:耐熱性不良(体積変化率±5%以上)
体積変化率は以下の式より求めた。
体積変化率={(Y−X)/X}×100 (%)
ただし、X:加熱前の発泡成形体の体積、Y:加熱後の発泡成形体の体積である。
(5)粒子形状:
得られた含浸粒子あるいは発泡粒子の角の湾曲形状の半径が、その粒子の最も短い辺の長さの5分の1以下であるとき、その粒子は角ばった形状をしていると評価した。具体的には、立方体状、直方体状などと評価した。
[原料]
以下の実施例および比較例において用いた各種原料を示す。
(1)ポリ乳酸樹脂
・樹脂A:結晶性ポリ乳酸 NatureWorks社製 4042D
(重量平均分子量16万、Tm151℃、D体4.0質量%)
・樹脂B:結晶性ポリ乳酸 NatureWorks社製 4032D
(重量平均分子量18万、Tm168℃、D体1.5質量%)
・樹脂C:非晶性ポリ乳酸 NatureWorks社製 6300D
(重量平均分子量13万、Tm121℃、D体8.2質量%)
(2)ポリエチレン樹脂
・樹脂D:直鎖状低密度ポリエチレン 住友化学社製 スミカセンL
(融点124℃)
(3)発泡ポリスチレン
・樹脂E:発泡ポリスチレン HDM−F(積水化成品工業社製)
(4)発泡剤
・ノルマルブタン(岩谷瓦斯社製 R−600)
・プロパン(岩谷瓦斯社製 R−290)
(5)分散媒
・シリコーンオイル(信越化学工業社製 KF−96L−5cs :疎水性有機媒体)
・流動パラフィン(三光化学工業社製 40−S :疎水性有機媒体)
・菜種油(Jオイルミルズ社製 さらさらキャノーラ油:疎水性有機媒体)
・純水
(6)分散安定剤および分散助剤
・分散安定剤F(シリコーン/ポリ乳酸 I−II型ジブロック共重合ポリマー)
L−ラクチド50gと、片末端カルビノール変性シリコーンオイル(信越化学工業社製 X−22−170DX)50gと、酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製IRGAFOS168)0.02gとを、容器内において190℃で加熱撹拌し、そこへオクチル酸スズ約50mgを添加した。撹拌を開始してから1時間後に失活剤(ADEKA社製 アデカスタブADK−PEP8)を添加し、5mmHg以下に減圧したうえで、さらに1時間撹拌を続けて、ポリマーを得た。容器から取り出したポリマーを真空乾燥機にて100℃で12時間乾燥し、分散安定剤Dを得た。得られたジブロック共重合ポリマーの各セグメントの分子量をNMRで求めたところ、ポリ乳酸セグメントの分子量は4800、シリコーンセグメントの分子量は4700であった。
・分散安定剤G(ポリ乳酸/パラフィン/ポリ乳酸 II−I−II型トリブロック共重合ポリマー)
L−ラクチド60gと、両末端カルビノール変性ポリブタジエン(三菱化学社製 ポリテールH)40gと、酸化防止剤0.02gとを、容器内において190℃で加熱撹拌し、そこへオクチル酸スズ約50mgを添加した。撹拌を開始してから1時間後に失活剤を添加し、5mmHg以下に減圧したうえで、さらに1時間撹拌を続けて、ポリマーを得た。容器から取り出したポリマーを真空乾燥機にて100℃で12時間乾燥し、分散安定剤Eを得た。得られたトリブロック共重合ポリマーの各セグメントの分子量をNMRで求めたところ、ポリ乳酸セグメントの分子量は各々2000、パラフィンセグメントの分子量は2700であった。
・分散安定剤H(パラフィン/ポリ乳酸/パラフィン I−II−I型トリブロック共重合ポリマー)
L−ラクチド56gと、1−ドコサノール19gと、酸化防止剤0.02gとを、容器内において190℃で加熱撹拌し、そこへオクチル酸スズ約20mgを添加した。撹拌を開始してから1時間後に失活剤を添加し、その後ステアリルイソシアネート25gを添加した。撹拌を続けながら30分後に5mmHg以下に減圧し、さらに30分間撹拌を続けて、ポリマーを得た。取り出したポリマーを真空乾燥機にて100℃で12時間乾燥し、分散安定剤Fを得た。得られたトリブロック共重合ポリマーの各セグメントの分子量をNMRで求めたところ、ポリ乳酸セグメントの分子量は910、パラフィンセグメントの分子量は各々300であった。
分散安定剤I(ポリ乳酸/シリコーン/ポリ乳酸 II−I−II型トリブロック共重合ポリマー)
