JP2024031659A - 発泡シート、製造物及び発泡シートの製造方法 - Google Patents

発泡シート、製造物及び発泡シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた緩衝性及び突き刺し強度を有する発泡シートを提供する。【解決手段】本発明にかかる発泡シートは、ポリ乳酸樹脂とポリエチレン系樹脂とを含む発泡シートであって、前記ポリ乳酸樹脂の比率が、15wt%以上97wt%未満であり、JIS Z 0235で求められる圧縮応力0.1MPaの時の緩衝係数の最小値が15以下であり、前記発泡シートの厚さを2mmとした時にJIS Z 1707で求められる突き刺し強度が、2N以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡シート、製造物及び発泡シートの製造方法に関する。
発泡シートは、優れた断熱性及び緩衝性を有しかつ軽量であることから、多様な形状に成形加工することが容易である。そのため、発泡シートは、緩衝材、袋、容器等の樹脂成形品である製造物(プラスチック製品)の原材料として広く利用されている。
近年、環境に対する意識が高まり、SDGsの活動が活発となっていることから、発泡シートの材料として、ポリエステル系樹脂等の中でも、自然界で分解される生分解性ポリマーへの期待が高まっている。中でも、ポリ乳酸樹脂は、植物由来の生分解性を有するポリマーであり、発泡シートに従来より使用されているポリスチレン系樹脂等に似た性質を有し、他の生分解性ポリマーよりも比較的高い融点、強靭性、透明性、耐薬品性等を有する点から、発泡シートの材料としての開発が進められている。
発泡シートとして、例えば、脂肪族ポリエステル樹脂および脂肪族-芳香族コポリエステルの少なくとも一方からなる生分解性樹脂組成物を用いて形成されたプラスチックフィルムがある。このプラスチックフィルムからなるエア緩衝材は、圧縮荷重が980N/個の時の静的緩衝係数を8.0以下とし、破袋するまでの動的緩衝係数の最小値を8.0以下とすることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、発泡シートとして、ポリ乳酸樹脂、ポリメタクリル酸メチル及びポリイソシアネート化合物からなるポリエステル樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1のプラスチックフィルムからなるエア緩衝材は、突き刺し強度が低い、という問題があった。
また、特許文献2のポリエステル樹脂組成物は、ポリ乳酸とポリメタクリル酸メチルを含んでいるが、十分な緩衝性が得られない、という問題があった。
本発明の一態様は、優れた緩衝性及び突き刺し強度を有する発泡シートを提供することを目的とする。
本発明に係る発泡シートの一態様は、
ポリ乳酸樹脂とポリエチレン系樹脂とを含む発泡シートであって、
前記PLA樹脂の比率が、15wt%以上97wt%未満であり、
JIS Z 0235で求められる圧縮応力0.1MPaの時の緩衝係数の最小値が15以下であり、
発泡シートの厚さを2mmとした時にJIS Z 1707で求められる突き刺し強度が、2N以上である。
本発明の一態様は、優れた緩衝性及び突き刺し強度を有する発泡シートを提供することができる。
温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。 圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。 ポリ乳酸系組成物の製造に用いる連続式混練装置の一例を示す概略図である。 発泡シートの製造に用いる連続式発泡シート化装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、実施形態は以下の記述によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本明細書において数値範囲を示す「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
<発泡シート>
本発明の実施形態に係る発泡シートは、ポリ乳酸(PLA;Poly Lactic Acid)樹脂とポリエチレン系樹脂(PE系樹脂)を含む組成物(ポリ乳酸系組成物)を発泡させて生成した、シート状の形状を有するポリ乳酸発泡体である。本実施形態に係る発泡シートは、PLA樹脂の比率が15wt%以上97wt%未満であり、JIS Z 0235で求められる圧縮応力0.1MPaの時の緩衝係数の最小値が15以下であり、発泡シートの厚さを2mmとした時にJIS Z 1707で求められる突き刺し強度が2N以上である発泡シートである。発泡シートの特性の詳細については後述する。
PLA樹脂を用いた発泡シートは、押し出し発泡、射出成型等を用いて製造されるが、PLA樹脂は線形ポリエステルであるため、溶融時の粘度が比較的低く発泡時に破泡し易い。そのため、PLA樹脂を用いた発泡シートは、独立気泡を形成し難く、硬い性質を有するため、しなやかさ及び緩衝性が低い。一方、PE系樹脂は安価で発泡シートの熱箇所性樹脂として用いることができるが、近年の環境意識の高まりによる脱プラスチックにより、PE等の石油由来プラスチックの含有量の低減が進んでいる。また、PE系樹脂は柔軟性を有するため、樹脂強度が低い。そのため、PE系樹脂を用いた発泡シートは突き刺し強度が低い。
本実施形態に係る発泡シートは、PLA樹脂を含むことで、環境に配慮し脱プラスチック化を進めつつ突き刺し強度を高めると共に、PE系樹脂を含むことで、しなやかで優れた緩衝性を有することができる。よって、本実施形態に係る発泡シートは、PLA樹脂及びPE系樹脂を併用することで、緩衝性及び突き刺し性を両立できるため、柔軟性と強度が要求される緩衝材等の発泡シートとして好適に用いることができる。
本実施形態に係る発泡シートは、PLA樹脂及びPE系樹脂を含み、更に必要に応じてその他の成分を含有してよい。なお、本実施形態に係る発泡シートは、ポリ乳酸系組成物から生成されるため、ポリ乳酸系組成物発泡シートともいう。
[ポリ乳酸樹脂]
本実施形態に係る発泡シートに用いられるPLA樹脂(「ポリ乳酸」ともいう。)は、脂肪族ポリエステル樹脂の1つであり、乳酸がエステル結合によって重合して形成した高分子である。ポリ乳酸は、微生物により生分解されるので、環境に優しく、環境負荷が低い高分子材料として自然界に残留するマイクロプラスチックとの関係で利用されている。また、ポリ乳酸は、カーボンニュートラルな材料であり、かつ比較的安価な高分子材料である。
乳酸は、D-体(D-乳酸)及びL-体(L-乳酸)の何れか一方又は両方でもよい。
ポリ乳酸としては、例えば、D-乳酸の単独重合体、L-乳酸の単独重合体、D-乳酸とL-乳酸との共重合体(DL-乳酸);D-ラクチド、L-ラクチド及びDL-ラクチドからなる群から選択される一又は二以上のラクチドの開環重合体等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリ乳酸として、D-乳酸及びL-乳酸の共重合体を用いた場合、D-乳酸及びL-乳酸の割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。D-乳酸及びL-乳酸の共重合体において、少ない方の光学異性体が減少するにしたがって、結晶性が高くなり融点やガラス転移点が高くなる傾向がある。また、少ない方の光学異性体が増加するにしたがって、結晶性が低くなり、やがて非結晶となる傾向がある。結晶性は、発泡シートの耐熱性及び発泡の成形温度に関連するため、用途に応じて使い分ければよく、特に限定されない。
なお、結晶性とは、結晶化度や結晶化速度のことを意味する。結晶性が高いとは、結晶化度が高いこと、及び結晶化速度が速いことの少なくとも一方を意味する。
PLA樹脂は、適宜合成したものでもよいし、市販品でもよいが、緩衝材としての緩衝性能を向上させるために、PLA樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で求められる重量平均分子量は10万以上が好ましく、より好ましくは15万以上である。一方、ポリ乳酸の重量平均分子量の上限は、特に限定されないが、粘度が高くなり過ぎることを抑えかつ製造を容易にする点から、35万以下が好ましい。
