JP5113508B2 - 生分解性ポリエステル樹脂組成物及びそれより得られる発泡体、成形体 - Google Patents

生分解性ポリエステル樹脂組成物及びそれより得られる発泡体、成形体 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性、発泡性、操業性、寸法安定性などを損なうことなく、成形加工性が改善された生分解性ポリエステル樹脂組成物、及びそれから得られる発泡体や成形体に関する。
従来からプラスチックは、ボトル、トレー、各種容器、各種成形品として極めて多くの分野で用いられている。これらはほとんどが生分解性を有さず、しかも多量に使用されているため、廃棄物処理、自然環境汚染の観点から社会問題となっている。
このような背景のもと生分解性プラスチックが研究され、その中でも生分解性を有する脂肪族ポリエステルの研究は、実用化段階まで進捗している。しかしながら、生分解性を有する脂肪族ポリエステルは、汎用の樹脂に比べて、耐熱性、溶融粘度などが低く、また結晶化が遅いために、各種の成形の際にドローダウンを起こしたり、発泡成形の際に十分な発泡倍率が得られないという問題がある。
このような問題を解決するために、例えば、生分解性樹脂を過酸化物の存在下で反応性化合物と溶融混練して架橋構造を導入する方法が提案されている(特許文献1〜6)。これらの方法により、溶融張力の向上、ひずみ硬化性(伸長粘度測定時)の発現、結晶化速度の向上などが図れ、上記した脂肪族ポリエステルの諸問題点が改善されている。
また特許文献7において、本出願人は、脂肪族ポリエステルを(メタ)アクリル酸エステルやグリシジルエーテルで架橋することにより、溶融粘度や操業性に加え、結晶化速度の問題が解決できることを開示した。しかしながら、この技術では加工方法にあわせて所望の結晶化速度に制御することが困難な場合があり、特に発泡成形法やブロー成形法では、成形加工の最中の早い段階に結晶化が起こり、成形に支障をきたす場合があった。
また特許文献8において、本出願人は、有機又は無機の添加物を加えて結晶化速度を制御した脂肪族ポリエステル樹脂組成物を開示した。この技術では、もともと結晶化の遅い非架橋ポリエステル樹脂組成物の結晶化速度を制御することができる。しかしながら、特許文献7に記載されたような、架橋により溶融粘度及び結晶化速度が向上したポリエステル樹脂組成物においては、特許文献8に記載された添加物を加えると、むしろ結晶化が促進されるため、加工方法に合わせた結晶化速度の制御ができない問題があった。
特許文献9〜10では、エチレングリコール以外のジオール成分を共重合させたポリエチレンテレフタレートを用いた発泡粒子を製造する方法により、芳香族ポリエステル樹脂の結晶化を抑える技術が提示されている。しかし、この方法では共重合が必要であるため、簡便でなく、その製造コストも増えてしまう問題があった。
特開平11−60928号公報 特許第2571329号公報 特開2000−17037号公報 特開平10−324766号公報 特開平10−152572号公報 特開2004−107615号公報 特開2003−128901号公報 特願2007−320203号公報 特開2001−329100号公報 特開2001−329102号公報
本発明の課題は、上記の問題点を解決し、従来の架橋生分解性ポリエステル樹脂組成物が有している耐熱性、発泡性、操業性、寸法安定性などを維持しつつ、結晶化速度を制御して成形加工性を改善した生分解性ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、架橋生分解性ポリエステル樹脂組成物に結晶化遅延剤を含有させることにより、得られる樹脂組成物は、溶融粘度の向上及び伸長粘度測定におけるひずみ硬化性の発現により発泡性に優れたレオロジー特性を有し、それより得られる成形加工品は、耐熱性や操業性、寸法安定性にも優れるのみならず、結晶化速度を高いレベルで制御することで、成形加工性の問題も解決できることを見出し、かかる知見に基づき本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部と、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、又は1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)0.01〜20質量部と、過酸化物(C)0.01〜20質量部とを溶融混練してなる樹脂組成物であって、結晶化遅延剤(D)として、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド等を重合して得られるアクリル樹脂(D2)を0.1〜20質量部含有することを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂組成物。
(2)α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位の一部又は全部が、D−乳酸、L−乳酸又はこれらの混合物であることを特徴とする()記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
(3)(1)〜()のいずれかに記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物を発泡成形して得られる生分解性樹脂発泡体。
(4)(1)〜()のいずれかに記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる生分解性樹脂成形体。
本発明によれば、発泡性に優れたレオロジー特性を有する樹脂組成物の耐熱性、操業性、寸法安定性などを損なうことなく、結晶化速度を高いレベルで制御でき、成形加工性が改良される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、生分解性ポリエステル樹脂(A)は、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有することが必要である。
