JP4522000B2 - 発泡体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡体に関するものである。更に詳しくは、優れたクッション性を有し、かつ機械特性、寸法安定性、耐熱性、衝撃吸収性にも優れ、かつケミカルリサイクルが可能な発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン発泡体は、世界的にも国内的にも最も生産量の多い樹脂発泡体であり、優れたクッション性、耐熱性、衝撃吸収性、吸音性、軽量性等を生かして各種シート、クッション材、衣料、帽子、履物、緩衝材等に使用されている。
しかしながら、ポリウレタン発泡体は使用後の再使用が困難である。すなわち、ポリウレタンは解重合が困難であり、しかも焼却するとNOX 等の有毒ガスが発生するのでケミカルリサイクル、エネルギーリサイクルしにくいという問題がある。
【0003】
また、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略記する)は、機械的特性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性等に優れているので、繊維を初め、射出成型品、ブロー成型品、フィルム等に広く使用されている。更に、PETに代表されるポリエステルは、解重合が容易でケミカルリサイクルが可能であり、回収されたモノマーは再利用することが可能である。しかしながら、PETは発泡体としてはあまり使用されていない。これは粘度の温度依存性が高すぎるので発泡工程で適性粘度を確保することができず、良好な発泡体を得ることができなかったからである(特開平5−117501号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
もしポリウレタン発泡体もしくはそれ以上の優れたクッション性、耐熱性、衝撃吸収性、吸音性等の特性を有し、しかもPETのようなケミカルリサイクルが可能な発泡体を得ることができれば、高性能で環境にやさしい発泡体を提供することができるものの、そのような発泡体は知られていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、優れたクッション性を有し、かつ機械特性、寸法安定性、耐熱性、衝撃吸収性にも優れ、かつケミカルリサイクルが可能な発泡体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々のポリマーの発泡特性を検討した結果、ポリトリメチレンテレフタレート系ポリマーの発泡体が優れた特性を有する可能性を見い出し、更に発泡成形技術を詳細に検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、30重量%以上がトリメチレンテレフタレート単位であり、極限粘度が0.4〜2.5dl/g、かつ末端カルボン酸量が2〜50m当量/kgポリマーであるトリメチレンテレフタレート系ポリマーから構成された発泡体であって、見かけ密度が0.001〜1.2g/cm3 であることを特徴とする発泡体を提供するものである。
【0006】
本発明において用いる「発泡体」なる語の概念には、樹脂の内部に多くの空隙(「気泡」、「ボイド」、「マイクロボイド」、「キャビティー」、「セル」等の語が有する概念をも包含する。)が存在する、見かけ密度の小さい、樹脂の連続相中に、空隙相(空隙は連続のものも、独立のものも含む)が混在した、二相構造又は多相構造を有する樹脂構造体を包含し、例えば、細胞構造を有する高分子、発泡高分子、膨張高分子、高分子発泡体、高分子フォーム等の構造体と認識されるもの一般を包含し、軟質のものも硬質のものも包含する。
【0007】
本発明の発泡体に用いるポリマーは、ポリマー重量の30重量%以上がトリメチレンテレフタレート単位であるトリメチレンテレフタレート系ポリマーであることが必要である。
このポリマーを選択することが本発明の大きな特徴となっている。以下、その理由を示す。
本発明でのトリメチレンテレフタレート系ポリマーは、テレフタル酸もしくはその低級アルコールエステルと1,3−プロパンジオールを重縮合して得られたポリトリメチレンテレフタレート(以下「PTT」と略記する)が基本骨格となる。PTTもPETと同様に下記の繰り返し単位を有するポリエステルであり、PETよりもメチレン基が一つだけ長い化学構造であるが、その物理的、化学的性質は全く異なる。
