JP2023143671A - 流路形成装置、及び押出成形装置 - Google Patents

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【課題】高発泡倍率であり、表面の荒れによる外観不良を抑制した発泡シートを製造することができる流路形成装置の提供。【解決手段】少なくとも筒状の流路30を形成する第一の流路形成部材10及び第二の流路形成部材20を有する流路形成装置であって、前記第一の流路形成部材及び前記第二の流路形成部材によって形成される前記流路にプラスチック組成物を通過させることで、プラスチック組成物の成形を行い、前記第一の流路形成部材の流路形成面40、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面50の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRkが、1.0μm以上である流路形成装置である。【選択図】図1

Description

本発明は、流路形成装置、及び押出成形装置に関する。
プラスチックは、様々な製品形状に加工され広く流通している。またプラスチック組成物からなる発泡シートは、緩衝性を有しており、樹脂の使用量を抑えることでコストダウン及び軽量化につながるため、袋、容器等の製造物(樹脂成形品)等の原材料として広く利用されている。発泡シートの材料としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂が使用されている。
また近年、環境意識の高まりから発泡シートの原料を自然界で分解されやすい生分解性プラスチックに置き換えるための材料開発が盛んに行われている。
生分解性プラスチックの中でもポリ乳酸は、生分解性を有しつつ、かつその物性がプラスチックとして従来使用されているポリスチレン樹脂等に似た性質を有し、他の生分解性プラスチックよりも比較的高い融点、強靭性、耐薬品性等を有する点から、発泡シートの材料としてポリ乳酸の利用が検討されている。
摩擦抵抗や発泡シートの収縮による引取り抵抗を減少させて、低発泡倍率で低坪量のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造を可能とした熱可塑性樹脂発泡シート製造装置に用いるプラグの提供することを目的として、熱可塑性樹脂と発泡剤とを溶融混合して溶融混合物を押し出す押出機1と、該押出機の吐出口に取り付けられたダイ2と、ダイから押し出された発泡中間体を外周面に沿わせて進行させながら冷却して熱可塑性樹脂発泡シートを製造するプラグとを備えた熱可塑性樹脂発泡シート製造装置に用いるプラグにおいて、シート接触面であるプラグ外面にフッ素樹脂被膜層が設けられ、そのフッ素樹脂被膜層の算術平均粗さRaが0.5μm~4μmの範囲内であることを特徴とするプラグが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、高発泡倍率であり、表面の荒れによる外観不良を抑制した発泡シートを製造することができる流路形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の流路形成装置は、少なくとも筒状の流路を形成する第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材を有する流路形成装置であって、
前記第一の流路形成部材及び前記第二の流路形成部材によって形成される前記流路にプラスチック組成物を通過させることで、プラスチック組成物の成形を行い、
前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRkが、1.0μm以上である。
本発明によると、高発泡倍率であり、表面の荒れによる外観不良を抑制した発泡シートを製造することができる流路形成装置を提供することができる。
図1は、本発明における第一の実施形態の一例を示す概略断面図である。 図2は、連続式混練装置の一例を示す概略図である。 図3は、連続式発泡シート化装置の一例を示す概略図である。
(流路形成装置)
本発明の流路形成装置は、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRkは、1.0μm以上である。
従来技術では、溶融樹脂の流路の表面粗さRaを規定しているが、表面粗さRaを調整して発泡シートを製造したとしても、発泡倍率の低下が生じ、コルゲート状のしわによる外観不良が発生するという問題があった。
本発明では、いかなる発泡剤を用いた製造装置においても、発泡開始を自在に制御することがコルゲート状のしわの抑制に効果的であることに着目した。
発泡の制御方法としては圧力、温度、時間、雰囲気、発泡剤濃度、種類、分散性、溶解度制御、フィラーの濃度、フィラーの分散性、プラスチックの分子量分布等が挙げられるが、これらを包括的に鋭意検討した結果、流路形成装置における流路の内表面の表面粗さパラメータRkが1.0μm以上である流路形成装置を用いたところ、発泡倍率低下及びコルゲート状のしわによる表面の荒れ等の外観不良の抑制を両立した発泡シートを製造できることを見出した。
これは、発泡直前のプラスチック組成物の流動抵抗を高めることで流路形成装置の内圧を保つことができ、これによりプラスチック組成物の異常発泡を抑制することができることが効果を奏したものである。Rkパラメータは、断面形状の全体のうち極端に突出した山部と極端に突出した谷部を除いた部分の高さを示しているため、Rkで示される間隙に実質的にプラスチック組成物が入り込み摩擦を高めることに使用できる間隙である。また、間隙に発泡剤などに由来する気体が入り込むことによって組成物を浮上させる力とそれによる摩擦低減現象も同時に起きていると考えられ、これらの効果はRaをはじめとした他の表面粗さパラメータ(特に、JISB0601:2001に規定される吐出谷部高さ(Vvv)、ISO25178に規定される吐出谷部空間体積(Rvk)等)で顕著に示されるため、摩擦力を高めるためにはそれらを差し引いたパラメータが必要であり、その中でも特にRkがある程度大きいことが必要であることを見出したものである。
以下、本発明を図1に示した実施の形態により詳細に説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
図1に示す例において、本発明の流路形成装置は、第一の流路形成部材10と、第一の流路形成部材10と対向する第二の流路形成部材20と、前記第一の流路形成部材10及び前記第二の流路形成部材20の間に形成される流路30とを有する。
前記流路30中を、少なくとも1種類のプラスチックを含むプラスチック組成物を通過させることで、プラスチック組成物の成形を行うことができる。
前記第一の流路形成部材10は、前記流路30を形成する流路形成面40を有し、前記第二の流路形成部材20は、前記流路30を形成する流路形成面50を有する。
前記流路形成面40及び前記流路形成面50の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRkとしては、1.0μm以上であり、1.0μm以上6.3μm以下であることが好ましい。前記表面粗さパラメータRkが1.0μm以上であると、発泡倍率が高い発泡シートを得ることができる。
前記表面粗さパラメータRkとは、表面の断面形状の全体のうち極端に突出した山部と極端に突出した谷部を除いた部分の高さを表す指標であり、JIS B0671-2:2002規格に基づくパラメータである。
前記流路形成面40及び前記流路形成面50の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRpkとしては、0.45μm以上6.4μm以下が好ましい。前記表面粗さパラメータRpkが0.45μm以上であると、コルゲート状のしわを発生させずに、発泡シートの最大発泡倍率を高めることができる。前記表面粗さパラメータRpkが6.4μm以下であると、発泡シートの表面に荒れや破泡痕が発生しにくくなる。
前記表面粗さパラメータRpkとは、表面の断面形状から極端に吐出した山分の高さを表す指標であり、JIS B0671-2:2002規格に基づくパラメータである。
