JP2015101620A - ポリ乳酸系樹脂組成物、およびそれを用いた成形体、発泡体 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶融張力が高く、発泡成形において従来品よりも高い発泡倍率を得ることができるポリ乳酸系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)を開始剤として得られたポリ乳酸系樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)により架橋されてなり、以下の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
(i)(B)の数平均分子量が20000以上、ヒドロキシ基1個あたりの数平均分子量が200〜1500である。
(ii)ポリ乳酸系樹脂のポリ乳酸成分(A)100質量部に対して、(B)の含有量が1.0〜5.0質量部、(C)の含有量が0.1〜1.0質量部である。
【選択図】図1
【解決手段】ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)を開始剤として得られたポリ乳酸系樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)により架橋されてなり、以下の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
(i)(B)の数平均分子量が20000以上、ヒドロキシ基1個あたりの数平均分子量が200〜1500である。
(ii)ポリ乳酸系樹脂のポリ乳酸成分(A)100質量部に対して、(B)の含有量が1.0〜5.0質量部、(C)の含有量が0.1〜1.0質量部である。
【選択図】図1
Description
本発明は、ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれを用いた成形体、発泡体に関する。
近年、環境意識の高まりから、生分解性プラスチックが盛んに研究されている。中でも、生分解性を有する脂肪族ポリエステルの研究は実用化段階まで進捗している。しかしながら、生分解性を有する脂肪族ポリエステルは、汎用の樹脂に比べて、一般的に溶融粘度や溶融張力が低いため、自重で溶融樹脂が垂れ下がるといったドローダウンの問題や高い発泡倍率が得られないという問題がある。
これらの問題を解決するために、例えば、特許文献1〜4では、生分解性樹脂と酸無水物やポリイソシアネート等を溶融混練して架橋構造を導入した樹脂組成物、または、過酸化物の存在下で生分解性樹脂と反応性化合物を溶融混練して架橋構造を導入した樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、特許文献1〜4の樹脂組成物は、溶融張力が不十分で、高い発泡倍率を実現することができなった。
本発明は、上記課題を解決するものであって、溶融張力が高く、発泡成形において従来品よりも高い発泡倍率を得ることができるポリ乳酸系樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、開始剤として特定のヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーを用いてラクチドを重合させたポリ乳酸系樹脂と、(メタ)アクリル酸エステルと過酸化物を溶融混練することにより、発泡成形に適した溶融粘性を実現することができることを見出し、本発明に到達した。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)を開始剤として得られたポリ乳酸系樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)により架橋されてなり、以下の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
(i)(B)の数平均分子量が20000以上、ヒドロキシ基1個あたりの数平均分子量が200〜1500である。
(ii)ポリ乳酸系樹脂のポリ乳酸成分(A)100質量部に対して、(B)の含有量が1.0〜5.0質量部、(C)の含有量が0.1〜1.0質量部である。
(2)(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)が、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または、1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物であることを特徴とする(1)記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(3)190℃における溶融張力が30mN〜1Nであることを特徴とする(1)または(2)記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(4)降温時等温結晶化速度指数が20分以下であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(5)融点より10℃高い温度での伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度曲線において、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)として定義される歪み硬化係数が、1.3〜50であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(6)ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)が、(メタ)アクリル系モノマーを50モル%以上含有することを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(7)ポリ乳酸系樹脂のポリ乳酸成分(A)のD体含有量が、1.0モル%以下または99.0モル%以上であることを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(8)重合触媒存在下、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)を開始剤として、ラクチドを重合してポリ乳酸系樹脂を得る工程と、前記ポリ乳酸系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)および過酸化物(D)を溶融混練する工程を含むことを特徴とする(1)〜(7)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
(9)(1)〜(7)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物を用いてなる成形体。
(10)(1)〜(7)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物を用いてなる発泡体。
(1)ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)を開始剤として得られたポリ乳酸系樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)により架橋されてなり、以下の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
(i)(B)の数平均分子量が20000以上、ヒドロキシ基1個あたりの数平均分子量が200〜1500である。
(ii)ポリ乳酸系樹脂のポリ乳酸成分(A)100質量部に対して、(B)の含有量が1.0〜5.0質量部、(C)の含有量が0.1〜1.0質量部である。
(2)(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)が、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または、1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物であることを特徴とする(1)記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(3)190℃における溶融張力が30mN〜1Nであることを特徴とする(1)または(2)記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(4)降温時等温結晶化速度指数が20分以下であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(5)融点より10℃高い温度での伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度曲線において、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)として定義される歪み硬化係数が、1.3〜50であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(6)ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)が、(メタ)アクリル系モノマーを50モル%以上含有することを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(7)ポリ乳酸系樹脂のポリ乳酸成分(A)のD体含有量が、1.0モル%以下または99.0モル%以上であることを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
(8)重合触媒存在下、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)を開始剤として、ラクチドを重合してポリ乳酸系樹脂を得る工程と、前記ポリ乳酸系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)および過酸化物(D)を溶融混練する工程を含むことを特徴とする(1)〜(7)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
