JP2024065512A - ポリ乳酸発泡シート及びその製造方法、並びに、製造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低環境負荷であり、柔軟性及び突刺し強度に優れるポリ乳酸発泡シートを提供すること。【解決手段】ポリ乳酸樹脂と、フィラーとを含有し、前記フィラーの含有量が0.1質量%以上であり、かつ、曲げ抵抗が230mN以下であるポリ乳酸発泡シートである。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸発泡シート及びその製造方法、並びに、製造物に関する。
プラスチック製品は、袋、容器などの様々な形状に加工されて広く流通している。これらの中でも、プラスチックを発泡させた発泡シートは、優れた断熱性や緩衝性を有し、かつ軽量であることから、緩衝材や食品容器等に大量に用いられていることが知られている。そのような中で、近年、環境意識への高まりからSDGsの活動が活発になり、生分解性樹脂や植物由来のプラスチックへの期待が高まりつつあり、植物由来かつコンポスタブルであるポリ乳酸樹脂によるプラスチック製品の開発が進められてきている。
発泡をしていない通常のポリ乳酸樹脂のシートでは、常温での使用の場合、固く、柔軟性や緩衝性のないシートであるが、超臨界二酸化炭素を用いることで、ポリ乳酸のプラスチック発泡することが可能であることがわかっている。しかし、厚みが厚いシートや発泡径の大きなシートでは、シートの柔軟性が不足しており、角張った物や小さな物を包む場合には、折曲やシワ等が発生し、更に折れ曲がり部からシートの破れなどが発生し、包装を行う上での課題があった。また、柔軟性を付与する為にシートを薄くした場合では、シート強度(耐突刺しなど)が不足し、破れやすく、やはり包装目的で使用する上では課題があった。
これに対し、柔軟性及び/又は柔らかな感触及び高い熱安定性の組合せを示す発泡体を提供する目的で、高耐熱性を有するクローズドセル軟質ポリオレフィンフォームが提案されている(特許文献1参照)。
本発明は、低環境負荷であり、柔軟性及び突刺し強度に優れるポリ乳酸発泡シートを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のポリ乳酸発泡シートは、ポリ乳酸樹脂と、フィラーとを含有し、前記フィラーの含有量が0.1質量%以上であり、かつ、曲げ抵抗が230mN以下であることを特徴とする。
本発明によれば、低環境負荷であり、柔軟性及び突刺し強度に優れるポリ乳酸発泡シートを提供することができる。
図1は、本発明のポリ乳酸発泡シートの製造方法に用いる連続式混練装置の一例を示す概略説明図である。 図2は、本発明のポリ乳酸発泡シートの製造方法に用いる連続式発泡シート化装置の一例を示す概略図である。
(ポリ乳酸発泡シート及びポリ乳酸発泡シートの製造方法)
本発明のポリ乳酸発泡シートは、少なくともポリ乳酸樹脂と、フィラーとを含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
本発明のポリ乳酸発泡シートにおいて、前記フィラーの含有量は0.1質量%以上であり、かつ、曲げ抵抗は230mN以下である。
本発明のポリ乳酸発泡シートは、本発明のポリ乳酸発泡シートの製造方法により好適に製造される。
本発明のポリ乳酸発泡シートの製造方法は、ポリ乳酸樹脂にフィラーを0.1質量%以上添加して溶融する溶融工程と、圧縮性流体の存在下において、前記ポリ乳酸樹脂を混練してポリ乳酸樹脂組成物を得る混練工程と、前記ポリ乳酸樹脂組成物から圧縮性流体を除去し、前記ポリ乳酸樹脂組成物を発泡させて、曲げ抵抗が230mN以下となるように発泡シートを得る発泡工程と、を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
本発明のポリ乳酸発泡シートの用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、低環境負荷であり、柔軟性及び突刺し強度に優れるため、緩衝材用のポリ乳酸発泡シートとして好適に用いることができる。
特許文献1に記載のクローズドセル軟質ポリオレフィンフォームは、原材料がポリオレフィンであり、ガラス転移温度(Tg)が室温以下である原材料を使用することで柔軟性を付与しているため、柔軟性を有したシートを提供することが可能である。しかしながら、原材料が、ガラス転移温度(Tg)が室温以上であるポリ乳酸樹脂である場合は、発泡倍率が不十分となり、またシートの折れやすさや、シートを薄くした場合の突刺しの強度の低下などの問題は解消できていない。
これに対し、本発明者らは鋭意検討し、本発明のポリ乳酸発泡シートは、ポリ乳酸樹脂の押出しによるポリ乳酸発泡シートの成形において、該ポリ乳酸発泡シートへの柔軟性を付与するために、発泡径をコントロールして小さくすることで、発泡体の隔壁を薄くし、柔軟性を付与することが可能であり、ガラス転移温度(Tg)が室温以上のポリ乳酸樹脂を使用した場合であっても、柔軟性を付与することができることを知見した。また、本発明者らは、ポリ乳酸発泡シートが薄くなることや、ポリ乳酸発泡シートの隔壁の厚みが薄くなることで、先端の細い物が接触した場合の破れにくさの指標となる突刺し強度が弱くなる傾向があったが、フィラーを添加し、かつ最適なフィラー量とすることで強度を付与し、薄くても破れにくい、突刺し強度の強い薄いポリ乳酸発泡シートを提供することが可能となることを知見した。
以下、本発明のポリ乳酸発泡シート及び本発明のポリ乳酸発泡シートの製造方法について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、又は削除などの当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用及び効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
<ポリ乳酸発泡シート>
本発明のポリ乳酸発泡シートは、少なくともポリ乳酸樹脂及びフィラーを含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
[曲げ抵抗]
前記ポリ乳酸発泡シートの曲げ抵抗は230mN以下であり、180mN以下が好ましく、130mN以下がより好ましい。前記ポリ乳酸発泡シートの曲げ抵抗が230mN超であると、シート折れや、これに起因する破れや裂けが発生する。一方、前記ポリ乳酸発泡シートの曲げ抵抗が230mN以下であると、シート折れを防ぐことができ、このシートの折れに起因する破れや、裂けも防ぐことができる。前記ポリ乳酸発泡シートの曲げ抵抗は、その値が低い程、柔軟性があり曲がりやすくなるため、その下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、突刺し強度の点から、10mN以上が好ましく、25mN以上がより好ましい。
前記ポリ乳酸発泡シートの曲げ抵抗は、ポリ乳酸発泡シートの厚み、ポリ乳酸発泡シートの発泡倍率、フィラー添加量などによって調整することができる。具体的には、前記ポリ乳酸発泡シートの発泡倍率及び厚みの調整は、前記ポリ乳酸発泡シートを製造する際の金型の温度や出口の幅により調整することができ、同じ発泡倍率であれば、シートの厚みが薄い方が曲げ抵抗は低くなり、同じ厚みであれば、発泡倍率を高くすることで曲げ抵抗を下げることができる。また、フィラーの添加量を少なくすることで、曲げ抵抗を下げることができる。
前記ポリ乳酸発泡シートの曲げ抵抗は、曲げこわさ試験機(2048-BF、熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定することができる。
具体的には、前記ポリ乳酸発泡シートのMD方向(縦方向、流れ方向)及びTD方向(横方向、MD方向に対して垂直方向)の両方向及び発泡シートの表裏(即ち、MD方向表、MD方向裏、TD方向表、及びTD方向裏)での測定を実施するため、38mm×100mmのサイズで発泡シート中央部分より、合計4枚切り出しを行う。
曲げ長さ5cm及び曲げ角度30°で設定を行い、前記曲げこわさ試験機で測定する。4枚の測定の中での最大値を発泡シートの曲げ強度とする。
[平均厚み]
前記ポリ乳酸発泡シートの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2mm以上1.5mm以下が好ましく、0.3mm以上1.3mm以下がより好ましい。前記ポリ乳酸発泡シートの平均厚みが0.2mm以上であると、シート自体が薄くなることを防止し、突刺し強度を向上することができ、1.5mm以下であると、厚みが厚くなりすぎず、柔軟性が得られる。したがって、前記ポリ乳酸発泡シートの平均厚みを0.2mm以上1.5mm以下とすることで柔軟性と突刺し強度を両立して担保することができ、0.3mm以上1.3mm以下とすることでより柔軟性とシート強度を両立して担保することができる。
