JP2014181254A - ポリ乳酸系樹脂、およびそれを用いた成形体、発泡体 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂、およびそれを用いた成形体、発泡体 Download PDF

Info

Publication number
JP2014181254A
JP2014181254A JP2013055196A JP2013055196A JP2014181254A JP 2014181254 A JP2014181254 A JP 2014181254A JP 2013055196 A JP2013055196 A JP 2013055196A JP 2013055196 A JP2013055196 A JP 2013055196A JP 2014181254 A JP2014181254 A JP 2014181254A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polylactic acid
meth
resin
polymerization
acid resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013055196A
Other languages
English (en)
Inventor
Azusa Usui
あづさ 臼井
Kyosuke Yamamoto
恭介 山本
Junichi Mitsui
淳一 三井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2013055196A priority Critical patent/JP2014181254A/ja
Publication of JP2014181254A publication Critical patent/JP2014181254A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】発泡成形に適した溶融張力を有するポリ乳酸系樹脂を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸(A)とヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)とが共有結合を介して結合してなるポリ乳酸系樹脂であって、(B)の重合度が200以上であり、(B)のヒドロキシ基1個あたりの重合度が1.4〜4.0、(A)100質量部に対して(B)が0.5〜2.5質量部含まれることを特徴とするポリ乳酸系樹脂、および、190℃における溶融張力が30mN〜1Nであることを特徴とする前記ポリ乳酸系樹脂。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種溶融成形、特に発泡成形に適した溶融張力を有するポリ乳酸系樹脂およびそれを用いた成形体、発泡体に関する。
従来からプラスチックは、ボトル、トレー、各種容器、各種成形品として多くの分野で用いられている。これらのプラスチックは、ほとんどが生分解性を有していないため、廃棄物処理が必要であるという問題がある。また、投棄されたプラスチック類により、景観が損なわれることに加え、海洋生物の生活環境が破壊される等の問題がある。
このような背景のもと生分解性プラスチックが盛んに研究されている。中でも、生分解性を有する脂肪族ポリエステルの研究は実用化段階まで進捗している。しかしながら、生分解性を有する脂肪族ポリエステルは、汎用の樹脂に比べて、耐熱性、溶融粘度が低く、また結晶化が遅いために各種成形加工の際にドローダウンを起こしたり、発泡成形の際に十分な発泡倍率が得られなかったりするという問題がある。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1〜4では、生分解性樹脂と酸無水物やポリイソシアネート等を溶融混練して架橋構造を導入する方法、あるいは過酸化物の存在下で生分解性樹脂と反応性化合物を溶融混練して架橋構造を導入する方法が提案されている。
特許文献5〜7では、それぞれ、3官能または4官能のヒドロキシ基含有モノマーを開始剤として重合されたポリ乳酸系樹脂、重合度が20以下のポリグリセリンを開始剤として重合されたポリ乳酸系樹脂、末端にヒドロキシ基を含有するポリウレタンを開始剤として重合されたポリ乳酸系樹脂が開示されている。
特開平11−60928号公報 特許第2571329号公報 特開2000−17037号公報 特開2003−128901号公報 特開2011−252102号公報 特開2008−222768号公報 特開平10−101778号公報
しかしながら、特許文献1〜4の方法においては、重合後のポリ乳酸に架橋構造を導入する必要があるため、樹脂組成物を得るのにコンパウンド工程が必須となり、コスト的に不利である。また、ポリイソシアネートは高温条件下で取り扱う際に、モノマーや低分子量体がガスとして発生するため、環境的への負荷が大きいという問題がある。
特許文献5〜7のポリ乳酸系樹脂は、それぞれ、分子鎖間の絡まりが不十分であったり、分岐鎖の数が多すぎ分岐鎖の密集により分子鎖の絡み合いが少なかったり、ポリウレタン部位の占める割合が高くポリ乳酸鎖の長さが短かったりするため、各種溶融成形、特に発泡成形に適した十分な溶融張力を有していないという問題がある。
本発明の課題の第一は、発泡成形に適した溶融張力を有するポリ乳酸系樹脂を提供することである。さらに、本発明の課題の第二は、安定した発泡性能を示すポリ乳酸系樹脂を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、開始剤として特定のヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーを用いてラクチドを重合させることにより、各種成形用途、特に、発泡成形に適した十分な溶融張力を有し、かつ発泡性能を安定的に発現させることができるポリ乳酸系樹脂を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)ポリ乳酸(A)とヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)とが共有結合を介して結合してなるポリ乳酸系樹脂であって、(B)の重合度が200以上であり、(B)のヒドロキシ基1個あたりの重合度が1.4〜4.0、(A)100質量部に対して(B)が0.5〜2.5質量部含まれることを特徴とするポリ乳酸系樹脂。
(2)190℃における溶融張力が30mN〜1Nであることを特徴とする(1)記載のポリ乳酸系樹脂。
(3)融点より10℃高い温度での伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度曲線において、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)として定義される歪み硬化係数が、1.3〜50であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリ乳酸系樹脂。
(4)残存ラクチド量が0.1質量%以下であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂。
(5)ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)が、(メタ)アクリル系モノマーを50モル%以上含有する(1)〜(4)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂。
(6)ポリ乳酸(A)のD体含有量が、1.0モル%以下または99.0モル%以上であることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂。
(7)(1)〜(6)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂を用いてなるポリ乳酸系樹脂成形体。
(8)(1)〜(6)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂を用いてなるポリ乳酸系樹脂発泡体。
(9)重合触媒存在下、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーを開始剤として、ラクチドを重合する工程を含むことを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂の製造方法。
