JP2009028988A - ガスバリア性に優れたポリ乳酸系複層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ポリ乳酸を主成分とし、耐熱性に優れ、高いガスバリア性を併せ持ったポリ乳酸系複層体を提供する。
【解決手段】 成形体(A)上にアロイ樹脂(B)がコートまたはラミネートされてなる複層体であって、成形体(A)がポリ乳酸系樹脂(C)からなり、アロイ樹脂(B)がポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)とからなることを特徴とするポリ乳酸系複層体。成形体(A)および/またはアロイ樹脂(B)を構成するポリ乳酸系樹脂(C)が、ポリ乳酸100質量部と、(メタ)アクリル酸エステル化合物0.01〜5質量部とからなることを特徴とする上記ポリ乳酸系複層体。アロイ樹脂(B)を構成するポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)との質量比(C/D)が30/70〜90/10であることを特徴とする上記ポリ乳酸系複層体。
【選択図】 なし
【解決手段】 成形体(A)上にアロイ樹脂(B)がコートまたはラミネートされてなる複層体であって、成形体(A)がポリ乳酸系樹脂(C)からなり、アロイ樹脂(B)がポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)とからなることを特徴とするポリ乳酸系複層体。成形体(A)および/またはアロイ樹脂(B)を構成するポリ乳酸系樹脂(C)が、ポリ乳酸100質量部と、(メタ)アクリル酸エステル化合物0.01〜5質量部とからなることを特徴とする上記ポリ乳酸系複層体。アロイ樹脂(B)を構成するポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)との質量比(C/D)が30/70〜90/10であることを特徴とする上記ポリ乳酸系複層体。
【選択図】 なし
Description
本発明はポリ乳酸系樹脂を主成分とし、特にガスバリア性ならびに耐熱性に優れた複層体に関する。
従来、ポリスチレン系、ポリプロピレン系およびポリエチレン系樹脂からなるプラスチック製品は、取り扱い易く安価であるため、食品、農業・園芸および包装等の様々な分野で多用されてきた。そして、その利便性の良さゆえ、主に使い捨てにされることが多かった。これらの容器は焼却すると紙ゴミ等よりも燃焼熱量が高く、焼却炉を傷めてしまう恐れがあり、また、埋め立て処理すると、自然環境下での分解速度がきわめて遅いため半永久的に地中に残存し、地球環境を破壊するという問題がある。さらに、投棄すると景観が損なわれたりする問題を有している。
そこで、近年、生分解性樹脂を利用した製品が注目されている。生分解性樹脂は、焼却しても通常のプラスチックより燃焼熱量が低く、埋め立て処理しても、自然環境下において炭酸ガスと水とに分解されるため、環境に害の少ない樹脂である。
生分解性樹脂のなかでも、ポリ乳酸または乳酸を主成分とするコポリマーは、原料が植物由来である点においても環境負荷が少ない利点を有しており、近年、急速に普及されつつある。しかしながら、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルは、ごく一部の組成物を除いて一般にガス透過性がよく、特に酸素や水蒸気はよく透過する。したがって、これらを保存袋、保存容器として使用すると、空気中の酸素が透過することによる容器中物質の酸化や、水蒸気透過による容器中物質の湿りなどが起こるため、これまで保存袋や保存容器として使われることがなかった。
上記のように、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルは水蒸気や酸素などのガスのバリア性に劣るため、様々な改良が試みられてきた。ポリオレフィンやポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体などのガスバリア性に優れた樹脂を樹脂そのものに混ぜる方法(たとえば特許文献1)や、コート・多層処理する方法(たとえば特許文献2〜5)のほか、無機化合物の混練や蒸着なども行われている(たとえば特許文献6〜8)。これらの方法に関しては、他素材を混練するケースでは、添加する素材の量をかなり多くしないと効果が出なかったり、使用中に添加物質がブリードアウトして性能が低下することがあった。コートやラミネートの場合は、その素材とポリ乳酸との接着性が問題となり、製品として満足な形態を得ることができなかった。さらに蒸着などでは、高度な装置が必要なためコスト高になるなどの欠点のほか、ポリ乳酸と蒸着層との接着が問題となり十分なガスバリア性を得ることができなかった。
上記方法に対し、本発明者らはこれまでに、ポリ乳酸を結晶化させてガスバリア性を向上させることを提案している(特許文献9)。この方法では、ポリ乳酸の容器に耐熱性とともにガスバリア性を付与できたが、用途によっては、ガスバリア性がまだ十分なレベルに達していないことがあった。
特開平09−194706号公報
特開2005−349750号公報
特開2004−256570号公報
特開2001−347623号公報
特開平10−24518号公報
特開2006−327003号公報
特開平10−138433号公報
特開平07−247374号公報
特開2007−69965号公報
本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、ポリ乳酸を主成分とし、耐熱性に優れ、高いガスバリア性を併せ持ったポリ乳酸系複層体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、エチレンビニルアルコール共重合体とポリ乳酸系樹脂とのアロイ樹脂を、ポリ乳酸系成形体上にコートまたはラミネートすることにより、耐熱性に優れ、高いガスバリア性を併せ持ったポリ乳酸系複層体を作製できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は,次のとおりである。
(1)成形体(A)上にアロイ樹脂(B)がコートまたはラミネートされてなる複層体であって、成形体(A)がポリ乳酸系樹脂(C)からなり、アロイ樹脂(B)がポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)とからなることを特徴とするポリ乳酸系複層体。
(2)成形体(A)および/またはアロイ樹脂(B)を構成するポリ乳酸系樹脂(C)が、ポリ乳酸100質量部と、(メタ)アクリル酸エステル化合物0.01〜5質量部とからなることを特徴とする(1)記載のポリ乳酸系複層体。
(3)アロイ樹脂(B)を構成するポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)との質量比(C/D)が30/70〜90/10であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリ乳酸系複層体。
(4)形状がシート状であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリ乳酸系複層体。
(5)上記(4)記載のポリ乳酸系複層体を成形加工してなるポリ乳酸系複層成形品。
(6)形状がボトル状であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリ乳酸系複層体。
(1)成形体(A)上にアロイ樹脂(B)がコートまたはラミネートされてなる複層体であって、成形体(A)がポリ乳酸系樹脂(C)からなり、アロイ樹脂(B)がポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)とからなることを特徴とするポリ乳酸系複層体。