前記ポリ乳酸発泡シートの平均厚みは、前記ポリ乳酸発泡シートを製造する際の金型の流路先端のクリアランスや、発泡倍率を調整することにより調整することができる。具体的には、前記ポリ乳酸発泡シートを製造する際の金型の流路先端の出口幅を薄くすることでシートの厚みを薄くすることができる。また、前記ポリ乳酸発泡シートの発泡倍率を高くすることで、同じ金型の流路先端のクリアランスでも厚みを厚くすることもできる。
前記ポリ乳酸発泡シートの厚みは、ノギス(例えば、ABSデジマチックキャリパ CD-AX、株式会社ミツトヨ製)を用いて測定することができる。
発泡シートの任意の10か所について厚みを測定し、10点の平均値を「平均厚み」とする。
[平均発泡径]
前記ポリ乳酸発泡シートの平均発泡径としては、特に制限はなく、かさ密度に応じて適宜選択することができるが、20μm以上205μm以下が好ましく、20μm以上200μm以下がより好ましく、20μm以上100μm以下が更に好ましく、30μm以上80μm以下が特に好ましい。前記ポリ乳酸発泡シートの平均発泡径が20μm以上であると、発泡の隔壁が薄く突刺し強度が弱くなることを防止でき、205μm以下であると、発泡の隔壁が厚く、折れ曲がりやすくなることを防止することができる。したがって、前記ポリ乳酸発泡シートの平均発泡径を20μm以上205μm以下とすることで柔軟性と突刺し強度を両立して担保することができ、20μm以上200μm以下とすることでより柔軟性とシート強度を両立して担保することができる。
前記ポリ乳酸発泡シートの平均発泡径は、前記フィラーの含有量、発泡剤の分散状態、前記ポリ乳酸発泡シートの溶融張力などにより適宜調整できる。具体的には、前記ポリ乳酸発泡シートの発泡径は、フィラーの含有量を増やすことで小さくすることができる。また、発泡剤(例えば、二酸化炭素)の量を増やすことでも発泡径を調整することができ、発泡剤を増やすことで発泡径を小さくすることができる。よって、フィラーの量と発泡剤の量を調整することで、前記ポリ乳酸発泡シートの発泡径を調整することができる。
前記ポリ乳酸発泡シートの平均発泡径の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ポリ乳酸発泡シートを、イオンミリング装置を用いて断面加工し、その断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影し、断面SEM写真を取得する。得られた断面SEM写真(倍率は、例えば、3,000倍とする)を、ソフトウエア(Image-Pro Premier、mediacy社製)を使用して、発泡(空隙)に該当する灰色成分と、樹脂成分に該当する白色成分とに二値化する。次いで、所定の範囲内(例えば、35μm×20μm)における発泡に該当する灰色成分の平均粒子径(フェレ径)を求めた。フェレ径が0.5μm以上の灰色成分(発泡)のみの平均値を算出することで、平均発泡径を算出することができる。
[発泡倍率]
前記ポリ乳酸発泡シートの発泡倍率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5倍以上45倍以下が好ましく、13倍以上40倍以下がより好ましく、15倍以上40倍以下が更に好ましい。前記ポリ乳酸発泡シートの発泡倍率が5倍以上であると、柔軟性が向上し、シート折れが発生せず、45倍以下であると、発泡隔壁の厚みが厚くなり、突刺し強度を担保することができる。したがって、前記ポリ乳酸発泡シートの発泡倍率が5倍以上45倍以下であると、前記ポリ乳酸発泡シートの柔軟性と突刺し強度を両立して担保することができ、13倍以上40倍以下とすることでより柔軟性とシート強度を両立して担保することができる。
前記ポリ乳酸発泡シートの発泡倍率は、前記ポリ乳酸発泡シートを製造する際の金型の温度や、発泡剤の量などにより調整することができる。具体的には、前記ポリ乳酸発泡シートを製造する際の金型の温度を下げること、また発泡剤の量を増やすことにより、前記ポリ乳酸発泡シートの発泡倍率を上げることができる。
前記ポリ乳酸発泡シートの発泡倍率は、下記式(1)に基づき、発泡シートを構成しているポリ乳酸樹脂の密度(真密度ρ0)をかさ密度(ρ1)で除することで求めることができる。
発泡倍率=真密度(ρ0)/かさ密度(ρ1) ・・・ 式(1)
前記式(1)において、「真密度」は、最終的なポリ乳酸樹脂の密度であり、文献値や非発泡コンパウンドペレットを実測しても構わない。前記ポリ乳酸樹脂の場合はおおよそ1.25g/cmである。
前記式(1)において、「かさ密度」の測定方法は、特に限定されるものではなく適宜任意のかさ密度の測定方法を用いることができ、例えば、以下のような方法で求めることができる。
温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間以上放置した発泡シートの外形寸法を測定し、かさ体積Vを求める。次いで、この発泡シートの質量Wを測定する。下記式(2)に基づき、発泡シートの質量をかさ体積で除することにより、発泡シートのかさ密度を求める。
かさ密度(ρ1)[g/cm]=質量W[g]/体積V[cm] ・・・ 式(2)
[突刺し強度]
前記ポリ乳酸発泡シートの突刺し強度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0N以上が好ましく、1.5N以上がより好ましい。前記突刺し強度が1.0N以上であると、前記ポリ乳酸発泡シートを緩衝材として使用した場合に、突起物等を発端とする裂けが生じにくい。前記ポリ乳酸発泡シートの突刺し強度は、その値が高い程、強度が強くなるため、その上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、柔軟性との両立の点から、3.5N以下が好ましく、3.0N以下がより好ましい。
前記ポリ乳酸発泡シートの突刺し強度は、発泡倍率、厚み、フィラーの量などにより調整することができる。具体的には、前記ポリ乳酸発泡シートの発泡倍率を上げると、突刺し強度は低下する。また、同じ発泡倍率でも、厚みが薄いほど突刺し強度は低下する。また、フィラーを添加することで突刺し強度を上げることは可能であるが、フィラー量が多すぎると、曲げ抵抗が上昇し、シートとして折れやすくなる。
前記ポリ乳酸発泡シートの突刺し強度は、JIS Z 1707:2019に準拠して測定することができる。
<<ポリ乳酸樹脂>>
前記ポリ乳酸樹脂は、微生物により分解されるため、環境に優しい低環境負荷高分子材料であり、かつカーボンニュートラルな材料として注目されている(例えば、「脂肪族ポリエステルの構造、物性、生分解性」、井上 義夫、高分子、2001年、50巻、6号、p374-377参照)。また、ポリ乳酸樹脂は、比較的安価である。
前記ポリ乳酸樹脂としては、例えば、乳酸のD体(D-乳酸)と乳酸のL体(L-乳酸)との共重合体(DL-乳酸);D-乳酸又はL-乳酸のいずれか一方の単独重合体;ラクチドのD体(D-ラクチド)、ラクチドのL体(L-ラクチド)、及びDL-ラクチドからなる群より選ばれた一又は二以上のラクチドの開環重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記ポリ乳酸としては、適宜合成したものを用いても、市販されているものを用いてもよい。
前記ポリ乳酸樹脂は、その構成モノマー単位として乳酸のD体及び乳酸のL体のいずれか一方(以下、「光学純度」と称することがある)が、前記ポリ乳酸樹脂中に、99%以下であることが好ましく、98%以下であることがより好ましい。前記ポリ乳酸樹脂の光学純度が99%以下であると、前記ポリ乳酸発泡シートが硬くならず、柔軟性が得られる。また、前記ポリ乳酸樹脂の粘度低下を防ぐことができ、破泡が抑制され、表面性の良好なポリ乳酸発泡シートを得ることができる。
特に制限されるものではないが、前記ポリ乳酸樹脂の構成モノマー単位として乳酸のD体及びL体のいずれか一方が、該ポリ乳酸樹脂中98.0%を超えるものは高光学純度領域のポリ乳酸樹脂とも言え、98.0%未満のものは98.0%以上のものに比べて低光学純度領域のポリ乳酸とも言える。
前記ポリ乳酸樹脂の光学純度の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、94%以上が、40℃以上においてポリマーの分解を抑え、ラクチドの溶出量を抑えることができる点で好ましい。