(9)(1)〜(7)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物を用いてなる成形体。
(10)(1)〜(7)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物を用いてなる発泡体。
本発明によれば、発泡成形に適した溶融張力を有するポリ乳酸系樹脂組成物を得ることができ、このポリ乳酸系樹脂組成物を用いれば、発泡倍率の高い発泡体を得ることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)を開始剤として得られたポリ乳酸系樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)により架橋されてなる。
ポリ乳酸系樹脂のポリ乳酸成分(A)は、ラクチドを重合したものから構成される。ラクチドは、L−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド、D−ラクチドとL−ラクチドの混合物であるDL−ラクチドのうち一種以上から選ばれる。
本発明のポリ乳酸系樹脂のD体含有量は、ポリ乳酸成分(A)100モル%に対して、1.0モル%以下または99.0モル%以上とすることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂のD体含有量を前記範囲とすることにより、融点が向上し、降温時等温結晶化速度指数を小さくすることができる。ひいては、耐熱性の高い発泡成形体を得ることができる。用いるラクチドのD体含有量は、得られるポリ乳酸系樹脂のD体含有量を前記範囲とすることができれば、特に限定されない。ポリ乳酸系樹脂と用いるラクチドのD体含有量は、重合中にラクチドがごく微量ラセミ化する場合があるため、若干値が異なる場合がある。ポリ乳酸系樹脂のD体含有量は、0.6モル%以下または99.4モル%以上とすることがより好ましい。
高分子量のポリ乳酸系樹脂を重合するためには、ラクチド中に含まれる遊離酸量は、30meq/kg以下とすることが好ましく、20meq/kg以下とすることがより好ましく、10meq/kg以下とすることがさらに好ましく、5meq/kg以下とすることが最も好ましい。遊離酸量を30meq/kg以下とすることにより、重合時の遊離酸によるポリマーの分解を抑制することができる。
本発明に用いるヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、(メタ)アクリル系モノマーを主成分として重合したポリマーであって、その構造中にヒドロキシ基を有するポリマーである。(メタ)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル基を有するモノマーである。(B)において、ヒドロキシ基は主鎖にあってもよいし、側鎖にあってもよく、それぞれの鎖中にあってもよいし、末端にあってもよい。(B)は、コポリマーとすることが好ましく、コポリマーの場合、(B)は、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーと、ヒドロキシ基を有しない(メタ)アクリル系モノマーから構成されていることが好ましい。(B)には、(メタ)アクリル系モノマー以外のモノマーを共重合していてもよい。ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマー、ヒドロキシ基を有しない(メタ)アクリル系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー以外のモノマーにおいて、(メタ)アクリル基やヒドロキシ基は、複数含まれていてもよい。また、(B)において、これらのモノマーは、ランダム、ブロック状、グラフト状いずれの状態で結合されていてもよい。(B)において、(メタ)アクリル系モノマーは、50モル%以上とすることが好ましい。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル2−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレートが挙げられる。中でも、汎用性や経済性といった点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
ヒドロキシ基を有しない(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシメチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノプロピルが挙げられる。中でも、汎用性や経済性といった点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
(メタ)アクリル系モノマー以外のモノマーとしては、例えば、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、2−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、アリルアセテート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−オクチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水マレイン酸、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピレン、イソブチレンが挙げられる。
上記の組み合わせの中でも、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)としては、汎用性や経済性といった点から、メチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体が好ましい。メチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体を用いる場合、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートのモル比率は、90/10〜40/60とすることが好ましく、90/10〜65/35とすることがより好ましい。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、原料モノマーに、ラジカル開始剤を添加して重合反応をおこなうことによって得ることができる。重合方法としては、例えば、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合、溶液重合が挙げられる。ラジカル開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。必要に応じてアミン類のような促進剤を併用してもよい。重合は、通常、使用するラジカル開始剤や重合反応の方式等によって、常温〜200℃程度の範囲で適宜設定され、必要に応じて多段階の温度条件で重合をおこなってもよい。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)の数平均分子量は、20000以上とすることが必要で、20000〜100000とすることが好ましく、25000〜90000とすることがさらに好ましい。数平均分子量が20000未満の場合、得られる樹脂の分岐鎖の広がりが不十分であるため、溶融張力が低すぎるものとなり、発泡倍率を高くすることができないので好ましくない。一方、重合度が100000を超えると、得られる樹脂の溶融粘度が高くなり、この結果、溶融張力が高すぎるものとなる場合がある。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)におけるヒドロキシ基1つあたりの数平均分子量は、200〜1500とすることが必要で、300〜1050とすることが好ましく、500〜1050とすることがより好ましい。200〜1500の範囲とすることにより、一分子の開始剤から伸長するポリ乳酸鎖の数が他の開始剤分子から伸長したポリ乳酸鎖と絡まるために、本発明のポリ乳酸系樹脂の溶融張力が高くなり、発泡適性に優れた樹脂を得ることができる。ヒドロキシ基1つあたりの数平均分子量が200未満の場合、得られるポリ乳酸系樹脂の分岐鎖の数が多すぎるため、分岐鎖が密集しすぎて分子鎖の絡み合いが少なく、溶融張力が低すぎるものとなり、発泡倍率を高くすることができないので好ましくない。また、これから重合して得られるポリ乳酸系樹脂を架橋処理したとしても、架橋による網目構造が密になりすぎるため溶融張力が低すぎるものとなり、発泡倍率を高くすることができないので好ましくない。一方、ヒドロキシ基1つあたりの数平均分子量が1500を超える場合、得られるポリ乳酸系樹脂中の分岐鎖の数が少なすぎるため、分子鎖の絡み合いが少なくなる。また、これから重合して得られるポリ乳酸系樹脂を架橋処理したとしても、溶融張力の向上効果が小さく、発泡倍率を高くすることができない。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、ラクチドとの相溶性が高いため、(B)を開始剤とした場合、ポリ乳酸の重合を均一に進行させやすい。そのため、得られるポリ乳酸系樹脂の発泡性能を安定して発現させることができる。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)としては、例えば、東亜合成社製のArufon UH−2000シリーズを用いることができる。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)中のヒドロキシ基は、ヒドロキシ基1つあたりの数平均分子量の値を調整するため、公知の方法により、ヒドロキシ基の一部を封鎖してもよい。例えば、酸無水物やエポキシ基を有する化合物と反応させることによりヒドロキシ基を封鎖することができる。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)の配合量は、ポリ乳酸成分(A)100質量部に対して、1.0〜5.0質量部とすることが必要であり、2.0〜4.0質量部とすることが好ましい。(B)の配合量が1.0質量部未満の場合、分岐鎖の分子量が高すぎ、得られる樹脂の溶融粘度が高くすぎるものとなるため好ましくない。このため、溶融加工時の装置への負荷が高く押出しが困難となり、操業性が低下したりコストが高くなったりする。また、分子鎖同士の絡み合いが多いため、溶融張力が高くなりすぎ、発泡倍率を高くすることができない。なお、これから重合して得られるポリ乳酸系樹脂を架橋処理しても、溶融張力がさらに高くなり、発泡倍率を高くすることができない。一方、(B)の配合量が5.0質量部よりも多い場合、分岐鎖が短すぎ、得られる樹脂の溶融粘度が低すぎるものとなるため好ましくない。また、分子鎖の絡み合いが少なくなるため、溶融張力が低くなりすぎ、発泡倍率を高くすることができない。なお、これから重合して得られるポリ乳酸系樹脂を架橋処理したとしても、溶融張力の向上効果が小さく、発泡倍率を高くすることができない。