本実施形態に係る発泡シートの重量平均分子量(Mw)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、GPCを用いて測定することができる。例えば、本実施形態に係る発泡シートをテトラヒドロフラン(THF)溶液に入れて65℃に加熱することでポリ乳酸を溶解させる。次いで、0.45μmのメンブレンフィルターにてろ過して、THF溶液に含まれるフィラー等の未溶解物を除去する。得られた発泡シートの重量平均分子量(Mw)は、分子量既知のポリスチレン試料によって作成した検量線を標準としてGPCを用いて測定される。発泡シートの重量平均分子量(Mw)は、例えば、下記測定条件に基づいて測定してもよい。なお、カラムは、TSKgel SuperHM-N(東ソー社製)のものを直列に4本繋いだものを使用してよい。
(測定条件)
・装置:HLC-8320(東ソー製)
・カラム:TSKgel SuperHM-N(東ソー社製)×4本
・検出器:RI
・測定温度:40℃
・移動相:テトラヒドロフラン
・流量:0.6mL/min
ポリ乳酸の含有量は、生分解性及びリサイクル性の観点から、本実施形態に係る発泡シート中の有機物の全量に対して、98wt%以上が好ましく、99wt%以上がより好ましい。ポリ乳酸の含有量が98wt%以上であると、ポリ乳酸が生分解しても、生分解しないその他の成分が残存するのを抑制できる。
ポリ乳酸に含まれる乳酸の含有量は、ポリ乳酸を形成する材料の割合から算出できる。材料比率が不明な場合は、例えば、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)を用いた分析を行い、既知のポリ乳酸を標準試料とした比較により成分を特定できる。具体的には、既知のポリ乳酸を標準試料として、検量線を予め求めることで、本実施形態に係る発泡シート中のポリ乳酸の比率を求めることができる。また、必要に応じて、NMR測定によるスペクトルの面積比やその他分析方法も組み合わせて算出できる。GC-MSを用いる場合、ポリ乳酸の含有割合は、例えば、以下の条件で測定できる。
(GCMSによる測定)
・GCMS:QP2010 補器 フロンティア・ラボPy3030D、株式会社島津製作所製
・分離カラム:フロンティア・ラボUltra ALLOY UA5-30M-0.25F
・試料加熱温度:300℃
・カラムオーブン温度:50℃(1分保持)~昇温速度15℃/分~320℃(6分保持)
・イオン化法:Electron Ionization(E.I)法
・検出質量範囲:25~700(m/z)
PLA樹脂の比率は、15wt%以上97wt%未満であり、20wt%~80wt%が好ましく、30wt%~70wt%がより好ましく、50wt%~60wt%がさらに好ましい。PLA樹脂の比率が97wt%以上だと、加工時にPLA樹脂の粘度が低下し破泡してしまい、発泡シートのしなやかさや緩衝性が低下する。PLA樹脂の比率が15wt%未満だと、発泡シートの強度が低下し、突き刺し性が低下する。
[PE系樹脂]
本実施形態に係る発泡シートに用いられるPE系樹脂は、一般的なPE系樹脂を用いることができる。PE系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)等を用いることができる。これらは、1種単独でも用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、LLDPEが好ましい。
LDPE、LLDPE及びVLDPE等は、いずれも、押出用グレードを満たすものであればよく、LDPEとしては、融点が105℃~115℃であり、MFRが3~30のものを好適に用いる。LLDPEとしては、融点が122℃~124℃であり、MFRが0.5~3程度のものを好適に用いる。
[その他の樹脂]
その他の樹脂としては、PE系樹脂と微生物により生分解される生分解性樹脂等が挙げられる。生分解性樹脂としては、ポリブチレンサクシネート及びポリヒドロキシン酪酸を併用してもよい。
[フィラー]
本実施形態に係る発泡シートは、フィラーを含有してよい。フィラーは、本実施形態に係る発泡シートに含まれる泡の大きさ及び量等を調節する機能を有し、発泡核剤として用いることができる。本実施形態に係る発泡シートは、フィラーを含むことで、発泡シート中の平均発泡径を細かく均一な状態とすることができるため、突き刺し強度と緩衝性を両立できる。
フィラーとしては、無機系フィラー、有機系フィラー等が挙げられる。
無機系フィラーとしては、例えば、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、層状珪酸塩、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられるが、好ましくは増粘効果や発泡核材としての効果の観点よりシリカが用いられる。
有機系フィラーとしては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品、またソルビトール化合物、安息香酸及びその化合物の金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物等が挙げられる。
さらにフィラーの平均粒径は、微細発泡や増粘効果の観点から、7nm~100nmが好ましい。また、添加量は、0.3wt%~5wt%が好ましい。
フィラーは、発泡シート中の、泡の大きさ、量、配置等の発泡状態等を調節する目的として好ましくはシリカを用いるが、結晶化による耐熱性や賦形性の向上の目的で別途含有してもよい。シリカは、PLA樹脂及びPE系樹脂を含む混合樹脂に含まれることで、発泡シートに増粘効果を付与できるため、混合樹脂の粘度が上昇することにより、発泡倍率が上がりかさ密度を下げることができる。また、シリカは、発泡核材としての機能も期待できるため、平均発泡径を小さくすることが可能となり、発泡シート中の発泡を微細とし、発泡シートのかさ密度を低くできるため、発泡シートは、緩衝性を高めると共に、突き刺し性を良好とすることができる。
シリカの平均粒径は、7nm~100nmであることが好ましい。シリカは粒径が小さくなると凝集し、一次粒子で存在するのは困難になる。シリカの平均粒径が7nm~100nmであれば、シリカの凝集が抑えられるため、微細な発泡を生じさせることができると共に、凝集により発泡核材として作用する数の減少を抑えることができる。また、発泡核材として機能するシリカの表面積が小さく、効率的で微細な発泡ができるため、樹脂からなる発泡の壁の数を増大できる。これにより、緩衝性及び突き刺し強度に優れたシートを得ることができる。
シリカの含有量は、PLA樹脂に対して、0.3wt%~5.0wt%であることが好ましく、0.5wt%~4.0wt%であることがより好ましく、1.0wt%~3.0wt%であることがさらに好ましい。シリカの含有量が0.3wt%~5.0wt%であれば、発泡核材の量の減少が抑えられるため、効率的で微細な発泡ができ、平均発泡径が大きくなることを抑えることができる。これにより、発泡の樹脂の壁の数の減少が抑えられるため、発泡シートの突き刺し強度は維持できる。また、シリカの含有量が抑えられることで、発泡シートの製造時に、シリカが凝集することが抑えられ、発泡シート中でシリカが一次粒子の状態で存在できるため、微小な発泡が形成できる。また、シリカの凝集が抑えられることで、発泡核材として作用する数の減少が抑えられる。これにより、緩衝性及び突き刺し強度に優れたシートを得ることができる。
[その他の成分]
その他の成分としては、通常、発泡シートに含有され、かつ生分解性能に影響のない範囲の添加量であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、架橋剤等が挙げられる。
(架橋剤)
架橋剤は、隣同士のPLA樹脂の末端が反応で結びつくため、末端封鎖の効果があり、水分吸着量が減少し、加水分解による分解生成物抑制の効果もある。