前記ポリ乳酸樹脂として、D-乳酸とL-乳酸との共重合体(DL-乳酸)、又はD-ラクチド、L-ラクチド、及びDL-ラクチドからなる群より選ばれた一又は二以上のラクチドの開環重合体を用いる場合、D体及びL体のうち少ない方の光学異性体が減少するに従って、結晶性が高くなり融点や結晶化速度が高くなる傾向がある。また、D体及びL体のうち少ない方の光学異性体が増加するに従って、結晶性が低くなり、やがて非晶性となる傾向がある。前記ポリ乳酸樹脂の結晶性は、前記ポリ乳酸発泡シートに用いた場合、該ポリ乳酸発泡シートの耐熱性や、発泡の成型温度に関連する。
前記ポリ乳酸樹脂の構成モノマー単位である乳酸のD体及び乳酸のL体のいずれか一方の含有量は、光学活性カラムを用いた液体クロマトグラフィー(LC-MS)で分析することにより確認することができる。LC-MSによる測定手順、測定装置、及び測定条件は次の通りである。
まず、前記ポリ乳酸発泡シートを凍結粉砕し、凍結粉砕した該ポリ乳酸発泡シートの粉末を精密天秤にて三角フラスコに200mg量り取り、1Nの水酸化ナトリウム水溶液30mLを加える。次に、三角フラスコを振盪しながら65℃に加熱して、ポリ乳酸発泡シートを完全に溶解させる。続いて、1N塩酸を用いてpHが4~7となるように調整し、メスフラスコを用いて所定の体積に希釈してポリ乳酸溶解液を得る。次に、前記ポリ乳酸溶解液を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、下記測定条件で液体クロマトグラフィーにより測定する。
得られたチャートに基づいて、乳酸のD体由来のピーク面積及び乳酸のL体由来のピーク面積と、これらの合計面積とから、乳酸のD体由来のピーク面積比及び乳酸のL体由来のピーク面積比を算出し、これを存在比として、D体量比及びL体量比を算出する。上記操作を3回行って得られた結果の算術平均した値を、前記ポリ乳酸発泡シートが含有する前記ポリ乳酸樹脂を構成する乳酸のD体量及びL体量とする。
[測定条件]
・ HPLC装置(液体クロマトグラフ):PU-2085Plus型システム(日本分光株式会社製)
・ カラム:Chromolith(登録商標) coated with SUMICHIRAL OA-5000(内径4.6mm、長さ250mm)(株式会社住友分析センター製)
・ カラム温度:25℃
・ 移動相:2mM CuSO水溶液と2-プロパノールとの混合液(CuSO水溶液:2-プロパノール(体積比)=95:5)
・ 移動相流量:1.0mL/分間
・ 検出器:UV254nm
・ 注入量:20μL
前記ポリ乳酸樹脂に対して上記の測定を行い、乳酸のD体由来のピーク面積及び乳酸のL体由来のピーク面積の合計面積に対して、乳酸のD体由来のピーク面積及び乳酸のL体由来のピーク面積のうち、ピーク面積が大きい方の面積が90%以上である場合、前記ポリ乳酸樹脂の構成モノマー単位である乳酸のD体及び乳酸のL体のいずれか一方が90%以上であると言える。
前記ポリ乳酸発泡シートにおける前記ポリ乳酸樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、生分解性及びリサイクル性の観点から、前記ポリ乳酸発泡シートの全質量に対して、96質量%以上が好ましく、97質量%以上がより好ましく、98質量%以上が更に好ましく、99質量%以上が特に好ましい。前記ポリ乳酸樹脂の含有量が96質量%以上であると、良好な生分解性が得られ、またポリ乳酸樹脂が生分解しても、生分解しないその他の成分が残存してしまうという不具合を防止できる。更に、前記ポリ乳酸樹脂自体の強度が前記ポリ乳酸発泡シートへ反映され、該ポリ乳酸発泡シートの突刺し強度を保持することができる。
<<その他の成分>>
前記ポリ乳酸発泡シートにおける前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、発泡シートに一般的に用いられる成分の中から適宜選択することができ、例えば、前記ポリ乳酸樹脂以外のプラスチック、フィラー、架橋剤、添加剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ポリ乳酸発泡シートは、架橋剤、フィラーを含有することが好ましい。
-ポリ乳酸樹脂以外のプラスチック-
前記ポリ乳酸樹脂以外のプラスチックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリ-p-メチルスチレン等のスチレン系単独重合体;スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体等のスチレン系共重合体;ポリスチレンとポリフェニレンオキシドとの混合物等のスチレン系樹脂;ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート・3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート・3-ヒドロキシバリレート)、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート・アジペート)等の脂肪族ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
-フィラー-
前記フィラー(以下、「発泡核材」と称することもある)は、発泡シートの発泡状態(泡の大きさ、及び量、配置)などを調節する目的や、低コスト化の目的、強度向上の目的で含有される。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機系フィラー、有機系フィラーなどが挙げられる。
--無機系フィラー--
前記無機系のフィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マイカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、層状珪酸塩、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
--有機系フィラー--
前記有機系フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然に存在するポリマーやこれらの変性品、ソルビトール化合物、安息香酸及びその化合物の金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記天然に存在するポリマーとしては、例えば、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマなどが挙げられる。
これらの中でも、前記フィラーとしては、無機系フィラーが好ましく、前記ポリ乳酸発泡シートの隔壁を補強する観点から、タルク、マイカ等の平板状のフィラーが好ましく、マイカがより好ましい。前記ポリ乳酸発泡シート壁面にマイカが並ぶことで、前記ポリ乳酸発泡シートの強度が上昇し、突刺し強度が向上する。
前記フィラーの含有量は、前記ポリ乳酸発泡シートの全質量に対して0.1質量%以上であるが、0.1質量%以上3質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がより好ましい。前記フィラーの含有量が、0.1質量%以上であると、発泡核材としての効果が得られ、好適に微細発泡することができ、3質量%以下であると、前記ポリ乳酸樹脂の好適な含有量が確保され、柔軟性を担保することができる。一方、前記フィラーの含有量が0.1質量%未満であると、発泡核材としての効果が得られず、微細発泡することができない。また、前記フィラーの含有量が3質量%を超えると、前記ポリ乳酸発泡シートの硬さが固くなり、柔軟性が不足し、該ポリ乳酸発泡シートに折れが発生する原因となることがある。これに対し、前記フィラーの含有量が0.1質量%以上3質量%以下であると、前記ポリ乳酸発泡シートの隔壁の強度を向上させることができ、突刺し強度が向上する。
-架橋剤-
前記架橋剤は、前記ポリ乳酸発泡シートを製造する際のポリ乳酸樹脂の粘度調整のために含有することが好ましい。また、前記架橋剤は、隣同士のポリ乳酸樹脂末端が反応で結びつくため、末端封鎖の効果があり、水分吸着量が減少し、加水分解による分解生成物抑制の効果もある。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ポリ乳酸樹脂との反応性の観点から、エポキシ系架橋剤が好ましく、アクリル樹脂を変性したエポキシ系架橋剤がより好ましい。
-添加剤-
前記添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、各種光線の吸収剤、帯電防止剤、導電材、可塑剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記添加剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ポリ乳酸発泡シートの原材料の全質量に対して、2質量%以下が好ましい。前記添加剤の含有量が、前記ポリ乳酸発泡シートの原材料の全質量に対して2質量%以下であると、リサイクル性がより良好になる。