α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位としては、D−乳酸、L−乳酸、又はこれらの混合物、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。D−乳酸、L−乳酸又はこれらの混合物を含有する生分解性ポリエステル樹脂(A)は、機械的強度、耐熱性に優れるため好ましい。
生分解性ポリエステル樹脂(A)において、これらのα−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位の含有量は50モル%以上であることが必要である。含有量が50モル%未満であると、生分解性、耐熱性が低下するという問題がある。従って、生分解性ポリエステル樹脂(A)は、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3−ヒロドキシ吉草酸)、ポリ(3−ヒドロキシカプロン酸)、これらの共重合体、及びこれらの混合物等を50モル%以上含有している。
生分解性ポリエステル樹脂(A)が、D−乳酸やL−乳酸などのD−ヒドロキシカルボン酸やL−ヒドロキシカルボン酸を含有する場合、D−ヒドロキシカルボン酸とL−ヒドロキシカルボン酸のモル比(D/L)は、8/92以下、又は92/8以上であることが好ましく、5/95以下、又は95/5以上であることがさらに好ましく、2/98以下、又は98/2以上であることが最も好ましい。すなわち、その光学異性体比率は8モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがさらに好ましく、2モル%以下であることが最も好ましい。光学異性体比率が8モル%を超える生分解性ポリエステル樹脂(A)は、結晶化速度が著しく低く実質的に結晶化が起こらないため、耐熱性、操業性、寸法安定性などが極端に低下する。
生分解性ポリエステル樹脂(A)は、通常公知の溶融重合法で、又はさらに固相重合法を併用して製造される。また、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)及びポリ(3−ヒロドキシ吉草酸)等については微生物による生産も可能である。
本発明で用いる生分解性ポリエステル樹脂(A)には、ポリ(α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸)の耐熱性を大幅に損ねない範囲で、必要に応じてその他の生分解性樹脂成分を共重合ないしは混合することもできる。その他の生分解性樹脂としては、ポリ(エチレンサクシネート)やポリ(ブチレンサクシネート)等に代表されるジオールとジカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル、ポリ(ε−カプロラクトン)に代表されるポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)、さらに芳香族成分を含んでいても生分解性を示すポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンテレフタレート)や、(ブチレンアジペート−co−ブチレンテレフタレート)の他、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート、デンプンなどの多糖類等が挙げられる。
本発明で用いる生分解性ポリエステル樹脂(A)の分子量は特に制限はないが、重量平均分子量が5万以上100万未満であることが好ましく、さらには7万以上100万未満であることが好ましい。重量平均分子量が5万未満である場合には樹脂組成物の溶融粘度が低すぎるので好ましくない。また重量平均分子量が100万を超える場合には樹脂組成物の成形性が急速に低下するので好ましくない。
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)としては、生分解性ポリエステル樹脂(A)との反応性が高くモノマーが残りにくく、毒性が比較的少なく、樹脂の着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、又は1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)の具体例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、またこれらのアルキレングリコール部が様々な長さのアルキレンの共重合体でもよく、さらにブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)の配合量は、生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.01〜20質量部、好ましくは0.05〜10質量部である。配合量が0.01質量部未満では本発明の目的とする耐熱性、寸法安定性の改良効果が得られず、20質量部を超える場合には架橋の度合いが強すぎて、操業性に支障が出るため好ましくない。
本発明で用いる過酸化物(C)の例としては、分散性が良好な有機過酸化物が好ましく、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等が挙げられる。
過酸化物(C)の配合量は、生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.01〜20質量部、好ましくは0.05〜10質量部である。配合量が0.01質量部未満では耐熱性、寸法安定性が得られず、20質量部を超える場合には未利用となることがあり、コスト面で好ましくない。
本発明で用いる結晶化遅延剤(D)としては、低結晶性又は非晶性でなおかつ生分解性ポリエステル樹脂(A)と分子レベルで混ざり合う物質が好ましい。好ましい例として、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有し、D−ヒドロキシカルボン酸とL−ヒドロキシカルボン酸のモル比(D/L)が、3/97〜97/3である生分解性ポリエステル樹脂(D1)やアクリル樹脂(D2)が挙げられる。