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂は、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)を開始剤として重合触媒存在下ラクチドを溶融開環重合することにより作製することができる。また、必要に応じて、前記溶融開環重合の途中で低重合物を取り出し、これを固相重合してもよい。
溶融開環重合に用いる重合触媒としては、例えば、スズ、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、チタン、ゲルマニウム、マンガン、マグネシウム、稀土類元素を含有する化合物が挙げられ、中でも、触媒活性の高さ、副反応の少なさの点から、スズまたはアルミニウムを含有する化合物が好ましい。スズまたはアルミニウムを含有する化合物としては、例えば、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第二スズ、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、テトラフェニルスズ、スズメトキシド、スズエトキシド、スズプロポキシド、スズブトキシド、ジエトキシスズ、ジノニルオキシスズ、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトシキド、アルミニウム−イミン錯体が挙げられる。中でも、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、スズメトキシド、スズエトキシド、スズプロポキシド、スズブトキシド、ジエトキシスズ、ジノニルオキシスズが好ましく、触媒活性が高いことから、オクチル酸スズがさらに好ましい。重合触媒の添加量は、ラクチドとヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)の合計100質量部に対して、0.001〜1質量部とすることが好ましく、0.003〜0.1質量部とすることがより好ましく、0.003〜0.02質量部とすることがさらに好ましい。重合触媒の添加量を0.001〜1質量部とすることにより、適度な重合速度で、着色が少ない樹脂を得ることができる。
溶融開環重合の反応温度は、170〜230℃とすることが好ましく、170〜210℃とすることがより好ましく、180〜200℃とすることがさらに好ましい。反応温度を170〜230℃とすることにより、適当な重合速度で、着色が少ない樹脂を得ることができる。
溶融開環重合をおこなう反応容器としては、特に限定されないが、ヘリカルリボン翼、高粘度用攪拌翼等を備えた縦型反応器、横型反応器を、単独または並列して用いることができる。また、反応容器は、連続式、回分式、半回分式いずれでもよく、これらの組み合わせであってもよい。
溶融開環重合の際、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、重合温度よりも低い温度にて溶融させるか、ラクチドの溶融液に溶解させてから重合をおこなうことが好ましい。(B)を溶融させずに、あるいはラクチドに溶解させずに重合をおこなった場合、不均一な状態で重合することとなるため、重合反応を制御することが困難となる場合がある。
溶融開環重合の途中で低重合物を取り出し、これを固相重合する場合、低重合物は、融着防止の点から、低重合物のガラス転移温度以上融点未満の温度にて予め結晶化させておくことが好ましい。
固相重合の反応温度は、低重合物のガラス転移温度以上融点未満とすることが好ましい。反応温度は、重合の進行に伴い段階的に昇温させてもよい。
固相重合をおこなう反応容器としては、特に限定されないが、例えば、縦型反応器、横型反応容器、タンブラー、ロータリーキルンが挙げられる。
固相重合の際、固相重合中に生成する水を効率的に除去するため、減圧下または不活性ガス気流下でおこなってもよい。
得られたポリ乳酸系樹脂は、通常、ペレット、棒状等に加工して用いることができる。
溶融開環重合により得られたポリ乳酸系樹脂には、通常1質量%以上のラクチドが残留する。これらのラクチドは、公知のラクチド減量法により除去することができる。ラクチド減量法としては、例えば、一軸あるいは多軸押出機において真空脱揮する方法、反応容器内で真空脱揮する方法、アセトンで洗浄処理する方法が挙げられ、中でも、アセトンで洗浄処理する方法が好ましい。アセトンで洗浄処理することより、未反応ラクチドを抽出すると同時に、ポリ乳酸系樹脂の結晶化速度を向上させることができる。アセトンは比較的安価な溶媒でありコスト的に有利であり、また、ラクチドだけでなく、ポリ乳酸系樹脂中の低分子オリゴマーの抽出も可能である。
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)としては、ポリ乳酸系樹脂との反応性が高くモノマーが残りにくく、樹脂の着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または、1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物が好ましく、具体的には、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、またこれらのアルキレングリコール部が様々な長さのアルキレンに置換された共重合体でもよく、さらにブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)の配合量は、ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して、0.1〜1.0質量部とすることが必要で、0.05〜0.5質量部とすることが好ましい。(C)の配合量が0.1質量部未満の場合、架橋密度が低すぎて、発泡倍率を高くすることができないので好ましくない。一方、(C)の配合量が1.0質量部を超える場合、架橋密度が高すぎて、発泡倍率を高くすることができなかったり、操業性が悪くなったりするので好ましくない。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)を開始剤として得られたポリ乳酸系樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)により架橋されていることが必要である。架橋構造を有しない場合、発泡倍率を高くすることができないので好ましくない。架橋構造を有しているか否かは、例えば、該樹脂組成物を重クロロホルム中にて1H−NMR測定をおこない、ポリ乳酸成分(A)の中心炭素と結合した(C)のビニル基由来のピークが2.0〜2.5ppmに観測されるか否かにより判断することができる。なお、(A)の中心炭素とは、乳酸構造において、メチル基とカルボキシル基とヒドロキシ基が結合した炭素のことであり、(C)のビニル基由来のピークとは、ビニル基のうち、メチル基とカルボキシル基と結合していない炭素に結合した水素原子由来のピークのことである。未反応の前記(C)のビニル基由来のピークは、5.5〜6.5ppmに観測される。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の190℃における溶融張力は、30mN〜1Nであることが好ましく、50〜800mNであることがより好ましく、100〜500mNであることがさらに好ましい。溶融張力が30mN未満の場合、各種溶融成形時にドローダウンする場合がある。また、発泡成形した場合、切れたり、破れたりし、気泡が大きくならない場合がある。一方、溶融張力が1Nを超える場合、成形流動性が著しく低下する場合がある。また、発泡成形した場合、樹脂が伸びなかったりする場合がある。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物には、溶融張力を上げるために超高分子量ポリマーを添加してもよい。超高分子量ポリマーとしては、例えば、三菱レイヨン社製メタブレンPシリーズ、ローム・アンド・ハース社製のPALALOID Kシリーズ、カネカ社製カネエースPAシリーズが挙げられる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の降温時等温結晶化速度指数は、20分以下であることが好ましく、10分以下であることがより好ましい。降温時等温結晶化速度指数は指数が小さいほど、降温時における結晶化が速いことを意味する。降温時等温結晶化速度指数が20分よりも大きいと、冷却時に結晶化するのに時間がかかりすぎ、希望する成形体の形状が得られなかったり、射出成形等でのサイクルタイムが長くなったりと、操業性が悪くなる場合がある。本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の降温時等温結晶化速度指数は、架橋構造を有しているため、架橋していないものと対比して、格段に小さくなる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の歪み硬化係数は、1.3〜50であることが好ましく、1.5〜30であることがより好ましい。歪み硬化係数が1.3未満の場合、各種溶融成形時に、ドローダウンする場合がある。また、発泡成形した場合、切れたり、破れたりする場合がある。一方、歪み硬化係数が50を超える場合、成形流動性が著しく低下し、操業性が低下する場合がある。