<<有機物総量、無機発泡核材量>>
前記ポリ乳酸発泡シート中の有機物総量は、灰分(=無機成分量)以外の量として見積もることができる。また、灰分量は、無機発泡核材の量と考えることができる。灰分は600℃、4時間燃焼した際の残渣とする。
灰分は以下のようにして測定することができる。
精密天秤で小数点以下第4位まで質量を精秤した100mLのるつぼ中に、前記ポリ乳酸発泡シートのサンプルを3g程度測り入れ、るつぼと前記サンプルの合計質量を精秤する。るつぼをマッフル炉(例えば、FP-310、ヤマト科学株式会社製)に入れ、600℃で4時間燃焼し、有機成分を燃焼させる。その後、デシケータ内でるつぼを1時間冷却し、再度るつぼの質量を精秤することで、るつぼと灰分の合計質量を測定する。
灰分量、即ち無機発泡核材量は下記式(3)により算出することができ、有機物総量は下記式(4)により算出することができる。なお、上記測定をn=2で実施し、平均値を求めることが望ましい。
無機発泡核材量[%]=灰分量[%]=(燃焼・冷却後のるつぼと試料の合計質量[g]-るつぼの質量[g])/(燃焼前のるつぼと試料の合計質量[g]-るつぼの質量[g])×100 ・・・ 式(3)
有機物総量[%]=100-灰分量[%] ・・・ 式(4)
<ポリ乳酸発泡シートの製造方法>
前記ポリ乳酸発泡シートの製造方法は、前記溶融工程と、前記混練工程と、発泡工程と、を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。なお、前記混練工程と前記発泡工程とは、同時に行ってもよく、別々の工程として行ってもよい。
前記ポリ乳酸発泡シートの製造方法は、押出し混練成形法が好適に用いられる。
<<溶融工程>>
前記溶融工程は、ポリ乳酸樹脂にフィラーを0.1質量%以上添加して溶融する工程である。前記ポリ乳酸発泡シートの原材料として、前記ポリ乳酸樹脂及び前記フィラー以外のその他の成分を含む場合は、前記ポリ乳酸樹脂と、前記フィラーと、前記その他の成分とを溶融及び混合する工程である。したがって、前記溶融工程は、「原材料混合及び溶融工程」とも称することがある。
前記溶融工程は、前記ポリ乳酸樹脂を昇温して溶融する。
前記溶融工程における加熱温度としては、前記ポリ乳酸樹脂を溶融することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ポリ乳酸樹脂の溶融温度以上であることが好ましい。前記溶融工程における加熱温度を前記ポリ乳酸樹脂の溶融温度以上とすることで、前記ポリ乳酸樹脂を溶融することができる。これにより、次の混練工程において、前記ポリ乳酸樹脂及び前記フィラーを圧縮性流体と均一に混合できる状態にすることができる。
前記溶融工程において、前記ポリ乳酸樹脂に添加し得る前記ポリ乳酸樹脂以外のその他の成分としては、例えば、発泡をより効率的に進めるために、発泡剤を添加してもよい。また、前記ポリ乳酸発泡シートの成形品の用途に応じて、本発明の効果を損なわない限り、架橋剤、各種添加剤(例えば、熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、各種光線の吸収剤、帯電防止剤、導電材、可塑剤など)などのその他の成分を添加してもよい。
前記フィラー、前記架橋剤、及び前記添加剤は、前記<ポリ乳酸発泡シート>の<<その他の成分>>の項目で説明したものを用いることができるため、これらの説明を省略する。また、発泡剤については、後述する<<混練工程>>において詳述する。
なお、前記ポリ乳酸樹脂、更に必要に応じて、前記その他の成分を添加した混合物、あるいは最終成形品を得る過程の中間工程で発生する混合物のことを、ポリ乳酸樹脂組成物、マスターバッチなどと称することがある。
前記ポリ乳酸樹脂組成物は、微生物により生分解される生分解性樹脂であり、環境に優しい低環境負荷高分子材料であり、更にカーボンニュートラルな材料である。更に、前記ポリ乳酸樹脂組成物中の前記ポリ乳酸樹脂又はその原料のポリ乳酸は、比較的安価である。
-架橋剤-
前記ポリ乳酸発泡シートにおける前記架橋剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%以上2.5%質量%以下が好ましく、0.5質量%以上1質量%以下がより好ましい。前記架橋剤の添加量が、0.5質量%以上であると、前記ポリ乳酸樹脂の末端の封鎖を十分に行うことができ、加水分解し難く、架橋が十分となる。また、前記架橋剤の添加量が、2.5質量%以下であると、余剰な架橋剤により発泡を抑制することがなく、粘度低下により生産安定性が向上する。
<<混練工程>>
前記混練工程は、発泡剤の存在下において、前記ポリ乳酸樹脂と前記フィラーとを混練してポリ乳酸樹脂組成物を得る工程であり、圧縮性流体の存在下において、前記ポリ乳酸樹脂と前記フィラーとを混練してポリ乳酸樹脂組成物を得る工程であることが好ましい。前記混練工程を前記圧縮性流体の存在下で行うことで、発泡をより効率的に進めることができ、また混練をより効率的に進めることができる。
-発泡剤-
前記発泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高い発泡倍率のポリ乳酸発泡シートを得易い点から、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の低級アルカン等の炭化水素類;メチルエーテル等のエーテル類;メチルクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化炭化水素類;二酸化炭素、窒素等の圧縮性ガスなどの物理発泡剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記発泡剤としては、臭気がなく、安全に取り扱うことができ、環境負荷が低いという観点で、二酸化炭素、窒素、ハロゲン化炭化水素類等の圧縮性ガスを用いることが好ましく、圧縮性流体を用いることがより好ましい。
--圧縮性流体--
一般的に、圧縮性流体によって樹脂は可塑化され、樹脂の溶融粘度が下がることが知られている(「超臨界流体の最新応用技術」NTS社参照)。しかし、前記混練工程においては、前記ポリ乳酸樹脂組成物の溶融粘度が高い方が、前記架橋剤等のその他の成分に高いせん断応力を作用させることができるため、凝集塊を微細化しやすく、分散の観点から好ましい。
したがって、圧縮性流体の含浸による前記ポリ乳酸樹脂組成物の溶融粘度の低下は、混練性の向上と矛盾しているように見える。実際、一般的な発泡核材の混練で圧縮性流体を用いないで圧力をかける場合があるが、これは樹脂の自由体積を減少させ、樹脂同士の相互作用の増加(粘度増加)を狙ったものであり、樹脂の可塑化は逆効果である(「k.Yang.R.Ozisik R.Polymer,47.2849(2006)」参照)。
しかし、本発明者らは、前記ポリ乳酸樹脂組成物と前記架橋剤等のその他の成分との混練に圧縮性流体が活用できないか鋭意検討した結果、圧縮性流体存在下において、前記ポリ乳酸樹脂の融点より低い温度、具体的には、前記ポリ乳酸樹脂の融点-60℃以上、融点+120℃以下の温度範囲であれば、ポリ乳酸の粘度を混練に適した粘度とすることができ、架橋剤等のその他の成分を均一に分散できることを見出した。本発明では、圧縮性流体を用いてポリ乳酸の融点より低い温度の高粘度状態で混練することができるため、架橋剤等のその他の成分の分散性を一層向上させることができる。
また、圧縮性流体は種類等によって発泡剤としての機能を担うことができる。樹脂発泡体を作製する際には、通常発泡剤を用いるが、前記ポリ乳酸樹脂組成物からなる前記ポリ乳酸発泡シートの製造において、二酸化炭素や窒素等の圧縮性流体を発泡剤として使用できることを見出した。前記圧縮性流体を発泡剤として用いる場合、混練と発泡を一連のプロセスで実施できるため、環境負荷低減の観点でより製造形態として好ましい。
前記圧縮性流体の状態で用いることができる物質としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、メタン、エタン、プロパン、2,3-ジメチルブタン、エチレン、ジメチルエーテルなどが挙げられる。これらの圧縮性流体は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点で好ましい。
