JP5339857B2 - 生分解性難燃ポリエステル発泡用樹脂組成物、及びそれより得られる発泡体、その成形体 - Google Patents
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すなわち本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部と、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)0.01〜10質量部と、有機過酸化物(C)0.01〜10質量部と、エポキシ基含有鎖延長剤(D)0.1〜1.4質量部と、難燃剤(E)8.1〜21質量部とを溶融混練してなる樹脂組成物であって、生分解性ポリエステル樹脂(A)が、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を70モル%以上含有する樹脂であり、難燃剤(E)が、臭素系難燃剤(E1)と、リン系難燃剤(E2)および/またはカンファースルホン酸(E3)とであり、生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、臭素系難燃剤(E1)の配合量が8〜20質量部であり、リン系難燃剤(E2)を使用する場合はその配合量が3〜13質量部であり、カンファースルホン酸(E3)を使用する場合はその配合量が0.1〜1.0質量部であり、臭素系難燃剤(E1)が、(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートであることを特徴とする生分解性難燃ポリエステル発泡用樹脂組成物。
(2)上記(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)が、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物であることを特徴とする(1)記載の樹脂組成物。
(3)α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位がD−乳酸、L−乳酸又はこれらの混合物であることを特徴とする(1)または(2)記載の樹脂組成物。
(4)樹脂組成物の結晶化速度指数が10(分)以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の樹脂組成物を発泡成形して得られる生分解性難燃ポリエステル樹脂発泡体。
(6)上記(5)記載の発泡体を成形して得られる生分解性難燃ポリエステル樹脂成形体。
本発明において、生分解性ポリエステル樹脂(A)は、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を70モル%以上含有する樹脂である。α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位の例としては、D−乳酸、L−乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられ、混合物であってもよい。
したがって本発明に用いる生分解性ポリエステル樹脂(A)としては、ポリ(D−)及び/又はL−乳酸、ポリ(グリコール酸)、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(3−ヒドロキシカプロン酸)、及び/又はこれらの共重合体、及び/又はこれらの混合物等が挙げられる。
成形体の耐熱性、機械的強度の関係から、上記生分解性ポリエステル樹脂(A)の融点は、120℃以上が好ましく、150℃以上がさらに好ましい。また同様の理由により、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位の含有量は70モル%以上であることが必要であり、好ましくは80モル%以上である。上記生分解性ポリエステル樹脂(A)のうち、工業的に大量生産が可能な点から、ポリ(D−及び/又はL−乳酸)が好ましく用いられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)の具体例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートまたこれらのアルキレングリコール部が様々な長さのアルキレンの共重合体でもよく、さらにブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられる。