PTTの繰り返し単位:-OC φ COOCH2CH2CH2O-
PETの繰り返し単位:-OC φ COOCH2CH2O-
【0008】
例えば、PTTの結晶は大きくZ字状に曲がり、しかもわずかな力で結晶の伸縮が起こる。また、結晶弾性率は2.5GPaしかないが、結晶化速度が著しく高い。これに対し、PETの結晶はほぼ伸びきった鎖構造を有しており、結晶の伸縮は起こりにくい。また、結晶弾性率は110GPaもあるが、結晶化速度は極めて遅い。そこで、PTTはPETとは異なり、発泡する時に気泡の広がりに応じて容易に結晶化が進行し伸縮しやすい結晶が多く発生する傾向が強く、その結果優れたクッション性が発現される。また、結晶化度が低い場合であっても、PTTの場合は非晶もバネのように伸縮しやすいので、PET等の伸びきった鎖構造を取りやすいポリマーに対比して、優れたクッション性を示す。更に、PTTの化学構造はベンゼン環を有する線状ポリエステルなので、機械特性、寸法安定性、耐熱性に優れ、かつアルコールや水を作用させることにより容易にモノマーに解重合すること、すなわちケミカルリサイクルが可能である。
【0009】
本発明に用いるポリマーは、テレフタル酸もしくはその低級アルコールエステル、1,3−プロパンジオール以外のエステル形成性モノマーの繰り返し単位を70重量%未満の範囲で共重合させてもよい。ただし、後述する平均分子量が200〜100000のポリアルキレングリコール以外のコモノマーの共重合比率は、クッション性、耐衝撃性、耐熱性の観点から10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
【0010】
共重合するエステル形成性モノマーとしては、テレフタル酸もしくはその低級アルコールエステル、1,3−プロパンジオール以外であれば、ジオール、ジカルボン酸、ジカルボン酸エステル、ジカルボン酸アミド、オキシカルボン酸等、特に制限はない。エステル形成性モノマーの具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、2−ナトリウムスルホ−4−ヒドロキシ安息香酸、5−スルホイソフタル酸テトラブチルホフホニウム等のジカルボン酸及びそれらジカルボン酸のメタノール等の低級アルコールエステル、オキシ酢酸、オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸及びそれらオキシカルボン酸のメタノール等の低級アルコールエステル、更には平均分子量が200〜100000のポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールであってもよい。また、必要に応じて2種類以上のエステル形成性モノマーを共重合させてもよい。共重合比率としては、ポリアルキレングリコールを共重合しない場合は、クッション性と耐熱性の兼ね合いから10重量%以下が好ましく、更に好ましくは5重量%以下である。
【0011】
共重合成分のうち、平均分子量が200〜100000のポリアルキレングリコールを共重合すると、PTTが持つストレッチ性といわゆるハードセグメントとソフトセグメントから形成されるストレッチ性が相まって、一層優れたクッション性が発現できる。このようなポリアルキレングリコールとしては、平均分子量が400〜25000のポリアルキレングリコールが好ましく、特に好ましくは平均分子量が1000〜20000、最も好ましくは1000〜6000のポリアルキレングリコールである。また、ポリアルキレングリコールの共重合比率としては、クッション性と耐熱性のバランスから、ポリマー重量中の10〜60重量%が好ましく、特に好ましくは30〜60重量%である。
【0012】
本発明の発泡体の極限粘度[η]は、発泡体の強度、耐久性を持たせるために、0.4〜2.5dl/gであることが必要である。極限粘度が0.4dl/g未満では強度や耐久性が低くなり、2.5dl/gより大きくなると、発泡成形が困難となり、良好な発泡体は得られない。特に、好ましくは、0.6〜1.5dl/gである。本発明における発泡体の極限粘度[η]は、後述する発明の実施の形態の項の(1)項記載の測定方法で測定した値である。
