JP2011213820A - ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれからなるポリ乳酸系樹脂発泡体 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれからなるポリ乳酸系樹脂発泡体 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に優れた発泡体を成形できる結晶性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物および該樹脂組成物からなる耐熱性に優れた発泡体を提供する。
【解決手段】分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、又は1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有し、かつD体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上であるポリ乳酸樹脂からなるポリ乳酸系樹脂組成物であって、ポリ乳酸系樹脂組成物の融点より10℃高い温度での伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度曲線において、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1、歪み硬化係数)が、1.3以上、50未満である。
【選択図】図1

Description

本発明は、結晶性が向上したポリ乳酸系樹脂組成物および該樹脂組成物を発泡成形して得られるポリ乳酸系樹脂発泡体に関するものである。
一般に、成形用の原料としては、ポリプロピレン樹脂(PP)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、ポリアミド樹脂(PA6、PA66等)、ポリエステル樹脂(PET、PBT等)、ポリカーボネート樹脂(PC)等が使用されている。このような樹脂から製造された成形物は成形性、機械的強度に優れているが、廃棄する際、ゴミの量を増すうえに、自然環境下で殆ど分解されないために、埋設処理しても半永久的に地中に残留する。
そこで、近年、環境保全の見地から、生分解性ポリエステル樹脂が注目されている。中でもポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートなどは、大量生産可能なためコストも安く、有用性が高い。特に、ポリ乳酸は既にトウモロコシやサツマイモ等の植物を原料として工業生産が可能となっており、使用後に焼却されても、これらの植物の生育時に吸収した二酸化炭素を考慮すると、炭素の収支として中立であることから、地球環境への負荷の低い樹脂とされている。
ポリ乳酸は、結晶化を充分進行させることにより耐熱性が向上し、広い用途に適用可能となるが、ポリ乳酸単独ではその結晶化速度は極めて遅いものである。そこで、通常、結晶化速度を向上させることを目的として、ポリ乳酸に各種結晶核剤の添加や、ポリ乳酸の架橋処理がなされてきた。
すなわち、上記ポリ乳酸の結晶化を促進するために結晶核剤を添加する手法として、特許文献1には特定分子構造のカルボン酸アミドまたはエステルを添加することが、また特許文献2にはトリシクロヘキシルトリメシン酸アミドを添加することが、さらに特許文献3にはエチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドを添加することが開示されている。
また、ポリ乳酸の結晶化を促進するための手法として、我々は特許文献4に、メタアクリル酸エステル化合物を配合すること、また、特許文献5には、イソシアネート化合物を配合することをそれぞれ開示してきた。
さらに、特許文献6では、通常1〜2%は含まれるD体含有量を0.6%以下に抑えたポリ乳酸樹脂を用い、結晶核剤と併用することにより飛躍的な結晶化速度の増大が図られることが開示されている。しかしながら、特許文献6に記載の発明は、ポリ乳酸樹脂を射出成形により成形体とすることを主に考慮したものであり、その他の成形法や発泡体を得る方法については記載されていない。発泡体を製造する際には、一旦、非晶性一次成形体を作製後、二次成形において成形しながら結晶化させるという複雑な成形法をとる。すなわち、射出成形プロセスでは温度を降下させるときに結晶化させる降温時結晶であるのに対し、発泡体成形プロセスでは、非晶性一次成形体を温度を上げながら、昇温時に結晶化させる昇温時結晶であり、両者は全く異なるプロセスを採るものである。
したがって、特許文献6記載の樹脂組成物を発泡体成形プロセスに用いると、必ずしも良好な発泡体を得ることができなかった。
WO2006/137397号公報 特開2006−328163号公報 特開2003−226801号公報 特開2003−128901号公報 特開2002−3709号公報 WO2009/004769号公報
本発明は、上記の問題点を解決するものであり、耐熱性に優れた発泡体を成形できる結晶性に優れたポリ乳酸系樹脂組成物および該樹脂組成物からなる耐熱性に優れた発泡体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、D体含有量が低いかもしくは高いポリ乳酸樹脂を用い、これに(メタ)アクリル酸エステル化合物や過酸化物を配合することによって架橋構造を導入したポリ乳酸樹脂とし、かつ樹脂組成物の特性として、歪み硬化係数が特定の範囲内のポリ乳酸系樹脂組成物とすることにより、前記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記の通りである。
(1)分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、又は1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有し、かつD体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上であるポリ乳酸樹脂からなるポリ乳酸系樹脂組成物であって、ポリ乳酸系樹脂組成物の融点より10℃高い温度での伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度曲線において、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1、歪み硬化係数)が、1.3以上、50未満であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
(2)(1)記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなるポリ乳酸系樹脂発泡体。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、結晶性に優れ、特に発泡体を得る際の発泡体成形プロセスに適した性能を有するものであるため、耐熱性や耐久性に優れた発泡体を生産性よく得ることが可能となる。このように、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、低環境負荷材料であるポリ乳酸樹脂の使用範囲を大きく広げることができ、産業上の利用価値はきわめて高い。
そして、本発明のポリ乳酸系樹脂発泡体は、結晶化速度が速く、十分結晶化した発泡倍率の高いものであるため、耐熱性や耐久性に優れており、食品容器や生活用品、産業資材等の各種の用途に用いることが可能となる。
屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1、ひずみ硬化係数)を求める際の伸長時間と伸長粘度の模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を構成するポリ乳酸樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有するものである。つまり、本発明におけるポリ乳酸樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル化合物を配合することにより、架橋構造が導入されたものである。架橋構造を有するポリ乳酸樹脂とすることにより、結晶性が向上し、結晶化速度が速くなり、得られる発泡体等の成形体の結晶化度が高いものとなる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物として、ポリ乳酸樹脂との反応性が高く、モノマーが残りにくく、かつ、毒性が少なく、樹脂の着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、または、1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物を用いるものである。
このような(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシ(ポリ)エチレングリコールモノメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、(ポリ)エチレングリコールジアクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジメタクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジアクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレートまたは、これらのアルキレングリコール部が様々な長さのアルキレンの共重合体、ブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中の(メタ)アクリル酸エステル化合物の含有量は、0.01〜20質量%であることが好ましく、中でも0.05〜1質量%であることが好ましい。含有量が0.01質量%未満では、十分な架橋構造が導入されず、結晶性の向上効果に乏しいものとなる。一方、含有量が20質量%を超えると、架橋の度合いが強すぎて操業性が低下しやすい。
また、本発明において、ポリ乳酸樹脂に(メタ)アクリル酸エステル化合物(B)を添加することにより、ポリ乳酸樹脂に架橋構造を導入する際には、過酸化物を用いることが好ましい。過酸化物は、(メタ)アクリル酸エステル化合物とポリ乳酸樹脂との反応を促進することを目的として配合されるものである。
過酸化物の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメンなどが挙げられる。
過酸化物の添加量は、ポリ乳酸樹脂100質量部に対して、0.02〜20質量部であることが好ましく、中でも0.1〜10質量部であることが好ましい。添加量が0.02質量部未満では、目的とする架橋反応の促進効果が得られず、一方、添加量が20質量部を超えると、混練時の操業性が低下する場合がある。
なお、過酸化物はポリ乳酸樹脂に添加して混練する際に分解するため、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中には必ずしも含有されているものではない。
そして、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を構成するポリ乳酸樹脂は、D体含有量が1.0モル%以下であるか、または、D体含有量が99.0モル%以上であることが必要である。D体含有量がこの範囲外であるポリ乳酸樹脂であると、得られる発泡体等の成形体は、結晶化度が低くなり、耐熱性や耐久性に劣るものとなる。中でも、D体含有量は0.1〜0.6モル%であるか、または、99.4〜99.9モル%であることが好ましい。
なお、D体含有量が0.1モル%未満であったり、99.9モル%を超えるポリ乳酸樹脂の場合、結晶化速度が非常に速くなるため、得られる発泡体は発泡倍率が低くなる懸念がある。しかしながら、発泡体の発泡倍率が低くてもよい場合は特に限定されるものではない。
本発明において、ポリ乳酸樹脂のD体含有量とは、ポリ乳酸樹脂を構成する総乳酸単位のうち、D乳酸単位が占める割合(モル%)である。したがって、例えば、D体含有量が1.0モル%のポリ乳酸樹脂の場合、このポリ乳酸樹脂は、D乳酸単位が占める割合が1.0モル%であり、L乳酸単位が占める割合が99.0モル%である。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂のD体含有量は、実施例にて後述するように、ポリ乳酸樹脂を分解して得られるL乳酸とD乳酸を全てメチルエステル化し、L乳酸のメチルエステルとD乳酸のメチルエステルとをガスクロマトグラフィー分析機で分析する方法により算出するものである。
次に、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、その融点より10℃高い温度での伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度曲線(図1参照)において、屈曲点があらわれるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)であらわされる歪み硬化係数が、1.3以上、50未満であることが必要であり、中でも1.5〜30であることが好ましい。このような歪み硬化係数を満足することにより、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、特に発泡体を得る際の発泡体成形プロセスに適したものとなり、具体的には、結晶化速度が速く、結晶化度が高く、発泡性が良好な発泡体を得ることができる。
歪み硬化係数(a2/a1)が1.3未満であると、押出発泡成形時に破泡を起こしたり、発泡体に偏肉を生じ、結晶性に優れかつ発泡性が良好な発泡体を得ることが困難となる。一方、歪み硬化係数が50以上であると、発泡成形時にゲルが発生しやすく、流動性も大きく低下し、結晶性に優れかつ発泡性が良好な発泡体を得ることが困難となる。
歪み硬化係数(a2/a1)を上記のような本発明で規定する範囲内のものとするには、ポリ乳酸樹脂として、上記のような組成と特性値を満足するものを用いると同時に、ポリ乳酸樹脂として、重量平均分子量が10万〜20万のものを用いることが好ましい。ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量が10万未満である場合には溶融粘度が低すぎて、歪み硬化係数が1.3未満となりやすい。一方、重量平均分子量が20万を超える場合には、樹脂組成物の成形性が低下するので好ましくない。
重量平均分子量は、示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)装置を用い、テトラヒドロフランを溶出液として40℃で標準ポリスチレン換算で求める値である。なお、テトラヒドロフランにサンプルが溶けにくい場合は少量のクロロホルムに溶解後、テトラヒドロフランを加えてサンプル調整する
また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の190℃、荷重21.2Nにおけるメルトフローレート(JIS K−7210(試験条件4)による値)は、0.1〜30g/10分であることが好ましく、0.2〜25g/10分であることがより好ましく、0.5〜20g/10分であることがさらに好ましい。メルトフローレートが30g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて発泡体を得る際に、うまく発泡しなかったり、破泡したり、得られる発泡体の機械的特性や耐熱性が劣る場合がある。一方、メルトフローレートが0.1g/10分未満の場合は、発泡体を製造する際、押出機で押出すことが困難(負荷が高く)になり、操業性が低下したりコストが高くなり好ましくない。
