JP2006273995A - ポリ乳酸架橋発泡体の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は真空成形、圧縮成形などの二次加工を行う上で重要な耐熱性、柔軟性を満たすポリ乳酸発泡体を提供する。
【解決手段】架橋指数が1.2以下であるポリ乳酸と、架橋指数が−0.2〜0.2であるポリ乳酸以外の生分解性ポリエステル樹脂とからなる樹脂100重量部に対して、多官能アリル系架橋助剤1〜7重量部を用いてなるポリ乳酸架橋発泡体であって、電離性放射線を1〜40kGyの範囲で照射することによって樹脂を架橋させたゲル分率が10%以上であることを特徴とするポリ乳酸架橋発泡体の製造法。
【選択図】なし
【解決手段】架橋指数が1.2以下であるポリ乳酸と、架橋指数が−0.2〜0.2であるポリ乳酸以外の生分解性ポリエステル樹脂とからなる樹脂100重量部に対して、多官能アリル系架橋助剤1〜7重量部を用いてなるポリ乳酸架橋発泡体であって、電離性放射線を1〜40kGyの範囲で照射することによって樹脂を架橋させたゲル分率が10%以上であることを特徴とするポリ乳酸架橋発泡体の製造法。
【選択図】なし
Description
本発明は真空成形、圧縮成形などの二次加工を行う上で重要な耐熱性、柔軟性を満たすポリ乳酸発泡体の製造方法に関するものである。
従来、軽量、緩衝性、断熱性、成形性等に特徴を持つプラスチック発泡体が、主に包装容器や緩衝材として用いられている。これらはほとんどが生分解性を持たず、しかも多量に使用されているため、廃棄物処理の問題を起こしたり、自然環境を汚染する可能性があり、社会問題となっている。
一方、近年、生分解性プラスチックが研究され、その中でも生分解性を有する熱可塑性樹脂は、実用化段階まで進捗してきている。しかし、生分解性を有する熱可塑性樹脂は、一般的に融点が低く、耐熱性や発泡適性が乏しいものであった。そこで、発泡適性を向上させるために、ポリマーの重合度を上げたり、長鎖分岐させるなどのポリマー改質が検討されている。しかし、高重合度ポリマーを製造する場合には重合に長時間を要し、生産性効率が悪くなるばかりか、長時間の熱履歴によりポリマーに着色や分解等が見られる。また、分岐ポリ乳酸を製造する方法としては、重合時に多官能性開始剤を添加する方法(特許文献1、2参照)が知られているが、重合時に分岐鎖を導入してしまうと、ポリマーの払出しなどに支障が出たり、分岐の度合いを自由に変更できないなどの点で問題があった。一方、一般的な生分解性樹脂を用い、過酸化物や反応性化合物等との溶融混練により架橋を生じさせる方法は、簡便で、分岐度合いを自由に変更できる点から、多くの研究が行われている。しかしながら、酸無水物や多価カルボン酸を用いる方法(特許文献3参照)は、反応性にムラが生じやく、減圧にする必要があるなど実用的でない。多価イソシアネートを使用する方法(特許文献4参照)は、再溶融時に分子量が低下しやすく、操業時の安全性に問題があるなど、実用化レベルに達した技術として確立されていない。また、有機過酸化物又は有機過酸化物と不飽和結合を2個以上有する化合物を用いてゲル化させる方法(特許文献5参照)は、重合斑が生じやすく、高粘度であるためポリマーの払い出しに難がある。また生産効率が良くなく着色や分解も生じやすいという問題がある。
一方、近年、生分解性プラスチックが研究され、その中でも生分解性を有する熱可塑性樹脂は、実用化段階まで進捗してきている。しかし、生分解性を有する熱可塑性樹脂は、一般的に融点が低く、耐熱性や発泡適性が乏しいものであった。そこで、発泡適性を向上させるために、ポリマーの重合度を上げたり、長鎖分岐させるなどのポリマー改質が検討されている。しかし、高重合度ポリマーを製造する場合には重合に長時間を要し、生産性効率が悪くなるばかりか、長時間の熱履歴によりポリマーに着色や分解等が見られる。また、分岐ポリ乳酸を製造する方法としては、重合時に多官能性開始剤を添加する方法(特許文献1、2参照)が知られているが、重合時に分岐鎖を導入してしまうと、ポリマーの払出しなどに支障が出たり、分岐の度合いを自由に変更できないなどの点で問題があった。一方、一般的な生分解性樹脂を用い、過酸化物や反応性化合物等との溶融混練により架橋を生じさせる方法は、簡便で、分岐度合いを自由に変更できる点から、多くの研究が行われている。しかしながら、酸無水物や多価カルボン酸を用いる方法(特許文献3参照)は、反応性にムラが生じやく、減圧にする必要があるなど実用的でない。多価イソシアネートを使用する方法(特許文献4参照)は、再溶融時に分子量が低下しやすく、操業時の安全性に問題があるなど、実用化レベルに達した技術として確立されていない。また、有機過酸化物又は有機過酸化物と不飽和結合を2個以上有する化合物を用いてゲル化させる方法(特許文献5参照)は、重合斑が生じやすく、高粘度であるためポリマーの払い出しに難がある。また生産効率が良くなく着色や分解も生じやすいという問題がある。
