JPH07137063A - 空隙を有する重合体発泡粒子成型体 - Google Patents

空隙を有する重合体発泡粒子成型体

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JPH07137063A
JPH07137063A JP5309776A JP30977693A JPH07137063A JP H07137063 A JPH07137063 A JP H07137063A JP 5309776 A JP5309776 A JP 5309776A JP 30977693 A JP30977693 A JP 30977693A JP H07137063 A JPH07137063 A JP H07137063A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 空隙率と発泡粒子の融着強度の双方において
良好で且つ安定した物性を有し,しかも容易に安定して
所望の空隙率が得られる重合体発泡粒子成形体を提供す
る。 【構成】 重合体発泡粒子1の嵩密度ρ1 と真密度ρ2
との関係が0.25ρ2 <ρ1 <0.55ρ2 であり,
且つ重合体発泡粒子1の形状がa≦b≦c,1≦b/a
<2,1≦c/a<2なる関係を満足するよう相互に融
着した成形体であって,発泡粒子間に連通した空隙部を
有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は連通した空隙を有する重
合体発泡粒子成型体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】連通し
た空隙を有する発泡粒子成型体は、特開平4−1530
26号公報及び特開平5−177723号公報において
提案されている。しかしながら前者の成型体はポリスチ
レン製の発泡樹脂粒子同士がポリオレフィン系樹脂によ
って互いに接着されて形成されたものであって、成型体
製造工程としては、まず発泡樹脂粒子とポリオレフィン
系樹脂水性分散液とを混合し、この混合物を成形型内に
充填して加熱し、その後冷却固化させるというもので、
発泡樹脂粒子をそのまま成型型内に充填して成型できる
ものではなく製造工程が煩雑で、そのため成型時間が長
くなり、生産性が悪いものであった。また発泡粒子相互
の接着を該発泡粒子の表面に皮膜状に形成したポリオレ
フィン系樹脂相互の接着に委ねるものであるため、上記
皮膜は破壊し易く充分に高い接着強度は得られないとい
う欠点もあった。
【0003】また上記後者に記載されている成型体は、
最長部分の長さが2cm以上である非球形の多数の発泡
成形チップが相互に融着されてなるものであって、発泡
成形チップがその最長部分の長さが2cm以上と長いた
め、該チップを金型に充填する際にチップが充填フィー
ダーに詰まり易く生産性が悪い。また同様の理由から、
チップ相互の間にできる空間の大きさにバラツキが生じ
易く従って型内の位置によってチップの充填密度が異な
り易く、また充填する度に充填密度が異なり易いとうよ
うにチップの金型への充填が均一に行われ難いため、チ
ップの充填率をコントロールするのが困難であり、その
ため成型体の空隙率を特定の値にコントロールすること
が困難であると共に成型体の空隙率をどの場所において
もある程度一定の値にコントロールすることが困難であ
る。
【0004】これらの各成型体に対して、本出願人の提
案に係る特開平3−224727号公報におけるポリオ
レフィン系樹脂発泡成型体は、L/D(L:最長部の長
さ、D:最大胴部の断面長さ)が2〜10である柱状ポ
リオレフィン系樹脂発泡粒子が不規則な方向を向いて相
互に融着してなるものであり、相互に融着された発泡粒
子そのものがポリオレフィン系樹脂からなるので該発泡
粒子に別途接着剤としての樹脂皮膜を形成させる必要が
なくそのため特開平4−153026号公報に記載の成
型体に比して製造工程が単純で生産性に優れると共に、
発泡粒子本体同士が融着されているので融着界面付近が
容易に破壊するようなことがなく相互の融着強度が高
い。また発泡粒子はL/D(L:最長部の長さ、D:最
大胴部の断面長さ)が2〜10の柱状であって複雑な形
状ではないため、特開平5−177723号公報に記載