本発明において、生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)0.01〜10質量部を配合して溶融混練することが必要であり、その配合量は0.02〜8質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)の配合量が0.01質量部未満では架橋度が不十分であり、10質量部を超える場合には架橋の度合いが強すぎて、操業性に支障が出るため好ましくない。
本発明において、生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、有機過酸化物(C)0.01〜10質量部を配合して溶融混練することが必要であり、その配合量は0.1〜5質量部であることが好ましく、0.15〜3質量部であることがさらに好ましい。有機過酸化物(C)の配合量が0.01質量部未満では架橋度が不十分であり、10質量部を超える場合には反応性が飽和するため、コスト面で好ましくない。なお、有機過酸化物(C)は、溶融混練後、樹脂組成物中に残らないことがある。
エポキシ系鎖延長剤(D)は、重量平均分子量が3000〜15000であり、エポキシ価が2〜5meq/gであることが好ましい。
本発明に適用できるエポキシ系鎖延長剤(D)の具体例としては、BASF製Joncryl ADR−4300、ADR−4368、ADR−4380、東亞合成製アルフォンUG−4040、UG−4068などが挙げられる。
臭素系難燃剤(E1)としては、(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートであることが必要であり、臭素含有率が40〜70重量%であり、5%重量減少温度が250〜300℃であるものを好ましく使用することができる。臭素含有率が40重量%未満では、難燃性の効果が低いため多量の難燃剤を添加する必要があり、それにより発泡成形が困難になる。また、5%重量減少温度が250℃未満では、加工時に難燃剤の分解が起きてしまい、難燃性の低下や樹脂の着色といった問題が発生する。逆に5%重量減少温度が300℃を超えると燃焼時に分解しにくくなり難燃性が低下する。なお、5%重量減少温度は、熱重量分析法(TGA)にて窒素雰囲気下、10℃/分昇温条件で測定したものである。
本発明に適用できる臭素系難燃剤(E1)の具体例としては、日本化成製TAIC−6Bなどを挙げることができる。
本発明に適用できるリン系難燃剤(E2)の具体例としては、ADEKA製FP−2100J、FP−2200、大八化学製PX−200、クラリアント製エクソリットOP−1312、OP−930などが挙げられる。
結晶核剤は、生分解性難燃ポリエステル発泡用樹脂の結晶化を促進させるものであり、耐熱性や寸法安定性を保有させるのに重要な要素である。結晶核剤には、無機フィラーや有機化合物の中で結晶化促進に効果のある化合物があり、いずれの核剤でもよく、併用してもよい。たとえば無機フィラーとしては層状ケイ酸塩、タルク、酸化チタン、酸化ケイ素焼成パーライト、カオリンゼオライト、ベントナイト、シリカ微粉末、ホウ砂、ホウ酸亜鉛、水酸化アルミニウム、ガラス、石灰石、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウムなど、有機化合物としてはエルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、クエン酸、エチレンビスオレイン酸アミド、スルホン酸塩、フタロシアニン系化合物、メラミン系化合物、ホスホン酸塩、ヒドラジド化合物、トリメシン酸カルボン酸エステル化合物などを挙げることが出来る。
発泡核剤は、発泡成形時に発泡核を形成し、その核から発泡を成長させるために有効であり、また発泡助剤は発泡を均一に分散するために有効である。
発泡核剤としては、無機系では、珪藻土、焼成パーライト、カオリンゼオライト、ベントナイト、クレイ、シリカ微粉末、ホウ砂、ホウ酸亜鉛、水酸化アルミニウム、タルク、ガラス、石灰石、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、炭酸第二鉄等が挙げられ、また有機系では、木炭、セルロース、でんぷん、クエン酸、セルロース誘導体等の有機系充填剤等が挙げられ、これらは併用しても差し支えない。これらの中でもタルクは、発泡核剤と結晶核剤の両効果を持ち、微粉形態のものであれば最も効果がある。発泡核剤の添加量は0.1〜5質量%が好ましい。0.1質量%未満では発泡核剤としての効果が認められなく、また5質量%を超えると破泡や発泡倍率の低下につながるため好ましくない。
また、発泡助剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸塩等が挙げられる。発泡助剤の添加量は0.01〜2質量%が好ましい。0.01質量%未満では、発泡助剤としての効果が認められず、2質量%を超えると発泡核及び発泡の成長を阻害することになり好ましくない。
