JP2004262217A - エステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、連続気泡率が低く、剛性に優れたエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板は、エステル変性でんぷん系樹脂発泡層の少なくとも片面に、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上の樹脂組成物からなるフィルム層を有する複合発泡板であって、該複合発泡板の厚みが1.0mm以上、見掛け密度が50〜600kg/m3、連続気泡率が45%以下である。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板は、エステル変性でんぷん系樹脂発泡層の少なくとも片面に、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上の樹脂組成物からなるフィルム層を有する複合発泡板であって、該複合発泡板の厚みが1.0mm以上、見掛け密度が50〜600kg/m3、連続気泡率が45%以下である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有するエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からディスプレイ材、軽量で腰の強い箱等の素材として発泡プラスチック製品、特に発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等の汎用樹脂を用いた製品が好適な材料として利用されてきた。しかし、使用済みプラスチック製品の一部は廃棄焼却処分時に有毒ガスを排出することが知られている。又、発泡プラスチック製品は、発泡して体積が大きくなっているので巨大な埋立地を必要とする。更に、生ゴミ等と異なり微生物により分解消滅することがないため、埋立地不足が促進される等、近年大きな社会問題となっている。
【0003】
この問題の解決策として、使用後の廃棄処分時に環境を汚染することなく、しかも土壌中で生分解する素材への代替が進められている。中でも、澱粉は天然資源中で最も豊富に生産されていることから、最も有望な素材として期待されている。
【0004】
しかしながら、澱粉を主成分とする生分解性組成物は、従来技術により板状に押出発泡成形しても、連続気泡率の高い発泡体しか得られず、剛性が不十分なものであった。かかる澱粉を主成分とした生分解性組成物から押出発泡体を製造する従来技術は、例えば、特許文献1に記載されている。本発明者等は、この連続気泡率の高い発泡体しか得られないという従来技術の課題を解決するために、ダイ内の構造に工夫を加えることを検討した。その結果、澱粉を主成分とした生分解性組成物から剛性の大きい押出発泡シートを製造できることを見出し、この知見に基づいて先に特許出願を完了させた(特許文献2)。しかしながら、特許文献2記載の発泡シートにおいても剛性面において改良の余地を残すものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−316520号公報
【特許文献2】
特願2002−291380号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の問題に鑑みて、より剛性に優れるエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、特定のフィルム層を発泡層に積層することにより、剛性を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明によれば、以下に示すエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板及びその製造方法が提供される。
[1]エステル変性でんぷん系樹脂発泡層の少なくとも片面に、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上の樹脂組成物からなるフィルム層を有する複合発泡板であって、該複合発泡板の厚みが1.0mm以上、見掛け密度が50〜600kg/m3、連続気泡率が45%以下であることを特徴とするエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板。
[2]該エステル変性でんぷん系樹脂発泡層の両面に該フィルム層を有し、該フィルム層のそれぞれの厚みが0.015〜0.2mmであることを特徴とする上記[1]に記載のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板。
[3]該発泡板の曲げ最大荷重(kgf)を該見掛け密度(kg/m3)で除した値(見掛け密度当りの曲げ最大荷重値)が,300(kgf/(kg/m3))以上であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板。
[4]エステル変性でんぷん系樹脂を加熱溶融させて発泡剤と混練することにより発泡層用溶融樹脂組成物とする一方で、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上、かつ170℃での溶融粘度が4000Pa・s以下の樹脂組成物を加熱溶融させてフィルム層用溶融樹脂組成物とし、該発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物とを、ダイを通過させながら合流させて共押出しすることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板を製造する方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板(以下、複合発泡板ともいう。)は、エステル変性でんぷん系樹脂発泡層(以下、発泡層ともいう。)の少なくとも片面に、特定の樹脂組成物からなるフィルム層を有する。即ち、本発明の複合発泡板は、発泡層と該発泡層の片面又は両面に特定の樹脂組成物からなるフィルム層が設けられている。このように、本発明の複合発泡板は、特定のフィルム層により補強されているので、従来のエステル変性でんぷん系樹脂発泡板と比べると剛性が大きく向上している。
【0009】
まず、本発明の複合発泡板を構成する発泡層について説明する。
該発泡層の基材樹脂は、エステル変性でんぷん系樹脂を主成分とする。尚、本明細書において、エステル変性でんぷん系樹脂を主成分とするとは、エステル変性でんぷん系樹脂が、発泡層を構成する基材樹脂中に40重量%以上含有されていることをいうが、50重量%以上含有されていることが好ましく、55〜90重量%含有されていることがより好ましい。また、該基材樹脂がエステル変性でんぷん系樹脂と、エステル変性でんぷん系樹脂以外の他の合成樹脂からなる場合には、当該他の合成樹脂としては、土壌中での生分解性の低下を防ぐために、後述するエステル変性でんぷん系樹脂以外の生分解性ポリマーが好ましく、特にその中でも生分解性の熱可塑性ポリエステルが好ましい。
【0010】
本発明において、発泡層の基材樹脂を構成するエステル変性でんぷん系樹脂とは、澱粉の反応性水酸基が、有機酸や無機酸やグラフト置換体によりエステル置換されている澱粉置換体であって、熱可塑性を有するものをいう。ここで、熱可塑性とは、加熱すると軟化して流動し、冷却すると再び硬くなる性質をいい、後述する生分解性ポリマーを添加して加熱することにより、軟化して流動し、冷却すると再び硬くなる性質のものも包含する。
【0011】
本発明においては、上記エステル変性でんぷん系樹脂の中でも、熱可塑性を有する生分解性ポリマーを製造しやすいことから、有機酸のエステル澱粉が好ましい。又、澱粉としては、エステル化可能な炭素数(アシル基の)範囲2〜22であれば、発泡層の要求特性に応じて適宜選択できる。
なお、一般的に該炭素数が大きい程、融点が低下して、柔軟性、伸張性、耐水性が優れたものとなり、逆に、炭素数が小さい程、剛性、硬度が優れたものとなる傾向がある。炭素数が大きい程、澱粉の結晶性が阻害されるためと考えられる。
【0012】
本発明で用いられるエステル変性でんぷん系樹脂(以下、エステル澱粉ともいう。)においては、置換度:DSが、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.5〜2.95であり、さらに好ましくは1.8〜2.5である。該DSが低すぎると、樹脂の熱可塑性が低下する虞がある。DSが高すぎると、樹脂の可塑化粘度が低下し、均一に発泡させることが困難になる虞がある。
【0013】
なお、該置換度:DS(Degree of Substiution)は、誘導体のエステル化度を表し、グルコース残基1個当たりの置換水酸基の平均値である。すべて置換されるとDS=3であり、グルコース100個に1個の置換であればDS0.01であり、DS2以上は便宜上、置換度が大きいことを意味する(二國二郎監「澱粉科学ハンドブック」(1977)朝倉書店、p497〜498参照)。
【0014】
本発明において好ましく用いられるエステル澱粉としては、特許第2939586号公報に記載されたものが挙げられる。即ち、同一澱粉分子の反応性水酸基の水素が、炭素数2〜4のアシル基(以下「短鎖アシル基」という。)及び炭素数6〜18のアシル基(以下「長鎖アシル基」という。)で置換されてなり、長鎖アシル基及び短鎖アシル基の各置換度が調製されて可塑剤が添加されていなくても熱可塑化して成形加工可能なエステル澱粉である。
【0015】
上記エステル澱粉の原料澱粉としては、▲1▼コーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、コムギ澱粉、米澱粉、サゴ澱粉等の地上澱粉、▲2▼馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉等の地下澱粉、及び▲3▼それらの澱粉の低度エステル化・エーテル化、架橋、酸化、酸処理、デキストリン化、α化(pregelatinization)された化工澱粉を使用できる。
【0016】
上記エステル澱粉の対応有機酸としては、下記のようなものを挙げることができる。なお、酸名の後の括弧内は炭素数である。
【0017】
▲1▼酢酸(C2)、プロピオン酸(C3)、酪酸(C4)、吉草酸(C5)、カプロン酸(C6)、カプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、アラキン酸(C20)、ベヘン酸(C22)、さらには、一般式R1(R2)(R3)CCOOH(ただし、R1、R2、R3はすべてアルキル基でこれらの合計炭素数は4〜16である。)で示される分岐飽和脂肪族カルボン酸等の飽和カルボン酸。
▲2▼アクリル酸(C3)、クロトン酸(C4)、イソクロトン酸(C4)、オレイン酸(C18)、等の不飽和カルボン酸。
▲3▼安息香酸(C7)、フタル酸(C8)、テレフタル酸(C8)等の芳香族モノ・ジカルボン酸。
▲4▼マロン酸(C3)、コハク酸(C4)、マレイン酸(C4)、フマル酸(C4)等の飽和・不飽和ジカルボン酸。
▲5▼乳酸(C3)、リンゴ酸(C4)、酒石酸(C4)等のヒドロキシカルボン酸。
▲6▼ε−カプロラクトン(C6)、γ−カプリロラクトン(C8)、γ−ラウロラクトン(C12)、γ−ステアロラクトン(C18)さらには、一般式(CH2)nCOO(ただしn=5〜17)で示される大環状ラクトン等の環状エステル(カプロラクトン類)。
▲7▼下記化学式(I)で示されるアルキレンケテンダイマー(ただし、R:炭素数5〜17のアルキル基、アルキレン基、アリール基及びそれらの誘導体基)。
【0018】
【化1】
【0019】
本発明において、発泡層を構成する基材樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、0.05〜50g/10分であることが好ましく、0.1〜20g/10分であることがより好ましい。MFRが0.05g/10分未満の場合は、複合発泡板製造時にダイ内で発熱しやすく、得られる複合発泡板の連続気泡率が増加しやすい。MFRが50g/10分を超える場合は、複合発泡板製造時に発泡層の気泡が破泡しやすく、得られる複合発泡板の連続気泡率が増加しやすい。