本発明によれば、各種溶融成形に適した十分に高い溶融張力を有するポリ乳酸系樹脂を提供することができる。また、本発明のポリ乳酸系樹脂は、歪み硬化係数が高いため、発泡成形に適しており、発泡倍率の高い発泡体を得ることができる。さらに、D体含有量を1.0モル%以下または99.0モル%以上とすることによって、耐熱性の高い発泡成形体を得ることができる。また、本発明のポリ乳酸系樹脂は、発泡成形等に用いる場合に酸無水物等の架橋剤をさらにコンパウンドする必要がなく、製造工程を簡略化することができる。
さらに、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーはラクチドとの相溶性が高いため、ポリ乳酸の重合をより均一に進行させることができる。そのため、得られるポリ乳酸系樹脂の発泡性能を向上させることができる。
歪み硬化係数の求め方の概略図である。 降温時等温結晶化速度指数の求め方の概略図である。 結晶化度指数の求め方の概略図である。
本発明のポリ乳酸系樹脂は、ポリ乳酸(A)とヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)とが共有結合を介して結合してなる樹脂である。
ポリ乳酸(A)は、ラクチドを重合したものから構成される。ラクチドは、L−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド、D−ラクチドとL−ラクチドの混合物であるDL−ラクチドのうち一種以上から選ばれる。
本発明のポリ乳酸系樹脂のD体含有量は、ポリ乳酸を構成する乳酸成分100モル%に対して、1.0モル%以下または99.0モル%以上とすることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂のD体含有量を前記範囲とすることにより、融点が向上し、降温時等温結晶化速度指数を小さくすることができる。ひいては、耐熱性の高い発泡成形体を得ることができる。用いるラクチドのD体含有量は、得られるポリ乳酸系樹脂のD体含有量を前記範囲とすることができれば、特に限定されない。ポリ乳酸系樹脂と用いるラクチドのD体含有量は、重合中にラクチドがごく微量ラセミ化する場合があるため、若干値が異なる場合がある。ポリ乳酸系樹脂のD体含有量は、0.6モル%以下または99.4モル%以上であることがより好ましい。
高分子量のポリ乳酸系樹脂を重合するためには、ラクチド中に含まれる遊離酸量は、30meq/kg以下とすることが好ましく、20meq/kg以下とすることがより好ましく、10meq/kg以下とすることがさらに好ましく、5meq/kg以下とすることが最も好ましい。遊離酸量を30meq/kg以下とすることにより、重合時の遊離酸によるポリマーの分解を抑制することができる。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、(メタ)アクリル系モノマーを主成分として重合したポリマーであって、その構造中にヒドロキシ基を有するポリマーである。(メタ)アクリル系モノマーは、(メタ)アクリル基を有するモノマーである。(B)において、ヒドロキシ基は主鎖にあってもよいし、側鎖にあってもよく、それぞれの鎖中にあってもよいし、末端にあってもよい。また、(B)は、コポリマーであることが好ましく、コポリマーの場合、(B)は、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーと、ヒドロキシ基を有しない(メタ)アクリル系モノマーから構成されていることが好ましい。(B)には、(メタ)アクリル系モノマー以外のモノマーを共重合していてもよい。ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマー、ヒドロキシ基を有しない(メタ)アクリル系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー以外のモノマーにおいて、(メタ)アクリル基やヒドロキシ基は、複数含まれていてもよい。また、(B)において、これらのモノマーは、ランダム、ブロック状、グラフト状いずれの状態で結合されていてもよい。(B)において、(メタ)アクリル系モノマーは、50モル%以上であることが好ましい。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル2−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレートが挙げられる。中でも、汎用性や経済性といった点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。なお、これらは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
ヒドロキシ基を有しない(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシメチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノプロピルが挙げられる。中でも、汎用性や経済性といった点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。なお、これらは、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
(メタ)アクリル系モノマー以外のモノマーとしては、例えば、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、2−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、アリルアセテート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−オクチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水マレイン酸、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、プロピレン、イソブチレンが挙げられる。
上記の組み合わせの中でも、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーとしては、汎用性や経済性といった点から、メチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体が好ましい。メチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体の場合、メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートのモル比率は、40/60〜70/30が好ましく、40/60〜60/40がより好ましい。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーは、原料モノマーに、ラジカル開始剤を添加して重合反応をおこなうことによって得ることができる。重合方法としては、例えば、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合、溶液重合が挙げられる。ラジカル開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。必要に応じてアミン類のような促進剤を併用してもよい。重合は、通常、使用するラジカル開始剤や重合反応の方式等によって、常温〜200℃程度の範囲で適宜設定され、必要に応じて多段階の温度条件で重合をおこなってもよい。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)におけるヒドロキシ基1つあたりの重合度は、1.4〜4.0とすることが必要で、1.4〜3.0とすることが好ましく、1.4〜2.5とすることがより好ましい。1.0〜4.0の範囲とすることにより、一分子の開始剤から伸長するポリ乳酸鎖の数が他の開始剤分子から伸長したポリ乳酸鎖と絡まりために十分な量となることから、本発明のポリ乳酸系樹脂の溶融張力が高くなり、発泡的性に優れた樹脂を得ることができる。なお、4.0以上であると、得られるポリ乳酸系樹脂中の分岐鎖の数が少なすぎるため、分子鎖の絡み合いが少なくなり、溶融張力が低すぎるものとなるので好ましくない。一方、1.0以下であると、得られる樹脂の分岐鎖の数が多すぎるため、分岐鎖が密集しすぎて分子鎖の絡み合いが少なく、溶融張力が低すぎるものとなるため好ましくない。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、ラクチドとの相溶性が高いため、(B)を開始剤とした場合、ポリ乳酸の重合を均一に進行させやすい。そのため、得られるポリ乳酸系樹脂の発泡性能を安定して発現させることができる。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)としては、例えば、東亜合成社製のArufon UH−2000シリーズを用いることができる。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)中のヒドロキシ基は、ヒドロキシ基1つあたりの重合度の値を調整するため、公知の方法により、ヒドロキシ基の一部を封鎖してもよい。例えば、酸無水物やエポキシ基を有する化合物と反応させることによりヒドロキシ基を封鎖することができる。
