JP3548632B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物、その発泡体および製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、微細かつ均一な気泡を有する発泡体を製造するのに適したポリプロピレン系樹脂組成物、その発泡体および製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開昭55−31807 号公報には、メルトインデックスが0.5 〜15g/10分のポリプロピレン50〜80重量%、高密度ポリエチレン5〜40重量%、低密度ポリエチレン5〜25重量%およびEPゴム0〜5重量%からなるポリオレフィン系熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載の樹脂組成物は、押出発泡時におけるガス保持性が十分とは言えず、このような樹脂組成物を用いても、満足し得る程度に微細かつ均一な気泡を有するポリプロピレン系樹脂発泡体を得るには十分なものとは言い難いものであった。
微細かつ均一な気泡を有するポリプロピレン系発泡体を得るためには、ポリプロピレン系樹脂組成物の押出発泡成形時におけるガス保持性が優れていることが必要であり、このためガス保持性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物の開発が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ガス保持性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物を開発すべく鋭意検討した結果、特定の組成および溶融特性を有するポリプロピレン系ブロック共重合体を含有するポリプロピレン系樹脂組成物を用いることにより、ガス保持性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物が得られ、この組成物を用いることにより、微細かつ均一な気泡を有するポリプロピレン系発泡体が得られることを見出し、本発明に至った。
【0005】
すなわち本発明は、(A)ポリプロピレン系ブロック共重合体90〜60重量部、および(B)ポリエチレン系樹脂10〜40重量部を含有する樹脂組成物であって、ポリプロピレン系ブロック共重合体が、(a)結晶性のポリプロピレン99〜90重量%、および(b)非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体1〜10重量%を含有しかつ下記の溶融特性
(1) メルトインデックス(MI):2〜15g/10分、
(2) キャピラリーレオメータによるダイスウェル比:1.7以上
を有するポリプロピレン系ブロック共重合体であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物、その発泡体および製造法を提供するものである。
【0006】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物はガス保持性に優れており、これを用いることにより、微細かつ均一な気泡を有し耐衝撃性等も兼ね備えた発泡体を工業的に安定して製造することができる。
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用されるポリプロピレン系ブロック共重合体(A)は、結晶性のポリプロピレン(a)中に非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体(b)が分散している重合体の他に、結晶性のポリプロピレン(a)と非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体(b)とが化学結合している共重合体も含むが、通常は前者の分散している重合体である。かかるポリプロピレン系ブロック共重合体(A)は、公知の方法例えば、特開昭61−69823 号公報に記載された方法に従って製造することができる。
【0008】
結晶性のポリプロピレン(a)は、結晶性を損なわない程度に少量のエチレン、α−オレフィン等の共重合成分が共重合されていてもよい。共重合成分としては、例えば、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン、1−ヘキセン等が挙げられる。
【0009】
非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体(b)は、非晶性であればその組成比及びα−オレフィンの種類は特に限定されない。エチレン/α−オレフィンの重量比は、好ましくは20/80〜80/20であり、α−オレフィンの具体例としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン、1−ヘキセン等が挙げられる。
【0010】
本発明で使用されるポリプロピレン系ブロック共重合体(A)における、(a)/(b)の重量比は、99/1〜90/10であり、好ましくは98/2〜92/8である。(a)/(b)の重量比が、99/1を越えると本発明のポリプロピレン系樹脂発泡体の耐衝撃性が低くなり、90/10未満の場合には、ガス保持性が低下する
