JP2021116413A - 発泡シート、製造物、及び発泡シートの製造方法 - Google Patents

発泡シート、製造物、及び発泡シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】強度の優れた発泡シートの提供。【解決手段】脂肪族ポリエステル樹脂、及びフィラーを含有する発泡シートであって、前記発泡シートの平均発泡径が、15μm以下であり、前記発泡シートの平均厚みが、3,000μm以下であり、前記発泡シートの長手方向の長さと前記長手方向と直交する方向の長さのうち、どちらか一方の辺の長さと平均厚みとの比が250以上であり、前記フィラーの含有量が、0.1質量%〜10質量%であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、発泡シート、製造物、及び発泡シートの製造方法に関する。
プラスチック製品は、袋、容器などの様々な形状に加工されて広く流通している。しかし、前記プラスチック製品は、自然界で分解されにくい性質を有しているため、使用後の前記プラスチック製品の廃棄処理が問題となっている。そこで、前記プラスチック製品について、自然界で分解されにくい非分解性プラスチックから自然界で分解される生分解性プラスチックへ置き換えるための材料開発が盛んに行われている。
生分解性を有するプラスチックの中でもポリ乳酸は、生分解性を有しつつ、かつその物性が、プラスチックとして従来使用されているポリスチレンなどと性質が似ていることから、非分解性プラスチックの代替品として注目されている。
前記ポリ乳酸を広く用いるために、前記ポリ乳酸発泡させてポリ乳酸の量を減らした発泡シートが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。また、ポリ乳酸を様々な形状に加工しやすいように前記ポリ乳酸をシート状にしたポリ乳酸シートにすることが求められているが、前記ポリ乳酸を発泡させた発泡シートは提案が少ない。
また、発泡径が大きいと、強度や柔軟性(しなやかさ)が損なわれて、割れやすくなったりする。これは、シートの厚みを薄くした場合に顕著になるため、発泡径を微細かつ均一に配置する必要があった。
本発明は、強度の優れた発泡シートを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の発泡シートは、脂肪族ポリエステル樹脂、及びフィラーを含有し、
前記発泡シートの平均発泡径が、15μm以下であり、
前記発泡シートの平均厚みが、3,000μm以下であり、
前記発泡シートの長手方向の長さと前記長手方向と直交する方向の長さのうち、どちらか一方の辺の長さと平均厚みとの比が250以上であることを特徴とする。
本発明によると、強度の優れた発泡シートを提供することができる。
図1は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。 図2は、圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。 図3は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造に用いる連続式混練装置の一例を示す概略図である。 図4は、本発明の発泡シートの製造に用いる連続発泡装置の一例を示す概略図である。
(発泡シート)
本発明の発泡シート(以下、「ポリ乳酸発泡シート」とも称する)は、ポリ乳酸、及びフィラーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。前記発泡シートの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円形状、正方形状、正多角形状などが挙げられる。
ポリ乳酸は、融点近傍の温度にすると、急激に粘度が低下することが知られており、破泡、発泡の合一などが起きやすく、発泡径の微細化及び均一化はそもそも難しい。
特開2007−046019号公報、及び特許第5207277号公報には、ポリ乳酸発泡シートが記載されている。特に、特許第5207277号公報に開示されている微細発泡体は、二酸化炭素を発泡剤として、発泡径が1μm以下である。しかし、これらは、ポリマーの融点以下という条件で発泡させるバッチ装置により製造されたものであり、連続プロセスで工業的に大量生産できるものではない。
特許第5454137号公報には、押出機を用いて連続的にポリ乳酸を含む発泡シートが提案されている。しかし、このポリ乳酸を含む発泡シートは、ポリ乳酸以外の樹脂を混合し、かつシートの厚みが10mm以上であることから、用途が限定され、非分解性プラスチックに完全に代替できるものではない。
発明者は、上記のような問題を解決することのできる、微細かつ均一な発泡を有する、工業的に大量生産できるポリ乳酸発泡シートを得るべく、検討を行った結果、フィラーを高分散させることで、微細かつ均一な発泡を有するポリ乳酸シートができることを見出し、本発明の完成に至った。
<脂肪族ポリエステル樹脂>
脂肪族ポリエステル樹脂は微生物により生分解されるので,環境に優しい低環境負荷高分子材料として注目されている(「脂肪族ポリエステルの構造、物性、生分解性 高分子 2001年50巻6号 p374−377」参照)。