本発明の発泡体の末端カルボン酸量は、発泡成形で着色や分子量低下が起こらなくするために2〜50m当量/kgポリマーであることが必要である。末端カルボン酸量が2m当量/kgポリマー未満では、極限粘度が本発明の範囲のポリマーを得ることができない。末端カルボン酸量が50m当量/kgポリマーを越えると、熱安定性が悪くなりすぎて、発泡工程での分子量低下や着色が起こる。好ましくは7〜30m当量/kgポリマーの範囲である。
【0013】
本発明の発泡体の見かけ密度は、クッション性、耐衝撃性、強度が優れるという観点から0.001〜1.2g/cm3 であることが必要である。0.001g/cm3 未満では気泡部分が多くなりすぎて耐衝撃性や強度が低くなる。1.2g/cm3 を越えると気泡部分が少なすぎてクッション性が悪くなる。好ましくは0.005〜1.0g/cm3、更に好ましくは0.01〜0.7g/cm3 であり、最も好ましくは0.015〜0.5g/cm3 の範囲である。
また、本発明の発泡体の結晶化度は、クッション性、圧縮強度の観点から、5〜35%が好ましい。特に好ましくは、10〜30%である。
【0014】
本発明の発泡体の製造方法としては特に制限はないが、予め揮発型発泡剤を含浸させたポリマーを射出成形に供しても、あるいは射出成形機に発泡剤を供給する別ラインをつけ、該ラインから揮発型発泡剤をフィードし、射出成形をしてもよい。この場合は、揮発型発泡剤は超臨界状態で、溶融した樹脂と完全相溶であることが好ましい。また射出成形後、結晶化度を向上させ、クッション性、圧縮強度を高めるために、熱処理してもよい。熱処理温度としては50〜220℃、更に好ましくは70〜200℃の範囲である。
【0015】
本発明において、ポリマーの溶融温度はポリマーの(融点+10)〜(融点+50)℃で溶融することが、発泡性の向上、分子量低下や着色を抑制できるので好ましい温度範囲である。
本発明において、射出成形等の成形前、あるいは成形中に、ポリマーに予め揮発型発泡剤を接触、吸収させる圧力には特に限定されない。具体的には通常0.1〜30MPa、好ましくは0.5〜25MPa、より好ましくは1〜21MPaの範囲である。0.1MPa未満の減圧下で行っても発泡効果は少ない。30MPaを超えると装置的なコストが高くなる場合がある。
【0016】
揮発型発泡剤の具体例としては、例えば、窒素、炭酸ガス、アルゴン、水等不活性化合物発泡剤、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、プロピレン、石油エーテル、ペンタン類(n−ペンタン、2,2−ジメチルプロパン、1−ペンテン、シクロペンタン等)、ヘキサン類(n−ヘキサン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、シクロヘキサン等)、ヘプタン類(n−ヘプタン、2,2−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3−エチルペンタン、1−ヘプテン等)、トルエン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、トリクロロフルオロメタン、メタノール、2−プロパノール、イソプロピルエーテル、メチルエチルケトン等脂肪族炭化水素系発泡剤、塩化メチル、ジクロロエタン、クロロホルム、フルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロエタン、クロルトリフルオロメタン、ジクロルジフルオロメタン、フルオロクロロエタン、ジクロルテトラフルオロエタン等が挙げられる。フルオロカーボン類の具体例としては、例えば、フロン(R−11、R−12)、代替フロン(R−134a)、CFC−11、CFC−12、CFC−113、CFC−114等のCFCシリーズのフロン(フレオン)ハロゲン化炭化水素系発泡剤等が挙げられる。本発明においては、揮発型発泡剤としては、一般的には、安全性と経済性、地球環境安全性を兼ね備えた揮発性発泡剤である炭酸ガスや水が特に好ましい。
【0017】