前記流路形成面40及び前記流路形成面50の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRSmとしては、55μm以上200μm以下が好ましい。前記表面粗さパラメータRSmが55μm以上であると、コルゲート状のしわを発生させずに、発泡シートの最大発泡倍率を高めることができる。前記表面粗さパラメータRSmが200μm以下であると、発泡シートの表面に荒れや破泡痕が発生しにくくなる。
前記表面粗さパラメータRSmとは、表面の粗さ曲線要素の平均長さを表す指標であり、JIS B0601:2013規格に基づくパラメータである。
前記流路形成面40及び前記流路形成面50としては、前記表面粗さパラメータRkが1.0μm以上6.3μm以下であり、かつ、前記表面粗さパラメータRpkが0.45μm以上6.4μm以下であることが好ましい。これにより、コルゲート状のしわを発生させずに、発泡シートの最大発泡倍率を高めることができ、発泡シートの表面の荒れや破泡痕の発生を防ぐことができる。
前記流路形成面40及び前記流路形成面50としては、前記表面粗さパラメータRkが1.0μm以上6.3μm以下であり、かつ、前記表面粗さパラメータRSmが55μm以上200μm以下であることが好ましい。これにより、コルゲート状のしわを発生させずに、発泡シートの最大発泡倍率を高めることができ、発泡シートの表面の荒れや破泡痕の発生を防ぐことができる。
前記流路形成面4及び前記流路形成面5としては、前記表面粗さパラメータRpkが0.45μm以上6.4μm以下であり、かつ、前記表面粗さパラメータRSmが55μm以上200μm以下であることが好ましい。これにより、コルゲート状のしわを発生させずに、発泡シートの最大発泡倍率を高めることができ、発泡シートの表面の荒れや破泡痕の発生を防ぐことができる。
前記流路形成面40及び前記流路形成面50としては、前記表面粗さパラメータRkが1.0μm以上6.3μm以下であり、かつ、前記表面粗さパラメータRpkが0.45μm以上6.4μm以下であり、かつ、前記表面粗さパラメータRSmが55μm以上200μm以下であることが好ましい。これにより、コルゲート状のしわを発生させずに、発泡シートの最大発泡倍率を高めることができ、発泡シートの表面の荒れや破泡痕の発生を防ぐことができる。
前記表面粗さパラメータRk、Rpk、RSm、Raの測定方法としては、特に制限はなく、例えば、キーエンス製VK-X250、ミツトヨ製SJ-210等のポータブル粗さ計などを用いて測定することができる。具体的には、キーエンス製VK-X250を用いて下記測定条件によって測定することができる。なお、下記に準ずる測定条件でありかつ器差の相関関係がある場合これをあらかじめ把握していればこれに限られるものではない。
[測定条件]
・測定装置:キーエンス製VK-X250
・明るさ:自動設定
・ダブルスキャン(自動)
・測定モード:表面形状モード
・解像度:1024x768
・高精度モード
・RPD:設定なし
・測定高さピッチ:0.1μm
・単視野(画像結合なし)
・X20対物レンズ使用
[画像処理/計測]
・平面補正:「基準面補正(全領域)」
・曲面補正:「面形状うねり補正強さ3」
・結束点除去
・垂直線にて計20本測定(線粗さは20箇所の平均値を用いたが、面粗さが定義されているパラメータについてはこれで代用しても構わない)
・粗さ計測:カットオフはλs、λcとも無し、終端補正実施とする
・測定時の視野範囲:計測長さ方向が約536μm、計測長さ直行方向が約714μm
前記流路形成面40及び前記流路形成面50の少なくともいずれかのHRC硬度としては、28以上が好ましい。前記HRC硬度が28以上であると、高発泡倍率、かつ表面の荒れによる外観不良の抑制が持続するため、メンテナンスコストの低い装置を提供することができる。
前記HRC硬度の測定方法としては、JISZ2245に準拠した方法により測定することができる。
前記HRC硬度の測定方法は、破壊試験であることから最表面のHRC硬度を正しく推定することができるという確認があらかじめできている場合に限り、他の硬さ指標や引張試験強度を参考にしてもよいし、材料の抜き取り検査値でもよい。
前記流路形成面40及び前記流路形成面50の水に対する接触角としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60°以上105°以下が好ましい。前記接触角が60°以上であると、発泡シートの表面に荒れや破泡痕が発生しにくくなる。前記接触角が105°以下であると、発泡シートの表面に荒れや破泡痕が発生しにくくなるほか、押出機の圧力が安定する。
前記接触角の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、JISR3257に準拠した方法により測定することができる。
前記流路形成装置における前記第一の流路形成部材及び前記第二の流路形成部材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、鋼、アルミニウム、プラスチック、ステンレス鋼、プリハードン鋼、超硬合金、ハイス、つまりS45C、S50C、S55C、A5052、SS400、SUS304、SUS316、SUS420、SKD11、SKH51、HPM-38、SCM415、SCM435、SCM440などが挙げられる。また、これらは、各種のコーティング、例えば、ハードクロムメッキ処理、無電解ニッケルメッキ処理、アルマイト処理、黒染め、パーカー、炭化物製膜、窒化物製膜、酸化物製膜、DLC処理、シリコ-ン性離型処理、フッ素性離型処理、つまりCr、Ni、Ni-P、アモルファスアルミナ、結晶化アルミナ、ジルコニア、TiC、TiCN、TiN、WC、PTFE、ETFE、FEP、PCTFE、PFA、PVDFや、これらを複合させたもの、これらにプラスチックの機能性助剤を複合させたものをコーティングしたものなどが挙げられる。これらの中でも、ハードクロムメッキ処理が好ましい。これにより、コルゲート状のしわを発生させずに、発泡シートの最大発泡倍率を高めることができ、発泡シートの表面の荒れや破泡痕の発生を防ぐことができる。
前記流路形成装置における前記流路の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円筒状、多角柱状、ラッパ状などが挙げられる。
また、流路形成装置(以下、「金型」と称することがある)の方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Tダイ、フラットダイ、シームレスダイ、サーキュラーダイなどが挙げられる。これらの中でも、発泡倍率が高くコルゲートのないシートを得る観点からシームレスダイが好ましく、サーキュラーダイがより好ましい。
前記流路形成装置における前記流路の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記流路の形状に関わらず、吐出部先端の直径が70mm以上160mm以下であることが好ましい。これにより、実用的な発泡倍率範囲である約5倍~30倍のシートをコルゲートなく製造しやすくなるとともに、最終製品のシート幅を市場で要求されるシート幅である300mm以上1,300mm以下に対応させることが可能となる。
前記流路形成装置における前記流路形成面の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サンドブラストなどが挙げられる。前記形成方法としては、前記サンドブラスト以外にも、例えば、電気分解、化学エッチング、旋盤などの機械加工等の方法も挙げられる。
前記サンドブラストとしては、エアーを用いる場合、施工時間、噴射圧力、ワークとの距離、加工角度、メディア形状、メディア材質等の制御により粗さを制御できることが知られている。
前記サンドブラストとしては、ワークの最表面の硬度、施工設備の構成、メディアの劣化度合い、ノズル形状等の環境影響を受けるが、例えば、噴射圧力を増やすことで表面粗さが増加するといった関係があることから、製品と同様の素材から成るテストピース等を用いた試作を繰り返すことにより任意の粗さを得ることができる。
<プラスチック組成物>
前記プラスチック組成物としては、少なくとも1種類のプラスチック樹脂を含有し、フィラー、発泡剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有することができる。なお、前記プラスチック組成物としては、発泡させた後のプラスチック組成物である。
-プラスチック樹脂-