前記脂肪族ポリエステル樹脂としては、例えば、D−乳酸及びL−乳酸の共重合体、D−乳酸(D体)又はL−乳酸(L体)のいずれか一方の単独重合体、D−ラクチド(D体)、L−ラクチド(L体)及びDL−ラクチドからなる群より選ばれた一又は二以上のラクチドの開環重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族ポリエステル樹脂として、D−乳酸及びL−乳酸の共重合体を用いた場合、D−乳酸及びL−乳酸の割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。D−乳酸及びL−乳酸の共重合体において、少ない方の光学異性体が減少するにしたがって、結晶性が高くなり融点やガラス転移点が高くなる傾向がある。また、少ない方の光学異性体が増加するにしたがって、結晶性が低くなり、やがて非結晶となる傾向がある。結晶性は発泡シートの耐熱性や、発泡の成型温度に関連するため、用途に応じて使い分ければよく、特に限定しない。なお、ここでの結晶性とは結晶化度や結晶化速度のことを表現しており、結晶性が高いとは、結晶化度が高い、及び/又は結晶化速度が速いことを意味する。
ポリ乳酸としては、適宜合成したものを用いても、市販されているものを用いてもよい。
脂肪族ポリエステル樹脂の含有割合は、生分解性及びリサイクル性(リサイクルが容易となる)の観点から、発泡シート中の有機物の全量に対して98質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましい。98質量%以上であると、ポリ乳酸が生分解しても、生分解しないその他の成分が残存してしまうという不具合を防止できる。
<脂肪族ポリエステル樹脂の含有割合の測定方法>
脂肪族ポリエステル樹脂の含有割合は、仕込む材料の割合から算出できる。もし、材料比率が不明な場合は、例えば、以下のGCMS分析を行い、既知の脂肪族ポリエステル樹脂を標準試料とした比較により成分を特定することができる。必要に応じて、NMR測定によるスペクトルの面積比やその他分析方法も組み合わせて算出することが可能である。
−GCMS分析による測定−
・GCMS:株式会社島津製作所製 QP2010 補器 フロンティア・ラボPy3030D
・分離カラム:フロンティア・ラボUltra ALLOY UA5−30M−0.25F
・試料加熱温度:300℃
・カラムオーブン温度:50℃(1分保持)〜昇温度15℃/分〜320℃(6分)
・イオン化法:Electron Ionization(E.I)法
・検出質量範囲:25〜700(m/z)
<フィラー>
前記フィラー(以下、「発泡核材」と称することもある)は、発泡シートの泡の大きさ、及び量などを調節するために含有される。
前記フィラーとしては、無機系フィラー、有機系フィラーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記無機系フィラーとしては、例えば、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、層状珪酸塩、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化チタン、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
前記有機系フィラーとしては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然に存在するポリマーやこれらの変性品、またソルビトール化合物、安息香酸及びあその化合物の金属塩、燐酸エステル金属塩、ロジン化合物などが挙げられる。
これらの中でも、環境への影響から、無機系核材が好ましく、無機系核材の中でも、ナノレベルに分散でき、気泡が均一化できる点から、シリカ、酸化チタン、層状珪酸塩がより好ましい。
これらの中でも、後述する圧縮性流体との親和性が高い点から、無機系核剤であるシリカが好ましい。また、シリカ以外のフィラーをベースとして用いる場合は、シリカで表面処理されたフィラーが好ましい。
シリカは、SiOで表される二酸化ケイ素を主成分とするものである。シリカ粒子の製造方法により大別して、乾式法シリカと湿式法シリカの2つに分けられるが、本発明では、いずれの方法で製造されたものも用いることができる。
シリカは、必要に応じてシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシロキサン等の反応性化合物によって、表面処理がなされていることが好ましい。
特にシランカップリング剤は、シリカ粒子の表面処理に好適に用いることができ、シランカップリング剤の具体例として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シリカの含有割合としては、シリカで表面処理されたフィラーを用いる場合、シリカとシリカ以外のフィラーとの併用の場合のいずれにおいても、発泡シート中の無機物の全量に対して50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。シリカの含有割合が、50質量%以上であると、発泡が均一かつ微細になる。
フィラーの個数平均粒子径としては、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0,03μm〜0.08μmがより好ましい。個数平均粒子径が、0.01μm以上であると、フィラーの分散性悪化に起因する、衝撃強度等のシート物性低下が防止でき、平均粒子径が0.1μm以下であると、得られる発泡成形体は表面外観が劣るという不具合を防止できる。
なお、フィラーの個数平均粒子径は、便宜的にフィラーを真球と仮定してBET比表面積で表しても構わない。その際にBET比表面積は、30m/g〜300m/gが好ましい。
フィラーの個数平均粒子径の標準偏差(σ)としては、0.015以上0.20以下が好ましい。標準偏差(σ)が、前記範囲内であれば、発泡シートの発泡が均一である。