また生分解性ポリエステル樹脂(A)と分子レベルで混ざり合わないものの結晶化遅延剤としての効果を発揮する特殊な例として、ワックス(D3)が挙げられる。
本発明において結晶化遅延剤(D)として使用する生分解性ポリエステル樹脂(D1)は、前述の生分解性ポリエステル樹脂(A)に例示されたように、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を構成単位とし、これを50モル%以上含有する樹脂である。そして、そのD−ヒドロキシカルボン酸とL−ヒドロキシカルボン酸のモル比(D/L)は、3/97〜97/3であることが必要であり、7/93〜93/7であることが好ましく、10/90〜90/10であることが最も好ましい。すなわち、生分解性ポリエステル樹脂(D1)の光学異性体比率は3モル%以上であることが必要であり、7モル%以上が好ましく、10モル%以上が最も好ましい。
光学異性体比率が3モル%以上の生分解性ポリエステル樹脂(D1)は、低結晶性又は非晶性であり、生分解性ポリエステル樹脂(A)と分子レベルで混ざり合うため、樹脂組成物の結晶化速度が低下し、成形加工方法に合わせた所望の結晶化速度に制御することが可能となると考えられる。光学異性体比率が3モル%以上の生分解性ポリエステル樹脂(D1)の配合量は、生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。配合量が0.1質量部未満では添加による改良効果が発揮されず、20質量部を超える場合には本発明の樹脂組成物の特性であるレオロジー特性が損なわれ発泡性が低下するとともに、耐熱性及び寸法安定性が損なわれるため好ましくない。
本発明において結晶化遅延剤(D)として使用するアクリル樹脂(D2)としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド等を重合して得られる樹脂が挙げられる。非晶性であり、また溶融粘度の高いアクリル樹脂(D2)が生分解性ポリエステル樹脂(A)と分子レベルで混ざり合うことにより、発泡性などその他の特性を損なうことなく、成形加工方法に合わせた所望の結晶化速度に制御することが可能となると考えられる。アクリル樹脂(D2)の配合量は、生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。配合量が0.1質量部未満では添加による改良効果が発揮されず、20質量部を超える場合には本発明の樹脂組成物の特性であるレオロジー特性が損なわれ発泡性が低下するとともに、耐熱性及び寸法安定性が損なわれるため好ましくない。
本発明において結晶化遅延剤(D)として使用するワックス(D3)としては、石油ワックス、動植物ワックス、鉱物ワックス、合成ワックス、変性ワックスが挙げられる。石油ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。動植物ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、蜜ろう、セラックワックス、ラノリンワックス等が挙げられる。鉱物ワックスとしてはモンタンワックス、オゾケライト等が挙げられる。合成ワックスとしてはフィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。変性ワックスとしては酸化ワックス、配合ワックス等が挙げられる。
ワックス(D3)は、生分解性ポリエステル樹脂(A)と分子レベルで混ざり合うというほどには均一に混ざらないが、添加により樹脂組成物の結晶化が遅延されるため、成形加工方法に合わせた所望の結晶化速度に制御することが可能となる。
ワックス(D3)の配合量は、生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。配合量が0.1質量部未満では添加による改良効果が発揮されず、20質量部を超える濃度ではワックス(D3)が多すぎて均一に混ぜ合わせることができないため好ましくない。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は、その融点より10℃高い温度での伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度の対数プロット(図1参照)において、屈曲点があらわれるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)であらわされるひずみ硬化係数が、1.05以上、50未満であるような、ひずみ硬化性が発現されることが好ましい。より好ましいひずみ硬化係数は1.5〜30である。ひずみ硬化係数が1.05未満であると、押出発泡成形時に破泡を起こしたり、成形体に偏肉を生じやすい。またひずみ硬化係数が50以上であると成形時にゲルが発生しやすく流動性も大きく低下して好ましくない。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は、DSC装置において、いったん200℃で溶融した後、130℃にて等温結晶化させた時の降温時結晶化速度指数が50(分)以下であることが好ましく、30(分)以下であることがさらに好ましい。降温時結晶化速度指数は、樹脂を200℃の溶融状態から130℃にて結晶化させたときに最終的に到達する結晶化度の2分の1に到達するまでの時間(分)(図2参照)で示され、指数が小さいほど結晶化が速いことを意味する。降温時結晶化速度指数が50(分)よりも高いと、冷却時に結晶化するのに時間がかかりすぎ、希望する成形体の形状が得られなかったり、射出成形などでのサイクルタイムが長くなったりと、生産性が悪くなる。また、結晶化が速すぎると成形性が悪くなるため、降温時結晶化速度指数の下限は0.1(分)程度であることが好ましい。