ポリ乳酸系樹脂組成物のメルトフローレートを所定の範囲に調節する方法として、メルトフローレートが大きすぎる場合は、少量の鎖長延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ビスオキサゾリン化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を用いて樹脂の分子量を増大させる方法が挙げられる。一方、メルトフローレートが小さすぎる場合はメルトフローレートの大きなポリエステル樹脂や低分子量化合物と混合する方法が挙げられる。
さらに、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物においては、結晶化を促進させ、耐熱性をさらに向上させるために結晶核剤を含有することが好ましい。また、発泡体を得る際には、気泡の大きさや発泡倍率を制御する目的で、発泡核剤を含有することが好ましい。さらには、樹脂組成物の耐久性を向上させるために反応性化合物を含有することが好ましい。
まず、結晶核剤としては、結晶化促進効果の点から、有機アミド化合物、有機ヒドラジド化合物、カルボン酸エステル系化合物、有機スルホン酸塩、フタロシアニン系化合物、メラミン系化合物、および有機ホスホン酸塩から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。このうち、樹脂中への分散性および耐熱性の面から、N,N′,N″−トリシクロヘキシルトリメシン酸アミド、N,N′−エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミド、オクタンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジドが好ましく、さらに、N,N′,N″−トリシクロヘキシルトリメシン酸アミド、N,N′−エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミドが特に好ましい。
カルボン酸エステル系化合物としては、種々のものを用いることができるが、例えば、脂肪族ビスヒドロキシカルボン酸エステル等が好ましい。
有機スルホン酸塩としては、スルホイソフタル酸塩など、種々のものを用いることができるが、中でも、5−スルホイソフタル酸ジメチル金属塩が、結晶化促進効果の点から好ましい。さらに、バリウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、ナトリウム塩などが好ましい。
フタロシアニン系化合物としては、種々のものを用いることができるが、遷移金属錯体を用いることが好ましく、中でも、銅フタロシアニンが結晶化促進効果の点から好ましい。メラミン系化合物としては、種々のものを用いることができるが、結晶化促進効果の点から、メラミンシアヌレートを用いることが好ましい。有機ホスホン酸塩としては、フェニルホスホン酸塩が、結晶化促進効果の点から好ましい。そのうち、特にフェニルホスホン酸亜鉛が好ましい。
なお、これら有機系の結晶核剤に対して、無機系の各種結晶核剤を併用してもよい。
このような結晶核剤のうち、市販されているものとしては、例えば、川研ファインケミカル社製WX−1、新日本理化社製TF−1、アデカ社製T−1287N、トヨタ社製マスターバッチKX238Bなどが挙げられる。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中の上記のような結晶核剤の含有量は、0.03〜5質量%であることが好ましく、中でも0.1〜4質量%であることが好ましい。結晶核剤の含有量が0.03質量%未満であると、配合することによる上記したような効果が乏しくなる。一方、含有量が5質量%を超えると、結晶核剤としての効果が飽和し、経済的に不利であるだけでなく、生分解後の残渣分が増大するため、環境面でも好ましくない。
次に、発泡核剤としては、タルク、カオリン、クレー等の一般的に使用される無機系の発泡核剤を用いることができるが、本発明においては、ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする発泡核剤を用いることが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする発泡核剤は、微細な気泡を多数生じることができ、発泡倍率の高い、外観の優れた発泡体を得ることが可能となるものである。
ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする発泡核剤の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレンや、アクリル系樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。ポリテトラフルオロエチレンの形状は微粉末が好ましく、0.01〜100μmの粒径であることが好ましい。アクリル系樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレンの形状は、フィブリル状が好ましい。
なお、タルク等の無機系の発泡核剤を用いると、結晶化速度を増大することが可能となる。そして、このような無機系の発泡核剤としては、中でも平均粒径が5ミクロン以下のものを用いることが好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物中の上記したような発泡核剤の含有量は、0.01〜10質量%とすることが好ましく、中でも0.1〜5質量%が好ましく、特に好ましくは0.2〜3質量%である。0.01質量%未満であると、得られる発泡体は発泡核剤を添加した効果が現れずに気泡が粗大となり、発泡が不十分となる。一方、10質量%を超えると、得られる発泡体は発泡が過剰となり、破泡が生じやすくなり、外観が損なわれる。
さらに、反応性化合物としては、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物が好ましく、中でもカルボジイミド化合物を用いることが好ましい。カルボジイミド化合物を用いることにより、ポリ乳酸系樹脂組成物の耐加水分解性が向上し、得られる発泡体等の成形体は耐久性に優れたものとなる。また、これらの化合物は2種以上を併用してもよい。
カルボジイミド化合物としては、種々のものを用いることができ、分子中に1個以上のカルボジイミド基を持つものであれば特に限定されず、例えば、脂肪族モノカルボジイミド、脂肪族ポリカルボジイミド、脂環族モノカルボジイミド、脂環族ポリカルボジイミド、芳香族モノカルボジイミド、あるいは、芳香族ポリカルボジイミドなど、この範囲の全てのものを用いることができる。さらに、分子内に各種複素環、あるいは、各種官能基を持つものであっても構わない。
カルボジイミド化合物としては、イソシアネート基を分子内に有するカルボジイミド化合物、およびイソシアネート基を分子内に有していないカルボジイミド化合物のどちらも区別無く用いることができる。