またポリ乳酸架橋発泡体の製造方法における従来技術として、有機過酸化物を添加した樹脂組成物を加熱して架橋させる方法と、樹脂組成物に電離性放射線を照射して架橋させる方法が開示されている。本発明者らは、後者の方法(特許文献6参照)について検討を行ってきたが、電子線架橋に要する照射線量が高く、そのためポリ乳酸が照射時に一部分解してしまい、耐熱性等の点等で不十分な所があった。
特開平10−7778号公報
特開2000−136256号公報
特開平11−60928号公報
特開2000−17037号公報
特開平10−324766号公報
特開2005−8869号公報
本発明は真空、圧縮成形などの二次加工に耐えうる耐熱性、柔軟性を付与したポリ乳酸架橋発泡体を提供することを目的とする。
本発明者らはかかる目的を達成するため鋭意検討した結果、ポリ乳酸およびポリ乳酸以外の生分解性ポリエステル樹脂の架橋指数が、ポリ乳酸架橋発泡体を作成するにおいて、極めて重要であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
(1) 架橋指数が1.2以下であるポリ乳酸と、架橋指数が−0.2〜0.2である生分解性ポリエステル樹脂とからなる樹脂100重量部に対して、多官能性アリル系架橋助剤1〜7重量部を用いてなるポリ乳酸架橋発泡体であって、電離性放射線を照射することで樹脂を架橋させたゲル分率が10%以上であることを特徴とするポリ乳酸架橋発泡体。
(2) ポリ乳酸とポリ乳酸以外の生分解ポリエステル樹脂の架橋指数の差が1.4以下である(1)に記載のポリ乳酸架橋発泡体。
(3) 電離性放射線の照射線量が1〜40kGyである(1)または(2)記載のポリ乳酸架橋発泡体
である。
(1) 架橋指数が1.2以下であるポリ乳酸と、架橋指数が−0.2〜0.2である生分解性ポリエステル樹脂とからなる樹脂100重量部に対して、多官能性アリル系架橋助剤1〜7重量部を用いてなるポリ乳酸架橋発泡体であって、電離性放射線を照射することで樹脂を架橋させたゲル分率が10%以上であることを特徴とするポリ乳酸架橋発泡体。
(2) ポリ乳酸とポリ乳酸以外の生分解ポリエステル樹脂の架橋指数の差が1.4以下である(1)に記載のポリ乳酸架橋発泡体。
(3) 電離性放射線の照射線量が1〜40kGyである(1)または(2)記載のポリ乳酸架橋発泡体
である。
本発明は真空成形、圧縮成形などの二次加工を行う上で重要な耐熱性、柔軟性を満たすポリ乳酸発泡体である。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明で使用するポリ乳酸の架橋指数は1.2以下であることが必要である。ここにおいて架橋指数とは以下のようにして求められる数値である。まず予め60℃で4時間真空乾燥したポリ乳酸または生分解性ポリエステル樹脂を厚み1mmのシート状に成形し、電離性放射線として、加速電圧800kVの電子線を空気下、温度20〜30℃の状態で1〜40kGyの範囲の4点以上で照射する。得られたシートを各辺が2〜5mmの直方体ペレット状に裁断し、温度190℃、荷重2.16kgの条件で得られたメルトフローレート(g/10min)をy軸、照射線量をx軸として、x−yグラフにプロットしたときに得られる直線の傾きを架橋指数と定義する。すなわち架橋指数は電子線に対する反応性を示す値であり、架橋指数が大きいほど電子線照射することで樹脂が分解しやすいことを示している。
尚、メルトフローレートはJIS K6760に準じて測定を行った値である。ポリ乳酸の架橋指数が1.2を超えると電離性放射線を照射することでポリ乳酸が崩壊しやすいため、ポリ乳酸の粘度が低くなりすぎ、良好な表面状態の発泡体が得られないため好ましくない。
架橋指数が1.2以下のポリ乳酸は従来より公知の方法により合成されるものを用いることができる。ポリ乳酸の製造方法としては、例えば乳酸を直接縮合重合させる方法、環状二量体を開重合する方法などが挙げられる。