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)の重合度は、200以上であることが好ましく、200〜1000であることがより好ましく、250〜900であることがさらに好ましい。重合度が200未満の場合、得られる樹脂の分岐鎖の広がりが不十分であるため、溶融張力が低すぎるものとなるため好ましくない。一方、重合度が1000を超えると、得られる樹脂の溶融粘度が高くなり、この結果、溶融張力が高すぎるものとなるため好ましくない。
本発明のポリ乳酸系樹脂において、ポリ乳酸(A)100質量部に対してヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)が0.5〜2.5質量部含まれることが必要であり、1.0〜2.5であることが好ましい。(A)100質量部に対する(B)が0.5質量部よりも少ない場合、分岐鎖の分子量が高すぎ、得られる樹脂の溶融粘度が高くすぎるものとなるため好ましくない。このため、溶融加工時の装置への負荷が高く押出しが困難となり、操業性が低下したりコストが高くなったりする。また、分子鎖同士の絡み合いが多いため、溶融張力が高くなりすぎ、発泡しにくくなる。一方、(A)100質量部に対する(B)が3質量部よりも多い場合、分岐鎖が短すぎ、得られる樹脂の溶融粘度が低すぎるものとなるため好ましくない。また、分子鎖の絡み合いが少なくなるため、溶融張力が低くなりすぎ、発泡しにくくなる。
本発明のポリ乳酸系樹脂は、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)を開始剤として重合触媒存在下ラクチドを溶融開環重合することにより作製することができる。また、必要に応じて、前記溶融開環重合の途中で低重合物を取り出し、これを固相重合してもよい。
溶融開環重合に用いる重合触媒としては、例えば、スズ、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、チタン、ゲルマニウム、マンガン、マグネシウム、稀土類元素を含有する化合物が挙げられ、中でも、触媒活性の高さ、副反応の少なさの点から、スズまたはアルミニウムを含有する化合物が好ましい。スズまたはアルミニウムを含有する化合物としては、例えば、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第二スズ、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、テトラフェニルスズ、スズメトキシド、スズエトキシド、スズプロポキシド、スズブトキシド、ジエトキシスズ、ジノニルオキシスズ、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトシキド、アルミニウム−イミン錯体が挙げられる。中でも、ミリスチン酸スズ、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、スズメトキシド、スズエトキシド、スズプロポキシド、スズブトキシド、ジエトキシスズ、ジノニルオキシスズが好ましく、触媒活性が高いことから、オクチル酸スズがさらに好ましい。重合触媒の添加量は、ラクチドとヒドロキシ変性ポリオレフィン(B)の合計100質量部に対して、0.001〜1質量部とすることが好ましく、0.003〜0.1質量部とすることがより好ましく、0.003〜0.02質量部とすることがさらに好ましい。重合触媒の添加量を0.001〜1質量部とすることにより、適度な重合速度で、着色が少ない樹脂を得ることができる。
溶融開環重合の反応温度は、170〜230℃とすることが好ましく、170〜210℃とすることがより好ましく、180〜200℃とすることがさらに好ましい。反応温度を170〜230℃とすることにより、適当な重合速度で、着色が少ない樹脂を得ることができる。
溶融開環重合をおこなう反応容器としては、特に限定されないが、ヘリカルリボン翼、高粘度用攪拌翼等を備えた縦型反応器、横型反応器を、単独または並列して用いることができる。また、反応容器は、連続式、回分式、半回分式いずれでもよく、これらの組み合わせであってもよい。
溶融開環重合の際、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、重合温度よりも低い温度にて溶融させるか、ラクチドの溶融液に溶解させてから重合をおこなうことが好ましい。(B)を溶融させずに、あるいはラクチドに溶解させずに重合をおこなった場合、不均一な状態で重合することとなるため、重合反応を制御することが困難となる場合がある。
溶融開環重合の途中で低重合物を取り出し、これを固相重合する場合、低重合物は、融着防止の点から、低重合物のガラス転移温度以上融点未満の温度にて予め結晶化させておくことが好ましい。
固相重合の反応温度は、低重合物のガラス転移温度以上融点未満であることが好ましい。反応温度は、重合の進行に伴い段階的に昇温させてもよい。
固相重合をおこなう反応容器としては、特に限定されないが、例えば、縦型反応器、横型反応容器、タンブラー、ロータリーキルンが挙げられる。
固相重合の際、固相重合中に生成する水を効率的に除去するため、減圧下または不活性ガス気流下でおこなってもよい。
得られたポリ乳酸系樹脂は、通常、ペレット、棒状等に加工して用いることができる。
溶融開環重合により得られたポリ乳酸系樹脂組成物には、通常1質量%以上のラクチドが残留する。これらのラクチドは、公知のラクチド減量法により除去することができる。ラクチド減量法としては、例えば、一軸あるいは多軸押出機において真空脱揮する方法、反応容器内で真空脱揮する方法、アセトン処理する方法が挙げられ、中でも、アセトン処理する方法が好ましい。
アセトン処理とは、重合後のポリ乳酸系樹脂をアセトンで洗浄することである。具体的には、ポリ乳酸系樹脂とアセトンとの質量比を1:1〜1:3とし、攪拌翼等によって30分以上の攪拌をおこなう方法である。攪拌時の温度は、0〜60℃とすることが好ましく、10〜40℃とすることがより好ましく、20〜30℃とすることがさらに好ましい。攪拌時の温度が60℃を超える場合、アセトンの沸点を超えているため、アセトンの揮発が大きくなる。0℃未満の場合、アセトンの冷却をする必要があるため、コスト的に不利となる。攪拌翼の攪拌速度は、50〜1000rpmとすることが好ましく、100〜500rpmとすることがより好ましく、150〜300rpmとすることがさらに好ましい。攪拌速度が1000rpmを超える場合、攪拌速度が速すぎ、樹脂同士が激しくぶつかることによってダストの発生が多くなる場合がある。一方、攪拌速度が50rpm未満の場合、アセトン中に抽出されるラクチド量が少なくなり、処理時間が長時間となる場合がある。なお、このアセトン洗浄工程を複数回繰り返すと、未反応ラクチドの除去効率が特に向上する。
アセトンを溶媒として使用することにより、未反応ラクチドを抽出すると同時に、ポリ乳酸系樹脂の結晶化速度を向上させることができる。
アセトンは比較的安価な溶媒でありコスト的に有利であり、また、ラクチドだけでなく、ポリ乳酸系樹脂中の低分子オリゴマーの抽出も可能である。