カルボジイミド化合物のカルボジイミド骨格としては、N,N′−ジ−o−トリイルカルボジイミド、N,N′−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N′−シクロヘキシルカルボジイミド、N−トリイル−N′−フェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N′−ジ−p−トリイルカルボジイミド、p−フェニレン−ビス−ジ−o−トリイルカルボジイミド、4,4′−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド、テトラメチルキシリレンカルボジイミド、N,N−ジメチルフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなど、多くのカルボジイミド骨格が挙げられる。
カルボジイミド化合物の具体例としては、多くのものが挙げられるが、例えば、前記分類の脂環族モノカルボジイミドとしては、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどが挙げられ、また、前記分類の脂環族ポリカルボジイミドとしては、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートに由来するポリカルボジイミドなどが挙げられ、また、前記分類の芳香族モノカルボジイミドとしては、N,N′−ジフェニルカルボジイミド、N,N′−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドなどが挙げられ、また、前記分類の芳香族ポリカルボジイミドとしては、フェニレン−p−ジイソシアネートに由来するポリカルボジイミド、1,3,5−トリイソプロピル−フェニレン−2,4−ジイソシアネートに由来するポリカルボジイミドなどが挙げられる。
なお、ポリカルボジイミドにおいては、その分子の両端あるいは分子中の任意の部位が、イソシアネート基等の官能基を有する、あるいは、分子鎖が分岐しているなど他の部位と異なる分子構造となっていても構わない。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中の上記のような反応性化合物の含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましく、中でも0.2〜15質量%であることが好ましい。反応性化合物の含有量が0.1質量%未満であると、配合することによる上記したような耐久性の向上効果が乏しくなる。一方、含有量が20質量%を超えると、耐熱性が低下し、経済的に不利であるだけでなく、色調が大きく損なわれる場合もある。
そして、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、上記のような反応性化合物を含有していることによって、カルボキシル基末端が封鎖されていることが好ましい。つまり、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、カルボキシル末端基濃度が0〜5mol/tonであることが好ましく、中でも0〜3mol/tonであることが好ましく、さらには、0〜2mol/tonであることが好ましい。カルボキシル基末端が封鎖され、カルボキシル末端基濃度が上記範囲を満足することにより、ポリ乳酸樹脂組成物の耐加水分解性(耐久性)を向上させることができ、得られる発泡体は耐加水分解性に優れたものとなる。
さらに、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物には、その特性を大きく損なわない限りにおいて、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、無機充填材、植物繊維、強化繊維、耐候剤、可塑剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、耐衝撃剤、相溶化剤などを配合することができる。
熱安定剤や酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物などが例示される。
無機充填材としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、アルミナ、マグネシア、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維、層状珪酸塩などが例示される。層状珪酸塩を配合することにより、樹脂組成物のガスバリア性を改善することができる。これらは発泡核剤としても効果がある。
可塑剤としては、例えば、脂肪族エステル誘導体または脂肪族ポリエーテル誘導体から選ばれた1種以上の可塑剤などが挙げられる。具体的な化合物としては、例えば、グリセリンジアセトモノカプレート、グリセリンジアセトモノラウレートなどが挙げられる。
滑剤としては、各種カルボン酸系化合物を用いることができ、中でも、各種脂肪酸金属塩、特に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどが好ましい。
離型剤としては、各種カルボン酸系化合物、中でも、各種脂肪酸エステル、各種脂肪酸アミドなどが、好適に用いられる。
耐衝撃剤としては、特に限定されず、コアシェル型構造を持つ(メタ)アクリル酸エステル系耐衝撃剤など、種々のものを用いることが出来る。具体的な市販の商品としては、例えば、三菱レイヨン社製メタブレンシリーズなどが挙げられる。
また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ポリ乳酸樹脂以外の他の樹脂を含有していてもよい。例えば、他の樹脂を配合して、ポリ乳酸樹脂とのアロイとすることも可能である。
アロイの相手材となる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)共重合体、液晶ポリマー、ポリアセタールなどが挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、などが挙げられる。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6Tなどが挙げられる。
ポリエステルとしては、各種芳香族ポリエステル、各種脂肪族ポリエステルをはじめ多くのものが挙げられる。芳香族ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリブチレンアジペートテレフタレートなどが挙げられ、脂肪族ポリエステルとしては、具体的には、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート−乳酸)共重合体、ポリヒドロキシ酪酸などが挙げられる。
この他のポリエステル系のものとしては、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレートコテレフタレート、ポリブチレンイソフタレートコテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、シクロヘキシレンジメチレンイソフタレートコテレフタレート、p−ヒドロキシ安息香酸残基とエチレンテレフタレート残基からなるコポリエステル、植物由来の原料である1,3−プロパンジオールからなるポリトリメチレンテレフタレート等などが挙げられる。ポリ乳酸樹脂とこれらの樹脂を混合する方法は特に限定されない。
なお、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂の割合は、50質量%以上であることが好ましく、中でも60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。本発明のポリ乳酸系樹脂組成物中には前述したように各種の添加剤や他の樹脂等を添加することが可能であるが、結晶性に優れ、特に発泡体を得る際の発泡体成形プロセスに適した性能を有するためには、ポリ乳酸樹脂の含有量を50質量%以上とすることが好ましい。