【0011】
本発明のポリプロピレン系ブロック共重合体(A)のMIは、2〜15g/10分(JISK7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfで測定)であり、好ましくは3〜10g/10分である。MIが、2g/10分未満の場合には、押出成形時にスクリューせん断による発熱が大きく、樹脂温度が上昇しガス抜けが起こり、所定密度の発泡体を得ることが困難となり、15g/10分を越えると発泡体の耐衝撃性が低下する。
【0012】
ポリプロピレン系ブロック共重合体(A)のキャピラリーレオメータによるダイスウェル比は、1.7以上(JIS K7199に準拠し、長さ(l)=20mm、直径(d)=1 mm、流入角はフラットのキャピラリーを使用し、測定温度185℃、せん断速度121sec −1で測定)であり、好ましくは1.7〜3である。1.7未満ではガス保持性が低く、押出成型時にガス抜けが発生してしまい、微細かつ均一な気泡を有する発泡体を得ることができない。
【0013】
本発明で用いるポリエチレン系樹脂(B)は、押出発泡時の低温加工性および発泡体に要求される物性(剛性、耐衝撃性など)等に応じて、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などから適宜選択することができる。なかでもMIが0.1〜20g/10分(JISK7210に準じて、温度190℃、荷重2.16kgfで測定)のものを用いるのが好ましく、特に密度が0.86〜0.905g/cm3であるエチレン・α−オレフィン共重合体の単独もしくは密度が0.86〜0.905g/cm3であるエチレン・α−オレフィン共重合体と密度が0.94〜0.97g/cm3である高密度ポリエチレンとを、エチレン・α−オレフィン共重合体/高密度ポリエチレンの重量比が40/60以上の範囲で用いることが、発泡体の剛性および耐衝撃性の点で好ましい。
発泡体の耐衝撃性の点からさらに好ましいエチレン・α−オレフィン共重合体としては、MIが0.1〜10g/10分で、密度が0.86〜0.89g/cm3であるものが挙げられる。
ポリエチレン系樹脂(B)として用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体の組成比およびα−オレフィンの種類は特には限定されないが、エチレン/α−オレフィンの重量比は、好ましくは、90/10〜40/60であり、α−オレフィンの具体例としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−ペンテン−1、1−オクテン、1−ヘキセン等が挙げられる。
【0014】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系ブロック共重合体(A)とポリエチレン系樹脂(B)を含有し、(A)/(B)の重量比は、90/10〜60/40である。重量比が、90/10を越えると、発泡成形時の加工性が低下して均一な気泡を有するポリプロピレン系樹脂発泡体を安定して製造することができず、また、押出成形加工時の低温加工性及び発泡体の耐衝撃性が低下する。重量比が、60/40未満の場合には、発泡成形時の加工性が低下し、均一な気泡を有するポリプロピレン系樹脂発泡体を安定して製造することができず、また発泡体の剛性、耐熱性およびヒンジ特性等が低下する。
【0015】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系ブロック共重合体(A)、ポリエチレン系樹脂(B)の他に発泡剤を含有していてもよく、また本発明の効果を維持できる程度において、必要に応じて各種添加剤、例えば、発泡助剤、1次、2次酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、フィラー等を含有していてもよい。
【0016】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、例えば、ポリプロピレン系ブロック共重合体(A)、ポリエチレン系樹脂(B)および所望の添加剤をタンブラーにて混合し、さらに押出機にて溶融混練することにより製造することができる。
【0017】
次に、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡体の製造法について説明する。
ポリプロピレン系樹脂発泡体は、以下の2工程により製造することができる。〔第1工程〕
ポリプロピレン系ブロック共重合体(A)、ポリエチレン系樹脂(B)、発泡体および必要に応じ他の添加剤を溶融混練してポリプロピレン系樹脂組成物を得る工程。
〔第2工程〕
上記で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を発泡させる工程。
【0018】
まず、第1工程について説明する。