本発明で使用するポリ乳酸は、d体とl体のモル比率がd/l=98/2〜80/20またはd/l=2/98〜20/80であることが好ましい。耐熱性を向上させるためには、乳酸の光学活性が高い方が好ましいが、d体又はl体がほぼ100%のポリ乳酸では、架橋指数が1.2を超える事があり、電離性放射線を照射したときに十分な架橋度が得られないため好ましくない。乳酸の光学活性が低くなると、ポリ乳酸の結晶性、融点が低下するため、得られる発泡体の耐熱性が低下するため好ましくない。
本発明で使用するポリ乳酸以外の生分解脂肪族ポリエステル樹脂は、架橋指数が−0.2〜0.2の範囲である事が必要である。架橋指数が−0.2を下回ると、ポリ乳酸の架橋度と差があり、架橋斑が起こるため好ましくない。0.2を上回る場合は、発泡温度下での溶融粘度が小さくなるため好ましくない。
また本発明で使用するポリ乳酸と、ポリ乳酸以外の生分解性脂肪族ポリエステル樹脂の架橋指数の差の絶対値は1.4以下であることが好ましい。架橋指数の差が1.4を超えると架橋斑が発生しやすくなるため好ましくない。
この様な生分解性ポリエステル樹脂としては、特には限定されないが、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ−β−プロピオラクトン、ポリ−β−ブチロラクトン、ポリ−γ−ブチロラクトン、ポリグリコール酸、ポリリンゴ酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート等の脂肪族ポリエステルなどが挙げられ、必要に応じてポリブチレンサクシネート/カーボネート、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート等の脂肪族ポリエステルのカーボネート変性および/またはテレフタレート変性等、生分解ポリエステル樹脂を変性したものが挙げられる。これらの生分解性脂肪族ポリエステルおよび/またはその変性物は単独で用いても良いし、2種類以上併用しても良い。
上記生分解性脂肪族ポリエステルおよび/またはその変性物は、本発明の目的を損なわない範囲で他の生分解性樹脂を混合してもよい。他の生分解性樹脂としては、合成及び/又は天然高分子が使用される。合成高分子としては、酢酸セルロース、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート、硝酸セルロース、硫酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、硝酸酢酸セルロース等の生分解性セルロースエステル等、また、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリロイシン等のポリペプチドや、ポリビニルアルコール等が挙げられる。また、天然高分子としては、例えば、澱粉として、トウモロコシ澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉などの生澱粉、酢酸エステル化澱粉、メチルエーテル化澱粉、アミロース等の加工澱粉等が挙げられる。また、セルロース、カラギーナン、キチン・キトサン質、ポリヒドロキシブチレート/バリレート等の天然直鎖状ポリエステル系樹脂等の天然高分子等が例示できる。また、これらの生分解性樹脂を構成する成分の共重合体であっても良い。これらの生分解性樹脂は単独で用いても良いし、2種類以上併用しても良い。
本発明で使用する生分解性脂肪族ポリエステルおよび/またはその変性物を構成する脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、アゼライン酸などが使用できる。なお上記の脂肪族ジカルボン酸はそれらのエステルあるいは酸無水物であってもよい。
また、脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどを使用できる。なお上記の脂肪族ジヒドロキシ化合物はこれらの誘導体であるエポキシ化合物であっても良い。これらの脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジヒドロキシ化合物は、それぞれ単独であるいは混合物として用いることができ所望の組合せが可能である。また、本発明の目的を損なわない範囲でヒドロキシカルボン酸化合物、分子内に水酸基を3個以上含有する多価アルコール、不飽和結合を1つ以上含有する多価アルコール、分子内にカルボキシル基を3個以上含有する多価カルボン酸化合物、分子内に水酸基を1個以上含有する多価カルボン酸化合物等を共重合することができる。