また、発泡成形した場合、樹脂が伸びなかったりする場合がある。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物のラクチドの含有量は、0.2質量%以下とすることが好ましく、0.1質量%以下とすることがより好ましく、0.07質量%以下とすることがさらに好ましく、0.05質量%以下とすることが最も好ましい。ラクチドの含有量を0.2質量%以下とすることにより、成形加工時の発煙を抑制することができ、ラクチドモノマーによる成形品の加水分解を抑制することができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の融点は、160〜180℃であることが好ましく、165〜180℃であることがより好ましい。本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の融点は、ポリ乳酸系樹脂のD体含有量に大きく依存する。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の190℃、荷重2.16kgfにおける溶融粘度は、0.1〜50g/10分であることが好ましく、0.2〜20g/10分であることがより好ましく、0.5〜10g/10分であることがさらに好ましい。溶融粘度が0.1g/10分未満の場合、成形流動性が著しく低下し、操業性が低下する場合がある。一方、溶融粘度が50g/10分を超える場合、各種溶融成形時にドローダウンする場合がある。また、発泡成形した場合、成形体の機械的特性や耐熱性が劣る場合がある。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を用いた発泡体の発泡倍率は、20倍以上であることが好ましく、30倍以上であることがより好ましい。発泡倍率が20倍未満の場合、発泡体の特長である軽量性や耐衝撃性、クッション性等が不十分となる場合がある。発泡倍率が高いほど上記特長の性能が増すため、上限は特に限定されないが、概ね80倍を超える場合には、気泡が粗大となりすぎる傾向がある。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を用いた発泡体の結晶化度指数は35J/g以上であることが好ましく、40J/g以上であることがより好ましく、45J/g以上であることがさらに好ましい。結晶化度指数は、値が大きいほど、発泡体の結晶化度が高いことを示し、より高い耐熱性を有していることを意味する。本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を用いた発泡体の結晶化度指数は、架橋構造を有しているため、架橋していないものと対比して、格段に大きくなる。また、発泡加工時に、例えば80〜140℃の金型を用いて結晶化を進行させることにより、発泡体の結晶化度指数を高くすることができる。また、発泡成形加工後に、発泡体を熱処理して結晶化を進行させることにより、発泡体の結晶化度指数を高くすることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法としては、ポリ乳酸系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)、および後述する過酸化物(D)を原料として、一般的な押出機を用いて溶融混練する方法が挙げられる。混練状態を向上させるため、二軸の押出機を使用することが好ましい。混練温度は、(樹脂の融点+5℃)〜(樹脂の融点+100℃)の範囲とすることが好ましく、また、混練時間は20秒〜30分の範囲とすることが好ましい。この範囲より低温や短時間の場合、混練や反応が不充分となり、また高温や長時間の場合、樹脂の分解や着色が発生することがある。この場合、本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)および過酸化物(D)は、固体状であればドライブレンドや粉体フィーダーを用いて供給する方法が好ましく、液体状の場合は、加圧ポンプを用いて、押出機の途中から注入する方法が好ましい。特に、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)および/または過酸化物(D)を媒体に溶解または分散して混練機に注入すると操業性が格段に良好とすることができる。具体的には、ポリ乳酸系樹脂と過酸化物(D)とを溶融混練中に、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)の溶解液または分散液を注入したり、ポリ乳酸系樹脂を溶融混練中に、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)と過酸化物(D)の溶解液または分散液を注入して溶融混練することが好ましい。
過酸化物(D)としては、分散性が良好な有機過酸化物が好ましく、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメンが挙げられる。
過酸化物(D)の配合量は、ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して0.1〜5.0質量部とすることが好ましく、0.1〜2.5質量部とすることがより好ましい。(D)の配合量を0.1〜5.0質量部とすることにより、効率よく架橋することができ、発泡倍率をより高くすることができる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)および/または過酸化物(D)を溶解または分散させる媒体としては一般的なものが用いられ、特に限定されないが、ポリ乳酸系樹脂との相溶性に優れた可塑剤が好ましい。可塑剤としては、例えば、脂肪族多価カルボン酸エステル誘導体、脂肪族多価アルコールエステル誘導体、脂肪族オキシエステル誘導体、脂肪族ポリエーテル誘導体、脂肪族ポリエーテル多価カルボン酸エステル誘導体が挙げられ、具体的には、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルトリブチルクエン酸、ポリエチレングリコール、ジブチルジグリコールサクシネートが挙げられる。可塑剤は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。可塑剤の配合量は、ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して、30質量部以下とすることが好ましく、0.1〜20質量部とすることがさらに好ましい。過酸化物(D)の反応性が低い場合、可塑剤は使用しなくてもよい。また、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)と過酸化物(D)は、別々に注入してもよい。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、上記のように、ポリ乳酸系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)、および過酸化物(D)を原料としてこれらを溶融混練して製造することができるが、一般に過酸化物(D)は溶融混練中に分解するため、得られた樹脂組成物中に過酸化物(D)が必ず含有されているとは限らない。また、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)および/または過酸化物(D)の添加に際して可塑剤などの媒体を使用することが好ましいが、この媒体も溶融混練時に揮発することがあるため、得られた樹脂組成物中に媒体が必ず含有されているとは限らない。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、さらに熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、発泡核剤、末端封鎖剤、分散剤、充填材、顔料、耐候剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、耐衝撃改良剤等の添加剤を配合してもよい。これらの添加剤は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。なお、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物にこれらの添加剤を配合する方法は特に限定されない。
熱安定剤や酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物、およびこれらの混合物が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、イオウ系難燃剤、酸系難燃剤が挙げられる。
結晶核剤としては、例えば、ソルビトール化合物、安息香酸およびそれらの化合物の金属塩、リン酸エステル金属塩、ロジン化合物、エチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスアクリル酸アミド、エチレンビスアクリル酸アミド、ヘキサメチレンビス−9,10−ジヒドロキシステアリン酸ビスアミド、p−キシリレンビス−9,10ジヒドロキシステアリン酸アミド、デカンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、ヘキサンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアニリド、N,N′,N″−トリシクロヘキシルトリメシン酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアニリド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、N,N′−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N′−ジシクロヘキサンカルボニル−1,5−ジアミノナフタレン、エチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミド、オクタンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド等の有機結晶核剤が挙げられる。