前記溶融状態となった前記ポリ乳酸樹脂組成物の原材料への前記圧縮性流体の供給量としては、前記ポリ乳酸樹脂の種類と前記圧縮性流体との組合せ、温度、圧力などによって、前記圧縮性流体の前記ポリ乳酸への溶解度が変わるため、特に制限はなく、適宜調整することができる。例えば、前記ポリ乳酸樹脂と前記二酸化炭素の組合せであれば、前記ポリ乳酸樹脂組成物の原材料を100質量部とした場合、前記二酸化炭素の供給量は、2質量部以上30質量部以下が好ましい。前記ポリ乳酸樹脂組成物100質量部に対して、前記二酸化炭素の供給量が2質量部以上であると、前記ポリ乳酸樹脂組成物の可塑化効果が限定的になるという不具合を防止できる。また、前記ポリ乳酸樹脂組成物100質量部に対して、前記二酸化炭素の供給量が30質量部以下であると、前記二酸化炭素と前記ポリ乳酸樹脂組成物が分離することがなく、均一に反応することができる。
前記二酸化炭素を圧縮性流体として用いる場合、反応の効率化やポリマー転化率等を考慮すると、その圧力としては、3.7MPa以上が好ましく、5MPa以上がより好ましく、臨界圧力の7.4MPa以上が更に好ましい。また、二酸化炭素を圧縮性流体として用いる場合、同様の理由により、その温度は25℃以上であることが好ましい。
本実施形態において、圧縮性流体の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<発泡工程>>
前記発泡工程は、前記発泡剤を膨張させ、前記ポリ乳酸樹脂組成物を発泡させて、曲げ抵抗が230mN以下となるように発泡シートを得る工程であり、好ましくは、前記ポリ乳酸樹脂組成物から圧縮性流体を除去し、前記ポリ乳酸樹脂組成物を発泡させて、曲げ抵抗が230mN以下となるように発泡シートを得る工程である。
前記発泡工程において、前記圧縮性流体以外の発泡剤を使用する場合は、該発泡剤を膨張させ、前記ポリ乳酸樹脂組成物を発泡させることができる。
また、前記発泡工程において、前記圧縮性流体を使用する場合は、該圧縮性流体の圧を開放させることで、前記ポリ乳酸樹脂組成物を膨張させ、これと同時に前記圧縮性流体を除去することができる。
発泡工程の際の温度としては、前記ポリ乳酸樹脂組成物が押出し可能な範囲で可塑化されるような温度に加温することが好ましい。
なお、前記発泡工程において、前記ポリ乳酸樹脂組成物を流動させるための駆動力としては、前記混練工程に用いられる混練装置からの圧力を利用してもよいし、前記発泡工程のために別途1軸又は多軸の押出機やシリンダー等の機械装置を用いてもよい。
<<その他の工程>>
前記その他の工程としては、通常のプラスチック発泡シートの製造において行われる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シート状に成形加工する成形工程などが挙げられる。
-成形工程-
前記成形工程としては、例えば、真空成型、圧空成形、プレス成型などが挙げられる。前記成形工程により、シート状の成形物を得ることができる。
前記成形工程に用いる金型の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SCM440にクロムメッキを施したもの、S45C、S50C、SS400、SCM440、SUS316、SUS304、及びそれらと同等の材質などが挙げられる。これらの中でも、SCM440にクロムメッキを施したものが好ましい。
また、耐久性向上の目的で、前記金型は、ハードクロムメッキ等の各種メッキを施してもよいし、熱伝導率向上の目的でC2810、A5052、アルミナ等を選択してもよいし、分析目的で石英ガラス等を用いてもよいし、離型性向上の目的で鏡面研磨仕上げとしてもよい他、ブラスト仕上げとしてもよいし、離型剤を塗工してもよい。
また、前記金型の構造が可変となる金型を用いても構わない。
--混練装置--
前記ポリ乳酸発泡シートの製造方法において、前記ポリ乳酸樹脂組成物を製造するために、前記原材料混合及び溶融工程、並びに前記混練工程は、例えば、混練装置を使用して行うことができる。
前記ポリ乳酸樹脂組成物の製造に用いられる混練装置としては、連続式プロセスを採用することもできるし、回分式プロセスを採用することもできるが、装置効率や製品の特性、品質等を勘案し、適宜反応プロセスを選択することが好ましい。
前記混練装置としては、特に制限はないが、混練に好適な粘度に対応できる点から、1軸押出機、多軸押出機、フィニッシャー、ニーダー、無軸籠型撹拌槽、バイボラック(住友重機械工業株式会社製)、N-SCR(三菱重工業株式会社製)、めがね翼(株式会社日立製作所製)、格子翼又はケニックス式、ズルツァー式SMLXタイプスタチックミキサー具備管型重合槽などを使用できる。これらの中でも、前記ポリ乳酸樹脂組成物の色調の点から、セルフクリーニング式の混練装置である、フィニッシャー、N-SCR、2軸押し出しルーダーなどが挙げられる。また、前記ポリ乳酸樹脂組成物の色調、安定性、耐熱性、賦形性などの点から、前記混練装置としては、フィニッシャー、N-SCRが好ましい。混練性及び生産効率の点からは、1軸押出機や、多軸押出機を使用するのが特に好ましい。
ここで、前記ポリ乳酸樹脂発泡シートの製造方法に用いられる前記混練装置の一実施形態として、連続式混練装置について図面を用いて説明するが、前記混練装置はこれに限られるものではない。
図1に示すように、連続式混練装置100は、例えば、2軸押出機(JSW社製、スクリュー口径42mm、L/D=48)を用いることができ、原材料混合及び溶融部a(第1の供給部1及び第2の供給部2を有する)、圧縮性流体供給部b(圧縮性流体供給タンク3を有する)、混練部c、圧縮性流体除去部d、及び押出部eなどから構成される。2軸押出機の、スクリュー口径及びスクリュー軸長Dに対する軸径Lの比L/D等は、適宜任意の大きさに設定可能である。圧縮性流体F(液体材料)は、圧縮性流体供給タンク3から計量ポンプで供給する。前記ポリ乳酸樹脂のペレットや、フィラー等の固体の原材料は、第1の供給部1及び第2の供給部2から定量フィーダーで供給する。これにより、ポリ乳酸樹脂組成物Pが得られる。
--原材料混合及び溶融部a--
原材料混合及び溶融部aでは、前記ポリ乳酸樹脂のペレット及び前記フィラー、更に必要に応じてその他の成分との混合と昇温を行う。加熱温度は、前記ポリ乳酸樹脂の溶融温度以上に設定を行い、続く圧縮性流体供給部bで、圧縮性流体と均一に混合できる状態にする。
--圧縮性流体供給部b--
前記ポリ乳酸樹脂のペレットが加温により溶融状態となり、前記フィラーを濡らした状態にて、圧縮性流体を供給し、溶融樹脂を可塑化させる。
--混練部c--
前記ポリ乳酸樹脂及び前記フィラー、更に必要に応じて前記その他の成分を含有するポリ乳酸樹脂組成物の混練に好適な粘度となるように、混練部cの温度設定を行う。
フィラーの混練に好適な粘度となるように、混練エリアの温度設定を行う。
設定温度は、反応装置の仕様や樹脂種、樹脂の構造、分子量などで変わるため、特に限定するものではないが、重量平均分子量(Mw)200,000程度の市販されているポリ乳酸樹脂の場合、通常の混練はポリ乳酸の融点+10℃~20℃で行われる。これに対して、前記ポリ乳酸発泡シートの製造方法において、圧縮性流体と共に混練することで、前記ポリ乳酸樹脂の融点より低い温度で混練することができる。これにより、前記ポリ乳酸樹脂の融点より低い温度での比較的高い粘度で混練することが可能である。具体的には、前記ポリ乳酸樹脂の融点より低い温度としては、前記ポリ乳酸樹脂の融点の-20℃~-80℃が好ましく、前記ポリ乳酸樹脂の融点の-30℃~-60℃がより好ましい。簡便的には、前記混練装置の撹拌動力の電流値などを目安に温度設定することができる。
--圧縮性流体除去部d--
圧縮性流体除去部dでは、2軸押出機に設けた圧力弁(図示しない)を開放して、2軸押出機内の圧縮性流体Fを外部に排出する。
--押出部e--
押出部eでは、前記ポリ乳酸樹脂組成物を、ペレット等の適宜任意の形状を有するポリ乳酸樹脂組成物に成形加工する。
次に、前記ポリ乳酸樹脂発泡シートの製造方法に用いられる連続式発泡シート化装置について図面を用いて説明するが、前記連続式発泡シート化装置はこれに限られるものではない。
図2に示すように、連続式発泡シート化装置110は、第1押出機21Aと、第2押出機21Bとを直列に接続して備え、原材料混合及び溶融部a(第1の供給部1及び第2の供給部2を有する)、圧縮性流体供給部b(圧縮性流体供給タンク3を有する)、混練部c、加熱部fなどから構成される。
原材料混合及び溶融部a(第1の供給部1及び第2の供給部2を有する)、圧縮性流体供給部b(圧縮性流体供給タンク3を有する)、及び混練部cの構成としては、図1の連続式混練装置100と同様であるため、説明を省略する。
--加熱部f--
混練部cで混練された前記ポリ乳酸樹脂組成物は、第2押出機の加熱部fに供給される。