前記プラスチック樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、ポリ-p-メチルスチレン等のスチレン系単独重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体等のスチレン系共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンオキシドとの混合物等のスチレン系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート・3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート・3-ヒドロキシバリレート)、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリ(ブチレンサクシネート・アジペート)等の脂肪族ポリエステル樹脂などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、低環境負荷高分子材料である脂肪族ポリエステル樹脂が好ましく、カーボンニュートラルな材料でありかつ比較的安価であるポリ乳酸がより好ましい。
なお、脂肪族ポリエステル樹脂としては、アルコール成分又はこれらの誘導体と酸成分又はこれらの誘導体とを用いて合成されるものを使用してもよく、市販品を使用してもよい。
前記ポリ乳酸としては、例えば、D-乳酸及びL-乳酸の共重合体、D-乳酸(D体)又はL-乳酸(L体)のいずれか一方の単独重合体、D-ラクチド(D体)、L-ラクチド(L体)及びDL-ラクチドからなる群より選ばれる少なくとも1種のラクチドの開環重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、ポリ乳酸は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記ポリ乳酸を構成する乳酸のD体:L体比は特に限定されないが、ポリ乳酸を構成する乳酸のD体及びL体のどちらか一方が該ポリ乳酸中95mol%以上であることが好ましい。D体及びL体のどちらか一方の光学異性体のみからなるポリ乳酸を用いてもよい。この範囲に含まれるポリ乳酸は結晶性が高く、このようなポリ乳酸を使用して製造した発泡シートは耐熱性が期待でき、食品用途などに好適である。
前記プラスチック樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記プラスチック組成物の全量に対して90質量%以上が好ましい。
前記プラスチック樹脂の含有量の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、JIS K7250-1に準拠して求めた灰分から樹脂成分の重量率を求めることによって測定することができる。
-フィラー-
前記フィラー(以下、「発泡核材」と称することがある)は、プラスチック組成物の発泡状態(泡の大きさ、量、配置等)の調節、低コスト化、強度の向を目的として含有される。
前記フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、無機系フィラー、有機系フィラーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記無機系フィラーとしては、例えば、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、層状珪酸
塩、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウ
ム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグ
ネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライ
ト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸
カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。これらの中でも、後述する圧縮性流体との親和性が高い点から、シリカが好ましい。また、シリカ以外のフィラーをベースとして用いる場合は、シリカで表面処理されたフィラーが好ましい。
前記有機系フィラーとしては、澱粉、セルロース、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマー、ソルビトール化合物、安息香酸、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物などが挙げられる。これらの中でも、低環境負荷の点から、セルロースが好ましい。
-発泡剤-
前記発泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の低級アルカン等の炭化水素類、ジメチルエーテル等のエーテル類、メチルクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化炭化水素類、二酸化炭素、窒素等の圧縮性ガスなどの物理発泡剤などが挙げられる。これらの中でも、臭気がなく、安全に取り扱え、低環境負荷である点から、二酸化炭素や窒素などの圧縮性ガスが好ましい。
前記発泡剤を含有することで、高い発泡倍率のプラスチック発泡シートが得られる。
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、架橋剤、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤などが挙げられる。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エポキシ化合物及びイソシアネート化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、エポキシ化合物がより好ましい。
このような架橋剤を含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いて作製した発泡シートは、気泡の合一及び破泡を抑制でき、発泡倍率を向上させることができる。
(発泡シート)
本発明の発泡シートは、本発明におけるプラスチック組成物を発泡させて得られ、脂肪族ポリエステル樹脂組成物を発泡させた後の状態をいう。
発泡シートの発泡倍率は、2倍~50倍が好ましく、5倍~40倍がより好ましく、10倍~30倍が更に好ましい。発泡倍率が2倍を下回ると強度は十分であるものの軽量性に劣るため好ましくなく、発泡倍率が20倍を超えると軽量性には優れるが強度が不十分であるため好ましくない。
発泡シートの発泡倍率の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浮力式比重測定装置などによって測定することができる。また、発泡シートのかさ密度と真密度を測定し、次式、発泡倍率=真密度[g/cm]/かさ密度[g/cm]、により発泡倍率を求めることもできる。
本発明の発泡シートは揮発成分を実質含まないことが好ましい。揮発成分が実質含まれていないことにより、寸法安定性が向上することに加え、人体や環境に与える影響を低減できる。揮発成分としては、例えば、有機溶剤やブタンなどの発泡剤が挙げられる。
本発明では、後述するように、圧縮性流体として用いられる例えば二酸化炭素(CO)等が発泡剤としての機能も担うことができる。このため、圧縮性流体として二酸化炭素等を使用する場合、発泡剤として揮発成分が使用されることを回避でき、発泡シートに揮発成分が実質含まれない状態にしやすくなる。「実質含まれない」とは、以下のような分析にて検出下限以下となることである。
発泡シートの一部を試料とし、試料1質量部に2-プロパノール2質量部を加え、超音波で30分間分散させた後、冷蔵庫(5℃)にて1日以上保存し、揮発成分の抽出液を得る。前記揮発成分の抽出液をガスクロマトグラフィ(GC-14A、株式会社島津製作所製)で分析し、発泡シート中の揮発成分を定量する。測定条件は以下の通りである。
[測定条件]
・装置:島津GC-14A
・カラム:CBP20-M 50-0.25
・検出器:FID
・注入量:1μL~5μL
・キャリアガス:He 2.5kg/cm
・水素流量:0.6kg/cm
・空気流量:0.5kg/cm
・チャートスピード:5mm/min
・感度:Range101×Atten20
・カラム温度:40℃
・Injection Temp:150℃