(2)成形体(A)および/またはアロイ樹脂(B)を構成するポリ乳酸系樹脂(C)が、ポリ乳酸100質量部と、(メタ)アクリル酸エステル化合物0.01〜5質量部とからなることを特徴とする(1)記載のポリ乳酸系複層体。
(3)アロイ樹脂(B)を構成するポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)との質量比(C/D)が30/70〜90/10であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリ乳酸系複層体。
(4)形状がシート状であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリ乳酸系複層体。
(5)上記(4)記載のポリ乳酸系複層体を成形加工してなるポリ乳酸系複層成形品。
(6)形状がボトル状であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリ乳酸系複層体。
本発明は、ポリ乳酸を主成分とする樹脂からなる複層体や複層成形品であって、ガスバリア性に優れるため保存容器としても使え、電子レンジ等の使用に耐えうる耐熱性を有したシート、容器、ボトルを提供することができる。
本発明のポリ乳酸系複層体は、成形体(A)上にアロイ樹脂(B)がコートまたはラミネートされてなる複層体であって、前記成形体(A)は、ポリ乳酸系樹脂(C)からなり、前記アロイ樹脂(B)は、ポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)とからなる。
本発明において、成形体(A)とアロイ樹脂(B)を構成するポリ乳酸系樹脂(C)は、ポリ乳酸やそれを主成分とする組成物である。
ポリ乳酸としては、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸、ポリD、L−乳酸またはこれらの混合物を用いることができる。これらのポリ乳酸においては、L−乳酸、D−乳酸の単位が90モル%以上であると融点がより高く、耐熱性の観点からより好適に用いることができる。
また、このポリ乳酸には、性能を損なわない程度に、ヒドロキシカルボン酸類、ラクトン類等のコモノマーとの共重合体を用いてもよい。共重合可能なヒドロキシカルボン酸類、ラクトン類モノマーとしては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、グリコリド、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
また、そのほかの脂肪族ポリエステルや脂肪族芳香族ポリエステルとのアロイ、ブロックおよび/またはランダム共重合体などであっても構わない。ここで用いられる脂肪族ポリエステルや脂肪族芳香族ポリエステルの構成モノマーとしては、(1)グリコール酸、乳酸、ヒドロキシブチルカルボン酸などのヒドロキシアルキルカルボン酸、(2)グリコリド、ラクチド、ブチロラクトン、カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン、(3)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどの脂肪族ジオール、(4)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレン/プロピレングリコール、ジヒドロキシエチルブタンなどのポリアルキレンエーテルのオリゴマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレンエーテルなどのポリアルキレングリコール、(5)ポリプロピレンカーボネート、ポリブチレンカーボネート、ポリヘキサンカーボネート、ポリオクタンカーボネート、ポリデカンカーボネートなどのポリアルキレンカーボネートグリコールおよびそれらのオリゴマー、(6)コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、グルタール酸、テレフタル酸などのジカルボン酸などが挙げられる。ここで、乳酸単位としては50モル%以上が必要であり、60モル%以上がより好ましい。他の成分としては、例えば芳香族ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオルガノシロキサン、ポリオレフィン、アクリル系樹脂等の生分解でない樹脂が30質量%以下含まれていてもよい。
ポリ乳酸としては、ポリL−乳酸、ポリD−乳酸、ポリD、L−乳酸またはこれらの混合物を用いることができる。これらのポリ乳酸においては、L−乳酸、D−乳酸の単位が90モル%以上であると融点がより高く、耐熱性の観点からより好適に用いることができる。
また、このポリ乳酸には、性能を損なわない程度に、ヒドロキシカルボン酸類、ラクトン類等のコモノマーとの共重合体を用いてもよい。共重合可能なヒドロキシカルボン酸類、ラクトン類モノマーとしては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、グリコリド、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
また、そのほかの脂肪族ポリエステルや脂肪族芳香族ポリエステルとのアロイ、ブロックおよび/またはランダム共重合体などであっても構わない。ここで用いられる脂肪族ポリエステルや脂肪族芳香族ポリエステルの構成モノマーとしては、(1)グリコール酸、乳酸、ヒドロキシブチルカルボン酸などのヒドロキシアルキルカルボン酸、(2)グリコリド、ラクチド、ブチロラクトン、カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン、(3)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどの脂肪族ジオール、(4)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレン/プロピレングリコール、ジヒドロキシエチルブタンなどのポリアルキレンエーテルのオリゴマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレンエーテルなどのポリアルキレングリコール、(5)ポリプロピレンカーボネート、ポリブチレンカーボネート、ポリヘキサンカーボネート、ポリオクタンカーボネート、ポリデカンカーボネートなどのポリアルキレンカーボネートグリコールおよびそれらのオリゴマー、(6)コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、グルタール酸、テレフタル酸などのジカルボン酸などが挙げられる。ここで、乳酸単位としては50モル%以上が必要であり、60モル%以上がより好ましい。他の成分としては、例えば芳香族ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオルガノシロキサン、ポリオレフィン、アクリル系樹脂等の生分解でない樹脂が30質量%以下含まれていてもよい。
本発明において、ポリ乳酸系樹脂(C)は、ポリ乳酸に架橋剤および/またはラジカル重合開始剤が配合されたものであることが好ましい。これらを配合することにより、樹脂の架橋度を高め、分岐度合いを調整することができ、発泡成形、インフレ成形、シート成形等の成形性に優れたものとなる。
架橋剤としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、多価(メタ)アクリレート、ジイソシアネート、多価イソシアネート、プロピオン酸カルシウム、多価カルボン酸、多価無水カルボン酸、多価アルコール、多価エポキシ化合物、金属アルコキシド、シランカップリング剤等が挙げられる。反応の安定性、生産性、操業時の安全性等を考慮すると、(メタ)アクリル酸エステル化合物が最も好ましい。