の発泡粒子と比較して発泡粒子を金型内に充填する際に
比較的均一な密度に充填することができ、そのため得ら
れた成型体の空隙率は該成型体のどの場所においても比
較的一定であると共に成型体毎においても比較的一定で
あるというものである。
【0005】しかしながら上記特開平3−224727
号公報の成型体においては、充分な空隙率を有する成型
体を得ようとした場合、二次発泡力を抑える為に成型加
熱条件を低めに設定する必要があるが、そうすると発泡
粒子間の融着強度が弱くなる。逆に発泡粒子間の融着強
度を高くしようとした場合は成型加熱条件をより高く設
定する必要があるが、そうすると空隙となる筈の部分も
融着してしまって充分な空隙率が得られなくなるという
ように、空隙率と発泡粒子間の融着強度との双方におい
て同時に満足できる良好な成型体が得られる成型条件範
囲が狭く、所望の空隙率を有する成型体を安定して得る
ことが困難であった。また発泡粒子は柱状という比較的
単純な形状であるとはいうもののその長さがその太さに
比べて比較的長いため、やはり金型内における充填密度
に多少のバラツキが生じ、その結果成型体の空隙率を成
型体の場所毎及び成型体毎にある程度の範囲にはコント
ロールすることはできるがその範囲は広く、成型体は空
隙率の点で充分に安定した品質を有するとは言い難かっ
た。更に、発泡粒子は上記の如き形状を有するものであ
るため、金型内に充填する際に発泡粒子がフィーダー
(充填機)及びフィーダーに接続するホースに詰まり易
く生産性を悪くしていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記問題を解決
すべくなされたものであって、発泡粒子を型内に充填す
る際に充填フィーダー中に重合体発泡粒子が詰まること
がなく、空隙率と発泡粒子相互の融着強度の双方におい
て良好な物性を有し、しかも所望の空隙率が安定して容
易に得られる空隙を有する重合体発泡粒子成型体を提供
することを目的とする。即ち本発明は、重合体発泡粒子
の嵩密度ρ1 と真密度ρ2 との関係が、0.25ρ2
ρ1 <0.55ρ2 なる条件を満足し、且つ上記重合体
発泡粒子の形状が下記条件式(1)〜(3)を満足する
重合体発泡粒子が相互に融着した成型体であって、発泡
粒子間に連通した空隙部を有することを特徴とする重合
体発泡粒子成型体。 a≦b≦c・・・・・・・・・・(1) 1≦b/a<2・・・・・・・・(2) 1≦c/a<2・・・・・・・・(3) 但し、a、b、cは、発泡粒子を、三次元座標上のx
y、yz、zxの各平面のそれぞれが上記発泡粒子に少
なくとも一点で接し、且つ上記各平面が発泡粒子を切断
しないように三次元座標上に配置した時、上記発泡粒子
表面におけるx、y、zの各座標の絶対値の最大値のい
ずれかがとり得る最小の座標値絶対値をaとし、座標値
絶対値aを示した座標軸と直交する方向の2つの座標値
絶対値の最大値のいずれかとり得る最小の値をbとし、
残りの座標値絶対値をcとする。を要旨とするものであ
る。
【0007】本発明でいう嵩密度ρ1 とは、所定重量M
1 の発泡粒子をその重量M1 における発泡粒子の嵩体積
1 で除した値であり、また真密度ρ2 とは所定重量M
2 の発泡粒子をその重量M2 における発泡粒子の真体積
2 で除した値である。上記M1 、M2 は任意に決める
ことができるが、通常はM1 =M2 =一定の値とする。
【0008】上記嵩体積V1 とは、上記所定重量M
1 (所定個数N)の発泡粒子をメスシリンダー内に充填
してメスシリンダーを振動させ、その体積が恒量に達し
た時の目盛りを読んだ値を指す。また真体積V2 とは、
上記所定重量M1 (所定個数N)の発泡粒子を液体(例
えばアルコール)の入ったメスシリンダー中に沈めた時
に上記液体の増量した分の体積をいう。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。本発明の空隙を有する重合体発泡粒子成型体は、重
合体発泡粒子が相互に融着した成型体であって、発泡粒
子間に連通した空隙部を有している。
【0010】上記重合体発泡粒子は、嵩密度ρ1 と真密
度ρ2 との関係が、0.25ρ2 <ρ1 <0.55ρ2
であることが必要である。0.25ρ2 ≧ρ1 を満足す
る発泡粒子はその製造が困難である。また、ρ1 ≧0.