生分解性難燃ポリエステル発泡用樹脂組成物は、生分解性ポリエステル樹脂(A)、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)、有機過酸化物(C)、エポキシ基含有鎖延長剤(D)、難燃剤(E)、さらに、必要に応じて発泡核剤や発泡助剤を混合し、溶融混練する従来公知の方法で製造することができる。混合方法や混合装置は、特に限定されないが、連続的に計量混合処理することが工業的にも品質的にも好ましい。例えば、生分解性ポリエステル樹脂(A)のチップに、計量した粉末状の有機過酸化物(C)、エポキシ基含有鎖延長剤(D)、難燃剤(E)等をドライブレンドして、1軸のスクリュー押出機や2軸の混練押出機等で溶融混練し、押出機の中途部より(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)を注入する。好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)と有機過酸化物(C)と混合溶液を押出機の中途部より注入する。溶融混練の際にはスクリュー混練だけでなく、その後に静止混合器及び/または動的混合機で混練してもよい。また、発泡体に機能を付与する目的で、例えば着色剤等の機能剤を添加する場合、予め機能剤を添加したマスターバッチを作製し、これをジェットカラー等による計量ミキシング装置を使用して他の原料と混合してから押出機に供給することもできる。
このようにして溶融混練された樹脂組成物をストランド状に押し出し、冷却後に適宜の長さに切断することで生分解性難燃ポリエステル発泡用樹脂組成物のペレットを製造することができる。
溶融押出発泡法では、まず、上記の方法で製造した樹脂組成物のペレットを乾燥し、溶融押出発泡装置に供給する。このときのシリンダ温度は、樹脂組成物の融点をTmとして、Tm+10℃〜50℃の範囲であることが好ましい。発泡装置出口付近は溶融粘度を上昇させるための冷却ゾーンであることから、Tm+10℃〜−20℃であることが好ましい。ペレットを供給する際に、滑剤、発泡剤、発泡核剤や他の機能材等をドライブレンドしてもよい。発泡剤が炭酸ガスや蒸発型発泡剤の場合には機台の中央より定量供給し、溶解、分散させた後、Tダイあるいはサークルダイ等を通して発泡吐出される。この吐出された発泡シート状物を均一冷却し、巻き取ることにより、本発明の生分解性難燃ポリエステル樹脂発泡体を製造することができる。
これらの熱処理温度がTg+20℃未満では、得られる成形体の結晶化度を十分に高めることができず、耐熱性が不十分となる。一方、Tm−20℃を超えると、偏肉が生じたり、配向がくずれたりして、強度、品位が低下する場合がある。また、粘度低下によりブローダウンしたりする等の問題も発生する。Tg+20℃〜Tm−20℃の温度で保持する時間は、使用する生分解性ポリエステル樹脂の結晶化速度指数に依存するため、一概に規定できないが、前述範囲内の温度に制御された金型内で、少なくとも3秒、好ましくは5秒、さらに好ましくは8秒以上にすることが好ましい。3秒よりも短い場合、結晶化度を十分に高めることができないため耐熱性が低下する。
発泡粒子は、樹脂組成物のペレットを乾燥し、耐圧密閉容器内に入れ、発泡剤を充填させ含浸させて含浸ペレットを得、次いでこれを発泡することで製造することができる。含浸温度は、Tm−20℃〜Tm+20℃であることが好ましく、Tm−10℃〜Tm+10℃であることがより好ましい。含浸時の発泡剤の圧力は、目的とする発泡体の発泡倍率、気泡の細かさによっても変わるが、0.5〜30MPa、好ましくは5〜20MPaの範囲となるように調整する。含浸時間は、通常1分〜24時間であることが好ましい。得られた含浸ペレットを熱処理することで、発泡粒子を製造することができる。熱処理の方法および装置は、公知のものが利用できる。例えば、熱風、蒸気、輻射熱等により含浸ペレットを加熱することで、発泡させることができる。熱処理温度は、Tm−60℃〜Tm+20℃であることが好ましい。この範囲以外の温度では、発泡が全く起こらなかったり、発泡倍率が低かったり、得られる発泡粒子および発泡成形体が溶融したりする問題がある。
また、発泡粒子は、樹脂組成物のペレットを乾燥し、押出機に供給するとともに、発泡剤を機台の中央より定量供給して、溶解、分散させた後、ストランド状に発泡吐出させ、次いでこのストランドを冷却し切断することでも製造することができる。シリンダ温度は、Tm+10℃〜50℃の範囲であることが好ましい。発泡装置出口付近は、溶融粘度を上昇させるための冷却ゾーンであることから、Tm+10℃〜−20℃であることが好ましい。