なお、フィラーの標準偏差と、発泡の標準偏差とは相関がある。即ち、フィラーの標準偏差が上記範囲内であれば、発泡が均一であると言える。
発泡シート中のフィラーの個数平均粒子径の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の方法が挙げられる。
発泡シートをイオンミリング装置にて断面加工を行い、断面のSEM観察を行う。
得られた断面SEM写真(倍率10,000倍)は、Image−Pro Premier(mediacy社製)のソフトを使用し、フィラーに該当する白色成分とポリ乳酸成分を二値化し、10μm×6μmの範囲で粒子径(フェレ径)を求め、フェレ径0.005μm以上の白色成分(フィラー)について、個数平均粒子径、及び標準偏差(σ)を算出する。前記フェレ径とは、長径を意味する。
なお、発泡シート中のフィラーの個数平均粒子径は、上記のようにシートに含有されたフィラーを測定した個数平均粒子径と、発泡シートを製造する際に、ポリ乳酸に投入する前に測定した個数平均粒子径と、はほぼ同じ値となることが望ましい。
粒子径10μm以上であるフィラー(粗大粒子)の割合としては、発泡シート1gあたり100個以下が好ましく、40個以下がより好ましい。粗大粒子数が100個以下であると、発泡径は微細であり、外観、強度等の物性が良好である。
粗大粒子の割合の測定としては、発泡シート50mgを再溶融して10μmの薄膜状とし、光学顕微鏡(ニコン社製、FX−21、倍率100倍)で、粒子径10μm以上の大きさのフィラーに起因する粗大粒子の個数を目視観察にて数えることで測定できる。
フィラーの含有量としては、発泡シートの物性を損なわない限り、目的に応じて適宜選択することができるが、発泡シート全体に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%がより好ましい。フィラーの含有量が、0.1質量%〜10質量%であると、フィラー同士が凝集するという不具合を防止できる。
<その他の成分>
その他の成分としては、通常、発泡シートに含有されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、架橋剤などが挙げられる。
架橋剤としては、ポリ乳酸樹脂との反応性が高くモノマーが残りにくく、樹脂の着色も少ないことから、分子内に2個以上の(メタ)アクリル基を有するか、又は1個以上の(メタ)アクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。
これらの具体的な化合物としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート、またこれらのアルキレングリコール部が様々な長さのアルキレンの共重合体でもよく、さらにブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレート等が挙げられる。
架橋剤を含有することで、溶融張力を付与でき、発泡ポリ乳酸シートの発泡倍率を調整することができる。溶融張力を付与手段として、層状珪酸塩等の発泡核剤をナノレベルで分散する方法、架橋剤あるいは架橋助剤等を用いて樹脂組成物を架橋する方法、電子線等により樹脂組成物を架橋する方法、高い溶融張力を有する別の樹脂組成物を添加する方法等がある。
その他の成分としては、上記の他に、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤などの添加剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の成分の含有割合としては、発泡シート中の有機物の全量に対して、リサイクル性の点から、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
<発泡シートの物性>
本発明の発泡シートの平均発泡径としては、15μm以下であり、7μm以下であることが好ましい。平均発泡径としては、0.01μm以上が好ましい。
平均発泡径が、15μmを超えると、発泡シートの強度が低下する、発泡シートの厚み(平均厚み)を抑えられなくなる可能性がある。平均発泡径が、0.01μm以上であると、発泡倍率を上げることができる。
平均発泡径の大きさは、フィラーの量、分散状態、溶融張力などにより調節することができるが、前記手段に限定されるものではない。
発泡シートの平均発泡径の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、発泡シートをイオンミリング装置にて断面加工を行い、断面のSEM観察(KEYENCE社製VE−9800)を行うことで測定できる。
得られた断面SEM写真(倍率3、000倍)は、Image−Pro Premier(mediacy社製)のソフトを使用し、発泡(空隙)に該当する灰色成分と樹脂成分(白色)を二値化し、35μm×20μmの範囲で平均粒子径(フェレ径)を求め、フェレ径0.5μm以上の灰色成分(発泡)について、平均発泡径を算出する。
本発明の発泡シートの平均厚みとしては、3,000μm以下であり、1,000μmが好ましい。
平均厚みが3,000μm以上であると、発泡シートとして成形することが難しい。
本発明においては、微細かつ均一に発泡した発泡シートであるので、平均厚みを上記の値としても強度や柔軟性を維持することができる。
本発明の前記発泡シートの長手方向の長さと前記長手方向と直交する方向の長さのうち、どちらか一方の辺の長さと平均厚みとの比が250以上であり、2,500以上が好ましい。
比(長辺/厚み)が250以上である発泡シートは、後述するように、バッチ式により製造することは難しく、連続プロセスで製造することができる。