55ρ2 であると成型体の空隙率のコントロールが困難
であり、空隙率を大きくしようとすると通常の成型条件
では成型できず成型温度条件を低くしなければならず、
その結果融着強度が弱くなり、また逆に充分な融着強度
を得ようとすると空隙率を小さくせざるを得なくなり、
充分な空隙が得られなくなる。通常の成型条件とは、少
なくとも全ての発泡粒子相互が融着していて成型体の形
をなしていると共に該成型体は収縮を起こしていない成
型体を得るのに必要な成型条件である。通常の成型条件
範囲以外の条件で成型した場合、即ち例えば成型温度に
関して低温側の条件で成型を行うと成型体そのものが得
られなかったり、また高温側の条件で成型を行うと得ら
れた成型体が収縮を起こすというように空隙率や融着強
度の問題以前の問題が発生する等の他、発泡粒子間の空
隙も埋まってしまう等の問題がある。
【0011】本発明において、重合体発泡粒子成型体の
空隙率A(%)は、次式によって算出される。 A(%)=〔(B−C)/B〕×100 但し、B:重合体発泡粒子成型体の見かけ体積(c
3 )、C:重合体発泡粒子成型体の真の体積(c
3 )である。見かけ体積Bは成型体の外形寸法から算
出される体積、真の体積Cは成型体の空隙部を除いた実
質体積をそれぞれ指す。見かけ体積Bは成型体の収縮を
考慮せずに簡単に考えれば発泡成型体が得られた時点で
の金型キャビティー内の体積に等しく、金型図面寸法か
ら算出できる。また真の体積Cは発泡成型体を液体(例
えばアルコール)中に沈めた時の増量した体積を測定す
ることによって知ることができる。
【0012】本発明において、連通した空隙部の安定し
て得られる空隙率の範囲は、発泡成型体の融着強度との
バランスを考慮した場合25〜40%であるのが好まし
い。空隙率が25%未満の場合は用途によっては透水性
が不足する場合があり、また成型性があまり良くない。
逆に空隙率が40%を超えると成型体の圧縮強度が小さ
いものとなってしまう。また圧縮強度の低下に伴って融
着強度も低下する虞がある。尚、特に高い圧縮強度は必
要としない吸音材等の用途向けには空隙率は25〜60
%のものでも適用可能である。
【0013】本発明において好ましい空隙率は10〜6
0%である。空隙率がこの範囲であると、充分な融着強
度も得られ、広範囲の用途に使用できる。
【0014】上述の如く、本発明の重合体発泡成型体は
連通した空隙を有するため、透水性や通気性等の他、遮
音性においても優れた特性を呈する。
【0015】本発明においては更に好ましくは0.30
ρ2 <ρ1 <0.50ρ2 である。ρ1 とρ2 の関係が
この範囲であると発泡粒子を製造する際の生産性に優れ
ると共に、該発泡粒子を成型して得られる成型体におい
てもその物性面において優れたものが得られる。
【0016】図1は本発明の重合体発泡粒子成型体に用
いられる重合体発泡粒子の形状について説明するための
図であり、図中1は重合体発泡粒子を表す。本発明にお
いて重合体発泡粒子成型体に用いられる発泡粒子として
は前記した条件の他に、発泡粒子の形状として以下の条
件を満足することが必要である。即ち、図1に示すよう
に、重合体発泡粒子1を、三次元座標上のxy、yz、
zxの各平面のそれぞれが上記発泡粒子1に少なくとも
一点(それぞれ面p、線q、線r、但し面や線は点の集
合と考える)で接し、且つ上記各平面が発泡粒子1を切
断しないように三次元座標上にあらゆる向きに配置した
時、上記発泡粒子1の表面におけるx、y、zの各座標
の絶対値の最大値のいずれでもよいが、発泡粒子1の配
置方向を様々に変えた中で最も小さく且つ他の2方向の
座標値の絶対値が最大となる部分での値以下の座標値絶
対値をaと決め、該座標値絶対値aを示した座標軸がx
軸であったとすると、y軸、z軸のそれぞれにおける座
標値絶対値の最大値のうちyz平面で配置方向を様々に
変えた中で最も小さい値をb、残りをcとし(a≦b≦
c)、且つ1≦b/a<2、1≦c/a<2なる関係を
満足することである(尚、図1において、接面pは斜線
で、接線q、rは2点鎖線でそれぞれ示した)。
【0017】即ち、発泡粒子が胴部の径が胴部の長さよ
りも短い真円筒形の場合は、図1に示すように、a、b
は発泡粒子1の胴部の径に相当し、cは発泡粒子1の胴
部の長さに相当する。また発泡粒子が胴部の長径が胴部
の長さよりも短い楕円筒形の場合は、aは発泡粒子の胴
部の短径、bは胴部の長径、cは胴部の長さにそれぞれ
相当する。
【0018】上記a、b、cの各値は、コンピューター
・グラフィックス、三次元測定機等を利用して測定する
ことができる。またコンピューター・グラフィックス等
