JP5986096B2 - ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
[1]密封容器内で水性媒体中に分散している樹脂粒子に物理発泡剤を含有させて発泡性粒子を得る工程と、軟化状態の該発泡粒子を水性媒体と共に密封容器内から該密封容器内よりも低い圧力下に放出して発泡させる工程からなる、結晶性ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法であって、
該樹脂粒子が、エポキシドにて改質され、かつ下記の条件(1)、(2)を満足する改質ポリ乳酸系樹脂からなることを特徴とするポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法:
20mN≦MT≦200mN・・・(1)
logMT≧0.93logη−1.90・・・(2)
但し、MTは温度190℃における前記改質ポリ乳酸系樹脂の溶融張力(mN)を表し、ηは温度190℃,せん断速度20秒−1における前記改質ポリ乳酸系樹脂の溶融粘度(Pa・s)を表す。
[2]前記エポキシドが、1.2〜2.4meq/gのエポキシ価と8.0×103〜1.5×104の重量平均分子量を有する、エポキシ基含有アクリル系重合体であることを特徴とする前記1に記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
[3] 軟化状態の該発泡性粒子を水性媒体と共に密封容器内から該密封容器内よりも低 い圧力下に放出する温度が、改質ポリ乳酸系樹脂の(融点−30℃)〜(融点−10℃) の範囲であることを特徴とする前記1又は2に記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法 。
[4] 軟化状態の該発泡性粒子を水性媒体と共に密封容器内から該密封容器内よりも低 い圧力下に放出する温度が、改質ポリ乳酸系樹脂の(融点−25℃)〜(融点−15℃) の範囲であることを特徴とする前記1又は2に記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法 。
[5] 該樹脂粒子が、下記の条件(3)を満足する改質ポリ乳酸系樹脂からなることを 特徴とする前記1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
logMT≧0.93logη−1.85・・・(3)
[6] 該樹脂粒子が、下記の条件(4)を満足する改質ポリ乳酸系樹脂からなることを 特徴とする前記1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
logMT≧0.93logη−1.80・・・(4)
本発明は、密封容器内で分散媒中に分散している樹脂粒子に物理発泡剤を含有させて発泡性粒子を得る工程と、軟化状態の該発泡性粒子を分散媒と共に密封容器内から該密封容器内よりも低い圧力下に放出して発泡させる工程からなる、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法に関する。本発明は、上記樹脂粒子が、後述する特定の改質ポリ乳酸系樹脂からなることを特徴とする。以下、「ポリ乳酸系樹脂発泡粒子」は単に「発泡粒子」ともいい、「ポリ乳酸系樹脂」は「PLA樹脂」ともいい、「改質ポリ乳酸系樹脂」は「改質PLA樹脂」ともいい、「改質ポリ乳酸系樹脂からなる樹脂粒子」は単に「樹脂粒子」ともいう。
本発明の製造方法の好ましい態様においては、樹脂粒子を密封容器内で、物理発泡剤の存在下又は非存在下で水性媒体中に分散させ、該容器内を加熱すると共に該容器内に物理発泡剤を圧入して、樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子とし、該発泡性粒子を高温、高圧条件下の密封容器内から水性媒体と共に、該密封容器内よりも低い圧力下に放出して、発泡粒子を製造する方法、所謂、分散媒放出発泡方法により発泡粒子が製造される。なお、上記分散媒放出発泡方法においては、物理発泡剤を密封容器内に圧入するタイミングは該容器内を加熱前に該容器内に物理発泡剤を圧入しても、加熱後に該容器内に物理発泡剤を圧入してもよい。また、該容器内に物理発泡剤を圧入する代わりに、物理発泡剤を予め含有させたポリ乳酸系樹脂粒子を密封容器内に入れる方法を採用することもできる。