本発明のポリ乳酸系樹脂のラクチドの含有量は、0.2質量%以下とすることが好ましく、0.1質量%以下とすることがより好ましく、0.07質量%以下とすることがさらに好ましく、0.05質量%以下とすることが最も好ましい。ラクチドの含有量を0.2質量%以下とすることにより、成形加工時の発煙を抑制することができ、ラクチドモノマーによる成形品の加水分解を抑制することができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂の融点は、160〜180℃であることが好ましく、165〜180℃であることがより好ましい。本発明のポリ乳酸系樹脂の融点は、ポリ乳酸系樹脂のD体含有量に大きく依存し、D体含有量を1.0モル%以下、または、99.0モル%以上とすることにより融点が高くなる。
本発明のポリ乳酸系樹脂の190℃における溶融張力は、30mN〜1Nであることが好ましく、50mN〜800mNであることがより好ましく、100mN〜500mNであることがさらに好ましい。溶融張力が30mN未満の場合、各種溶融成形時にドローダウンする場合がある。また、発泡成形した場合、切れたり、破れたりする場合がある。一方、溶融張力が1Nを超える場合、成形流動性が著しく低下する場合がある。また、発泡成形した場合、樹脂が伸びなかったりする場合がある。
本発明のポリ乳酸系樹脂の190℃、荷重2.16kgfにおける溶融粘度は、0.1〜50g/10分であることが好ましく、0.2〜20g/10分であることがより好ましく、0.5〜10g/10分であることがさらに好ましい。溶融粘度が0.1g/10分未満の場合、成形流動性が著しく低下し、操業性が低下する場合がある。一方、溶融粘度が50g/10分を超える場合、各種溶融成形時にドローダウンする場合がある。また、発泡成形した場合、成形体の機械的特性や耐熱性が劣る場合がある。
本発明のポリ乳酸系樹脂の歪み硬化係数は、1.3〜50であることが好ましく、1.5〜30であることがより好ましい。歪み硬化係数が1.3未満の場合、各種溶融成形時に、ドローダウンする場合がある。また、発泡成形した場合、切れたり、破れたりする場合がある。一方、歪み硬化係数が50以上の場合、成形流動性が著しく低下し、操業性が低下する場合がある。また、発泡成形した場合、樹脂が伸びなかったりする場合がある。
本発明のポリ乳酸系樹脂の降温時等温結晶化速度指数は、50分以下であることが好ましく、30分以下であることがより好ましい。降温時等温結晶化速度指数は指数が小さいほど、降温時における結晶化が速いことを意味する。降温時等温結晶化速度指数が50分よりも高いと、冷却時に結晶化するのに時間がかかりすぎ、希望する成形体の形状が得られなかったり、射出成形等でのサイクルタイムが長くなったりと、生産性が悪くなる場合がある。本発明のポリ乳酸系樹脂の降温時等温結晶化速度指数は、ポリ乳酸系樹脂のD体含有量に大きく依存し、D体含有量を1.0モル%以下、または、99.0モル%以上とすることにより、結晶化速度が速くなり、降温時等温結晶化速度指数が小さくなる。
本発明のポリ乳酸系樹脂を用いた発泡体の発泡倍率は、10倍以上であることが好ましく、20倍以上であることがより好ましい。発泡倍率が10倍未満の場合、発泡体の特長である軽量性や耐衝撃性、クッション性等が不十分となる場合がある。発泡倍率が高いほど上記特長の性能が増すため、上限は特に限定されないが、概ね80倍を超える場合には、気泡が粗大となりすぎる傾向がある。
本発明のポリ乳酸系樹脂を用いた発泡体の結晶化度指数は35J/g以上であることが好ましく、40J/g以上であることがより好ましく、45J/g以上であることがさらに好ましい。結晶化度指数は、値が大きいほど、発泡体の結晶化度が高いことを示し、より高い耐熱性を有していることを意味する。本発明のポリ乳酸系樹脂の結晶化度指数は、ポリ乳酸系樹脂のD体含有量に大きく依存し、D体含有量を1.0モル%以下、または、99.0モル%以上とすることにより、結晶化しやすくなり、結晶化度指数が高くなる。また、発泡加工時に、例えば80〜140℃の金型を用いて十分結晶化を進行させることにより、発泡体の結晶化度指数を高くすることができる。また、発泡成形加工後に、発泡体を熱処理して結晶化を進行させることにより、発泡体の結晶化度指数を高くすることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、さらに熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、架橋剤、結晶核剤、発泡核剤、末端封鎖剤、分散剤、充填材、顔料、耐候剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、耐衝撃改良剤等の添加剤を配合してもよい。これらの添加剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。なお、本発明のポリ乳酸系樹脂にこれらの添加剤を配合する方法は特に限定されない。
熱安定剤や酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物、およびこれらの混合物が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、イオウ系難燃剤、酸系難燃剤が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、有機過酸化物、2官能以上の(メタ)アクリル酸エステル化合物、2官能以上のエポキシ化合物、2官能以上のビニル化合物、およびこれらの混合物が挙げられる。
結晶核剤としては、例えば、タルク、カオリン、クレー等の無機結晶核剤、ソルビトール化合物、安息香酸およびそれらの化合物の金属塩、リン酸エステル金属塩、ロジン化合物、アミド化合物としてエチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスアクリル酸アミド、エチレンビスアクリル酸アミド、ヘキサメチレンビス−9,10−ジヒドロキシステアリン酸ビスアミド、p−キシリレンビス−9,10ジヒドロキシステアリン酸アミド、デカンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、ヘキサンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアニリド、N,N′,N″−トリシクロヘキシルトリメシン酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアニリド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、N,N′−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N′−ジシクロヘキサンカルボニル−1,5−ジアミノナフタレン、エチレンビスステアリン酸アミド、N,N′−エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミド、オクタンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド等の有機結晶核剤が挙げられる。
発泡核剤としては、例えば、酸化チタン、タルク、カオリン、クレー、珪酸カルシウム、シリカ、クエン酸ソーダ、炭酸カルシウム、珪藻土、焼成パーライト、ゼオライト、ベントナイト、ガラス、石灰石、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸第二鉄、ポリテトラフルオロエチレン粉末が挙げられる。
末端封鎖剤としては、例えば、カルボジイミド、オキサゾリン、エポキシ樹脂が挙げられる。
分散剤としては、例えば、流動パラフィン、ミネラルオイル、クレオソート油、潤滑油、シリコーンオイル等の工業用オイル、コーン油、大豆油、菜種油、パーム油、亜麻仁油、ホホバ油等の植物油、イオン性およびノニオン性の界面活性剤が挙げられる。
充填材としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等の無機充填材、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリイミド繊維、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の有機充填材が挙げられる。