を用いて発泡粒子の各a、b、cの値を決定して発泡粒
子形状を設計することができる。
【0019】上記発泡粒子1において、b/a≧2であ
ったり、c/a≧2であったりすると、発泡粒子を型内
に充填する際に充填フィーダー中に詰まり易くまた型内
において充填不良を生じ易い。1>b/a、1>c/a
となる場合は、a、b、cの関係をa≦b≦cと定義し
たので存在しない。
【0020】前記した2つの条件を容易に満足し得る発
泡粒子としては、例えば所定方向断面において常に以下
に示すような(略)一定形状を有するものが挙げられ
る。即ち図2の中のように断面形状が、(ア)中空円状
(ドーナツ状)、(イ)中空三角状、(ウ)中空六角
状、(エ)中空円の中に仕切りがある形状、(オ)2つ
の中空円が並列された形状、(カ)3つの中空円がのそ
れぞれが接触して並列した形状、(キ)一部に断裂部d
を有する中空円形状、(ク)一部に断裂部dを有する中
空四角形状等である。
【0021】発泡粒子の形状としては上記した中空構
造、即ち筒状のものや柱状のもの以外に、発泡粒子が3
〜8個の肢状部を有する場合も好ましい態様の一つであ
る。このような形状としては例えば図3に示すように、
所定方向断面において常に(略)一定形状を有しその所
定断面が、(サ)3本の肢状部eからなるもの、(シ)
5本の肢状部eからなるもの、(ス)8本の肢状部eか
らなるもの、(セ)中実円形fの周囲の均等の位置に4
本の肢状部eを有するもの、(ソ)中実三角形(図2
(ケ)に例示した形状)gの周囲の均等の位置に6本の
肢状部eを有するもの、(タ)中実四角形(図2(コ)
に例示した形状)hの周囲の均等の位置に4本の肢状部
eを有するもの、(チ)中空円形iの周囲の均等の位置
に3本の肢状部eを有するもの、(ツ)中空三角形jの
周囲に均等の位置に3本の肢状部eを有するもの、
(テ)中空四角形kの周囲の均等の位置に4本の肢状部
eを有するもの、(ト)中空円形iの周囲の均等の位置
に6本の肢状部eを有するもの、(ナ)中空三角形j周
囲に均等の位置に6本の肢状部eを有するもの、(ニ)
4本の肢状部eからなるもの、(ヌ)6本の肢状部eか
らなるもの等が挙げられる。
【0022】上記で例示したもののうち、特に発泡粒子
が肢状部のない筒形である場合は通常の発泡粒子と同様
にフィーダー詰まりがなくしかも型内に型内のどの位置
においても均一な密度で充填され、且つ如何なる場合に
も一定の密度に充填されるので充填率のコントロールが
し易く好ましい。充填率(%)とは、発泡粒子を金型内
に充填した時の発泡粒子の占める真の体積(cm3 )を
金型内(キャビティー)体積(cm3 )で割って百分率
で示した値である。発泡粒子の充填割合の調整は、発泡
粒子の真密度や、また発泡粒子が上記で例示したような
所定方向断面において常に(略)一定形状を有する場合
はそのL/Dの値に応じて充填空気圧を適宜調節する方
法、発泡粒子を金型内に充填する際に金型の型開き(ク
ラッキング)を調節する方法等によって行うことができ
る。
【0023】発泡粒子のL/Dの値とは、所定方向断面
において常に(略)一定形状を有するある発泡粒子にお
いて、その胴部断面の最大長さ(D)で、該(D)に対
して垂直方向の最大長さ(L)を除した値である。例え
ば発泡粒子が円筒形である場合は、Lは円筒の筒の高
さ、Dは筒の外径に相当する。
【0024】上記発泡粒子としては更に、発泡粒子のL
/Dが0.5〜0.7又は1.3〜2.0であるのが好
ましい。発泡粒子のL/Dが0.5〜0.7又は1.3
〜2.0であり且つ発泡粒子が筒形であれば、発泡粒子
を金型内に充填する際の充填空気圧の調整で筒形発泡粒
子に方向性を与えることが可能となり、空隙率、特に連
通した空隙の方向性を制御することができる。
【0025】本発明において、前記した0.25ρ2
ρ1 <0.55ρ2 なる条件を満足し、且つ上記重合体
発泡粒子の形状が前記条件式(1)〜(3)を満足する
ような重合体発泡粒子は、例えば前記した図2の(ア)
〜(ク)、図3の(サ)〜(ヌ)で例示した形状の発泡
粒子の長さ(L)、径(D)、胴部形状、胴部厚み、肢
状部厚み等を適宜選択することによって容易に得ること
ができる。尚、前記で例示したものは全て所定方向断面
において常に(略)一定形状を有するものであるが、本
発明に用いられる発泡粒子はこれらに限られるものでは
なく、ある程度は不定形のものでもよい。
【0026】発泡粒子が不定形である場合は、前記条件
中で定義されたa、b、cのそれぞれの値を以下のよう
に置き換えて上記発泡粒子に対して適用してもよい。即
ち、ある直方体の全ての内面に発泡粒子の表面の少なく