即ち、本発明の発泡シートは、下記測定を行った際に、1atmでの沸点が-20℃以上150℃未満の有機化合物が検出されないことが好ましい。
[測定]
前記発泡シートの一部を溶剤に分散させ、揮発成分の抽出液を上記条件のガスクロマトグラフィで測定し、有機化合物を定量する。
発泡シートに対して上記測定を行った際に有機化合物が検出されないようにするには、上述のように、本発明の発泡シートは発泡剤としてCO等の有機化合物以外を使用でき、例えばこのようにすることで揮発成分の含有量を実質0質量%にできる。有機化合物が検出されない発泡シートにすることで、臭気等を発生することなく安全に扱うことができる。
(押出成形装置、及び押出成形方法)
押出成形方法は、押出成形工程、更に必要に応じて混練工程及び発泡工程を含み等のその他の工程を含む。なお、混練工程と発泡工程は、同時に行ってもよく、別々の工程として行ってもよい。
前記押出成形方法としては、本発明の押出成形装置によって実行することができる。
前記押出成形装置としては、流路形成装置と押出成形手段とを有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
<押出成形手段、及び押出成形工程>
押出成形工程は、前記流路形成装置の前記流路にプラスチック組成物を通過させて、プラスチックを押出成形する工程である。
前記押出成形工程は、前記押出成形手段によって実行することができる。
<混練装置、及び混練工程>
混練工程は、圧縮性流体の存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂と架橋剤を前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度で混練して脂肪族ポリエステル樹脂組成物を得る工程である。
混練工程は、混練装置によって実行することができる。
脂肪族ポリエステル樹脂は、融点以降で急激に溶融粘度が低下する性質があるため、添加物を混練によって樹脂内部へ分散させようとしても、添加物が凝集しやすく困難である。
また、脂肪族ポリエステル樹脂と架橋剤とを高温で混練した場合には、架橋反応が加速され、脂肪族ポリエステル樹脂が高分子化し樹脂組成物のゲル分率の上昇につながる。
圧縮性流体を含浸させることで融点より低い温度の高粘度状態で混練が可能になり、未反応の架橋剤を脂肪族ポリエステル樹脂内に分散させることができる。即ち、圧縮性流体の存在下において脂肪族ポリエステル樹脂を混練した後、架橋剤を添加し混練して樹脂組成物を得る。
例えば、脂肪族ポリエステル樹脂組成物の混練、特にポリ乳酸と添加剤との混練に圧縮性流体が活用できないか鋭意検討した結果、本発明者は圧縮性流体存在下において、ポリ乳酸の融点より低い温度であれば、ポリ乳酸の粘度を混練に適した粘度とすることができ、添加剤を均一に分散できることを見出した。これまで、ポリ乳酸と添加剤の混練に際しては、ポリ乳酸の融点以上の溶融粘度が低い領域でしか混練ができなかったのに対し、本発明では、圧縮性流体を用いてポリ乳酸の融点より低い温度の高粘度状態で混練することができるため、架橋剤の分散性を一層向上させることができる。
-圧縮性流体-
圧縮性流体の状態で用いることができる物質としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、メタン、エタン、プロパン、2,3-ジメチルブタン、エチレン、ジメチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点で好ましい。これらの圧縮性流体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ここで、図2を用いて、脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造に用いられる圧縮性流体について説明する。図2は、圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。本実施形態における「圧縮性流体」とは、物質が、図2に示す(1)、(2)、(3)のいずれかの領域に存在するときの状態を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮しない流体のことである。また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、圧力が臨界圧力(Pc)の1/2(1/2Pc)以上の高圧ガスを表す。
樹脂種と圧縮性流体の組み合わせ、温度、圧力によって、圧縮性流体の溶解度が変わるため、圧縮性流体の供給量は適宜調整する必要がある。
例えば、ポリ乳酸と二酸化炭素の組み合わせであれば、2質量%以上30質量%以下が好ましい。二酸化炭素の供給量が2質量%以上であると、可塑化の効果は限定的になるという不具合を防止できる。二酸化炭素の供給量が30質量%以下であると、二酸化炭素とポリ乳酸が相分離するという不具合から、架橋剤を十分に分散できない。
-混練装置-
脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造に用いられる混練装置としては、連続プロセスを採用することもできるし、回分式プロセスを採用することもできるが、装置効率や製品の特性、品質等を勘案し適宜、反応プロセスを選択することが好ましい。
混練装置としては、混練に好適な粘度に対応できる点から、一軸の押し出し機、二軸の押し出し機、ニーダー、無軸籠型撹拌槽、住友重機株式会社製バイボラック、三菱重工業株式会社製N-SCR、株式会社日立製作所製めがね翼、格子翼又はケニックス式、ズルツァー式SMLXタイプスタチックミキサー具備管型重合槽などを使用できる。色調の点から、セルフクリーニング式の重合装置であるフィニッシャー、N-SCR、二軸押し出しルーダーなどが挙げられる。これらの中でも、生産効率、樹脂の色調、安定性、及び耐熱性の点から、フィニッシャー、N-SCRが好ましい。
混練装置の一例を図3に示す。図3の連続式混練装置100としては、例えば2軸押出機(JSW社製)を用いることができる。例えば、スクリュー口径42mm、L/D=48とする。本例では、第一の供給部1と第二の供給部2から原材料混合・溶融エリアaに例えばポリ乳酸、架橋剤等の原材料が供給され、混合・溶融される。混合・溶融された原材料は圧縮性流体供給エリアbで圧縮性流体供給部3により圧縮性流体が供給される。次いで、混練エリアcにて混練される。次いで、圧縮性流体除去エリアdにて圧縮性流体が除去された後、成型加工エリアeで例えばペレットにされる。
このようにして作られた脂肪族ポリエステル樹脂組成物を発泡シート製造時の前駆体として使用する場合には、マスターバッチと称すことがある。なお、ペレット化等の加工を加えた脂肪族ポリエステル樹脂組成物もマスターバッチと称してもよい。
なお、圧縮性流体(液体材料)は例えば計量ポンプで供給し、また樹脂ペレットや架橋剤などの固体の原材料は例えば定量フィーダーで供給する。
-原材料混合・溶融エリアa-
原材料混合・溶融エリアでは、樹脂ペレットの昇温を行う。また、高温でも反応しない添加剤(発泡核材)であれば、樹脂と混合することもできる。加熱温度は樹脂の溶融温度以上に設定を行い、続く圧縮性流体を供給するエリアで、圧縮性流体と均一に混合できる状態にする。
-圧縮性流体供給エリアb-
樹脂ペレットが加温により溶融状態となったところに、圧縮性流体を供給し、溶融樹脂を可塑化させる。
-混練エリアc-
混練エリアは樹脂組成物の混練に好適な粘度となるように温度設定を行う。設定温度は、反応装置の仕様や樹脂種、樹脂の構造、分子量などで変わるため、特に限定するものではなく適宜変更できる。例えば、重量平均分子量(Mw)200,000程度の市販されているポリ乳酸の場合、通常の混練はポリ乳酸の融点+10℃~20℃で行われる。
これに対して、本発明では、ポリ乳酸の融点より低い温度で混練することを特徴とし、融点より低い温度での比較的高い粘度で混練することが可能である。融点より低い温度であれば特に限定されないが、このエリアで混合させる架橋剤の架橋反応進行を抑制するため、融点から-30℃~-80℃が好ましい。
-圧縮性流体除去エリアd-
圧縮性流体除去エリアdでは、押出機に設けた圧力弁を開放して、圧縮性流体を外部に排出する。
-成型加工エリアe-
成型加工エリアeでは、脂肪族ポリエステル樹脂組成物を、ペレット等の適宜任意の形状を有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物に成形加工する。
