JP3773342B2 - 発泡性粒子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脂肪族ポリエステルと分散剤を含む発泡性粒子に関する。さらには、発泡性粒子を発泡させて得られる発泡成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、発泡材料はポリエチレ、ポリプロピレン、ポリスチレン等の樹脂から製造されており、軽量、断熱性、防音性、クッション性などの性能を生かし多分野に渡り使用されている。
【0003】
しかしながら、これらの発泡材料は、使用後の回収や再利用が困難であり、自然環境下で殆ど分解されないために、半永久的に地中に残留する。また投棄されたプラスチック類により、景観が損なわれ、海洋生物の生活環境が破壊されるなどの問題が起こっている。
【0004】
これに対し、熱可塑性樹脂で生分解性を有するポリマーとして、ポリ乳酸及び乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー等の乳酸系ポリマー、脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸から誘導される脂肪族ポリエステル等が開発されている。これらのポリマーの中には、動物の体内で数カ月から1年以内に100%生分解し、又は、土壌や海水中に置かれた場合、湿った環境下では数週間で分解を始め、約1年から数年で消滅する。さらに、分解生成物は、人体に無害な乳酸と二酸化炭素と水になるという特性を有している。
【0005】
特にポリ乳酸は、近年、原料のL−乳酸が発酵法により大量且つ安価に製造されるようになってきたことや、堆肥中での分解速度が速いことより、その利用分野の拡大が期待されている。
【0006】
脂肪族ポリエステルの発泡に関する先行技術としては、例えば、特開平4−304244号、特開平5−140361号、特開平5−170965号、特開平5−170966号、特開平6−240037号、特開平6−287347号、特開平6−287338号、特開平9−263651号等が挙げられる。
これらの技術は、主に押出機を用いた発泡体の製造方法や得られた発泡体、更には発泡体の積層体について開示するものであり、本発明で目的とする脂肪族ポリエステルと分散剤を主成分とする発泡性粒子を型内で発泡させる技術に関するものはないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、型発泡成形時の発泡倍率、成形体の金型形状の再現性、発泡粒子間の密着性の良好な発泡成形体を、平易な操作により製造するのに好適な、脂肪族ポリエステルを含む発泡性粒子を開発することを課題とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、脂肪族ポリエステルを成分とする発泡粒子について鋭意検討した結果、脂肪族ポリエステルに分散剤と発泡剤とを特定の割合で混合することにより、上記課題を解決することを見い出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[10]に記載した事項により特定される。
【0009】
[1] 脂肪族ポリエステル(A)、分散剤(B)、及び、発泡剤(C)を含有し、かつ、
脂肪族ポリエステル(A)の結晶化度が20%以下であり、
脂肪族ポリエステル(A)と分散剤(B)の合計重量を基準として、
脂肪族ポリエステル(A)が30〜70重量%、及び、
分散剤(B)が70〜30重量%であり、
脂肪族ポリエステル(A)と分散剤(B)の合計100重量部を基準として、
発泡剤(C)が1〜30重量部である樹脂組成物からなり、
脂肪族ポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)以下の温度範囲で加熱したときに発泡する機能を有する発泡性粒子。
【0010】
[2] 脂肪族ポリエステル(A)が、
乳酸系ポリマーである、
[1]に記載した発泡性粒子。
[3] 分散剤(B)が、
ふすま(麩)である、
[1]又は[2]に記載した発泡性粒子。
[4] 発泡剤(C)が、
揮発性発泡剤である、
[1]乃至[3]の何れかに記載した発泡性粒子。
[5] 揮発性発泡剤が、
水である、
[4]に記載した発泡性粒子。
【0011】
[6] 揮発性発泡剤が、
常温常圧(25℃、1気圧)では、液相であり、かつ、
脂肪族ポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)以下の温度範囲で加熱したときに、常圧(1気圧)において、液相から気相に相転移する機能を有するものである、
[4]に記載した発泡性粒子。
【0012】
[7] 脂肪族ポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)以下の温度範囲で加熱したときの発泡倍率が、
1.1〜100倍である、
[1]乃至[6]の何れかに記載した発泡性粒子。
[8] 平均粒子直径が、
0.1〜30mmである、
[1]乃至[7]の何れかに記載した発泡性粒子。
【0013】
[9] [1]乃至[8]の何れかに記載した発泡性粒子を、型内で、脂肪族ポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)以下の温度範囲で加熱して得られる発泡成形体。
[10] [1]乃至[8]の何れかに記載した発泡性粒子を、脂肪族ポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)以下の温度範囲で加熱して製膜して得られる、発泡シート。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