とも1点が接するように上記直方体の中に上記発泡粒子
を配置するとして、上記発泡粒子の配置方向を変えてい
った時、上記直方体の最も短い辺の長さが最も短くなる
時のその辺の長さをaとし、a辺に直交する2辺のうち
最も短い方の辺の長さをb、残りの辺の長さをcとした
時、1≦b/a<2、1≦c/a<2なる関係を満足す
るようなa、b、cを有する形状であること。
【0027】本発明において、上記したような発泡粒子
を得るには、例えば、タルク、炭酸カルシウム、ホウ
砂、水酸化アルミニウム等の無機物を添加してなる基材
樹脂粒子を揮発性発泡剤又は/及び無機ガス系発泡剤、
水と共に密閉容器内に入れ、該容器内で樹脂粒子及び発
泡剤を水に分散させ、樹脂粒子の軟化温度以上の温度に
加熱し、該粒子内に発泡剤を含浸させた後、容器内の圧
力を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持し、該容器内の水
面下の一旦を開放し、樹脂粒子と水とを同時に容器内よ
りも低圧の雰囲気下に放出することにより発泡粒子を得
る方法を用いることができる。
【0028】上記発泡剤としては、通常プロパン、ブタ
ン、ペンタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロヘキサ
ン、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタ
ン、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,2,
2,2−テトラフロロエタン、1−クロロ−1,1−ジ
フロロエタン、1,1−ジフロロエタン、1−クロロ−
1,2,2,2−テトラフロロエタン等の揮発性発泡剤
や、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気等の無機ガス系
発泡剤が挙げられるが、なかでもオゾン層の破壊がなく
且つ安価な無機ガス系発泡剤が好ましく、特に窒素、空
気、二酸化炭素が好ましい。窒素、空気を除く上記発泡
剤の使用量は通常樹脂粒子100重量部当り2〜50重
量部である。また窒素、空気は20〜60kgf/cm
2 Gの圧力範囲内で密閉容器内に圧入されて使用され
る。発泡剤の使用量は得ようとする発泡粒子の嵩密度と
発泡温度との関係に応じて適宜に選択される。
【0029】上記発泡粒子としては、基材樹脂に例えば
透水性土壌形成用途には黒、灰色、茶色等の着色顔料又
は染料を添加して着色したものであってもよい。着色し
た基材樹脂より得られた着色発泡粒子を用いれば、着色
された重合体発泡粒子成型体を得ることができる。着色
顔料又は染料の色は、上記に例示したものの他に黄色、
赤色、桃色、緑色、青色等、成型体の用途に応じて選択
され得る。
【0030】基材樹脂に着色顔料、染料又は無機物等の
添加剤を添加する場合は、添加剤をそのまま基材樹脂に
練り込むこともできるが、通常は分散性等を考慮して添
加剤のマスターバッチを作り、それと基材樹脂とを混練
することが好ましい。着色顔料、染料の添加量は着色の
色によっても異なるが、通常基材樹脂100重量部に対
して0.01〜15重量部が好ましく、また無機物を添
加する場合はその添加量は基材樹脂100重量部に対し
て0.001〜5重量部とするのが好ましい。無機物を
基材樹脂に上記の量添加することにより、発泡倍率の向
上効果、気泡径を50〜350μmに調整できる効果が
期待できる。
【0031】上記発泡粒子の基材樹脂粒子は、例えば基
材樹脂を添加する無機物等のマスターバッチと共に押出
機内で溶融混練し、所望の断面形状を有するダイスから
押し出し、冷却した後所定の長さに切断することによっ
て得ることができる。この方法によって基材樹脂粒子を
得る場合、該樹脂粒子の長さは該樹脂粒子を所定の発泡
倍率で発泡させた時の形状が、前記した発泡粒子形状に
おける必要条件を満足できるような長さに切断する。通
常、基材樹脂粒子の段階においてa、b、cの値が前記
条件を満足していれば、発泡倍率の如何に関わらず該基
材樹脂粒子を発泡して得た発泡粒子も概ね前記条件を満
足している。これは発泡によって全体の寸法が大きくな
っても、発泡前と発泡後の寸法の比率には殆ど変化がな
いからである。
【0032】その他、発泡粒子を得る方法として押出機
を用いて所望の断面形状を有するダイスから直接押出発
泡法により押出発泡体を得、該発泡体を適当な長さにカ
ットすることにより発泡粒子を得る等、発泡体を製造す
る従来公知の方法を適用することができる。
【0033】上記重合体発泡粒子に用いられる基材樹脂