前記発泡シートの形状が円形である場合は、円の中心をとおる直径を長手方向とする。前記発泡シートの形状が楕円形である場合は、楕円の2つの焦点をとおる線を長手方向とする。
前記発泡シートの形状が多角形である場合は、前記多角形における一番長い辺を、長手方向とする。また、多角形が正多角形である場合は、全ての辺が同じ長さであるので、どの辺を長手方向としてもよい。
発泡シートのかさ密度としては、0.1g/cm以上0.9g/cm以下が好ましく、0.7g/cm以下がより好ましく、0.5g/cm以下が更に好ましい。
発泡シートのかさ密度がこの範囲内であれば、強度と軽量性とのバランスに優れた発泡シートを得ることができる。
発泡シートのかさ密度の測定方法としては、例えば、次のように測定できる。
温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間以上放置した発泡シートの外形寸法からかさ体積を求める。 次いで、この発泡シートの重量(g)を精秤する。 発泡シートの重量をかさ体積にて割り算することにより、かさ密度を求める。
本発明の発泡シートは、後述する製造物として使用してもよく、シートにそのまま印字などをして使用しても、型を用いて加工して製品を得るプロセスに供してもよい。
型を用いたシートの加工方法としては、特に制限はなく、従来公知の熱可塑性樹脂の方法を用いることができ、例えば、真空成型、圧空成型、真空圧空成型、プレス成型などが挙げられる。
(製造物)
本発明の製造物は、本発明の発泡シートを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記その他の成分としては、通常の樹脂製品に用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記製造物(「消費材」とも称される)としては、例えば、生活用品として、袋、包装容器、トレー、食器、カトラリー、文房具、他に緩衝材などが挙げられる。この製造物の概念には、製造物を加工するための中間体として、シートをロール状にした原反や、単体としての製造物のみでなく、トレーの取っ手のような製造物からなる部品や、取っ手が取り付けられたトレーのような製造物を備えた製品なども含まれる。
前記袋としては、レジ袋、ショッピングバッグ、ごみ袋などが挙げられる。
前記文房具としては、例えば、クリアファイル、ワッペンなどが挙げられる。
従来の発泡シートは、発泡径が大きく、ばらつきが大きかったため、シートの強度、柔軟性などのシート物性に課題があった。
本発明の発泡シートを用いて成型された製造物は、物性に優れているため、前記生活用品以外の用途としても適用でき、例えば、工業用資材、農業用品、食品用、医薬品用、化粧品等のシート、包装材等の用途として幅広く適用することができる。
本発明の発泡シートは、発泡シートの生分解性を生かせる用途、特に食品に使用する包装材料、化粧品や、医薬品などの医療用シートとして有用であり、薄膜化などにより、より性能向上が期待できる。
(発泡シートの製造方法)
本発明の発泡シートの製造方法は、混錬工程と、発泡工程と、を有し、更に必要に応じてその他の工程を有する。
混錬工程と、発泡工程とは、同時に行ってもよく、別々の工程として行ってもよい。
<混錬工程>
混錬工程は、圧縮性流体の存在下において、ポリ乳酸とフィラーとを、前記ポリ乳酸の融点より低い温度で混錬する工程である。
混錬工程においては、発泡をより効率的に進めるため、ポリ乳酸及びフィラーに加えて、発泡剤を入れてもよい。
なお、ポリ乳酸、フィラー、及び発泡剤の発泡させる前の混合物のことをポリ乳酸組成物、マスターバッチと称することがある。
<<発泡剤>>
発泡剤としては、高い発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡シートを得られ易い点において、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の低級アルカン等の炭化水素類、ジメチルエーテル等のエーテル類、メチルクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化炭化水素類、二酸化炭素、窒素等の圧縮性ガスなどの物理発泡剤などが挙げられる。
これらの中でも、臭気がない、安全に取り扱える、環境負荷が低いという観点で、二酸化炭素や窒素などの圧縮性ガスを用いることが好ましい。
ポリ乳酸をはじめとする脂肪族ポリエステルは融点以降で急激に溶融粘度が低下する性質があるため、フィラーなどを混錬する際には、フィラーが凝集しやすい。フィラーの大きさが小さい場合その影響は顕著である。
本発明においては、このポリ乳酸中にフィラーを均一に分散させるために、圧縮性流体を用いて混錬する。なお、圧縮性流体が発泡剤と同じである場合、フィラー混練と発泡を一連のプロセスで実施できるため、環境負荷低減の観点でより製造形態として好ましい。
微細フィラーとポリ乳酸を混錬するために、圧縮流体を用いることが好ましい理由を下述する。
一般的に、圧縮性流体によって樹脂は可塑化され、樹脂の溶融粘度が下がることが知られている(「超臨界流体の最新応用技術」NTS社参照)。一見、溶融粘度が下がることと、混練性の向上については矛盾しているように見える。実際、一般的なフィラーの混練で圧縮性流体を用いないで圧力をかける場合があるが、これは樹脂の自由体積を減少させ、樹脂同士の相互作用の増加(粘度増加)を狙ったものであり、樹脂の可塑化は逆効果である(「k.Yang.R.Ozisik R.Polymer,47.2849(2006)」参照)。