架橋剤としては、エポキシ系、オキサゾリン系、イソシアネート系等があるが、ポリ乳酸との反応性等の観点から、エポキシ系が好適に用いられる。さらに、エポキシ系としては、好適には、変性アクリル樹脂が用いられる。
架橋剤の含有量は、0.5wt%~2.5wt%であることが好ましく、より好ましくは、0.7wt%~2.0wt%であり、さらに好ましくは1.0wt%~1.5wt%である。架橋剤の含有量が0.5wt%~2.5wt%であると、PLA樹脂の末端が十分に封鎖されるため、加水分解し難く、十分に架橋される。また、余剰な架橋剤により発泡の抑制が低減できるため、ポリ乳酸発酵シートの粘度上昇を抑え、生産安定性を維持できる。さらに、植物由来のPLA樹脂の比率も低下する。
<発泡シートの物性>
本実施形態に係る発泡シートの物性として、緩衝係数、突き刺し強度、かさ密度、独立気泡率及び平均発泡径について説明する。
(緩衝係数)
本実施形態に係る発泡シートは、JIS Z 0235で求められる圧縮応力0.1MPaの時の緩衝係数の最小値は、15以下であり、好ましくは14.5以下であり、より好ましくは13.5以下であり、さらに好ましくは12.5以下である。
なお、圧縮応力は、JIS K 6400-2:2012及びISO3386-1に記載の圧縮応力-ひずみ特性の測定方法に準拠して求められる。圧縮応力は、具体的には以下のように測定する。即ち、圧縮応力の測定装置としては、万能試験機(例えば、島津製作所製の万能試験機AG-50X、AGS-5kNX等)と、所定の大きさ(例えば、5kN)の校正されたロードセル等を使用する。発泡シートから均等に直径50mmの円を、打ち抜き又は切り取りを行う。発泡シートが薄い場合は、発泡シートを複数枚重ねた場合に25mm~35mm(万能試験機に加圧板と固定した支持板の間に試料を挟み、2.9N~3.0Nの力を加えた場合)となるように必要な枚数を打ち抜き又は切り取りを実施する。発泡シートを加圧板と支持板の間に挟み、所定の速度(例えば、(100±20)mm/分)で試験片の厚さの所定割合(例えば、(40±1)%程度)まで加圧する。
緩衝係数は、JIS Z 0235:2002及びISO4651に準拠して求めることができる。緩衝係数は、本実施形態に係る発泡シートが衝撃エネルギーを吸収する性能を表すものであり、圧縮試験により求めた圧縮応力を単位体積当たりの圧縮エネルギーで除した値(緩衝係数=圧縮応力/単位体積当たりの圧縮エネルギー)である。
まず、発泡シートを打ち抜き装置と打ち抜き型(内径Φ:5cm)を使用して、円形(φ5cm)にサンプルを打ち抜き、発泡シートを重ねた場合の厚さが25mmを超える枚数を打ち抜き測定用サンプルとする。次に、万能試験機(AGS-X、島津製作所製)に5kNロードセルを設置する。次に、緩衝係数を60%に設定してキャリブレーションを実施した後、Φ5cmに切り抜いたシートを(25±3)mmとなるように重ね合わせてサンプルをセットし、測定を開始する。得られたデータから圧縮応力と緩衝係数のグラフを作成し、圧縮応力0.1MPaの時の緩衝係数を算出する。
(突き刺し強度)
本実施形態に係る発泡シートは、発泡シートの厚さ(厚さ)を2mmとした時にJIS Z 1707で求められる突き刺し強度が2N以上であり、好ましくは2.3N以上であり、より好ましくは2.5以上であり、さらに好ましくは3.5N以上である。
本実施形態に係る発泡シートの突き刺し強度は、本実施形態に係る発泡シートの強度を表す物性値として用いられる。発泡シートを緩衝材として使用する場合、内容物が破れて出ないことが重要であるため、本実施形態に係る発泡シートの突き刺し強度が高いことが求められる。
突き刺し強度は、本実施形態に係る発泡シートの厚さを2mmとしたサンプルを用いて、JIS Z 1707:2019に準拠して求める。なお、本実施形態に係る発泡シートの厚さが薄い場合は、本実施形態に係る発泡シートを複数重ねて、発泡シートの全体の厚さを2mmとして、突き刺し強度を測定してよい。発泡シートの厚さが厚い場合は、発泡シートの厚さが2mmになるようにカッティングして、突き刺し強度を測定してよい。
突き刺し強度は、具体的には以下のように測定する。本実施形態に係る発泡シートのランダムな位置からφ20mmの円形の試験片を5つ打ち抜く。試験片は、発泡シートの全幅にわたって平均するように打ち抜くことが好ましい。次に、万能試験機(例えば、島津製作所製の万能試験機AG-50X、AGS-5kNX等)にロードセルを接続する。試験片を突き刺し台に固定して、半円形の針(例えば、直径1.0mm、先端形状半径0.5mm)を50Nのロードセルを用いて所定の試験速度(例えば、50±5)mm/minで突き刺し、針が貫通するまでの最大力(単位:N)を測定する。測定は5回実施し、測定値は5回の平均値とした。
(かさ密度)
本実施形態に係る発泡シートのかさ密度は、0.025g/cm~0.250g/cmが好ましく、0.031g/cm~0.125g/cmがより好ましく、0.036g/cm~0.083g/cmが更に好ましい。かさ密度が上記の好ましい範囲内であれば、本実施形態に係る発泡シート中の泡の壁が薄くなることを抑えられるため、発泡シートの強度の低下が抑えられ、発泡シートは突き刺し性を維持できる。また、空気ばねの効果を発揮できるため、発泡シートは緩衝性を維持できる。
かさ密度とは、容器に発泡シートを充てんした時の内容積の密度をいう。かさ密度の測定方法は、特に限定されるものではなく適宜任意のかさ密度の測定方法を用いることができ、例えば、次のような方法で測定できる。発泡シートを約1cm×2.5cmにカットして、測定サンプルを作製し、測定サンプルの重量Wを測定する。重量の測定後に、水中での測定サンプルの体積を測定する。次に、純水を所定量(例えば、8mL)入れたメスシリンダーに測定サンプルを入れて、メスシリンダーの増量分(V)を読み取る。かさ密度Dを下記式(I)より算出する。
かさ密度D=重量W/増量分V ・・・(I)
(独立気泡率)
本実施形態に係る発泡シートの独立気泡率は、50%以上であることが好ましく、より好ましくは55%以上であり、さらに好ましくは60%以上である。発泡シート中の独立気泡は緩衝材として用いられる時に、空気ばねのような効果を発揮する。そのため、独立気泡率が発泡シート中に50%以上あれば、発泡シートの緩衝性の低下が抑えられるため、緩衝材として用いることができる。
独立気泡率は、ASTM D2856に準拠して測定される。
例えば、発泡シートを25mm角に切断し、切断した発泡シートを重ねて、厚さが25mmの立方体を立方体サンプルとして2個作製する。立方体サンプルの体積Vgをノギスを用いて測定する。次に、立方体サンプルを測定装置(アキュピック1330、島津製作所製)を用いて測定し、立方体サンプルの体積Vp1を求める。続いて、2個の立方体サンプルをそれぞれ8等分して、16個の立方体サンプルを測定装置を用いて測定し、立方体サンプルの体積Vp2を求める。
立方体サンプルの体積をVg、立方体サンプルの開放気泡の体積をVoc、立方体サンプルの準備の過程で解放された気泡の体積をVccとした時、測定時に得られた立方体サンプルの体積Vp1及びVp2は、以下の式で算出される。
Vp1=Vg-Voc1-Vcc1 ・・・(1)
Vp2=Vg-Voc2-Vcc2 ・・・(2)
式(1)、式(2)で求めたVp1及びVp2を用いて、下記式よりVocを算出する。
Voc=Vg-Vp1+Vp2 ・・・(3)
PVA樹脂の重量をWpl、PE系樹脂の重量をWpeとし、PVA樹脂の真密度を1.25、PE系樹脂の真密度を0.92とした時、独立気泡だけの体積Vcは、下記式(4)より算出される。
Vc=Vg-(Wpl/1.25+Wpe/0.92)-Voc ・・・(4)
独立気泡率Vccは、下記式(5)より算出される。
Vcc=Vc/Vg×100(%) ・・・(5)
(平均発泡径)
本実施形態に係る発泡シートの平均発泡径は、500μm以下であることが好ましく、より好ましくは350μm以下であり、さらに好ましくは300μm以下である。平均発泡径が500μm以下であると、PLA樹脂による気泡の壁が少なくなることを抑えられるため、発泡シートはのしなやかさや突き刺し性を維持できる。なお、平均発泡径とは、複数の発泡の平均発泡径の平均値である。