としては、例えばポリスチレン、ポリα−メチルスチレ
ン、スチレン無水マレイン酸コポリマー、ポリフェニレ
ンオキサイドとポリスチレンとのブレンド又はグラフト
ポリマー、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ア
クリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー、
スチレン−ブタジエンコポリマー、ハイインパクトスチ
レンなどのスチレン系重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビ
ニル−酢酸ビニルコポリマー、後塩素化ポリ塩化ビニ
ル、エチレン又はプロピレンと塩化ビニルのコポリマー
などの塩化ビニル系重合体;ポリアミド系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂などが挙げられる。
【0034】上記ポリオレフィン系樹脂としては、例え
ばエチレン−ブテンランダムコポリマー、エチレン−ブ
テンブロックコポリマー、エチレン−プロピレンブロッ
クコポリマー、エチレン−プロピレンランダムコポリマ
ー、エチレン−プロピレン−ブテンランダムターポリマ
ー、ホモポリプロホピレンなどのポリプロピレン系樹
脂、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度
ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低
密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、
エチレン−メチルメタクリレートコポリマー、エチレン
−メタクリル酸コポリマーの分子間を金属イオンで架橋
したアイオノマー系樹脂などのポリエチレン系樹脂やポ
リブテン−1、ポリペンテン、エチレン−アクリル酸−
無水マレイン酸ターポリマーなどが挙げられる。
【0035】ポリオレフィン系樹脂は無架橋の状態で用
いてもよいが、パーオキサイドや放射線などにより架橋
させて用いてもよい。しかしながら、生産工程数、リサ
イクル性の面で無架橋のものが好ましい。
【0036】上記基材樹脂の中では、回復性が良好であ
る点で、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高
密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状
超低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリブテン、エチレン−プロピレンコポリマー、プ
ロピレン−ブテンコポリマー、エチレン−ブテン−プロ
ピレンターポリマー等が好ましい。
【0037】更に上記基材樹脂の中で特に好ましいの
は、エチレン−プロピレンランダムコポリマー、プロピ
レン−ブテンランダムコポリマー、エチレン−ブテン−
プロピレンランダムターポリマーである。
【0038】本発明において、上記した種々のポリマー
は通常どおり単独で用いてもよく、或いは2種以上を混
合する等併用して用いてもよい。又、上記基材樹脂にポ
リカプロラクトン、β−ヒドロキシ酪酸及び/又はその
コポリマー、ポリビニルアルコール、変性デンプン等の
生分解性プラスチックを混合して用いることもできる。
前述した基材樹脂に生分解性プラスチックを混合して用
いるような場合は、上記両者を発泡前に混合しておいて
もよく、また上記両者を発泡させた発泡粒子同士を混合
してもよく、また生分解性プラスチックの非発泡樹脂粒
子を、基材樹脂からなる発泡粒子と混合してもよい。ま
た、柔軟性を付与するためにエチレン−プロピレンラバ
ー等の熱可塑性エラストマーを5〜40wt%添加する
ことが好ましい。
【0039】本発明においては、発泡粒子の発泡倍率と
しては通常5〜80倍のものを用いることができるが、
特に成型体の圧縮強度を高くできること、重量を少なく
できることおよび経済性の点から10〜30倍のものを
用いるのが好ましい。
【0040】本発明の重合体発泡粒子成型体において、
所望の空隙率と発泡粒子相互の良好な融着強度との双方
をバランス良く安定的に得られるのは、発泡粒子の嵩密
度と真密度との関係及び発泡粒子の形状を前記の如く特
定したことによるものである。尚、重合体発泡粒子成型
体の嵩体積は0.2m3 未満のものが特に融着強度に優
れているので好ましい。
【0041】本発明重合体発泡粒子成型体を製造するに
あたっては、上記発泡粒子を、閉鎖し得るが密閉し得な
い金型内に充填して加熱し、重合体発泡粒子相互を融着