なお、前述の含浸ペレットを金型内に充填して加熱することで、発泡粒子を製造する工程を経ずに、含浸ペレットから1段階で発泡成形体を得ることも可能である。2段階の熱処理で発泡成形体を製造するときと比べ、1段階の方が、成形時の粒子どうしの接着性を確保できる点や、発泡粒子の輸送コストの点で好ましい。
また、発泡粒子に無機不活性ガスを充填させ、内圧付与発泡粒子を作製してから発泡成形してもよい。内圧付与発泡粒子は、発泡粒子を耐圧密閉容器内に入れ、無機不活性ガスを充填させ内圧を付与することで作製することができる。充填時の圧力は、0.1〜3MPaが好ましく、0.2〜1MPaがより好ましく、温度は樹脂組成物のガラス転移温度以下が好ましく、40℃以下がより好ましく、時間は30分以上が好ましい。
内圧付与発泡粒子を型内発泡成形機の金型内に充填し加熱することで発泡粒子を発泡させて粒子同士を融着させることができる。型内発泡成形時の加熱媒体としては、乾燥熱風や水蒸気や輻射熱が挙げられるが、熱量が大きく一気に加熱でき、結晶化を促進できる水蒸気を使用することが好ましい。型内発泡成形に用いる装置は公知のものが利用でき、例えば発泡ポリスチレン用または発泡ポリオレフィン用の成形機が利用できる。型内発泡成形時の加熱媒体の温度としては、加熱媒体の種類や金型の大きさにもよるが、Tm−60℃〜Tm+20℃の範囲であることが好ましい。この範囲以外の温度では、発泡が全く起こらなかったり、発泡倍率が低かったり、得られる発泡粒子および発泡成形体が溶融したりする問題がある。また、内圧付与発泡粒子を50〜90℃で加熱して金型に充填せずに2次発泡させてから、再び内圧付与させたあと、金型に充填して加熱することで型内発泡成形してもよい。
示差屈折率検知器を備えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(島津製作所製)を用い、テトラヒドロフラン(THF)を溶出液として40℃で分析を行い、標準ポリスチレン換算で分子量を求めた。なおTHFに溶けにくいサンプルは、少量のクロロホルムに溶解後、THFで希釈しサンプルとした。
パ−キンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、昇温速度20℃/分で、JISK7123に従って測定した。
JIS K7210で、融点が180℃以下の場合には、D条件に記載の方法に準じて温度190℃、荷重2.16Kgfにて測定し、融点が180℃を超える場合には、M条件に記載の方法に準じて温度230℃、荷重2.16Kgfにて測定した。
DSC装置(パーキンエルマー社製Pyrisl DSC)を用い、20℃→200℃(+500℃/分)で昇温後、200℃で5分間保持し、200℃→0℃(−500℃/分)で降温後、0℃で5分間保持し、0℃→90℃(+500℃/分)で昇温後、90℃で保持し結晶化させた。最終的に到達する結晶化度を1としたとき、結晶化度が0.5に達した時間を結晶化速度指数(分)として求めた。
射出成形時の不具合であるひけによる厚みムラを測定し下記のランクに評価した。
◎:厚みムラ0.01mm未満
○:厚みムラ0.01〜0.1mm
×:厚みムラ0.1mm以上、又は成形片取り出し時に変形
(1)試験片作製法
・射出成形体:射出成形法にて作製した長さ127mm×幅12.7mm×厚み0.8mmの成形品を用いた。
・発泡体シート:溶融押出発泡法にて作製した発泡体シートを長さ127mm×幅12.7mm×厚み0.5〜2.5mm、重量1.8〜2.1gに切削して作製した。
(2)評価方法
上記方法により作製した試験片を、アンダーライターズラボラトリー社UL規格94の垂直燃焼試験法に準拠して燃焼性を評価した。すなわち、試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後で炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間開始し、1回目と同様にして着火した火が消える時間を測定した。また、落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。
1回目と2回目の燃焼時間、綿の着火の有無などから、上述のUL−94規格にしたがって燃焼ランクをつけた。難燃性のランクは、UL−94規格の垂直燃焼試験法に準じた。すなわち、V−0が最高のものであり、以下V−1、V−2となるにつれて難燃性は低下する。燃焼が試験片のクランプ部まで進んだものについては、燃焼時間に応じてA〜Cのランクを付け、Aランクについてのみ難燃性有りと評価とした。
A:燃焼時間25秒以下
B:燃焼時間26〜60秒
C:燃焼時間61秒以上
得られた発泡体を水中に浸漬した際に増加する体積で、発泡体の質量を割って見掛け密度(g/cm3)を算出した。次いで、発泡体を構成する樹脂の真密度を前記発泡体の見掛け密度で割って発泡倍率を算出した。