平均発泡径の測定方法の一例を説明する。例えば、本実施形態に係る発泡シートの断面をかみそり刃で切断し、観察面を作製する。観察面をリアルサーフェスビュー(VE7800 キーエンス社製)を用いて、所定の倍率(例えば、50倍)で数箇所(例えば、3か所)撮影する。それを樹脂部分と空洞部分で二値化し、平均発泡径を測定する。数箇所(例えば、3か所)を撮影した写真の平均発泡径を平均化し、平均発泡径とする。
本実施形態に係る発泡シートの平均発泡径は、かさ密度にもよるが、10μm~200μmが好ましく、より好ましくは20μm~100μmであり、さらに好ましくは30μm~80μmである。
平均発泡径の大きさは、フィラーの含有量、発泡の分散状態、発泡シートの溶融張力等により適宜調整できるが、これらに限定されない。例えば、かさ密度が0.025g/cm~0.250g/cmである時、平均発泡径は100μm以下が好ましい。
平均発泡径の測定方法は、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、発泡シートをイオンミリング装置を用いて断面加工し、その断面をSEMで撮影し、画像SEM写真を取得する。得られた断面SEM写真(倍率は、例えば3000倍とする)は、Image-Pro Premier(mediacy社製)のソフトを使用して、発泡(空隙)に該当する灰色成分と樹脂成分に該当する白色成分とに二値化する。次いで、所定の範囲内(例えば、35μm×20μm)における発泡に該当する灰色成分の平均粒子径(フェレ径)を求める。フェレ径が0.5μm以上の灰色成分(発泡)のみの平均値を算出することで、平均発泡径を算出できる。
(包装性)
本実施形態に係る発泡シートを複写機(RICOH IM C6000)のコンタクトガラス、自動現行送り装置にテープ等で固定し、振動時間120分、傾斜衝速度1.2m/s、高さ30cmとして自由落下試験を実施し、シートの破れ、装置の破損等を確認し、下記評価基準により評価した。発泡シートの包装性は、例えば、発泡シートの破れ及び装置に破損等がない場合は、良好と評価し、軽度の発泡シートの破れ又は装置の破損等がある場合は、良と評価し、発泡シートの大きな破れ又は装置の大きな破損等がある場合は、不良と評価できる。
<発泡シートの製造方法>
本実施形態に係る発泡シートの製造方法は、押し出し混錬成形、射出成型等があるが、PLA樹脂の発泡シート製造では、押し出し混錬成形が好適に用いられる。本実施形態に係る発泡シートは、PLA樹脂を含むため、本実施形態に係る発泡シートの製造方法としては、押し出し混錬成形を用いることが好ましい。本実施形態に係る発泡シートの製造方法が押し出し混錬成形を用いる場合について説明する。
本実施形態に係る発泡シートの製造方法は、混練工程と、発泡工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。本実施形態に係る発泡シートの製造方法は、混練工程と発泡工程とを同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。
[混練工程]
混練工程では、PLA樹脂、PE系樹脂及びフィラーを、PLA樹脂及びPE系樹脂の融点より低い温度で混練する。成形品の用途に応じて、架橋剤、酸化防止剤、着色剤、各種光線の吸収剤、帯電防止剤、導電材を混錬してもよい。なお、PLA樹脂、PE系樹脂、フィラー及び発泡剤を含み、発泡させる前の混合物を、ポリ乳酸系組成物(マスターバッチ)ともいう。
また、混練工程では、発泡をより効率的に進める、又は混錬をより効率的に進めるため、ポリ乳酸とフィラーとを、圧縮性流体の存在下において、ポリ乳酸の融点より低い温度で混練することが好ましい。
混練工程においては、発泡をより効率的に進めるため、PLA樹脂、PE系樹脂及びフィラーに加えて、発泡剤を入れることが好ましい。
(発泡剤)
発泡剤としては、高い発泡倍率の発泡シートが得られ易い点において、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の低級アルカン等の炭化水素類、ジメチルエーテル等のエーテル類、メチルクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化炭化水素類、二酸化炭素、窒素等の圧縮性流体(圧縮性ガスともいう)等の物理発泡剤等が挙げられる。これらの中でも、臭気がなく、安全に取り扱え、環境負荷が低いという点から、二酸化炭素や窒素等の圧縮性流体を用いることが好ましい。
ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル樹脂は、融点以降で急激に溶融粘度が低下する性質があるため、PLA樹脂と共にPE系樹脂及びフィラーを混練する際には、フィラーが凝集し易い。フィラーが小さい場合には、フィラーの凝集は、特に顕著に生じる。そのため、本実施形態においては、PLA樹脂、PE系樹脂及びフィラーを、圧縮性流体を用いて混練することが好ましい。これにより、PLA樹脂及びPE系樹脂中にフィラーを均一に分散させることができる。
圧縮性流体は、発泡剤と同じであることが好ましい。圧縮性流体が発泡剤と同じであると、フィラーの混練と発泡を一連のプロセスで実施できるため、環境負荷の低減を図れる。
発泡剤は、フィラーとPLA樹脂及びPE系樹脂を混練するため、圧縮性流体を用いることが好ましい理由を説明する。一般的に、圧縮性流体によって脂肪族ポリエステル樹脂等の樹脂は可塑化され、樹脂の溶融粘度が下がる傾向にある。一見、溶融粘度の低下と、混練性の向上とは矛盾しているように見える。実際、一般的なフィラーの混練で圧縮性流体を用いないで圧力をかけることで、樹脂の自由体積を減少させ、樹脂同士の相互作用の増加(粘度増加)を図れる。しかし、樹脂は可塑化し難くなる(「k.Yang.R.Ozisik R.Polymer,47.2849(2006)」参照)。
これまでに、圧縮性液体は、樹脂を可塑化(柔らかく)する性質があり、圧縮性液体の温度を上げると樹脂が液体のようになることが知られている。このような状態で樹脂にフィラーを分散させると、液体にフィラーを分散させるような状態になり、フィラーが液体中で凝集する。そのため、フィラーが高度に分散された樹脂組成物は得られない。即ち、圧縮性流体の存在下では、樹脂は混練するために適した粘度を有しないため、樹脂とフィラーとの混練に圧縮性液体を用いることは難しいと考えられていた。しかし、圧縮性流体の存在下において、PLA樹脂の融点より低い温度であれば、PLA樹脂が混練に適した粘度を有し、フィラーをPLA樹脂及びPE系樹脂と混練できる。特に、融点以上で急激に溶融粘度が低下するPLA樹脂は、これまで低い溶融粘度の状態でしか混練できなかった。本実施形態では、PLA樹脂及びPE系樹脂が高粘度状態でもフィラーを混練できると共に、圧縮性流体を発泡剤としてそのまま用いることができる。
(圧縮性流体)
圧縮性流体の状態で用いることができる物質としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、メタン、エタン、プロパン、2,3-ジメチルブタン、エチレン、ジメチルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であること等の点から好ましい。これらの圧縮性流体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、図1及び図2を用いて、ポリ乳酸系樹脂組成物の製造に用いられる圧縮性流体について説明する。図1は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図(状態図)である。図2は、圧縮性流体の範囲を定義するための相図(状態図)である。本実施形態における圧縮性流体とは、物質が、図1で表される相図の中で、図2に示す領域(1)、(2)及び(3)の何れかに存在するときの状態を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が領域(1)に存在する場合には超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度及び圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮しない流体である。物質が領域(2)に存在する場合には液体となるが、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。物質が領域(3)に存在する場合には気体状態であるが、圧力が臨界圧力(Pc)の1/2(1/2Pc)以上の高圧ガスを表す。