次に、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法について説明する。
まず、ポリ乳酸樹脂に架橋構造を導入するためには、ポリ乳酸樹脂と(メタ)アクリル酸エステル化合物と過酸化物とを溶融混練することが好ましい。また、前述した反応性化合物や結晶核剤、発泡核剤等を樹脂組成物中に混合する際にも溶融混練することが好ましい。溶融混練する手段は、特に限定されないが、一軸あるいは二軸の押出機を用いて溶融混練する方法を挙げることができる。混練状態をよくする意味で二軸の押出機を使用することが好ましい。混練温度は〔ポリ乳酸樹脂の融点+5℃〕〜〔ポリ乳酸樹脂の融点+100℃〕の範囲が、また、混練時間は20秒〜30分が好ましい。この範囲より低温や短時間であると、混練や反応が不十分となる場合がある。一方、高温や長時間であると樹脂の分解や着色が生じる場合がある。
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステル化合物や過酸化物は、固体状であればドライブレンドや粉体フィーダーを用いて供給する方法が好ましく、液体状の場合は、加圧ポンプを用いて、押出機の途中から注入する方法が好ましい。
特に、(メタ)アクリル酸エステル化合物や過酸化物を媒体に溶解又は分散して混練機に注入すると操業性が格段に良くなり好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物や過酸化物を溶解又は分散させる媒体としては一般的なものが用いられ、特に限定されないが、ポリ乳酸樹脂との相溶性に優れた可塑剤が好ましく、また生分解性のものが好ましい。
例えば、脂肪族多価カルボン酸エステル誘導体、脂肪族多価アルコールエステル誘導体、脂肪族オキシエステル誘導体、脂肪族ポリエーテル誘導体、脂肪族ポリエーテル多価カルボン酸エステル誘導体などから選ばれた1種以上の可塑剤などが挙げられる。具体的な化合物としては、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、トリエチレングリコールジアセテート、アセチルリシノール酸メチル、アセチルトリブチルクエン酸、ポリエチレングリコール、ジブチルジグリコールサクシネート、アセチルトリブチルサクシネート(ATBC)等が挙げられる。
本発明において、(メタ)アクリル酸エステル化合物と溶融混練する前(架橋構造の導入前)のポリ乳酸樹脂としては、市販の各種ポリ乳酸樹脂のうち、D体含有量が本発明で規定する範囲のポリ乳酸樹脂を用いることができる。また、乳酸の環状2量体であるラクチドのうち、D体含有量が十分に低いL-ラクチド、または、L体含有量が十分に低いD-ラクチドを原料に用い、公知の溶融重合法で、あるいは、さらに固相重合法を併用して製造したものを用いることができる。
また、このようなポリ乳酸樹脂の190℃、荷重21.2Nにおけるメルトフローレート(JIS K−7210(試験条件4)による値)は、0.2〜40g/10分であることが好ましく、0.5〜35g/10分であることがより好ましい。ポリ乳酸樹脂のメルトフローレートが40g/10分を超える場合は、発泡に適した所望のメルトフローレートを有するポリ乳酸系樹脂組成物を製造する際に(メタ)アクリル酸エステル化合物や過酸化物の添加量が多く必要となるため、ゲルが生成したり、ムラができたりして、得られる発泡体の外観、機械的特性や耐熱性が劣る場合がある。また、メルトフローレートが0.2g/10分未満の場合、ポリ乳酸系樹脂組成物を製造する際、押出機で押出すことが困難(負荷が高く)になり、操業性が低下したりコストが高くなり好ましくない。
次に、本発明のポリ乳酸系樹脂発泡体は、上記したような本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなるものであり、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を発泡成形して得られるものである。本発明のポリ乳酸系樹脂発泡体は、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を用い、一般的な方法を適用して製造することが可能であり、シート状(発泡シート)、ストランド状(発泡ストランド)、粒子状(発泡粒子)等の発泡体とすることが好ましい。
また、本発明のポリ乳酸系樹脂発泡体は、シート状、ストランド状の発泡体を予熱した後、金型で成形した発泡成形体であってもよい。さらに、本発明のポリ乳酸系樹脂発泡体は、発泡粒子を型内発泡に供して2次発泡させた発泡成形体であってもよい。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物から発泡体を製造する方法について説明する。例えば、押出機を用いて、樹脂にあらかじめ樹脂の溶融温度で分解する分解型発泡剤をブレンドしておき、スリット状ノズルから押出してシート状にしたり、丸形ノズルから押出してストランド状にしたりすることができる。シート状やストランド状に発泡(一次発泡)させた発泡体をカットして発泡粒子としてもよい。
分解型発泡剤の例としては、アゾジカルボンアミドやバリウムアゾジカルボキシレートに代表されるアゾ化合物、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミンに代表されるニトロソ化合物、4,4′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)やヒドラジカルボンアミドに代表されるヒドラジン化合物、あるいは炭酸水素ナトリウムなどの無機系の発泡剤などを挙げることが出来る。また、押出機途中から揮発型発泡剤を注入して発泡することも可能である。この場合の発泡剤としては、窒素、二酸化炭素、水等の無機化合物や、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタンなどの各種炭化水素、フロン化合物、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、エタノールやメタノール等の各種アルコール類に代表される有機溶媒などを挙げることが出来る。
上記のようなシート状やストランド状の発泡体の製造に用いる押出機としては、公知慣用の発泡押出機を好適に使用できる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、複数の押出機を連結させたタンデム型の押出機が挙げられる。押出機のバレル(円筒部、シリンダ)は、樹脂組成物を溶融させる部分(溶融ゾーン)と、得られた発泡体を冷却させる部分(冷却ゾーン)を有していることが好ましい。
また、押出発泡の際に、ポリ乳酸系樹脂組成物とともに熱分解型化学発泡剤を供給し、押出機途中から物理発泡剤を注入して発泡させると、2次発泡性が向上するため好ましい。熱分解型化学発泡剤、物理発泡剤をそれぞれ単独で添加する場合と比較して、微細で独立した気泡を生成することが可能であるという利点がある。
また、発泡粒子を2次発泡させて発泡成形体を作製するためには、押出発泡直後の発泡体を速やかに冷却し、結晶化の進行を抑制することが好ましい。押出発泡直後の発泡体を冷却する方法としては、特に制限されず、水に浸けて冷却する方法、冷風を吹き付けて冷却する方法、冷却板と接触させて冷却する方法などが好ましく用いられる。
また、発泡粒子を得る方法としては、あらかじめ樹脂組成物の微粒子を作製し、炭化水素、有機溶媒、水など上記に示した発泡剤を加圧下にて含浸させた後、温度や圧力の変化で発泡させて発泡粒子を作製する方法も適用できる。