発泡核剤としては、例えば、酸化チタン、タルク、カオリン、クレー、珪酸カルシウム、シリカ、クエン酸ソーダ、炭酸カルシウム、珪藻土、焼成パーライト、ゼオライト、ベントナイト、ガラス、石灰石、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸第二鉄、ポリテトラフルオロエチレン粉末が挙げられる。
末端封鎖剤としては、例えば、カルボジイミド、オキサゾリン、エポキシ樹脂が挙げられる。
分散剤としては、例えば、流動パラフィン、ミネラルオイル、クレオソート油、潤滑油、シリコーンオイル等の工業用オイル、コーン油、大豆油、菜種油、パーム油、亜麻仁油、ホホバ油等の植物油、イオン性およびノニオン性の界面活性剤が挙げられる。
充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維等の無機充填材、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリイミド繊維、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の有機充填材が挙げられる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、溶融張力が高いため、発泡成形、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、圧空成形、真空圧空成形、真空成形等の各種成形に用いることができる。中でも、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、歪み硬化係数が高いため、発泡成形に特に好適に用いることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の発泡成形法としては、例えば、押出発泡法、ビーズ発泡法、またはこれらの複合法が挙げられる。具体的には、樹脂にあらかじめ樹脂の溶融温度で分解する分解型発泡剤をブレンドしたものを押出機に投入するか、直接押出機に揮発型発泡剤を注入して、スリット状ノズルまたは丸形ノズルから押出し、シートまたはストランドを得る方法(押出発泡法)、あらかじめポリ乳酸系樹脂組成物の微粒子を作製し、炭化水素、有機溶媒、水等上記に示した発泡剤を加圧下にて含浸させた後、温度や圧力の変化で発泡させて発泡微粒子を作製し、さらに型内発泡成形により発泡成形体を得る方法(ビーズ発泡法)、押出発泡法により作製した発泡ストランドを切断して発泡粒子とし、型内発泡成形に供する方法(複合法)が挙げられる。押出発泡法に用いる分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ヒドラジカルボンアミド等のヒドラジン化合物、炭酸水素ナトリウム等の無機系発泡剤が挙げられる。また、押出発泡法に用いる揮発型発泡剤としては、例えば、窒素、二酸化炭素、水等の無機化合物、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等の各種炭化水素、フロン化合物、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、エタノールやメタノール等の各種アルコール類に代表される有機溶媒が挙げられる。シリンダー温度は、ポリ乳酸系樹脂組成物の融点(Tm)または流動開始温度(Tf)以上であることが好ましく、180〜230℃とすることがより好ましく、190〜220℃とすることがさらに好ましい。ノズルの温度は、130〜190℃とすることが好ましく、140〜180℃とすることがより好ましい。
本発明の発泡体および発泡成形体は、その軽量性、耐熱性、断熱性、耐衝撃性、クッション性、遮音性を活かして、例えば、包装材、梱包材、緩衝材、断熱材、保温材、保冷材、消音材、吸音材、防音材、制振材、建材、クッション材、資材、容器等に用いることができる。具体例な用途としては、例えば、ソファ、ベッドマット、椅子、寝具、マットレス、電灯カバー、ぬいぐるみ、スリッパ、クッション、ヘルメット、カーペット、枕、靴、ポーチ、マット、クラッシュパッド、スポンジ、文具、玩具、DIY用品、パネル、畳芯材、マネキン、自動車内装部材・クッション、カーシート、デッドニング、ドアトリム、サンバイザー、自動車用制振材・吸音材、スポーツ用マット、フィットネス用品、スポーツ用プロテクター、ビート板、グラウンドフェンス、レジャーシート、医療用マットレス、医療用品、介護用品、リハビリ用品、建築用断熱材、建築目地材、面戸材、建築養生材、反射材、工業用トレー、チューブ、パイプカバー、エアコン断熱配管、ガスケット芯材、コンクリート型枠、土木目地、つらら防止パネル、保護材、軽量土、盛土、人工土壌、梱包材・包装資材、梱包資材、ラッピング、生鮮品・野菜・果物等の梱包材・包装材、電子機器等の梱包材・緩衝包装材、生鮮品・野菜・果物等の保温・保冷箱、カップラーメン・弁当箱等の食品容器、食用トレー、飲料容器、農業用資材、発泡模型、スピーカ用振動板が挙げられる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の押出成形法としては、例えば、Tダイ法、丸ダイ法が挙げられる。押出温度はポリ乳酸系樹脂組成物のTmまたはTf以上とすることが好ましく、180〜230℃とすることがより好ましく、190〜220℃とすることがさらに好ましい。押出温度が低すぎると成形が不安定になり、過負荷に陥る場合がある。一方、押出温度が高すぎるとポリ乳酸系樹脂組成物が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、着色したりする場合がある。ダイの温度は、140〜220℃とすることが好ましく、160〜200℃とすることがより好ましい。押出成形により、シートやパイプ等を作製することができるが、これらの耐熱性を高める目的で、ポリ乳酸系樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上、(Tg−20℃)以下で熱処理してもよい。
押出成形法により製造されるシート、パイプは、例えば、深絞り成形用原反シート、バッチ式発泡用原反シート、クレジットカード等のカード類、下敷き、クリアファイル、ストロー、農業・園芸用硬質パイプとすることができる。深絞り成形用原反シートは、さらに、真空成形、圧空成形、および真空圧空成形等の深絞り成形をおこなうことにより、例えば、食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、プレススルーパック容器とすることができる。食品用容器としては、例えば、生鮮食品のトレー、インスタント食品容器、ファーストフード容器、弁当箱が挙げられ、農業・園芸用容器としては、例えば、育苗ポットが挙げられ、ブリスターパック容器としては、例えば、食品、事務用品、玩具、乾電池等の包装容器が挙げられる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物のブロー成形法としては、例えば、直接成形をおこなうダイレクトブロー法、射出成形で予備成形体(有底パリソン)を成形後にブロー成形をおこなう射出ブロー成形法、延伸ブロー成形が挙げられる。また予備成形体成形後に連続してブロー成形をおこなうホットパリソン法、いったん予備成形体を冷却し取り出してから再度加熱してブロー成形をおこなうコールドパリソン法のいずれの方法も採用できる。ブロー成形温度は(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)とすることが好ましい。ブロー成形温度が(Tg+20℃)未満では成形が困難になったり、得られる容器の耐熱性が不十分となる場合がある。一方、ブロー成形温度が(Tm−20℃)を超えると、偏肉が生じたり、粘度低下によりブローダウンする場合がある。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の射出成形法としては、一般的な射出成形法のほか、発泡射出成形、射出プレス成形等も採用できる。射出成形時のシリンダー温度は、TmまたはTf以上であることが好ましく、180〜230℃とすることがより好ましく、190〜220℃とすることがさらに好ましい。シリンダー温度が低すぎると成形時にショートショットが発生したりして成形が不安定になったり、過負荷に陥る場合がある。一方、シリンダー温度が高すぎると、ポリ乳酸系樹脂組成物が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、着色したりする場合がある。射出成形時の金型温度は(Tm−20℃)以下にすることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂組成物の耐熱性を高める目的で、金型内で結晶化を促進する場合は、(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)で所定時間保った後、Tg以下に冷却することが好ましい。後結晶化する場合は、直接Tg以下に冷却した後、再度Tg〜(Tm−20℃)で熱処理することが好ましい。
上記射出成形法により得られる射出成形品としては、例えば、乳製品、清涼飲料水、酒類等の飲料用コップおよび飲料用ボトル、醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、食用油等の調味料の一時保存容器、シャンプー・リンス等の容器、化粧品用容器、農薬用容器等の流動体用容器、皿、椀、鉢、箸、スプーン、フォーク、ナイフ等の食器、容器用キャップ、定規、筆記具、クリアケース、CDケース等の事務用品、台所用三角コーナー、ゴミ箱、洗面器、歯ブラシ、櫛、ハンガー等の日用品、植木鉢、育苗ポット等の農業・園芸用資材、プラモデル等の各種玩具類、エアコンパネル、冷蔵庫トレイ、各種筐体等の電化製品用樹脂部品、バンパー、インパネ、ドアトリム等の自動車用樹脂部品が挙げられる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.原料
実施例および比較例に用いた原料は以下の通りである。
A.ラクチド
・L−ラクチド
東京化成社製、D体含有量=0.06モル%、遊離酸量=3meq/kg
・DL−ラクチド