これまでに、圧縮性液体は、樹脂を可塑化(柔らかく)する性質があり、圧縮性液体の温度を上げると樹脂が液体のようになることが知られている。このような状態で樹脂にフィラーを分散させると、液体にフィラーを分散させるようなことになり、フィラーが液体中で凝集するので、高度に分散された樹脂組成物は得られなかった。即ち、圧縮性流体の存在下では樹脂が混錬することに適した粘度にはならないため、樹脂とフィラーとの混錬に圧縮性液体を用いることは難しいと考えられてきた。
そこで、本発明者らは、ポリ乳酸とフィラーとの混練に圧縮性流体が活用できないか鋭意検討した結果、圧縮性流体存在下において、ポリ乳酸の融点より低いの温度であれば、ポリ乳酸の粘度が混錬に適した粘度となり、フィラーを混練できることを見出した。特に、融点以上で急激に溶融粘度が低下するポリ乳酸は、これまで低い溶融粘度の状態でしか混練ができなかったのに対し、本発明では高粘度状態でフィラーを混練することができ、また、そのまま発泡剤として圧縮性流体を用いることができるため、より好適である。
<<圧縮性流体>>
圧縮性流体の状態で用いることができる物質としては、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、窒素、メタン、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、エチレン、ジメチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、二酸化炭素は、臨界圧力が約7.4MPa、臨界温度が約31℃であって、容易に超臨界状態を作り出せること、不燃性で取扱いが容易であることなどの点で好ましい。これらの圧縮性流体は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
ここで、図1及び図2を用いて、脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造に用いられる圧縮性流体について説明する。図1は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図2は、圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。本実施形態における「圧縮性流体」とは、物質が、図1で表される相図の中で、図2に示す(1)、(2)、(3)の何れかの領域に存在するときの状態を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、物質が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮しない流体のことである。また、物質が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、物質が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、圧力が臨界圧力(Pc)の1/2(1/2Pc)以上の高圧ガスを表す。
樹脂種と圧縮性流体の組み合わせ、温度、圧力によって、圧縮性流体の溶解度が変わるため、圧縮性流体の供給量は適宜調整する必要がある。
例えば、ポリ乳酸と二酸化炭素の組み合わせであれば、2質量%以上30質量%以下が好ましい。二酸化炭素の供給量が2質量%以上であると、可塑化の効果は限定的になるという不具合を防止できる。二酸化炭素の供給量が30質量%以下であると、二酸化炭素とポリ乳酸とが相分離し、均一な厚みの発泡シートを得ることができないという不具合を防止できる。
<<混錬装置>>
ポリ乳酸組成物の製造に用いられる混錬装置としては、連続プロセスを採用することもできるし、回分式プロセスを採用することもできるが、装置効率や製品の特性,品質等を勘案し適宜、反応プロセスを選択することが好ましい。
混練装置としては、混練に好適な粘度に対応できる点から、一軸の押し出し機、二軸の押し出し機、ニーダー、無軸籠型撹拌槽、住友重機株式会社製バイボラック、三菱重工業株式会社製N−SCR、株式会社日立製作所製めがね翼、格子翼又はケニックス式、ズルツァー式SMLXタイプスタチックミキサー具備管型重合槽などを使用できる。色調の点から、セルフクリーニング式の重合装置であるフィニッシャー、N−SCR、二軸軸押し出しルーダーなどが挙げられる。これらの中でも、生産効率、樹脂の色調、安定性、及び耐熱性の点から、フィニッシャー、N−SCRが好ましい。
ここで、図3に示すように、連続式混練装置100は、2軸押出機(JSW社製)を用い(スクリュー口径42mm、L/D=48、装置は1)、(原材料混合・溶融エリアa、装置2)、(圧縮性流体供給エリアb、装置3)、混練エリアc、成型エリアd、Tダイ4から構成される。圧縮性流体(液体材料)は計量ポンプで供給する。樹脂ペレットや炭酸カルシウムなどの固体の原材料は定量フィーダーで供給する。
<<原材料混合・溶融エリア>>
原材料混合・溶融エリアでは、樹脂ペレット、フィラーの混合と昇温を行う。加熱温度は樹脂の溶融温度以上に設定を行い、続く圧縮性流体を供給するエリアで、圧縮性流体と均一に混合できる状態にする。
<<圧縮性流体供給エリア>>
樹脂ペレットが加温により溶融状態となり、フィラーを濡らした状態にて、圧縮性流体を供給し、溶融樹脂を可塑化させる。
<<混練エリア>>