本発明で用いられる(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、ポリ乳酸との反応性が高くモノマーが残りにくく、毒性が比較的少なく、樹脂の着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物が好ましい。具体的な化合物としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートまたこれらのアルキレングリコール部が様々な長さのアルキレンの共重合体でもよく、さらにブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられる。
本発明で用いられる(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、ポリ乳酸との反応性が高くモノマーが残りにくく、毒性が比較的少なく、樹脂の着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物が好ましい。具体的な化合物としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートまたこれらのアルキレングリコール部が様々な長さのアルキレンの共重合体でもよく、さらにブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられる。
架橋剤の配合量は、ポリ乳酸100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、さらに0.01〜3質量部がより好ましく、もっとも好ましくは0.1〜1質量部である。0.01質量部未満では架橋度が不十分であり、5質量部を超える場合には架橋の度合いが強すぎて、操業性に支障が出るため好ましくない。
ラジカル重合開始剤としては、分散性が良好な有機過酸化物が好ましく、具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の配合量は、ポリ乳酸100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、さらに0.1〜5質量部がより好ましく、もっとも好ましくは0.15〜3質量部である。0.01質量部未満では架橋度が不十分であり、10質量部を超える場合には反応性が飽和するため、コスト面で好ましくない。
本発明において、アロイ樹脂(B)は、ポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)とからなる。そして、ポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)とを混合してなる海島状態のアロイ樹脂(B)は、成形体(A)上にラミネートやコートされる。ポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)とを混合して海島状態を作ることで、基材のポリ乳酸系成形体(A)への接着性が増すと考えられる。
本発明において、アロイ樹脂(B)に含まれるエチレンビニルアルコール共重合体(D)は、エチレン−ビニルエステル共重合体鹸化物であり、そのエチレン含量は10〜80モル%であることが好ましく、20〜70モル%であることがより好ましい。エチレン含量が10モル%未満では溶融成形性が悪く、一方80モル%を超えると、ガスバリア性が不足するとともにポリ乳酸との親和性が低下し成形体本体と接着しなくなる。また、エチレンビニルアルコール共重合体(D)の鹸化度は80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。鹸化度が80%未満では、ガスバリア性および熱安定性が悪くなる。
本発明において、エチレン−ビニルエステル共重合体(D)製造時に用いるビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的であるが、その他の脂肪酸ビニルエステル(プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニルなど)も使用できる。また、エチレン−ビニルエステル共重合体にさらに共重合成分としてビニルシラン化合物、プロピレン、ブチレン、不飽和カルボン酸またはそのエステル{(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルピロリドン(N−ビニルピロリドンなど)}を共重合体することも出来るし、さらに、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、他の樹脂(ポリアミド、部分けん化エチレン−酢酸ビニル共重合体など)をブレンドすることも自由である。
また、本発明に用いるエチレン−ビニルエステル共重合体(D)の好適なメルトインデックス(MFI)(190℃、2160g荷重下で測定;ただし190℃で測定できない場合は外挿して求めた値)は0.1〜50g/10分、最適には0.5〜20g/10分である。
本発明において、アロイ樹脂(B)を構成する上記ポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)の質量比(C/D)は、30/70〜90/10であることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂(C)の比率が30質量%未満であると、成形体(A)との接着性が低下し、エチレンビニルアルコール共重合体(D)の比率が10質量%未満であると、得られる複層体や複層成形品のガスバリア性が低下する。
本発明において、ポリ乳酸系樹脂(C)および/またはアロイ樹脂(B)は、通常の分析で用いられるDSC装置を用い、いったんTm+30℃で溶融した後、Tc+20℃にて等温結晶化させた時の結晶化速度指数が50(分)以下であることが好ましい。結晶化速度指数は、樹脂をTm+30℃の溶融状態からTc+20℃にて結晶化させたときに最終的に到達する結晶化度の2分の1に到達するまでの時間(分)(図1参照)で示され、指数が小さいほど結晶化速度が速いことを意味する。結晶化速度指数が50(分)よりも高いと、結晶化するのに時間がかかりすぎ、希望する結晶化度の容器が得られなかったり、真空圧空成形や射出成形などでのサイクルタイムが長くなったりして、生産性が悪くなることがある。結晶化速度指数は好ましくは30〜0.01分、さらに好ましくは5〜0.05(分)である。結晶化速度が速すぎると結晶化により成形性が悪くなり、所定の形状の容器を得ることができないことがある。
本発明において、ポリ乳酸系樹脂(C)および/またはエチレンビニルアルコール共重合体(D)には、無機化合物や有機化合物の中で結晶化促進に効果のある化合物を加えてもよい。たとえば無機化合物としては、層状ケイ酸塩、タルク、酸化チタン、酸化ケイ素など、有機化合物としてはエルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドなどを挙げることが出来る。
また、ポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)との相溶性を向上させるために、相溶化剤を添加してもよい。相溶化剤としては、エポキシ基やカルボジイミド基、無水マレイン酸基など反応性官能基を有するもの、あるいは非極性基を有する化合物が好ましく、たとえば、市販品としては、ボンドファースト2C、ボンドファーストE、ボンダイン(以上、住友化学社製)、ARUFON UG4030(東亞合成社製)、モディパーA4200(日本油脂社製)、JoncrylADR4300、4368(以上、BASF社製)、スタバックゾールI、スタバックゾールP(以上、ラインヘミー社製)、カルボジライトHMV−8CA、LA−1(以上、日清紡社製)などを挙げることができる。