本発明で用いる多官能性アリル系架橋助剤としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメリット酸トリアリルエステル、シュウ酸ジアリル、トリメリット酸トリアリルエステル等のアリル化合物が挙げられる。
これら多官能性アリル系架橋助剤の添加量は、ポリ乳酸とポリ乳酸以外の生分解性ポリエステル樹脂からなる樹脂100重量部に対して1〜7重量部の範囲が好ましく、より好ましくは3〜5重量部の範囲である。1重量部を下回ると、発泡剤分解温度での溶融粘度が低すぎて、発泡剤分解ガスが抜けてしまうため好ましくなく、7重量部を超えると溶融粘度が高すぎて分解ガスが気泡として保持できないため好ましくない。
また、上記多官能アリル系架橋助剤以外の架橋助剤を併用して用いることも可能である。このような架橋助剤としては、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート等のアクリレート系又はメタクリレート系化合物、N−フェニルマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系化合物;フタル酸ジプロパギル、マレイン酸ジプロパギル等の2個以上の三重結合を有する化合物;ジビニルベンゼンなどが挙げられ、これらは2種類以上組み合わせて用いることも出来る。
ポリ乳酸は電離性放射線に対して反応性が高く、電離性放射線を高線量照射すると、ポリ乳酸樹脂の主鎖が切断されてしまう。そのため少ない電離性放射線量で高い架橋度の発泡体を得るために、多官能アリル系架橋助剤を用いるとより良好な発泡体が得られるため特に好ましい。
本発明の製造法で用いる電離性放射線としては、例えば、α線、β線、γ線、電子線等を挙げることができる。電離性放射線の照射線量、照射回数、電子線による照射においては、加速電圧等は、目的とする架橋度、被照射物の厚み等によって異なるが、照射線量は1〜200kGy、好ましくは1〜100kGy、より好ましくは1〜40kGyである。照射線量が1kGyより少ないと発泡成形時に気泡を保持するための十分な溶融粘度が得られず、100kGyより多いと得られる発泡体の成形加工性が低下する。
本発明で使用する熱分解型発泡剤とは熱分解温度を有する発泡剤であれば特に限定されないが、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、重炭酸ナトリウム等の重炭酸塩等を挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、併用しても良く、樹脂組成物100重量部に対して、1〜50重量部の割合で使用され、より好ましくは4〜25重量部である。熱分解型発泡剤の添加量は、1重量部より少ないと樹脂組成物の発泡性が低下し、50重量部より多いと得られる発泡体の強度及び耐熱性が低下する。
本発明においては、加工時の樹脂の劣化等を防止するために安定剤を用いることが好ましい。本発明で使用する安定剤としては、ラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤、ラジカル連鎖開始阻害剤から選ばれる少なくとも1種である。
本発明に使用するラジカル捕捉剤としては、発生したラジカルを捕捉し、ラジカル連鎖反応の進行を防止する物質であれば、特に限定はされないが、例えばラクトン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤等を使用することができる。
発明に使用する過酸化物分解剤としては、生成した過酸化物をラジカルが生成しない形で分解する物質であれば、特に限定はされないが、例えばリン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等を使用することができる。