フィラーの混練に好適な粘度となるように、混練エリアの温度設定を行う。設定温度は、反応装置の仕様や樹脂種、樹脂の構造、分子量などで変わるため、特に限定するものではないが、重量平均分子量(Mw)200,000程度の市販されているポリ乳酸の場合、通常の混練はポリ乳酸の融点+10℃〜20℃で行われる。これに対して、本発明は、ポリ乳酸の融点より低い温度で混錬することを特徴とし、融点より低い温度での比較的高い粘度で混錬することが可能である。具体的には、−20℃〜−80℃、より好ましくは−30℃〜-60℃である。簡便的には装置の撹拌動力の電流値などを目安に温度設定すればよいが、これらの設定値は本発明でなければ、通常到達しえない領域であると言える。
<発泡工程>
発泡工程は、圧縮性流体を除去して、ポリ乳酸組成物を発泡させる工程である。
圧縮性流体は、圧を開放させることで、除去することができる。
発泡工程の際の温度としては、ポリ乳酸樹脂の融点以上に加温することが好ましい。
発泡工程においては、ポリ乳酸組成物に溶解していた圧縮性流体が、減圧や加温など圧縮流体の溶解度を変える操作に対してフィラーとの界面で気化し、析出することで発泡が起きる。フィラーを起点に発泡するため、フィラーがポリ乳酸中に均一に分散されて初めて、均一かつ微細な発泡を有する発泡シートを製造できる。
<その他の工程>
その他の工程としては、通常の発泡シートの製造において行われる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シートに加工する成形工程などが挙げられる。
前記成形工程としては、例えば、真空成型、圧空成形、プレス成型などが挙げられる。前記成形工程により、シート成形物が得られる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<発泡シートの作製>
<<マスターバッチの作製>>
図3に示す連続式混練装置100を用い、ポリ乳酸樹脂とフィラーとしてのフィラーの流量が合計で10kg/hrとなるように、原材料混合・溶融エリアaに供給した。ポリ乳酸(REVODE110、HISUN社製、融点178℃)9.7kg/hr、フィラーとしての酸化チタン(TTO−55(C)、石原産業株式会社製)を0.3kg/hrとして、圧縮性流体として二酸化炭素を0.99kg/h(対ポリ乳酸で10質量%相当)を圧縮性流体供給エリアbに供給し、混練エリアcにおいて混練を行い、3質量%のフィラーを含有するポリ乳酸組成物(3質量%フィラーマスターバッチ)を得た。
各ゾーンの温度は原材料混合・溶融エリアa及び圧縮性流体供給エリアb:190℃、混練エリアc:150℃、圧縮性流体除去エリアd:190℃、成型加工エリアe:190℃とした。各ゾーンの圧力は圧縮性流体供給エリアbから混練エリアcまでを7.0MPa、圧縮性流体除去エリアdを0.5MPaとして、ストランド状に押出し、水浴中で冷却後にストランドカッターでペレタイズすることで、3質量%のフィラーを含有するマスターバッチを得た。
ポリ乳酸(REVODE110、HISUN社製、融点178℃)8.5kg/hr、フィラーとしての酸化チタン(TTO−55(C)、石原産業株式会社製)を1.5kg/hrとして、15質量%のマスターバッチを得た。
<<発泡シートの作製>>
図4に示す連続式発泡シート化装置110を用い、3質量%フィラーマスターバッチとポリ乳酸樹脂(Revode190、HISUN社製)の流量が合計で10kg/hrとなるように供給した。フィラーが0.5質量%になるように、得られた3質量%フィラーマスターバッチ1.67kg/hr、ポリ乳酸(REVODE110、HISUN社製、融点178℃)8.33kg/hrの比率として、圧縮性流体として二酸化炭素を0.99kg/h(対ポリ乳酸で10質量%相当)を供給し、混練をおこない、第二押出機4に供した。
第二押出機の先端に取り付けたスリット口径70mmのサーキュラー金型から吐出量10kg/h、樹脂温度167℃まで冷却させ、第二押出機加熱エリアdにおいて混錬した脂肪族ポリエステル樹脂組成物から圧縮流体を除去することによりを押出発泡させ、金型スリットから押出発泡された筒状のポリ乳酸系樹脂発泡シートを冷却されているマンドレル上に沿わせるとともに、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却成形し、カッターにより切開して、平坦シート状シートを、円筒状の紙菅に巻き付けて、ロール状の発泡シートを得た。
各ゾーンの温度は第一押し出し機:原材料混合・溶融エリアa及び圧縮性流体供給エリアb:190℃、混練エリアc:150℃、第二押出機加熱エリアd:167℃。各ゾーンの圧力は圧縮性流体供給エリアbから混練エリアc、第二押出機加熱エリアdまでを7.0MPaとした。
(実施例2〜3)
実施例1において、3質量%のマスターバッチの量と、ポリ乳酸樹脂の量の比率を変更し、フィラー量を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2、3のポリ乳酸発泡シートを作製した。
(実施例4〜5)
実施例1において、ポリ乳酸発泡シートの平均厚みを表1、2に記載の値に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4、5のポリ乳酸発泡シートを作製した。
(実施例6〜8、比較例1)
実施例1において、フィラーを以下のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6〜8、及び比較例1のポリ乳酸発泡シートを作製した。
実施例6 シリカ(QSG−30、信越化学工業株式会社製)
実施例7 シリカ(QSG−10、信越化学工業株式会社製)
実施例8 シリカ(QSG−100、信越化学工業株式会社製)
比較例1 重質炭酸カルシウム(ソフトン2200、白石カルシウム株式会社製、個数平均粒子径1.0μm)
(実施例10)