本発明のポリ乳酸系樹脂は、溶融張力が十分に高いため、発泡成形、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形、圧空成形、真空圧空成形、真空成形等の各種成形に用いることができる。中でも、本発明のポリ乳酸系樹脂は、歪み硬化係数が十分に高いため、発泡成形に特に好適に用いることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂から発泡成形体を製造する際の発泡成形法について述べる。発泡成形法としては、例えば、押出発泡法、ビーズ発泡法、またはこれらの複合法を挙げることができる。具体的には、樹脂にあらかじめ樹脂の溶融温度で分解する分解型発泡剤をブレンドしたものを押出機に投入するか、直接押出機に揮発型発泡剤を注入して、スリット状ノズルまたは丸形ノズルから押出し、シートまたはストランドを得る方法(押出発泡法)、あらかじめポリ乳酸系樹脂の微粒子を作製し、炭化水素、有機溶媒、水等上記に示した発泡剤を加圧下にて含浸させた後、温度や圧力の変化で発泡させて発泡微粒子を作製し、さらに型内発泡成形により発泡成形体を得る方法(ビーズ発泡法)、押出発泡法により作製した発泡ストランドを切断して発泡粒子とし、型内発泡成形に供する方法(複合法)が挙げられる。押出発泡法に用いる分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ヒドラジカルボンアミド等のヒドラジン化合物、炭酸水素ナトリウム等の無機系発泡剤を挙げることができる。また、押出発泡法に用いる揮発型発泡剤としては、例えば、窒素、二酸化炭素、水等の無機化合物、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等の各種炭化水素、フロン化合物、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、エタノールやメタノール等の各種アルコール類に代表される有機溶媒を挙げることができる。シリンダー温度は、ポリ乳酸系樹脂の融点(Tm)または流動開始温度(Tf)以上であることが好ましく、180〜230℃とすることがより好ましく、190〜220℃とすることがさらに好ましい。ノズルの温度は、130〜190℃とすることが好ましく、140〜180℃とすることがより好ましい。
本発明の発泡体および発泡成形体は、その軽量性、耐熱性、断熱性、耐衝撃性、クッション性、遮音性を活かして、例えば、包装材、梱包材、緩衝材、断熱材、保温材、保冷材、消音材、吸音材、防音材、制振材、建材、クッション材、資材、容器等に用いることができる。具体例な用途としては、例えば、ソファ、ベッドマット、椅子、寝具、マットレス、電灯カバー、ぬいぐるみ、スリッパ、クッション、ヘルメット、カーペット、枕、靴、ポーチ、マット、クラッシュパッド、スポンジ、文具、玩具、DIY用品、パネル、畳芯材、マネキン、自動車内装部材・クッション、カーシート、デッドニング、ドアトリム、サンバイザー、自動車用制振材・吸音材、スポーツ用マット、フィットネス用品、スポーツ用プロテクター、ビート板、グラウンドフェンス、レジャーシート、医療用マットレス、医療用品、介護用品、リハビリ用品、建築用断熱材、建築目地材、面戸材、建築養生材、反射材、工業用トレー、チューブ、パイプカバー、エアコン断熱配管、ガスケット芯材、コンクリート型枠、土木目地、つらら防止パネル、保護材、軽量土、盛土、人工土壌、梱包材・包装資材、梱包資材、ラッピング、生鮮品・野菜・果物等の梱包材・包装材、電子機器等の梱包材・緩衝包装材、生鮮品・野菜・果物等の保温・保冷箱、カップラーメン・弁当箱等の食品容器、食用トレー、飲料容器、農業用資材、発泡模型、スピーカ用振動板が挙げられる。
次に、本発明のポリ乳酸系樹脂から押出成形体を製造する際の押出成形法について述べる。押出成形法としては、例えば、Tダイ法、丸ダイ法を挙げることができる。押出温度はポリ乳酸系樹脂のTmまたはTf以上とすることが好ましく、180〜230℃とすることがより好ましく、190〜220℃とすることがさらに好ましい。押出温度が低すぎると成形が不安定になり、過負荷に陥る場合がある。一方、押出温度が高すぎるとポリ乳酸系樹脂が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、着色したりする場合がある。ダイの温度は、140〜220℃とすることが好ましく、160〜200℃とすることがより好ましい。押出成形により、シートやパイプ等を作製することができるが、これらの耐熱性を高める目的で、ポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度(Tg)以上、(Tg−20℃)以下で熱処理してもよい。
押出成形法により製造されるシート、パイプは、例えば、深絞り成形用原反シート、バッチ式発泡用原反シート、クレジットカード等のカード類、下敷き、クリアファイル、ストロー、農業・園芸用硬質パイプとすることができる。深絞り成形用原反シートは、さらに、真空成形、圧空成形、および真空圧空成形等の深絞り成形をおこなうことにより、例えば、食品用容器、農業・園芸用容器、ブリスターパック容器、プレススルーパック容器とすることができる。食品用容器としては、例えば、生鮮食品のトレー、インスタント食品容器、ファーストフード容器、弁当箱が挙げられ、農業・園芸用容器としては、例えば、育苗ポットが挙げられ、ブリスターパック容器としては、例えば、食品、事務用品、玩具、乾電池等の包装容器が挙げられる。
次に、本発明のポリ乳酸系樹脂からブロー成形体を製造する際のブロー成形法について述べる。ブロー成形法としては、例えば、直接成形をおこなうダイレクトブロー法、射出成形で予備成形体(有底パリソン)を成形後にブロー成形をおこなう射出ブロー成形法、延伸ブロー成形を挙げることができる。また予備成形体成形後に連続してブロー成形をおこなうホットパリソン法、いったん予備成形体を冷却し取り出してから再度加熱してブロー成形をおこなうコールドパリソン法のいずれの方法も採用できる。ブロー成形温度は(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)とすることが好ましい。ブロー成形温度が(Tg+20℃)未満では成形が困難になったり、得られる容器の耐熱性が不十分となる場合がある。一方、ブロー成形温度が(Tm−20℃)を超えると、偏肉が生じたり、粘度低下によりブローダウンする場合がある。
次に、本発明のポリ乳酸系樹脂から射出成形体を製造する際の射出成形法について述べる。射出成形法としては、一般的な射出成形法を採用することができ、発泡射出成形、射出プレス成形等も採用できる。射出成形時のシリンダー温度は、TmまたはTf以上であることが好ましく、180〜230℃とすることがより好ましく、190〜220℃とすることがさらに好ましい。シリンダー温度が低すぎると成形時にショートショットが発生したりして成形が不安定になったり、過負荷に陥る場合がある。一方、シリンダー温度が高すぎると、ポリ乳酸系樹脂が分解し、得られる成形体の強度が低下したり、着色したりする場合がある。射出成形時の金型温度は(Tm−20℃)以下にすることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂の耐熱性を高める目的で、金型内で結晶化を促進する場合は、(Tg+20℃)〜(Tm−20℃)で所定時間保った後、Tg以下に冷却することが好ましい。後結晶化する場合は、直接Tg以下に冷却した後、再度Tg〜(Tm−20℃)で熱処理することが好ましい。
上記射出成形法により得られる射出成形品としては、例えば、乳製品、清涼飲料水、酒類等の飲料用コップおよび飲料用ボトル、醤油、ソース、マヨネーズ、ケチャップ、食用油等の調味料の一時保存容器、シャンプー・リンス等の容器、化粧品用容器、農薬用容器等の流動体用容器、皿、椀、鉢、箸、スプーン、フォーク、ナイフ等の食器、容器用キャップ、定規、筆記具、クリアケース、CDケース等の事務用品、台所用三角コーナー、ゴミ箱、洗面器、歯ブラシ、櫛、ハンガー等の日用品、植木鉢、育苗ポット等の農業・園芸用資材、プラモデル等の各種玩具類、エアコンパネル、冷蔵庫トレイ、各種筐体等の電化製品用樹脂部品、バンパー、インパネ、ドアトリム等の自動車用樹脂部品が挙げられる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.原料
実施例および比較例に用いた原料は以下の通りである。