樹脂の種類と圧縮性流体の組み合わせ、温度及び圧力によって、圧縮性流体の溶解度が変わるため、圧縮性流体の供給量は適宜調整する必要がある。例えば、圧縮性流体が二酸化炭素である時、PLA樹脂と二酸化炭素の組み合わせの場合には、二酸化炭素の供給量は2wt%~30wt%が好ましい。二酸化炭素の供給量が2wt%以上であれば、可塑化の効果は限定的になるという不具合を抑制できる。二酸化炭素の供給量が30wt%以下であれば、二酸化炭素とPLA樹脂が相分離し、発泡シートは均一な厚さを有することができる。
(混練装置)
ポリ乳酸系組成物の製造に用いられる混練装置としては、連続プロセス及び回分式プロセス等を用いることができるが、装置の製造効率と、製品の特性及び品質等の観点から、反応プロセスを選択することが好ましい。
混練装置としては、混練に好適な粘度に対応できる点から、一軸押出機、多軸押出機、ニーダー、無軸籠型撹拌槽、住友重機株式会社製バイボラック、三菱重工業株式会社製N-SCR、株式会社日立製作所製めがね翼、格子翼又はケニックス式、ズルツァー式SMLXタイプスタチックミキサー具備管型重合槽等を使用できる。色調の点から、セルフクリーニング式の重合装置であるフィニッシャー、N-SCR、二軸軸押し出しルーダー等が挙げられる。これらの中でも、生産効率、樹脂(PLA樹脂及びPE系樹脂を含む混合樹脂)の色調、安定性及び耐熱性や賦形性の点では、フィニッシャー、N-SCRが好ましい。生産効率の点では、一軸押出機、多軸押出機が好ましい。
混練装置は、図3に示すような連続式混練装置を用いることができる。図3は、ポリ乳酸系組成物の製造に用いる連続式混練装置の一例を示す概略図である。図3に示すように、連続式混練装置10は、押出機11と、定量フィーダー12A、12B及び12Cと、ガス導入部13とを備える。
押出機11は、押出機11の内部に、原材料混合・溶融エリアa、圧縮性流体供給エリアb、混練エリアc、圧縮性流体除去エリアd及び成形加工エリアeを有する。押出機11としては、例えば、2軸押出機を用いることができる。押出機11の、スクリュ口径、スクリュ軸長Dに対する軸径Lの比L/D等は適宜任意の大きさに設定可能である。
定量フィーダー12Aは、発泡シートの原料となるPLA樹脂を原材料混合・溶融エリアaに投入する。定量フィーダー12Bは、発泡シートの原料となるPE系樹脂を原材料混合・溶融エリアaに供給する。定量フィーダー12Cは、発泡シートの原料となるフィラーを原材料混合・溶融エリアaに供給する。定量フィーダー12Dは、発泡シートの原料となる架橋剤を原材料混合・溶融エリアaに投入する。
ガス導入部13は、圧縮性流体をガスタンク131より計量ポンプ132で圧縮性流体供給エリアbに供給する。
連続式混練装置10は、押出機11内の、原材料混合及び溶融エリアa、圧縮性流体供給エリアb、混練エリアc並びに圧縮性流体除去エリアdにおいて、PLA樹脂、PE系樹脂及びフィラーを圧縮性流体と共に混練してポリ乳酸系組成物を生成する。次いで、成形加工エリアeで、ポリ乳酸系組成物をペレットに成形加工する。
(原材料混合及び溶融エリア)
原材料混合及び溶融エリアaでは、PLA樹脂を含み、ペレット状に加工したペレットと、PE系樹脂を含み、ペレット状に加工したペレットと、フィラーとの混合と昇温を行う。加熱温度はそれぞれのペレット中のPLA樹脂及びPE系樹脂の溶融温度以上に設定して、ポリ乳酸樹脂及びPE樹脂を含む混合樹脂を溶融させ、溶融した混合樹脂内にフィラーを含むポリ乳酸系組成物とする。これにより、続く圧縮性流体供給エリアbで押出機11内に供給される圧縮性流体とポリ乳酸系組成物を均一に混合できる状態にする。
(圧縮性流体供給エリア)
圧縮性流体供給エリアbでは、2種類のペレットが加温により溶融状態となり、フィラーを濡らした状態にて、押出機11内に圧縮性流体を供給して、ポリ乳酸系組成物に含まれる溶融状態のPLA樹脂及びPE系樹脂(溶融樹脂)を可塑化させる。
(混練エリア)
混練エリアcでは、フィラーの混練に好適な粘度となるように、混練エリアcの温度を設定する。設定温度は、連続式混練装置10の仕様、PLA樹脂及びPE系樹脂の種類、構造、分子量等で変動するため、適宜調整される。例えば、PLA樹脂の重量平均分子量Mwが200000程度である場合、混練は一般にPLA樹脂の融点よりも+10℃~+20℃で行われている。これに対して、本実施形態は、ポリ乳酸系組成物を圧縮性流体と共に混錬することで、PLA樹脂の融点より低い温度でも、ポリ乳酸系組成物は比較的高い粘度を有するため、ポリ乳酸系組成物をPLA樹脂の融点より低い温度で混練できる。
PLA樹脂の融点とは、ポリ乳酸の融点である。PLA樹脂の融点より低い温度とは、ポリ乳酸の融点より低い温度であり、ポリ乳酸の融点よりも-20℃~-80℃であることが好ましく、より好ましくは-30℃~-60℃である。
混練エリアcの温度は、PLA樹脂の融点より低い温度よりも低くできるため、例えば、原材料混合・溶融エリアa、圧縮性流体供給エリアb及び圧縮性流体除去エリアdの温度が190℃である場合、混練エリアcの設定温度は150℃にできる。
設定温度は、連続式混練装置10の撹拌動力の電流値等を目安に設定すればよい。
(圧縮性流体除去エリア)
圧縮性流体除去エリアdでは、押出機11に設けた圧力弁14を開放して、押出機11内の圧縮性流体を外部に排出する。
(成形加工エリア)
成形加工エリアeでは、ポリ乳酸系組成物を、ペレット等の適宜任意の形状に成形加工し、任意の形状を有するポリ乳酸系組成物を得る。
押出機11内の各エリアの圧力は、適宜設定可能であり、例えば、圧縮性流体供給エリアbから圧縮性流体除去エリアdの圧力は、7Mpaにできる。
なお、本実施形態では、成形加工したポリ乳酸系組成物をPLA樹脂と再度混合して混練して成形加工してもよい。このとき、押出機11と同様の押出機を用いて、原材料混合・溶融エリアa、圧縮性流体供給エリアb、混練エリアc、圧縮性流体除去エリアd及び成形加工エリアeと同様に行ってもよい。
[発泡工程]
発泡工程は、ポリ乳酸系組成物に含まれる圧縮性流体を除去して、発泡剤を膨張させ、ポリ乳酸系組成物を発泡させる。
圧縮性流体は、連続式混練装置10の押出機11内の圧力を減圧することで、除去できる。
発泡工程の際の温度としては、PLA樹脂及びPE系樹脂が押出可能な範囲で可塑化されるような温度に加温することが好ましい。
発泡工程において、ポリ乳酸系組成物を流動させるための駆動力としては、連続式混練装置10からの圧力を利用してもよいし、押出機11及びシリンダー等の機械装置を用いてもよい。
発泡工程においては、ポリ乳酸系組成物に溶解していた圧縮性流体が、減圧や加温等圧縮性流体の溶解度を変える操作に対してフィラーとの界面で気化し、析出することで、発泡が起きる。フィラーを起点に発泡するため、フィラーがポリ乳酸中に均一に分散されて初めて、均一かつ微細な発泡を有するポリ乳酸発泡体を生成できる。
[その他の工程]
その他の工程としては、通常の発泡シートの製造において行われる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ乳酸発泡体を発泡シートに加工する成形工程、発泡シートの表面に印字等を施す印字工程等が挙げられる。
成形方法は、特に制限されず、一般的に用いられる熱可塑性樹脂の成形方法を用いることができる。成形方法として、例えば、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形等の型を用いて、ポリ乳酸発泡体をシート状に成形加工し、発泡シートとする方法が挙げられる。