L−ラクチド(光学異性体比率0.6質量%)40gと両末端カルビノール変性シリコーンオイル(信越化学工業製KF−6003)60gと酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製IRGAFOS168)0.02gを190℃で加熱撹拌し、そこへオクチル酸スズ約50mgを添加した。1時間後に失活剤(ADEKA製アデカスタブADK−PEP8)を添加し、5mmHg以下に減圧して1時間撹拌を続けた。取り出したポリマーを真空乾燥機にて100℃で12時間乾燥し、分散安定剤Iを得た。得られたトリブロック共重合ポリマーの各セグメントの分子量をNMRで求めたところ、ポリ乳酸セグメントの分子量は各々1700、シリコーンセグメントの分子量は4800であった。
・SDBS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
・タルク(林化成社製 MW−HST)
[ビーズ状粒子の製造]
樹脂A〜Eはもともと球形チップであるので、そのままビーズ状粒子A〜Eとした。それぞれ40mg/個の大きさの球形であった。
溶融混練には、池貝社製PCM−30型2軸押出機を用いた。スクリュー径は30mmφ、平均溝深さは2.5mmであった。190℃、スクリュー回転数120rpmで樹脂組成物を押出し、水浴で冷却したストランドをペレタイザーで切断した。得られた樹脂組成物の水分を除去し、ビーズ状粒子とした。微量水分測定装置(三菱化学社製 CA07)で水分率を測定し、300ppm以下であることを確認した。
ビーズ状粒子A1
ポリ乳酸樹脂Aのみを溶融混練により押出したあと切断して、ビーズ状粒子A1とした。10mg/個の大きさの円柱状となった。
ビーズ状粒子A2
ポリ乳酸樹脂Aを96質量%と、マイクロクリスタリンワックス(日本精鑞社製 Hi−Mic−1080)を4重量%とを溶融混練により押出したあと切断して、ビーズ状粒子A2とした。10mg/個の大きさの円柱状となった。
[実施例・比較例]
実施例1
内容積400mLのオートクレーブに、表1に示すように、ポリ乳酸樹脂Aを10gと、分散媒であるシリコーンオイルを150mLと、分散安定剤Fを1.5gとを投入した。そして発泡剤であるノルマルブタンをオートクレーブ内に注入し、発泡剤含浸温度を155℃、発泡剤含浸圧力を15MPaに調整し、400rpmで撹拌しながら2時間保持した。続いて、オートクレーブ内の温度を室温まで下げた後、発泡剤を抜いて常圧に戻し、含浸粒子を得た。この含浸粒子の発泡剤含浸率および分散性を表1に示す。
得られた含浸粒子を熱風乾燥機を用いて発泡温度120℃で発泡させ、発泡粒子を得た。この発泡粒子の発泡倍率は47倍であった。
一方、上記の含浸粒子を、寸法10cm×10cm×3cmの金型に充填し、熱風乾燥機にて成形温度130℃にて加熱し、発泡成形体を得た。発泡成形体の発泡倍率は39倍であった。得られた発泡成形体の耐熱性は、表1に示すように良好であった。
Figure 2009079202
実施例2〜5、比較例1〜2
実施例1に比べて、発泡剤含浸条件としての、発泡剤の種類と、分散媒の種類と、分散安定剤の種類と、含浸温度と、含浸圧力とを、表1に示すように変化させた。それ以外は実施例1と同様の処理を行った。その結果を表1に示す。
実施例6
実施例1のポリ乳酸樹脂Aに代えて、ポリ乳酸樹脂Bを用いた。また、それに伴い、含浸温度と含浸圧力とを表1に示すように変化させた。それ以外は実施例1と同じ処理を行った。その結果を表1に示す。
比較例3、4
分散媒として水を用い、さらに分散安定剤としてタルク0.3gおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)0.1gを用いた。それに伴い、含浸温度と含浸圧力とを表1に示すように変化させた。それ以外は実施例1と同様の処理を行った。その結果を表1に示す。
比較例5
ポリ乳酸樹脂Cを用いた。それに伴い、含浸温度と含浸圧力とを表1に示すように変化させた。それ以外は比較例3と同様の処理を行った。その結果を表1に示す。
比較例6
実施例1に比べて、分散安定剤を用いなかった。それ以外は実施例1と同様の処理を行った。その結果を表1に示す。
比較例7
実施例2に比べて、分散安定剤を用いなかった。それ以外は実施例2と同様の処理を行った。その結果を表1に示す。
比較例8
実施例2の分散安定剤Gに代えて、分散安定剤Hを用いた。それ以外は実施例2と同様の処理を行った。その結果を表1に示す。
比較例9