【0020】
本明細書において、発泡層を構成する基材樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、JIS K 7210:1999でいうメルトマスフローレートを意味する。尚、MFRの測定は、当該JISの附属書A表1の条件Dにより測定するものとする。
【0021】
本発明において、発泡層を構成する基材樹脂のメルトテンション(MT)は、190℃の条件下において、10gf以上であることが好ましく、15gf以上であることがより好ましく、20gf以上であることが更に好ましい。該メルトテンションが小さすぎる場合は、独立気泡率の高い発泡層を得ることが困難となる。
尚、該メルトテンションの上限値は複合発泡板製造時における押出し安定性の観点から、概ね80gfであるが、70gfが好ましい。
【0022】
本明細書におけるメルトテンションは、株式会社東洋精機製作所製のメルトテンションテスターII型を用い、次のように測定するものとする。
内径2.095mm、長さ8mmのオリフィスをメルトテンションテスターのシリンダー内に取り付け、該オリフィス及びシリンダーを予め190℃に保持しておき、その中に基材樹脂を4g入れ、5分間置いてから、ピストンの押出速度を10mm/分として190℃の溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛けた後、5rpm/秒(紐状物の捲取り加速度:1.3×10−2m/秒2)の割合で捲取り速度を徐々に増加させていきながら直径50mmの捲取りローラーで捲取る。
【0023】
メルトテンションを求めるには、まず、張力検出用プーリーに掛けた紐状物が切れるまで捲取り速度を増加させ、紐状物が切れた時の捲取り速度:R(rpm)を求める。次いで、R×0.7(rpm)の一定の捲取り速度において紐状物の捲取りを行い、張力検出用プーリーと連結する検出器により検出される紐状物のメルトテンションを経時的に測定し、縦軸にメルトテンションを、横軸に時間をとったグラフに示すと、図4のような振幅をもったグラフが得られる。
【0024】
本発明におけるメルトテンションとしては、図4において振幅の安定した部分の振幅の中央値(X)を採用する。但し、捲取り速度が500rpmに達しても紐状物が切れない場合には、捲取り速度を500rpmとして紐状物を巻き取って求めたグラフより紐状物のメルトテンション(MT)を求める。尚、メルトテンションの経時的測定の際に、まれに特異な振幅値が検出されることがあるが、このような特異な振幅値は無視するものとする。
【0025】
本発明において、発泡層を構成する基材樹脂の一部としてエステル澱粉置換体以外の生分解性ポリマーを混合することができる。該生分解性ポリマーは、澱粉置換体と混和可能で可塑化作用を有するものが好ましい。
【0026】
上記エステル澱粉置換体以外の生分解性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、エステル化又はエーテル化セルロース、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアミノ酸、蛋白(グルテン、ツェイン等)、キチン、キトサン類等の生分解性を有する樹脂の中から単独、又は複数選択して使用することができる。
【0027】
本発明においては、特に、ポリカプロラクトン、ポリアルキレンカルボキシレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチルバリレートから一種、又は二種以上選択される熱可塑性ポリエステルを、発泡層を構成する基材樹脂の一部として混合することが好ましい。これらのポリエステルはエステル澱粉との混和性に優れ、可塑化作用を発揮し易い上、耐熱性、柔軟性等、発泡層を形成する材料としての総合的物性において優れている。
【0028】
本発明において、発泡層を構成する基材樹脂中における上記エステル澱粉置換体以外の生分解性ポリマーの含有率は、5〜50wt%であることが好ましく、10〜45wt%であることがより好ましい。
【0029】
本発明においては、発泡層を構成する基材樹脂中に、着色料、無機充填剤、熱安定剤、消臭剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲内において、適宜添加することができる。
【0030】
次に、本発明の複合発泡板を構成するフィルム層について説明する。
該フィルム層は、前記発泡層の片面、好ましくは両面に積層一体化されており、特定の樹脂組成物からなる。該特定の樹脂組成物は、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物から成ると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上の樹脂組成物である。該樹脂組成物を構成するエステル変性でんぷん系樹脂としては、上記発泡層の基材樹脂と同じものが例示される。また、脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリカプロラクトン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂、ポリヒドロキシブチレート樹脂、ポリヒドロキシブチレートビバレート樹脂が例示される。特にこの中でも結晶性のポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂及びポリブチレンサクシネートアジペート樹脂から選択される単独又は2以上の混合物が、本発明のフィルムを構成する樹脂として好適である。
【0031】
また、本発明のフィルム層を構成する樹脂組成物においては、23℃における引張弾性率が400MPa以上である。かかる樹脂組成物としては、そのような高い引張弾性率を持つ市販のポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂及びエステル変性でんぷん系樹脂から選択される樹脂を単独で又は2以上混合して、或いは23℃における引張弾性率を400MPaを下回らないように各種添加剤を添加したものが例示される。このような引張弾性率を有する市販の樹脂としては、三井化学株式会社のポリ乳酸樹脂(商品名「レイシアH−100」)、昭和高分子株式会社の脂肪族ポリエステル樹脂(商品名「ビオノーレ#1001」)、日本コーンスターチ株式会社のエステル変性でんぷん系樹脂(商品名「コーンポールCPR−EX6」)が挙げられる。
【0032】
本明細書においては、上記引張弾性率は次のように測定するものとする。
まず、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなる樹脂組成物を含水率が0.05重量%以下となるように50℃下で充分乾燥させてから、200℃に設定されたヒートプレス機によりプレスし、25℃に冷却して厚み約0.5mmのシートを作製する。次いで、全長70mm、平行部分の幅10mmの長方形形状の試験片に調整する。該試験片を気温23±3℃、相対湿度50±5%の恒温恒湿室で24時間放置してから、同恒温恒湿室内において、つかみ具間距離30mm、引張速度100mm/minの条件で引張試験を行う。次に、得られた荷重−ひずみ曲線において、初めの直線部分を用いて下記(1)式より引張弾性率を算出する。
【0033】
【数1】
引張弾性率(MPa)=Δσ/Δε (1)
但し、(1)式において、Δσは、得られた荷重−ひずみ曲線の初めの直線部分の任意の点またはその延長線上の任意の点に対応する荷重:K(kgf)を、試験片の平行部分における断面積(試験片の平行部分の幅である1.0cmと試験片の平行部分の平均厚み(cm)との積)で除した値をMPa単位に換算したものである。ここで試験片の平行部分の平均厚みとは、無作為に選んだ5箇所の厚みの相加平均値をいう。
また、Δεは、試験速度である100mm/minを、荷重−ひずみ曲線を記録した際のチャートの移動速度(mm/min)で除した値と、チャートの長さ(cm)との積を、試験片の標線間距離である3.0cmで除した値である。尚、ここでいうチャートの長さ(cm)とは、上記チャートの横軸のベースライン(荷重0)上における上記荷重:Kに対応する点と、該横軸のベースラインと上記直線との交点とを結ぶ直線の長さ(cm)を意味する。
【0034】
本発明のフィルム層は、複合発泡板の剛性を高めるために積層一体化されるものである。従って、フィルム層を構成する樹脂組成物の23℃における引張弾性率が400MPa以上である必要がある。該引張弾性率が400MPa未満の場合は、複合発泡板の剛性が不充分となる。複合発泡板の高剛性化のためには、フィルム層は発泡層の両面に積層一体化されていることが好ましい。また、フィルム層の各厚みは、0.010〜0.3mmであることが好ましく、0.015〜0.2mmであることがより好ましい。フィルム層の厚みが薄すぎると複合発泡板の高剛性化への寄与が小さく、フィルム層の厚みが厚すぎると複合発泡板の軽量性を阻害する。
【0035】
本発明の複合発泡板の厚みは少なくとも1.0mmである。該厚みが1.0mmに満たないと、軽量性と高い剛性を両立させることが困難となる。また、厚みが厚すぎると、箱等に折り曲げ加工するような場合には加工性が悪くなる。かかる観点から、本発明の複合発泡板の厚みは1.5〜10.0mmが好ましく、2.0〜8.0mmがより好ましい。
【0036】
本発明の複合発泡板は、見掛け密度が50〜600kg/m3である。見掛け密度が50kg/m3未満であると十分な剛性が得られない。また、見掛け密度が600kg/m3を越えると、軽量性が損なわれる。かかる観点から、本発明の複合発泡板の見掛け密度は、60〜500kg/m3であることが好ましく、70〜400kg/m3であることがより好ましい。
【0037】
本明細書においては、複合発泡板の見掛け密度は複合発泡板の単位面積あたりの重量を、複合発泡板の厚みにより除した値を単位換算することにより求めるものとする。具体的には、複合発泡板の幅方向の中央部から、厚み方向の表裏面のそれぞれが、縦30cm、横30cmサイズとなるようにカットサンプルを切り出し(厚みはそのままとする)、このカットサンプルの重量(0.001gまで測定される)と、平均厚み(無作為に測定した10点の厚みの相加平均値であり、各厚みは0.01cmまで測定される)を測定すると、900cm2あたりの重量となり、これを900で除すことにより1cm2あたりの重量(複合発泡板の単位面積あたりの重量)が求まる。この複合発泡板の単位面積あたりの重量を上記カットサンプルの平均厚みで除した後、単位換算すれば複合発泡板の見掛け密度が求まる。
【0038】
本発明の複合発泡板の連続気泡率は45%以下である。該連続気泡率が45%を超えると、軽量で剛性の高い複合発泡板とすることが困難である。かかる観点から、本発明の複合発泡板の連続気泡率は40%以下が好ましく、0〜35%がより好ましい。このような見掛け密度が小さい上に、連続気泡率が小さい複合発泡板は、上記高いメルトテンションのエステル変性樹脂を使用し、後述する改良されたダイを使用することにより製造することができる。
【0039】
本明細書における上記複合発泡板の連続気泡率の測定は、ASTM D2856−70(手順C)に準拠し次の様に行うものとする。
エアピクノメーターを使用して測定試料の真の体積Vx(cm3)を求め、測定試料の外寸から見掛けの体積Va(cm3)を求め、下記(2)式より連続気泡率(%)を計算する。尚、真の体積Vxとは、測定試料中の樹脂の体積と独立気泡部分の体積との和である。
【0040】
【数2】
連続気泡率(%)={(Va−Vx)/(Va−W/ρ)}×100 (2)
但し、(2)式において、Wは測定試料の重量(g)、ρは発泡層を構成する基材樹脂の密度(g/cm3)である。
【0041】
尚、測定試料の寸法は、縦25mm、横25mm、厚み約40mmである。本発明においては、一枚のサンプルでは薄くて上記測定試料の寸法に適合した厚み寸法のものが得られない場合には、複数枚のサンプルを重ね合せた際に最も40mmに近づく(ただし40mmは超えない)複数枚のサンプルを同時に重ねて使用する。