東京化成社製、D体含有量=50モル%、遊離酸量=3meq/kg
実施例および比較例に用いた原料は以下の通りである。
A.ラクチド
・L−ラクチド
東京化成社製、D体含有量=0.06モル%、遊離酸量=3meq/kg
・DL−ラクチド
東京化成社製、D体含有量=50モル%、遊離酸量=3meq/kg
B.ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー
・開始剤a
温度計、マグネチック撹拌子、ジムロート冷却器を備えた200ミリリットルの3口フラスコに、メチルメタクリレート(三菱ガス化学社製)を16.3g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ガス化学社製)を3.7g、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬工業社製V−601)を0.076g、無水エタノールを66.7g仕込み、撹拌子を600rpmで回転させた状態で90℃に保ったオイルバス中に投入し、エタノールを還流させながら3時間重合をおこなった。反応液を室温まで冷却し、それを、反応液の20倍量の水中にゆっくりと滴下し、ポリマーの再沈殿をおこなった。得られたポリマーをヌッチェにより濾過し、水洗をおこなった後、80℃で48時間乾燥させて開始剤aを得た。
・開始剤a
温度計、マグネチック撹拌子、ジムロート冷却器を備えた200ミリリットルの3口フラスコに、メチルメタクリレート(三菱ガス化学社製)を16.3g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ガス化学社製)を3.7g、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬工業社製V−601)を0.076g、無水エタノールを66.7g仕込み、撹拌子を600rpmで回転させた状態で90℃に保ったオイルバス中に投入し、エタノールを還流させながら3時間重合をおこなった。反応液を室温まで冷却し、それを、反応液の20倍量の水中にゆっくりと滴下し、ポリマーの再沈殿をおこなった。得られたポリマーをヌッチェにより濾過し、水洗をおこなった後、80℃で48時間乾燥させて開始剤aを得た。
・開始剤b〜g
表1のように、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチルの添加量およびメチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの比率を変更する以外は、開始剤aの製造方法と同様の操作をおこなって、開始剤b〜gを得た。
表1のように、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチルの添加量およびメチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの比率を変更する以外は、開始剤aの製造方法と同様の操作をおこなって、開始剤b〜gを得た。
・開始剤h、i
2−ヒドロキシエチルメタクリレートをN−ヒドロキシメチルアクリルアミドに変更し、表1にように比率を変更した以外は、開始剤aの製造方法と同様の操作をおこなって、開始剤h、iを得た。
2−ヒドロキシエチルメタクリレートをN−ヒドロキシメチルアクリルアミドに変更し、表1にように比率を変更した以外は、開始剤aの製造方法と同様の操作をおこなって、開始剤h、iを得た。
開始剤の組成と特性値を表1に示す。
C.(メタ)アクリル酸エステル
・PDE−50
日本油脂社製 ブレンマーPDE−50、ポリエチレングリコールジメタクリレート
・PDE−100
日本油脂社製 ブレンマーPDE−100、ポリエチレングリコールジメタクリレート
・PDE−50
日本油脂社製 ブレンマーPDE−50、ポリエチレングリコールジメタクリレート
・PDE−100
日本油脂社製 ブレンマーPDE−100、ポリエチレングリコールジメタクリレート
D.過酸化物
・パーヘキサ25B−40
日本油脂社製 パーヘキサ25B−40(過酸化物純度40%)、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン
・パーヘキサ25B−40
日本油脂社製 パーヘキサ25B−40(過酸化物純度40%)、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン
E.その他の開始剤
・1−デカノール
キシダ化学社製、分子量=158、ヒドロキシ基1個あたりの分子量=158
・1−デカノール
キシダ化学社製、分子量=158、ヒドロキシ基1個あたりの分子量=158
F.重合触媒
・オクチル酸スズ
吉富ファインケミカル社製 スタノクト
・オクチル酸スズ
吉富ファインケミカル社製 スタノクト
G.酸化防止剤
・HP−10
ADEKA社製 HP−10、2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−(2−エチルへキシルオキシ)−6H,12H−5,7−ジオキサ−6−ホスファジベンゾ[a,d]シクロオクテン
・HP−10
ADEKA社製 HP−10、2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−(2−エチルへキシルオキシ)−6H,12H−5,7−ジオキサ−6−ホスファジベンゾ[a,d]シクロオクテン
H.超高分子量ポリマー
・P−550A
三菱レイヨン社製 メタブレンP−550A
・P−550A
三菱レイヨン社製 メタブレンP−550A
2.分析方法
測定方法は以下の通りである。
(1)開始剤の数平均分子量
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー7〜8mgをHFIP5mgに溶解後、0.45μmフィルターで濾過したサンプルを、東ソー社製ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて、以下の条件で測定した。
検出器:東ソー社製 示差屈折率検出器RI−8020
カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR−N
溶離液:トリフルオロ酢酸ナトリウムを0.1モル%含有するヘキサフルオロイソプロパノール
流速:0.4mL/分
測定温度:40℃
標準試料:Agilent Technologies社製 ポリメチルメタクリレート Easi Vial PM(登録商標)
測定方法は以下の通りである。
(1)開始剤の数平均分子量
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー7〜8mgをHFIP5mgに溶解後、0.45μmフィルターで濾過したサンプルを、東ソー社製ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて、以下の条件で測定した。
検出器:東ソー社製 示差屈折率検出器RI−8020
カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR−N
溶離液:トリフルオロ酢酸ナトリウムを0.1モル%含有するヘキサフルオロイソプロパノール
流速:0.4mL/分
測定温度:40℃
標準試料:Agilent Technologies社製 ポリメチルメタクリレート Easi Vial PM(登録商標)
(2)開始剤のヒドロキシ基1個あたりの数平均分子量
開始剤3gを秤取り、JIS K−0070に準拠して、ピリジン50mLに加熱還流溶解し、無水酢酸をアセチル化剤、クレゾールレッド−チモールブルーを指示薬として0.5Nの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定し、ヒドロキシ価(単位質量あたりのヒドロキシ当量)を求めた。
開始剤がピリジンに溶解しない場合は、開始剤を、高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製、ECA500 NMR、分解能500MHz)を用いて、1H−NMR分析することにより、ピーク強度からヒドロキシ価を求めた(溶媒:重水素化テトラクロロエチレン、温度:120℃)。なお、開始剤が、重水素化テトラクロロエチレンに120℃で溶解しなかった場合は、重水素化ジメチルスルホキシドを用いて温度60℃で測定した。
ヒドロキシ価の逆数を、ヒドロキシ基1個あたりの数平均分子量とした。
開始剤3gを秤取り、JIS K−0070に準拠して、ピリジン50mLに加熱還流溶解し、無水酢酸をアセチル化剤、クレゾールレッド−チモールブルーを指示薬として0.5Nの水酸化カリウムメタノール溶液で滴定し、ヒドロキシ価(単位質量あたりのヒドロキシ当量)を求めた。
開始剤がピリジンに溶解しない場合は、開始剤を、高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製、ECA500 NMR、分解能500MHz)を用いて、1H−NMR分析することにより、ピーク強度からヒドロキシ価を求めた(溶媒:重水素化テトラクロロエチレン、温度:120℃)。なお、開始剤が、重水素化テトラクロロエチレンに120℃で溶解しなかった場合は、重水素化ジメチルスルホキシドを用いて温度60℃で測定した。
ヒドロキシ価の逆数を、ヒドロキシ基1個あたりの数平均分子量とした。
(3)D体含有量
ポリ乳酸系樹脂組成物0.3gを1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mLに加え、65℃にて充分撹拌した後、硫酸450μLを加えて、65℃にて撹拌し、分解させた。この分解物5mL、純水3mL、および塩化メチレン13mLを混合して振り混ぜ、静置分離後、下部の有機層を約1.5mL採取し、孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、HewletPackard社製HP−6890SeriesGCsystemを用いてガスクロマトグラフィ測定をおこなった。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合を算出し、これをD体含有量(モル%)とした。