[脂肪族ポリエステル(A)]
本発明において、脂肪族ポリエステル(A)は、モノマー(単量体)として、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、脂肪族多価アルコール、脂肪族多塩基酸との組み合わせで重合して得られる、ホモポリマー、コポリマー(ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、交互コポリマー)、及び、それら混合物を包含する。
本発明において、脂肪族ポリエステル(A)は、通常、押出ペレット化した際に非晶質であるものが好ましい。
また、発泡成形体に耐熱性が要求される場合は、押出ペレット化した際に非晶質であることに加え、ガラス転移温度が高いか、融点が高くて結晶性のものが好ましい。このようなポリマーとしては、乳酸系ポリマーが挙げられる。
【0016】
[乳酸系ポリマー]
ここで、乳酸系ポリマーとは、重合に供するモノマーの重量に換算して、乳酸成分を50wt%以上含むポリマーを包含する。
その具体例としては、例えば、
▲1▼ ポリ乳酸、
▲2▼ 乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、
▲3▼ 乳酸、脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸とのコポリマー、
▲4▼ ▲1▼〜▲3▼の何れかの組合せによる混合物、
等が挙げられる。
ポリ乳酸の原料である乳酸の具体例としては、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸又はそれらの混合物、又は、乳酸の環状2量体であるラクタイドを挙げることができる。前記したように、発泡成形物の耐熱性が高度(例えば、60℃以上)に必要な場合は、得られたポリ乳酸は結晶性であることが好ましく、そのためには、L−乳酸とD−乳酸を混合して用いる場合、L−乳酸又はD−乳酸の何れかが75重量%以上であることが必要である。
【0017】
〈脂肪族ヒドロキシカルボン酸〉
本発明で示す脂肪族ポリエステル(A)の原料である脂肪族ヒドロキシカルボン酸類の具体例としては、例えば、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸を挙げることができ、さらに、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の環状エステル、例えば、グリコール酸の2量体であるグリコライドや6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンを挙げることができる。これらは、単独で又は二種以上組合せて、使用することができる。特に6−ヒドロキシカプロン酸又はε−カプロラクトンが好適に使用される。
これらは、単独で又は二種類以上を組合せて、使用することができる。
【0018】
〈脂肪族多価アルコール〉
本発明で示す脂肪族ポリエステル(A)脂肪族多価アルコールの具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−へキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール等が挙げられる。
これらは、単独で又は二種類以上を組合せて、使用することができる。
【0019】
〈脂肪族多塩基酸〉
本発明で示す脂肪族ポリエステル(A)脂肪族多塩基酸の具体例としては、例えば、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、フェニルコハク酸、1,4−フェニレンジ酢酸等が挙げられる。これらは、単独で又は二種以上の組合わせ、使用することができる。
【0020】
本発明において使用される脂肪族ポリエステルの製造方法の具体例としては、上記脂肪族ヒドロキシカルボン酸、脂肪族多価アルコール、脂肪族多塩基酸を用い、公知公用の方法を採用することができる。例えば、ポリ乳酸の場合は
▲1▼ 乳酸又は乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の混合物を原料として、直接脱水重縮合する方法(例えば、米国特許5,310,865号に示されている製造方法)、
▲2▼ 乳酸の環状二量体(ラクタイド)を溶融重合する開環重合法(例えば、米国特許2,758,987号に開示されている製造方法)、
▲3▼ 乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の環状2量体、例えば、ラクタイドやグリコライドとε−カプロラクトンを、触媒の存在下、溶融重合する開環重合法(例えば、米国特許4,057,537号に開示されている製造方法)、
▲4▼ 乳酸、脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸の混合物を、直接脱水重縮合する方法(例えば、米国特許5,428,126号に開示されている製造方法)、▲5▼ ポリ乳酸と脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸とのポリマーを、有機溶媒存在下に縮合する方法(例えば、欧州特許公報0712880号に開示されている製造方法)等、
を挙げることができるが、その製造方法には、特に限定されない。