A.ラクチド
・L−ラクチド
東京化成社製、D体含有量=0.06モル%、遊離酸量=3meq/kg
・DL−ラクチド
東京化成社製、D体含有量=50モル%、遊離酸量=3meq/kg
B.ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー
・開始剤a
温度計、マグネチック撹拌子、ジムロート冷却器を備えた200ミリリットルの3口フラスコに、メチルメタクリレート(三菱ガス化学社製)を7.5g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱ガス化学社製)を12.5g、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(和光純薬工業社製V−601)を0.07g、無水エタノールを78.9g仕込み、撹拌子を600rpmで回転させた状態で90℃に保ったオイルバス中に投入し、エタノールを還流させながら3時間重合をおこなった。反応液を室温まで冷却し、それを、反応液の20倍量の水中にゆっくりと滴下し、ポリマーの再沈殿をおこなった。得られたポリマーをヌッチェにより濾過し、水洗をおこなった後、80℃で48時間乾燥させて開始剤aを得た。
・開始剤b〜g
表1のように、メチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの比率を変更する以外は、開始剤aの製造方法と同様の操作をおこなって、開始剤b〜gを得た。
・開始剤h、i
2−ヒドロキシエチルメタクリレートをN−ヒドロキシメチルアクリルアミドに変更し、表1にように比率を変更した以外は、開始剤aの製造方法と同様の操作をおこなって、開始剤h、iを得た。
開始剤の組成と特性値を表1に示す。
C.その他の開始剤
・アクトフロー UT−3001、ヒドロキシ基を含むアクリル系ポリマー、重合度=14、重合度/(ヒドロキシ基の数)=3.9
綜研化学社製
・1−デカノール
キシダ化学社製、重合度=1、重合度/(ヒドロキシ基の数)=1.0
・PVA
日本酢ビ・ポバール社製JP−05、ポリビニルアルコール、重合度=150、重合度/(ヒドロキシ基の数)=1.0
D.重合触媒
・オクチル酸スズ
吉富ファインケミカル社製 スタノクト
E.酸化防止剤
・HP−10
ADEKA社製 HP−10、2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−(2−エチルへキシルオキシ)−6H,12H−5,7−ジオキサ−6−ホスファジベンゾ[a,d]シクロオクテン
2.分析方法
測定方法は以下の通りである。
(1)数平均分子量
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー7〜8mgをHFIP5mgに溶解後、0.45μmフィルターで濾過したサンプルを、東ソー社製ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて、以下の条件で測定した。
検出器:東ソー社製 示差屈折率検出器RI−8020
カラム:東ソー社製 TSKgel GMHHR−N
溶離液:トリフルオロ酢酸ナトリウムを0.1モル%含有するヘキサフルオロイソプロパノール
流速:0.4mL/分
測定温度:40℃
標準試料:Agilent Technologies社製 ポリメチルメタクリレート Easi Vial PM(登録商標)
(2)開始剤の重合度および、重合度/(ヒドロキシ基の数)
ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー約5mgを0.7mLのDMSO−d(ユーリソトップ社製)に溶解し、日本電子社製のNMR装置にてH−NMR分析(測定周波数:500MHz、パルス条件:7.25μS、データポイント:16384、周波数範囲:9384Hz、積算回数:32回、測定温度:25℃)をおこない、各成分の組成比を決定した。
重合度は、(1)で求めた数平均分子量をユニットあたりの分子量で除して算出した。なお、ユニットあたりの分子量は、Σ{(モノマー残基の分子量)×(モノマーの含有量)}とした。
(ヒドロキシ基の数)は、Σ{(重合度)×(ヒドロキシ基を含むモノマーの含有量)×(ヒドロキシ基を含むモノマーあたりのヒドロキシ基の数)}の式により算出した。
なお、ポリ乳酸とヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーが共重合したポリ乳酸系樹脂における開始剤の重合度および[重合度/(ヒドロキシ基の数)]、ポリ乳酸系樹脂を構成するポリ乳酸(A)とヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)の質量比を求める場合は、ポリ乳酸系樹脂について、上記H−NMR分析、下記のGC−MS分析、および、(メタ)アクリル系ポリマーの主鎖構造部分のみを分離しそれについて上記GPC分析等をすることにより求めることができる。
[GC−MS分析]
パイロライザー
装置:アジレント・テクノロジー社製ダブルショット・パイロライザーPY−2020iD
熱分解温度:600℃
GC
装置:Agilent社製6890N
カラム:UA5(MS/HT)−30M−0.25F (30m×0.25mmID)、df=0.25μm (#1206113H)
キャリアガス:ヘリウム
初期流量:1.0mL/分 (コンスタントフロー)
注入口:温度 250℃
スプリット比:30:1
ライナー:GLサイエンス フォーカスライナー
昇温条件:50℃(2分)−(20℃/分)−170℃(0分)−(50℃/分)−320℃(8分) [ランタイム 19.0 分]
MS
装置:Agilent 5975C
溶媒待ち時間:0分
質量範囲:5.0〜650.0
[ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーの主鎖構造部分のみの分離方法]
撹拌機、ジムロート冷却器を備えた500mLフラスコに、ポリ乳酸系樹脂5gと、1Nの水酸化ナトリウムを含むメタノール/ジメチルスルホキシド=1/4(v/v)溶液250mLを入れて、還流下で10分間加熱撹拌する。その後、この溶液を室温にまで放冷し、少量のトリフルオロ酢酸を加え透明溶液を得る。得られた透明溶液にジエチルエーテルを加えて樹脂を沈殿させ、遠心分離機により上澄み液を除去し、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーの主鎖構造部分のみを単離する。
その後、単離したヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーの主鎖構造部分をジエチルエーテルまたは水等の貧溶媒を用いて数回洗浄し、その後、80℃で24時間真空乾燥し残留溶媒を留去する。このような操作をすることにより、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーの主鎖構造部分のみを単離することができる。
(3)D体含有量
ポリ乳酸系樹脂0.3gを1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mLに加え、65℃にて充分撹拌した後、硫酸450μLを加えて、65℃にて撹拌し、分解させた。この分解物5mL、純水3mL、および塩化メチレン13mLを混合して振り混ぜ、静置分離後、下部の有機層を約1.5mL採取し、孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、HewletPackard社製HP−6890SeriesGCsystemを用いてガスクロマトグラフィ測定をおこなった。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合を算出し、これをD体含有量(モル%)とした。
(4)残存ラクチド量
ポリ乳酸系樹脂0.1gに、塩化メチレン9mL、内部標準液(2,6−ジメチル−γ
−ピロンの5000ppm溶液)1mLを加え、樹脂を溶解させた。この溶解液にシクロヘキサン40mlを添加し、樹脂を析出させ、その上澄み液約1.5mL採取した。孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、Agilent Technologies社製7890A GCSystemを用いてガスクロマトグラフィ測定をおこなった。