【0042】
本発明の複合発泡板においては、複合発泡板の曲げ最大荷重(kgf)を該複合発泡板の見掛け密度(kg/m3)で除した値(見掛け密度当りの曲げ最大荷重値)が、300(kgf/(kg/m3))以上であることが好ましく、350(kgf/(kg/m3))以上であることがより好ましく、400(kgf/(kg/m3))以上であることが更に好ましい。この値が大きいほど、軽量で剛性が大きい複合発泡板であることになる。この値は、通常、複合発泡板の連続気泡率を小さくするほど、厚みを厚くするほど、フィルム層を構成する樹脂組成物の引張弾性率が大きいほど、大きくなるという傾向にある。これらの要素を適宜組み合わせることにより、容易に見掛け密度当りの曲げ最大荷重値が少なくとも300(kgf/(kg/m3))の複合発泡板を得ることができる。見掛け密度当りの曲げ最大荷重値の上限は、通常、1000(kgf/(kg/m3))である。
尚、本発明の複合発泡板をディスプレイ材として使用する場合、曲げ最大荷重は1(kgf)以上であることが好ましい。
【0043】
次に、本発明の複合発泡板の製造方法について説明する。該複合発泡板は、発泡層とフィルム層とを別々に製造し、その後接着一体化する方法により製造することができる。また、発泡層を先に製造しておき、発泡層上に溶融状態のフィルム層を押出し一体化する方法でも製造することができる。また、発泡層とフィルム層とを共押出しする方法でも製造することができる。これらの方法の中では、発泡層とフィルム層とを共押出しする方法が、フィルム層と発泡層の接着強度を向上させることができ、薄いフィルム層を形成することができ、しかも単純な製造工程で複合発泡板を効率的に製造することができるので好ましい。
【0044】
次に、共押出しにて複合発泡板を製造する方法について説明する。
該方法においては、押出機を用いて、エステル変性でんぷん系樹脂を加熱溶融させて発泡剤と混練することにより発泡層用溶融樹脂組成物とを形成する。一方、他の押出機を用いて、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上、かつ170℃での溶融粘度が4000Pa・s以下の樹脂組成物を加熱溶融させてフィルム層用溶融樹脂組成物とを形成する。次に、上記発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物とを、ダイを通過させて合流させながら大気圧下等の低圧下に押出すことによって複合発泡板を製造することができる。該ダイとしては、環状の共押出ダイを用いて筒状の複合発泡体を形成し、次いで切り開いたり、押し潰したりすることにより複合発泡板を製造することが、均一な厚み、気泡構造の発泡板を得ることができるので好ましい。また、発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物とを、ダイを通過させながら合流させる場合、両者をダイに入る直前又はダイ内で合流させることが、発泡層とフィルム層の接着強度が向上するので好ましい。但し、本発明はこれに限定するものではなく、発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物をダイから放出しながら、合流接着させてもよい。また、本発明はこ環状の共押出ダイを用いることに限定するものではなく、共押出用のTダイを用いることもできる。
【0045】
本発明方法において、発泡層用溶融樹脂組成物を構成するエステル変性でんぷん系樹脂としては、前記発泡層を構成するエステル変性でんぷん系樹脂と同様のものが挙げられる。また、溶融したエステル変性でんぷん系樹脂に注入する発泡剤としては、エステル変性でんぷん系樹脂を主成分とする基材樹脂を可塑化することが容易であるという点で、例えばプロパン、イソブタン、ノルマルブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン等の有機系物理発泡剤が好ましく用いられる。但し、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等の有機発泡剤や、重炭酸ソーダ、重炭酸アンモニア等の無機発泡剤や、窒素、二酸化炭素等の無機系物理発泡剤も適宜用いることができる。又、気泡調節剤としてタルク、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等を添加することが好ましい。
【0046】
上記発泡剤の使用量は、発泡剤の種類、所望する発泡倍率等によっても異なるが、前記ノルマルブタン、イソブタン等の有機系物理発泡剤の場合で、樹脂100重量部当たり0.1〜15重量部である。
【0047】
また、フィルム層用溶融樹脂組成物を構成するエステル変性でんぷん系樹脂としては、前記フィルム層を構成するエステル変性でんぷん系樹脂と同様のものが挙げられ、フィルム層用溶融樹脂組成物を構成する脂肪族ポリエステル樹脂としては、前記フィルム層を構成する脂肪族ポリエステル樹脂と同様のものが挙げられ、エステル変性でんぷん系樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の混合物についても前記フィルム層を構成する混合物と同様のものが挙げられる。
【0048】
又、フィルム層用溶融樹脂組成物を構成する樹脂組成物においては、23℃における引張弾性率が400MPa以上である。該樹脂組成物の23℃における引張弾性率が、400MPa以上であることについては、前記フィルム層を構成する樹脂組成物の23℃における引張弾性率が、400MPa以上であることと同様である。
【0049】
更に、フィルム層用溶融樹脂組成物を構成する樹脂組成物においては、170℃での溶融粘度が4000Pa・s以下である。該溶融粘度が4000Pa・sを越える場合には、発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物とを合流させた際、発泡層用溶融樹脂組成物の温度が上昇するので、得られる複合発泡板の連続気泡率が大きくなる虞がある。
【0050】
本明細書において、170℃での溶融粘度は、株式会社島津製作所製の島津フローテスタ CFT−500を用いて、次のように測定するものとする。
予め、同装置のシリンダを170℃に昇温しておき、そのシリンダ中に、測定試料(含水率が0.05重量%以下となるように50℃下で充分乾燥させた樹脂組成物)を1.5g入れ、4分間置いてから、プランジャを下降させることにより、内径1.0mm、長さ10mmのノズルから170℃の試料を押出す操作を繰り返して行なう。この際、繰り返しのたびに同じ種類の新たな試料に取り替え、荷重を変更することでプランジャの押出速度(せん断速度)を変更する。得られた測定結果から、せん断速度と下記(3)式より計算される溶融粘度との関係をグラフ化し、そのグラフよりせん断速度100sec−1における溶融粘度を読み取る。
溶融粘度(Pa・s)=(π×R4×P)/(8×L×Q) (3)
但し、上記(3)式において、Rはノズル半径(cm)、Lはノズル長さ(cm)、Pは試験圧力(Pa)、Qは流れ値(ml/s)である。
【0051】
23℃における引張弾性率を400MPa以上、かつ170℃での溶融粘度が4000Pa・s以下の樹脂としては、例えば、三井化学株式会社のポリ乳酸樹脂(商品名「レイシアH−100」)、昭和高分子株式会社の脂肪族ポリエステル樹脂(商品名「ビオノーレ#1001」)、日本コーンスターチ株式会社のエステル変性でんぷん系樹脂(商品名「コーンポールCPR−EX6」)が挙げられる。これらのいずれかを単独で又は2以上を混合して使用すればよい。
【0052】
本発明において、複合発泡板を構成する発泡層の形成は、共押出法による場合、最初に発泡層を形成してからフィルム層を積層一体化する方法のいずれにおいても、保圧特性に優れたリップ部構造を有する環状ダイを押出機先端に取り付けて、発泡層用溶融樹脂組成物の押出圧力がダイ先端のリップ部で急激に低下しないように押出発泡させることが好ましい。このように製造することで、連続気泡率の低見掛け密度が小さい発泡層を形成することができる。
【0053】
上記保圧特性に優れたリップ部の構造について、その一例を図1〜3に基づいて説明する。
図1は、ダイを押出機先端に取り付けて複合発泡板を押出発泡法により製造する際の、ダイを含む主要部概略を示す断面図である。図2は、本発明において好ましく用いられる共押出用の環状ダイを用いた場合における、図1のA部の部分拡大断面図である。図3は、一般の環状ダイを用いた場合における、図1のA部の部分拡大断面図である。図1〜3において、1は外側リップ、2は内側リップ、3は発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム用樹脂組成物からなる溶融樹脂の流路、4は流路3の出口、5は円柱状の冷却装置、6は筒状発泡体をそれぞれ示す。又、図2において、7は環状ダイの流路3の先端に設けられた保圧部を、8は保圧部の入り口を、aは保圧部の長さそれぞれ示す。
尚、発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム用樹脂組成物との合流地点は図1に示される部分の上流であり、図示されていない。
【0054】
図3に示す一般の環状ダイのリップ部においては、流路3の先端が、出口4に向かって約33度の角度(θ′)でほぼ直線的に急激に狭まるように形成されている。
これに対し、図2に示す、保圧特性に優れた環状ダイにおいては、流路3の先端部に保圧部7が設けられ、保圧部の入り口8に向かう部分は上記33度に近い角度で急激に狭まるが、保圧部7においては、その長さ(a)にわたって、内側リップ2の内壁と外側リップ1の内壁とのなす角度(θ)が0〜15度となるように形成されている。ここにおいて上記長さ(a)は1〜5mmであることが好ましい。
【0055】
このように、上記保圧部7の長さ(a)を1〜5mmとし、上記角度(θ)を0〜15度にすることによって、出口4の直前における発泡層用溶融樹脂組成物の発熱が抑えられると共に、出口4の間隙を多少広げてもダイ内の発泡層用溶融樹脂組成物の圧力保持が容易となりダイ内部での発泡が起きないので、ダイ先端で急圧縮する場合に発生する気泡の微細化による連続気泡化が防止される。また、押出された発泡層用溶融樹脂組成物のバラス効果が抑えられ、コルゲートの発生が抑制される。この結果、得られる複合発泡板は、見掛け密度を50〜600kg/m3、厚みを1.0mm以上にしても、連続気泡率を45%以下にすることができる。
【0056】
発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物を、ダイを通過させながら合流させて共押出しする場合、筒状に押出発泡させ、その筒状(複合)発泡体を円柱状の冷却装置に沿わせて冷却した後又は冷却しつつ切り開き、次いで、加熱してカールぐせを除去して平板化することにより複合発泡板を形成することができる。また、筒状に押出発泡させた筒状発泡体を未だ熱接着性を有している間に内面が熱接着するようにロールで挟圧して、平板化することによっても複合発泡板を形成することができる。
【0057】
本発明の発泡層は、発泡層の厚み方向、押出方向(MD方向)、幅方向(TD方向)の各平均気泡径を更に平均した総平均気泡径が0.1〜1.0mmの範囲にあることが好ましい。総平均気泡径が小さくなりすぎると、発泡層の連続気泡率が大きくなってしまう。一方、総平均気泡径が大きくなりすぎると外観を悪化させる原因となる。
上記発泡層の厚み方向の平均気泡径(A:mm)、押出方向(MD方向)の平均気泡径(B:mm)、幅方向(TD方向)の平均気泡径(C:mm)は、発泡層の押出方向の垂直断面及び、幅方向の垂直断面を顕微鏡で拡大撮影し、得られた顕微鏡撮影写真に基づいて測定するものとし、測定によって得られた平均気泡径(A)、平均気泡径(B)、平均気泡径(C)を相加平均することで総平均気泡径が求められる。
【0058】