本発明においては、揮発型発泡剤の添加量は、発明の目的を損なうものでなければ特に制限されない。本発明においては、揮発型発泡剤の添加量は、発泡成形時の目的とする発泡倍率や発泡剤によっても異なるが、一般的には、ポリマー重量に対して、1〜30重量%が好ましく、3〜27重量%がより好ましく、5〜25重量%が更に好ましい。通常、1重量%未満だと発泡しなくなったり不均一になったりする傾向があり、逆に30重量%を超えると、過剰に添加した効果がないばかりか、外観不良や気泡の径が不均一になる等の問題が生ずる場合があり好ましくはない。
【0018】
本発明では、発泡性の向上や発泡体の物性を目的(例えば、発泡性の向上、発泡体の軟質性、引張強度、耐熱性、耐候性等の向上)に沿わせるために、必要に応じて各種添加剤(核剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、無機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料等滑剤、分散剤)等を添加することができる。核剤の具体例としては、例えば、酸化チタン、タルク、カオリン、クレー、珪酸カルシウム、シリカ、クエン酸ソーダ、炭酸カルシウム、珪藻土、焼成パーライト、ゼオライト、ベントナイト、ガラス、石灰石、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸第二鉄等が挙げられる。発泡体中のこれらの添加剤の含有量としては、目的に応じて任意に設定できるが、通常は0.01〜50重量%、好ましくは、0.2〜35重量%である。これらの添加剤はポリマーの重合中、あるいは射出成形機の中でポリマーと混練して混ぜてもよく、その添加方法は公知の方法を用いることができる。
【0019】
また、発泡体の機械特性、結晶化特性、発泡性を改良するために、他の樹脂を混合してもよい。そのような樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、ウレア樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン樹脂等、公知のものを使用してよく、この混合比率も目的に応じて任意に設定できる。好ましくは、1〜50重量%である。
【0020】
こうし得られた発泡体は、クッション性、耐衝撃性、断熱性などに優れているため各種包装・梱包材、建築用・工業用断熱材、家具、自動車クッション材、内装材、生活用品、スポーツ用品、健康用品、農業用資材などに好適に使用される。用途により、発泡体中の空胞が隣接空胞と小孔で通じている(連続気泡)状態にあることが望まれる場合と、個々の空胞が独立して存在する(独立気泡)ことが望まれる場合もあり、どちらでもよい用途もある。発泡体は、2〜3倍の低発泡から10〜20倍の中発泡、30〜50倍(場合により、30〜100倍)の高発泡とすることができる。
【0021】
【発明の実施形態】
以下、実施例などを挙げて本発明をより具体的に説明するが、言うまでもなく本発明は実施例などにより何ら限定されるものでない。尚、実施例中の主な測定値は以下の方法で測定した。
(1)極限粘度
極限粘度[η]は、オストワルド粘度管を用い、35℃、o−クロロフェノールを溶媒として用いた時のポリマー溶液の比粘度ηspと濃度C(g/100ml)の比(ηsp/C)を濃度ゼロに外挿し、以下の式に従って求めた。
[η]=lim(ηsp/C)
C→0
【0022】
(2)融点
融点は、Perkin Elmer社製 Pyris 1 DSC(入力補償型示差走査熱量計)を用い、昇温速度20℃/min、窒素雰囲気下で測定した。
(3)末端カルボン酸量([−COOH])
末端カルボン酸量は、ポリマー1gにベンジルアルコール25mlを加え、窒素雰囲気下で200℃で15分加熱し、その後、フェノールフタレイン指示薬を3滴、クロロホルム25mlを添加した後、0.02Nの水酸化カリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、末端カルボン酸量を求めた。
【0023】
(4)見かけ密度
発泡体を70℃で乾燥し、恒量値に達した時の重量を体積で除して求めた。基本的な測定は、JIS−A−9513に準じて測定した。
(5)結晶化度
広角X線回折装置にて測定し、得られた回折図の結晶ピーク面積の総面積に対する比率を求めた。