また本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は、いったん200℃で溶融した後に0℃に急冷し、その後90℃で等温結晶化させたときの昇温時結晶化速度指数が0.2(分)以上であることが好ましく、0.5(分)以上であることがさらに好ましく、1.0(分)以上であることが最も好ましい。特に、固化した状態の樹脂組成物を加熱して成形する方法、例えばビーズ発泡法においては昇温時結晶化が速すぎると発泡粒子同士がうまく接着又は融着しなかったり、ブロー成形法においては予備成形体がうまく延びなかったりして、うまく成形できない問題が発生する。結晶化が遅すぎると、本発明の樹脂組成物の特性である耐熱性、操業性、寸法安定性が損なわれたり、生産性が悪くなったりするため、昇温時結晶化速度指数が50(分)以下であることが好ましく、30(分)以下であることがさらに好ましい。
本発明において生分解性ポリエステル樹脂(A)や結晶化遅延剤(D)の生分解性ポリエステル樹脂(D1)として、D−乳酸、L−乳酸又はこれらの混合物を含有する生分解性ポリエステル樹脂、すなわちポリ乳酸樹脂を用いる場合、昇温時の結晶化速度指数が0.5〜30(分)の範囲にあることが好ましく、0.5〜10(分)の範囲にあることがさらに好ましく、1.0〜5.0(分)の範囲にあることが最も好ましい。
降温時及び昇温時の結晶化速度指数は、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)及び/又は過酸化物(C)が増加するほど小さくなり、結晶化が速くなる。そのため(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)や過酸化物(C)の配合量の調整で、結晶化速度を調整できるように思われるが、発泡や各種の成形加工に必要な溶融粘度、伸長粘度、ひずみ硬化性を維持したまま所望の結晶化速度にコントロールすることは不可能である。したがって、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)及び/又は過酸化物(C)の配合量を多くして高い溶融粘度にしたい場合には、結晶化遅延剤(D)を添加して結晶化速度を調整する方法により、優れた発泡性及び成形加工性が達成できる。
またタルクや炭酸カルシウムなどの無機微粉末を添加すると、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)及び過酸化物(C)との相乗効果で本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は結晶化がより速くなる。これらの微粉末は発泡核剤として働くため、発泡成形に供した場合は気泡径が微細になる効果が得られる。また、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)の官能基数を多くするほど本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は結晶化が速くなる。上記のように結晶化が速くなった場合にも、樹脂組成物に結晶化遅延剤(D)を添加して所望の結晶化速度に制御することができる。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は、生分解性ポリエステル樹脂(A)、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)、過酸化物(C)、及び結晶化遅延剤(D)を原料として、一般的な押出機を用いて溶融混練して製造することができる。混練状態を良くする意味で二軸の押出機を使用することが好ましい。混練温度は(樹脂の融点+5℃)〜(樹脂の融点+50℃)の範囲が、また、混練時間は20秒〜30分の範囲が好ましい。この範囲より低温や短時間であると、混練や反応が不充分となり、また高温や長時間であると樹脂の分解や着色が起きることがある。
この場合、本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)及び過酸化物(C)は、固体状であればドライブレンドや粉体フィーダーを用いて供給する方法が望ましく、液体状の場合は、加圧ポンプを用いて、押出機の途中から注入する方法が望ましい。
特に、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)及び/又は過酸化物(C)を媒体に溶解又は分散して混練機に注入すると操業性が格段に良くなり望ましい。すなわち、生分解性ポリエステル樹脂(A)と過酸化物(C)とを溶融混練中に、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)の溶解液又は分散液を注入するか、あるいは生分解性ポリエステル樹脂(A)を溶融混練中に、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)と過酸化物(C)の溶解液又は分散液を注入して溶融混練することが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物(A)及び/又は過酸化物(C)を溶解又は分散させる媒体としては一般的なものが用いられ、特に限定されないが、生分解性ポリエステル樹脂(A)との相溶性に優れた可塑剤が好ましく、また生分解性のものが好ましい。例えば、脂肪族多価カルボン酸エステル誘導体、脂肪族多価アルコールエステル誘導体、脂肪族オキシエステル誘導体、脂肪族ポリエーテル誘導体、脂肪族ポリエーテル多価カルボン酸エステル誘導体などから選ばれた1種以上の可塑剤などが挙げられる。具体的な化合物としては、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルトリブチルクエン酸、ポリエチレングリコール、ジブチルジグリコールサクシネートなどが挙げられる。可塑剤の使用量としては、樹脂量100質量部に対し30質量部以下が好ましく、0.1〜20質量部が更に好ましい。架橋剤の反応性が低い場合、可塑剤を使用しなくてもよいが、反応性が高い場合には0.1質量部以上用いることが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)と過酸化物(C)は、別々に注入してもよい。