加熱部fでは、前記ポリ乳酸樹脂組成物を冷却しながら更に混練する。次いで、前記ポリ乳酸樹脂組成物から圧縮性流体を除去して押出発泡させ、金型の4のスリットから押出発泡された筒状のポリ乳酸発泡シートを冷却されているマンドレル上に沿わせると共に、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却成形し、カッターにより切開して、平坦シート状にすることで、ポリ乳酸発泡シートが得られる。
前記ポリ乳酸発泡シートの製造において、前記ポリ乳酸樹脂組成物(マスターバッチ)は、図1に示すような連続式混練装置100を用いて調製した後、これを図2に示すような連続式発泡シート化装置110の第1の供給部1に収容してポリ乳酸発泡シートを製造してもよく、前記ポリ乳酸樹脂組成物の原材料(ポリ乳酸樹脂、フィラー、発泡剤など)を図2に示すような連続式発泡シート化装置110の第1の供給部1、第2の供給部2、及び圧縮性流体供給タンク3に収容して前記ポリ乳酸樹脂組成物の調製から発泡シートの製造までを連続して行ってもよい。
前記ポリ乳酸発泡シートは、低環境負荷であり、柔軟性及び突刺し強度に優れるため、緩衝材用として好適に用いることができる。また、前記ポリ乳酸発泡シートは、印字性を有している。そのため、印刷されたポリ乳酸発泡シートをラベルシールのシール基材に使用したり、印刷されたポリ乳酸発泡シートをカット加工してカップスリーブ等に使用したりすることもできる。
前記ポリ乳酸発泡シートへの印刷法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、凸版輪転印刷法、オフセット印刷法などが挙げられる。
(製造物)
本発明の製造物の一実施形態は、本発明のポリ乳酸発泡シートを含有するものである。これは、本発明のポリ乳酸発泡シートからなる製造物であってもよく、更に必要に応じて、その他の成分を含んでいてもよい。
また、本発明の製造物の別の一実施形態は、本発明のポリ乳酸発泡シートを成形してなるものであり、更に必要に応じて、その他の成分を含んでいてもよい。
前記その他の成分としては、通常の樹脂製品に用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
一実施形態に係る製造物(「消費材」とも称される)としては、例えば、生活用品として、袋、包装容器、トレー、食器、カトラリー、文房具、緩衝材などが挙げられる。この製造物の概念には、製造物を加工するための中間体として、前記ポリ乳酸発泡シートをロール状にした原反や、単体としての製造物のみでなく、トレーの取っ手のような製造物からなる部品や、取っ手が取り付けられたトレーのような製造物を備えた製品なども含まれる。
前記袋としては、例えば、レジ袋、ショッピングバッグ、ごみ袋等が挙げられる。
前記文房具としては、例えば、クリアファイル、ワッペンなどが挙げられる。
また、前記製造物は、前記生活用品以外の用途としても適用でき、例えば、工業用資材、日用品、農業用品、食品用、医薬品用、化粧品等のシート、包装材等の用途として幅広く適用することができる。
これらの中でも、前記製造物は、本発明のポリ乳酸発泡シートを含有する、あるいは、本発明のポリ乳酸発泡シートを成形してなるものであり、発泡倍率が高く、緩衝性、しなやかさ、及び表面性に優れるものであるため、特に緩衝材に好適に用いられる。
前記ポリ乳酸発泡シートを成形してなる製造物の製造方法は、本発明のポリ乳酸発泡シートを原材料として使用する限り特に制限はなく、本発明のポリ乳酸発泡シートを所望の形状に成形する成形工程を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
このような製造物においては、前記ポリ乳酸発泡シートの性状を維持していない場合もあるが、前記ポリ乳酸発泡シートを原材料として使用している限り、本発明の範囲内である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、別段の断りない限り、「%」は「質量%」を表す。
(実施例1)
<原材料混合及び溶融工程>
図2に示す連続式発泡シート化装置110を用い、ポリ乳酸樹脂(Revode110、HISUN社製、光学純度96.5%)97.3質量%に対し、フィラー(マイカ、M-XF、株式会社レプコ製)2.0質量%を加え、ヘンシェルミキサー(FM75、日本コークス工業株式会社製)にて1,500rpmにて5分間混合した後、第1の供給部1から前記混合物を10kg/時間の流量となるように、第1押出機の原材料混合及び溶融部aに供給した。また、第2の供給部2から架橋剤としてのグリシジル化合物(Joncryl(登録商標) ADR4468C、BASF社製)を0.07kg/時間(ポリ乳酸樹脂量に対して0.7質量%相当)で第1押出機の原材料混合及び溶融部aに供給した。
<混練工程>
次いで、圧縮性流体供給部3から圧縮性流体として二酸化炭素を1.0kg/時間(ポリ乳酸樹脂量に対して6.0質量%相当)を、第1押出機の圧縮性流体供給部bに供給した。これらを第1押出機の混練部cで混合、溶融、及び混練し、第2押出機に供給した。
<押出成形工程>
次いで、第2押出機の加熱部fに供給し、加熱部fにおいて混練し、ポリ乳酸樹脂組成物とした。
<発泡工程>
次いで、第2押出機の先端に取り付けたスリット口径70mmのサーキュラー金型4からポリ乳酸樹脂組成物を吐出量10kg/時間で吐出し、ポリ乳酸樹脂組成物の温度を140℃まで冷却させ、ポリ乳酸樹脂組成物から圧縮性流体を除去することにより、ポリ乳酸樹脂組成物を押出発泡させた。
このとき、金型温度を140℃とした。また、金型の流路先端のクリアランスは、出口圧力が28Mpaとなるように調整を行った。
押出発泡された筒状のポリ乳酸樹脂発泡シートを冷却されているマンドレル上に沿わせると共に、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却成形し、カッターにより切開して、平坦シート状にした。このようにして実施例1の発泡シートを得た。
(実施例2)
実施例1の<発泡工程>において、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して50%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の発泡シートを得た。
(実施例3)
実施例1の<原材料混合及び溶融工程>において、フィラーの種類を、マイカ(M-XF、株式会社レプコ製)から、シリカ(AEROSIL(登録商標) RY-300。日本アエロジル株式会社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の発泡シートを得た。
(実施例4)
実施例1の<発泡工程>において、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して125%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4の発泡シートを得た。
(実施例5)
実施例1の<発泡工程>において、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して40%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例5の発泡シートを得た。
(実施例6)
実施例1の<発泡工程>において、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して135%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例6の発泡シートを得た。
(実施例7)
実施例1の<発泡工程>において、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して30%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例7の発泡シートを得た。
(実施例8)
実施例1の<発泡工程>において、金型温度を140℃から142℃に変更し、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して115%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例8の発泡シートを得た。
(実施例9)
実施例1の<発泡工程>において、金型温度を140℃から127℃に変更し、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して60%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例9の発泡シートを得た。