ポリ乳酸系樹脂組成物0.3gを1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mLに加え、65℃にて充分撹拌した後、硫酸450μLを加えて、65℃にて撹拌し、分解させた。この分解物5mL、純水3mL、および塩化メチレン13mLを混合して振り混ぜ、静置分離後、下部の有機層を約1.5mL採取し、孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、HewletPackard社製HP−6890SeriesGCsystemを用いてガスクロマトグラフィ測定をおこなった。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合を算出し、これをD体含有量(モル%)とした。
(4)残存ラクチド量
ポリ乳酸系樹脂組成物0.1gに、塩化メチレン9mL、内部標準液(2,6−ジメチル−γ−ピロンの5000ppm溶液)1mLを加え、樹脂を溶解させた。この溶解液にシクロヘキサン40mlを添加し、樹脂を析出させ、その上澄み液約1.5mL採取した。孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、Agilent Technologies社製7890A GCSystemを用いてガスクロマトグラフィ測定をおこなった。
ポリ乳酸系樹脂組成物0.1gに、塩化メチレン9mL、内部標準液(2,6−ジメチル−γ−ピロンの5000ppm溶液)1mLを加え、樹脂を溶解させた。この溶解液にシクロヘキサン40mlを添加し、樹脂を析出させ、その上澄み液約1.5mL採取した。孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、Agilent Technologies社製7890A GCSystemを用いてガスクロマトグラフィ測定をおこなった。
(5)融点
ポリ乳酸系樹脂組成物7mgをサンプルとし、パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC―7を用いて、窒素気流中、昇温速度20℃/分で、200℃まで昇温し、結晶融解ピークのピークトップの温度を融点とした。
ポリ乳酸系樹脂組成物7mgをサンプルとし、パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC―7を用いて、窒素気流中、昇温速度20℃/分で、200℃まで昇温し、結晶融解ピークのピークトップの温度を融点とした。
(6)溶融張力
東洋精機製作所製のキャピログラフ1C(シリンダーの内径9.55mm、オリフィスの内径1.0mm、長さ10.0mm)を用いて測定した。まず、シリンダーおよびオリフィスの設定温度を190℃とし、該シリンダー中にポリ乳酸系樹脂組成物からなる測定試料を充填し、5分間放置してから、ピストン速度を10mm/分として190℃の溶融樹脂をオリフィスからストランド状に押出した。このストランドを、下方の直径40mmの張力検出用プーリーの円形ガイドを通過させながら巻き取り、この円形ガイドにかかる荷重を張力計で検出した。巻き取り速度を徐々に増加させていき、ストランドが破断したときの張力(すなわち測定可能な最大の張力)を溶融張力とした。
東洋精機製作所製のキャピログラフ1C(シリンダーの内径9.55mm、オリフィスの内径1.0mm、長さ10.0mm)を用いて測定した。まず、シリンダーおよびオリフィスの設定温度を190℃とし、該シリンダー中にポリ乳酸系樹脂組成物からなる測定試料を充填し、5分間放置してから、ピストン速度を10mm/分として190℃の溶融樹脂をオリフィスからストランド状に押出した。このストランドを、下方の直径40mmの張力検出用プーリーの円形ガイドを通過させながら巻き取り、この円形ガイドにかかる荷重を張力計で検出した。巻き取り速度を徐々に増加させていき、ストランドが破断したときの張力(すなわち測定可能な最大の張力)を溶融張力とした。
(7)溶融粘度
東洋精機製作所社製メルトインデクサーF−B01を用いて、JIS K7210に準拠して測定した。ヒドロキシ変性ポリオレフィンは、試験温度190℃、試験荷重2.16kgfの条件で測定し、ポリ乳酸系樹脂組成物は、試験温度210℃、試験荷重2.16kgfの条件で測定した。
東洋精機製作所社製メルトインデクサーF−B01を用いて、JIS K7210に準拠して測定した。ヒドロキシ変性ポリオレフィンは、試験温度190℃、試験荷重2.16kgfの条件で測定し、ポリ乳酸系樹脂組成物は、試験温度210℃、試験荷重2.16kgfの条件で測定した。
(8)降温時等温結晶化速度指数
ポリ乳酸系樹脂組成物7mgをサンプルとし、パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC−7を用いて、窒素気流中、20℃から200℃まで昇温速度500℃/分で昇温し、200℃で5分間保持した後、200℃から130℃まで降温速度500℃/分で降温し、130℃で保持した。図2に示すように、130℃で保持した場合の結晶化ピーク(発熱)の等温開始からピークトップに至るまでの時間を、降温時等温結晶化速度指数とした。
ポリ乳酸系樹脂組成物7mgをサンプルとし、パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC−7を用いて、窒素気流中、20℃から200℃まで昇温速度500℃/分で昇温し、200℃で5分間保持した後、200℃から130℃まで降温速度500℃/分で降温し、130℃で保持した。図2に示すように、130℃で保持した場合の結晶化ピーク(発熱)の等温開始からピークトップに至るまでの時間を、降温時等温結晶化速度指数とした。
(9)歪み硬化係数
ポリ乳酸系樹脂組成物を210℃でプレス成形することにより厚み1mmのシートを作製し、60mm×7mmのサイズに切断して試験片を作製した。
レオメトリック社製伸長粘度測定装置RMEを用いて、試験片の両端を金属ベルトクランプにより支持し、ポリ乳酸系樹脂組成物の融点よりも10℃高い温度で、歪み速度0.1sec−1で測定サンプルに伸長変形を加え、変形中にピンチローラーにかかる応力(単位:Pa)を検出し、伸長粘度(単位:Pa・s)を求めた。得られた伸長時間と伸長粘度の両対数プロット(図1)において、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)を歪み硬化係数とした。
ポリ乳酸系樹脂組成物を210℃でプレス成形することにより厚み1mmのシートを作製し、60mm×7mmのサイズに切断して試験片を作製した。
レオメトリック社製伸長粘度測定装置RMEを用いて、試験片の両端を金属ベルトクランプにより支持し、ポリ乳酸系樹脂組成物の融点よりも10℃高い温度で、歪み速度0.1sec−1で測定サンプルに伸長変形を加え、変形中にピンチローラーにかかる応力(単位:Pa)を検出し、伸長粘度(単位:Pa・s)を求めた。得られた伸長時間と伸長粘度の両対数プロット(図1)において、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)を歪み硬化係数とした。
(10)発泡倍率
用いたポリ乳酸系樹脂組成物ペレットおよび発泡体の質量を測定し、次いでそれらの見かけ体積を、アルファ・ミラージュ社製湿式電子比重計EW−300SGを用いて測定した。質量と見かけ体積から見かけ密度を算出した。発泡倍率は以下の式から算出した。
発泡倍率=(ポリ乳酸系樹脂組成物の見かけ密度)/(発泡体の見かけ密度)
用いたポリ乳酸系樹脂組成物ペレットおよび発泡体の質量を測定し、次いでそれらの見かけ体積を、アルファ・ミラージュ社製湿式電子比重計EW−300SGを用いて測定した。質量と見かけ体積から見かけ密度を算出した。発泡倍率は以下の式から算出した。
発泡倍率=(ポリ乳酸系樹脂組成物の見かけ密度)/(発泡体の見かけ密度)
(11)結晶化度指標
発泡体7mgを熱風乾燥機にて、90℃で1時間熱処理した。このサンプル7mgを示差走査熱量計パーキンエルマー社製差走査熱量計DSC―7を用いて、窒素気流中、昇温速度20℃/分で、200℃まで昇温し、図3に示すように、結晶化熱量の絶対値ΔHc(J/g)と結晶融解熱量の絶対値ΔHm(J/g)を算出した。結晶化度指標は、以下の式から算出した。
結晶化度指標(J/g)= ΔHm − ΔHc
発泡体7mgを熱風乾燥機にて、90℃で1時間熱処理した。このサンプル7mgを示差走査熱量計パーキンエルマー社製差走査熱量計DSC―7を用いて、窒素気流中、昇温速度20℃/分で、200℃まで昇温し、図3に示すように、結晶化熱量の絶対値ΔHc(J/g)と結晶融解熱量の絶対値ΔHm(J/g)を算出した。結晶化度指標は、以下の式から算出した。
結晶化度指標(J/g)= ΔHm − ΔHc
実施例1
[重合工程]
反応容器に、ラクチドを100質量部、開始剤として開始剤aを2.0質量部、酸化防止剤としてHP−10を0.3質量部仕込み、反応容器を窒素置換した。重合触媒としてオクチル酸スズ0.002質量部を投入後、窒素雰囲気下、130℃に昇温した。開始剤a以外の内容物が溶融した時点で、攪拌を開始し、内温をさらに160℃に昇温して、15分かけて開始剤aを溶融させた。その後、内温を190℃に昇温して5時間重合させた後、ポリ乳酸系樹脂を取り出した。
[ラクチド除去工程]
ポリ乳酸系樹脂を、140℃、40時間真空脱揮して残存ラクチドを除去した。
[溶融混練工程]
二軸押出成形機(池貝製PCM−30、ダイス直径;4mm×3孔、押出ヘッド温度;240℃ダイ出口温度;230℃)を用い、重合後ラクチド除去をおこなったポリ乳酸系樹脂100質量部とPDE−50 0.05質量部および、パーヘキサ25B−40 0.25質量部をドライブレンドして供給した。混練後押出し、ペレット状に加工し、ポリ乳酸系樹脂組成物を得た。
[発泡工程]
得られたポリ乳酸系樹脂組成物と発泡剤としてのブタンを、温度200℃で圧力が4MPaになるようオートクレーブに封入し、そのまま1時間保持して発泡剤を含浸させた。続いて、オートクレーブ内の温度を150℃まで下げた後、30分保持した。その後、60秒かけて発泡剤を抜いて常圧に戻すことにより発泡させ、発泡体を得た。
[架橋構造の確認]
ポリ乳酸系樹脂組成物を重クロロホルム中にて1H−NMR測定した場合、ポリ乳酸の中心炭素と結合したメタアクリル酸エステルのビニル基由来のピークが2.0〜2.5ppmに観測された。
[重合工程]