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、結晶化遅延剤(D)を予め生分解性ポリエステル樹脂(A)とドライブレンドして供給し、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)及び過酸化物(C)と溶融混練して本発明の樹脂組成物を1段階で製造する方法と、生分解性ポリエステル樹脂(A)と(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)と過酸化物(C)を溶融混練して架橋生分解性ポリエステル樹脂組成物を製造した後に、該樹脂組成物と結晶化遅延剤(D)をドライブレンドして供給し溶融混練して本発明の樹脂組成物を2段階で製造する方法のどちらを選択してもよい。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物は、上記のように、生分解性ポリエステル樹脂(A)、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)、過酸化物(C)、及び結晶化遅延剤(D)を原料としてこれらを溶融混練して製造することができるが、一般に過酸化物(C)は溶融混練中に分解するため、得られた樹脂組成物中に過酸化物(C)が必ず含有されているとは限らない。また、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)及び/又は過酸化物(C)の添加に際して可塑剤などの媒体を使用することが好ましいが、この媒体も溶融混練時に揮発することがあるため、得られた樹脂組成物中に媒体が必ず含有されているとは限らない。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物にはその特性を大きく損なわない限りにおいて、さらに顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、分散剤、滑剤、結晶核剤、発泡核剤、離型剤、帯電防止剤、末端封鎖剤、充填材、耐衝撃改良剤等を添加することも可能である。熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物を使用することができる。末端封鎖剤としては、カルボジイミド、オキサゾリン、エポキシなどが挙げられる。分散剤としては、流動パラフィン、ミネラルオイル、クレオソート油、潤滑油、シリコーンオイルなどの工業用オイル、あるいはコーン油、大豆油、菜種油、パーム油、亜麻仁油、ホホバ油などの植物油、あるいはイオン性及びノニオン性の界面活性剤等が挙げられる。無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機充填材としては、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリイミド繊維、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いてもよく2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物に上記添加剤や他の熱可塑性樹脂を混合する方法は特に限定されるものではなく、通常の加熱溶融後、例えば、従来より知られている一軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等を用いる溶融混練法によって混練するとよい。また、スタティックミキサーやダイナミックミキサーを併用することも効果的である。また、生分解性ポリエステル樹脂(A)の重合時に加えてもよい。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物を発泡成形することによって、生分解性樹脂発泡体を得ることができ、また、射出成形、押出成形、ブロー成形などの成形を行うことによって、各種生分解性樹脂成形体を得ることができる。
本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物から発泡体を製造する際の発泡方法には、一般的な方法全てを適用することができる。例えば、押出機を用いて、樹脂にあらかじめ樹脂の溶融温度で分解する分解型発泡剤をブレンドしておき、スリット状ノズルから押出してシート状にしたり、丸形ノズルから押出してストランド形状にしたりすることができる。分解型発泡剤の例としては、アゾジカルボンアミドやバリウムアゾジカルボキシレートに代表されるアゾ化合物、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミンに代表されるニトロソ化合物、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)やヒドラジカルボンアミドに代表されるヒドラジン化合物、あるいは炭酸水素ナトリウムなどの無機系の発泡剤などを挙げることが出来る。また、押出機途中から揮発型発泡剤を注入して発泡することも可能である。この場合の発泡剤としては、窒素、二酸化炭素、水等の無機化合物や、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタンなどの各種炭化水素、フロン化合物、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、エタノールやメタノール等の各種アルコール類に代表される有機溶媒などを挙げることが出来る。また、あらかじめ樹脂組成物の微粒子を作製し炭化水素、有機溶媒、水など上記に示した発泡剤を加圧下にて含浸させた後、温度や圧力の変化で発泡させて発泡微粒子を作製する方法も適用できる。
本発明の発泡体及び発泡成形体は、その軽量性、耐熱性、断熱性、耐衝撃性、クッション性、遮音性を活かして包装材、梱包材、緩衝材、断熱材、保温材、保冷材、消音材、吸音材、防音材、制振材、建材、クッション材、資材、容器などに利用することができる。具体例としては、ソファ、ベッドマット、椅子、寝具、マットレス、電灯カバー、ぬいぐるみ、スリッパ、クッション、ヘルメット、カーペット、枕、靴、ポーチ、マット、クラッシュパッド、スポンジ、文具、玩具、DIY用品、パネル、畳芯材、マネキン、自動車内装部材・クッション、カーシート、デッドニング、ドアトリム、サンバイザー、自動車用制振材・吸音材、スポーツ用マット、フィットネス用品、スポーツ用プロテクター、ビート板、グラウンドフェンス、レジャーシート、医療用マットレス、医療用品、介護用品、リハビリ用品、建築用断熱材、建築目地材、面戸材、建築養生材、反射材、工業用トレー、チューブ、パイプカバー、エアコン断熱配管、ガスケット芯材、コンクリート型枠、土木目地、つらら防止パネル、保護材、軽量土、盛土、人工土壌、梱包材・包装資材、梱包資材、ラッピング、生鮮品・野菜・果物等の梱包材・包装材、電子機器等の梱包材・緩衝包装材、生鮮品・野菜・果物等の保温・保冷箱、カップラーメン・弁当箱等の食品容器、食用トレー、飲料容器、農業用資材、発泡模型、スピーカ用振動版などが挙げられる。