【0024】
【実施例1】
テレフタル酸ジメチル1300重量部、1,3−プロパンジオール144重量部、チタンブトキシド1.3重量部を反応釜に仕込み、220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応率は、95%であった。エステル交換反応終了後、次いで、チタンテトラブトキシド0.52重量部、トリメチルホスフェート0.65重量部を添加し、30分攪拌後、1,3−プロパンジオールを留去しながら、0.1〜0.5torrの真空度で260℃で4時間重縮合反応を行った。得られたPTTの極限粘度は0.92dl/g、末端カルボン酸量は32m当量/kgポリマー、融点は228℃であった。
【0025】
得られたPTTを乾燥して、水分率を20ppmにした。このポリマーを265℃で溶融し、PTT重量に対して20重量%に相当する二酸化炭素を圧縮機を通じて18MPaに加圧して、PTTが完全溶融したところに供給した。均一になった溶融樹脂は、50mm×50mmの金型に押し出した。その後、110℃で加熱後、発泡体を取り出した。
得られた発泡体の極限粘度は0.89dl/g、末端カルボン酸量は42m当量/kgポリマー、融点は228℃、密度は0.12g/cm3 、結晶化度は15%であり、クッション性に富み、表面が美麗で均一かつ微細な気泡が存在する良質の発泡体であった。
【0026】
【実施例2】
二酸化炭素の量を20重量%から10重量%に変えた以外はは実施例1を繰り返した。
得られた発泡体の極限粘度は0.87dl/g、末端カルボン酸量は41m当量/kgポリマー、融点は228℃、密度は0.43g/cm3 、結晶化度は7%であり、クッション性に富み、表面が美麗で均一かつ微細な気泡が存在する良質の発泡体であった。
【0027】
【実施例3】
PTTの5重量%に相当する炭酸水素ナトリウムを添加し、更に発泡剤を二酸化炭素の代わりにPTT重量に対して4重量%に相当するn−ブタンに変えた以外は実施例1と同様にして発泡体を作成した。
得られた発泡体の極限粘度は0.89dl/g、末端カルボン酸量は38m当量/kgポリマー、融点は228℃、密度は0.36g/cm3 、結晶化度は23%であり、クッション性に富み、表面が美麗で均一かつ微細な気泡が存在する良質の発泡体であった。
【0028】
【比較例1】
テレフタル酸ジメチル1300重量部、1,3−プロパンジオール144重量部、チタンブトキシド1.3重量部を反応釜に仕込み、220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応率は、95%であった。エステル交換反応終了後、チタンテトラブトキシド0.52重量部、トリメチルホスフェート0.65重量部を添加し、30分攪拌後、1,3−プロパンジオールを留去しながら、0.1〜0.5torrの真空度で280℃で4時間重縮合反応を行った。得られたPTTの極限粘度は0.82dl/g、末端カルボン酸量は50m当量/kgポリマー、融点は228℃であった。
得られたPTTを用いて実施例1と同じ方法で発泡体を作成した。
得られた発泡体の極限粘度は0.81dl/g、末端カルボン酸量は55m当量/kgポリマー、融点は226℃、密度は0.24g/cm3 、結晶化度は20%であり、クッション性は実施例1に対比して劣っており、黄色く着色していた。また、発泡過程で分解が起こったためか、やや異臭がした。
【0029】
【比較例2】
極限粘度が0.65のPETを用いて、285℃で溶融する以外は実施例1と同様にして、発泡体を作成した。
得られた発泡体は、あまり発泡しておらずクッション性が極めて悪いものであった。
【実施例4】
実施例1のエステル交換反応終了後に、平均分子量1800のポリテトラメチレングリコールを添加し、共重合比率が60重量%の共重合PTTを得た。
得られた共重合PTTから、発泡温度を250℃にした以外は実施例1と同様にして発泡体を作成した。
得られた発泡体の極限粘度は1.24dl/g、末端カルボン酸量は25m当量/kgポリマー、密度は0.15g/cm3 、結晶化度は8%であった。得られた発泡体のクッション性は実施例1よりも更に優れ、表面も美麗で均一かつ微細な気泡が存在する良質の発泡体であった。
【0030】
【実施例5】