発泡ポリスチレンを寸法10cm×10cm×3cmの金型に充填して成形し、発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の発泡倍率および耐熱性を表1に示す。
実施例1〜6で得られた含浸粒子を発泡することにより、30倍以上の高発泡倍率で、しかも耐熱性に優れた発泡粒子および発泡成形体が得られた。
これに対し、比較例1の含浸粒子は、発泡剤を含浸させるときの温度がTm−20℃よりも低い温度であったため、発泡性が付与されておらず、まったく発泡しないものであった。
比較例2の含浸粒子は、発泡剤を含浸させるときの温度がTm+20℃よりも高い温度であったため、ビーズ状粒子が融着してしまい、独立した含浸粒子が得られなかった。よって、これを発泡させることができなかった。
比較例3の含浸粒子は、発泡剤を含浸させるときの分散媒が疎水性有機媒体ではなく水であり、加水分解を起こさない含浸温度ではあったが、Tm−20℃よりも低い温度であっため、発泡性が付与されておらず、まったく発泡しないものであった。
比較例4は、比較例3と同様に発泡剤を含浸させるときの分散媒が疎水性有機媒体ではなく水であり、しかも比較例3よりも含浸温度が高温であったため、樹脂組成物が加水分解を起こして、樹脂が粉末状になってしまい、所望の含浸粒子が得られなかった。
比較例5は、非晶性のポリ乳酸を用い、しかも発泡剤を含浸させるときの分散媒が疎水性有機媒体ではなく水であったため、分散性は良好であったが発泡倍率の低い発泡粒子および発泡成形体しか得られず、しかも発泡成形体は耐熱性を欠くものであった。
比較例6および比較例7は、分散安定剤を用いなかったため、ビーズ状粒子が融着してしまい、独立した含浸粒子を得ることができなかった。
比較例8は、分散安定剤として分子量が2000に満たないポリマーを用いたため、安定した分散を行うことができず、このためビーズ状粒子が融着してしまい、独立した含浸粒子を得ることができなかった。
比較例9は、本発明の、ポリ乳酸を主成分とした樹脂組成物や所定の分散安定剤を含有したポリ乳酸系樹脂粒子に代えて、発泡ポリスチレンを発泡させただけのものであったため、高い倍率で発泡させることは可能であったものの、得られた発泡体は耐熱性に欠けていた。
実施例7
内容積400mL、内径54mmのオートクレーブ容器に、ビーズ状の樹脂Dを5gと、純水を150mLと、タルクを0.3gと、SDBSを0.1gとを投入した。そしてオートクレーブ内にノルマルブタンを注入し、表2に示す含浸温度および含浸圧力に調整した。さらに、直径が49mmの角度付ファンタービン型の撹拌羽根を用いて、400rpmで撹拌しながら2時間保持した。その後、オートクレーブ内の温度を室温まで下げた後、発泡剤を抜いて常圧に戻し、含浸粒子を得た。この含浸粒子の分散性と発泡剤含浸率と粒子形状とを表2に示す。
Figure 2009079202
実施例8〜9
内容積400mL、内径54mmのオートクレーブ容器に、ビーズ状の樹脂Aを5gと、シリコーンオイルを150mLと、分散安定剤Fを2gとを投入した。そしてオートクレーブ内にノルマルブタンを注入し、表2に示す含浸温度および含浸圧力に調整した。さらに、直径が49mmの角度付ファンタービン型の撹拌羽根を用いて、400rpmで撹拌しながら2時間保持した。その後、オートクレーブ内の温度を室温まで下げた後、発泡剤を抜いて常圧に戻し、含浸粒子を得た。これらの含浸粒子の分散性と発泡剤含浸率と粒子形状とを表2に示す。
実施例10
実施例8に比べて、直径が47mmの湾曲ファンタービン型の撹拌羽根を用いて600rpmで撹拌した。それ以外は実施例8と同様の処理を行って、含浸粒子を得た。得られた含浸粒子の分散性と発泡剤含浸率と粒子形状とを表2に示す。
実施例11〜12
実施例8に比べて、使用する分散媒および分散安定剤を表2に示すように変更した。それ以外は実施例8と同様の処理を行って、含浸粒子を得た。得られた含浸粒子の分散性と発泡剤含浸率と粒子形状とを表2に示す。
実施例13
実施例8の樹脂Aに代えてビーズ粒子A1を用いた。それ以外は実施例8と同様の処理を行って含浸粒子を得た。得られた含浸粒子の分散性と発泡剤含浸率と粒子形状とを表2に示す。
実施例14
実施例8の樹脂Aに代えてビーズ粒子A2を用いた。それ以外は実施例8と同様の処理を行って含浸粒子を得た。得られた含浸粒子の分散性と発泡剤含浸率と粒子形状とを表2に示す。
参考例1
実施例7に比べて、撹拌羽根の撹拌速度を80rpmに変更した。それ以外は実施例7と同様の処理を行って、含浸粒子を得た。得られた含浸粒子の分散性と発泡剤含浸率と粒子形状とを表2に示す。