また、少量のグリセリンのような脂肪族多価アルコール、ブタンテトラカルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような多価アルコール類を共存させて,共重合させてもよく、ジイソシアネート化合物等のような結合剤(高分子鎖延長剤)を用いて分子量を上げてもよい。
ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシドのような過酸化物で架橋させてもよい。
【0021】
脂肪族ポリエステル(A)の重量平均分子量(Mw)や分子量分布は、実質的に、成形加工が可能であれば特に制限されない。本発明で使用する乳酸系ポリマーの分子量は、実質的に充分な機械物性を示すものであれば特に制限されないが、一般的には、重量平均分子量(Mw)で、1〜50万が好ましく、3〜40万がより好ましく、5〜30万がさらに好ましい。
【0022】
一般的には、重量平均分子量(Mw)が1万より小さい場合、発泡させ得られた発泡成形体の機械物性が充分でなかったり、逆に分子量が50万を超える場合、取扱い困難となったり、不経済となったりする場合がある。
【0023】
[分散剤(B)]
本発明においては、発泡性粒子の発泡性を高める為に分散剤(B)を添加する。本発明において、分散剤(B)は、
脂肪族ポリエステル(A)に対する発泡剤(C)の分散状態・混合状態の均一性を向上させる機能を有するもの、
及び/又は、
脂肪族ポリエステル(A)単位重量当たりに配合することができる発泡剤(C)重量の上限を向上させる機能を有するもの、
であれば、特に制限されない。
本発明において、分散剤(B)は、一般的には、脂肪族ポリエステル(A)に対して親和性が高いもの、及び/又は、発泡剤(C)に対して親和性が高いもの、が好ましい。
【0024】
本発明において、分散剤(B)は、通常、本発明に係る発泡性粒子の用途に分解性が所望される場合には、分解性を有するものが好ましい。
本発明において、分散剤(B)は、発泡剤(C)に水を含む場合は、通常、親水性のものや、含水性のものが好ましい。
本発明において、分散剤(B)は、発泡剤(C)に水を含む場合は、湿潤状態で、又は、乾燥状態で使用することができる。
本発明において、分散剤(B)は、発泡剤(C)に水を含まない場合は、乾燥状態で使用することができる。
【0025】
分散剤(B)の具体例としては、例えば、以下の〈1〉〜〈12〉を挙げることができる。
〈1〉 精米・精麦等の穀類等の精製過程で副生する穀類誘導製品/醸造・発酵工程で副生する醸造誘導製品;ぬか(糠)ふすま(麩)、おから、胚芽、糟、麹等。
〈2〉 穀物類粉等;トウモロコシ粉、ジャガイモ粉、サツマイモ粉、小麦粉、大麦粉、米粉、大豆粉、小豆粉、コンニャク粉、膨化穀類(ポップコーン、膨化米等)等。
〈3〉 穀物類等加工食品;高野豆腐、乾燥マッシュドポテト、乾燥ふ、乾燥麺、黄粉等。
〈4〉 植物繊維類;種子繊維(綿花等)、果実繊維、葉繊維(麻、ジュート等)、茎幹繊維、根繊維、食物繊維等。
〈5〉 セルロース類;セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)その他セルロース誘導体、セルロイド及びその誘導体。
〈6〉 植物を加工して得られる植物誘導製品/植物を加工する過程で副生する植物誘導製品;木粉、おが屑、籾殻、わら、木材パルプ、コーンファイバー、コットンリンター、へちま、椰子殻活性炭、古紙・古着等粉砕物、リグニン等。
〈7〉 澱粉類;天然澱粉(トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉等、小麦澱粉等)、高アミロース澱粉、ろう澱粉、化学的及び物理的に改質された加工澱粉、サイクロデキストリン、デキストリン、デキストラン等。
〈8〉 セルロース類及び澱粉類以外の多糖類;ペクチン類、キトサン類、キチン類、ヘミセルロース類、マンナン類等。
〈9〉 ガム類;アラビヤゴム、グアーガム、ローカストビーンガム、タラカントガム、チクル等。
〈10〉 乳製品誘導体類;カゼイン、塩酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインナトリウム。
〈11〉 皮革骨誘導体類;皮革粉、ゼラチン、にかわ、コラーゲン等。
〈12〉 海藻類・海洋生物類;海苔、寒天、ところてん、モズク、ひじき、海綿等。
【0026】
以上の〈1〉〜〈12〉のような分散剤(B)は、単独で、又は、二種以上を組み合わせて使用することができ、湿潤状態で、又は、乾燥状態で使用することができる。
本発明において、分散剤(B)の使用量は、脂肪族ポリエステル(A)と分散剤(B)の合計重量を基準として、30〜70重量%の範囲である。
30重量%未満だと、発泡性が充分でない場合があり、また、70重量%を超えると、型発泡成形時の粒子間の密着性が充分でない場合がある。
【0027】
[発泡剤(C)の種類]
本発明において、発泡剤(C)は、公知・公用のものを、好適に採用することができる。
例えば、「MARUZEN高分子大辞典−Concise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering(Kroschwitz編、三田 達監訳、丸善、東京、1994年)」・811〜815頁に記載されている発泡剤を好適に用いることができる。
その記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することにより、本出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