中でも過酸化物分解剤としては、コスト、電離性放射線の照射による失活等の観点から、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト等、イオウ系酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等が好ましく用いられる。尚、これらは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても構わない。2種類以上を組み合わせて用いる場合は、相乗効果を発揮する場合があり好ましく用いられる。更に、前記ラジカル補足剤と組み合わせて用いる場合、より大きな相乗効果を発揮されるので、特に好ましく用いられる。
安定剤の添加量は、樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で使用される。0.01重量部未満であると樹脂は劣化し外観良好な発泡体 が得られず、10重量部を越えて添加しても安定性の向上は見られず、コストアップにつながり好ましくない。
また、様々な要求特性を満足するために、本発明の効果を阻害しない範囲において、種々の従来より公知な添加剤成分を添加しても良い。例えば、添加剤として有機過酸化物、酸化防止剤、滑剤、熱安定剤、顔料、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、核剤、可塑剤、抗菌剤、生分解促進剤、発泡剤分解促進剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、充填剤、防臭剤、増粘剤、気泡安定剤、金属害防止剤、末端封鎖剤などを単独、もしくは2種類以上併用して添加しても良い。
本発明の発泡体の発泡倍率は、1.5〜50倍である。発泡倍率が1.5倍を下回ると軽量性、柔軟性が低下し、また、発泡倍率が50倍を上回ると機械的特性および成形加工性が低下する。
また、本発明の発泡体のゲル分率は10〜95%であることが好ましい。ゲル分率が10%を下回ると、得られる発泡体の二次加工性が低下傾向となる。また、ゲル分率が95%を上回ると良好な表面の発泡体が得られない。
本発明でいうゲル分率とは、以下の方法にて算出した値のことである。すなわち、ポリ乳酸架橋発泡体を約100mg精密に秤量し、25℃のクロロホルム25mlに4時間浸漬した後、200メッシュのステンレス製金網で濾過して、金網状の不溶解分を真空乾燥する。次いで、この不溶解分の重量を精密に秤量し、以下の式に従ってゲル分率を百分率で算出した。
ゲル分率(%)={不溶解分の重量(mg)/秤量したポリ乳酸架橋発泡体の重量(mg)}×100
次に、本発明の架橋発泡体の好ましい製造方法について具体的に説明する。
次に、本発明の架橋発泡体の好ましい製造方法について具体的に説明する。
本発明の製造方法は、上述したように、熱分解型発泡剤とを含む樹脂組成物を成形しシートを得る工程、該シートに電離性放射線を照射し該樹脂組成物を架橋させ架橋シートを得る工程、さらに該架橋シートを該熱分解型発泡剤の分解温度以上の温度で熱処理しシート状架橋発泡体とする工程を含むことを特徴とする生分解性樹脂架橋発泡体の製造方法である。各工程の具体的態様としては下記のものが挙げられる。
先ず、上記シート化工程としては、熱分解型発泡剤を含む樹脂組成物を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、ミキシングロール等の混練装置を用いて、熱分解型発泡剤の分解温度以下で均一に溶融混練し、これをシート状に成形する。これらの樹脂組成物は、溶融混練する前に必要に応じてミキサー等で機械的に混合しておいても良い。このときの溶融混練温度は、発泡剤の分解開始温度よりも10℃以上低い温度であることが好ましい。混練温度が高すぎると混練時に熱分解型発泡剤が分解してしまい、良好な発泡体が得られない。また、このシートの厚みは0.1mm〜50mmであるのが好ましい。シートの厚みが0.1mm未満であると発泡成形時にシート表面からのガス抜けが多く、均一な発泡体となりにくく、50mmを超えるとシートの剛性が高くなりすぎ、連続生産時の巻き取り性等に支障を生じることがある。
次いで、架橋シートを得る工程としては、得られたシート状の樹脂組成物に電離性放射線を所定線量照射して樹脂組成物を架橋させ架橋シートを得る。
照射回数は限定されないが、好ましくは1〜4回である。照射回数が4回を超えると樹脂の劣化が進行し、発泡時に均一な気泡を有する発泡体が得られないことがある。
また、樹脂組成物を成形したシートの厚みが4mmを超えるなどの場合に、表層部と内層部の架橋度を均一にする方法としては、例えば、電離性放射線を該シートの両面から照射する、すなわち2回照射する方法などを用いるとよい。