せしめる方法が採用され得るが、上記製造方法において
特に、発泡粒子を加熱する温度を、発泡粒子基材樹脂の
ビカット軟化点−10℃〜該軟化点+13℃とするのが
好ましい。ビカット軟化点はJIS K7206の試験
方法により測定されるものである。
【0042】発泡粒子の加熱温度が上記の範囲内である
と、発泡粒子成型体の収縮がなく製品外観がよく、また
発泡粒子表面の溶融状態を均一にできるので空隙率のコ
ントロールがより容易になり、空隙率が低下するのを防
止することができる。
【0043】本発明重合体発泡粒子成型体は、その透水
性を活かして、乗馬クラブ等のトレーニング馬場や馬
道、屋上庭園の人工芝の下敷材、暗きょ等の排水設
備、ゴルフ場の排水促進材、EPS工法用ブロック
に代表される軽量盛土材、或いはその吸音性及び通気性
及び断熱性を活かして壁材として、また或いは床や
天井の芯材として様々な用途に利用可能である。
【0044】次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更
に詳細に説明する。 実施例1〜6、比較例1〜4 表1(実施例1〜6、比較例1〜4)にそれぞれ示す各
基材樹脂と水酸化アルミニウム及びカーボンブラックを
押出機内で溶融混練し、その後、表1に示すような断面
形状に対して略相似形のダイスからストランド状に押し
出して水中で急冷した後、所定の長さにカットしてペレ
ット状に造粒した後、これらのペレット100kgを発
泡剤として炭酸ガス又は炭酸ガス/イソブタンを使用
し、分散剤としてカオリン400g、界面活性剤として
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム30g、水22
0リットルとを配合して密閉容器(容積400リット
ル)内で攪拌しながら融解終了温度以上の温度に昇温す
ることなく、表1に記載の発泡温度に昇温、15分間保
持した後に平衡蒸気圧に等しい背圧をかけ、その圧力を
保持したまま容器の一端を解放して樹脂粒子と水とを同
時に放出して樹脂粒子を所定の発泡倍率に発泡せしめ、
表1に示すような断面形状を有する灰色の発泡粒子を得
た。尚、水酸化アルミニウム、カーボンブラックは、配
合量がそれぞれ0.2wt%、0.26wt%となるよ
うにマスターバッチで添加した。表1の断面形状を表す
記号(ア)〜(ヌ)は図2、3中に示した図に附した記
号(ア)〜(ヌ)に対応する。また得られた発泡粒子の
ρ1 、ρ2 並びにa、b、cを測定し、これよりb/
a、c/aを算出して表1に併せて記載した。また上記
発泡粒子基材樹脂のビカット軟化点を表1の下欄に記載
した。
【0045】上記各発泡粒子を、表1に記載の各成型条
件で成型して縦30cm×横30cm×厚さ6cmの重
合体発泡粒子成型体を得た。得られた成型体の空隙率、
融着性、成型性をそれぞれ測定して値を表1に示した。
成型条件のうち充填性と、上記諸物性の測定方法及び○
×で評価したものについてはその評価基準を以下に説明
する。
【0046】空隙率Aは、前記したように、発泡成型体
の外形寸法から見かけ体積Bを算出し、また発泡成型体
をアルコール中に沈めた時の増量した体積を測定するこ
とによって真の体積Cを求め、A(%)=〔(B−C)
/B〕×100の関係よりAを求めた。
【0047】融着性は、縦5cm×横10cm×厚み5
mmとなるように発泡粒子成型体を切断した5枚の試験
片を各々破断するまで長手方向に引っ張り、破断面を観
察して以下の基準で評価した。 ◎・・・全試験片において破断面の発泡粒子に破壊部分
が多く発生。 ○・・・全試験片において破断面の発泡粒子に破壊部分
が発生。 △・・・一部の試験片において破断面の発泡粒子に破壊
部分が発生。 ×・・・全試験片において破断面の発泡粒子が破壊され
ずに切断される。
【0048】成型性は、成型体の収縮がなく、充分な空
隙が確保される成型温度の温度範囲をもって評価した。
温度範囲が広いほど成型性が良好である。 ○・・・通常の成型品と同等の成型温度範囲を有する。 △・・・通常の成型品より成型温度範囲が狭い。 ×・・・成型品が得られない。
【0049】充填性は、10回の成型において、発泡粒
子の充填ガン(フィーダー)詰まりの回数によって評価
した。尚、本発明実施例及び比較例で使用した充填ガン
の口径は25mm、引込み空気圧力は5kg/cm
2 (G)とした。 ○・・・0回 △・・・1〜2回 ×・・・3回以上
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の重合体発
泡粒子成型体は、重合体発泡粒子の嵩密度ρ1 と真密度