該エポキシ基含有アクリル系重合体としては、重量平均分子量8.0×103〜1.5×104のものが好ましく用いられる。該アクリル系重合体は、エポキシ価が1.2meq/g以上のものが好ましく、特に1.2〜2.4meq/gのものが好ましい。
なお、本明細書において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸を意味する。
logMT≧0.93logη−1.90・・・(2)
(但し、MTは温度190℃における改質PLA樹脂の溶融張力(mN)、ηは温度190℃,せん断速度20秒−1における改質PLA樹脂の溶融粘度(Pa・s)を表す)
logMT≧0.93logη−1.85・・・(3)
logMT≧0.93logη−1.80・・・(4)
(但し、MT及びηは前記に定義した通りである)
また、上記の条件(1)、(2)を満足する改質PLA樹脂から構成される発泡粒子は、型内成形時の二次発泡性や融着性に優れるものとなる。
その理由は、条件(1)、(2)を満足するPLA樹脂は、発泡する際に、適度な粘弾性挙動を示し気泡膜が破れ難い状態にあり、独立気泡率が高い等良好な発泡粒子となる。そのため、該発泡粒子は、型内成形時の二次発泡性に優れることから、発泡粒子同士が互いに十分に圧着して融着性に優れた成形体を得ることが可能になると考えられる。
上記操作を異なる試料を使用し、計10回の測定を行い、10回で得られた極大値の最も大きな値から順に3つの値と、極大値の最も小さな値から順に3つの値を除き、残った中間の4つの極大値を相加平均して得られた値を本発明における溶融張力(mN)とする。
なお、改質PLA樹脂の溶融粘度、溶融張力の測定は、基本的には、分散媒放出発泡方法において耐圧容器内に入れる樹脂粒子について行うこととする。したがって、PLA樹脂のエポキシドによる改質を、耐圧容器内にPLA樹脂の粒子を投入後、該容器内にて行うような場合は、改質PLA樹脂の溶融粘度、溶融張力の測定は、改質後の樹脂を、発泡剤を含浸させる前に該容器から取り出して測定することとする。
これらの末端封鎖剤は単独で使用しても良く、あるいは2種以上を組み合わせて使用しても良い。末端封鎖剤の配合量は、改質PLA樹脂100重量部あたりに0.1〜5重量部が好ましく、0.5〜3重量部がより好ましい。
これらの添加剤をPLA樹脂に配合する場合には、添加剤をそのままPLA樹脂に練り込むこともできるが、通常は添加剤のPLA樹脂中での分散性等を考慮して添加剤のマスターバッチを作製し、それとPLA樹脂とを混練することが好ましい。
該添加剤の配合量は、添加剤の種類によっても異なるが、通常、PLA樹脂100重量部に対して0.001〜20重量部、更に0.01〜5重量部とすることが好ましい。
なお、具体的該発泡温度としては、改質PLA樹脂の融点を基準として、(融点−10℃)〜(融点−30℃)が好ましく、より好ましくは(融点−10℃)〜(融点−25℃)、更に好ましくは(融点−15℃)〜(融点−25℃)である。発泡温度が低すぎる場合は、見かけ密度の低い発泡粒子が得られ難く、発泡温度が高すぎる場合は、発泡粒子の収縮が発生し易くなり、該発泡粒子の型内成形にて得られる成形体の機械的物性が低下する虞がある。
発泡粒子を急冷させる方法としては、例えば、発泡後の雰囲気下に冷却媒体として空気を送風する方法、発泡後の雰囲気下に冷却媒体として水を導入する方法、水槽内に発泡する方法等が挙げられる。
このような発泡粒子の1回目のDSC曲線(I)に高温ピークが現れる現象は、樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得る際の熱履歴により形成される二次結晶に起因するものである。
該分散剤としては、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、カオリン、マイカ、及びクレー等の無機物質や、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロースなどの水溶性高分子保護コロイド剤が挙げられる。また、分散助剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤などを分散媒に添加することもできる。
これら分散剤は、樹脂粒子100重量部あたり0.05〜3重量部使用することができ、これら分散助剤は、樹脂粒子100重量部あたり0.001〜0.3重量部使用することができる。
なお、無機系物理発泡剤を主成分とするとは、全物理発泡剤100モル%中の無機系物理発泡剤が50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含まれることを意味する。