上記発泡倍率を元に、発泡状態を評価した。
◎:発泡倍率5.0倍以上
○:発泡倍率4.0〜4.9倍
△:発泡倍率3.0〜3.9倍
×:発泡倍率2.9倍以下
また、発泡粒子については下記基準にて評価した。
◎:発泡倍率10.0倍以上
○:発泡倍率9.9〜6.0倍
△:発泡倍率5.9〜3.0倍
×:発泡倍率2.9倍以下
発泡体シートから縦20cm×横20cmの試料片を作製し、熱風型乾燥機を用い、温度100℃、処理時間30分で処理し、試料片の収縮率測定とその状態を観察し、下記の評価を行った。
◎:収縮、表面状態とも全く変化なし。
○:収縮率が3%未満であり、表面状態に変化なし。
△:収縮率が3〜10%にあり、表面が肌荒れ、変形している。
×:収縮率が10%を超えており、表面の肌荒れと、形状に歪がある。
・生分解性ポリエステル樹脂(A)
(a):ポリ乳酸(ネイチャー・ワークス社製、重量平均分子量12.5万、MFR13g/10分、L体99%、D体1%、結晶化速度指数92)
(b):ポリ乳酸(ネイチャー・ワークス社製、重量平均分子量11.0万、MFR23g/10分、L体95%、D体5%、結晶化速度指数>100)
(c):ポリ乳酸(ネイチャー・ワークス社製、重量平均分子量18万、MFR3.5g/10分、L体90%、D体10%、結晶化速度指数>100)
(d):ポリ乳酸(ネイチャー・ワークス社製、重量平均分子量17万、MFR5.0g/10分、L体80%、D体20%、結晶化速度指数>100)
DEGDM:ジエチレングリコールジメタクリレート(日本油脂製、ブレンマーPDE50)
GM:グリシジルメタクリレート(日本油脂製、ブレンマーG)
(e):ジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂製パーブチルD)
(f):2.5−ジメチル−2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂製パーヘキサ25B−40。生分解性ポリエステル樹脂に予めドライブレンドして用いた。)
ADR−4368:3官能エポキシ鎖延長剤(BASF製、Joncryl ADR−4368、重量平均分子量6800、エポキシ価3.5meq/g)
SR−720:臭素化脂肪族芳香族化合物(第一工業製薬製、ピロガードSR−720、臭素含有率67%、5%重量減少温度270℃)
TAIC−6B:(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(日本化成製、TAIC−6B、臭素含有率66%、5%重量減少温度285℃)
・リン系難燃剤(E2)
OP−1312:有機リン酸化合物(クラリアント製、エクソリットOP−1312、リン含有率19%)
PX−200:芳香族縮合リン酸エステル(大八化学工業製、PX−200、リン含有率9%)
・カンファースルホン酸(E3)
カンファースルホン酸(CHINA CAMPHOR製、融点195℃、DL体)
二軸押出混練機(池貝製PCM−45、溶融温度−押出ヘッド温度:200℃、スクリュー回転150rpm、吐出量25kg/h)を用い、これに、生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部と、表1に示す種類と質量部の臭素系難燃剤(E1)、リン系難燃剤(E2)、カンファースルホン酸(E3)、エポキシ基含有鎖延長剤(D)とを供給した。また、発泡核剤としてタルク(林化成製、平均粒径2.5μm)を2質量部添加した。混練機途中から液体定量供給ポンプを用いて、表1に示す種類と質量部の(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)と有機過酸化物(C)とを可塑剤アセチルトリクエン酸7質量部に溶解した溶液を注入し、樹脂組成物を押出し、ペレット状に加工した。このペレットを乾燥した後、樹脂組成物としての物性を評価した。また、樹脂組成物のペレットを、射出成形機(東芝機械製、EC−100)に供給し、シリンダ温度210℃で溶融し、射出圧力50%、射出圧力60%、金型温度15℃、冷却時間15秒にて射出成形を行い、0.8mm曲げ試験片を作製し、成形性、難燃性を評価した。
次に、得られた樹脂組成物のペレットを、二軸混練押出発泡体製造装置(PCM−45押出発泡装置)に供給し、温度200℃で溶融し、冷却ゾーン165℃、スクリュー回転数75rpm、吐出量25kg/h下で炭酸ガス1.2質量%添加して、独立気泡からなる厚み1.0〜2.0mmの発泡体シートを作製した。その結果を表1に示した。