成形に用いる型の材質としては、例えば、S45C、S50C、SS400、SCM440、SUS316、SUS304、及びこれらと同等の材質等を用いることができる。成形に用いる型の材質としては、熱伝導率向上の目的で、C2810、A5052、アルミナ等を用いてもよいし、分析目的で、石英ガラス等を用いてもよい。成形に用いる型は、耐久性向上の目的で、上記の材質の表面にクロムメッキ等を施してもよいし、離型性向上の目的で、鏡面研磨仕上げ等を施してもよい。また、ブラスト仕上げとしてもよいし、離型剤を塗工してもよい。これらの中でも、成形に用いる型としては、製造のし易さと耐久性の向上の点から、SCM440にクロムメッキ等を施したものを用いることが好ましい。さらに、金型には、構造が可変する金型等を用いてもよい。
成形工程により、ポリ乳酸発泡体をシート状に成形することで、シート成形物である本実施形態に係る発泡シートが得られる。
印字工程は、本実施形態に係る発泡シートの表面に印字等を施すことができる方法であれば、特に限定されず用いることができる。
このように、本実施形態に係る発泡シートは、PLA樹脂とPE系樹脂とを含む発泡シートであって、PLA樹脂の比率を15wt%以上97wt%未満とし、JIS Z 0235で求められる圧縮応力0.1MPaの時の緩衝係数の最小値を15以下とし、発泡シートの厚さを2mmとした時にJIS Z 1707で求められる突き刺し強度を2N以上とする。これにより、発泡シート内には破泡せず、微小な独立発泡を含むことができる。ポリ乳酸は、融点近傍の温度にすると、急激に粘度が低下するため、破泡、発泡の合一等が生じやすく、発泡の微細化及び均一化は困難であった。本実施形態に係る発泡シートは、ポリ乳酸を含んでも、樹脂の比率を上記の範囲内にすることで、シート製造時等において破泡が抑えられ、微小な独立発泡を含むことができる。よって、本実施形態に係る発泡シートは、優れた緩衝性と突き刺し性を有することができる。
本実施形態に係る発泡シートは、PLA樹脂の比率を20wt%~80wt%にできる。本実施形態に係る発泡シートは、PLA樹脂の比率を20wt%~80wt%とし、PE系樹脂の比率を80wt%~20wt%とすることができるため、PLA樹脂及びPE系樹脂の一方の比率が高くなり過ぎることを抑えることができる。これにより、本実施形態に係る発泡シートは、加工時に樹脂の粘度が低下して破泡し、緩衝性の低下を抑えると共に、樹脂の強度が低下し、突き刺し性の低下を抑えることができる。よって、本実施形態に係る発泡シートは、PLA樹脂の比率を上記の範囲内にすることで、シート製造時に、破泡を抑えかつ微小な独立発泡を形成できるので、緩衝性と突き刺し性をより安定して発揮できる。
本実施形態に係る発泡シートは、かさ密度を0.025g/cm~0.250g/cmとすることができる。これにより、本実施形態に係る発泡シートは、発泡シートの強度の低下が抑えられるため、突き刺し性を維持できると共に、発泡の空気ばねとしての効果を維持できるため、緩衝性を維持できる。
本実施形態に係る発泡シートは、独立気泡率を50%以上とすることができる。これにより、本実施形態に係る発泡シートは、発泡シート内に形成される気泡の空気ばねとしての効果を維持できるため、緩衝性をより確実に維持できる。
本実施形態に係る発泡シートは、平均発泡径を500μm以下とすることができる。これにより、本実施形態に係る発泡シートは、発泡シート内に微少な気泡を独立の状態でより確実に含むことができるため、気泡の空気ばねとしての効果をより高め、緩衝性をより高めることができる。
本実施形態に係る発泡シートは、フィラーを含み、フィラーとしてシリカを用いることができる。シリカはPLA樹脂と馴染み難く発泡核材として作用しやすい性質を有する。また、シリカは粒径が任意で選定し易く、樹脂中に分散し易い。シリカが樹脂中に分散することで、フィラーとして作用し、樹脂の粘度を高めることができる。よって、本実施形態に係る発泡シートは、フィラーとしてシリカを含むことで、発泡核材として作用し、微小な独立発泡を形成できるため、突き刺し性及び緩衝性の両立を図ることができる。
本実施形態に係る発泡シートは、シリカの平均粒子径を7nm~100nmとすることができる。これにより、本実施形態に係る発泡シートは、シート内に微少な気泡を独立に含むことができるため、気泡の空気ばねとしての効果をより高め、緩衝性を高めることができる。また、樹脂からなる発泡の壁の数が少なくなるため、突き刺し強度の低下が抑えられる。よって、本実施形態に係る発泡シートは、突き刺し性及び緩衝性の両立を図ることができる。
本実施形態に係る発泡シートは、シリカの添加量をPLA樹脂に対して0.3wt%~5wt%とすることができる。これにより、本実施形態に係る発泡シートは、微細な発泡を確実に含むことができるため、樹脂からなる発泡の壁の数の減少が抑えられるため、突き刺し強度を維持できる。また、発泡核材として作用する数の減少が抑えられると共に、シリカを一次粒子の状態で存在する割合が高められ、表面積を大きく維持できるため、気泡の空気ばねとして効果が発揮され、より高い緩衝性を有することができる。
本実施形態に係る発泡シートは、上記の通り、高い緩衝性及びシート強度を有するため、包装材、緩衝材等として好適に用いることができる。
<製造物>
本実施形態に係る製造物は、本実施形態に係る発泡シートを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。その他の成分としては、通常の樹脂製品に用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本実施形態に係る製造物(「消費材」とも称される)としては、例えば、生活用品として、袋、包装容器、トレー、食器、カトラリー、文房具、他に緩衝材等が挙げられる。この製造物の概念には、製造物を加工するための中間体として、シートをロール状にした原反や、単体としての製造物のみでなく、トレーの取っ手のような製造物からなる部品や、取っ手が取り付けられたトレーのような製造物を備えた製品等も含まれる。
袋としては、レジ袋、ショッピングバッグ、ごみ袋等が挙げられる。
文房具としては、例えば、クリアファイル、ワッペン等が挙げられる。
従来の発泡シートは、平均発泡径が大きく、ばらつきが大きかったため、シートの強度、柔軟性等のシート物性に課題があった。本実施形態に係る製造物は、物性に優れているため、上記の生活用品以外の用途としても適用できる。例えば、工業用資材、日用品、農業用品、食品用、医薬品用、化粧品等のシート、包装材等の用途として幅広く適用することができる。
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、実施例及び比較例を示して実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例及び比較例により限定されるものではない。
<発泡シートの作製>
[実施例1]
発泡シートは、図4に示す連続式発泡シート化装置を用いて行った。連続式発泡シート化装置20は、第1押出機21Aと、第2押出機21Bとを直列に接続して備える。まず、PLA樹脂(Revode110、HISUN社製、融点160℃、重量平均分子量180000)を定量フィーダー22Aに供給し、PE系樹脂(J704UG、プライムポリマー社製)を定量フィーダー22Bに供給し、フィラー(発泡核剤)であるジメチルシリル化シリカ(アエロジルR972、日本アエロジル製)を定量フィーダー22Cに供給し、架橋剤(メタブレン(登録商標)P-1901、三菱ケミカル製)を定量フィーダー22Dに供給した。
定量フィーダー22AよりPLA樹脂を、定量フィーダー22BよりPE系樹脂を、定量フィーダー22Cよりフィラーを、定量フィーダー22Dより架橋剤を、それぞれ、ヘンシェルミキサー(FM75、日本コークス社製)23に供給して、回転数1500rpmで5分間混合し、混合物を作製した。このとき、PLA樹脂95%とPE系樹脂5%とを含む混合樹脂に対して、フィラーが1質量部、架橋剤が1質量部含まれるように、各原料の流量を調整してヘンシェルミキサー23に供給した。ヘンシェルミキサー23で作製した混合物は、原材料混合・溶融エリアaに供給した。