成形体(A)を構成するポリ乳酸系樹脂(C)および/または該成形体上にコートまたはラミネートするアロイ樹脂(B)には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、さらに顔料、香料、染料、艶消し剤、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、難燃剤、抗菌剤、界面活性剤、表面改質剤、帯電防止剤、充填材、末端封鎖剤等を添加することも可能である。熱安定剤や酸化防止剤としては、たとえばヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物あるいはこれらの混合物を使用することができる。無機充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。有機充填材としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品が挙げられる。末端封鎖剤としてはカルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
なお、ポリ乳酸系樹脂(C)に架橋剤、ラジカル重合開始剤、添加剤やエチレンビニルアルコール共重合体(D)などの他の熱可塑性樹脂を混合する方法は特に限定されるものではなく、通常の加熱溶融後、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ブラベンダー等を用いる混練法によって混練するとよい。また、スタティックミキサーやダイナミックミキサーを併用することも効果的である。また、ポリ乳酸を作製する重合時に加えてもよい。
本発明の複層体は、成形体(A)上にアロイ樹脂(B)がコートまたはラミネートされてなるものである。複層体の形状としては、シート状やボトル状のものが挙げられる。また本発明においては、シート状の複層体を成形加工して複層成形品としてもよい。
本発明の複層体を作製する方法としては、一般的な複層方法を用いることができる。
まず、形状がシート状の複層体の作製方法としては、たとえば、(1)あらかじめシート状のポリ乳酸系成形体(A)を作製しておき、このシート上へ一般的な溶融押し出し機にて押し出したアロイ樹脂(B)を複層する方法(押出しラミネート法)、(2)2台の押し出し機を用意し、1台からはポリ乳酸系樹脂(C)を押し出してシートを作製し同時にもう1台からアロイ樹脂(B)を押し出す方法(共押出し法)などが挙げられる。あらかじめ作製するポリ乳酸系シートは、ソリッドでも発泡でもよく、その作製方法も公知の方法が適用できる。
まず、形状がシート状の複層体の作製方法としては、たとえば、(1)あらかじめシート状のポリ乳酸系成形体(A)を作製しておき、このシート上へ一般的な溶融押し出し機にて押し出したアロイ樹脂(B)を複層する方法(押出しラミネート法)、(2)2台の押し出し機を用意し、1台からはポリ乳酸系樹脂(C)を押し出してシートを作製し同時にもう1台からアロイ樹脂(B)を押し出す方法(共押出し法)などが挙げられる。あらかじめ作製するポリ乳酸系シートは、ソリッドでも発泡でもよく、その作製方法も公知の方法が適用できる。
上記の方法で作製されたシート状の複層体に成形加工を施すことによって、たとえば容器形状の複層成形品を作製することができる。
容器の形状は特に限定されないが、食品、物品、および薬品等を収容するためには深さ2mm以上に絞られていることが好ましく、容器の絞り比が0.1〜5、さらに0.5〜3であることがより好ましい。容器の絞り比とは、容器断面積の概算直径(d)と容器深さ(l)との比(l/d)をいう。
また、必要強力から考えて容器の厚さは0.5mm以上、さらに1.0〜5.0mmがより好ましい。厚さが5.0mmを超えると容器がかさばったり、重くなったりするだけでなく、成形性も悪くなる。
複層体の成形加工方法としては、特に限定されるものではなく、真空成形、圧空成形、および真空・圧空成形等の絞り成形を採用できる。
容器の形状は特に限定されないが、食品、物品、および薬品等を収容するためには深さ2mm以上に絞られていることが好ましく、容器の絞り比が0.1〜5、さらに0.5〜3であることがより好ましい。容器の絞り比とは、容器断面積の概算直径(d)と容器深さ(l)との比(l/d)をいう。
また、必要強力から考えて容器の厚さは0.5mm以上、さらに1.0〜5.0mmがより好ましい。厚さが5.0mmを超えると容器がかさばったり、重くなったりするだけでなく、成形性も悪くなる。
複層体の成形加工方法としては、特に限定されるものではなく、真空成形、圧空成形、および真空・圧空成形等の絞り成形を採用できる。
作製した複層体は熱処理することで、耐熱性を上げることができる。熱処理は平面状でもよいし、金型を用いて希望の形に絞り成形するときに、同時に行ってもよい。熱処理時の温度条件は、まず、複層体を、使用したシートの主成分のポリ乳酸樹脂のガラス転移温度(Tg)+20℃以上、融点(Tm)−20℃以下で所定時間保った後で、Tg以下に冷却することにより実現できる。樹脂の結晶化をより促進させるためには、使用する装置の金型などを、結晶化温度(Tc)−20℃以上、(Tc+20℃)以下の温度範囲にすることがより好ましい。
また、成形直前の複層体を(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)、より好ましくは(Tc−20℃)〜(Tc+20℃)で予め所定時間熱処理する、あるいは成形後のシートや容器を(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)、より好ましくは(Tc−20℃)〜(Tc+20℃)で所定時間熱セットすることでも実現できる。
熱処理時の温度が(Tg+20℃)未満では、得られるものの結晶化度を十分に高めることができず、耐熱性に劣るものとなり、またガスバリア性も不十分となりやすい。一方、(Tm−20℃)を超えると、偏肉が生じたり、配向がくずれたりする場合がある。
また、成形直前の複層体を(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)、より好ましくは(Tc−20℃)〜(Tc+20℃)で予め所定時間熱処理する、あるいは成形後のシートや容器を(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)、より好ましくは(Tc−20℃)〜(Tc+20℃)で所定時間熱セットすることでも実現できる。
熱処理時の温度が(Tg+20℃)未満では、得られるものの結晶化度を十分に高めることができず、耐熱性に劣るものとなり、またガスバリア性も不十分となりやすい。一方、(Tm−20℃)を超えると、偏肉が生じたり、配向がくずれたりする場合がある。
また、形状がボトル状の複層体の作製方法としては、ダイレクトブロー成形法、インジェクションブロー成形法、二色成形射出成形法などを用いることができる。複層にするためには、ボトルを作製する途中、もしくは作製後にエチレンビニルアルコール共重合体とポリ乳酸系樹脂とのアロイ樹脂をコートする方法や、押し出し時に複層で押し出してボトル状に成形する方法(共押出し法)などが挙げられる。
ボトル作製時に、最終金型の温度を結晶化温度(Tc)−20℃以上、(Tc+20℃)以下の温度範囲にすると結晶化が進んで耐熱性が向上するので好ましい。あるいは、成形後に、ボトルを(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)、より好ましくは(Tc−20℃)〜(Tc+20℃)で所定時間熱セットしても耐熱性が向上するので好ましい。