また、参考例2、6、10、13、15で得られた樹脂組成物を凍結粉砕し、平均粒径1mmの粒子を作製した。この粒子をいったん乾燥した後、発泡剤としてn−ブタン/iso−ブタン(20/80質量比)混合ガスを用い、バッチ発泡試験(耐圧容器を用い、150℃×10MPa×2hrでブタン混合ガスを含浸後120℃で発泡化(常圧へ戻す))を行った。得られた発泡粒子の発泡倍率を表2に示した。
参考例5〜8では、難燃剤(E)として、表1に示す種類と質量部のリン系難燃剤(E2)を添加した。結果は臭素系難燃剤(E1)と同様、添加量が8質量部では難燃性がAランクであり、良好な発泡体が得られ、添加量が20質量部では発泡性は低下するもののV−0、及びV−2の難燃性が得られた。
参考例9、10では、難燃剤(E)として、表1に示す質量部のカンファースルホン酸を添加した。添加量が0.5質量部ではV−2の難燃性であったが、1.0質量部にするとV−0の難燃性が得られた。添加量が1.0質量部では発泡性は僅かに低下した。
実施例1〜2、参考例11〜14では、難燃剤(E)として、表1に示す種類と質量部の2種類の難燃剤(E2)を添加した。難燃性はV−0及びV−2で発泡性も良好であった。
実施例6〜8では、難燃剤(E)として3種類の難燃剤を使用し、表1に示す種類と質量部の(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)と、有機過酸化物(C)を添加した。難燃性はいずれもV−0と良好で、発泡性もほとんど変わらなかった。
比較例2〜4は難燃剤(E)の配合量が多く、またエポキシ基含有鎖延長剤(D)が配合されていないためMFRが大きくなり、溶融粘度及び溶融張力が低下し、発泡性が大きく低下した。
比較例6、7は(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)が配合されていないか、または配合量が少ないため、溶融粘度は向上するが、発泡適性は向上しなかった。
比較例9、10は有機過酸化物(C)が配合されていないか、または配合量が少ないため、溶融粘度が低く、発泡適性が低いものであった。
比較例8、11は(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)、有機過酸化物(C)が多量に配合されたため溶融粘度が高く、発泡成形が不可能であった。
比較例12はエポキシ基含有鎖延長剤(D)が配合されていないため、溶融粘度が低く、発泡適性が低下した。
比較例13〜15はエポキシ基含有鎖延長剤(D)が多量に配合されているため、溶融粘度が高く、発泡成形が不可能であった。
Claims (6)
- 生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部と、(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)0.01〜10質量部と、有機過酸化物(C)0.01〜10質量部と、エポキシ基含有鎖延長剤(D)0.1〜1.4質量部と、難燃剤(E)8.1〜21質量部とを溶融混練してなる樹脂組成物であって、
生分解性ポリエステル樹脂(A)が、α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位を70モル%以上含有する樹脂であり、
難燃剤(E)が、臭素系難燃剤(E1)と、リン系難燃剤(E2)および/またはカンファースルホン酸(E3)とであり、
生分解性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して、臭素系難燃剤(E1)の配合量が8〜20質量部であり、リン系難燃剤(E2)を使用する場合はその配合量が3〜13質量部であり、カンファースルホン酸(E3)を使用する場合はその配合量が0.1〜1.0質量部であり、
臭素系難燃剤(E1)が、(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートである
ことを特徴とする生分解性難燃ポリエステル発泡用樹脂組成物。 - (メタ)アクリル酸エステル化合物(B)が、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
- α−及び/又はβ−ヒドロキシカルボン酸単位がD−乳酸、L−乳酸又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 樹脂組成物の結晶化速度指数が10(分)以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を発泡成形して得られる生分解性難燃ポリエステル樹脂発泡体。
- 請求項5記載の発泡体を成形して得られる生分解性難燃ポリエステル樹脂成形体。
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