さらに、電子線による照射においては、電子の加速電圧を制御することで様々な厚みの被照射物に対して効率よく樹脂を架橋させることが出来、好ましい。ここで、加速電圧は通常200〜1500kVであり、好ましくは650〜1000kVである。加速電圧が200kVを下回ると電子線が内部まで届きにくく、発泡時に内部の気泡が粗大になることがあり、1500kVを超えると樹脂の劣化が進行することがある。これは、架橋助剤として多官能性モノマーを添加した場合でも同様である。
次いで、架橋発泡体を得る工程としては、この架橋シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上の温度で熱処理し発泡体を得る。発泡成形のための熱処理は、従来公知の方法を用いてよく、例えば、縦型及び横型の熱風発泡炉、溶融塩等の薬液浴上などで行うことができる。生分解性樹脂として脂肪族ポリエステル等のように加水分解を起こしやすい樹脂を用いる場合は、薬液浴上で発泡させるよりも、縦型及び横型熱風発泡炉で発泡を行った方が表面状態の良好な発泡体 が得られる。また、必要に応じて発泡成形を行う前に予熱を行い、樹脂を軟化させておくと少ない熱量で、安定した発泡体を得ることができる。
本発明のポリ乳酸架橋発泡体の形態は特に限定されないが、好ましくはシート状である。シート状にすることにより、生産性が優れるだけでなく、生分解速度を速くすることができる。ポリ乳酸架橋発泡体 シートの厚みは、好ましくは0.1mm〜100mmである。これらのシートは、一旦発泡成形した後にスライス加工や融着加工などの二次加工を施すことによっても所望の厚みに容易に加工できる。
次に本発明に用いる製造例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1
L−ラクチド100部に対し重合触媒としてオクチル酸錫150ppm、重合開始剤としてオクチルアルコール0.07部、酸化防止剤としてイルガノックス1010を0.1部を加えて、攪拌装置付の反応容器中で、窒素雰囲気下、185℃で12分間反応させて、ポリ乳酸(A)を製造した。ポリ乳酸分子量は156000で、架橋指数を測定したところ1.5であった。
製造例2
直径30mmの2軸混練押出機に溶融したポリ乳酸(A)とL−ラクチドとD−ラクチドの13/2混合物とを重量比70/30で連続供給し、同時にラクチドに対して重合触媒オクチル酸錫100ppmを添加し、190℃で7分間重合した。重合後、ノズルより押し出し水で冷却した後切断してチップとし、乾燥後140℃の窒素中で6時間固相重合してポリ乳酸(B)を製造した。ポリ乳酸(B)の重量平均分子量は15万、架橋指数は0.9であった。
製造例3
L−ラクチドとD−ラクチドの混合物を3/2とした以外は製造例2と同様な方法で製造し、ポリ乳酸(C)を得た。ポリ乳酸(C)の重量平均分子量は15万、架橋指数は1.0であった。
次に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
60℃、4時間真空乾燥した架橋指数が1.0のポリ乳酸(C)を30重量部、架橋指数が−0.1のポリブチレンサクシネートを70重量部に対して、熱分解型発泡剤アゾシカルボンアミドを9重量部、フェノール系酸化防止剤としてIrg1010(チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製)、AO−30(旭電化(株)製)をそれぞれ0.3部、チオエーテル系酸化防止剤としてAO412−S(旭電化(株)製)を0.6部、架橋助剤トリアリルイソシアヌレート3部を添加し、発泡剤が分解しない温度でミキシングロールで混練し、200kg/cm2の圧力で、厚み1mmのシートにプレス成形した。しかる後、該シート物を13kGyで電子線照射し架橋せしめた後、熱風発泡炉内で240度で3分間、加熱発泡しシート状の発泡体を得た。
実施例2
架橋指数が0.9のポリ乳酸(B)を使用した以外は実施例1と同様な手順で行い発泡体を得た。
実施例3
トリアリルシアヌレートを3部添加した事以外は実施例1と同様な手順で行い発泡体を得た。
比較例1〜3
架橋助剤として、それぞれ1,6へキサンジオールジメタクリレート7部、トリメチロールプロパントリメタクリレート3部、ジビニルベンゼン6部を使用し、電子線照射する照射線量が80kGyとした以外は実施例1と同様な手順で行い発泡体を得た。