本発明のポリ乳酸系樹脂発泡体及び本発明のポリ乳酸系樹脂発泡体を用いて得られる発泡成形体は、その軽量性、耐熱性、断熱性、耐衝撃性、クッション性、遮音性を活かして包装材、梱包材、緩衝材、断熱材、保温材、保冷材、消音材、吸音材、防音材、制振材、建材、クッション材、資材、容器などに利用することができる。具体例としては、ソファ、ベッドマット、椅子、寝具、マットレス、電灯カバー、ぬいぐるみ、スリッパ、クッション、ヘルメット、カーペット、枕、靴、ポーチ、マット、クラッシュパッド、スポンジ、文具、玩具、DIY用品、パネル、畳芯材、マネキン、自動車内装部材・クッション、カーシート、デッドニング、ドアトリム、サンバイザー、自動車用制振材・吸音材、スポーツ用マット、フィットネス用品、スポーツ用プロテクター、ビート板、グラウンドフェンス、レジャーシート、医療用マットレス、医療用品、介護用品、リハビリ用品、建築用断熱材、建築目地材、面戸材、建築養生材、反射材、工業用トレー、チューブ、パイプカバー、エアコン断熱配管、ガスケット芯材、コンクリート型枠、土木目地、つらら防止パネル、保護材、軽量土、盛土、人工土壌、梱包材・包装資材、梱包資材、ラッピング、生鮮品・野菜・果物等の梱包材・包装材、電子機器等の梱包材・緩衝包装材、生鮮品・野菜・果物等の保温・保冷箱、カップラーメン・弁当箱等の食品容器、食用トレー、飲料容器、農業用資材、発泡模型、スピーカ用振動版などが挙げられる。
なお、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、発泡成形以外にも射出成形、ブロー成形、押出成形等の成形方法により、各種成形体とすることもできる。すなわち、射出成形してなる成形体、あるいは、押出し成形してなるフィルム、シート、および、これらフィルム、シートから加工してなる成形体、あるいは、ブロー成形してなる中空体、および、この中空体から加工してなる成形体などとすることができる。
これらの成形体の具体例としては、パソコン筐体部品および筐体、携帯電話筐体部品および筐体、その他OA機器筐体部品、コネクター類等の電化製品用樹脂部品;バンパー、インストルメントパネル、コンソールボックス、ガーニッシュ、ドアトリム、天井、フロア、エンジン周りのパネル等の自動車用樹脂部品をはじめ、コンテナーや栽培容器等の農業資材や農業機械用樹脂部品;浮きや水産加工品容器等の水産業務用樹脂部品;皿、コップ、スプーン等の食器や食品容器;注射器や点滴容器等の医療用樹脂部品;ドレーン材、フェンス、収納箱、工事用配電盤等の住宅・土木・建築材用樹脂部品;花壇用レンガ、植木鉢等の緑化材用樹脂部品;クーラーボックス、団扇、玩具等のレジャー・雑貨用樹脂部品;ボールペン、定規、クリップ等の文房具用樹脂部品等が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。実施例中の各種の物性値の測定及び評価は以下のとおりに行った。
(1)ポリ乳酸樹脂のD体含有量
得られた樹脂組成物を0.3g秤量し、1N−水酸化カリウム/メタノール溶液6mLに加え、65℃にて充分撹拌した。次いで、硫酸450μLを加えて、65℃にて撹拌し、ポリ乳酸を分解させ、サンプルとして5mLを計り取った。このサンプルに純水3mL、および、塩化メチレン13mLを混合して振り混ぜた。静置分離後、下部の有機層を約1.5mL採取し、孔径0.45μmのHPLC用ディスクフィルターでろ過後、HewletPackard製HP−6890SeriesGCsystemを用いてガスクロマトグラフィー測定した。乳酸メチルエステルの全ピーク面積に占めるD−乳酸メチルエステルのピーク面積の割合(%)を算出し、これをポリ乳酸樹脂のD体含有量(モル%)とした。
(2)ポリ乳酸樹脂(A)、ポリ乳酸系樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)
JIS K−7210(試験条件4)に従い、190℃、21.2Nの荷重において測定した。
(3)歪み硬化係数(a2/a1)
得られた樹脂組成物の伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度曲線において、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1)を算出した。伸長粘度は、伸長粘度測定装置RME(レオメトリック社製)を用い、60mm×7mm×1mmの試験片を作製し、その両端を金属ベルトクランプにより支持した後、樹脂組成物の融点よりも10℃高い温度で、歪み速度0.1sec−1で延伸させて測定サンプルに伸長変形を加え、変形中にピンチローラーにかかるトルクを検出することにより伸長粘度を求めた。図1を参照。
(4)発泡倍率
得られたポリ乳酸系樹脂組成物、発泡体及び発泡成形体の質量を測定し、次いでそれらの見かけ体積を、湿式電子比重計(アルファ・ミラージュ社製「EW−300SG」)を用いて測定した。質量と見かけ体積から見かけ密度を算出した。そして、発泡倍率を以下の式より求めた。
発泡体の発泡倍率=(ポリ乳酸系樹脂組成物の見かけ密度)/(発泡体の見かけ密度)
発泡成形体の発泡倍率=(ポリ乳酸系樹脂組成物の見かけ密度)/(発泡成形体の見かけ密度)
(5)結晶化速度指数(秒)
サンプル1:実施例1〜14、比較例1〜8で得られた発泡体(シート化したもの)を、真空・圧空成形機(浅野研究所製)を用い、シート温度が120℃になるよう予熱した後、直ちに金型温度90℃の金型を用いて、金型保持時間を細かく変化させて容器を複数成形した。
サンプル2:実施例15〜24、比較例9〜13において、120℃の水蒸気により加熱して型内発泡成形する際に、加熱時間を細かく変化させて発泡成形体(容器)を複数成形した。
サンプル1、2で得られた複数の容器に沸騰した湯を入れ、容器が変形せずに湯を保持可能であった容器のうち、最も金型保持時間又は加熱時間が短時間であったものの金型保持時間を結晶化速度指数とした。本指数は値が小さいほど結晶化速度が速いことを示す。
(6)結晶化度(%)
サンプル1:実施例1〜14、比較例1〜8で得られた発泡体(シート化したもの)を、真空・圧空成形機(浅野研究所製)を用い、シート温度が120℃になるよう予熱した後、直ちに金型温度90℃の金型を用いて、金型保持時間を15秒にして成形した容器。
サンプル2:実施例15〜24、比較例9〜13において、120℃の水蒸気により加熱して型内発泡成形を行って得られた発泡成形体(容器)。
サンプル1、2ともに容器の底の部分を、エックス線回折装置(理学電気工業社製RAD-rB)を用いて、WAXD反射フィルム法によって広角X線回折測定を行い、多重ピーク分離法で解析で得られた結晶部面積比率を用いて結晶化度を測定した。
(7)耐久性(日)
上記の結晶化度を測定するために成形した容器(サンプル1、2)を、50℃、95%RHの高温高湿度環境に曝した。該環境に曝した後、容器内に水を満杯に入れ、形を維持可能であった日数(該環境に曝した日数)をもって耐久性の指標とした。日数が長いほど耐久性が良い。
(8)耐熱性
上記の結晶化度を測定するために成形した容器(サンプル1、2)を、120℃のオーブン中で1時間熱処理した後の外観を目視にて観察し、以下の3段階で評価した。
○:変形なし
△:一部変形した箇所がある
×:容器の大部分が変形している
実施例、比較例に用いた各種原料は次の通りである。
〔ポリ乳酸樹脂(A)〕
・S−06:D体含有量=0.2%、MFR=4、重量平均分子量=15万(トヨタ自動車社製)
・S−12:D体含有量=0.1%、MFR=8、重量平均分子量=13.5万(トヨタ自動車社製)
・S−17:D体含有量=0.1%、MFR=11、重量平均分子量=12万(トヨタ自動車社製)
・A−1:D体含有量=0.6%、MFR=2、重量平均分子量=17万(トヨタ自動車社製)
・TE−4000:D体含有量=1.4%、MFR=10、重量平均分子量=13万(ユニチカ社製)
〔(メタ)アクリル酸エステル化合物〕