(実施例10)
実施例1の<発泡工程>において、金型温度を140℃から127℃に変更し、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して70%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例10の発泡シートを得た。
(実施例11)
実施例1の<発泡工程>において、金型温度を140℃から145℃に変更し、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して150%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例11の発泡シートを得た。
(実施例12)
実施例1の<原材料混合及び溶融工程>において、ポリ乳酸樹脂(Revode110、HISUN社製、光学純度96.5%)の添加量を97.3質量%から97.1質量%に変更し、フィラー(マイカ、M-XF、株式会社レプコ製)の添加量を2.0質量%から2.2質量%に変更し、また<発泡工程>において、金型温度を140℃から127℃に変更し、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して70%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例12の発泡シートを得た。
(実施例13)
実施例1の<混練工程>において、二酸化炭素の添加量を、ポリ乳酸樹脂量に対して6.0質量%相当からポリ乳酸樹脂量に対して5.5質量%相当に変更し、また<発泡工程>において、金型温度を140℃から142℃に変更し、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して135%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例13の発泡シートを得た。
(実施例14)
実施例1の<原材料混合及び溶融工程>において、ポリ乳酸樹脂(Revode110、HISUN社製、光学純度96.5%)の添加量を97.3質量%から97.1質量%に変更し、フィラー(マイカ、M-XF、株式会社レプコ製)の添加量を2.0質量%から2.2質量%に変更し、また<混練工程>において、二酸化炭素の添加量を、ポリ乳酸樹脂量に対して6.0質量%相当からポリ乳酸樹脂量に対して6.5質量%相当に変更し、更に<発泡工程>において、金型温度を140℃から142℃に変更し、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して135%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例14の発泡シートを得た。
(実施例15)
実施例1の<原材料混合及び溶融工程>において、ポリ乳酸樹脂(Revode110、HISUN社製、光学純度96.5%)の添加量を97.3質量%から96.3質量%に変更し、フィラー(マイカ、M-XF、株式会社レプコ製)の添加量を2.0質量%から3.0質量%に変更し、また<発泡工程>において、金型温度を140℃から144℃に変更し、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して130%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例15の発泡シートを得た。
(実施例16)
実施例1の<原材料混合及び溶融工程>において、ポリ乳酸樹脂(Revode110、HISUN社製、光学純度96.5%)の添加量を97.3質量%から98.8質量%に変更し、フィラー(マイカ、M-XF、株式会社レプコ製)の添加量を2.0質量%から0.5質量%に変更し、また<発泡工程>において、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して35%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例16の発泡シートを得た。
(実施例17)
実施例1の<原材料混合及び溶融工程>において、ポリ乳酸樹脂(Revode110、HISUN社製、光学純度96.5%)の添加量を97.3質量%から99.2質量%に変更し、フィラー(マイカ、M-XF、株式会社レプコ製)の添加量を2.0質量%から0.1質量%に変更し、また<混練工程>において、二酸化炭素の添加量を、ポリ乳酸樹脂量に対して6.0質量%相当からポリ乳酸樹脂量に対して6.2質量%相当に変更し、更に<発泡工程>において、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して35%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例17の発泡シートを得た。
(実施例18)
実施例1の<原材料混合及び溶融工程>において、ポリ乳酸樹脂(Revode110、HISUN社製、光学純度96.5%)の添加量を97.3質量%から99.2質量%に変更し、フィラー(マイカ、M-XF、株式会社レプコ製)の添加量を2.0質量%から0.1質量%に変更し、また<混練工程>において、二酸化炭素の添加量を、ポリ乳酸樹脂量に対して6.0質量%相当からポリ乳酸樹脂量に対して6.5質量%相当に変更し、更に<発泡工程>において、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して25%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、実施例18の発泡シートを得た。
(比較例1)
実施例1の<原材料混合及び溶融工程>において、フィラーを添加せず、ポリ乳酸樹脂(Revode110、HISUN社製、光学純度96.5%)の添加量を97.3質量%から99.3質量%に変更し、フィラーを添加せず、また<発泡工程>において、金型温度を140℃から139℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1の発泡シートを得た。
(比較例2)
実施例1の<原材料混合及び溶融工程>において、ポリ乳酸樹脂(Revode110、HISUN社製、光学純度96.5%)の添加量を97.3質量%から95.8質量%に変更し、フィラー(マイカ、M-XF、株式会社レプコ製)の添加量を2.0質量%から3.5質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2の発泡シートを得た。
(比較例3)
実施例1の<混練工程>において、二酸化炭素の添加量を、ポリ乳酸樹脂量に対して6.0質量%相当からポリ乳酸樹脂量に対して5.2質量%相当に変更し、また<発泡工程>において、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して110%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例3の発泡シートを得た。
(比較例4)
実施例1の<発泡工程>において、金型の流路先端のクリアランスを実施例1に対して160%となるように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例4の発泡シートを得た。
<物性の評価>
実施例1~18及び比較例1~4における発泡シートの製造条件について、下記表1にまとめて示した。また、以下の方法で、実施例1~18及び比較例1~4で得られた発泡シートの平均厚み、平均発泡径、発泡倍率、及び曲げ抵抗を評価した。結果は、下記表2に示す通りであった。
<<平均厚みの測定>>
実施例1~17及び比較例1~4で得られた発泡シートの厚みは、ノギス(ABSデジマチックキャリパ CD-AX、株式会社ミツトヨ製)を用い、測定した。発泡シートの任意の10か所について厚みを測定し、10点の平均値を「平均厚み」とした。
<<平均発泡径の測定>>
実施例1~17及び比較例1~4で得られた発泡シートの平均発泡径は、以下のようにして測定した。
イオンミリング装置を用いて発泡シートを断面加工し、その断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影し、断面SEM写真を取得した。得られた断面SEM写真(倍率:3,000倍とする)を、ソフトウエア(Image-Pro Premier、mediacy社製)を使用して、発泡(空隙)に該当する灰色成分と、樹脂成分に該当する白色成分とに二値化した。次いで、所定の範囲内(35μm×20μm)における発泡に該当する灰色成分の平均粒子径(フェレ径)を求めた。フェレ径が0.5μm以上の灰色成分(発泡)のみの平均値を算出することで、平均発泡径を算出した。