反応容器に、ラクチドを100質量部、開始剤として開始剤aを2.0質量部、酸化防止剤としてHP−10を0.3質量部仕込み、反応容器を窒素置換した。重合触媒としてオクチル酸スズ0.002質量部を投入後、窒素雰囲気下、130℃に昇温した。開始剤a以外の内容物が溶融した時点で、攪拌を開始し、内温をさらに160℃に昇温して、15分かけて開始剤aを溶融させた。その後、内温を190℃に昇温して5時間重合させた後、ポリ乳酸系樹脂を取り出した。
[ラクチド除去工程]
ポリ乳酸系樹脂を、140℃、40時間真空脱揮して残存ラクチドを除去した。
[溶融混練工程]
二軸押出成形機(池貝製PCM−30、ダイス直径;4mm×3孔、押出ヘッド温度;240℃ダイ出口温度;230℃)を用い、重合後ラクチド除去をおこなったポリ乳酸系樹脂100質量部とPDE−50 0.05質量部および、パーヘキサ25B−40 0.25質量部をドライブレンドして供給した。混練後押出し、ペレット状に加工し、ポリ乳酸系樹脂組成物を得た。
[発泡工程]
得られたポリ乳酸系樹脂組成物と発泡剤としてのブタンを、温度200℃で圧力が4MPaになるようオートクレーブに封入し、そのまま1時間保持して発泡剤を含浸させた。続いて、オートクレーブ内の温度を150℃まで下げた後、30分保持した。その後、60秒かけて発泡剤を抜いて常圧に戻すことにより発泡させ、発泡体を得た。
[架橋構造の確認]
ポリ乳酸系樹脂組成物を重クロロホルム中にて1H−NMR測定した場合、ポリ乳酸の中心炭素と結合したメタアクリル酸エステルのビニル基由来のピークが2.0〜2.5ppmに観測された。
実施例2〜12、比較例1〜10
実施例1の重合工程において、組成を表2に示すように変更してポリ乳酸系樹脂組成物を得た。その後の工程については、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリ乳酸系樹脂組成物を製造し、発泡体を得た。なお、実施例12は表2の組成に加えて超高分子量ポリマー P−550Aを4.0質量部添加した。
また、実施例2〜12、比較例1〜7、9のポリ乳酸系樹脂組成物は、重クロロホルム中にて1H−NMR測定した場合、ポリ乳酸の中心炭素と結合したメタアクリル酸エステルのビニル基由来のピークが2.0〜2.5ppmに観測された。
実施例1の重合工程において、組成を表2に示すように変更してポリ乳酸系樹脂組成物を得た。その後の工程については、実施例1と同様の操作をおこなって、ポリ乳酸系樹脂組成物を製造し、発泡体を得た。なお、実施例12は表2の組成に加えて超高分子量ポリマー P−550Aを4.0質量部添加した。
また、実施例2〜12、比較例1〜7、9のポリ乳酸系樹脂組成物は、重クロロホルム中にて1H−NMR測定した場合、ポリ乳酸の中心炭素と結合したメタアクリル酸エステルのビニル基由来のピークが2.0〜2.5ppmに観測された。
表2に、得られたポリ乳酸系樹脂組成物の組成、その特性値、それから得られた発泡体の特性値を示す。
実施例1〜12のポリ乳酸系樹脂組成物は、いずれも溶融張力が高かったため、樹脂が切れたり、破れたりすることなく気泡が大きくなり、発泡倍率を高くすることができた。また、いずれも、架橋構造を有していない比較例8と対比して、結晶化度指標が大きかった。
比較例1のポリ乳酸系樹脂組成物は、ヒドロキシ基1個あたりの数平均分子量が200未満であったため、発泡倍率が低かった。
比較例2のポリ乳酸系樹脂組成物は、ヒドロキシ基1個あたりの数平均分子量が1500を超えていたため、発泡倍率が低かった。
比較例3のポリ乳酸系樹脂組成物は、数平均分子量が20000未満であったため、発泡倍率が低かった。
比較例4のポリ乳酸系樹脂組成物は、ヒドロキシ基を含むメタアクリル系ポリマーの配合量が1.0質量部未満であったため、発泡倍率が低かった。
比較例5のポリ乳酸系樹脂組成物は、ヒドロキシ基を含むメタアクリル系ポリマーの配合量が5.0質量部を超えていたため、発泡倍率が低かった。
比較例6のポリ乳酸系樹脂組成物は、ヒドロキシ基を含むメタアクリル系ポリマーの配合量が0.1質量部未満であったため、発泡倍率が低かった。
比較例7のポリ乳酸系樹脂組成物は、メタアクリルエステルの配合量が1.0質量部を超えていたため、発泡倍率が低かった。
比較例8のポリ乳酸系樹脂組成物は、過酸化物を配合しなかったため、発泡倍率が低かった。
比較例9のポリ乳酸系樹脂組成物は、過酸化物の配合量が1.0質量部を超えていたため、発泡倍率が低かった。
比較例10のポリ乳酸系樹脂組成物は、従来、発泡成形に用いていたものである。ヒドロキシ基を含むメタアクリル系ポリマーを用いなかったため、発泡倍率が低かった。
比較例2のポリ乳酸系樹脂組成物は、ヒドロキシ基1個あたりの数平均分子量が1500を超えていたため、発泡倍率が低かった。
比較例3のポリ乳酸系樹脂組成物は、数平均分子量が20000未満であったため、発泡倍率が低かった。
比較例4のポリ乳酸系樹脂組成物は、ヒドロキシ基を含むメタアクリル系ポリマーの配合量が1.0質量部未満であったため、発泡倍率が低かった。
比較例5のポリ乳酸系樹脂組成物は、ヒドロキシ基を含むメタアクリル系ポリマーの配合量が5.0質量部を超えていたため、発泡倍率が低かった。
比較例6のポリ乳酸系樹脂組成物は、ヒドロキシ基を含むメタアクリル系ポリマーの配合量が0.1質量部未満であったため、発泡倍率が低かった。
比較例7のポリ乳酸系樹脂組成物は、メタアクリルエステルの配合量が1.0質量部を超えていたため、発泡倍率が低かった。
比較例8のポリ乳酸系樹脂組成物は、過酸化物を配合しなかったため、発泡倍率が低かった。
比較例9のポリ乳酸系樹脂組成物は、過酸化物の配合量が1.0質量部を超えていたため、発泡倍率が低かった。
比較例10のポリ乳酸系樹脂組成物は、従来、発泡成形に用いていたものである。ヒドロキシ基を含むメタアクリル系ポリマーを用いなかったため、発泡倍率が低かった。
Claims (10)
- ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)を開始剤として得られたポリ乳酸系樹脂が、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)により架橋されてなり、以下の条件を満たすことを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
(i)(B)の数平均分子量が20000以上、ヒドロキシ基1個あたりの数平均分子量が200〜1500である。
(ii)ポリ乳酸系樹脂のポリ乳酸成分(A)100質量部に対して、(B)の含有量が1.0〜5.0質量部、(C)の含有量が0.1〜1.0質量部である。 - (メタ)アクリル酸エステル化合物(C)が、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または、1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- 190℃における溶融張力が30mN〜1Nであることを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- 降温時等温結晶化速度指数が20分以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- 融点より10℃高い温度での伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度曲線において、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)として定義される歪み硬化係数が、1.3〜50であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)が、(メタ)アクリル系モノマーを50モル%以上含有することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- ポリ乳酸系樹脂のポリ乳酸成分(A)のD体含有量が、1.0モル%以下または99.0モル%以上であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- 重合触媒存在下、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)を開始剤として、ラクチドを重合してポリ乳酸系樹脂を得る工程と、前記ポリ乳酸系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル化合物(C)および過酸化物(D)を溶融混練する工程を含むことを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜7いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物を用いてなる成形体。
- 請求項1〜7いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂組成物を用いてなる発泡体。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP4361205A1 (en) | 2022-10-31 | 2024-05-01 | Ricoh Company, Ltd. | Foamed polylactic acid sheet, method of manufacturing foamed polylactic acid sheet, and product |
-
2013
- 2013-11-22 JP JP2013242061A patent/JP2015101620A/ja active Pending
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EP4361205A1 (en) | 2022-10-31 | 2024-05-01 | Ricoh Company, Ltd. | Foamed polylactic acid sheet, method of manufacturing foamed polylactic acid sheet, and product |
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