ボトル作製時に、最終金型の温度を結晶化温度(Tc)−20℃以上、(Tc+20℃)以下の温度範囲にすると結晶化が進んで耐熱性が向上するので好ましい。あるいは、成形後に、ボトルを(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)、より好ましくは(Tc−20℃)〜(Tc+20℃)で所定時間熱セットしても耐熱性が向上するので好ましい。
(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)の温度で保持する時間は、使用する生分解性樹脂の結晶化速度指数に依存するため、一概に規定できないが、前述の範囲の所定の温度にきっちり制御された金型内で、少なくとも3秒、好ましくは5秒、さらに好ましくは10秒以上にすることが好ましい。3秒よりも短い場合、結晶化度を十分に高めることができない。
本発明の複層体や複層成形品は、上記熱処理により、X線回折法により測定したPLA部分の結晶化指数を15%以上とすることができる。なお、本発明において、結晶化指数は以下の方法により求めた。
成形片の表面についてRAD−rBX線回折装置(理学電機工業社製)を用い、WAXD反射法(X線:Cu−Kα線/50kV/20mA、スキャンスピード:2°/min)により広角X線回折測定を行った。測定により得られたプロファイルについて、2θ=3°〜40°の範囲で多重ピーク分離法によりピークを分離し、2θ=16.5°付近のPLAの結晶(200)および(011)のピーク面積Sc、および非晶のハローのピーク面積Saを求めた。結晶化指数はSc/(Sc+Sa)X100(%)として算出した。
成形片の表面についてRAD−rBX線回折装置(理学電機工業社製)を用い、WAXD反射法(X線:Cu−Kα線/50kV/20mA、スキャンスピード:2°/min)により広角X線回折測定を行った。測定により得られたプロファイルについて、2θ=3°〜40°の範囲で多重ピーク分離法によりピークを分離し、2θ=16.5°付近のPLAの結晶(200)および(011)のピーク面積Sc、および非晶のハローのピーク面積Saを求めた。結晶化指数はSc/(Sc+Sa)X100(%)として算出した。
本発明の複層体や複層成形品は、ポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)とからなりアロイ樹脂(B)をコートまたはラミネートされているので、水蒸気透過度を70g/日/m2以下とすることができる。水蒸気透過度を70g/日/m2を超えると、容器の内容物が酸化されたり、湿気を帯びたりすることがある。
本発明の複層体や複層成形品は、軽量性、保温性の観点から、気泡を含有していてもよい。特に複層体がシート状の場合は、発泡シートを成形体(A)として好適に用いることができる。この場合、発泡シートの発泡倍率としては1.1倍〜100倍であることが好ましい。発泡倍率が低い場合は、薄肉でも強度が得られやすく、発泡倍率が4倍以上になると保温性、振動吸収性などに優れるものとなる。ただし、100倍を超える場合は、機械強度が不足することがある。
発泡シートの気泡の形態は、特に限定されるものではないが、容器として使用する場合は、容器から内容物が染み出したり、もれたりするのを防ぐために、独立気泡であることが好ましい。また、気泡径としては、0.001〜5mm、さらに0.01〜5mmであることがより好ましい。0.001mm未満では、軽量性が劣ることになり、5mmを超えると強度が不足したり、品位が損なわれたりする場合がある。
ポリ乳酸系シートに気泡を含有させるためには、一般的な発泡剤を使用することができる。発泡剤の種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、炭酸ガス、窒素、空気等の無機不活性ガス系、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、4,4′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド等の化学熱分解型発泡剤や、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、代替フロン等の蒸発型発泡剤等が挙げられる。
また、発泡剤とともに、発泡核剤や発泡助剤を添加するのが好ましい。発泡核剤は発泡核を形成し、その核から発泡を成長させるために有効であり、また発泡助剤は発泡を均一に分散するために有効である。
発泡核剤としては、通常、タルク、シリカ微粉末、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム等のほか、化学熱分解型発泡剤も挙げられる。また、発泡助剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等が挙げられる。
発泡核剤としては、通常、タルク、シリカ微粉末、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム等のほか、化学熱分解型発泡剤も挙げられる。また、発泡助剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等が挙げられる。
上記のようにして作製した発泡シートは、これにアロイ樹脂(B)をコートまたはラミネートして複層体を作製し、次いで容器などの複層成形品に成形加工することができる。
本発明の複層体や複層成形品の用途としては、食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、およびプレススルーパック容器、各種製袋等が挙げられる。食品用容器の具体例としては、生鮮食品のトレー、インスタント食品容器、ファーストフード容器、弁当箱等が挙げられる。農業・園芸用容器の具体例としては、育苗ポット等が挙げられる。また、ブリスターパック容器の具体例としては、食品以外にも事務用品、玩具、乾電池等の多様な商品群の包装容器が挙げられる。また、本発明における容器として、流動体用容器が挙げられる。流動体用容器の具体例としては、乳製品や清涼飲料水および酒類等の飲料用コップおよび飲料用ボトル、醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、食用油等の調味料の一時保存容器、シャンプー・リンス等の容器、化粧品用容器、農薬用容器等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
実施例および比較例の評価に用いた測定法は次のとおりである。
(1)ガラス転移温度、融点(℃):
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、昇温速度20℃/分で測定した融解吸収曲線の初期極値と最大値を与える温度をガラス転移温度(Tg)と融点(Tm)とした。
(2)結晶化温度(℃):
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、生分解性樹脂を昇温速度20℃/分でTm+30℃まで昇温した後、降温速度20℃/分で−50℃まで降温した際の融解吸収曲線の初期極値を与える温度を結晶化温度(Tc)とした。
(3)分子量:
示差屈折率検知器を備えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(島津製作所製)を用い、テトラヒドロフランを溶出液として40℃で分析を行い、標準ポリスチレン換算で分子量を求めた。なお、サンプルは少量のクロロホルムに溶解後、テトラヒドロフランを加えた溶液で注入した。
(4)MFI:
JIS K7210のD法に基づき測定した。但し、荷重が2.16kgにて測定した。温度は190℃である。
(5)見掛け密度(g/cm3):
得られた発泡体を水中に浸漬した際に増加する体積で、発泡体の質量を割って見掛け密度を算出した。
(6)発泡倍率(倍):
発泡体を構成する樹脂の真密度を前記発泡体の見掛け密度で割って算出した。