押出機内の各エリアの圧力は、適宜設定可能であり、例えば、圧縮性流体供給エリアbから圧縮性流体除去エリアdの圧力は、7Mpaにできる。
<発泡工程>
発泡工程は、脂肪族ポリエステル樹脂組成物から圧縮性流体を除去するときに前記脂肪族ポリエステル樹脂組成物を発泡させる工程である。
発泡工程は、圧縮性流体を除去して脂肪族ポリエステル組成物(ポリ乳酸組成物)を発泡させる工程である。
圧縮性流体は大気下では徐々に空気と置換され、発泡シートから除去することができる。例えば組成物を大気に開放することにより、圧縮性流体を除去することができる。発泡工程の際の温度としては、ポリ乳酸樹脂の融点近傍に加温することが好ましい。
発泡工程においては、脂肪族ポリエステル組成物に溶解していた圧縮性流体が、減圧や加温など圧縮性流体の溶解度を低下し過飽和とする操作に対して、主として発泡核材との界面で発泡核を形成し、前記発泡核に、脂肪族ポリエステル組成物に溶解している圧縮性流体が拡散することで前記発泡核が気泡へと成長し、発泡体が得られるものと理解されている。発泡核材を起点に発泡するため、発泡核材がポリ乳酸中に均一に分散されて初めて、均一かつ微細な発泡を有する発泡シートを製造できる。発泡核材を用いない場合であっても、混練エリアで生じた少量の結晶が実質的に発泡核材として作用するという理由により、均一かつ微細な発泡を有する発泡シートを製造できる。しかし、過度に結晶化が進行すると組成物の流動性を低下させ、発泡そのものが困難となる可能性があることから、発泡核材を添加する方が好ましい。
<発泡シート化装置>
次に、発泡シート化装置により発泡シートを作製する。発泡シート化装置としては、例えば上記の混練装置で例示した装置を使用することができる。混練装置と発泡シート化装置を1つの装置としてもよいし、別々の装置としてもよい。
発泡シート化装置の一例を図3に示す。連続式発泡シート化装置110としては、上記と同様に例えば2軸押出機を用いることができる。連続式発泡シート化装置110では、例えば第一の供給部1と第二の供給部2から原材料混合・溶融エリアaにマスターバッチ、樹脂、発泡核材等の原材料が供給され、混合・溶融される。混合・溶融された原材料は圧縮性流体供給エリアbで圧縮性流体供給部3により圧縮性流体が供給される。
次いで、混練エリアcで混練され、脂肪族ポリエステル組成物を得る。更に、加熱エリアdに供給され、加熱エリアdでは加熱、混練を行い、その後、例えば大気開放することにより押出発泡させる。押出発泡された発泡シート4をマンドレル上に沿わせて巻き取る。
連続式発泡シート化装置110において、原材料混合・溶融エリアa、圧縮性流体供給エリアb、混練エリアcを第一押出機とも称し、加熱エリアdを第二押出機とも称する。本例では、混合、溶融、混練された原材料が第一押出機により第二押出機に押し出され、第二押出機により発泡シートが押出発泡される。第二押出機では、例えばサーキュラーダイを用いることができる。
本例では、混練装置と発泡シート化装置の第一押出機により混練工程を行い、発泡シート化装置の第二押出機により後述の発泡工程を行っている。しかし、本発明ではこのような構成に制限されるものではない。例えば混練工程と発泡工程を行う領域を適宜変更することができる。
―原材料混合・溶融エリアa―
原材料混合・溶融エリアでは、マスターバッチ、添加剤、樹脂ペレット等の混合と昇温を行う。マスターバッチに含まれる架橋剤濃度が高い場合には、樹脂成分を追加して混練することで、架橋剤濃度を適当な値に調整する。使用する樹脂の種類は特に制限されず、上述した脂肪族ポリエステル樹脂を使用することができる。マスターバッチ中の樹脂と同じものを採用すれば、混練工程で樹脂が均一に混ざり合い、含有する未反応の架橋剤も均一に分散するため好適である。
使用できる添加剤は特に制限されないが、発泡核材、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤などが挙げられる。また、マスターバッチには既に架橋剤が含まれているが、更に架橋剤を追加してもよい。使用する架橋剤及び添加剤の種類は特に制限されず、脂肪族ポリエステル組成物の架橋剤及び添加剤として上述したものなどを使用することができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
発泡核材は混練工程で樹脂に均一に分散させることで、均一で微細な発泡が望める。また、発泡シートの気泡径、及び数密度などを調節するほか、結晶性を向上するためにも含有される。
架橋剤は、樹脂の高分子化によるシートの高発泡倍率化や均一化のために必須である。
上記の理由から高発泡倍率かつ均一な発泡シートを製造するためには、発泡シートには発泡核材と架橋剤を含むことが好ましい。
上記の添加剤を添加するタイミングは問わない。ただし添加のタイミングは問わないため、一例として、発泡核材は脂肪族ポリエステル組成物の製造時の混練工程で添加しても、発泡シート製造時の混練工程で添加してもよく、更には両方の混練工程で添加することも可能である。
発泡シート中の架橋剤量としては、用いる樹脂の分子量や樹脂の分子量分布によっても異なる。特に脂肪族ポリエステル樹脂として生分解性樹脂を使用する場合には、生分解性を損なわないために3質量%以下に調整することが好ましい。
発泡シート中の発泡核材量としては、3質量部以下に調節することが好ましい。3質量部を超えると、発泡シートの物性が硬くもろくなる可能性がある。特に脂肪族ポリエステル樹脂として生分解性樹脂を使用する場合には、生分解性のない発泡核材の含有量はより少ない方が好ましく、1質量部以下に調節することがより好ましい。
また、脂肪族ポリエステル樹脂として生分解性樹脂を使用する場合には、生分解性及びリサイクル性(リサイクルが容易となる)の観点から、生分解性樹脂が発泡シート中の有機物の総量に対して98質量%以上であることが好ましい。98質量%以上であると、ポリ乳酸が生分解しても、生分解しないその他の成分が残存する不具合を防止できる。98質量%未満であると良好な生分解性が得られない。
発泡シート中の有機物としては、主にポリ乳酸などの生分解性樹脂が該当し、ポリ乳酸以外としては、例えば有機系核材、架橋剤等が挙げられる。発泡核材として無機系核材を用いた場合、無機系核材は前記有機物には該当しない。
-ポリ乳酸の含有割合の測定方法-
ポリ乳酸の含有割合は、仕込む材料の割合から算出できる。もし材料比率が不明な場合は、例えば、以下のGCMS分析を行い、既知のポリ乳酸を標準試料とした比較により成分を特定することができる。必要に応じて、NMR測定によるスペクトルの面積比やその他の分析方法も組み合わせて算出することが可能である。
[GCMS分析による測定]
・GCMS:株式会社島津製作所製 QP2010 補器 フロンティア・ラボPy3030D
・分離カラム:フロンティア・ラボUltra ALLOY UA5-30M-0.25F
・試料加熱温度:300℃
・カラムオーブン温度:50℃(1分保持)~昇温度15℃/分~320℃(6分)
・イオン化法:Electron Ionization(E.I)法
・検出質量範囲:25~700(m/z)
補足すると、発泡シート中のポリ乳酸の含有割合は、例えば、ガスクロマトグラフィ質量分析法(GC-MS)を用いた分析を行い、既知のポリ乳酸を標準試料とし検量線をあらかじめ求めることで、発泡シート中のポリ乳酸の比率を求めることができる。また、この際、マススペクトルのライブラリ検索により有機核剤が同定された場合は、検量線を作製することで、添加量の定量することも可能である。必要に応じて、NMR測定によるスペクトルの面積比やその他の分析方法も組み合わせて算出することが可能である。
―圧縮性流体供給エリアb―
<<発泡シート製造時の混練工程で使用する圧縮性流体>>
発泡シート製造時の混練工程でも、脂肪族ポリエステル樹脂の混練工程について上述したものと同様の圧縮性流体を使用できる。これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点で好ましい。これらの圧縮性流体は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
また、圧縮性流体は種類等によっては発泡剤としての機能も担うことができる。発泡シートを作製する際には通常、発泡剤を用いるが、二酸化炭素や窒素などの圧縮性流体を発泡剤として使用する場合、混練と発泡を一連のプロセスで実施できるため、環境負荷低減の観点でより製造形態として好ましい。