エポキシドによるPLA樹脂の改質は、PLA樹脂の粒子製造工程において行なうことが好ましい。
この場合の粒子製造工程においては、押出機にPLA樹脂とエポキシド、さらに必要に応じて添加剤を供給して溶融混練してPLA樹脂を改質し、溶融混練物を押出機先端のダイ出口に付設された口金の細孔からストランド状押出物を押出し、該ストランド状押出物を水没させることにより冷却した後、樹脂粒子の重量が所定重量になるようにペレタイザーで切断して樹脂粒子が製造される(ストランドカット法)。なお、樹脂粒子の製造方法としては、該口金の細孔から押出される押出物を、樹脂粒子の重量が所定重量になるように切断後又は切断と同時に、冷却すること(アンダーウォーターカット法)によってもよい。
該平均重量が軽すぎる場合には、樹脂粒子の製造が特殊なものになる。一方、該平均重量が重すぎる場合には、得られる発泡粒子の密度分布が大きくなったり、型内成形時の充填性が悪くなったりする虞がある。
該樹脂粒子の形状は、円柱状、球状、角柱状、楕円球状、円筒状等を採用することができる。なお、樹脂粒子を発泡して得られる発泡粒子は、発泡前の樹脂粒子形状に略対応した相似形状となる。
なお、外層を構成するPLA樹脂の軟化点は、多層発泡粒子の取り扱い性および得られる成形体の高温時の機械的強度の観点から、芯層を構成するPLA樹脂の軟化点との関係が上記範囲であると共に、50℃以上、更に55℃以上、特に65℃以上であることが好ましい。
多層発泡粒子における芯層を形成している樹脂と外層を形成している樹脂の重量比の調整は、多層樹脂粒子の芯層を形成している樹脂と外層を形成している樹脂の重量比を調整することにより行なわれる。
多層発泡粒子を略二等分し、その拡大断面の写真から、該断面の上下左右の4箇所の外層の厚みを求め、その平均を一つの多層発泡粒子の外層の厚さとする。この作業を無作為に選んだ10個の多層発泡粒子について行い、各多層発泡粒子の外層の厚さを相加平均した値を多層発泡粒子における外層の平均厚みとする。多層樹脂粒子の外層の平均厚みにおいても、同様の方法で測定する。なお、多層発泡粒子、或いは樹脂粒子の外層が芯層の周囲に部分的に形成されている場合には、前記4箇所の外層の厚みをどうしても測定できない場合があるが、その場合は測定できる任意の4箇所の外層厚みを求め、その平均を一つの多層発泡粒子、或いは樹脂粒子の外層の厚さとする。また、多層発泡粒子の外層部分が判別し難いときには、予め外層を構成する樹脂に着色剤を添加して多層樹脂粒子を製造することができる。
(Rr:endo)>25J/g ・・・(5)
(5)式において、(Rr:endo)が25J/g超であることは、(5)式を満足する樹脂粒子から得られる発泡粒子において、該発泡粒子を構成しているポリ乳酸の結晶化が充分に進む条件にて熱処理した場合、該ポリ乳酸による発泡粒子の結晶成分の量が多い状態になることを意味している。すなわち、充分な熱処理を行って該樹脂粒子から得られる発泡粒子を構成しているポリ乳酸の結晶化度を高めることにより、結晶化度の高められた成形体を得ることができることを意味する。したがって、最終的に得られる成形体の機械的強度、高温時の圧縮強さ等の耐熱性が高められることが期待できる。このような観点から、(Rr:endo)は、30J/g以上、更に35J/g以上が好ましい。また、(Rr:endo)の上限は、概ね70J/g、好ましくは60J/gである。
(Rc:endo)>(Rs:endo)≧0 ・・・(6)
また、(Rc:endo)と(Rs:endo)とは、10J/g以上の熱量差、更に25J/g以上の熱量差を有することが好ましい。なお、前記(6)式を満足する範囲において、多層樹脂粒子外層を構成しているポリ乳酸は、非晶性ポリ乳酸でも非晶性ポリ乳酸と結晶性ポリ乳酸との混合樹脂であってもよい。
[測定試料の調整]
樹脂粒子全体の吸熱量測定試料は樹脂粒子を基本的には切断することなく測定試料とする。また、多層樹脂粒子外層の吸熱量測定試料は、該樹脂粒子外層を構成する樹脂原料を測定試料とし、多層樹脂粒子芯層の吸熱量測定試料は、該樹脂粒子芯層を構成する樹脂原料を測定試料とする。