(5)融点
ポリ乳酸系樹脂7mgをサンプルとし、パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC―7を用いて、窒素気流中、昇温速度20℃/分で、200℃まで昇温し、結晶融解ピークのピークトップの温度を融点とした。
(6)溶融張力
東洋精機製作所製のキャピログラフ1C(シリンダーの内径9.55mm、オリフィスの内径1.0mm、長さ10.0mm)を用いて測定した。まず、シリンダーおよびオリフィスの設定温度を190℃とし、該シリンダー中にポリ乳酸系樹脂からなる測定試料を充填し、5分間放置してから、ピストン速度を10mm/分として190℃の溶融樹脂をオリフィスからストランド状に押出した。このストランドを、下方の直径40mmの張力検出用プーリーの円形ガイドを通過させながら巻き取り、この円形ガイドにかかる荷重を張力計で検出した。巻き取り速度を徐々に増加させていき、ストランドが破断したときの張力(すなわち測定可能な最大の張力)を溶融張力とした。
(7)溶融粘度
東洋精機製作所社製メルトインデクサーF−B01を用いて、JIS K7210に準拠して測定した。ヒドロキシ変性ポリオレフィンは、試験温度190℃、試験荷重2.16kgfの条件で測定し、ポリ乳酸系樹脂は、試験温度210℃、試験荷重2.16kgfの条件で測定した。
(8)歪み硬化係数
ポリ乳酸系樹脂を210℃でプレス成形することにより厚み1mmのシートを作製し、60mm×7mmのサイズに切断して試験片を作製した。
レオメトリック社製伸長粘度測定装置RMEを用いて、試験片の両端を金属ベルトクランプにより支持し、ポリ乳酸系樹脂の融点よりも10℃高い温度で、歪み速度0.1sec−1で測定サンプルに伸長変形を加え、変形中にピンチローラーにかかる応力(単位:Pa)を検出し、伸長粘度(単位:Pa・s)を求めた。得られた伸長時間と伸長粘度の両対数プロット(図1)において、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)を歪み硬化係数とした。
(9)降温時等温結晶化速度指数
ポリ乳酸系樹脂7mgをサンプルとし、パーキンエルマー社製示差走査熱量計DSC−7を用いて、窒素気流中、20℃から200℃まで昇温速度500℃/分で昇温し、200℃で5分間保持した後、200℃から110℃まで降温速度500℃/分で降温し、110℃で保持した。図2に示すように、110℃で保持した場合の結晶化ピーク(発熱)の等温開始からピークトップに至るまでの時間を、降温時等温結晶化速度指数とした。
(10)発泡倍率
ポリ乳酸系樹脂および発泡体の質量を測定し、次いでそれらの見かけ体積を、アルファ・ミラージュ社製湿式電子比重計EW−300SGを用いて測定した。質量と見かけ体積から見かけ密度を算出した。発泡倍率は以下の式から算出した。
発泡倍率=(ポリ乳酸系樹脂の見かけ密度)/(発泡体の見かけ密度)
(11)結晶化度指標
発泡体7mgを熱風乾燥機にて、90℃で1時間熱処理した。このサンプル7mgを示差走査熱量計パーキンエルマー社製差走査熱量計DSC―7を用いて、窒素気流中、昇温速度20℃/分で、200℃まで昇温し、図3に示すように、結晶化熱量の絶対値ΔHc(J/g)と結晶融解熱量の絶対値ΔHm(J/g)を算出した。結晶化度指標は、以下の式から算出した。
結晶化度指標(J/g)= ΔHm − ΔHc
実施例1
[重合工程]
反応容器に、ラクチドを100質量部、開始剤として開始剤aを1.3質量部、酸化防止剤としてHP−10を0.3質量部仕込み、反応容器を窒素置換した。重合触媒としてオクチル酸スズ0.002質量部を投入後、窒素雰囲気下、130℃に昇温した。開始剤a以外の内容物が溶融した時点で、攪拌を開始し、内温をさらに160℃に昇温して、15分かけて開始剤aを溶融させた。その後、内温を190℃に昇温して5時間重合させた後、ポリ乳酸系樹脂を取り出した。
[ラクチド除去工程]
ポリ乳酸系樹脂を、140℃、40時間真空脱揮して残存ラクチドを除去した。
[発泡工程]
得られたポリ乳酸系樹脂と発泡剤としてのブタンを、温度200℃で圧力が4MPaになるようオートクレーブに封入し、そのまま1時間保持して発泡剤を含浸させた。続いて、オートクレーブ内の温度を150℃まで下げた後、30分保持した。その後、60秒かけて発泡剤を抜いて常圧に戻すことにより発泡させ、発泡体を得た。
実施例2〜7、比較例1〜6
実施例1の重合工程において、ラクチドとヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーの種類や量を表2に示すように変更してポリ乳酸系樹脂を得た。その後の工程については、実施例1と同様の操作をおこなって、発泡体を得た。
実施例8〜10
実施例1の重合工程において、ラクチドとヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーの種類や量を表2に示すように変更してポリ乳酸系樹脂を得た。次いで、ラクチド除去工程において、真空脱揮に代えて、ポリ乳酸系樹脂を30℃のアセトン溶媒中[ポリ乳酸系樹脂:アセトン(質量比)=1:2]で30分間攪拌し、その後、金網を用いてポリ乳酸系樹脂を濾別した。濾別したポリ乳酸系樹脂は、60℃で40時間乾燥させた。その後の発泡工程については、実施例1と同様の操作をおこなって、発泡体を得た。
表2に、得られたポリ乳酸系樹脂の組成およびラクチドの減量法、ポリ乳酸系樹脂の特性値、それから得られた発泡体の特性値を示す。
実施例1〜12のポリ乳酸系樹脂は、いずれも各種溶融成形に適した溶融張力を有していた。また、実施例1〜12のポリ乳酸系樹脂は、いずれも歪み硬化係数が本発明で規定する範囲であったため、発泡成形に適しており、発泡倍率の高い発泡体を得ることができた。
実施例1〜8、10〜12のポリ乳酸系樹脂は、D体含有量が1.0モル%以下であったため、実施例9のD体含有量が2.8モル%であるポリ乳酸系樹脂よりも、降温時等温結晶化速度指数が小さく、発泡体としたときの結晶化度指標が高かった。
実施例10〜12のポリ乳酸系樹脂は、アセトン処理によりラクチドを減量したため、それぞれ、実施例1〜3のポリ乳酸系樹脂よりも、残存ラクチド量が少なく、発泡体としたときの結晶化度指数が高かった。
比較例1のポリ乳酸系樹脂はヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーの重合度/(ヒドロキシ基の数)が、本発明で規定する範囲よりも大きかったため、ポリ乳酸系樹脂の分岐が十分ではなかった。このため、溶融張力が低く、得られた発泡体は、発泡倍率が低いものであった。
比較例2のポリ乳酸系樹脂はヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーの重合度が本発明で規定する範囲よりも小さかったため、分子鎖の広がりが十分ではなかった。このため、溶融張力が低く、得られた発泡体は、発泡倍率が低いものであった。
比較例3のポリ乳酸系樹脂は、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーの含有量が、本発明で規定する範囲よりも少なかったため、ポリ乳酸系樹脂の分岐鎖の分子量が高かった。このため、溶融粘度、溶融張力ともに低すぎ、それから得られる発泡体は、発泡倍率が低いものであった。
比較例4のポリ乳酸系樹脂は、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーの含有量が、本発明で規定する範囲よりも多かったため、ポリ乳酸系樹脂の分岐鎖の分子量が低かった。このため、溶融粘度、溶融張力ともに低すぎ、それから得られる発泡体は、発泡倍率が低いものであった。
比較例5のポリ乳酸系樹脂は、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマーのうち60モル%が(メタ)アクリル系モノマー以外のモノマーで構成されていたため、ラクチドとの相溶性が悪く、重合が進行していなかった。そのため、得られたポリ乳酸系樹脂の溶融張力が低く、またそれから得られた発泡体は、発泡倍率が低いものであった。
比較例6のポリ乳酸系樹脂は、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーの代わりにアクトフロー UT−3001を用いたため、ポリ乳酸系樹脂の分岐が十分ではなかった。このため、溶融張力が低く、得られた発泡体は、発泡倍率が低いものであった。