・PDE−50:日本油脂社製ブレンマーPDE−50(エチレングリコールジメタクリレート)
〔過酸化物〕
・パーD:日本油脂社製パーブチルD(ジ−t−ブチルパーオキサイド)
〔分散媒体(可塑剤)〕
・ATBC:田岡化学製ATBC(アセチルトリブチルサクシネート)
〔結晶核剤〕
・238B:トヨタ自動車社製(ポリ乳酸ベースの結晶核剤10%含有マスターバッチ)KX238B
・WX−1:川研ファインケミカル社製WX−1(N,N′−エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミド)
・TLA114:竹本油脂製TLA114(5−スルホイソフタル酸ジメチルバリウム)
〔反応性化合物〕
・LA−1:日清紡社製LA−1(イソシアネート基含有率1〜3%、イソシアネート変性カルボジイミド)
・EN−160:松本油脂製薬社製EN−160(N,N′−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド)
〔発泡核剤〕
・MW-HST:林化成社製MW-HST(平均粒径2.6ミクロン 微粉タルク)
・PTFE:AGC社製、ポリテトラフルオロエチレン粉末「Fluon ルブリカント L169E」(平均粒径17μm)
〔発泡剤〕
・炭酸ガス
・ADCA(化学発泡剤):永和化成工業社製、アゾジカルボンアミド「ビニホール AC#1C」(分解温度:199℃、メジアン径:7μm)
実施例1
ポリ乳酸樹脂(A)としてS−06を97.7質量部、発泡核剤としてMW-HSTを1.0質量部ドライブレンドして二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS型)の根元供給口から供給し、バレル温度200℃、スクリュー回転数200rpm、吐出15kg/hの条件で押し出した。混練機のほぼ中央付近より、(メタ)アクリル酸エステル化合物としてPDE−50と過酸化物としてパーDを用い、これらをATBCに溶解させた溶液(PDE−50/パーD/ATBC=1/2/7 質量比)を1.0質量部添加し、ベントを効かせながら押出し、ポリ乳酸系樹脂組成物を得た。
得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとし、70℃×24時間真空乾燥したのち、下記の条件で発泡シートを得た。まず、発泡剤として炭酸ガスを用い、連続押し出し発泡シート化装置(二軸混練機PCM−45(池貝製)、サークルダイのリップ巾0.7mm、ダイ孔径65mm)を用い、押し出し温度200℃、冷却ゾーン温度150℃、ダイ温度160℃、吐出量20Kg/hr、炭酸ガス濃度は変更しながら最大発泡倍率になる条件でシート化を行い、発泡体を得た。
実施例2〜3
ポリ乳酸樹脂(A)としてS−12、S−17を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にして発泡体を得た。
実施例4
結晶核剤としてTLA114を0.5質量部用い、ポリ乳酸樹脂と発泡核剤ともにドライブレンドして二軸押出機の根元供給口から供給した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にして発泡体を得た。
実施例5
PDE−50とパーDをATBCに溶解させた溶液の添加量を2.0質量部に変更した以外は、実施例4と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にして発泡体を得た。
実施例6〜8、比較例1
ポリ乳酸樹脂(A)としてS−12、S−17、A−1、TE−4000を用いた以外は、実施例4と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にして発泡体を得た。
実施例9
ポリ乳酸樹脂(A)としてS−17を用いた以外は、実施例5と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にして発泡体を得た。
実施例10〜12
結晶核剤の含有量を変更したり、結晶核剤の種類を238B、WX−1に変更した以外は、実施例9と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にして発泡体を得た。
実施例13〜14
反応性化合物として、LA−1やEN−160を1.0質量部用い、ポリ乳酸樹脂、発泡核剤、結晶核剤とともにドライブレンドして二軸押出機の根元供給口から供給した以外は、実施例9と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にして発泡体を得た。
比較例2
反応性化合物として、EN−160を1.0質量部用い、ポリ乳酸樹脂、発泡核剤、結晶核剤とともにドライブレンドして二軸押出機の根元供給口から供給した以外は、比較例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にして発泡体を得た。
比較例3
PDE−50とパーDを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にして発泡体を得た。
比較例4〜5
ポリ乳酸樹脂(A)としてTE−4000、S−17を用いた以外は、比較例3と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にして発泡体を得た。
比較例6
PDE−50とパーDを添加しなかった以外は、実施例4と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にして発泡体を得た。
比較例7
PDE−50とパーDを添加しなかった以外は、実施例7と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にして発泡体を得た。
比較例8
PDE−50とパーDを添加しなかった以外は、実施例14と同様にしてポリ乳酸系樹脂組成物を得た。そして、実施例1と同様にして発泡体を得た。
実施例1〜14、比較例1〜8で得られたポリ乳酸系樹脂組成物、発泡体の特性値及び評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜14で得られたポリ乳酸系樹脂組成物は、歪み硬化係数が本発明の範囲内であったため、発泡体成形プロセスに適した性能を有しており、操業性よく発泡体を得ることができた。また、結晶化が速いため、金型保持時間が短かった。そして、得られた発泡体は、結晶化度が高く、かつ発泡倍率も高いものであり、耐久性にも優れていた。中でも実施例13〜14のポリ乳酸系樹脂組成物は、カルボジイミド化合物が反応性化合物として配合されていたため、得られた発泡体は耐久性に特に優れていた。
一方、比較例1、2、4のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂のD体含有量が高いものであったため、結晶化速度が遅く、得られた発泡体は、結晶化度の低いものであった。また、比較例3、5〜8のポリ乳酸系樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル化合物が含有されていなかったため、歪み硬化係数が低く、結晶化速度が遅く、得られた発泡体は結晶化度の低いものであった。
実施例15
実施例1で得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとし、70℃×24時間真空乾燥したのち、下記の条件で発泡粒子を得た。連続押し出し発泡シート化装置(二軸混練機PCM−30(池貝製)、ダイ孔径1.0mm、孔数:30孔)を用い、ポリ乳酸系樹脂組成物99.5質量部と化学発泡剤ADCA0.5質量部をドライブレンドして供給した。溶融ゾーン温度210℃、冷却ゾーン温度150℃、ダイ温度160℃、吐出量20kg/h、濃度0.3質量%となるように炭酸ガスを押出機途中から注入しながら押し出しを実施した。ノズル出口より押出発泡したストランド形状の発泡体を水に浸して冷却した後、ペレタイザにより粒子状に加工し、直径2mmの発泡粒子を得た。