発泡剤(C)には、不活性ガス、分解すると不活性ガスを発生する化学的発泡剤、炭素数3〜5である炭化水素又は塩素化炭化水素、フルオロカーボン類、フロン類、水、窒素、LPG、LNG、低沸点有機液体、炭酸ガス、不活性ガス、アンモニア等を包含する。
また、いわゆるオゾン層保護のためのフロン規制に関するモントリオール議定書の規制に従い、適宜、環境規制基準をクリアした新規の又は公知・公用の発泡剤やそれを応用した発泡技術を好適に用いることができる。
【0028】
▲1▼ 化学的発泡剤
化学的発泡剤の具体例としては、炭酸水素ナトリウム、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、スルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、5−フェニルテトラゾール、ジイソプロピルヒドラゾジカルボキシラーゼ、5−フェニル−3,6−ジヒロドロ−1,3,4−オキサジアジン−2−オン、水酸化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。
【0029】
▲2▼ 物理的発泡剤(揮発性発泡剤)
本発明においては、発泡剤(C)としては、一般的には、物理的発泡剤、すなわち、揮発性発泡剤が好ましい。
本発明においては、揮発性発泡剤は、脂肪族ポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)以下の温度範囲で加熱したときに、液相から気相に相転移する機能を有するものを包含する。
本発明においては、揮発性発泡剤は、一般的には、常温常圧(25℃、1気圧)では、液相であり、かつ、脂肪族ポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)以下の温度範囲で加熱したときに、液相から気相に相転移する機能を有するものが好ましい。
本発明においては、揮発性発泡剤は、常温常圧(25℃、1気圧)では気相であっても、圧縮し、又は、同時に冷却して液状にして、耐圧容器、又は、断熱容器に充填した液化ガスとした低沸点のものも好ましい。
揮発性発泡剤の具体例としては、例えば、〈1〉不活性化合物発泡剤、〈2〉脂肪族炭化水素系発泡剤、〈3〉ハロゲン化炭化水素系発泡剤等が挙げられる。
本発明においては、発泡剤(C)としては、一般的には、安全性と経済性を兼ね備えた揮発性発泡剤である炭酸ガスや水が特に好ましい。
【0030】
〈1〉不活性化合物発泡剤
不活性化合物発泡剤の具体例としては、例えば、窒素、炭酸ガス、アルゴン、水等が挙げられる。
【0031】
〈2〉脂肪族炭化水素系発泡剤
脂肪族炭化水素系発泡剤の具体例としては、例えば、
エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、石油エーテル、
ペンタン類(n−ペンタン、2,2−ジメチルプロパン、1−ペンテン、シクロペンタン等)、
ヘキサン類(n−ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、シクロヘキサン等)、
ヘプタン類(n−ヘプタン、2,2−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、1−ヘプテン等)、
トルエン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、トリクロロフルオロメタン、メタノール、2−プロパノール、イソプロピルエーテル、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0032】
〈3〉ハロゲン化炭化水素系発泡剤
ハロゲン化炭化水素系発泡剤の好ましい具体例としては、例えば、炭素原子数2〜6のハロゲン化炭化水素が挙げられ、より具体的には、例えば、塩化メチル、ジクロロエタン、クロロホルム、フルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロエタン、クロルトリフルオロメタン、ジクロルジフルオロメタン、フルオロクロロエタン、ジクロルテトラフルオロエタン等が挙げられる。
フルオロカーボン類の具体例例としては、例えば、フロン(R−11、R−12)、代替フロン(R−134a)、CFC−11、CFC−12、CFC−113、CFC−114等のCFCシリーズのフロン(フレオン)が挙げられる。
【0033】
[発泡剤(C)の添加量]
本発明においては、発泡剤(C)の添加量は、合目的的であれば特に制限されない。
本発明においては、発泡剤(C)の添加量は、型発泡成形時の目的とする発泡倍率や発泡剤によっても異なるが、一般的には、脂肪族ポリエステル(A)と分散剤(B)との混合物100重量部に対して、1〜30重量部が好ましく、3〜27重量部がより好ましく、5〜25重量部がさらに好ましい。
通常、1重量部未満だと、発泡しなくなったり不均一になったりする傾向があり、逆に30重量部を超えると、過剰に添加した効果がないばかりか、外観不良やセル径が不均一になる等の問題が生ずる場合がある。
【0034】
[発泡性粒子]
発泡性粒子の形状は、特に制限はないが、粒径(平均粒子直径)が0.1〜30mmが好ましい。
粒径は、発泡方法、型形状等の条件に合わせ、適宜、選択される。例えば、型発泡の場合は、小さな型内で発泡させるときは、比較的小さな粒径が好ましく、大きな型内で発泡させるときは、比較的大きな粒径が好ましい。
発泡性粒子の形状は、特に制限はないが、好ましい具体例としては、例えば、球状、回転楕円体状等が挙げられる。
発泡性粒子の粒子平均直径は、特に制限はないが、1nm〜60mm、10nm〜50mm、100nm〜40mm、1μm〜30mm、10μm〜20mm、100μm〜10mm、1mm〜8mmの順で好ましい。