本発明で用いる発泡剤の種類は、特には限定されないが、例えば、加熱により分解して気体を発生する熱分解型発泡剤や、物理発泡剤(蒸発型発泡剤)などが挙げられる。より具体的には、熱分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、オキシベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾビスビスブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、ヒドラゾジカルボンアミド等が挙げられ、物理発泡剤としては、ヘプタン、ヘキサン、ジクロロエタン等の有機溶媒が挙げられる。これらの中でも、熱分解型発泡剤、特に、アゾジカルボンアミドが好ましい。
また、通常は、分解温度が、160 〜180 ℃付近である発泡剤を用いるのが好ましいが、180 ℃を越える分解温度を有する発泡剤であっても、発泡助剤を併用することにより分解温度を180 ℃以下に下げることにより、使用することができる。また、発泡剤の分解時の発熱により、不均一な気泡が生成するのを防止するために、吸熱性の分解挙動を示す発泡剤、例えば、炭酸水素ナトリウムなどを併用することが好ましい。
【0019】
発泡剤の添加量は特に限定されず、発泡剤の種類に応じて、所望の発泡体密度を得るのに必要なガス量から算出することができる。本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂組成物は、ガス保持性に優れているので、所望密度の発泡体を得るために必要な発泡体の添加量は、発泡体の種類に応じ、化学量論的計算により求めることができる。得られる発泡体の密度は、0.2 〜0.7g/cm3のものが好ましく用いられる。本発明のポリプロピレン系樹脂は、発泡剤の配合量を調節することにより、密度が0.2 〜0.7g/cm3の発泡体を得ることができる。
【0020】
上記第1工程の好ましい態様として、例えば、以下の2つのものが挙げられる。 ひとつは、ポリプロピレン系ブロック共重合体(A)とポリエチレン系樹脂(B)とを混合し、(A)および(B)の溶融温度以上の樹脂温度で溶融混練した後、さらに発泡剤を添加して引き続き溶融混練を行うものである。
他のひとつは、(A)、(B)および発泡剤を混合し、溶融混練するものである。上記第1工程で得られたポリプロピレン系樹脂組成物は、通常、引き続いて発泡工程(第2工程)に供される。
【0021】
次に、第2工程について説明する。
上記第1工程で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、第2工程において、公知の方法に準じて発泡、成形することにより、微細かつ均一な気泡を有する所望の形状のポリプロピレン系樹脂発泡体が得られる。
【0022】
例えば、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡体がシート状である場合には、第1工程で得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、Tダイスまたはサーキュラーダイスを取り付けた押出機を用いて押出し、シート状に成形すると同時に所定密度に発泡させるいわゆる押出発泡法が好ましい。この場合、シートの厚みは特には限定されないが、一般的には、1〜10mm程度である。かかる押出発泡の際の樹脂温度は、160〜180℃程度が好ましい。
【0023】
上記のようにして得られるポリプロピレン系樹脂発泡体は、
(A)ポリプロピレン系ブロック共重合体90〜60重量部、および(B)ポリエチレン系樹脂10〜40重量部を含有する樹脂組成物であって、ポリプロピレン系ブロック共重合体が、(a)結晶性のポリプロピレン99〜90重量%、および(b)非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体1〜10重量%を含有しかつ下記の溶融特性
(1) メルトインデックス(MI):2〜15g/10分、
(2) キャピラリーレオメータによるダイスウェル比:1.7以上
を有するポリプロピレン系ブロック共重合体であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物からなり、微細かつ均一な気泡を有するものである。
【0024】
【発明の効果】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ガス保持性に優れており、これを用いることにより、微細で均一な気泡を有し耐衝撃性等も兼ね備えたポリプロピレン系樹脂発泡体を工業的に有利に製造することができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明について、実験例を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
・MIは、JIS K7210に準拠し測定した。
(ポリプロピレン系ブロック共重合体:温度230℃、荷重2.16kgf)(ポリエチレン系樹脂 :温度190℃、荷重2.16kgf)・キャピラリーレオメ−タによるダイスウェル比は、JIS K7199に準拠
して測定した。
(キャピラリー:長さ20mm、直径1mm、流入角はフラット。)
(測定温度185℃、せん断速度121sec −1)