参考例2〜3
実施例8に比べて、撹拌羽根の撹拌速度を表2に示すように変更した。それ以外は実施例8と同様の処理を行って、含浸粒子を得た。得られた含浸粒子の分散性と発泡剤含浸率と粒子形状とを表2に示す。
参考例4〜5
実施例8に比べて、含浸温度を表2に示すように変更した。それ以外は実施例8と同様の処理を行って、含浸粒子を得た。得られた含浸粒子の分散性と発泡剤含浸率と粒子形状とを表2に示す。
参考例6
実施例7に比べて、ビーズ状の樹脂Dを樹脂Aに変更した。それ以外は実施例7と同様の処理を行って、含浸粒子を得た。得られた含浸粒子の分散性と発泡剤含浸率と粒子形状とを表2に示す。
参考例7
実施例8と比べて、撹拌羽根の回転方向を逆向きとした。それ以外は実施例8と同様の処理を行って、含浸粒子を得た。得られた含浸粒子の分散性と発泡剤含浸率と粒子形状とを表2に示す。
参考例8
実施例8と比べて、分散安定剤として樹脂Iを用いた。それ以外は実施例8と同様の処理を行って、含浸粒子を得た。得られた含浸粒子の分散性と発泡剤含浸率と粒子形状とを表2に示す。
参考例9
実施例11と比べて、分散安定剤として樹脂Hを用いた。それ以外は実施例11と同様の処理を行って、含浸粒子を得た。得られた含浸粒子の分散性と発泡剤含浸率と粒子形状とを表2に示す。
次に、実施例7〜14および参考例3〜4、7〜8で得られた含浸粒子を、熱風乾燥機を用いて表2に示す発泡温度にて発泡させ、発泡粒子を得た。得られた発泡粒子の発泡倍率および形状を表2に示す。
実施例7〜14の含浸粒子は、すべて角のある形状をしており、さらに発泡させた発泡粒子も角のある形状を維持していた。ただし、実施例13の含浸粒子は、ポリ乳酸樹脂のみからなる小さい粒子のため、発泡倍率が5倍と低かった。
これに対し参考例1〜2は、撹拌羽根の撹拌速度が80rpmと低かったため分散が不十分で、ビーズ状粒子が融着して凝集物となってしまい、所望の含浸粒子が得られなかった。
参考例3は、撹拌羽根の撹拌速度が1200rpmと高かったため、強過ぎる剪断により含浸粒子がいびつな不定形となってしまい、所望の含浸粒子が得られなかった。
参考例4は、含浸温度がTm−20℃よりも低い温度であったため、形状の変化がまったく起こらず球状のままとなり、所望の含浸粒子が得られなかった。
参考例5は、含浸温度がTm+20℃よりも高い温度であったため、ビーズ状粒子が融着して凝集物となってしまい、所望の含浸粒子が得られなかった。
参考例6は、ポリマーAを用いたにもかかわらず、発泡剤を含浸させるときの分散媒が疎水性有機媒体ではなく水であったため、樹脂組成物が加水分解を起こして、樹脂が粉末状になってしまい、所望の含浸粒子が得られなかった。
参考例7は、実施例8とは撹拌羽根の回転方向を逆向として撹拌を行ったため、丸みを帯びた碁石状の含浸粒子が得られたものの、所望の角ばった含浸粒子は得られなかった。
参考例8〜9は、樹脂組成物に対し、親和性の高いセグメントの分子量が2000未満の分散安定剤を用いたため、分散安定効果が十分でなく、含浸粒子が不定形や凝集物となってしまい、所望の角ばった含浸粒子が得られなかった。

Claims (19)

  1. 光学異性体比率が8質量%以下で結晶性を有するポリ乳酸を主成分とした樹脂組成物にて粒子状に形成されるとともに、分子量が2000以上であり疎水性有機媒体中で樹脂組成物の粒子を分散させることが可能である分散安定剤と、発泡剤とを含有し、発泡能力を有することを特徴とする発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子。
  2. 分散安定剤が粒子の表面に付着していることを特徴とする請求項1記載の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子。
  3. 分散安定剤が、樹脂組成物と疎水性有機媒体との両方に親和性のあるポリマーであって粒子表面に立体的な障壁を形成するものであることを特徴とする請求項2記載の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子。
  4. 分散安定剤が、疎水性有機媒体に親和性の高いセグメントと、樹脂組成物に親和性の高いセグメントとを有した、ジブロック共重合ポリマーと、トリブロック共重合ポリマーと、グラフト共重合ポリマーとのいずれかであることを特徴とする請求項3記載の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子。