<<発泡倍率の測定>>
実施例1~17及び比較例1~4で得られた発泡シートの発泡倍率は、下記式(1)に基づき、発泡シートを構成しているポリ乳酸樹脂の密度(真密度ρ0)をかさ密度(ρ1)で除することで求めた。
発泡倍率=真密度(ρ0)/かさ密度(ρ1) ・・・ 式(1)
前記式(1)において、「真密度」は、最終的なポリ乳酸樹脂の密度であり、文献値より、1.25g/cmである。
前記式(1)において、「かさ密度」は、以下のようにして算出した。
温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間以上放置した発泡シートの外形寸法を測定し、かさ体積Vを求めた。次いで、この発泡シートの質量Wを測定した。下記式(2)に基づき、発泡シートの質量をかさ体積で除することにより、発泡シートのかさ密度を求めた。
かさ密度(ρ1)[g/cm]=質量W[g]/体積V[cm] ・・・ 式(2)
<<曲げ抵抗の測定>>
実施例1~17及び比較例1~4で得られた発泡シートの曲げ抵抗は、曲げこわさ試験機(2048-BF、熊谷理機工業株式会社製)を用いて測定した。
具体的には、発泡シートのMD方向及びTD方向の両方向及び発泡シートの表裏(即ち、MD方向表、MD方向裏、TD方向表、及びTD方向裏)での測定を実施するため、38mm×100mmのサイズで発泡シート中央部分より、合計4枚切り出しを行った。
曲げ長さ5cm及び曲げ角度30°で設定を行い、前記曲げこわさ試験機で測定した。4枚の測定の中での最大値を発泡シートの曲げ強度とした。
<評価>
以下の方法で、実施例1~17及び比較例1~4で得られた発泡シートの柔軟性及び突刺し強度の評価を行い、これらに基づき総合評価を行った。結果は、下記表3に示す通りであった。
<<柔軟性>>
実施例1~17及び比較例1~4で得られた発泡シートの柔軟性の評価は、以下の方法により実施した。
評価者1名が、MD方向に30cmサンプリングした発泡シートを、立方体の金属(一辺:5cm)の下部に挟み込み、横面に隙間なく沿わせ、折れがないかをMD方向及びTD方向で確認し、下記評価基準に基づき評価した。
-柔軟性の評価基準-
○:筋及び折れ共に発生なし
△:亀裂まではいかないが、筋が入る又は折れが発生する
×:亀裂が入り、折れが発生する
<<突刺し強度>>
実施例1~17及び比較例1~4で得られた発泡シートの突刺し強度の測定は、JIS Z 1707:2019に準拠して測定した。この測定値より、下記評価基準に基づき評価した。
具体的には、発泡シートを直径20mmの円形に打ち抜いた測定用サンプルをジグで固定し、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を試験速度50±5mm/分間で突き刺し、針が貫通するまでの最大力(N)を測定した。なお測定用サンプルは、発泡シートの幅方向(TD方向)全体に渡って凹部と凸部を含めて平均的に測定できるように、5個以上採取した。各測定用サンプルについて測定した最大値(N)の平均値を算出し、その平均値から、下記評価基準に基づき評価した。
-突刺し強度の評価基準-
〇:突刺し強度の平均値が、1.5N以上
△:突刺し強度の平均値が、1.0N以上1.5N未満
×:突刺し強度の平均値が、1.0N未満
<<総合評価>>
実施例1~17及び比較例1~4で得られた発泡シートについて、柔軟性及び突刺し強度の評価結果に基づき、以下の評価基準に基づき総合評価を行った。
-総合評価の評価基準-
◎:柔軟性及び突刺し強度の評価結果のいずれも○である
〇:柔軟性及び突刺し強度の評価結果のいずれか一方が○で、もう一方が△である
〇:柔軟性及び突刺し強度の評価結果のいずれも△である
×:柔軟性及び突刺し強度の評価結果のいずれか一方が×で、もう一方が△又は〇である
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> ポリ乳酸樹脂と、フィラーとを含有し、
前記フィラーの含有量が0.1質量%以上であり、
かつ、曲げ抵抗が230mN以下であることを特徴とするポリ乳酸発泡シートである。
<2> 前記ポリ乳酸樹脂の含有量が96質量%以上である、前記<1>に記載のポリ乳酸発泡シートである。
<3> 前記フィラーの含有量が0.5質量%以上3質量%以下である、前記<1>又は<2>に記載のポリ乳酸発泡シートである。
<4> 厚みが0.3mm以上1.3mm以下である、前記<1>から<3>のいずれかに記載のポリ乳酸発泡シートである。
<5> 発泡倍率が13倍以上40倍以下である、前記<1>から<4>のいずれかに記載のポリ乳酸発泡シートである。
<6> 平均発泡径が20μm以上200μm以下である、前記<1>から<5>のいずれかに記載のポリ乳酸発泡シートである。
<7> 前記フィラーがマイカである、前記<1>から<6>のいずれかに記載のポリ乳酸発泡シートである。
<8> ポリ乳酸樹脂にフィラーを0.1質量%以上添加して溶融する溶融工程と、
圧縮性流体の存在下において、前記ポリ乳酸樹脂と前記フィラーとを混練してポリ乳酸樹脂組成物を得る混練工程と、
前記ポリ乳酸樹脂組成物から圧縮性流体を除去し、前記ポリ乳酸樹脂組成物を発泡させて、曲げ抵抗が230mN以下となるように発泡シートを得る発泡工程と、
を含むことを特徴とするポリ乳酸発泡シートの製造方法である。
<9> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のポリ乳酸発泡シートを含有することを特徴とする製造物である。
<10> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のポリ乳酸発泡シートを成形してなることを特徴とする製造物である。
<11> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のポリ乳酸発泡シートを原材料として用いることを特徴とする製造物の製造方法である。
<12> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のポリ乳酸発泡シートを成形する成形工程を含むことを特徴とする製造物の製造方法である。
前記<1>から<7>のいずれかに記載のポリ乳酸発泡シート、前記<8>に記載のポリ乳酸発泡シートの製造方法、前記<9>又は<10>に記載の製造物、及び前記<11>又は<12>に記載の製造物の製造方法は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
100 連続式混練装置
110 連続式発泡シート化装置
1 第1の供給部
2 第2の供給部
3 圧縮性流体供給部
4 金型
21A 第1押出機
21B 第2押出機
a 原材料混合及び溶融部
b 圧縮性流体供給部
c 混練部
d 圧縮性流体除去部
e 押出部
f 加熱部
F 圧縮性流体
P ポリ乳酸樹脂組成物
特表2009-523848号公報

Claims (10)

  1. ポリ乳酸樹脂と、フィラーとを含有し、
    前記フィラーの含有量が0.1質量%以上であり、
    かつ、曲げ抵抗が230mN以下であることを特徴とするポリ乳酸発泡シート。
  2. 前記ポリ乳酸樹脂の含有量が96質量%以上である、請求項1に記載のポリ乳酸発泡シート。
  3. 前記フィラーの含有量が0.5質量%以上3質量%以下である、請求項1又は2に記載のポリ乳酸発泡シート。
  4. 厚みが0.3mm以上1.3mm以下である、請求項1に記載のポリ乳酸発泡シート。
  5. 発泡倍率が13倍以上40倍以下である、請求項1に記載のポリ乳酸発泡シート。
  6. 平均発泡径が20μm以上200μm以下である、請求項1に記載のポリ乳酸発泡シート。
  7. 前記フィラーがマイカである、請求項1に記載のポリ乳酸発泡シート。
  8. ポリ乳酸樹脂にフィラーを0.1質量%以上添加して溶融する溶融工程と、
    圧縮性流体の存在下において、前記ポリ乳酸樹脂と前記フィラーとを混練してポリ乳酸樹脂組成物を得る混練工程と、
    前記ポリ乳酸樹脂組成物から圧縮性流体を除去し、前記ポリ乳酸樹脂組成物を発泡させて、曲げ抵抗が230mN以下となるように発泡シートを得る発泡工程と、
    を含むことを特徴とするポリ乳酸発泡シートの製造方法。
  9. 請求項1に記載のポリ乳酸発泡シートを含有することを特徴とする製造物。
  10. 請求項1に記載のポリ乳酸発泡シートを成形してなることを特徴とする製造物。

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