樹脂種と圧縮性流体の組み合わせ、温度、圧力によって、圧縮性流体の溶解度が変わるため、圧縮性流体の供給量は適宜調整する必要がある。例えば、ポリ乳酸と二酸化炭素の組み合わせであれば、脂肪族ポリエステル樹脂組成物(ポリ乳酸及び、必要に応じて発泡核材、架橋剤等を含む)を100質量部としたとき、二酸化炭素の供給量は2質量%以上30質量%以下が好ましい。二酸化炭素の供給量が2質量%以上であると、可塑化の効果は限定的になるという不具合を防止できる。二酸化炭素の供給量が30質量%以下であると、二酸化炭素とポリ乳酸が相分離し、均一な厚みの発泡シートを得ることができないという不具合を防止できる。
また、得られた発泡シートには揮発成分が有機溶剤やブタンなどの発泡剤であると、人体や環境へ影響を与える可能性がある。これらの揮発成分は実質含まれないことが望ましい。発泡剤としての機能も担える二酸化炭素や窒素等の圧縮性流体はシート製造後速やかに発泡シートから大気中へ拡散するため、発泡シートに揮発成分が実質含まれない状態にしやすくなる。実質とは、以下のような分析にて検出下限以下となることである。
測定対象となる脂肪族ポリエステル樹脂組成物1質量部に2-プロパノール2質量部を加え、超音波で30分間分散させた後、冷蔵庫(5℃)にて1日以上保存し、脂肪族ポリエステル樹脂組成物中の揮発成分を抽出する。
保存した分散物の上澄み液をガスクロマトグラフィ(GC-14A、株式会社島津製作所製)で分析し、脂肪族ポリエステル樹脂組成物中の揮発成分を定量する。測定条件は、以下の通りである。
[測定条件]
・装置:島津GC-14A
・カラム:CBP20-M 50-0.25
・検出器:FID
・注入量:1μL~5μL
・キャリアガス:He 2.5kg/cm
・水素流量:0.6kg/cm
・空気流量:0.5kg/cm
・チャートスピード:5mm/min
・感度:Range101×Atten20
・カラム温度:40℃
・Injection Temp:150℃
<<その他の発泡剤>>
圧縮性流体とは別にその他の発泡剤を用いてもよい。上述したように、二酸化炭素や窒素などの圧縮性流体を発泡剤として用いることが好ましいが、その他の発泡剤としては、高い発泡倍率の発泡シートを得られやすい点において、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の低級アルカン等の炭化水素類、ジメチルエーテル等のエーテル類、メチルクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化炭化水素類、二酸化炭素、窒素等の圧縮性ガスなどの物理発泡剤などが使用できる。
<その他の工程>
その他の工程としては、特に制限されるものではなく、通常の発泡シートの製造において行われる工程等が挙げられる。例えば、シートに加工する成形工程などが挙げられる。
前記成形工程としては、例えば、真空成型、圧空成型、プレス成型などが挙げられる。前記成形工程により、シート成形物が得られる。また、発泡シートを熱成形して成形体にする工程などが挙げられる。
<製造物>
本発明の発泡シートは、そのまま使用されてもよいし、製造物として使用されてもよい。本発明の発泡シートは軽量性や耐熱性に優れているため、食品用容器、食器として好適に用いられる。また、耐熱性食品容器として好適であるが、このような用途に限定されるものではない。また、本発明の発泡シートにそのまま印字などをして使用してもよい。
本発明の発泡シートを用いた製造物としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。本発明の製造物は、本発明の発泡シートを含み、必要に応じてその他の成分を含む。前記その他の成分としては、通常の樹脂製品に用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の発泡シートを加工して本発明の製造物としてもよい。発泡シートの加工としては、特に制限されるものではなく、例えば型を用いて加工して製品を得るプロセスに供してもよい。型を用いたシートの加工方法としては、特に制限はなく、従来公知の熱可塑性樹脂の方法を用いることができ、例えば、真空成型、圧空成型、真空圧空成型、プレス成型などが挙げられる。
前記製造物(消費材とも称される)としては、例えば、包装容器、トレー、食器、カトラリーなどが挙げられる。この製造物の概念には、単体としての製造物のみでなく、トレーの取っ手のような製造物からなる部品や、取っ手が取り付けられたトレーのような製造物を備えた製品なども含まれる。この他にも、製造物としては、袋、文房具、生活用品などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
S45C(株式会社ミスミ製)をサンドブラスト(モノタロウ製、ブラスト用アルミナ研磨メディアを使用、加工角度約45度)によって加工して、流路形成装置における第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材を製造した。図1に示すように第一の流路形成部材10及び第二の流路形成部材20が流路3を形成するようにして、図2に示すような押出成形装置(連続式混練装置)100を製造した。
前記第一の流路形成部材及び前記第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータを測定したところ、表面粗さパラメータRkが6.42μm、表面粗さパラメータRpkが2.067μm、表面粗さパラメータRSmが139.9μm、表面パラメータRaが2.806μm、接触角が74.2°であった。
流路形成装置1を備えた図2に示す押出成形装置(連続式混練装置)を用いて、ポリ乳酸とフィラーの流量が合計で10kg/hrとなるように供給した。ポリ乳酸としてポリ乳酸A(Nature Works社製、4032D、融点168℃)を9kg/hr、フィラーとしてマグネサイト(神島化学工業株式会社製、MS-S、個数平均粒子径1.2μm)を1kg/hrとして、圧縮性流体として二酸化炭素を0.9kg/h(対ポリ乳酸で10質量%相当)を供給し、混練を行いポリ乳酸組成物及びシートを得た。
各ゾーンの温度は原材料混合・溶融エリアa及び圧縮性流体供給エリアb:190℃、混練エリアc:130℃、圧縮性流体除去エリアd:190℃、成型加工エリアe:190℃とした。各ゾーンの圧力は圧縮性流体供給エリアbから混練エリアcまでを10.0MPa、圧縮性流体除去エリアdを0.5MPa、Tダイ7を5MPaとし、シートの厚みは300μmとした。なお、各表面粗さパラメータは、以下の方法によって測定した。
前記表面粗さパラメータRPc、Rpk、RSm、Raの測定方法としては、キーエンス製VK-X250、ミツトヨ製SJ-210等のポータブル粗さ計を用いて測定した。具体的には、キーエンス製VK-X250を用いて下記測定条件によって測定した。
[測定条件]
・測定装置:キーエンス製VK-X250
・明るさ:自動設定
・ダブルスキャン(自動)
・測定モード:表面形状モード
・解像度:1024x768
・高精度モード
・RPD:設定なし
・測定高さピッチ:0.1μm
・単視野(画像結合なし)
・X20対物レンズ使用
[画像処理/計測]
・平面補正:「基準面補正(全領域)」
・曲面補正:「面形状うねり補正強さ3」
・結束点除去
・垂直線にて計20本測定(線粗さは20箇所の平均値を用いたが、面粗さが定義されているパラメータについてはこれで代用しても構わない)
・粗さ計測:カットオフはλs、λcとも無し、終端補正実施とする
・測定時の視野範囲:計測長さ方向が約536μm、計測長さ直行方向が約714μm