それぞれの吸熱量、(Rr:endo)、(Rs:endo)、または(Rc:endo)の測定値は、各々上記測定試料1〜4mgをJIS K7122(1987)に記載されている熱流束示差走査熱量測定法に準拠して、融解ピーク終了温度より30℃高い温度まで加熱溶融させ、その温度に10分間保った後、冷却速度10℃/minにて110℃まで冷却し、その温度に120分間保った後、冷却速度10℃/minにて30℃まで冷却する熱処理後、再度、加熱速度5℃/minにて融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に得られるDSC曲線(以下、「2回目のDSC曲線(II)」ともいう。)に基づいて求められる値とする。なお、(Rr:endo)の測定試料採取にあたり、1粒の樹脂粒子の重量が4mgを超える場合には樹脂粒子を2等分するなど同形状に等分して1〜4mgの範囲内で測定試料を調整する必要がある。
40>[(Bfc:endo)−(Bfc:exo)]>10 ・・・(7)
[測定試料の調整]
(発泡粒子中心部の吸熱量および発熱量測定試料)
発泡粒子の表面全面を切削除去し、切削処理前の発泡粒子の粒子重量の1/5〜1/3の重量となる発泡粒子残部を測定試料として採取することとする。具体的には、発泡粒子の表面を含まない内部の発泡層を切り出すことを目的にカッターナイフ等で切削処理を行い、該発泡粒子中心部を測定に供すればよい。但し、この際の留意点としては、1個の発泡粒子の表面全面を必ず切除し、且つ発泡粒子の中心とできる限り同じ中心をもつように切削処理前の発泡粒子の粒子重量の5分の1〜3分の1の範囲内で発泡粒子中心部を切り出す。この際、切り出された測定試料は、切削処理前の発泡粒子の形状とできる限り相似の関係にあるようにする。
[吸熱量および発熱量の測定]
吸熱量(Bfc:endo)および発熱量(Bfc:exo)の測定値は、発泡粒子の中心部から採取された測定試料1〜4mgをJIS K7122(1987)に記載されている熱流束示差走査熱量測定法に基づいて、加熱速度10℃/minにて23℃から融解ピーク終了時よりも30℃高い温度まで加熱溶融させる際に得られる1回目のDSC曲線(I)に基づいて求められる値とする。なお、1個の発泡粒子から得られる測定試料が1〜4mgに満たない場合は前記測定試料採取操作を複数個の発泡粒子に対して行い1〜4mgの範囲内で測定試料を調整する必要がある。
発泡粒子の発熱量(Bfc:exo)は1回目のDSC曲線(I)の発熱ピークの低温側のベースラインから発熱ピークが離れる点を点cとし、発熱ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点dとして、点cと点dとを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる発熱量を示す部分の面積から求められる値とする。また、発泡粒子の吸熱量(Bfc:endo)は、1回目のDSC曲線(I)の吸熱ピークの低温側のベースラインから吸熱ピークが離れる点を点eとし、吸熱ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点fとして、点eと点fとを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる吸熱量を示す部分の面積から求められる値とする。但し、1回目のDSC曲線(I)におけるベースラインはできるだけ直線になるように装置を調節することとする。また、どうしてもベースラインが湾曲してしまう場合には、発熱ピークの低温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して高温側へ延長する作図を行い、該湾曲した低温側のベースラインから発熱ピークが離れる点を点c、発熱ピークの高温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して低温側へ延長する作図を行い、該湾曲した高温側ベースラインへ発熱ピークが戻る点を点dとする。更に、吸熱ピークの低温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して高温側へ延長する作図を行い、該湾曲した低温側のベースラインから吸熱ピークが離れる点を点e、吸熱ピークの高温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して低温側へ延長する作図を行い、該湾曲した高温側ベースラインへ吸熱ピークが戻る点を点fとする。
発泡粒子を大気圧下、相対湿度50%、23℃の条件の恒温室内にて10日間放置して養生する。次に、同恒温室内にて、約500mlの養生後の発泡粒子群の重量W1(g)を測定し、重量を測定した発泡粒子群を金網などの道具を使用して温度23℃の水の入ったメスシリンダー中に沈める。次に、金網等の道具の水面下の体積を差し引いた、水位上昇分より読みとられる発泡粒子群の体積V1(L)を測定し、メスシリンダーに入れた発泡粒子群の重量W1を体積V1で割り算(W1/V1)することにより見かけ密度(g/L)を求める。