次に本発明に用いる製造例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1
L−ラクチド100部に対し重合触媒としてオクチル酸錫150ppm、重合開始剤としてオクチルアルコール0.07部、酸化防止剤としてイルガノックス1010を0.1部を加えて、攪拌装置付の反応容器中で、窒素雰囲気下、185℃で12分間反応させて、ポリ乳酸(A)を製造した。ポリ乳酸分子量は156000で、架橋指数を測定したところ1.5であった。
製造例2
直径30mmの2軸混練押出機に溶融したポリ乳酸(A)とL−ラクチドとD−ラクチドの13/2混合物とを重量比70/30で連続供給し、同時にラクチドに対して重合触媒オクチル酸錫100ppmを添加し、190℃で7分間重合した。重合後、ノズルより押し出し水で冷却した後切断してチップとし、乾燥後140℃の窒素中で6時間固相重合してポリ乳酸(B)を製造した。ポリ乳酸(B)の重量平均分子量は15万、架橋指数は0.9であった。
製造例3
L−ラクチドとD−ラクチドの混合物を3/2とした以外は製造例2と同様な方法で製造し、ポリ乳酸(C)を得た。ポリ乳酸(C)の重量平均分子量は15万、架橋指数は1.0であった。
次に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
60℃、4時間真空乾燥した架橋指数が1.0のポリ乳酸(C)を30重量部、架橋指数が−0.1のポリブチレンサクシネートを70重量部に対して、熱分解型発泡剤アゾシカルボンアミドを9重量部、フェノール系酸化防止剤としてIrg1010(チバ・スペシャルティケミカルズ(株)製)、AO−30(旭電化(株)製)をそれぞれ0.3部、チオエーテル系酸化防止剤としてAO412−S(旭電化(株)製)を0.6部、架橋助剤トリアリルイソシアヌレート3部を添加し、発泡剤が分解しない温度でミキシングロールで混練し、200kg/cm2の圧力で、厚み1mmのシートにプレス成形した。しかる後、該シート物を13kGyで電子線照射し架橋せしめた後、熱風発泡炉内で240度で3分間、加熱発泡しシート状の発泡体を得た。
実施例2
架橋指数が0.9のポリ乳酸(B)を使用した以外は実施例1と同様な手順で行い発泡体を得た。
実施例3
トリアリルシアヌレートを3部添加した事以外は実施例1と同様な手順で行い発泡体を得た。
比較例1〜3
架橋助剤として、それぞれ1,6へキサンジオールジメタクリレート7部、トリメチロールプロパントリメタクリレート3部、ジビニルベンゼン6部を使用し、電子線照射する照射線量が80kGyとした以外は実施例1と同様な手順で行い発泡体を得た。
実施例1〜3で作成した発泡体は、照射線量13kGyでゲル分率がそれぞれ47%、43%、50%で、外観が非常に良好であった。一方比較例1〜3において、実施例1〜3と同じ照射線量下では溶融粘度が低すぎて発泡体が出来ない。80kGyでは発泡体ができるものの、表面にアレがあり外観は良好ではなかった。
比較例4
架橋指数1.5のポリ乳酸(A)を30重量部に対して架橋指数−0.1のポリブチレンサクシネート70重量部とした以外は実施例1と同様な手順で発泡体を得た。
比較例4
架橋指数1.5のポリ乳酸(A)を30重量部に対して架橋指数−0.1のポリブチレンサクシネート70重量部とした以外は実施例1と同様な手順で発泡体を得た。
実施例1、比較例4で得られた発泡体のゲル分率はそれぞれ47%、15%であり、実施例1の方が柔軟性がよく、シートが割れることはなかった。
Claims (3)
- 架橋指数が1.2以下であるポリ乳酸と、架橋指数が−0.2〜0.2であるポリ乳酸以外の生分解性ポリエステル樹脂とからなる樹脂100重量部に対して、多官能アリル系架橋助剤1〜7重量部を用いてなるポリ乳酸架橋発泡体であって、電離性放射線を照射することによって樹脂を架橋させたゲル分率が10%以上であることを特徴とするポリ乳酸架橋発泡体の製造法。
- ポリ乳酸とポリ乳酸以外の生分解ポリエステル樹脂の架橋指数の差が1.4以下である請求項1に記載のポリ乳酸架橋発泡体の製造法。
- 電離性放射線の照射線量が1〜40kGyである請求項1または2記載のポリ乳酸架橋発泡体の製造法。
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