具体的には、厚み方向及び押出方向の平均気泡径は、発泡層の押出方向に沿った垂直断面を顕微鏡等で拡大撮影し、得られた顕微鏡撮影写真において厚み方向の平均気泡径A{(a1、a2、a3、・・・・an)/n}、押出方向の平均気泡径B{(b1、b2、b3、・・・・bn)/n}を求める。但し、平均気泡径A、Bは任意の50以上の気泡についての平均値(n≧50)である。又、各気泡のa1、a2、a3、・・・・an、b1、b2、b3、・・・・bnの値は、各気泡の接線の最大接線間隔を採用するものとする。
幅方向の平均気泡径については、発泡層の幅方向に沿った垂直断面を顕微鏡等で拡大撮影し、得られた顕微鏡撮影写真において、A、Bを求める操作と同様の操作により、幅方向の平均気泡径C{(c1、c2、c3、・・・・cn)/n}を求める。次いで、得られた平均気泡径A、B及びCを相加平均して総平均気泡径を求める。総平均気泡径は主としてタルク等の気泡調節剤の添加量で調節される。
【0059】
本発明の複合発泡板においては、連続気泡率の低い生分解性の発泡層が、剛性の高い生分解性フィルム層で補強されているため、軽量であるにもかかわらず剛性が非常に大きいものである。かかる複合発泡板は、ディスプレイ材として好適であり、折り曲げ用の罫線を形成して、段ボール箱のような形態の箱等に加工されて使用される用途に好適である。また、本発明の複合発泡板は、発泡層及びフィルム層が共に生分解性なので、使用後の廃棄処分時に環境を汚染することがない。
【0060】
【実施例】
次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0061】
実施例1
発泡層製造用の押出機としては、内径90mmの第一押出機と内径120mmの第二押出機内が接続されたタンデム形式の押出機を用いた。下記発泡層用エステル変性でんぷん系樹脂(MFR:1.1g/10分、MT:33gf)100重量部と、気泡調整剤(タルク)0.1重量部とを第一押出機に供給し、加熱溶融混練した後、発泡剤として1重量部の発泡剤(ブタン)を第一押出機内に圧入して混練して発泡層用溶融樹脂組成物を形成した。次いで第一押出機と接続された第二押出機内で上記発泡層用溶融樹脂組成物を冷却し、表1に示す樹脂温度に調整した。一方、下記フィルム層用のエステル変性でんぷん系樹脂を直径40mmの押出機に供給し、加熱溶融混練してフィルム層用溶融樹脂組成物を形成し、表1に示す樹脂温度に調整した。上記フィルム層用溶融樹脂組成物を共押出用環状ダイ内部で発泡層用溶融樹脂組成物の両側に合流させ、次いで、図2に示す共押出用環状ダイ(内側リップの上記合流物の出口における直径は60mm、外側リップと内側リップとの上記合流物の出口における間隙は0.7mm)を用いて、共押出した。次いで、押出された筒状の発泡複合体を円柱状の冷却装置(直径333mm)の円周面に沿わせて引き取り、押出方向に切り開き、次いで100℃の加熱雰囲気下を通過させて加熱し、次いで冷却ロール間を通過させることにより巻き癖を取り除き、複合発泡板を得た。
【0062】
発泡層形成用エステル変性でんぷん系樹脂
上記発泡用エステル変性でんぷん系樹脂は、下記エステル澱粉Aと、ポリブチレンサクシネートアジペート(融点(DSC融解ピーク温度):91℃、MFR:8g/10分)とを7対3の重量比で溶融混合したものである。
上記エステル澱粉Aとは、上記DSが2.10のラウリン酸・酢酸澱粉であり、次のようにして製造されたものである。
ハイアミロースコーンスターチ50g(固形分)をジメチルスルホキシド(DMSO)200gに懸濁させ、攪拌しながら80℃まで昇温し、20分間保持して澱粉を湖化させた。この溶液に重炭酸ソーダ2.5gを添加し、80℃に維持しながらラウリン酸ビニル17.4gを加え90〜95℃で60分反応させた。途中、30分経過後から150mmHgに減圧した。60分後、重炭酸ソーダ1.5gを加え、酢酸ビニル74.3gを添加し、還流させながら90℃、120分反応させた。さらにその後200mmHgに減圧し、40分間反応を継続した。50%硫酸7.9gをDMSO30gに溶融させて上記反応液に加え、中和を行った。硫酸添加後200mmHgとして、20分間保持した。この反応液を水道水中に流し込み高速で攪拌させながら粉砕洗浄し、澱粉エステルの沈殿物得た。これを濾過、乾燥して得たものがエステル澱粉Aである。
【0063】
フィルム層形成用の樹脂
日本コーンスターチ株式会社のエステル変性でんぷん系樹脂(商品名「コーンポールCPR−EX6」(MFR:0.75g/10分、MT:40gf))を使用した。この樹脂は、23℃における引張弾性率が1040MPaであり、170℃での溶融粘度が3800Pa・sであり、密度が1170kg/m3であった。
【0064】
実施例2
発泡層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと、フィルム層形成用の樹脂として、下記ポリ乳酸樹脂を用いてフィルム層用溶融樹脂組成物を形成し、表1に示す樹脂温度に調整したこと以外は、実施例1と同様に複合発泡板を製造した。
【0065】
フィルム用形成用の樹脂
三井化学(株)製のポリ乳酸樹脂、商品名「レイシアH−100」を使用した。この樹脂は、23℃における引張弾性率が3700MPaであり、170℃での溶融粘度が2100Pa・sであり、密度が1260kg/m3であった。
【0066】
実施例3
発泡層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと、フィルム層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと以外は、実施例2と同様に複合発泡板を製造した。
【0067】
比較例1
図3に示す保圧部が設けられていないタイプの環状ダイ(内側リップの上記合流物の出口における直径は60mm、外側リップと内側リップとの上記合流物の出口における間隙は0.7mm)を用いたこと、発泡層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと、フィルム層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと以外は、実施例2と同様に複合発泡板を製造した。
【0068】
比較例2
発泡層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと、フィルム層形成用の樹脂として、下記脂肪族ポリエステル樹脂を用いてフィルム層用溶融樹脂組成物を形成し、表1に示す樹脂温度に調整したこと以外は、実施例1と同様に複合発泡板を製造した。
【0069】
フィルム層形成用樹脂
昭和高分子(株)製の脂肪族ポリエステル樹脂、商品名「ビオノーレ#3001」を使用した。この樹脂は、23℃における引張弾性率が350MPaであり、170℃での溶融粘度が2200Pa・sであり、その密度は1230kg/m3であった。
【0070】
比較例3
発泡層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと、フィルム層形成用の樹脂として、下記エステル変性でんぷん系樹脂を用いてフィルム層用溶融樹脂組成物を形成し、表1に示す樹脂温度に調整したこと以外は、実施例1と同様に複合発泡板を製造した。
【0071】
フィルム層形成用樹脂
日本コーンスターチ(株)製のエステル変性でんぷん系樹脂、商品名「コーンポールCPR−EX3」を使用した。この樹脂は、23℃における引張弾性率が980MPaであり、170℃での溶融粘度が6600Pa・sであり、その密度は1200kg/m3であった。
【0072】
比較例4
フィルム層を共押出しせずに、発泡層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整した以外は実施例1と同じ操作を行なってフィルム層無し発泡板を製造した。
【0073】
物性測定
実施例、比較例で得られた複合発泡板の見掛け密度、各層の厚み、連続気泡率、総平均気泡径及び複合発泡板の見掛け密度当りの曲げ最大荷重値(kgf/(kg/m3))を測定した。測定結果を表1に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
実施例1〜3においては、剛性の優れる樹脂からなるフィルム層を積層し、更に、流路の先端に保圧部を有する環状ダイ(図2)を使用した結果、気泡径が小さくなりすぎず(0.35〜0.41mm)、連続気泡率が小さい複合発泡板が得られた。これらの複合発泡シートは、ディスプレイ材等のボード、通い箱、収納箱等として好適な高い剛性を持つものとなった。
【0076】
一方、比較例1で得られた複合発泡板は、保圧部が設けられていないタイプの環状ダイが使用されたため、コルゲートの発生を抑制するためにリップ間隔を大きくすると、ダイス圧力が大きく低下し内部発泡が生じて、連続気泡率が極端に大きくなってしまったため、剛性の大きな複合発泡板を得ることができなかった。
また、比較例2においては、フィルム層を構成する樹脂として剛性の低い樹脂を使用したため、得られた複合発泡板の見掛け密度当りの曲げ最大荷重値が130(kgf/(kg/m3))であり、剛性が十分ではなかった。
【0077】
また、比較例3においては、フィルム層を構成する樹脂として170℃における溶融粘度が4000Pa・sを超える6600Pa・sの樹脂を使用したため、フィルム層用溶融樹脂の温度が上昇し、連続気泡率が極端に大きくなってしまったので、剛性の大きな複合発泡板を得ることができなかった。
また、比較例4においては、フィルム層が積層されていないため、得られた発泡板の見掛け密度当りの曲げ最大荷重値が240(kgf/(kg/m3))と低く、剛性が十分ではなかった。
【0078】
【発明の効果】
本発明のエステル変性でんぷん系樹脂発泡板は、エステル変性でんぷん系樹脂発泡層の少なくとも片面に、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上の樹脂組成物からなるフィルム層を有する複合発泡板であって、該複合発泡板の厚みが1.0mm以上、見掛け密度が50〜600kg/m3、連続気泡率が45%以下であることから、生分解性を有し、剛性に優れたものである。
【0079】
また、本発明のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板の製造方法においては、エステル変性でんぷん系樹脂を加熱溶融させて発泡剤と混練することにより発泡層用溶融樹脂組成物とする一方で、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上、かつ170℃での溶融粘度が4000Pa・s以下の樹脂組成物を加熱溶融させてフィルム層用溶融樹脂組成物とし、該発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物を、ダイを通過させながら合流させて共押出しするので、連続気泡率が少なく、剛性の大きい複合発泡板を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ダイを押出機先端に取り付けて複合発泡板を押出発泡法により製造する際の、ダイを含む主要部概略を示す断面図である。
【図2】本発明において好ましく用いられる環状ダイを用いた場合における、図1のA部の部分拡大断面図である。
【図3】図3は、一般の環状ダイを用いた場合における、図1のA部の部分拡大断面図である。
【図4】メルトテンション(MT)の測定におけるメルトテンションと時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 外側リップ
2 内側リップ
3 溶融樹脂の流路
4 流路の出口
5 円柱状の冷却装置
6 筒状発泡体
7 保圧部
8 保圧部の入り口
a 保圧部の長さ