極限粘度0.78dl/g、末端カルボン酸量7m当量/kgポリマーのポリトリメチレンテレフタレートにPTT重量に対してタルク0.5重量%を添加し、265℃で溶融後、n−ブタンをPTT重量に対して0.065molの割合で圧入した。これをスリットから押し出し、厚みが3mm、幅500mmの発泡シートを得た。
得られた発泡体の極限粘度は0.75dl/g、末端カルボン酸量は11m当量/kgポリマー、密度は0.36g/cm3 、結晶化度は23%であり、クッション性に富み、表面が美麗で均一かつ微細な気泡が存在する良質の発泡体であった。
【0031】
【実施例6】
実施例1の発泡体を100重量部、1,3−プロパンジオールを300重量部、酢酸ナトリウム0.1重量部を加え、200℃で8時間加熱した。反応後、1,3−プロパンジオールを減圧蒸留して回収し、更に生成したビス(3−ヒドロキシプロピル)テレフタレート100重量部にメタノール500重量部、炭酸ナトリウム0.2重量部を加え、10時間環流加熱した。
得られた反応溶液を精留し、テレフタル酸ジメチルを85%の回収率で、また1,3−プロパンジオールを87%の回収率で回収した。
こうして得られた回収モノマーのガスクロマトグラフでの純度は99.9%以上であった。
このように本発明のPTTの発泡体は、容易にケミカルリサイクルすることが可能である。
【0032】
【発明の効果】
本発明の発泡体は、これまで公知の発泡体では得られない優れたクッション性、機械特性、寸法安定性、耐熱性、衝撃吸収性を有し、かつケミカルリサイクルが可能な環境にもやさしい発泡体である。
本発明の発泡体は、農業、漁業、林業、工業、建設土木業、運輸交通業を包含する一般産業用途及びレジャー、スポーツを包含するリクリエーション用途に好適に用いることができる。例えば、自動車用いす、家庭用いす、ベッド、床用等のクッション材、農業用寒冷紗、オイル吸収材、軟弱地盤補強材、人工皮革、フロッピーディスクの裏地、土嚢用袋、断熱材、防音材、包装材、結束材、ぬかるみ・雪道用滑り止め材等として好適に用いることができる。
【0033】
また、例えば、弁当箱、食器、コンビニエンスストアで販売されるような弁当や惣菜の容器、カップラーメンのカップ、飲料の自動販売機で使用されるようなカップ、鮮魚・精肉・青果・豆腐・惣菜等の食料品用の容器やトレイ、鮮魚市場で使用されるようなトロバコ(水産用魚箱)、牛乳・ヨーグルト・乳酸菌飲料等の乳製品用の容器、炭酸飲料・清涼飲料等の容器、ビール・ウィスキー等の酒類ドリンク用の容器、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、保冷箱、植木鉢、テープ、テレビやステレオ等の家庭電化製品の輸送時に使用するための緩衝材・包装材、コンピューター・プリンター・時計等の精密機械の輸送時に使用するための緩衝材、カメラ・眼鏡・顕微鏡・望遠鏡等の光学機械の輸送時に使用するための緩衝材、ガラス・陶磁器等の窯業製品の輸送時に使用するための緩衝材、バラ状緩衝材(現場で詰め込める容易な包装材)、遮光材、断熱材(押出法ボード等)、防音材・遮音材(押出法ボード等)、押出法発泡シート(食料品関連用途ポリマーペーパー、プリパッケージ。主として、食品用の包装材・容器に応用される。)、発泡シートに非発泡フィルムを貼り合わせたもの、汚水炉過用フィルター、ネット状発泡体、発泡型物等としても好適に使用することができる。
Claims (3)
- 30重量%以上がトリメチレンテレフタレート単位であり、極限粘度が0.4〜2.5dl/g、かつ末端カルボン酸量が2〜50m当量/kgポリマーであるトリメチレンテレフタレート系ポリマーから構成された発泡体であって、見かけ密度が0.001〜1.2g/cm3 であることを特徴とする発泡体。
- 見かけ密度が0.015〜0.5g/cm3 であることを特徴とする請求項1記載の発泡体。
- トリメチレンテレフタレート系ポリマーが、平均分子量が400〜25000のポリアルキレングリコールを30〜70重量%共重合したポリトリメチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1記載の発泡体。
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