次に、本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物から押出成形体を製造する際の押出成形法について述べる。押出成形法としては、Tダイ法及び丸ダイ法を適用することができる。押出成形温度は生分解性ポリエステル樹脂組成物の融点(Tm)又は流動開始温度以上であることが必要であり、好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは190〜220℃の範囲である。成形温度が低すぎると成形が不安定になったり、過負荷に陥りやすく、逆に成形温度が高すぎると生分解性ポリエステル樹脂が分解し、得られる押出成形体の強度が低下したり、着色する等の問題が発生するため好ましくない。押出成形により、生分解性シートやパイプ等を作製することが出来るが、これらの耐熱性を高める目的で、生分解性ポリエステル樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、(Tm−20℃)以下で熱処理することもできる。
押出成形法により製造される生分解性シート又はパイプの具体的用途としては、深絞り成形用原反シート、バッチ式発泡用原反シート、クレジットカード等のカード類、下敷き、クリアファイル、ストロー、農業・園芸用硬質パイプ等が挙げられる。また、生分解性シートは、真空成形、圧空成形、及び真空圧空成形等の深絞り成形を行うことで、食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、及びプレススルーパック容器などを製造することができる。深絞り成形温度及び熱処理温度は、(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)であることが好ましい。深絞り温度が(Tg+20℃)未満では深絞りが困難になったり、得られる容器の耐熱性が不十分となる場合があり、逆に深絞り温度が(Tm−20℃)を超えると偏肉が生じたり、配向がくずれて耐衝撃性が低下する場合がある。
食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、及びプレススルーパック容器の形態は特に限定しないが、食品、物品、及び薬品等を収容するためには深さ2mm以上に深絞りされていることが好ましい。容器の厚さは特に限定されないが、強力の点から、50μm以上であることが好ましく、150〜500μmであることがより好ましい。食品用容器の具体的例としては、生鮮食品のトレー、インスタント食品容器、ファーストフード容器、弁当箱等が挙げられる。農業・園芸用容器の具体例としては、育苗ポット等が挙げられる。また、ブリスターパック容器の具体的例としては、食品以外にも事務用品、玩具、乾電池等の多様な商品群の包装容器が挙げられる。
次に、本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物からブロー成形体を製造する際のブロー成形法について述べる。ブロー成形法としては、原料チップから直接成形を行うダイレクトブロー法や、まず射出成形で予備成形体(有底パリソン)を成形後にブロー成形を行う射出ブロー成形法、さらには延伸ブロー成形等も採用することができる。また予備成形体成形後に連続してブロー成形を行うホットパリソン法、いったん予備成形体を冷却し取り出してから再度加熱してブロー成形を行うコールドパリソン法のいずれの方法も採用できる。ブロー成形温度は(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)であることが必要である。ブロー成形温度が(Tg+20℃)未満では成形が困難になったり、得られる容器の耐熱性が不十分となる場合があり、逆にブロー成形温度が(Tm−20℃)を超えると偏肉が生じたり、粘度低下によりブローダウンする等の問題が発生するため、好ましくない。
次に、本発明の生分解性ポリエステル樹脂組成物から射出成形体を製造する際の射出成形法としては、一般的な射出成形法を用いることができ、さらにはガス射出成形、射出プレス成形等も採用できる。射出成形時のシリンダ温度はTm又は流動開始温度以上であることが必要であり、好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは190〜220℃の範囲である。成形温度が低すぎると成形時にショートが発生したりして成形が不安定になったり、過負荷に陥りやすく、逆に成形温度が高すぎると生分解性ポリエステル樹脂が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、着色する等の問題が発生するため、好ましくない。一方、金型温度は(Tm−20℃)以下にする必要がある。生分解性ポリエステル樹脂の耐熱性を高める目的で金型内で結晶化を促進する場合は、(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)で所定時間保った後、Tg以下に冷却することが好ましく、逆に後結晶化する場合は、直接Tg以下に冷却した後、再度Tg〜(Tm−20℃)で熱処理することが好ましい。