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有するエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からディスプレイ材、軽量で腰の強い箱等の素材として発泡プラスチック製品、特に発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等の汎用樹脂を用いた製品が好適な材料として利用されてきた。しかし、使用済みプラスチック製品の一部は廃棄焼却処分時に有毒ガスを排出することが知られている。又、発泡プラスチック製品は、発泡して体積が大きくなっているので巨大な埋立地を必要とする。更に、生ゴミ等と異なり微生物により分解消滅することがないため、埋立地不足が促進される等、近年大きな社会問題となっている。
【0003】
この問題の解決策として、使用後の廃棄処分時に環境を汚染することなく、しかも土壌中で生分解する素材への代替が進められている。中でも、澱粉は天然資源中で最も豊富に生産されていることから、最も有望な素材として期待されている。
【0004】
しかしながら、澱粉を主成分とする生分解性組成物は、従来技術により板状に押出発泡成形しても、連続気泡率の高い発泡体しか得られず、剛性が不十分なものであった。かかる澱粉を主成分とした生分解性組成物から押出発泡体を製造する従来技術は、例えば、特許文献1に記載されている。本発明者等は、この連続気泡率の高い発泡体しか得られないという従来技術の課題を解決するために、ダイ内の構造に工夫を加えることを検討した。その結果、澱粉を主成分とした生分解性組成物から剛性の大きい押出発泡シートを製造できることを見出し、この知見に基づいて先に特許出願を完了させた(特許文献2)。しかしながら、特許文献2記載の発泡シートにおいても剛性面において改良の余地を残すものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−316520号公報
【特許文献2】
特願2002−291380号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の問題に鑑みて、より剛性に優れるエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を進めた結果、特定のフィルム層を発泡層に積層することにより、剛性を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明によれば、以下に示すエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板及びその製造方法が提供される。
[1]エステル変性でんぷん系樹脂発泡層の少なくとも片面に、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上の樹脂組成物からなるフィルム層を有する複合発泡板であって、該複合発泡板の厚みが1.0mm以上、見掛け密度が50〜600kg/m3、連続気泡率が45%以下であることを特徴とするエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板。
[2]該エステル変性でんぷん系樹脂発泡層の両面に該フィルム層を有し、該フィルム層のそれぞれの厚みが0.015〜0.2mmであることを特徴とする上記[1]に記載のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板。
[3]該発泡板の曲げ最大荷重(kgf)を該見掛け密度(kg/m3)で除した値(見掛け密度当りの曲げ最大荷重値)が,300(kgf/(kg/m3))以上であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板。
[4]エステル変性でんぷん系樹脂を加熱溶融させて発泡剤と混練することにより発泡層用溶融樹脂組成物とする一方で、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上、かつ170℃での溶融粘度が4000Pa・s以下の樹脂組成物を加熱溶融させてフィルム層用溶融樹脂組成物とし、該発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物とを、ダイを通過させながら合流させて共押出しすることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板を製造する方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板(以下、複合発泡板ともいう。)は、エステル変性でんぷん系樹脂発泡層(以下、発泡層ともいう。)の少なくとも片面に、特定の樹脂組成物からなるフィルム層を有する。即ち、本発明の複合発泡板は、発泡層と該発泡層の片面又は両面に特定の樹脂組成物からなるフィルム層が設けられている。このように、本発明の複合発泡板は、特定のフィルム層により補強されているので、従来のエステル変性でんぷん系樹脂発泡板と比べると剛性が大きく向上している。
【0009】
まず、本発明の複合発泡板を構成する発泡層について説明する。
該発泡層の基材樹脂は、エステル変性でんぷん系樹脂を主成分とする。尚、本明細書において、エステル変性でんぷん系樹脂を主成分とするとは、エステル変性でんぷん系樹脂が、発泡層を構成する基材樹脂中に40重量%以上含有されていることをいうが、50重量%以上含有されていることが好ましく、55〜90重量%含有されていることがより好ましい。また、該基材樹脂がエステル変性でんぷん系樹脂と、エステル変性でんぷん系樹脂以外の他の合成樹脂からなる場合には、当該他の合成樹脂としては、土壌中での生分解性の低下を防ぐために、後述するエステル変性でんぷん系樹脂以外の生分解性ポリマーが好ましく、特にその中でも生分解性の熱可塑性ポリエステルが好ましい。
【0010】
本発明において、発泡層の基材樹脂を構成するエステル変性でんぷん系樹脂とは、澱粉の反応性水酸基が、有機酸や無機酸やグラフト置換体によりエステル置換されている澱粉置換体であって、熱可塑性を有するものをいう。ここで、熱可塑性とは、加熱すると軟化して流動し、冷却すると再び硬くなる性質をいい、後述する生分解性ポリマーを添加して加熱することにより、軟化して流動し、冷却すると再び硬くなる性質のものも包含する。
【0011】
本発明においては、上記エステル変性でんぷん系樹脂の中でも、熱可塑性を有する生分解性ポリマーを製造しやすいことから、有機酸のエステル澱粉が好ましい。又、澱粉としては、エステル化可能な炭素数(アシル基の)範囲2〜22であれば、発泡層の要求特性に応じて適宜選択できる。
なお、一般的に該炭素数が大きい程、融点が低下して、柔軟性、伸張性、耐水性が優れたものとなり、逆に、炭素数が小さい程、剛性、硬度が優れたものとなる傾向がある。炭素数が大きい程、澱粉の結晶性が阻害されるためと考えられる。
【0012】
本発明で用いられるエステル変性でんぷん系樹脂(以下、エステル澱粉ともいう。)においては、置換度:DSが、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.5〜2.95であり、さらに好ましくは1.8〜2.5である。該DSが低すぎると、樹脂の熱可塑性が低下する虞がある。DSが高すぎると、樹脂の可塑化粘度が低下し、均一に発泡させることが困難になる虞がある。
【0013】
なお、該置換度:DS(Degree of Substiution)は、誘導体のエステル化度を表し、グルコース残基1個当たりの置換水酸基の平均値である。すべて置換されるとDS=3であり、グルコース100個に1個の置換であればDS0.01であり、DS2以上は便宜上、置換度が大きいことを意味する(二國二郎監「澱粉科学ハンドブック」(1977)朝倉書店、p497〜498参照)。
【0014】
本発明において好ましく用いられるエステル澱粉としては、特許第2939586号公報に記載されたものが挙げられる。即ち、同一澱粉分子の反応性水酸基の水素が、炭素数2〜4のアシル基(以下「短鎖アシル基」という。)及び炭素数6〜18のアシル基(以下「長鎖アシル基」という。)で置換されてなり、長鎖アシル基及び短鎖アシル基の各置換度が調製されて可塑剤が添加されていなくても熱可塑化して成形加工可能なエステル澱粉である。
【0015】
上記エステル澱粉の原料澱粉としては、▲1▼コーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、コムギ澱粉、米澱粉、サゴ澱粉等の地上澱粉、▲2▼馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉等の地下澱粉、及び▲3▼それらの澱粉の低度エステル化・エーテル化、架橋、酸化、酸処理、デキストリン化、α化(pregelatinization)された化工澱粉を使用できる。
【0016】
上記エステル澱粉の対応有機酸としては、下記のようなものを挙げることができる。なお、酸名の後の括弧内は炭素数である。
【0017】
▲1▼酢酸(C2)、プロピオン酸(C3)、酪酸(C4)、吉草酸(C5)、カプロン酸(C6)、カプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、アラキン酸(C20)、ベヘン酸(C22)、さらには、一般式R1(R2)(R3)CCOOH(ただし、R1、R2、R3はすべてアルキル基でこれらの合計炭素数は4〜16である。)で示される分岐飽和脂肪族カルボン酸等の飽和カルボン酸。
▲2▼アクリル酸(C3)、クロトン酸(C4)、イソクロトン酸(C4)、オレイン酸(C18)、等の不飽和カルボン酸。
▲3▼安息香酸(C7)、フタル酸(C8)、テレフタル酸(C8)等の芳香族モノ・ジカルボン酸。
▲4▼マロン酸(C3)、コハク酸(C4)、マレイン酸(C4)、フマル酸(C4)等の飽和・不飽和ジカルボン酸。
▲5▼乳酸(C3)、リンゴ酸(C4)、酒石酸(C4)等のヒドロキシカルボン酸。
▲6▼ε−カプロラクトン(C6)、γ−カプリロラクトン(C8)、γ−ラウロラクトン(C12)、γ−ステアロラクトン(C18)さらには、一般式(CH2)nCOO(ただしn=5〜17)で示される大環状ラクトン等の環状エステル(カプロラクトン類)。
▲7▼下記化学式(I)で示されるアルキレンケテンダイマー(ただし、R:炭素数5〜17のアルキル基、アルキレン基、アリール基及びそれらの誘導体基)。
【0018】
【化1】
【0019】
本発明において、発泡層を構成する基材樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、0.05〜50g/10分であることが好ましく、0.1〜20g/10分であることがより好ましい。MFRが0.05g/10分未満の場合は、複合発泡板製造時にダイ内で発熱しやすく、得られる複合発泡板の連続気泡率が増加しやすい。MFRが50g/10分を超える場合は、複合発泡板製造時に発泡層の気泡が破泡しやすく、得られる複合発泡板の連続気泡率が増加しやすい。
【0020】
本明細書において、発泡層を構成する基材樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、JIS K 7210:1999でいうメルトマスフローレートを意味する。尚、MFRの測定は、当該JISの附属書A表1の条件Dにより測定するものとする。
【0021】
本発明において、発泡層を構成する基材樹脂のメルトテンション(MT)は、190℃の条件下において、10gf以上であることが好ましく、15gf以上であることがより好ましく、20gf以上であることが更に好ましい。該メルトテンションが小さすぎる場合は、独立気泡率の高い発泡層を得ることが困難となる。
尚、該メルトテンションの上限値は複合発泡板製造時における押出し安定性の観点から、概ね80gfであるが、70gfが好ましい。
【0022】
本明細書におけるメルトテンションは、株式会社東洋精機製作所製のメルトテンションテスターII型を用い、次のように測定するものとする。
内径2.095mm、長さ8mmのオリフィスをメルトテンションテスターのシリンダー内に取り付け、該オリフィス及びシリンダーを予め190℃に保持しておき、その中に基材樹脂を4g入れ、5分間置いてから、ピストンの押出速度を10mm/分として190℃の溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛けた後、5rpm/秒(紐状物の捲取り加速度:1.3×10−2m/秒2)の割合で捲取り速度を徐々に増加させていきながら直径50mmの捲取りローラーで捲取る。