実施例1において、ポリ乳酸(PLA)を光学純度が異なるRevode190に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例10のポリ乳酸発泡シートを作製した。
(実施例11)
実施例1において、ポリ乳酸(PLA)を、ポリ乳酸(PLA)とポリブチレンサクシネート(PTT、MCC、Biochem社製)を80:20の比率で加えた以外は、実施例1と同様にして、実施例11のポリ乳酸発泡シートを作製した。
(実施例12〜13)
実施例1において、15質量%のマスターバッチの量と、ポリ乳酸樹脂の量の比率を変更して、フィラー量を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例12及び13のポリ乳酸発泡シートを作製した。
(実施例9、比較例2)
実施例1において、フィラーマスターバッチを作製する際に、実施例1と同様にして、比較例2のポリ乳酸発泡シートを作製した。
各ゾーンの温度は原材料混合・溶融エリアa及び圧縮性流体供給エリアb:190℃、圧縮性流体除去エリアd:190℃、成型加工エリアe:190℃とし、実施例9の混練エリアcは150℃、比較例2の混錬エリアcは170℃に設定した。
(比較例3)
実施例1において、フィラーマスターバッチを作製する際に、圧縮流体を用いずに混錬を行った以外は、実施例1と同様にして、比較例3のポリ乳酸発泡シートを作製した。
各ゾーンの温度は原材料混合・溶融エリアa及び圧縮性流体供給エリアb:190℃、混練エリアc:190℃、圧縮性流体除去エリアd:190℃、成型加工エリアe:190℃とした。
得られた発泡シート中のフィラーの個数平均粒子径、粗大粒子数、及び標準偏差、並びに発泡シートのかさ密度、平均発泡径、平均厚み、比(長辺/厚み)を測定した。測定結果を表1〜表4に示す。なお、比(長辺/厚み)とは、発泡シートの押出方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)の長さのうち、長い方である長辺の長さ(μm)と、平均厚みと、の比のことを指す。比(長辺/厚み)が250以上であると、表中において「◎」と記載した。
また、得られたポリ乳酸発泡シートについて、以下のようにして強度及を評価した。評価結果を表1〜表4に示した。
<フィラーの個数平均粒子径、標準偏差(σ)>
発泡シートをイオンミリング装置にて断面加工を行い、SEM(KEYENCE社製VE−9800)を用いて断面のSEM観察を行った。
得られた断面SEM写真(倍率10、000倍)は、Image−Pro Premier(mediacy社製)のソフトを使用し、フィラーに該当する白色成分とポリ乳酸成分を二値化し、10μm×7μmの範囲で粒子径(フェレ径)を求め、フェレ径0.005μm以上の白色成分(フィラー)について、個数平均粒子径、及び標準偏差(σ)を算出した。
<フィラー粗大粒子数>
発泡シート50mgを再溶融して10μmの薄膜状とした。得られた薄膜を光学顕微鏡(ニコン社製、FX−21、倍率100倍)で、粒子径10μm以上の大きさのフィラー(フィラー)に起因する粗大粒子の個数を数えた。
この操作を5回分行い、平均値をフィラー粗大粒子数とした。
<かさ密度>
温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間以上放置した発泡シートの外形寸法からかさ体積を求めた。 次いで、この発泡シートの重量(g)を精秤した。 発泡シートの重量をかさ体積にて割り算することにより、かさ密度を求めた。
<平均発泡径>
得られた発泡シートをイオンミリング装置にて断面加工を行い、断面のSEM観察を行った。
得られた断面SEM写真(倍率3、000倍)は、Image−Pro Premier(mediacy社製)のソフトを使用し、発泡(空隙)に該当する灰色成分と樹脂成分(白色)を二値化し、35μm×20μmの範囲で平均粒子径(フェレ径)を求め、フェレ径0.5μm以上の灰色成分(発泡)について、平均発泡径を算出した。
平均発泡径は、上記の発泡の3箇所分の値である。
<平均厚み>
平均厚みは、断面SEM写真(倍率100倍)にて、Image−Pro Premier(mediacy社製)のソフトを使用し、1視野として1mmの範囲をN=10で計測、これを3視野の平均値とすることにより測定値とした。
<強度>
得られた発泡シートを、JISK6767に準拠して、引張り強度の測定を行い、発泡していないシート(ポリ乳酸シート)の強度に対し、どの程度の強度を有しているかに基づき、下記評価基準に基づき、強度を評価した。なお、発泡していないシートの測定結果は、55MPaであった。
−評価基準−
〇 発泡していないシートに対して、60%以上の引張り強度
△ 発泡していないシートに対して、40%以上60%未満の引張り強度
× 発泡していないシートに対して、40%未満の引張り強度
Figure 2021116413
Figure 2021116413
Figure 2021116413
Figure 2021116413
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 脂肪族ポリエステル樹脂、及びフィラーを含有する発泡シートであって、
前記発泡シートの平均発泡径が、15μm以下であり、
前記発泡シートの平均厚みが、3,000μm以下であり、
前記発泡シートの長手方向の長さと前記長手方向と直交する方向の長さのうち、どちらか一方の辺の長さと平均厚みとの比が250以上であること特徴とする発泡シートである。
<2> 前記フィラーがシリカである前記<1>に記載の発泡シートである。
<3> 前記シリカの含有量が、0.1質量%〜10質量%である前記<2>に記載の発泡シートである。