比較例7のポリ乳酸系樹脂は、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーの代わりにデカノールを用いたため、直鎖のポリ乳酸系樹脂が生成した。このため、溶融張力が低く、得られた発泡体は、発泡倍率が低いものであった。
比較例8のポリ乳酸系樹脂は、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーとしてポリビニルアルコールを用いたものである。Mn/(ヒドロキシ基の数)が本発明で規定する範囲よりも低かったため、ポリ乳酸系樹脂の分岐鎖の数が多く、分岐鎖が密集しすぎて分子鎖の絡み合いが少なかった。このため、溶融張力が低く、得られた発泡体は、発泡倍率が低いものであった。

Claims (9)

  1. ポリ乳酸(A)とヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)とが共有結合を介して結合してなるポリ乳酸系樹脂であって、(B)の重合度が200以上であり、(B)のヒドロキシ基1個あたりの重合度が1.4〜4.0、(A)100質量部に対して(B)が0.5〜2.5質量部含まれることを特徴とするポリ乳酸系樹脂。
  2. 190℃における溶融張力が30mN〜1Nであることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系樹脂。
  3. 融点より10℃高い温度での伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度曲線において、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)として定義される歪み硬化係数が、1.3〜50であることを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸系樹脂。
  4. 残存ラクチド量が0.1質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂。
  5. ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマー(B)が、(メタ)アクリル系モノマーを50モル%以上含有する請求項1〜4いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂。
  6. ポリ乳酸(A)のD体含有量が、1.0モル%以下または99.0モル%以上であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂を用いてなるポリ乳酸系樹脂成形体。
  8. 請求項1〜6いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂を用いてなるポリ乳酸系樹脂発泡体。
  9. 重合触媒存在下、ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリル系ポリマーを開始剤として、ラクチドを重合する工程を含むことを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂の製造方法。
JP2013055196A 2013-03-18 2013-03-18 ポリ乳酸系樹脂、およびそれを用いた成形体、発泡体 Pending JP2014181254A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013055196A JP2014181254A (ja) 2013-03-18 2013-03-18 ポリ乳酸系樹脂、およびそれを用いた成形体、発泡体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013055196A JP2014181254A (ja) 2013-03-18 2013-03-18 ポリ乳酸系樹脂、およびそれを用いた成形体、発泡体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014181254A true JP2014181254A (ja) 2014-09-29

Family

ID=51700291

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013055196A Pending JP2014181254A (ja) 2013-03-18 2013-03-18 ポリ乳酸系樹脂、およびそれを用いた成形体、発泡体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014181254A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3824547B2 (ja) 生分解性ポリエステル樹脂組成物、その製造方法、及びそれより得られる発泡体、成形体
JP4063856B2 (ja) 生分解性ポリエステル樹脂組成物の製造方法
JP4212643B2 (ja) 生分解性ポリエステル樹脂組成物、および、それより得られる成形体、発泡体、成形容器
KR100733652B1 (ko) 폴리에스테르 수지 및 성형제품
US7645810B2 (en) Foamed sheet of polylactic acid resin, foam molding of polylactic acid resin and method of preparing foam molding
JP2012007180A (ja) ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造方法
KR101768263B1 (ko) 폴리락트산계 수지 발포 입자 및 폴리락트산계 수지 발포 입자 성형체
ATE542855T1 (de) Propylenpolymerzusammensetzungen und herstellungsverfahren dafür
JP5941052B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法、およびその成形体の製造方法
JP2014001372A (ja) ポリ乳酸系樹脂、およびそれを用いた成形体、発泡体
JP6093604B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子およびその成形体
CN110099953B (zh) 低排放聚丙烯泡沫片材
JP2009040948A (ja) 射出成形用ポリ乳酸樹脂組成物及びその製造方法
KR101440217B1 (ko) 저온충격성이 우수한 폴리프로필렌 수지 조성물 및 이를 이용한 발포 성형품
JP2011116949A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物、その製造方法、およびそれより得られる発泡体
JP5619638B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれから得られる成形体と発泡体
JP2015101620A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物、およびそれを用いた成形体、発泡体
JP5113508B2 (ja) 生分解性ポリエステル樹脂組成物及びそれより得られる発泡体、成形体
JP2014181254A (ja) ポリ乳酸系樹脂、およびそれを用いた成形体、発泡体
JP5672531B2 (ja) 発泡用生分解性樹脂組成物および発泡成形品
JP2015083651A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれからなる発泡体
JP2011144209A (ja) 樹脂組成物およびその発泡体
JP3913332B2 (ja) 成形体及びその製造方法
JP2022102730A (ja) ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系発泡粒子およびポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系発泡成形体
JPH11116786A (ja) 成形体及びその製造方法