【0023】
メルトテンションを求めるには、まず、張力検出用プーリーに掛けた紐状物が切れるまで捲取り速度を増加させ、紐状物が切れた時の捲取り速度:R(rpm)を求める。次いで、R×0.7(rpm)の一定の捲取り速度において紐状物の捲取りを行い、張力検出用プーリーと連結する検出器により検出される紐状物のメルトテンションを経時的に測定し、縦軸にメルトテンションを、横軸に時間をとったグラフに示すと、図4のような振幅をもったグラフが得られる。
【0024】
本発明におけるメルトテンションとしては、図4において振幅の安定した部分の振幅の中央値(X)を採用する。但し、捲取り速度が500rpmに達しても紐状物が切れない場合には、捲取り速度を500rpmとして紐状物を巻き取って求めたグラフより紐状物のメルトテンション(MT)を求める。尚、メルトテンションの経時的測定の際に、まれに特異な振幅値が検出されることがあるが、このような特異な振幅値は無視するものとする。
【0025】
本発明において、発泡層を構成する基材樹脂の一部としてエステル澱粉置換体以外の生分解性ポリマーを混合することができる。該生分解性ポリマーは、澱粉置換体と混和可能で可塑化作用を有するものが好ましい。
【0026】
上記エステル澱粉置換体以外の生分解性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、エステル化又はエーテル化セルロース、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリアミノ酸、蛋白(グルテン、ツェイン等)、キチン、キトサン類等の生分解性を有する樹脂の中から単独、又は複数選択して使用することができる。
【0027】
本発明においては、特に、ポリカプロラクトン、ポリアルキレンカルボキシレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチルバリレートから一種、又は二種以上選択される熱可塑性ポリエステルを、発泡層を構成する基材樹脂の一部として混合することが好ましい。これらのポリエステルはエステル澱粉との混和性に優れ、可塑化作用を発揮し易い上、耐熱性、柔軟性等、発泡層を形成する材料としての総合的物性において優れている。
【0028】
本発明において、発泡層を構成する基材樹脂中における上記エステル澱粉置換体以外の生分解性ポリマーの含有率は、5〜50wt%であることが好ましく、10〜45wt%であることがより好ましい。
【0029】
本発明においては、発泡層を構成する基材樹脂中に、着色料、無機充填剤、熱安定剤、消臭剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲内において、適宜添加することができる。
【0030】
次に、本発明の複合発泡板を構成するフィルム層について説明する。
該フィルム層は、前記発泡層の片面、好ましくは両面に積層一体化されており、特定の樹脂組成物からなる。該特定の樹脂組成物は、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物から成ると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上の樹脂組成物である。該樹脂組成物を構成するエステル変性でんぷん系樹脂としては、上記発泡層の基材樹脂と同じものが例示される。また、脂肪族ポリエステル樹脂としては、ポリカプロラクトン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂、ポリヒドロキシブチレート樹脂、ポリヒドロキシブチレートビバレート樹脂が例示される。特にこの中でも結晶性のポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂及びポリブチレンサクシネートアジペート樹脂から選択される単独又は2以上の混合物が、本発明のフィルムを構成する樹脂として好適である。
【0031】
また、本発明のフィルム層を構成する樹脂組成物においては、23℃における引張弾性率が400MPa以上である。かかる樹脂組成物としては、そのような高い引張弾性率を持つ市販のポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂及びエステル変性でんぷん系樹脂から選択される樹脂を単独で又は2以上混合して、或いは23℃における引張弾性率を400MPaを下回らないように各種添加剤を添加したものが例示される。このような引張弾性率を有する市販の樹脂としては、三井化学株式会社のポリ乳酸樹脂(商品名「レイシアH−100」)、昭和高分子株式会社の脂肪族ポリエステル樹脂(商品名「ビオノーレ#1001」)、日本コーンスターチ株式会社のエステル変性でんぷん系樹脂(商品名「コーンポールCPR−EX6」)が挙げられる。
【0032】
本明細書においては、上記引張弾性率は次のように測定するものとする。
まず、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなる樹脂組成物を含水率が0.05重量%以下となるように50℃下で充分乾燥させてから、200℃に設定されたヒートプレス機によりプレスし、25℃に冷却して厚み約0.5mmのシートを作製する。次いで、全長70mm、平行部分の幅10mmの長方形形状の試験片に調整する。該試験片を気温23±3℃、相対湿度50±5%の恒温恒湿室で24時間放置してから、同恒温恒湿室内において、つかみ具間距離30mm、引張速度100mm/minの条件で引張試験を行う。次に、得られた荷重−ひずみ曲線において、初めの直線部分を用いて下記(1)式より引張弾性率を算出する。
【0033】
【数1】
引張弾性率(MPa)=Δσ/Δε (1)
但し、(1)式において、Δσは、得られた荷重−ひずみ曲線の初めの直線部分の任意の点またはその延長線上の任意の点に対応する荷重:K(kgf)を、試験片の平行部分における断面積(試験片の平行部分の幅である1.0cmと試験片の平行部分の平均厚み(cm)との積)で除した値をMPa単位に換算したものである。ここで試験片の平行部分の平均厚みとは、無作為に選んだ5箇所の厚みの相加平均値をいう。
また、Δεは、試験速度である100mm/minを、荷重−ひずみ曲線を記録した際のチャートの移動速度(mm/min)で除した値と、チャートの長さ(cm)との積を、試験片の標線間距離である3.0cmで除した値である。尚、ここでいうチャートの長さ(cm)とは、上記チャートの横軸のベースライン(荷重0)上における上記荷重:Kに対応する点と、該横軸のベースラインと上記直線との交点とを結ぶ直線の長さ(cm)を意味する。
【0034】
本発明のフィルム層は、複合発泡板の剛性を高めるために積層一体化されるものである。従って、フィルム層を構成する樹脂組成物の23℃における引張弾性率が400MPa以上である必要がある。該引張弾性率が400MPa未満の場合は、複合発泡板の剛性が不充分となる。複合発泡板の高剛性化のためには、フィルム層は発泡層の両面に積層一体化されていることが好ましい。また、フィルム層の各厚みは、0.010〜0.3mmであることが好ましく、0.015〜0.2mmであることがより好ましい。フィルム層の厚みが薄すぎると複合発泡板の高剛性化への寄与が小さく、フィルム層の厚みが厚すぎると複合発泡板の軽量性を阻害する。
【0035】
本発明の複合発泡板の厚みは少なくとも1.0mmである。該厚みが1.0mmに満たないと、軽量性と高い剛性を両立させることが困難となる。また、厚みが厚すぎると、箱等に折り曲げ加工するような場合には加工性が悪くなる。かかる観点から、本発明の複合発泡板の厚みは1.5〜10.0mmが好ましく、2.0〜8.0mmがより好ましい。
【0036】
本発明の複合発泡板は、見掛け密度が50〜600kg/m3である。見掛け密度が50kg/m3未満であると十分な剛性が得られない。また、見掛け密度が600kg/m3を越えると、軽量性が損なわれる。かかる観点から、本発明の複合発泡板の見掛け密度は、60〜500kg/m3であることが好ましく、70〜400kg/m3であることがより好ましい。
【0037】
本明細書においては、複合発泡板の見掛け密度は複合発泡板の単位面積あたりの重量を、複合発泡板の厚みにより除した値を単位換算することにより求めるものとする。具体的には、複合発泡板の幅方向の中央部から、厚み方向の表裏面のそれぞれが、縦30cm、横30cmサイズとなるようにカットサンプルを切り出し(厚みはそのままとする)、このカットサンプルの重量(0.001gまで測定される)と、平均厚み(無作為に測定した10点の厚みの相加平均値であり、各厚みは0.01cmまで測定される)を測定すると、900cm2あたりの重量となり、これを900で除すことにより1cm2あたりの重量(複合発泡板の単位面積あたりの重量)が求まる。この複合発泡板の単位面積あたりの重量を上記カットサンプルの平均厚みで除した後、単位換算すれば複合発泡板の見掛け密度が求まる。
【0038】
本発明の複合発泡板の連続気泡率は45%以下である。該連続気泡率が45%を超えると、軽量で剛性の高い複合発泡板とすることが困難である。かかる観点から、本発明の複合発泡板の連続気泡率は40%以下が好ましく、0〜35%がより好ましい。このような見掛け密度が小さい上に、連続気泡率が小さい複合発泡板は、上記高いメルトテンションのエステル変性樹脂を使用し、後述する改良されたダイを使用することにより製造することができる。
【0039】
本明細書における上記複合発泡板の連続気泡率の測定は、ASTM D2856−70(手順C)に準拠し次の様に行うものとする。
エアピクノメーターを使用して測定試料の真の体積Vx(cm3)を求め、測定試料の外寸から見掛けの体積Va(cm3)を求め、下記(2)式より連続気泡率(%)を計算する。尚、真の体積Vxとは、測定試料中の樹脂の体積と独立気泡部分の体積との和である。
【0040】
【数2】
連続気泡率(%)={(Va−Vx)/(Va−W/ρ)}×100 (2)
但し、(2)式において、Wは測定試料の重量(g)、ρは発泡層を構成する基材樹脂の密度(g/cm3)である。
【0041】
尚、測定試料の寸法は、縦25mm、横25mm、厚み約40mmである。本発明においては、一枚のサンプルでは薄くて上記測定試料の寸法に適合した厚み寸法のものが得られない場合には、複数枚のサンプルを重ね合せた際に最も40mmに近づく(ただし40mmは超えない)複数枚のサンプルを同時に重ねて使用する。
【0042】
本発明の複合発泡板においては、複合発泡板の曲げ最大荷重(kgf)を該複合発泡板の見掛け密度(kg/m3)で除した値(見掛け密度当りの曲げ最大荷重値)が、300(kgf/(kg/m3))以上であることが好ましく、350(kgf/(kg/m3))以上であることがより好ましく、400(kgf/(kg/m3))以上であることが更に好ましい。この値が大きいほど、軽量で剛性が大きい複合発泡板であることになる。この値は、通常、複合発泡板の連続気泡率を小さくするほど、厚みを厚くするほど、フィルム層を構成する樹脂組成物の引張弾性率が大きいほど、大きくなるという傾向にある。これらの要素を適宜組み合わせることにより、容易に見掛け密度当りの曲げ最大荷重値が少なくとも300(kgf/(kg/m3))の複合発泡板を得ることができる。見掛け密度当りの曲げ最大荷重値の上限は、通常、1000(kgf/(kg/m3))である。
尚、本発明の複合発泡板をディスプレイ材として使用する場合、曲げ最大荷重は1(kgf)以上であることが好ましい。
【0043】
次に、本発明の複合発泡板の製造方法について説明する。該複合発泡板は、発泡層とフィルム層とを別々に製造し、その後接着一体化する方法により製造することができる。また、発泡層を先に製造しておき、発泡層上に溶融状態のフィルム層を押出し一体化する方法でも製造することができる。また、発泡層とフィルム層とを共押出しする方法でも製造することができる。これらの方法の中では、発泡層とフィルム層とを共押出しする方法が、フィルム層と発泡層の接着強度を向上させることができ、薄いフィルム層を形成することができ、しかも単純な製造工程で複合発泡板を効率的に製造することができるので好ましい。