(7)結晶化指数(%):
成形片の表面についてRAD−rBX線回折装置(理学電機工業社製)を用い、WAXD反射法(X線:Cu−Kα線/50kV/20mA、スキャンスピード:2°/min)により広角X線回折測定を行った。測定により得られたプロファイルについて、2θ=3°〜40°の範囲で多重ピーク分離法によりピークを分離し、2θ=16.5°付近のPLAの結晶(200)および(011)のピーク面積Sc、および非晶のハローのピーク面積Saを求めた。結晶化指数はSc/(Sc+Sa)X100(%)として算出した。なお、測定はポリ乳酸成形体側を測定した。ポリ乳酸成形体がアロイ樹脂で両面が覆われている場合は、アロイ樹脂を除去してポリ乳酸成形体部分を測定した。
(8)水蒸気透過度(g/日/m2):
サンプルのうち平らな面を切り出し、モコン社製の透湿度測定器(PERMATRAN−W3/31MW)を用いて、40℃×95%RHにおいて水蒸気透過度を測定した。厚み換算はしていない。
水蒸気透過度は値が低いほど水蒸気バリア性能が良好であることを示している。
(9)耐熱性:
容器に水10mlを入れ、500Wの電子レンジで2分間温め、温めた後の容器の状態を目視観察した。
◎:全く変化なし
○:表面が若干肌荒れ(波うち)しているものの、変形していない。
△:表面が肌荒れ(波うち)しており、変形している。
×:ほとんどもとの形状を維持していない。
(1)ガラス転移温度、融点(℃):
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、昇温速度20℃/分で測定した融解吸収曲線の初期極値と最大値を与える温度をガラス転移温度(Tg)と融点(Tm)とした。
(2)結晶化温度(℃):
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、生分解性樹脂を昇温速度20℃/分でTm+30℃まで昇温した後、降温速度20℃/分で−50℃まで降温した際の融解吸収曲線の初期極値を与える温度を結晶化温度(Tc)とした。
(3)分子量:
示差屈折率検知器を備えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(島津製作所製)を用い、テトラヒドロフランを溶出液として40℃で分析を行い、標準ポリスチレン換算で分子量を求めた。なお、サンプルは少量のクロロホルムに溶解後、テトラヒドロフランを加えた溶液で注入した。
(4)MFI:
JIS K7210のD法に基づき測定した。但し、荷重が2.16kgにて測定した。温度は190℃である。
(5)見掛け密度(g/cm3):
得られた発泡体を水中に浸漬した際に増加する体積で、発泡体の質量を割って見掛け密度を算出した。
(6)発泡倍率(倍):
発泡体を構成する樹脂の真密度を前記発泡体の見掛け密度で割って算出した。
(7)結晶化指数(%):
成形片の表面についてRAD−rBX線回折装置(理学電機工業社製)を用い、WAXD反射法(X線:Cu−Kα線/50kV/20mA、スキャンスピード:2°/min)により広角X線回折測定を行った。測定により得られたプロファイルについて、2θ=3°〜40°の範囲で多重ピーク分離法によりピークを分離し、2θ=16.5°付近のPLAの結晶(200)および(011)のピーク面積Sc、および非晶のハローのピーク面積Saを求めた。結晶化指数はSc/(Sc+Sa)X100(%)として算出した。なお、測定はポリ乳酸成形体側を測定した。ポリ乳酸成形体がアロイ樹脂で両面が覆われている場合は、アロイ樹脂を除去してポリ乳酸成形体部分を測定した。
(8)水蒸気透過度(g/日/m2):
サンプルのうち平らな面を切り出し、モコン社製の透湿度測定器(PERMATRAN−W3/31MW)を用いて、40℃×95%RHにおいて水蒸気透過度を測定した。厚み換算はしていない。
水蒸気透過度は値が低いほど水蒸気バリア性能が良好であることを示している。
(9)耐熱性:
容器に水10mlを入れ、500Wの電子レンジで2分間温め、温めた後の容器の状態を目視観察した。
◎:全く変化なし
○:表面が若干肌荒れ(波うち)しているものの、変形していない。
△:表面が肌荒れ(波うち)しており、変形している。
×:ほとんどもとの形状を維持していない。
(1)ポリ乳酸系樹脂(C)
・ポリ乳酸系樹脂(C1)
ポリL−乳酸樹脂(ネイチャーワークス社製4032D、ガラス転移温度60℃、融点168℃、結晶化温度108℃、重量平均分子量17万、MFI3.5g/10分、結晶化速度指数120(分))
・ポリ乳酸系樹脂(C2)
ポリL−乳酸樹脂(ネイチャーワークス社製6201D、ガラス転移温度60℃、融点168℃、重量平均分子量13万)に、平均粒径2.5μmのタルクを2.0質量%ドライブレンドしたのち、温度200℃の二軸混練機(池貝製PCM−30)に供給した。一方、エチレングリコールジメタクリレートとジブチルパーオキサイド(混合溶液質量比率1:2)を用い、樹脂成分100質量部に対し、それぞれ0.15質量部、0.30質量部になるよう二軸混練機の途中より注入混練して、ポリ乳酸系樹脂(C2)ペレットを採取した。このペレットを乾燥した後の、MFIは1.5g/10分、結晶化速度指数は1.5(分)、結晶化温度は115℃であった。
・ポリ乳酸系樹脂(C3)
ポリL−乳酸樹脂(ネイチャーワークス社製6201D、ガラス転移温度60℃、融点168℃、重量平均分子量13万)を、温度200℃の二軸混練機(池貝製PCM−30)に供給した。一方、エチレングリコールジメタクリレートとジブチルパーオキサイド(混合溶液質量比率1:2)を用い、樹脂成分100質量部に対し、それぞれ0.15質量部、0.30質量部になるよう二軸混練機の途中より注入混練して、ポリ乳酸系樹脂(C3)ペレットを得た。このペレットを乾燥した後の、MFIは1.6g/10分、結晶化速度指数は1.7(分)、結晶化温度は114℃であった。
・ポリ乳酸系樹脂(C1)
ポリL−乳酸樹脂(ネイチャーワークス社製4032D、ガラス転移温度60℃、融点168℃、結晶化温度108℃、重量平均分子量17万、MFI3.5g/10分、結晶化速度指数120(分))
・ポリ乳酸系樹脂(C2)
ポリL−乳酸樹脂(ネイチャーワークス社製6201D、ガラス転移温度60℃、融点168℃、重量平均分子量13万)に、平均粒径2.5μmのタルクを2.0質量%ドライブレンドしたのち、温度200℃の二軸混練機(池貝製PCM−30)に供給した。一方、エチレングリコールジメタクリレートとジブチルパーオキサイド(混合溶液質量比率1:2)を用い、樹脂成分100質量部に対し、それぞれ0.15質量部、0.30質量部になるよう二軸混練機の途中より注入混練して、ポリ乳酸系樹脂(C2)ペレットを採取した。このペレットを乾燥した後の、MFIは1.5g/10分、結晶化速度指数は1.5(分)、結晶化温度は115℃であった。
・ポリ乳酸系樹脂(C3)
ポリL−乳酸樹脂(ネイチャーワークス社製6201D、ガラス転移温度60℃、融点168℃、重量平均分子量13万)を、温度200℃の二軸混練機(池貝製PCM−30)に供給した。一方、エチレングリコールジメタクリレートとジブチルパーオキサイド(混合溶液質量比率1:2)を用い、樹脂成分100質量部に対し、それぞれ0.15質量部、0.30質量部になるよう二軸混練機の途中より注入混練して、ポリ乳酸系樹脂(C3)ペレットを得た。このペレットを乾燥した後の、MFIは1.6g/10分、結晶化速度指数は1.7(分)、結晶化温度は114℃であった。
(2)エチレンビニルアルコール共重合体(D)
・D1:日本合成化学社製、ソアノールDT2904RB
・D1:日本合成化学社製、ソアノールDT2904RB
(3)アロイ樹脂(B)
・アロイ樹脂(B1)
ポリ乳酸系樹脂(C1)と、エチレンビニルアルコール共重合体(D1)を70/30質量部の比にて、温度200℃の二軸混練機(池貝製PCM−30)に供給して混練しアロイ樹脂(B1)を作製し、得られたペレットを乾燥した。