ここで、「粒子」には、例えば、ポリマーエマルジョン、ラテックス、ポリマーサスペンジョンを構成するマイクロスフィアをも包含する。
発泡性粒子が加熱により型発泡する際の粒子同志の密着性を発現させるためには、通常、発泡性粒子内において、脂肪族ポリエステル(A)成分は、非晶状態であることが好ましい。
脂肪族ポリエステル(A)成分は、その結晶化度が、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下がさらに好ましい。
通常、脂肪族ポリエステル(A)成分の結晶化度が20%を超えると、例えば、型発泡させる場合、加熱発泡させる温度が、融点近傍にまで高くなり、経済的に不利となったり、加熱発泡させる際の最適温度範囲が狭くなり、成形不良率が高くなる場合がある。
また、発泡性粒子同志の密着性が不良となり、成形体を得ることが困難となったり、得られた成形体の強度が低下する場合がある。
【0035】
[添加剤]
本発明では発泡性粒子に、発泡性の向上や発泡体の物性を目的(例えば、発泡性の向上、発泡体の軟質性、引張強度、耐熱性、耐候性等の向上)に応じて各種添加剤(核剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、無機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料等滑剤)などを添加することができる。
例えば、核剤の具体例としては、酸化チタン、タルク、カオリン、クレー、珪酸カルシウム、シリカ、クエン酸ソーダ、炭酸カルシウム、珪藻土、焼成パーライト、ゼオライト、ベントナイト、ガラス、石灰石、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸第二鉄等が挙げられる。
核剤の添加量としては、脂肪族ポリエステル(A)と分散剤(B)との合計100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、0.03〜5重量部がより好ましく、0.05〜3重量部が更に好ましい。
添加量が、10重量部より多い場合には、得られる発泡体にボイドが発生し、発泡体表面より発泡剤が逸散し良好な成形品が得られない場合がある。
【0036】
[発泡性粒子の製造法]
本発明で用いられる発泡性粒子の製造法としては、発泡性粒子中に含有する脂肪族ポリエステル(A)成分の結晶化度を20%以下に制御可能な製造方法であれば何等制限はない。例えば、
▲1▼ 脂肪族ポリエステル(A)、分散剤(B)、発泡剤(C)、目的に応じて各種添加剤を高速攪拌機または低速攪拌機などを用いて均一混合した後、十分な混練能力のある一軸あるいは多軸の押出機で溶融混練し、先端のノズルを通じて取り出すストランドを空冷あるいは(氷)水冷などの方法で急冷、ペレット化する方法、あるいは(氷)水中にてペレット化する方法、
▲2▼ 脂肪族ポリエステル(A)、分散剤(B)、目的に応じて各種添加剤を高速攪拌機または低速攪拌機などを用いて均一混合した後、十分な混練能力のある一軸あるいは多軸の押出機で溶融混練する過程で、シリンダーの任意の部位において発泡剤(C)を(圧)注入した後、取り出すストランドを空冷あるいは(氷)水冷などの方法で急冷、ペレット化する方法、あるいは(氷)水中にてペレット化する方法、
▲3▼ 脂肪族ポリエステル(A)、分散剤(B)、目的に応じて各種添加剤を高速攪拌機または低速攪拌機などを用いて均一混合し、押出機で溶融混練し、上記と同様に結晶化度が20%以下のペレットを一旦取り出した後に、発泡剤(C)をオートクレーブ等の容器中で含浸させる方法
等が挙げられる。
【0037】
本発明に係る樹脂組成物の形状は、通常、ペレット、棒状等でもよい。更に発泡性粒子は、未発泡粒子であっても、予め発泡した粒子であっても、特に制限はないが、型内で加熱発泡させた際に互いの発泡粒子の接着が実質上満足できるものでなければならない。後者の場合、加熱発泡させた際の発泡能力が1.2倍、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2.0倍以上、更に好ましくは2.5倍以上、最も好ましくは3.0倍以上ある発泡性粒子がよい。
【0038】
[発泡体の製造方法]
本発明では、発泡性粒子を加熱することにより、自由発泡体を得ることができる。
また、特定の型内にて発泡させることにより、型形状を再現した発泡成形物を得ることができる。
発泡体は、公知・公用の方法により製造することができる。
例えば、「MARUZEN高分子大辞典−Concise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering(Kroschwitz編、三田 達監訳、丸善、東京、1994年)」・811〜815頁に記載されている発泡技術を好適に採用することができる。
その記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することにより、本出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
発泡体の空隙(「気泡」、「ボイド」、「マイクロボイド」、「キャビティー」、「セル」等の語が有する概念をも包含する。)の、連続性、独立性、大きさ、形状、分布、大きさの均一性等の特性は、目的に応じ、適宜、発泡条件を設定することにより制御することができる。
例えば、発泡性粒子に予めCO2や窒素ガスを圧入、二次発泡性を付与させた後、金型に充填しスチームを吹き込み加熱発泡させ、次いで冷却し成形体を得る方法、また発泡性粒子をそのまま金型に充填し加熱発泡、冷却して成形体を得る方法が挙げられる。