【0044】
次に、共押出しにて複合発泡板を製造する方法について説明する。
該方法においては、押出機を用いて、エステル変性でんぷん系樹脂を加熱溶融させて発泡剤と混練することにより発泡層用溶融樹脂組成物とを形成する。一方、他の押出機を用いて、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上、かつ170℃での溶融粘度が4000Pa・s以下の樹脂組成物を加熱溶融させてフィルム層用溶融樹脂組成物とを形成する。次に、上記発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物とを、ダイを通過させて合流させながら大気圧下等の低圧下に押出すことによって複合発泡板を製造することができる。該ダイとしては、環状の共押出ダイを用いて筒状の複合発泡体を形成し、次いで切り開いたり、押し潰したりすることにより複合発泡板を製造することが、均一な厚み、気泡構造の発泡板を得ることができるので好ましい。また、発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物とを、ダイを通過させながら合流させる場合、両者をダイに入る直前又はダイ内で合流させることが、発泡層とフィルム層の接着強度が向上するので好ましい。但し、本発明はこれに限定するものではなく、発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物をダイから放出しながら、合流接着させてもよい。また、本発明はこ環状の共押出ダイを用いることに限定するものではなく、共押出用のTダイを用いることもできる。
【0045】
本発明方法において、発泡層用溶融樹脂組成物を構成するエステル変性でんぷん系樹脂としては、前記発泡層を構成するエステル変性でんぷん系樹脂と同様のものが挙げられる。また、溶融したエステル変性でんぷん系樹脂に注入する発泡剤としては、エステル変性でんぷん系樹脂を主成分とする基材樹脂を可塑化することが容易であるという点で、例えばプロパン、イソブタン、ノルマルブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン等の有機系物理発泡剤が好ましく用いられる。但し、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等の有機発泡剤や、重炭酸ソーダ、重炭酸アンモニア等の無機発泡剤や、窒素、二酸化炭素等の無機系物理発泡剤も適宜用いることができる。又、気泡調節剤としてタルク、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等を添加することが好ましい。
【0046】
上記発泡剤の使用量は、発泡剤の種類、所望する発泡倍率等によっても異なるが、前記ノルマルブタン、イソブタン等の有機系物理発泡剤の場合で、樹脂100重量部当たり0.1〜15重量部である。
【0047】
また、フィルム層用溶融樹脂組成物を構成するエステル変性でんぷん系樹脂としては、前記フィルム層を構成するエステル変性でんぷん系樹脂と同様のものが挙げられ、フィルム層用溶融樹脂組成物を構成する脂肪族ポリエステル樹脂としては、前記フィルム層を構成する脂肪族ポリエステル樹脂と同様のものが挙げられ、エステル変性でんぷん系樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂の混合物についても前記フィルム層を構成する混合物と同様のものが挙げられる。
【0048】
又、フィルム層用溶融樹脂組成物を構成する樹脂組成物においては、23℃における引張弾性率が400MPa以上である。該樹脂組成物の23℃における引張弾性率が、400MPa以上であることについては、前記フィルム層を構成する樹脂組成物の23℃における引張弾性率が、400MPa以上であることと同様である。
【0049】
更に、フィルム層用溶融樹脂組成物を構成する樹脂組成物においては、170℃での溶融粘度が4000Pa・s以下である。該溶融粘度が4000Pa・sを越える場合には、発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物とを合流させた際、発泡層用溶融樹脂組成物の温度が上昇するので、得られる複合発泡板の連続気泡率が大きくなる虞がある。
【0050】
本明細書において、170℃での溶融粘度は、株式会社島津製作所製の島津フローテスタ CFT−500を用いて、次のように測定するものとする。
予め、同装置のシリンダを170℃に昇温しておき、そのシリンダ中に、測定試料(含水率が0.05重量%以下となるように50℃下で充分乾燥させた樹脂組成物)を1.5g入れ、4分間置いてから、プランジャを下降させることにより、内径1.0mm、長さ10mmのノズルから170℃の試料を押出す操作を繰り返して行なう。この際、繰り返しのたびに同じ種類の新たな試料に取り替え、荷重を変更することでプランジャの押出速度(せん断速度)を変更する。得られた測定結果から、せん断速度と下記(3)式より計算される溶融粘度との関係をグラフ化し、そのグラフよりせん断速度100sec−1における溶融粘度を読み取る。
溶融粘度(Pa・s)=(π×R4×P)/(8×L×Q) (3)
但し、上記(3)式において、Rはノズル半径(cm)、Lはノズル長さ(cm)、Pは試験圧力(Pa)、Qは流れ値(ml/s)である。
【0051】
23℃における引張弾性率を400MPa以上、かつ170℃での溶融粘度が4000Pa・s以下の樹脂としては、例えば、三井化学株式会社のポリ乳酸樹脂(商品名「レイシアH−100」)、昭和高分子株式会社の脂肪族ポリエステル樹脂(商品名「ビオノーレ#1001」)、日本コーンスターチ株式会社のエステル変性でんぷん系樹脂(商品名「コーンポールCPR−EX6」)が挙げられる。これらのいずれかを単独で又は2以上を混合して使用すればよい。
【0052】
本発明において、複合発泡板を構成する発泡層の形成は、共押出法による場合、最初に発泡層を形成してからフィルム層を積層一体化する方法のいずれにおいても、保圧特性に優れたリップ部構造を有する環状ダイを押出機先端に取り付けて、発泡層用溶融樹脂組成物の押出圧力がダイ先端のリップ部で急激に低下しないように押出発泡させることが好ましい。このように製造することで、連続気泡率の低見掛け密度が小さい発泡層を形成することができる。
【0053】
上記保圧特性に優れたリップ部の構造について、その一例を図1〜3に基づいて説明する。
図1は、ダイを押出機先端に取り付けて複合発泡板を押出発泡法により製造する際の、ダイを含む主要部概略を示す断面図である。図2は、本発明において好ましく用いられる共押出用の環状ダイを用いた場合における、図1のA部の部分拡大断面図である。図3は、一般の環状ダイを用いた場合における、図1のA部の部分拡大断面図である。図1〜3において、1は外側リップ、2は内側リップ、3は発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム用樹脂組成物からなる溶融樹脂の流路、4は流路3の出口、5は円柱状の冷却装置、6は筒状発泡体をそれぞれ示す。又、図2において、7は環状ダイの流路3の先端に設けられた保圧部を、8は保圧部の入り口を、aは保圧部の長さそれぞれ示す。
尚、発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム用樹脂組成物との合流地点は図1に示される部分の上流であり、図示されていない。
【0054】
図3に示す一般の環状ダイのリップ部においては、流路3の先端が、出口4に向かって約33度の角度(θ′)でほぼ直線的に急激に狭まるように形成されている。
これに対し、図2に示す、保圧特性に優れた環状ダイにおいては、流路3の先端部に保圧部7が設けられ、保圧部の入り口8に向かう部分は上記33度に近い角度で急激に狭まるが、保圧部7においては、その長さ(a)にわたって、内側リップ2の内壁と外側リップ1の内壁とのなす角度(θ)が0〜15度となるように形成されている。ここにおいて上記長さ(a)は1〜5mmであることが好ましい。
【0055】
このように、上記保圧部7の長さ(a)を1〜5mmとし、上記角度(θ)を0〜15度にすることによって、出口4の直前における発泡層用溶融樹脂組成物の発熱が抑えられると共に、出口4の間隙を多少広げてもダイ内の発泡層用溶融樹脂組成物の圧力保持が容易となりダイ内部での発泡が起きないので、ダイ先端で急圧縮する場合に発生する気泡の微細化による連続気泡化が防止される。また、押出された発泡層用溶融樹脂組成物のバラス効果が抑えられ、コルゲートの発生が抑制される。この結果、得られる複合発泡板は、見掛け密度を50〜600kg/m3、厚みを1.0mm以上にしても、連続気泡率を45%以下にすることができる。
【0056】
発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物を、ダイを通過させながら合流させて共押出しする場合、筒状に押出発泡させ、その筒状(複合)発泡体を円柱状の冷却装置に沿わせて冷却した後又は冷却しつつ切り開き、次いで、加熱してカールぐせを除去して平板化することにより複合発泡板を形成することができる。また、筒状に押出発泡させた筒状発泡体を未だ熱接着性を有している間に内面が熱接着するようにロールで挟圧して、平板化することによっても複合発泡板を形成することができる。
【0057】
本発明の発泡層は、発泡層の厚み方向、押出方向(MD方向)、幅方向(TD方向)の各平均気泡径を更に平均した総平均気泡径が0.1〜1.0mmの範囲にあることが好ましい。総平均気泡径が小さくなりすぎると、発泡層の連続気泡率が大きくなってしまう。一方、総平均気泡径が大きくなりすぎると外観を悪化させる原因となる。
上記発泡層の厚み方向の平均気泡径(A:mm)、押出方向(MD方向)の平均気泡径(B:mm)、幅方向(TD方向)の平均気泡径(C:mm)は、発泡層の押出方向の垂直断面及び、幅方向の垂直断面を顕微鏡で拡大撮影し、得られた顕微鏡撮影写真に基づいて測定するものとし、測定によって得られた平均気泡径(A)、平均気泡径(B)、平均気泡径(C)を相加平均することで総平均気泡径が求められる。
【0058】
具体的には、厚み方向及び押出方向の平均気泡径は、発泡層の押出方向に沿った垂直断面を顕微鏡等で拡大撮影し、得られた顕微鏡撮影写真において厚み方向の平均気泡径A{(a1、a2、a3、・・・・an)/n}、押出方向の平均気泡径B{(b1、b2、b3、・・・・bn)/n}を求める。但し、平均気泡径A、Bは任意の50以上の気泡についての平均値(n≧50)である。又、各気泡のa1、a2、a3、・・・・an、b1、b2、b3、・・・・bnの値は、各気泡の接線の最大接線間隔を採用するものとする。
幅方向の平均気泡径については、発泡層の幅方向に沿った垂直断面を顕微鏡等で拡大撮影し、得られた顕微鏡撮影写真において、A、Bを求める操作と同様の操作により、幅方向の平均気泡径C{(c1、c2、c3、・・・・cn)/n}を求める。次いで、得られた平均気泡径A、B及びCを相加平均して総平均気泡径を求める。総平均気泡径は主としてタルク等の気泡調節剤の添加量で調節される。
【0059】
本発明の複合発泡板においては、連続気泡率の低い生分解性の発泡層が、剛性の高い生分解性フィルム層で補強されているため、軽量であるにもかかわらず剛性が非常に大きいものである。かかる複合発泡板は、ディスプレイ材として好適であり、折り曲げ用の罫線を形成して、段ボール箱のような形態の箱等に加工されて使用される用途に好適である。また、本発明の複合発泡板は、発泡層及びフィルム層が共に生分解性なので、使用後の廃棄処分時に環境を汚染することがない。
【0060】
【実施例】
次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0061】
実施例1