(実施例2)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが1.2μm、表面粗さパラメータRpkが0.419μm、表面粗さパラメータRSmが58.5μm、表面パラメータRaが0.794μm、接触角が81.1°である流路形成装置2に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(実施例3)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが3.5μm、表面粗さパラメータRpkが3.332μm、表面粗さパラメータRSmが130.7μm、表面パラメータRaが1.904μm、接触角が100°である流路形成装置3に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(実施例4)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが1.26μm、表面粗さパラメータRpkが0.486μm、表面粗さパラメータRSmが213.2μm、表面パラメータRaが1.23μm、接触角が93.4°である流路形成装置4に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(実施例5)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが1.94μm、表面粗さパラメータRpkが1.245μm、表面粗さパラメータRSmが34.9μm、表面パラメータRaが2.114μm、接触角が107.4°である流路形成装置5に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(実施例6)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが5.99μm、表面粗さパラメータRpkが2.753μm、表面粗さパラメータRSmが93.95μm、表面パラメータRaが2.776μm、接触角が109.1°である流路形成装置6に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(実施例7)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが3.44μm、表面粗さパラメータRpkが2.067μm、表面粗さパラメータRSmが58.69μm、表面パラメータRaが2.618μm、接触角が87.99°である流路形成装置7に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(実施例8)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが12.5μm、表面粗さパラメータRpkが7.645μm、表面粗さパラメータRSmが304.2μm、表面パラメータRaが6.45μm、接触角が43.96°である流路形成装置8に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(実施例9)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが2.9μm、表面粗さパラメータRpkが0.882μm、表面粗さパラメータRSmが162.7μm、表面パラメータRaが2.347μm、接触角が68.75°である流路形成装置9に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(比較例1)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが0.88μm、表面粗さパラメータRpkが0.48μm、表面粗さパラメータRSmが64.5μm、表面パラメータRaが0.978μm、接触角が111.1°である流路形成装置10に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(比較例2)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが0.38μm、表面粗さパラメータRpkが0.177μm、表面粗さパラメータRSmが21.2μm、表面パラメータRaが0.712μm、接触角が78.1°である流路形成装置11に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(比較例3)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが0.54μm、表面粗さパラメータRpkが0.18μm、表面粗さパラメータRSmが40.8μm、表面パラメータRaが0.689μm、接触角が48.3°である流路形成装置12に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(比較例4)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが0.58μm、表面粗さパラメータRpkが0.183μm、表面粗さパラメータRSmが47.5μm、表面パラメータRaが1.062μm、接触角が114.2°である流路形成装置13に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(比較例5)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが0.99μm、表面粗さパラメータRpkが0.591μm、表面粗さパラメータRSmが30.7μm、表面パラメータRaが1.624μm、接触角が58.8°である流路形成装置14に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(比較例6)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが0.95μm、表面粗さパラメータRpkが0.545μm、表面粗さパラメータRSmが39.3μm、表面パラメータRaが1.083μm、接触角が108.5°である流路形成装置15に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(比較例7)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが0.54μm、表面粗さパラメータRpkが0.206μm、表面粗さパラメータRSmが24.7μm、表面パラメータRaが0.842μm、接触角が55.6°である流路形成装置16に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(比較例8)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが0.07μm、表面粗さパラメータRpkが0.02μm、表面粗さパラメータRSmが33.7μm、表面パラメータRaが0.52μm、接触角が108.5°である流路形成装置17に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
(比較例9)
前記実施例1において、流路形成装置1を、第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材の流路形成面における表面粗さパラメータRkが0.25μm、表面粗さパラメータRpkが0.056μm、表面粗さパラメータRSmが75.86μm、表面パラメータRaが0.982μm、接触角が68.83°である流路形成装置18に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸組成物及びシートを得た。各表面粗さパラメータは、実施例1と同様の方法によって測定した。
次に、得られた各発泡シートについて、以下のようにして、発泡倍率、及び外観を評価した。結果を表1に示す。
<発泡倍率>
以下のようにして、発泡シートの発泡倍率を求めた。
-発泡倍率の算出-
下記式から発泡シートの発泡倍率を求めた。なお、発泡シートの発泡倍率は、下記式(1)に基づき、発泡シートを構成している組成物の密度(真密度ρ0)をかさ密度(ρ1)で除することで求めた。
発泡倍率=真密度(ρ0)/かさ密度(ρ1) ・・・式(1)
前記真密度(ρ0)は、最終的なプラスチック組成物として残存するプラスチック組成物の密度であり、ポリ乳酸の真密度は、約1.25g/cmである。
前記かさ密度は、以下のようにして測定した。具体的には、発泡シートを温度23℃、相対湿度50%に調整された環境下で24時間以上静置し、50mm×50mmの試験片を切り出した。切り出した試験片に対して、自動比重計(株式会社東洋精機製作所製、DSG-1)を用い、液中秤量法を用いてかさ密度を求めた。これは発泡シート大気中の重量(g)を精秤し、次いで発泡シートの水中での重量(g)を精秤し、以下の式により算出したものである。
かさ密度[g/cm]=大気中の試料重量[g]/{(大気中の試料重量[g]-液体中の重量[g])×液体密度[g/cm]}
求めた前記真密度及び前記かさ密度の測定値から、前記式(1)に基づき、以下の基準で発泡倍率を評価した。