得られた発泡粒子を圧力容器に入れて、炭酸ガスを0.5MPaとなるように充填し、30℃にて1時間内圧付与した。圧力容器から取り出した発泡粒子を直ちに70℃に加熱し、予備発泡を実施した。得られた予備発泡粒子を、再び圧力容器中で内圧付与した後、取り出した予備発泡粒子を直ちに金型内に充填し、120℃の水蒸気で加熱して型内発泡成形を行い、発泡成形体(容器)を得た。
実施例16
実施例2で得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとした以外は、実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
実施例17
実施例3で得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとした以外は、実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
実施例18
実施例11で得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとした以外は、実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
実施例19
発泡核剤をMW-HSTよりPTFEに変更した以外は実施例11と同様にして得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとし、それ以外は実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
実施例20
実施例13で得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとした以外は、実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
実施例21
実施例14で得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとした以外は、実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
実施例22
反応性化合物として、EN−160を添加した以外は、実施例19と同様にして得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとし、それ以外は実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
実施例23
実施例8で得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとした以外は、実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
実施例24
実施例1で得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとし、連続押し出し発泡シート化装置に供給する際に、化学発泡剤ADCAをドライブレンドしなかった以外は、実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
比較例9
比較例1で得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとした以外は、実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
比較例10
発泡核剤をMW-HSTよりPTFEに変更した以外は比較例2と同様にして得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとし、それ以外は実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
比較例11
比較例4で得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとした以外は、実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
比較例12
比較例3で得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとした以外は、実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
比較例13
比較例7で得られたポリ乳酸系樹脂組成物をペレットとした以外は、実施例15と同様にして発泡粒子を得、発泡成形体(容器)を得た。
実施例15〜24、比較例9〜13で得られたポリ乳酸系樹脂組成物、発泡粒子、発泡成形体の特性値及び評価結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例15〜24で得られたポリ乳酸系樹脂組成物は、歪み硬化係数が本発明の範囲内であったため、発泡体成形プロセスに適した性能を有しており、操業性よく発泡粒子を得ることができた。また、結晶化が速いため型内成形における加熱時間が短かった。そして、実施例15〜24で得られた発泡粒子を用いて得られた発泡成形体は、結晶化度がいずれも高く、耐熱性に優れていた。
押出発泡の際にADCAを添加した実施例15〜23のポリ乳酸系樹脂組成物は、得られた発泡粒子を型内発泡成形する際の発泡性に優れ、得られた発泡成形体の発泡倍率が特に高かった。
実施例20〜22のポリ乳酸系樹脂組成物は、カルボジイミド化合物が末端封鎖剤として配合されていたため、得られた発泡成形体は耐久性に特に優れていた。
一方、比較例9〜11のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂のD体含有量が高いものであったため、得られた発泡成形体は、結晶化度が低く耐熱性に劣るものであった。また、比較例11〜13のポリ乳酸系樹脂組成物は、(メタ)アクリル酸エステル化合物が含有されていなかったため、結晶化速度が遅く、歪み硬化係数が低いものであった。そして、得られた発泡成形体は発泡倍率が低く、結晶化度が低く、耐熱性に劣るものであった。

Claims (3)

  1. 分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、又は1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有し、かつD体含有量が1.0モル%以下であるか、または99.0モル%以上であるポリ乳酸樹脂からなるポリ乳酸系樹脂組成物であって、ポリ乳酸系樹脂組成物の融点より10℃高い温度での伸長粘度測定で得られる時間−伸長粘度曲線において、屈曲点が現れるまでの伸長初期の線形領域の傾きa1と屈曲点以降の伸長後期の傾きa2との比(a2/a1、歪み硬化係数)が、1.3以上、50未満であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
  2. ポリ乳酸系樹脂組成物を構成するポリ乳酸樹脂のD体含有量が0.1〜0.6モル%であるか、または99.4〜99.9モル%である、請求項1記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリ乳酸系樹脂組成物からなるポリ乳酸系樹脂発泡体。

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