発泡層製造用の押出機としては、内径90mmの第一押出機と内径120mmの第二押出機内が接続されたタンデム形式の押出機を用いた。下記発泡層用エステル変性でんぷん系樹脂(MFR:1.1g/10分、MT:33gf)100重量部と、気泡調整剤(タルク)0.1重量部とを第一押出機に供給し、加熱溶融混練した後、発泡剤として1重量部の発泡剤(ブタン)を第一押出機内に圧入して混練して発泡層用溶融樹脂組成物を形成した。次いで第一押出機と接続された第二押出機内で上記発泡層用溶融樹脂組成物を冷却し、表1に示す樹脂温度に調整した。一方、下記フィルム層用のエステル変性でんぷん系樹脂を直径40mmの押出機に供給し、加熱溶融混練してフィルム層用溶融樹脂組成物を形成し、表1に示す樹脂温度に調整した。上記フィルム層用溶融樹脂組成物を共押出用環状ダイ内部で発泡層用溶融樹脂組成物の両側に合流させ、次いで、図2に示す共押出用環状ダイ(内側リップの上記合流物の出口における直径は60mm、外側リップと内側リップとの上記合流物の出口における間隙は0.7mm)を用いて、共押出した。次いで、押出された筒状の発泡複合体を円柱状の冷却装置(直径333mm)の円周面に沿わせて引き取り、押出方向に切り開き、次いで100℃の加熱雰囲気下を通過させて加熱し、次いで冷却ロール間を通過させることにより巻き癖を取り除き、複合発泡板を得た。
【0062】
発泡層形成用エステル変性でんぷん系樹脂
上記発泡用エステル変性でんぷん系樹脂は、下記エステル澱粉Aと、ポリブチレンサクシネートアジペート(融点(DSC融解ピーク温度):91℃、MFR:8g/10分)とを7対3の重量比で溶融混合したものである。
上記エステル澱粉Aとは、上記DSが2.10のラウリン酸・酢酸澱粉であり、次のようにして製造されたものである。
ハイアミロースコーンスターチ50g(固形分)をジメチルスルホキシド(DMSO)200gに懸濁させ、攪拌しながら80℃まで昇温し、20分間保持して澱粉を湖化させた。この溶液に重炭酸ソーダ2.5gを添加し、80℃に維持しながらラウリン酸ビニル17.4gを加え90〜95℃で60分反応させた。途中、30分経過後から150mmHgに減圧した。60分後、重炭酸ソーダ1.5gを加え、酢酸ビニル74.3gを添加し、還流させながら90℃、120分反応させた。さらにその後200mmHgに減圧し、40分間反応を継続した。50%硫酸7.9gをDMSO30gに溶融させて上記反応液に加え、中和を行った。硫酸添加後200mmHgとして、20分間保持した。この反応液を水道水中に流し込み高速で攪拌させながら粉砕洗浄し、澱粉エステルの沈殿物得た。これを濾過、乾燥して得たものがエステル澱粉Aである。
【0063】
フィルム層形成用の樹脂
日本コーンスターチ株式会社のエステル変性でんぷん系樹脂(商品名「コーンポールCPR−EX6」(MFR:0.75g/10分、MT:40gf))を使用した。この樹脂は、23℃における引張弾性率が1040MPaであり、170℃での溶融粘度が3800Pa・sであり、密度が1170kg/m3であった。
【0064】
実施例2
発泡層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと、フィルム層形成用の樹脂として、下記ポリ乳酸樹脂を用いてフィルム層用溶融樹脂組成物を形成し、表1に示す樹脂温度に調整したこと以外は、実施例1と同様に複合発泡板を製造した。
【0065】
フィルム用形成用の樹脂
三井化学(株)製のポリ乳酸樹脂、商品名「レイシアH−100」を使用した。この樹脂は、23℃における引張弾性率が3700MPaであり、170℃での溶融粘度が2100Pa・sであり、密度が1260kg/m3であった。
【0066】
実施例3
発泡層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと、フィルム層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと以外は、実施例2と同様に複合発泡板を製造した。
【0067】
比較例1
図3に示す保圧部が設けられていないタイプの環状ダイ(内側リップの上記合流物の出口における直径は60mm、外側リップと内側リップとの上記合流物の出口における間隙は0.7mm)を用いたこと、発泡層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと、フィルム層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと以外は、実施例2と同様に複合発泡板を製造した。
【0068】
比較例2
発泡層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと、フィルム層形成用の樹脂として、下記脂肪族ポリエステル樹脂を用いてフィルム層用溶融樹脂組成物を形成し、表1に示す樹脂温度に調整したこと以外は、実施例1と同様に複合発泡板を製造した。
【0069】
フィルム層形成用樹脂
昭和高分子(株)製の脂肪族ポリエステル樹脂、商品名「ビオノーレ#3001」を使用した。この樹脂は、23℃における引張弾性率が350MPaであり、170℃での溶融粘度が2200Pa・sであり、その密度は1230kg/m3であった。
【0070】
比較例3
発泡層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整したこと、フィルム層形成用の樹脂として、下記エステル変性でんぷん系樹脂を用いてフィルム層用溶融樹脂組成物を形成し、表1に示す樹脂温度に調整したこと以外は、実施例1と同様に複合発泡板を製造した。
【0071】
フィルム層形成用樹脂
日本コーンスターチ(株)製のエステル変性でんぷん系樹脂、商品名「コーンポールCPR−EX3」を使用した。この樹脂は、23℃における引張弾性率が980MPaであり、170℃での溶融粘度が6600Pa・sであり、その密度は1200kg/m3であった。
【0072】
比較例4
フィルム層を共押出しせずに、発泡層用溶融樹脂組成物を表1に示す樹脂温度に調整した以外は実施例1と同じ操作を行なってフィルム層無し発泡板を製造した。
【0073】
物性測定
実施例、比較例で得られた複合発泡板の見掛け密度、各層の厚み、連続気泡率、総平均気泡径及び複合発泡板の見掛け密度当りの曲げ最大荷重値(kgf/(kg/m3))を測定した。測定結果を表1に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
実施例1〜3においては、剛性の優れる樹脂からなるフィルム層を積層し、更に、流路の先端に保圧部を有する環状ダイ(図2)を使用した結果、気泡径が小さくなりすぎず(0.35〜0.41mm)、連続気泡率が小さい複合発泡板が得られた。これらの複合発泡シートは、ディスプレイ材等のボード、通い箱、収納箱等として好適な高い剛性を持つものとなった。
【0076】
一方、比較例1で得られた複合発泡板は、保圧部が設けられていないタイプの環状ダイが使用されたため、コルゲートの発生を抑制するためにリップ間隔を大きくすると、ダイス圧力が大きく低下し内部発泡が生じて、連続気泡率が極端に大きくなってしまったため、剛性の大きな複合発泡板を得ることができなかった。
また、比較例2においては、フィルム層を構成する樹脂として剛性の低い樹脂を使用したため、得られた複合発泡板の見掛け密度当りの曲げ最大荷重値が130(kgf/(kg/m3))であり、剛性が十分ではなかった。
【0077】
また、比較例3においては、フィルム層を構成する樹脂として170℃における溶融粘度が4000Pa・sを超える6600Pa・sの樹脂を使用したため、フィルム層用溶融樹脂の温度が上昇し、連続気泡率が極端に大きくなってしまったので、剛性の大きな複合発泡板を得ることができなかった。
また、比較例4においては、フィルム層が積層されていないため、得られた発泡板の見掛け密度当りの曲げ最大荷重値が240(kgf/(kg/m3))と低く、剛性が十分ではなかった。
【0078】
【発明の効果】
本発明のエステル変性でんぷん系樹脂発泡板は、エステル変性でんぷん系樹脂発泡層の少なくとも片面に、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上の樹脂組成物からなるフィルム層を有する複合発泡板であって、該複合発泡板の厚みが1.0mm以上、見掛け密度が50〜600kg/m3、連続気泡率が45%以下であることから、生分解性を有し、剛性に優れたものである。
【0079】
また、本発明のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板の製造方法においては、エステル変性でんぷん系樹脂を加熱溶融させて発泡剤と混練することにより発泡層用溶融樹脂組成物とする一方で、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上、かつ170℃での溶融粘度が4000Pa・s以下の樹脂組成物を加熱溶融させてフィルム層用溶融樹脂組成物とし、該発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物を、ダイを通過させながら合流させて共押出しするので、連続気泡率が少なく、剛性の大きい複合発泡板を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ダイを押出機先端に取り付けて複合発泡板を押出発泡法により製造する際の、ダイを含む主要部概略を示す断面図である。
【図2】本発明において好ましく用いられる環状ダイを用いた場合における、図1のA部の部分拡大断面図である。
【図3】図3は、一般の環状ダイを用いた場合における、図1のA部の部分拡大断面図である。
【図4】メルトテンション(MT)の測定におけるメルトテンションと時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 外側リップ
2 内側リップ
3 溶融樹脂の流路
4 流路の出口
5 円柱状の冷却装置
6 筒状発泡体
7 保圧部
8 保圧部の入り口
a 保圧部の長さ
Claims (4)
- エステル変性でんぷん系樹脂発泡層の少なくとも片面に、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上の樹脂組成物からなるフィルム層を有する複合発泡板であって、該複合発泡板の厚みが1.0mm以上、見掛け密度が50〜600kg/m3、連続気泡率が45%以下であることを特徴とするエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板。
- 該エステル変性でんぷん系樹脂発泡層の両面に該フィルム層を有し、該フィルム層のそれぞれの厚みが0.015〜0.2mmであることを特徴とする請求項1に記載のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板。
- 該発泡板の曲げ最大荷重(kgf)を該見掛け密度(kg/m3)で除した値(見掛け密度当りの曲げ最大荷重値)が、300(kgf/(kg/m3))以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板。
- エステル変性でんぷん系樹脂を加熱溶融させて発泡剤と混練することにより発泡層用溶融樹脂組成物とする一方で、エステル変性でんぷん系樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂またはそれらの混合物からなると共に、23℃における引張弾性率が400MPa以上、かつ170℃での溶融粘度が4000Pa・s以下の樹脂組成物を加熱溶融させてフィルム層用溶融樹脂組成物とし、該発泡層用溶融樹脂組成物とフィルム層用溶融樹脂組成物とを、ダイを通過させながら合流させて共押出しすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエステル変性でんぷん系樹脂複合発泡板の製造方法。
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