ρ2 との関係が、0.25ρ2 <ρ1 <0.55ρ2
る条件を満足し、且つ上記重合体発泡粒子の形状が下記
条件式(1)〜(3)を満足する重合体発泡粒子が相互
に融着した成型体、 a≦b≦c・・・・・・・・・・(1) 1≦b/a<2・・・・・・・・(2) 1≦c/a<2・・・・・・・・(3) (但し、a、b、cは、発泡粒子を、三次元座標上のx
y、yz、zxの各平面のそれぞれが上記発泡粒子に少
なくとも一点で接し、且つ上記各平面が発泡粒子を切断
しないように三次元座標上に配置した時、上記発泡粒子
表面におけるx、y、zの各座標の絶対値の最大値のい
ずれかがとり得る最小の座標値絶対値をaとし、座標値
絶対値aを示した座標軸と直交する方向の2つの座標値
絶対値の最大値のいずれかとり得る最小の値をbとし、
残りの座標値絶対値をcとする)であって、発泡粒子間
に連通した空隙部を有するものであるため、透水性、通
気性を有しており、排水機能を持たせるトレーニング馬
場、道路、軟弱地盤、屋上庭園、ゴルフ場等の排水用下
地材及び盛土材や育苗床等の農業用資材として好適であ
る。また発泡体相互が融着されてなるため断熱性を有
し、かつ通気性に優れることから建築用資材等の用途と
しても利用できるという利点がある。
【0052】また、本発明の重合体発泡粒子成型体は、
上記の如く構成されているため、成型体の融着強度を充
分な値に保って連通した空隙部を有せしめるための成型
温度範囲を広く有するため、空隙率のコントロールが容
易であり、そのため所望の空隙率を有していながら充分
な融着強度を有しており、しかも収縮等の外観不良や発
泡粒子相互の融着不良のない高品質の発泡粒子成型体が
安定的に得られるという利点がある。
【0053】また、本発明の重合体発泡粒子成型体は、
発泡粒子相互の結合が該発泡粒子同士の融着によって行
われており、発泡粒子相互の固着に特殊な接着剤を用い
る必要がないから安価であると共に、発泡粒子の表面に
接着剤の皮膜を形成する必要がないので製造が簡便であ
るという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明重合体発泡粒子成型体に用いられる発泡
粒子の形状を特定するために用いるa、b、cの各値に
ついて説明するための説明図である。
【図2】発泡粒子の垂直断面形状の態様を示す図であ
る。
【図3】発泡粒子の垂直断面形状の態様を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 重合体発泡粒子 a 重合体発泡粒子1を、三次元座標上に、xy、y
z、zxの各平面のそれぞれが上記発泡粒子1にそれぞ
れ面p、線q、線rで接するようなあらゆる向きに配置
した中で、上記発泡粒子1の表面におけるx、y、zの
各座標の絶対値の最大値のうちいずれか最も小さい値 b 重合体発泡粒子のaが決まった時の該aを示した座
標軸と直交する2方向の座標値絶対値のうちいずれかと
り得る最も小さい方の値 c 重合体発泡粒子のaが決まった時の該aを示した座
標軸と直交する2方向の座標値絶対値のうちbが定まっ
た時の残りの値 x x軸 y y軸 z z軸 p 重合体発泡粒子とxy平面との接面 q 重合体発泡粒子とyz平面との接線 r 重合体発泡粒子とzx平面との接線

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合体発泡粒子の嵩密度ρ1 と真密度ρ
    2 との関係が、0.25ρ2 <ρ1 <0.55ρ2 なる
    条件を満足し、且つ上記重合体発泡粒子の形状が下記条
    件式(1)〜(3)を満足する重合体発泡粒子が相互に
    融着した成型体であって、発泡粒子間に連通した空隙部
    を有することを特徴とする重合体発泡粒子成型体。 a≦b≦c・・・・・・・・・・(1) 1≦b/a<2・・・・・・・・(2) 1≦c/a<2・・・・・・・・(3) 但し、a、b、cは、発泡粒子を、三次元座標上のx
    y、yz、zxの各平面のそれぞれが上記発泡粒子に少
    なくとも一点で接し、且つ上記各平面が発泡粒子を切断
    しないように三次元座標上に配置した時、上記発泡粒子
    表面におけるx、y、zの各座標の絶対値の最大値のい
    ずれかがとり得る最小の座標値絶対値をaとし、座標値
    絶対値aを示した座標軸と直交する方向の2つの座標値
    絶対値の最大値のいずれかとり得る最小の値をbとし、
    残りの座標値絶対値をcとする。
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