加熱する際の温度は、脂肪族ポリエステルのTg(ガラス転移温度)〜Tm(融点)までの範囲であり、(Tg+5)℃〜(Tm−5)℃が好ましく、(Tg+10)℃〜(Tm−10)℃がより好ましく、(Tg+15)℃〜(Tm−15)℃が更に好ましく、(Tg+20)℃〜(Tm−20)℃が最も好ましい。
Tgより低い温度では発泡しない場合があり、逆にTmより高い温度では一旦発泡した成形体が再収縮する場合があるので好ましくない。
加熱方法としては、発泡性粒子を加熱発泡させるのに必要なエネルギーを何らかの方法で与える方法であれば、何等制限はなく公知公用の方法を用いることができる。例えば、型発泡成形物を得る場合、発泡性粒子を加熱可能な型に挿入した後、発泡性粒子を入れた型を、熱媒体中に付け込んだり、温調された雰囲気下にさらしたり、金型中に加熱された窒素、水蒸気、炭酸ガス等の不活性ガスを吹き込んだりする等の方法を用いることができる。
【0039】
[発泡体]
本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる「発泡体」なる語の概念には、樹脂の内部に多くの空隙(「気泡」、「ボイド」、「マイクロボイド」、「キャビティー」、「セル」等の語が有する概念をも包含する。)が存在する、見かけ密度の小さい、樹脂の連続相中に、空隙相(空隙は連続のものも、独立のものも含む)が混在した、二相構造又は多相構造を有する樹脂構造体を包含し、例えば、細胞構造を有する高分子、発泡高分子、膨張高分子、高分子発泡体、高分子フォーム等の構造体と認識されるもの一般をも包含し、軟質のものも硬質のものも包含する。
【0040】
本発明に係る発泡性粒子を発泡成形加工した発泡成形体は、フォーム状として使用する場合は、クッション性、耐衝撃性、断熱性などに優れているため各種包装、梱包材、建築用・工業用断熱材、家具、自動車クッション材、内装材、生活用品、スポーツ用品、健康用品、農業用資材などに好適に使用される。
用途により、発泡体中の空胞が隣接空胞と小孔で通じている(連続気泡)状態にあることが望まれる場合と、個々の空胞が独立して存在する(独立気泡)ことが望まれる場合もあり、どちらでもよい用途もある。
発泡成形体は、2〜3倍の低発泡から10〜20倍の中発泡、30〜50倍(場合により、30〜100倍)の高発泡とすることができる。
シートならびにボード状発泡体の主体をなす、いわゆる高発泡体の用途の具体例としては、例えば、包装梱包用、建築・土木用、車両・船舶用、工業断熱用、農林水産用、スポーツ・雑貨用等を挙げることができる。
【0041】
[合成木材]
本発明においては、発泡性粒子を、合成木材の範疇に入る低発泡フォームとすることもできる。
ここで、「合成木材([Artificial woods])」というのは、当業者間における俗称であって、正式の定義は、未だ規定されてはいない。
欧米では、「構造用発泡製品[Structural foam]」と呼ばれているものが、ほぼこれに相当する。すなわち、スキン層をもった発泡倍率1.1〜4倍程度のプラスチック低発泡製品のことをいう。
合成木材は、世界的な木材不足の現象や、環境保護の観点から大いに期待されている素材である。成形法の選択により、合成木材は、、外観上は、天然木材と識別の困難なものも製造することが可能であり、家具材等の付加価値の高い用途へ応用できる。
合成木材の用途の具体例としては、例えば、まな板、すのこ、コンテナパレット、コンクリートパネル等を挙げることができる。
【0042】
[用途]
本発明の発泡性粒子から得られる発泡体は、本発明出願前に公知公用の発泡体の用途の代替えとしても用いることができる。特に本発明の発泡体は、土壌中の生分解性を有しており、回収困難又は使い捨ての発泡容器、緩衝(包装)材、土木産業用資材、農水産業用資材、レジャー用品に使用されている汎用樹脂発泡体の代替物として好適に使用することができる。
【0043】
▲1▼ 汎用用途
本発明の発泡性粒子から得られる発泡体は、例えば、弁当箱、食器、コンビニエンスストアで販売されるような弁当や惣菜の容器、カップラーメンのカップ、飲料の自動販売機で使用されるようなカップ、鮮魚・精肉・青果・豆腐・惣菜等の食料品用の容器やトレイ、鮮魚市場で使用されるようなトロバコ(水産用魚箱)、牛乳・ヨーグルト・乳酸菌飲料等の乳製品用の容器、炭酸飲料・清涼飲料等の容器、ビール・ウィスキー等の酒類ドリンク用の容器、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、保冷箱、植木鉢、テープ、テレビやステレオ等の家庭電化製品の輸送時に使用するための緩衝材・包装材、コンピューター・プリンター・時計等の精密機械の輸送時に使用するための緩衝材、カメラ・眼鏡・顕微鏡・望遠鏡等の光学機械の輸送時に使用するための緩衝材、ガラス・陶磁器等の窯業製品の輸送時に使用するための緩衝材、バラ状緩衝材(現場で詰め込める容易な包装材)、遮光材、断熱材(押出法ボード等)、防音材・遮音材(押出法ボード等)、押出法発泡シート(食料品関連用途ポリマーペーパー、プリパッケージ。主として、食品用の包装材・容器に応用される。)、発泡シートに非発泡フィルムを貼り合わせたもの、汚水炉過用フィルター、ネット状発泡体、発泡型物等としても好適に使用することができる。
【0044】
▲2▼ 発泡体の一般産業用途及びレクリクエーション用途