・アロイ樹脂(B2)
ポリ乳酸系樹脂(C2)と、エチレンビニルアルコール共重合体(D1)を70/30質量部の比にて、温度200℃の二軸混練機(池貝製PCM−30)に供給して混練しアロイ樹脂(B2)を作製し、得られたペレットを乾燥した。
・アロイ樹脂(B3)、(B4)、(B5)
ポリ乳酸系樹脂(C2)と、エチレンビニルアルコール共重合体(D1)との質量比を90/10、50/50、30/70として前記アロイ樹脂(B2)と同様にして、アロイ樹脂(B3)、(B4)、(B5)を作製し、得られたペレットを乾燥した。
・アロイ樹脂(B6)溶液
ポリ乳酸系樹脂(C3)ペレットを塩化メチレンに10質量%の濃度で溶解した。エチレンビニルアルコール共重合体(D1)を、イソプロピルアルコール/水=50/50の溶媒に50℃にて、10質量%となるよう溶解し、50℃のまま前記(C3)の溶液と70/30質量部の比にて混合して、アロイ樹脂(B6)溶液を調製した。
・アロイ樹脂(B7)
ポリ乳酸系樹脂(C2)と、エチレンビニルアルコール共重合体(D1)と、相溶化剤のモディパーA4200(日本油脂製)とを、70/30/5質量部の比にて、温度200℃の二軸混練機(池貝製PCM−30)に供給して混練しアロイ樹脂(B7)を作製し、得られたペレットを乾燥した。
・アロイ樹脂(B1)
ポリ乳酸系樹脂(C1)と、エチレンビニルアルコール共重合体(D1)を70/30質量部の比にて、温度200℃の二軸混練機(池貝製PCM−30)に供給して混練しアロイ樹脂(B1)を作製し、得られたペレットを乾燥した。
・アロイ樹脂(B2)
ポリ乳酸系樹脂(C2)と、エチレンビニルアルコール共重合体(D1)を70/30質量部の比にて、温度200℃の二軸混練機(池貝製PCM−30)に供給して混練しアロイ樹脂(B2)を作製し、得られたペレットを乾燥した。
・アロイ樹脂(B3)、(B4)、(B5)
ポリ乳酸系樹脂(C2)と、エチレンビニルアルコール共重合体(D1)との質量比を90/10、50/50、30/70として前記アロイ樹脂(B2)と同様にして、アロイ樹脂(B3)、(B4)、(B5)を作製し、得られたペレットを乾燥した。
・アロイ樹脂(B6)溶液
ポリ乳酸系樹脂(C3)ペレットを塩化メチレンに10質量%の濃度で溶解した。エチレンビニルアルコール共重合体(D1)を、イソプロピルアルコール/水=50/50の溶媒に50℃にて、10質量%となるよう溶解し、50℃のまま前記(C3)の溶液と70/30質量部の比にて混合して、アロイ樹脂(B6)溶液を調製した。
・アロイ樹脂(B7)
ポリ乳酸系樹脂(C2)と、エチレンビニルアルコール共重合体(D1)と、相溶化剤のモディパーA4200(日本油脂製)とを、70/30/5質量部の比にて、温度200℃の二軸混練機(池貝製PCM−30)に供給して混練しアロイ樹脂(B7)を作製し、得られたペレットを乾燥した。
(4)成形体(A)
・成形体(A1)
ポリ乳酸系樹脂(C1)を用い、Tダイを備えた一軸押し出し機に投入した(温度は200℃)。Tダイから樹脂を押し出し、厚さ300μmの透明なシート(成形体(A1))を作製した。
・成形体(A2)
ポリ乳酸系樹脂(C2)を用い、成形体(A1)と同様にTダイから押し出し、厚さ300μmの半透明のシート(成形体(A2))を作製した。
・成形体(A3)
ポリ乳酸系樹脂(C2)を、二軸混練押出発泡体製造装置(東芝機械製TEM−48BS)に供給して、温度200℃で溶融し、吐出量100kg/h下で炭酸ガス1.5質量%添加して発泡体シート(成形体(A3))を作製した。得られた発泡体シートは、独立気泡からなる見掛け密度0.23g/cm3、発泡倍率5.5倍、幅640mmで厚みが1.5mmの均一な発泡シートであった。
・成形体(A4)
成形体(A3)の製造において、発泡ガスを炭酸ガスからブタンに変え、濃度を3質量%とした以外は同様に操作を行い、独立気泡からなる見掛け密度0.12g/cm3、発泡倍率10.5倍、幅640mmで厚みが1.2mmの均一な発泡シート(成形体(A4))を得た。
・成形体(A5)
射出ブロー成形機(日精ASB機械社製ASB−50TH)を用い、シリンダ設定温度200℃でポリ乳酸系樹脂(C2)を溶融して金型に充填し、10秒間冷却して5mm厚の予備成形体(有底パリソン)を得た。これを100℃に設定した金型に入れ、圧力空気3.5MPaの条件下で300秒ブロー成形し、内容積200ml、厚み1.0mmのボトル(成形体(A5))を作製した。
・成形体(A1)
ポリ乳酸系樹脂(C1)を用い、Tダイを備えた一軸押し出し機に投入した(温度は200℃)。Tダイから樹脂を押し出し、厚さ300μmの透明なシート(成形体(A1))を作製した。
・成形体(A2)
ポリ乳酸系樹脂(C2)を用い、成形体(A1)と同様にTダイから押し出し、厚さ300μmの半透明のシート(成形体(A2))を作製した。
・成形体(A3)
ポリ乳酸系樹脂(C2)を、二軸混練押出発泡体製造装置(東芝機械製TEM−48BS)に供給して、温度200℃で溶融し、吐出量100kg/h下で炭酸ガス1.5質量%添加して発泡体シート(成形体(A3))を作製した。得られた発泡体シートは、独立気泡からなる見掛け密度0.23g/cm3、発泡倍率5.5倍、幅640mmで厚みが1.5mmの均一な発泡シートであった。
・成形体(A4)
成形体(A3)の製造において、発泡ガスを炭酸ガスからブタンに変え、濃度を3質量%とした以外は同様に操作を行い、独立気泡からなる見掛け密度0.12g/cm3、発泡倍率10.5倍、幅640mmで厚みが1.2mmの均一な発泡シート(成形体(A4))を得た。
・成形体(A5)
射出ブロー成形機(日精ASB機械社製ASB−50TH)を用い、シリンダ設定温度200℃でポリ乳酸系樹脂(C2)を溶融して金型に充填し、10秒間冷却して5mm厚の予備成形体(有底パリソン)を得た。これを100℃に設定した金型に入れ、圧力空気3.5MPaの条件下で300秒ブロー成形し、内容積200ml、厚み1.0mmのボトル(成形体(A5))を作製した。
実施例1
アロイ樹脂(B1)ペレットを、Tダイを備えた一軸押し出し機より押し出し(樹脂温度210℃)、成形体(A1)シート上に、厚さ100μmになるようラミネートして、シート状の複層体を得た。
得られた複層体シートを、真空・圧空成形機(浅野研究所製)を用いて、容器を成形する金型(容器の絞り比(l/d)=0.5)で表1に示す条件で容器を作製し、性能を測定した。その結果を表1に示した。
アロイ樹脂(B1)ペレットを、Tダイを備えた一軸押し出し機より押し出し(樹脂温度210℃)、成形体(A1)シート上に、厚さ100μmになるようラミネートして、シート状の複層体を得た。
得られた複層体シートを、真空・圧空成形機(浅野研究所製)を用いて、容器を成形する金型(容器の絞り比(l/d)=0.5)で表1に示す条件で容器を作製し、性能を測定した。その結果を表1に示した。
実施例2〜7
成形体(A)とアロイ樹脂(B)の種類を表1のように変化させて、実施例1と同様にして容器を作製した。結果を表1にまとめた。
成形体(A)とアロイ樹脂(B)の種類を表1のように変化させて、実施例1と同様にして容器を作製した。結果を表1にまとめた。
実施例8
調製後の温度が高いままのアロイ樹脂(B6)溶液を、ボトル形状の成形体(A5)上にコートした。コート厚さは約30μmであり、室温で乾燥した。乾燥後100℃のオーブンで5分間保持し、溶媒の完全除去と熱処理とを同時に行った。混合液はやや白濁状態であるが、コートするのに特に支障はなかった。得られた容器の性能を測定し、その結果を表1に示した。
調製後の温度が高いままのアロイ樹脂(B6)溶液を、ボトル形状の成形体(A5)上にコートした。コート厚さは約30μmであり、室温で乾燥した。乾燥後100℃のオーブンで5分間保持し、溶媒の完全除去と熱処理とを同時に行った。混合液はやや白濁状態であるが、コートするのに特に支障はなかった。得られた容器の性能を測定し、その結果を表1に示した。