発泡粒子を略二等分した切断面を顕微鏡で撮影した拡大写真に基づき、以下のとおり求めることができる。発泡粒子の切断面拡大写真において発泡粒子の一方の表面から他方の表面に亘って、気泡切断面の略中心を通る4本の線分を引く。ただし、該線分は、気泡切断面の略中心から切断粒子表面へ等間隔の8方向に伸びる放射状の直線を形成するように引くこととする。次いで前記4本の各線分と交わる気泡の数(n1〜n4)をカウントし、各線分と交わる気泡の数の総和N=n1+n2+n3+n4(個)を求める。次いで4本の各線分の長さの総和L(μm)を求め、総和Lを総和Nで除した値(L/N)を発泡粒子1個の平均気泡径とする。この作業を無作為に選んだ10個の発泡粒子について行い、各発泡粒子の平均気泡径を相加平均した値を発泡粒子の平均気泡径とする。
発泡粒子を大気圧下、相対湿度50%、23℃の条件の恒温室内にて10日間放置し養生する。次に同恒温室内にて、養生後の嵩体積約20cm3の発泡粒子を測定用サンプルとし水没法により正確に見かけの体積Vaを測定する。見かけの体積Vaを測定した測定用サンプルを十分に乾燥させた後、ASTM−D2856−70に記載されている手順Cに準じ、東芝・ベックマン株式会社製空気比較式比重計930により測定される測定用サンプルの真の体積Vxを測定する。そして、これらの体積Va及びVxを基に、下記の(8)式により独立気泡率を計算し、N=5の平均値を発泡粒子の独立気泡率とする。
ただし、
Vx:上記方法で測定される発泡粒子の真の体積、即ち、発泡粒子を構成する樹脂の体積と発泡粒子内の独立気泡部分の気泡全容積との和(cm3)
Va:発泡粒子を、水の入ったメスシリンダーに沈めて、水位上昇分から測定される発泡粒子の見かけの体積(cm3)
W:発泡粒子測定用サンプルの重量(g)
ρ:発泡粒子を構成する樹脂の密度(g/cm3)
なお、該融着率は、成形体を破断した際の破断面に存在する全ての発泡粒子の個数に対する該破断面に存在する材料破壊した発泡粒子の個数の百分率を意味し、破断面において全ての発泡粒子が材料破壊した場合が融着率100%である。なお、該破断面において融着していない発泡粒子は材料破壊せず、発泡粒子の界面で剥離する。
例えば、従来公知の発泡粒子成形金型を用いる、圧縮成形法、クラッキング成形法、加圧成形法、圧縮充填成形法、常圧充填成形法(例えば、特公昭46−38359号公報、特公昭51−22951号公報、特公平4−46217号公報、特公平6−22919号公報、特公平6−49795号公報等参照)などが挙げられる。
実施例1〜8、10、11においては、表1に示す芯層形成用の原料PLA樹脂とエポキシドを内径30mmの二軸押出機に供給し温度条件200〜220℃にて溶融混練した後、押出されたストランドを水冷し、ペレタイザーで切断することによりエポキシドで改質された改質PLA樹脂からなるペレットを作製した。なお、エポキシドとして使用した商品名:ARUFON UG−4035(東亜合成(株)製、アクリル系重合体、重量平均分子量:11000、エポキシ価:1.8meq/g)および商品名:VYLON RF−100−C01(東洋紡績(株)製、ポリエステル系重合体、重量平均分子量:20000〜30000)は、表1、2に示す配合量となるように供給した。ARUFON UG−4035については、マスターバッチで供給した。
得られたエポキシド改質PLA樹脂ペレットは、80℃で十分に乾燥させた。
また、外層のPLA樹脂には、カルボジイミド化合物(商品名:スタバクゾール1−LF、ラインケミー社製、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド)を配合量1.5重量%となるようにマスターバッチで供給した。
まず、前記のようにして得られた樹脂粒子50kgを分散媒としての水270Lと共に撹拌機を備えた内容量400Lの密封容器内に仕込み、更に分散媒中に、分散剤として酸化アルミニウム300g、界面活性剤(商品名:ネオゲンS−20F、第一工業製薬(株)製、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を有効成分量として4g添加した。次いで、撹拌下で表1、表2に示す発泡温度まで昇温し、密封容器内に発泡剤としての二酸化炭素を表1、表2に示す密封容器内圧力になるまで圧入しその温度で15分間保持した。その後、二酸化炭素にて背圧を加えて容器内の圧力が一定になるようにして内容物を表1、表2に示す発泡温度、容器内圧力の条件下の密封容器内から常温、常圧の大気圧雰囲気下に放出して表1、表2に示す見かけ密度の発泡粒子を得た。