本発明の発泡性粒子から得られる発泡体は、農業、漁業、林業、工業、建設土木業、運輸交通業を包含する一般産業用途及びレジャー、スポーツを包含するリクエーション用途に好適に用いることができる。例えば、農業用寒冷紗、オイル吸収材、軟弱地盤補強材、人工皮革、フロッピーディスクの裏地、土嚢用袋、断熱材、防音材、クッション材、ベッド・椅子等の家具用クッション材、床用クッション材、包装材、結束材、ぬかるみ・雪道用滑り止め材等として好適に用いることができる。
【0045】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明の技術範囲を超えない限り、これに限定されるものではない。
[物性の評価]
製造例、実施例中の乳酸系ポリマーの重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)、発泡性粒子の結晶化度、及び発泡体の賦形性、強度は以下に示す方法により測定した。
▲1▼ 重量平均分子量
脂肪族ポリエステル(A)の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により以下の条件で測定した。
装置 :島津LC−IOAD
検出器:島津RID−6A
カラム:日立化成GL−S350DT−5、GL−S37ODT−5
溶媒 :クロロホルム
濃度 :1%
注入量:20μl
流速 :10ml/min
【0046】
▲2▼ ガラス転移温度(Tg),融点(Tm)
示差走査熱量分析装置(島津製作所製、DSC−50)にて成形体を10℃/minの条件下で昇温した時のゴム状に変わる点をガラス転移点(Tg)、融解ピークの頂点を融点(Tm)とした。
▲3▼ 結晶化度
X線回折装置(理学電機製、Rint1500型)にて測定し、得られたチャートの結晶ピーク面積の総面積に対する比率を求めた。
【0047】
▲4▼ 賦形性
発泡成形体の型形状の再現性を目視で観察した。
○・・・良。
△・・・コーナー部の賦形があまい。
×・・・不良。
【0048】
▲5▼ 強度
発泡成形体の強度について、以下の分類を行った。
○・・・強固である。
△・・・少し脆い。
×・・・脆い。
【0049】
C.実施例及び比較例
[製造例1] 〈ポリマーA(ポリL−ラクタイド)の製造〉
L−ラタタイド100重量部及びオクタン酸第一錫0.01部と、ラウリルアルコール0.03部を、攪拌機を備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ封入し、真空で2時間脱気した後窒素ガスで置換した。この混合物を窒素雰囲気下で攪拌しつつ200℃で3時間加熱した。温度をそのまま保ちながら、排気管及びガラス製受器を介して真空ポンプにより徐々に脱気し反応容器内を3mmHgまで減圧にした。脱気開始からl時間後、モノマーや低分子量揮発分の留出がなくなったので、容器内を窒素置換し、容器下部からポリマーをストランド状に抜き出してペレット化し、L−ラクタイドのホモポリマー(ポリマーA)を得た。収率は78%、重量平均分子量Mwは、13.6万であった。
【0050】
[製造例2] 〈ポリマーB(ポリL−乳酸)の製造〉
Dien−Starkトラップを設置した100リットルの反応器に、90%Lー乳酸10kgを150℃/50mmHgで3時間攪拌しながら水を留出させた後、錫末6.2gを加え、150℃/30mmHgでさらに2時間攪拌してオリゴマー化した。このオリゴマーに錫末28.8gとジフェニルエーテル21.1kgを加え、150℃/35mmHg共沸脱水反応を行い、留出した水と溶媒を水分離器で分離して溶媒のみを反応器に戻した。2時間後、反応器に戻す有機溶媒を46kgのモレキュラシーブ3Aを充填したカラムに通してから反応器に戻るようにして、150℃/35mmHgで40時間反応を行い、重量平均分子量14.6万のポリ乳酸の溶液を得た。この溶液に脱水したジフェニルエーテル44kgを加え、希釈した後40℃まで冷却して、析出した結晶を瀘過し、10kgのn−ヘキサンで3回洗浄して60℃/50mmHgで乾燥した。この粉末を0.5N−HCl 12kgとエタノールl2kgを加え、35℃でl時間攪拌した後瀘過し、60℃/50mmHgで乾燥して、白色粉末のポリ乳酸6.lkg(収率85%)を得た。このポリ乳酸(ポリマーB)の重量平均分子量Mwは、14.5万であった。
【0051】
[製造例3] 〈コポリマーC(ポリブチレンサクシネート/ポリ乳酸共重合体)の製造〉
1,4−ブタンジオール50.5gとコハク酸66.5gにジフェニルエーテル293.0g)金属錫2.02gを加え、130℃/140mmHgで7時間系外に水を留出しながら加熱攪拌しオリゴマー化した。これに、Dean−Stark trapを取り付け、140℃/30mmHgで8時間共沸脱水を行いその後、モレキュラーシーブ3Aを40g充填した管を取り付け、留出した溶媒がモレキュラーシーブ管中を通って反応器に戻るようにし、130℃/17mmHgで49時間攪拌した。その反応マスを600mlのクロロホルムに溶かし、4リットルのアセトンに加え再沈した後、HClのイソプロピルアルコール(以下IPAと略す)溶液(HCI濃度0.7wt%)で0.5時間スラッジングし(3回)、IPAで洗浄してから減圧下60℃で6時間乾燥し、ポリブチレンサクシネート(以下PSBと略す)を得た。このポリマーの重量平均分子量Mwは、11.8万であった。
得られたポリブチレンサクシネート40.0gに、製造例2と同様な方法で得られたポリ乳酸160.0g(重量平均分子量Mwは2.0万)、ジフェニルエーテル800g)金属錫0.7gを混合し、再び130℃/17mmHgで20時間脱水縮合反応を行った。反応終了後、製造例2と同様に後処理を行い、ポリブチレンサクシネートとポリ乳酸とのコポリマー188g(収率94%)を得た。このポリブチレンサクシネートとポリ乳酸とのコポリマー(コポリマーC)の重量平均分子量Mwは14.0万であった。