次いで、混合物を、20kg/hrの流量となるように、原材料混合・溶融エリアaから圧縮性流体供給エリアbに供給し、圧縮性流体である二酸化炭素をガスタンク24から、混合物に対して7質量%相当となるように圧縮性流体供給エリアbに供給した。
次いで、混合物と圧縮性流体とを混練エリアcにおいて混練し、第2押出機21Bに供給した。
第2押出機21Bの先端に取り付けたサーキュラー金型(スリット口径70mm)から、混練エリアcで混練した混合物を吐出量20kg/hで第2押出機21B内(第2加熱エリアd)に供給し、ポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、ポリ乳酸系樹脂組成物から圧縮性流体を除去して押出発泡させ、サーキュラーダイ25のスリット251から押出発泡された筒状のポリ乳酸系発泡シートを冷却されているマンドレル26上に沿わせると共に、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却成形し、ポリ乳酸系樹脂発泡シートを作製した。その後、冷却成形したポリ乳酸系樹脂発泡シートをカッターにより切開して、平坦シートにし、ローラ27を通過させた後、巻き取りローラ28で巻き取り、発泡シートを得た。
各エリアの設定温度は、第1押出機21Aの、原材料混合及び溶融エリアaと圧縮性流体供給エリアb及び混錬エリアcを190℃とし、第2押出機21Bの第2加熱エリアdを160℃とし、サーキュラーダイ25を140℃とした。
[実施例2]
実施例1において、PLA樹脂及びPE系樹脂を含む混合樹脂に含まれるPLA樹脂及びPE系樹脂の比率をPLA樹脂80wt%、PE系樹脂20wt%としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、発泡シート2を作製した。
[実施例3]
実施例1において、混合樹脂に含まれるPLA樹脂及びPE系樹脂の比率をPLA樹脂75wt%、PE系樹脂25wt%としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、発泡シート3を作製した。
[実施例4]
実施例1において、混合樹脂に含まれるPLA樹脂及びPE系樹脂の比率をPLA樹脂60wt%、PE系樹脂40wt%としたこと以外は、実施例1と同様にして行い、発泡シート4を作製した。
[実施例5]
実施例1において、混合樹脂に含まれるPLA樹脂及びPE系樹脂の比率をPLA樹脂15wt%、PE系樹脂85wt%としたこと以外は実施例1と同様にして行い、発泡シート5を作製した。
[実施例6]
実施例1において、CO濃度を8%とし、樹脂温度を155℃となるように第2押し出し機の温度設定をしたこと以外は請求項1と同様にして行い、発泡シート6を作製した。
[実施例7]
実施例1において、CO濃度を7.5%とし、樹脂温度を175℃となるように第2押し出し機の温度設定をしたこと以外は請求項1と同様にして行い、発泡シート7を作製した。
[実施例8]
実施例1において、CO濃度を5%とし、樹脂温度を165℃となるように第2押し出し機の温度設定をしたこと以外は請求項1と同様にして行い、発泡シート8を作製した。
[実施例9]
実施例1において、フィラーの種類をシリカ(RX300、日本アエロジル製)としたこと以外は請求項1と同様にして行い、発泡シート9を作製した。
[実施例10]
実施例1において、フィラーの種類をシリカ(QSG100、信越化学社製)に変えたこと以外は実施例1と同様にして行い、発泡シート10を作製した。
[実施例11]
実施例1において、フィラーの種類を酸化チタン(JMT-150IB、テイカ社製)に変えたこと以外は実施例1と同様にして行い、発泡シート11を作製した。
[実施例12]
実施例1において、フィラーの添加量を0.25質量部としたこと以外は実施例1と同様にして行い、発泡シート12を作製した。
[実施例13]
実施例1において、フィラーの添加量を0.8質量部としたこと以外は実施例1と同様にして行い、発泡シート13を作製した。
[実施例14]
実施例1において、フィラーの添加量を4.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にして行い、発泡シート14を作製した。
[実施例15]
実施例1において、フィラーの添加量を5.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にして行い、発泡シート15を作製した。
[比較例1]
実施例1において、混合樹脂に含まれるPLA樹脂及びPE系樹脂の比率をPLA樹脂93wt%、PE系樹脂7wt%とする以外は実施例1と同様にして比較発泡シート1を得た。
[比較例2]
実施例1において、混合樹脂に含まれるPLA樹脂及びPE系樹脂の比率をPLA樹脂10wt%、PE系樹脂90wt%としたこと以外は実施例1と同様にして行い、比較発泡シート2を作製した。
[比較例3]
実施例1において、混合樹脂に含まれるPLA樹脂及びPE系樹脂の比率をPLA樹脂80wt%、PE系樹脂20wt%とし、CO濃度を4%とし、樹脂温度を170℃となるように第2押し出し機の温度設定をしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較発泡シート3を作製した。
[比較例4]
混合樹脂に含まれるPLA樹脂及びPE系樹脂の比率をPLA樹脂20wt%、PE系樹脂80wt%とし、CO濃度を5%とし、樹脂温度を150℃となるように第2押し出し機の温度設定をしたこと以外は実施例1と同様にして行い、比較発泡シート4を作製した。
各実施例及び比較例の発泡シートの各成分を表1に示す。
<物性>
得られた発泡シートの物性として、緩衝係数、突き刺し強度、かさ密度、独立気泡率及び平均発泡径を測定した。測定結果を表1に示す。
[緩衝係数]
緩衝係数は、JIS Z 0235:2002及びISO4651に準拠して求めた。
まず、発泡シートを打ち抜き装置と打ち抜き型(内径Φ:5cm)を使用して、円形(φ5cm)にサンプルを打ち抜き、発泡シートを重ねた場合の厚さが25mmを超える枚数を打ち抜き測定用サンプルとした。次に、万能試験機(AGS-X、島津製作所製)に5kNロードセルを設置した。次に、緩衝係数を60%に設定してキャリブレーションを実施した後、Φ5cmに切り抜いたシートを(25±3)mmとなるように重ね合わせてサンプルをセットし、測定を開始した。得られたデータから圧縮応力と緩衝係数のグラフを作成し、圧縮応力0.1MPaの時の緩衝係数を算出した。
[突き刺し強度]
突き刺し強度は、JIS Z 1707:2019に準拠して求めた。突き刺し強度は、具体的には以下のように測定した。
発泡シートのランダムな位置からφ20mmの円形の試験片を、発泡シートの全幅にわたって平均するように5つ打ち抜いた。次に、万能試験機(例えば、島津製作所製の万能試験機AGS-5kNX)にロードセルを接続した。試験片を突き刺し台に固定して、半円形の針(直径1.0mm、先端形状半径0.5mm)を50Nのロードセルを用いて(50±5)mm/minの試験速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大力(単位:N)を測定した。測定は5回行い、5回の平均値を測定値とした。
[かさ密度]
発泡シートのかさ密度は、以下のように測定した。
発泡シートを約1cm×2.5cmにカットして、測定サンプルを作製し、測定サンプルの重量Wを測定した。重量の測定後に、水中での測定サンプルの体積を測定した。次に、純水を所定量(例えば、8mL)入れたメスシリンダーに測定サンプルを入れて、メスシリンダーの増量分(V)を読み取った。かさ密度Dを下記式(I)より算出した。
かさ密度D=重量W/増量分V ・・・(I)
[独立気泡率]