実施例9
実施例8と同様に、アロイ樹脂(B6)溶液を、コーターを用いて発泡シート(成形体(A4))にコートし、乾燥した。次いで得られた複層体シートを、実施例1と同様にして容器に成形し、性能を測定した。その結果を表1に示した。
実施例8と同様に、アロイ樹脂(B6)溶液を、コーターを用いて発泡シート(成形体(A4))にコートし、乾燥した。次いで得られた複層体シートを、実施例1と同様にして容器に成形し、性能を測定した。その結果を表1に示した。
実施例10
射出ブロー成形機(日精ASB機械社製ASB−50TH)を用い、エクストルーダーを2台稼働させ、第一のエクストルーダーには、シリンダ設定温度200℃で、ポリ乳酸系樹脂(C2)を溶融して金型に充填し、第二のエクストルーダーには、シリンダ設定温度200℃で、アロイ樹脂(B2)を溶融して金型に充填し、共押し出しにより予備成形体(有底パリソン、10秒間冷却、5mm厚)を得た。
これを100℃に設定した金型に入れ、圧力空気3.5MPaの条件下でブロー成形し、内容積200ml、厚み1.0mmのボトル形状の複層体を作製し、性能を測定した。結果は表1に示した。
射出ブロー成形機(日精ASB機械社製ASB−50TH)を用い、エクストルーダーを2台稼働させ、第一のエクストルーダーには、シリンダ設定温度200℃で、ポリ乳酸系樹脂(C2)を溶融して金型に充填し、第二のエクストルーダーには、シリンダ設定温度200℃で、アロイ樹脂(B2)を溶融して金型に充填し、共押し出しにより予備成形体(有底パリソン、10秒間冷却、5mm厚)を得た。
これを100℃に設定した金型に入れ、圧力空気3.5MPaの条件下でブロー成形し、内容積200ml、厚み1.0mmのボトル形状の複層体を作製し、性能を測定した。結果は表1に示した。
実施例11
アロイ樹脂(B7)ペレットを、Tダイを備えた一軸押し出し機より押し出し(樹脂温度210℃)、シート(成形体(A2))上に、厚さ100μmになるようラミネートして、シート状の複層体を得た。
この複層体シートを、実施例と同様にして容器に成形し、性能を測定した。その結果を表1に示した。
アロイ樹脂(B7)ペレットを、Tダイを備えた一軸押し出し機より押し出し(樹脂温度210℃)、シート(成形体(A2))上に、厚さ100μmになるようラミネートして、シート状の複層体を得た。
この複層体シートを、実施例と同様にして容器に成形し、性能を測定した。その結果を表1に示した。
比較例1
実施例1におけるアロイ樹脂の押し出しラミネートを行わずに、成形体(A1)シートをそのまま実施例1と同様にして容器に成形し、性能を測定した。その結果を表1に示す。
実施例1におけるアロイ樹脂の押し出しラミネートを行わずに、成形体(A1)シートをそのまま実施例1と同様にして容器に成形し、性能を測定した。その結果を表1に示す。
比較例2〜3
実施例3、4におけるアロイ樹脂の押し出しラミネートを行わずに、成形体(A3)、成形体(A4)シートを、それぞれ、そのまま実施例3および4と同様にして容器に成形し、性能を測定した。その結果を表1に示す。
実施例3、4におけるアロイ樹脂の押し出しラミネートを行わずに、成形体(A3)、成形体(A4)シートを、それぞれ、そのまま実施例3および4と同様にして容器に成形し、性能を測定した。その結果を表1に示す。
比較例4
実施例8におけるアロイ樹脂溶液のコートを行わずに、ボトル形状の成形体(A5)の性能を測定した。その結果を表1に示す。
実施例8におけるアロイ樹脂溶液のコートを行わずに、ボトル形状の成形体(A5)の性能を測定した。その結果を表1に示す。
比較例5〜6
Tダイから押し出してラミネートする樹脂が、エチレンビニルアルコール共重合体(D1)のみ、あるいは、ポリ乳酸系樹脂(C2)のみであること以外は実施例3と同様に複層体を作製後、容器に成形し、性能を測定した。結果を表1に示す。
Tダイから押し出してラミネートする樹脂が、エチレンビニルアルコール共重合体(D1)のみ、あるいは、ポリ乳酸系樹脂(C2)のみであること以外は実施例3と同様に複層体を作製後、容器に成形し、性能を測定した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように実施例で得られた複層成形体は、水蒸気透過度が低く、バリア性に優れており、耐熱性も良好なものであった。
比較例においては、アロイ樹脂が複層されていない場合は、バリア性が劣り、耐熱性も劣るものがあった。特にエチレンビニルアルコール共重合体のみを複層した場合は(比較例5)、発泡シートである成形体とまったく接着せず、複層体を作製することができず、バリア性能が測定できなかった。
比較例においては、アロイ樹脂が複層されていない場合は、バリア性が劣り、耐熱性も劣るものがあった。特にエチレンビニルアルコール共重合体のみを複層した場合は(比較例5)、発泡シートである成形体とまったく接着せず、複層体を作製することができず、バリア性能が測定できなかった。
Claims (6)
- 成形体(A)上にアロイ樹脂(B)がコートまたはラミネートされてなる複層体であって、成形体(A)がポリ乳酸系樹脂(C)からなり、アロイ樹脂(B)がポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)とからなることを特徴とするポリ乳酸系複層体。
- 成形体(A)および/またはアロイ樹脂(B)を構成するポリ乳酸系樹脂(C)が、ポリ乳酸100質量部と、(メタ)アクリル酸エステル化合物0.01〜5質量部とからなることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系複層体。
- アロイ樹脂(B)を構成するポリ乳酸系樹脂(C)とエチレンビニルアルコール共重合体(D)との質量比(C/D)が30/70〜90/10であることを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸系複層体。
- 形状がシート状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系複層体。
- 請求項4記載のポリ乳酸系複層体を成形加工してなるポリ乳酸系複層成形品。
- 形状がボトル状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系複層体。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007194560A JP2009028988A (ja) | 2007-07-26 | 2007-07-26 | ガスバリア性に優れたポリ乳酸系複層体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013522079A (ja) * | 2010-03-12 | 2013-06-13 | ストラ エンソ オーワイジェイ | ヒートシール性生分解性包装材料、その製造方法及びその材料から作製された製品包装 |
JP5783046B2 (ja) * | 2010-08-31 | 2015-09-24 | 東レ株式会社 | 合成繊維およびその製造方法 |
CN110181871A (zh) * | 2019-05-07 | 2019-08-30 | 广东瑞远新材料有限公司 | 一种环保可生物降解复合软管及其制备方法 |
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-
2007
- 2007-07-26 JP JP2007194560A patent/JP2009028988A/ja active Pending
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