<4> 前記シリカの含有割合が、前記発泡シート中の無機物の全量に対して50質量%以上である前記<2>から<3>のいずれかに記載の発泡シートである。
<5> 前記フィラーの個数平均粒子径が、5nm〜100nmである前記<1>から<4>のいずれかに記載の発泡シートである。
<6> 前記脂肪族ポリエステル樹脂の含有割合が、発泡シート中の有機物の全量に対して、98%以上である前記<1>から<5>のいずれかに記載の発泡シートである。
<7> 発泡シートの平均発泡径が、7μm以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の発泡シートである。
<8> 発泡シート中のフィラーの個数平均粒子径が、0.01μm以上0.1μm以下であり、
粒子径10μm以上であるフィラーの割合が、発泡シート1gあたり100個以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の発泡シートである。
<9> 前記フィラーが、酸化チタンである前記<1>に記載の発泡シートである。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の発泡シートを含むことを特徴とする製造物である。
<11> 袋、包装容器、食器、カトラリー、文房具、及び緩衝材から選択される少なくとも1種である前記<10>に記載の製造物である。
<12> 圧縮性流体の存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとを、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度で混錬してポリ乳酸組成物を得る混錬工程と、
前記ポリ乳酸組成物から圧縮性流体を除去するときに前記ポリ乳酸組成物を発泡させる発泡工程と、
を有することを特徴とする発泡シートの製造方法である。
<13> 前記発泡シートが前記<1>から<9>のいずれかに記載の発泡シートである前記<12>に記載の発泡シートの製造方法である。
<14> 前記圧縮性流体が、二酸化炭素である前記<12>から<13>のいずれかに記載の発泡シートの製造方法である。
<15> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の発泡シートを真空成型、圧空成形、及びプレス成型の少なくともいずれかにより成形することにより得られる製造物の製造方法である。
前記<1>から<9>のいずれかに記載の発泡シート、前記<10>から<11>のいずれかに記載の製造物、前記<12>から<14>のいずれかに記載の発泡シートの製造方法、及び前記<15>に記載の製造物の製造方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
1 樹脂ペレット供給タンク
2 炭酸カルシウム供給タンク
3 圧縮性流体供給タンク
4 Tダイ
100 連続式混練装置
特開2007−46019号公報 特許第5207277号公報 特許第5454137号公報 特開2006−328225号公報

Claims (13)

  1. 脂肪族ポリエステル樹脂、及びフィラーを含有する発泡シートであって、
    前記発泡シートの平均発泡径が、15μm以下であり、
    前記発泡シートの平均厚みが、3,000μm以下であり、
    前記発泡シートの長手方向の長さと前記長手方向と直交する方向の長さのうち、どちらか一方の辺の長さと平均厚みとの比が250以上であること特徴とする発泡シート。
  2. 前記フィラーがシリカである請求項1に記載の発泡シート。
  3. 前記シリカの含有量が、0.1質量%〜10質量%である請求項2に記載の発泡シート。
  4. 前記シリカの含有割合が、前記発泡シート中の無機物の全量に対して50質量%以上である請求項2から3のいずれかに記載の発泡シート。
  5. 前記フィラーの個数平均粒子径が、5nm〜100nmである請求項1から4のいずれかに記載の発泡シート。
  6. 前記脂肪族ポリエステル樹脂の含有割合が、発泡シート中の有機物の全量に対して、98%以上である請求項1から5のいずれかに記載の発泡シート。
  7. 発泡シートの平均発泡径が、7μm以下である請求項1から6のいずれかに記載の発泡シート。
  8. 発泡シート中のフィラーの個数平均粒子径が、0.01μm以上0.1μm以下であり、
    粒子径10μm以上であるフィラーの割合が、発泡シート1gあたり100個以下である請求項1から7のいずれかに記載の発泡シート。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の発泡シートを含むことを特徴とする製造物。
  10. 袋、包装容器、食器、カトラリー、文房具、及び緩衝材から選択される少なくとも1種である請求項9に記載の製造物。
  11. 圧縮性流体の存在下において、脂肪族ポリエステル樹脂とフィラーとを、前記脂肪族ポリエステル樹脂の融点より低い温度で混錬してポリ乳酸組成物を得る混錬工程と、
    前記ポリ乳酸組成物から圧縮性流体を除去するときに前記ポリ乳酸組成物を発泡させる発泡工程と、
    を有することを特徴とする発泡シートの製造方法。
  12. 前記発泡シートが請求項1から8のいずれかに記載の発泡シートである請求項11に記載の発泡シートの製造方法。
  13. 前記圧縮性流体が、二酸化炭素である請求項11から12のいずれかに記載の発泡シートの製造方法。

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