  5. 分散安定剤の含有量が樹脂粒子全体の10重量%以下であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子。
  6. 粒子形状が、立方体状、直方体状、四角柱状または三角柱状のいずれかであることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子。
  7. 熱可塑性樹脂組成物にて粒子状に形成されるとともに、粒子形状が、立方体状、直方体状、四角柱状または三角柱状のいずれかであり、かつ、分子量が2000以上であり疎水性有機媒体中で樹脂組成物の粒子を分散させることが可能である分散安定剤と、発泡剤とを含有し、発泡能力を有することを特徴とする発泡剤を含浸させた樹脂粒子。
  8. 熱可塑性樹脂組成物の主成分が脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項7記載の発泡剤を含浸させた樹脂粒子。
  9. 光学異性体比率が8質量%以下で結晶性を有するポリ乳酸を主成分とした粒状の樹脂組成物の融点をTmとして、前記粒状の樹脂組成物に、Tm−20℃〜Tm+20℃に調整された疎水性有機媒体中にて、分子量が2000以上であり前記疎水性有機媒体中で樹脂組成物の粒子を分散させることが可能である分散安定剤を用いながら、発泡剤を含浸させることを特徴とする発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子の製造方法。
  10. 分散安定剤として、樹脂組成物と疎水性有機媒体との両方に親和性のあるポリマーであって粒子表面に立体的な障壁を形成するものを用いることを特徴とする請求項9記載の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子の製造方法。
  11. 分散安定剤として、疎水性有機媒体に親和性の高いセグメントと、樹脂組成物に親和性の高いセグメントとを有した、ジブロック共重合ポリマーと、トリブロック重合ポリマーと、グラフト共重合ポリマーとのいずれかを用いることを特徴とする請求項10記載の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子の製造方法。
  12. 粒状の熱可塑性樹脂組成物の融点をTmとして、前記粒状の熱可塑性樹脂組成物に、Tm−20℃〜Tm+20℃に調整された疎水性有機媒体中にて、分子量が2000以上であり前記疎水性有機媒体中で樹脂組成物の粒子を分散させることが可能である分散安定剤を用いながら、発泡剤を含浸させることを特徴とする発泡剤を含浸させた樹脂粒子の製造方法。
  13. 分散安定剤として、樹脂組成物と疎水性有機媒体との両方に親和性のあるポリマーであって粒子表面に立体的な障壁を形成するものを用いることを特徴とする請求項12記載の発泡剤を含浸させた樹脂粒子の製造方法。
  14. 分散安定剤として、疎水性有機媒体に親和性の高いセグメントと、樹脂組成物に親和性の高いセグメントとを有した、ジブロック共重合ポリマーと、トリブロック重合ポリマーと、グラフト共重合ポリマーとのいずれかを用いることを特徴とする請求項13記載の発泡剤を含浸させた樹脂粒子の製造方法。
  15. 請求項1から6までのいずれか1項に記載の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子、または、請求項7あるいは8に記載の発泡剤を含浸させた樹脂粒子を発泡したものであることを特徴とする樹脂発泡粒子。
  16. 発泡倍率が30倍以上であることを特徴とする請求項15記載の樹脂発泡粒子。
  17. 請求項1から6までのいずれか1項に記載の発泡剤を含浸させたポリ乳酸系樹脂粒子、または、請求項7あるいは8に記載の発泡剤を含浸させた樹脂粒子、または、請求項15あるいは16に記載の樹脂発泡粒子を発泡成形したものであることを特徴とする樹脂発泡成形体。
  18. 発泡倍率が30倍以上であることを特徴とする請求項17記載の樹脂発泡成形体。
  19. 請求項15または16に記載の樹脂発泡粒子を用いたものであることを特徴とするクッション。
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