[評価基準]
◎:発泡倍率が7.0倍以上
〇:発泡倍率が5.0倍以上7.0倍未満
△:発泡倍率が3.0倍以上5.0倍未満
×:発泡倍率が3.0倍未満
<外観>
発泡シートの外観は、次のようにして評価した。
得られた発泡シートを目視で観察し、以下の基準に基づき外観の評価を実施した。なお、外観の評価は、発泡シートにコルゲート状のしわが発生しない範囲、かつ発泡倍率が最大となる状態で観察を行った。
[評価基準]
〇:発泡シートの表面に荒れや破泡痕が見られなかった
×:発泡シートの表面に荒れや破泡痕が見られた
Figure 2023143671000002
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 少なくとも筒状の流路を形成する第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材を有する流路形成装置であって、
前記第一の流路形成部材及び前記第二の流路形成部材によって形成される前記流路にプラスチック組成物を通過させることで、プラスチック組成物の成形を行い、
前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRkが、1.0μm以上であることを特徴とする流路形成装置である。
<2> 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRkが、6.3μm以下である、前記<1>に記載の流路形成装置である。
<3> 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRpkが0.45μm以上である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の流路形成装置である。
<4> 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRpkが6.4μm以下である、前記<1>から<2>に記載の流路形成装置である。
<5> 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRSmが55μm以上である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の流路形成装置である。
<6> 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRSmが200μm以下である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の流路形成装置である。
<7> 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRaが0.8μm以上6.3μm以下である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の流路形成装置である。
<8> 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの水に対する接触角が60°以上105°以下である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の流路形成装置である。
<9> 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかが、ハードクロムメッキされている、前記<1>から<2>のいずれかに記載の流路形成装置である。
<10> 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかのHRC硬度が28以上である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の流路形成装置である。
<11> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の流路形成装置と、
前記流路形成装置の前記流路にプラスチック組成物を通過させて、プラスチックを押出成形する押出成形手段と、を有することを特徴とする押出成形装置である。
<12> 前記押出成形手段による押出成形の前に、少なくとも1種類のプラスチックを前記プラスチックの融点より低い温度、かつ圧縮性流体の存在下で混練する混練手段を有する、前記<11>に記載の押出成形装置である。
<13> 前記プラスチックが、ポリ乳酸を90質量%以上含有する組成物である、前記<11>に記載の押出成形装置である。
前記<1>から<10>のいずれかに記載の流路形成装置、及び前記<11>及び<13>のいずれかに記載の押出成形装置によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
1 第一の供給部
2 第二の供給部
3 圧縮性流体供給部
4 発泡シート
10 第一の流路形成部材
20 第二の流路形成部材
30 流路
40 流路形成面
50 流路形成面
100 連続式混練装置
110 連続式発泡シート化装置
特開2005-246849号公報

Claims (13)

  1. 少なくとも筒状の流路を形成する第一の流路形成部材及び第二の流路形成部材を有する流路形成装置であって、
    前記第一の流路形成部材及び前記第二の流路形成部材によって形成される前記流路にプラスチック組成物を通過させることで、プラスチック組成物の成形を行い、
    前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRkが、1.0μm以上であることを特徴とする流路形成装置。
  2. 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRkが、6.3μm以下である、請求項1に記載の流路形成装置。
  3. 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRpkが0.45μm以上である、請求項1から2のいずれかに記載の流路形成装置。
  4. 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRpkが6.4μm以下である、請求項1から2のいずれかに記載の流路形成装置。
  5. 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRSmが55μm以上である、請求項1から2のいずれかに記載の流路形成装置。
  6. 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRSmが200μm以下である、請求項1から2のいずれかに記載の流路形成装置。
  7. 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの表面粗さパラメータRaが0.8μm以上6.3μm以下である、請求項1から2のいずれかに記載の流路形成装置。
  8. 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかの水に対する接触角が60°以上105°以下である、請求項1から2のいずれかに記載の流路形成装置。
  9. 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかが、ハードクロムメッキされている、請求項1から2のいずれかに記載の流路形成装置。
  10. 前記第一の流路形成部材の流路形成面、及び前記第二の流路形成部材の流路形成面の少なくともいずれかのHRC硬度が28以上である、請求項1から2のいずれかに記載の流路形成装置。
  11. 請求項1から2のいずれかに記載の流路形成装置と、
    前記流路形成装置の前記流路にプラスチック組成物を通過させて、プラスチックを押出成形する押出成形手段と、を有することを特徴とする押出成形装置。
  12. 前記押出成形手段による押出成形の前に、少なくとも1種類のプラスチックを前記プラスチックの融点より低い温度、かつ圧縮性流体の存在下で混練する混練手段を有する、請求項11に記載の押出成形装置。
  13. 前記プラスチックが、ポリ乳酸を90質量%以上含有する組成物である、請求項11に記載の押出成形装置。
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