実施例3で用いた多層樹脂粒子を用い、次のようにして発泡粒子を作製した。
多層樹脂粒子1kgを分散媒としての水3Lと共に撹拌機を備えた内容量5Lの密封容器内に仕込み、更に分散媒中に、分散剤として酸化アルミニウム3g、界面活性剤(商品名:ネオゲンS−20F、第一工業製薬(株)製、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を有効成分量として0.1g添加した。次いで、撹拌下で密封容器内に発泡剤としてのイソブタンを75g添加し、次いで表1に示す発泡温度まで昇温し、その温度で15分間保持した。その後、窒素にて背圧を加えて容器内の圧力が一定になるようにして内容物を表1に示す発泡温度、容器内圧力の条件下の密封容器内から常温、常圧の大気圧雰囲気下に放出して表1に示す見かけ密度の発泡粒子を得た。
縦200mm、横250mm、厚さ50mmの平板成形型を取り付けた汎用の発泡粒子成形機を使用し、実施例、比較例で得られた発泡粒子に表3、4に示す内圧を付与し、内圧を高めた発泡粒子を平板成形型のキャビティー内に充填し、スチーム加熱による型内成形を行なって板状の成形体を得た。前記スチーム加熱手順は、固定側と移動側の型のドレン弁を開放した状態でスチームを5秒間供給して予備加熱を行ったのち、固定側の型のドレン弁を開放した状態で移動側の型から成形型のキャビティー内にスチームを3秒間供給し、次いで移動側のドレン弁を開放した状態で固定側の型から成形型のキャビティー内にスチームを3秒間供給した後、固定側と移動側の型のドレン弁を閉じた状態で、両方の型から成形型のキャビティー内の圧力が表3、4に示す成形蒸気圧になるまでスチームを供給して加熱を行なった。
このようにして得られた成形体について、外観、曲げ弾性率、50%圧縮応力、独立気泡率、融着率、収縮率などの各種物性を評価した。その結果を表3および表4に示す。
「発泡粒子内圧」
成形体を作製する際の発泡粒子の内圧は、型内成形機充填直前の発泡粒子の一部(以下、発泡粒子群という)を使用して次のように測定した。
加圧タンク内にて内圧が高められた型内成形機充填直前の発泡粒子群を加圧タンクから取り出してから60秒以内に、発泡粒子は通過させないが空気は自由に通過できるサイズの針穴を多数穿設した袋の中に収容して気温23℃、相対湿度50%の大気圧下の恒温恒湿室に移動した。続いてその恒温恒湿室内の秤に発泡粒子群の入った袋を乗せて重量をよみとった。この重量の測定は、前記した発泡粒子群を加圧タンクから取り出してから120秒後におこなった。この時の重量をQ(g)とした。続いてその発泡粒子群の入った袋を同恒温恒湿室に10日間放置した。発泡粒子内の加圧空気は時間の経過とともに気泡膜を透過して外部に抜け出すため発泡粒子群の重量はそれに伴って減少し、10日間後では平衡に達しているのでその重量は安定していた。よって、この10日間後の発泡粒子群の入った袋の重量を同恒温恒湿室内にて再度測定し、この重量をU(g)とした。Q(g)とU(g)の差を増加空気量W(g)とし、下記の(5)式により発泡粒子の内圧P(MPa)を計算した。なお、この内圧Pはゲージ圧に相当する。
但し、上式中、Mは空気の分子量であり、ここでは28.8(g/モル)の定数を採用する。Rは気体定数であり、ここでは0.0083(MPa・L/(K・mol))の定数を採用する。Tは絶対温度を意味し、23℃の雰囲気を採用されているので、ここでは296(K)の定数である。V(L)は発泡粒子群の見かけ体積から発泡粒子群中に占めるPLA樹脂の体積を差し引いた体積を意味する。
なお、以上の測定においては、前記発泡粒子群重量(U(g)とZ(g)との差)が0.5000〜10.0000gで、かつ体積Yが50〜90cm3となる量の複数個の発泡粒子群が使用される。
なお、本明細書において二段発泡する際の発泡粒子の内圧も前記の方法と同様の方法にて測定することができる。
成形体の密度は、次のように測定した。
温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間以上放置した成形体の外形寸法から嵩体積を求めた。次いで該成形体の重量(g)を精秤した。成形体の重量を嵩体積にて除し、単位換算することにより成形体の密度(g/L)求めた。
「外観」
成形体の表面を肉眼で観察し以下の基準にて評価した。