独立気泡率は、ASTM D2856に準拠して測定した。発泡シートを25mm角に切断し、切断した発泡シートを重ねて、厚さが25mmの立方体を立方体サンプルとして2個作製した。立方体サンプルの体積Vgをノギスを用いて測定した。次に、立方体サンプルを測定装置(アキュピック1330、島津製作所製)を用いて測定し、立方体サンプルの体積Vp1を求めた。次に、2個の立方体サンプルをそれぞれ8等分して、16個の立方体サンプルをアキュピックを用いて測定し、立方体サンプルの体積Vp2を求めた。
立方体サンプルの開放気泡の体積をVoc、立方体サンプルの準備の過程で解放された気泡の体積をVccとして、測定時に得られた体積データVp1及びVp2を、下記式(1)及び(2)より算出した。
Vp1=Vg-Voc1-Vcc1 ・・・(1)
Vp2=Vg-Voc2-Vcc2 ・・・(2)
式(1)及び式(2)で求めたVp1及びVp2を用いて、下記式(3)よりVocを算出した。
Voc=Vg-Vp1+Vp2 ・・・(3)
PVA樹脂の重量をWpl、PE系樹脂の重量をWpeとし、PVA樹脂の真密度を1.25、PE系樹脂の真密度を0.92とした時、独立気泡だけの体積Vcを、下記式(4)より算出した。
Vc=Vg-(Wpl/1.25+Wpe/0.92)-Voc ・・・(4)
次に、下記式(5)より独立気泡率Vccを算出した。
Vcc=Vc/Vg×100(%) ・・・(5)
[平均発泡径]
発泡シートの断面をかみそり刃で切断し、観察面を作製した。観察面をリアルサーフェスビュー(VE7800 キーエンス社製)を用いて、50倍で3か所撮影した。それを樹脂部分と空洞部分で二値化し、平均発泡径を測定した。3か所撮影した写真の平均発泡径の平均値を、平均発泡径とした。
[包装性]
発泡シートを複写機(RICOH IM C6000)のコンタクトガラス、自動現行送り装置に発泡シートをテープで固定し、振動試験120分、傾斜衝撃試験1.2m/s、自由落下試験30cmを実施し、シートの破れ、装置の破損等を確認することで、発泡シートの包装性を下記評価基準により評価した。
(評価基準)
A:発泡シートの破れ及び装置に破損等がない。
B:軽度の発泡シートの破れ又は装置の破損等がある。
C:発泡シートの大きな破れ又は装置の大きな破損等がある。
Figure 2024031659000001
表1より、実施例1~11で得られた発泡シートは、緩衝性及び突き刺し強度を何れも所定の条件を満たしていたことが確認された。一方、比較例1~4で得られた発泡シートは、緩衝性及び突き刺し強度の少なくとも何れかが所定の条件を満たしていなかった。
発泡シートの包装性については、実施例1、2、9及び14では、発泡シートの破れ及び装置の破損等は確認されなかった(評価A)。実施例3~5、8、10~13及び15では、軽度の発泡シートの破れはあったが、装置の破損等は確認されなかった(評価B)。実施例6及び7では、発泡シートの破れ等は無かったが、コンタクトガラスを固定する部材に一部軽度の破損が確認された(評価B)。実施例9では、軽度の発泡シートの破れ等は無かったが、装置に軽度の破損が確認された(評価B)。一方、比較例1及び3では、発泡シートの破れ等は無かったが、問題となる装置の大きな破損が確認された(評価C)。比較例2及び4では、装置の破損はなかったが、発泡シートに大きな破れが確認された(評価C)。
よって、実施例1~15で得られた発泡シートは、品質の悪化が見られないか、品質の悪化が見られても許容可能な範囲に抑えられており、実用上問題ないことが確認された。これに対して、比較例1~4で得られた発泡シートは、許容できない品質の悪化が生じており、求められる特性の全てを両立できず、実用上問題を有することが確認された。
したがって、本実施形態に係る発泡シートは、PVA樹脂及びPE系樹脂を含み、かつPLA樹脂の比率を所定の範囲内であれば、所定の緩衝係数及び突き刺し強度を有し、優れた緩衝性及びシート強度を有することができる。
なお、本発明の実施形態の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> ポリ乳酸樹脂とポリエチレン系樹脂とを含む発泡シートであって、
前記ポリ乳酸樹脂の比率が、15wt%以上97wt%未満であり、
JIS Z 0235で求められる圧縮応力0.1MPaの時の緩衝係数の最小値が15以下であり、
前記発泡シートの厚さを2mmとした時にJIS Z 1707で求められる突き刺し強度が、2N以上である発泡シート。
<2> 前記ポリ乳酸樹脂の比率が、20wt%~80wt%である<1>に記載の発泡シート。
<3> かさ密度が、0.025g/cm~0.250g/cmである<1>又は<2>に記載の発泡シート。
<4> 独立気泡率が、50%以上である<1>~<3>の何れか一つに記載の発泡シート。
<5> 平均発泡径が、500μm以下である<1>~<4>の何れか一つに記載の発泡シート。
<6> フィラーを含み、
前記フィラーが、シリカである<1>~<5>の何れか一つに記載の発泡シート。
<7> 前記シリカの平均粒子径が、7nm~100nmである<6>に記載の発泡シート。
<8> 前記シリカの添加量が、前記ポリ乳酸樹脂に対して、0.3wt%~5wt%である<6>又は<7>に記載の発泡シート。
<9> <1>~<8>の何れか一つに記載の発泡シートを含む製造物。
<10> 袋、包装容器、食器、カトラリー、文房具及び緩衝材から選択される少なくとも1種である<9>に記載の製造物。
<11> 圧縮性流体の存在下において、ポリ乳酸樹脂とポリエチレン系樹脂とフィラーとを、前記ポリ乳酸樹脂及び前記ポリエチレン系樹脂の融点より低い温度で混練してポリ乳酸系組成物を得る混練工程と、
前記ポリ乳酸系組成物から圧縮性流体を除去するときに前記ポリ乳酸系組成物を発泡させて発泡シートを得る発泡工程と、
を含み、
前記発泡シートが、<1>~<8>の何れか一つに記載の発泡シートである発泡シートの製造方法。
<12> 前記圧縮性流体が、二酸化炭素である<11>に記載の発泡シートの製造方法。
10 連続式混練装置
20 連続式発泡シート化装置
特開2005-289441号公報 特開2003-253107号公報

Claims (12)

  1. ポリ乳酸樹脂とポリエチレン系樹脂とを含む発泡シートであって、
    前記ポリ乳酸樹脂の比率が、15wt%以上97wt%未満であり、
    JIS Z 0235で求められる圧縮応力0.1MPaの時の緩衝係数の最小値が15以下であり、
    前記発泡シートの厚さを2mmとした時にJIS Z 1707で求められる突き刺し強度が、2N以上である発泡シート。
  2. 前記ポリ乳酸樹脂の比率が、20wt%~80wt%である請求項1に記載の発泡シート。
  3. かさ密度が、0.025g/cm~0.250g/cmである請求項1に記載の発泡シート。
  4. 独立気泡率が、50%以上である請求項1に記載の発泡シート。
  5. 平均発泡径が、500μm以下である請求項1に記載の発泡シート。
  6. フィラーを含み、
    前記フィラーが、シリカである請求項1に記載の発泡シート。
  7. 前記シリカの平均粒子径が、7nm~100nmである請求項6に記載の発泡シート。
  8. 前記シリカの含有量が、前記ポリ乳酸樹脂に対して、0.3wt%~5wt%である請求項6に記載の発泡シート。
  9. 請求項1に記載の発泡シートを含む製造物。
  10. 袋、包装容器、食器、カトラリー、文房具及び緩衝材から選択される少なくとも1種である請求項9に記載の製造物。
  11. 圧縮性流体の存在下において、ポリ乳酸樹脂とポリエチレン系樹脂とフィラーとを、前記ポリ乳酸樹脂及び前記ポリエチレン系樹脂の融点より低い温度で混練してポリ乳酸系組成物を得る混練工程と、
    前記ポリ乳酸系組成物から圧縮性流体を除去するときに前記ポリ乳酸系組成物を発泡させて発泡シートを得る発泡工程と、
    を含み、
    前記発泡シートが、請求項1に記載の発泡シートである発泡シートの製造方法。
  12. 前記圧縮性流体が、二酸化炭素である請求項11に記載の発泡シートの製造方法。
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