上記射出成形法により製造する射出成形品の形態は特に限定されず、具体例としては、皿、椀、鉢、箸、スプーン、フォーク、ナイフ等の食器、流動体用容器、容器用キャップ、定規、筆記具、クリアケース、CDケース等の事務用品、台所用三角コーナー、ゴミ箱、洗面器、歯ブラシ、櫛、ハンガー等の日用品、植木鉢、育苗ポット等の農業・園芸用資材、プラモデル等の各種玩具類、エアコンパネル、冷蔵庫トレイ、各種筐体等の電化製品用樹脂部品、バンパー、インパネ、ドアトリム等の自動車用樹脂部品等が挙げられる。なお、流動体用容器の形態は、特に限定されないが、流動体を収容するためには深さ20mm以上に成形されていることが好ましい。容器の厚さは特に限定されないが、強力の点から、0.1mm以上であることが好ましく、0.1〜5mmであることがより好ましい。流動体用容器の具体例としては、乳製品や清涼飲料水及び酒類等の飲料用コップ及び飲料用ボトル、醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、食用油等の調味料の一時保存容器、シャンプー・リンス等の容器、化粧品用容器、農薬用容器等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
実施例及び比較例の評価に用いた測定法は次のとおりである。
(1)分子量:
示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)装置(島津製作所製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶出液として40℃にて標準ポリスチレン換算で求めた。なお、THFに溶けにくいものは、予め少量のクロロホルムに溶かしてからTHFで希釈して用いた。
(2)融点:
示差走査熱量計DSC―7(パーキンエルマー社製)を用い、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
(3)MFR:
JIS K7210に従い、附属書A表1のDの条件、すなわち試験温度190℃、荷重2.16kgの条件にて測定した。
(4)伸長粘度:
伸長粘度測定装置RME(レオメトリック社製)を用い、60mm×7mm×1mmの試験片の両端を金属ベルトクランプにより支持した後、樹脂組成物の融点よりも10℃高い温度で、ひずみ速度0.1sec−1で測定サンプルに伸長変形を加え、変形中にピンチローラにかかるトルクを検出することにより伸長粘度を求めた。
(5)ひずみ硬化係数(a2/a1)(図1参照):
伸長時間と伸長粘度の両対数プロットにおいて、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)を算出した。
(6)降温時結晶化速度指数(図2参照):
示差走査熱量計DSC―7を用い、20℃→200℃(+500℃/分)で昇温後、200℃で5分間保持し、200℃→130℃(−500℃/分)で降温後、130℃で保持し結晶化させた。最終的に到達する結晶化度を1としたとき、結晶化度が0.5に達した時間を降温時結晶化速度指数(分)として求めた。
(7)昇温時結晶化速度指数(図2参照):
示差走査熱量計DSC―7を用い、20℃→200℃(+500℃/分)で昇温し、200℃で5分間保持し、200℃→0℃(−500℃/分)で降温し、0℃で5分間保持し、0℃→90℃(+500℃/分)で昇温後、90℃で保持し結晶化させた。最終的に到達する結晶化度を1としたとき、結晶化度が0.5に達した時間を昇温時結晶化速度指数(分)として求めた。
(8)発泡倍率:
得られた発泡体を水中に浸漬した際に増加する体積と、発泡体の質量と樹脂密度から求まる体積との比から、発泡体の発泡倍率を算出した。
(9)型内発泡成形性の評価:
発泡シートを切断して1mm角の発泡粒子とし、耐圧容器内でガラス転移点より20℃低い温度にて2MPaで二酸化炭素を含浸させた。粒子を取り出し、直ちに金型内に充填して105℃の水蒸気を吹き込み、型内発泡成形させた。得られた発泡成形体の粒子同士の融着性を評価した。
○:良好に接着した成形品
△:一部接着しているが、形を維持できない。
×:接着せず、形をなさなかった。
(10)加熱寸法安定性:
発泡成形体を100℃で20時間、熱風乾燥機にて熱処理した。熱処理前後の体積変化率を以下の基準で評価した。
○:良好(体積変化率±5%未満)
×:不良(体積変化率±5%以上)
体積変化率は以下の式より求めた。
体積変化率=(Y−X)/X×100(%)
X:加熱前の発泡体の体積
Y:加熱後の発泡体の体積
(11)射出成形性の評価:
射出成形装置(東芝機械製IS−100E)を用い、離型カップ型(直径38mm、高さ30mm)に射出成形を行い(成形温度200℃、金型温度15℃)、良好にカップが離型出来るまでのサイクル時間(秒)を調べた。
(12)ブロー成形性の評価:
得られたブロー成形体の外観を評価した。
○:良好で目的通り。
△:ほぼ目的通り成形できたが一部に不具合あり。
×:目的通り成形できなかった。
××:全く形をなさなかった。
実施例及び比較例に用いた原料は次のとおりである。
(1)生分解性ポリエステル樹脂(A):
PLA1:ポリ乳酸(重量平均分子量9万、D体1%、降温時結晶化速度指数>100、昇温時結晶化速度指数>100、NatureWorks製)
PLA2:ポリ乳酸(重量平均分子量18万、D体1%、降温時結晶化速度指数>100、昇温時結晶化速度指数>100、NatureWorks製)
(2)(メタ)アクリル酸エステル化合物(B):
GM:グリシジルメタクリレート(日本油脂製)
EGDM:エチレングリコールジメタクリレート(日本油脂製)
(3)過酸化物(C):
DTBP:ジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂製)
(4)結晶化遅延剤(D)
生分解性ポリエステル樹脂(D1):
PLA3:ポリ乳酸(重量平均分子量16万、D体12%、降温時結晶化速度指数>100、昇温時結晶化速度指数>100、NatureWorks製)
アクリル樹脂(D2):
PMMA1:ポリメチルメタクリレート VH−001(重量平均分子量10万、三菱レイヨン製)
PMMA2:ポリメチルメタクリレート MD−001(重量平均分子量8万、三菱レイヨン製)
ワックス(D3):キャンデリラワックス(東亜化成製)
(5)発泡核剤:
タルク:MW−HST(林化成製)
(6)可塑剤:
ATBC:アセチルトリブチルクエン酸
参考例1