◎:成形体の表面に粒子間隙が殆ど認められず、良好な表面状態を示す。
○:成形体の表面に粒子間隙が著しくはないが認められる。
×:成形体の表面に粒子間隙が著しい。
融着率の測定は、成形体を破断した際の破断面に露出した発泡粒子のうち、材料破壊した発泡粒子の数の割合(百分率)を融着率とした。具体的には、成形体から縦50mm、横50mm、厚み50mmの試験片を切り出し、カッターナイフで各試験片に約5mmの切り込みを入れた後、切り込み部から成形体を破断させた。次に、成形体の破断面に存在する発泡粒子の個数(n)と、材料破壊した発泡粒子の個数(b)を測定し、(b)と(n)の比(b/n)を百分率で表して融着率(%)とした。
平板成形型の横寸法に対する養生後の成形体の横方向の寸法変化を、下式にて求めた。
収縮率(%)=(1−(養生後の成形体の横方向の最小寸法(mm)/250mm))×100
成形体から縦50mm、横50mm、厚み25mmの試験片(表皮なし)を切り出し、JIS K6767(1999)に基づき、圧縮速度10mm/分にて試験片を厚み方向に圧縮する圧縮試験を行い成形体の50%圧縮応力を求めた。
成形体から長さ120mm、幅25mm、厚さ20mmの試験片(表皮なし)を切り出し、JIS K7221−1(1999)に基づき、速度10mm/分にて圧縮試験を行い成形体の曲げ弾性率を求めた。
成形体の耐熱性を加熱寸法変化率にて評価した。JIS K6767(1999)に記載されている熱的安定性(高温時の寸法安定性・B法)に準拠して、120℃に保ったギアオーブン内に試験片を入れ22時間加熱を行った後取り出し、23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室に1時間放置し、加熱前後の寸法より下式を用いて面方向の加熱寸法変化率を求めた。
加熱寸法変化率(%)=(加熱後の寸法−加熱前の寸法)/加熱前の寸法 ×100
Claims (6)
- 密封容器内で水性媒体中に分散している樹脂粒子に物理発泡剤を含有させて、発泡性粒子を得る工程と、軟化状態の該発泡性粒子を水性媒体と共に密封容器内から該密封容器内よりも低い圧力下に放出して発泡させる工程からなる、結晶性ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法であって、
該樹脂粒子が、エポキシドにて改質され、かつ下記の条件(1)、(2)を満足する改質ポリ乳酸系樹脂からなることを特徴とするポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法:
20mN≦MT≦200mN・・・(1)
logMT≧0.93logη−1.90・・・(2)
但し、MTは温度190℃における前記改質ポリ乳酸系樹脂の溶融張力(mN)を表し、ηは温度190℃,せん断速度20秒−1における前記改質ポリ乳酸系樹脂の溶融粘度(Pa・s)を表す。
- 前記エポキシドが、1.2〜2.4meq/gのエポキシ価と8.0×103〜1.5×104の重量平均分子量を有する、エポキシ基含有アクリル系重合体であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
- 軟化状態の該発泡性粒子を水性媒体と共に密封容器内から該密封容器内よりも低い圧力 下に放出する温度が、改質ポリ乳酸系樹脂の(融点−30℃)〜(融点−10℃)の範囲 であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
- 軟化状態の該発泡性粒子を水性媒体と共に密封容器内から該密封容器内よりも低い圧力 下に放出する温度が、改質ポリ乳酸系樹脂の(融点−25℃)〜(融点−15℃)の範囲 であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
- 該樹脂粒子が、下記の条件(3)を満足する改質ポリ乳酸系樹脂からなることを特徴と する請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
logMT≧0.93logη−1.85・・・(3)
- 該樹脂粒子が、下記の条件(4)を満足する改質ポリ乳酸系樹脂からなることを特徴と する請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
logMT≧0.93logη−1.80・・・(4)
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