【0052】
[製造例4] 〈コポリマーD(ポリカプロン酸/ポリ乳酸共重合体)の製造〉
乳酸のかわりに、6−ヒドロキシカプロン酸を用いた他は製造例2と同様な方法で反応を行った結果、ポリカプロン酸(重量平均分子量Mwは15.0万)を得た。次に得られたポリカプロン酸10.0gとポリ乳酸190.0g(重量平均分子量Mwは10.0万)を用い製造例4と同様な方法で行い、ポリカプロン酸とポリ乳酸とのコポリマ(コポリマーD)を得た。収率は92%、重量平均分子量Mwは15.3万であった。
【0053】
[実施例1]
乳酸系ポリマーとしてポリ乳酸(ポリマーA)10kg、分散剤(B)としてふすま(麩)10kgをヘンシェルミキサーを用い十分に混合し、2軸押出機にて溶融混練し、更に発泡剤として水を一定の割合[10重量部/(ポリ乳酸とふすま(麩)との混合物100重量部)]で押出機の途中から注入した。ダイスの先端より出てくるストランドを、氷を入れた水槽に直ちに通じ急冷した。得られたストランドはペレタイザーにてカットし、粒径3mmのペレット(発泡性粒子)を得た。
得られた発泡性粒子中のポリ乳酸成分の結晶化度は0%であった。
この発泡性粒子を空気の出入り穴を付した厚さ2mmの鉄板で作った金型(縦*横*高さ=100mm*50mm*20mm)に挿入した後、空気穴より110℃の熱風を通じ発泡させ、粒子同士を相互に融着し、次いで冷却した。金型を開け、得られた発泡成形体を取り出し、その賦形性、強度を評価した。結果を表−1に示す。
【0054】
[実施例2〜5及び比較例1〜5]
実施例2〜5及び比較例1〜5は、乳酸系ポリマー、分散剤、発泡剤の種類、量及び発泡成形時の成形条件を変えた他は、実施例1と同様にして行った。結果を表−1[表1]、表−2[表2]に示す。
【0055】
[比較例1〜6]
比較例1〜6は、乳酸系ポリマー、分散剤、発泡剤の種類、量及び発泡成形時の成形条件を変えた他は、実施例1と同様にして行った。結果を表−2[表2]に示す。
【0056】
【表1】
Figure 0003773342
【0057】
【表2】
Figure 0003773342
【0058】
【発明の効果】
本発明に係る発泡性粒子を成形加工することにより、従来の技術では得ることが困難であった高発泡倍率の発泡体を得ることができるばかりでなく、型内で発泡させることより任意な形の発泡成形加工品を得ることができる。
上記発泡成形加工品は、生分解性を有しており、回収や再利用が困難な発泡(成形)体、使い捨ての発泡容器、更には緩衝材、土木産業用資材、農水産業用資材、レジャー用品に使用されている発泡成形体の代替物として好適に使用することができる
上記発泡成形加工品は、少なくとも以下の〈1〉〜〈7〉の優れた性質を有する。
〈1〉 軟質とすることも、硬質とすることもできる。
〈2〉 熱伝導率が低く、断熱性がよい(省エネルギー効果)。
〈3〉 分解性である。
〈4〉 耐熱性と耐油性性に優れている。
〈5〉 焼却しても、有害物質が発生しにくい。
〈6〉 無毒、無臭である。
〈7〉 加工性に優れている。

Claims (10)

  1. 脂肪族ポリエステル(A)、分散剤(B)、及び、発泡剤(C)を含有し、かつ、脂肪族ポリエステル(A)の結晶化度が20%以下であり、脂肪族ポリエステル(A)と分散剤(B)の合計重量を基準として、脂肪族ポリエステル(A)が30〜70重量%、及び、分散剤(B)が70〜30重量%であり、脂肪族ポリエステル(A)と分散剤(B)の合計100重量部を基準として、発泡剤(C)が1〜30重量部である樹脂組成物からなり、脂肪族ポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)以下の温度範囲で加熱したときに発泡する機能を有する発泡性粒子。
  2. 脂肪族ポリエステル(A)が、乳酸系ポリマーである、請求項1に記載した発泡性粒子。
  3. 分散剤(B)が、ふすま(麩)である、請求項1又は2に記載した発泡性粒子。
  4. 発泡剤(C)が、揮発性発泡剤である、請求項1乃至3の何れかに記載した発泡性粒子。
  5. 揮発性発泡剤が、水である、請求項4に記載した発泡性粒子。
  6. 揮発性発泡剤が、常温常圧(25℃、1気圧)では、液相であり、かつ、脂肪族ポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)以下の温度範囲で加熱したときに、常圧(1気圧)において、液相から気相に相転移する機能を有するものである、請求項4に記載した発泡性粒子。
  7. 脂肪族ポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)以下の温度範囲で加熱したときの発泡倍率が、1.1〜100倍である、請求項1乃至6の何れかに記載した発泡性粒子。
  8. 平均粒子直径が、0.1〜30mmである、請求項1乃至7の何れかに記載した発泡性粒子。
  9. 請求項1乃至8の何れかに記載した発泡性粒子を、型内で、脂肪族ポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)以下の温度範囲で加熱して得られる発泡成形体。
  10. 請求項1乃至8の何れかに記載した発泡性粒子を、脂肪族ポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)以下の温度範囲で加熱して製膜して得られる、発泡シート。
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