二軸押出成形機(池貝製PCM−30、ダイス直径;4mm×3孔、押出ヘッド温度;200℃、ダイ出口温度;180℃)を用い、ドライブレンドした生分解性ポリエステル樹脂(A)(PLA1)100質量部と結晶化遅延剤(D)(PLA3)10質量部を供給した。発泡核剤としてタルク1.0質量部を添加した。混練機途中からポンプを用いて(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)(EGDM)を0.3質量部と過酸化物(C)(DTBP)0.6質量部を可塑剤(ATBC)2質量部に溶解した溶液を注入し、押し出し、ペレット状に加工し、生分解性ポリエステル樹脂組成物を得た。
得られた生分解性ポリエステル樹脂組成物のペレットをいったん乾燥した後、発泡剤として液化炭酸ガスを用い、連続発泡シート作製試験(池貝製二軸押出成形機PCM−30、ダイのスリット長さ40mm、スリット巾1mm、押出ヘッド温度;200℃、ダイ出口温度;160℃)を行ない、発泡シートを得た。
また、射出成形装置(東芝機械製IS−100E)を用い、離型カップ型(直径38mm、高さ30mm)に射出成形を行い(成形温度200℃、金型温度15℃)、カップ状成形体を得た。
さらに、ブロー成形装置(日精エーエスビー社製ASB−50HT)を用い、成形温度200℃で直径30mm、高さ100mm、厚み3.5mmのブリフォームを作製後、これを表面温度80℃に加温し、ボトル形状の金型(直径90mm、高さ250mm)にブロー成形を行い、厚み0.35mmの成形体を得た。
参考例1〜2、実施例3〜7、比較例1〜7
生分解性ポリエステル樹脂(A)、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)、及び結
晶化遅延剤(D)をそれぞれ表1に示す種類と量に変えた以外は実施例1と同様にして樹
脂組成物や各種成形体を得た。
実施例8
二軸押出成形機を用い、生分解性ポリエステル樹脂(A)(PLA1)100質量部を供給した。発泡核剤としてタルク1.0質量部を添加した。混練機途中からポンプを用いて(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)(EGDM)を0.3質量部と過酸化物(C)(DTBP)0.6質量部を可塑剤(ATBC)2質量部に溶解した溶液を注入し、押し出し、ペレット状に加工した架橋生分解性ポリエステル樹脂を得た。
得られた架橋生分解性ポリエステル樹脂のペレットを乾燥した後、これと結晶化遅延剤(D)(PMMA1)5質量部とをドライブレンドして二軸押出機に供給し、押し出し、ペレット状に加工し、生分解性ポリエステル樹脂組成物を得た。
得られた生分解性ポリエステル樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして各種成形体を得た。
得られた樹脂組成物の物性と、各種成形法における、型内発泡成形性、加熱寸法安定性、射出成形性、及びブロー成形性の評価結果を表1にまとめた。
表1から明らかなように、実施例〜8の樹脂組成物はいずれも適度な結晶化速度を有
し、ひずみ硬化性に優れており、独立発泡で均一な発泡体、成形サイクルが短く良好な射
出成形体、偏肉のない良好なブロー成形体がそれぞれ得られた。なお、実施例3において
は生分解性ポリエステル樹脂組成物を1段階で製造し、実施例8においてはこれを2段階
で製造したが、いずれの方法でも同等の特性を有する生分解性ポリエステル樹脂組成物が
得られた。
これに対して、比較例1及び5〜6の樹脂組成物は結晶化遅延剤(D)を含まないため
結晶化が速すぎて、発泡成形において粒子同士の融着が不十分で満足な発泡成形品を得る
ことはできなかった。またブロー成形においても成形途中で固化してしまい良好なブロー
成形体を得ることができなかった。
また、比較例2〜4の樹脂組成物は、結晶化遅延剤(D)成分が多すぎるため、ひずみ
硬化性の低下や結晶化速度の過度な減少が起こり、発泡性及びブロー成形性が大幅に低下
した。また加熱寸法安定性も悪かった。
また、生分解性ポリエステル樹脂のみからなる比較例7では、発泡性、成形加工性など
全ての特性が劣っていた。
屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1、ひずみ硬化係数)を求める際の伸長時間と伸長粘度の模式図を示す。 最終的に到達する結晶化度(θ)の2分の1に到達するまでの時間(分)で示される結晶化速度指数を求める際の結晶化度(θ)と時間の模式図を示す。

Claims (4)

  1. α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を50モル%以上含有する生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部と、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、又は1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)0.01〜20質量部と、過酸化物(C)0.01〜20質量部とを溶融混練してなる樹脂組成物であって、結晶化遅延剤(D)として、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド等を重合して得られるアクリル樹脂(D2)を0.1〜20質量部含有することを特徴とする生分解性ポリエステル樹脂組成物。
  2. α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位の一部又は全部が、D−乳酸、L−乳酸又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 請求項1〜のいずれかに記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物を発泡成形して得られる生分解性樹脂発泡体。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の生分解性ポリエステル樹脂組成物を成形して得られる生分解性樹脂成形体。
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