・曲げ弾性率は、JIS K7203に準拠し測定した。
(試験片:50×100mm、曲げ速度:10mm/分)
(スパン間距離:50mm)
・デュポン衝撃強度は、JIS K5400に記載される衝撃変形法試験機(B法)を用いて試験片(100 ×100 mm)に衝撃を加え、JIS K7211に記載されている測定方法にて50%破壊エネルギーを測定し、その値を衝撃強度とした。
【0026】
(実施例1)
70重量部の(A1)ポリプロピレン系ブロック共重合体〔(a)結晶性のポリプロピレン95重量%と(b)非晶性のエチレン・プロピレン共重合体(エチレン/プロピレンの重量比:40/60)5重量%を含有し、MI=6g/10分、キャピラリーレオメータによるダイスウェル比=1.9)〕、およびポリエチレン系樹脂として、20重量部の(B1)エチレン・1−ブテン共重合体〔VLDPE:MI=2g/10分、密度=0.900g/cm3〕と10重量部の(B2)高密度ポリエチレン〔HDPE:MI=5g/10分、密度=0.95g/cm3〕をタンブラーを用いて混合した後、ストランドダイスを付けた90mmφ押出機にて、溶融混練(シリンダー温度:220℃、ダイス温度:220℃、スクリュー回転数:40rpm)してポリプロピレン系樹脂組成物を得た。該ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に、アゾジカルボンアミド1.2重量部、塩基性炭酸亜鉛0.6重量部を添加し、タンブラーを用いて混合した後、1200mmTダイスを取り付けた90mmφ押出機にて、押出発泡(シリンダー温度:160℃、ダイス温度:170℃、スクリュー回転数:40rpm)を行った。得られた発泡シート(シート厚み4mm、密度0.3g/cm3)は、耐衝撃性に優れ、微細で均一な気泡を有するものであった。
【0027】
(実施例2)
ポリプロピレン系ブロック共重合体として、70重量部の(A2)ポリプロピレン系ブロック共重合体〔(a)結晶性のポリプロピレン95重量%と(b)非晶性のエチレン・プロピレン共重合体(エチレン/プロピレンの重量比:40/60)5重量%を含有し、MI=10g/10分、キャピラリーレオメータによるダイスウェル比=1.75)〕を用いた以外は実施例1と同様にして耐衝撃性に優れ、微細で均一な気泡を有する発泡シ−トを得た(厚み4mm、密度0.3g/cm3)を得た。
【0028】
(実施例3)
ポリプロピレン系ブロック共重合体の量を80重量部とし、ポリエチレン系樹脂として、20重量部の(B3)エチレン・プロピレン共重合体〔ULDPE:MI=1g/10分、密度0.87g/cm3 〕を用いた以外は実施例1と同様にして耐衝撃性に優れ、微細で均一な気泡を有する発泡シ−トを得た(厚み4mm、密度0.3g/cm3)を得た。
【0029】
(実施例4)
ポリエチレン系樹脂として、20重量部の(B3)および10重量部の(B2)を用いる以外は実施例1と同様にして耐衝撃性に優れ、微細で均一な気泡を有する発泡シ−ト(厚み4mm、密度0.3g/cm3)を得た。
【0030】
(実施例5)
ポリプロピレン系ブロック共重合体として、80重量部の(A3)ポリプロピレン系ブロック共重合体〔(a)結晶性のポリプロピレン97重量%と(b)非晶性のエチレン・プロピレン共重合体(エチレン/プロピレンの重量比:40/60)3重量%を含有し、MI=8g/10分、キャピラリーレオメータによるダイスウェル比=1.9)〕を用い、ポリエチレン系樹脂として、20重量部の(B3)を用いた以外は実施例1と同様にして耐衝撃性に優れ、微細で均一な気泡を有する発泡シ−ト(厚み4mm、密度0.3g/cm3)を得た。
【0031】
(実施例6)
ポリプロピレン系ブロック共重合体として、65重量部の(A1)を用い、ポリエチレン系樹脂として15重量部の(B3)および20重量部の(B2)を用いた以外は実施例1と同様にして耐衝撃性に優れ、微細で均一な気泡を有する発泡シート(厚み4ミリ、密度0.3g/cm3 )を得た。
【0032】
(比較例1)
ポリプロピレン系ブロック共重合体として、70重量部の(A4)ポリプロピレン系ブロック共重合体〔(a)結晶性のポリプロピレン95重量%と(b)非晶性のエチレン・プロピレン共重合体(エチレン/プロピレンの重量比:40/60)5重量%を含有し、MI=6g/10分、キャピラリーレオメータによるダイスウェル比=1.6)〕を用いた以外は実施例1と同様にして押出発泡成形を行った。しかしながら、押出発泡時にガス抜けが発生し、厚み2mm、密度0.8g/cm3 の発泡シートしか得られなかった。
【0033】
(比較例2)
ポリプロピレン系ブロック共重合体として、65重量部の(A5)ポリプロピレン系ブロック共重合体〔(a)結晶性のポリプロピレン85重量%と(b)非晶性のエチレン・プロピレン共重合体(エチレン/プロピレンの重量比:40/60)15重量%を含有し、MI=8g/10分、キャピラリーレオメータによるダイスウェル比=1.65)〕を用い、ポリエチレン系樹脂として、25重量部の(B4)と10重量部の(B5)高密度ポリエチレン〔HDPE:MI=0.4g/10分、密度0.955g/cm3 〕を用いた以外は実施例1と同様にして、押出発泡成形を行った。しかしながら、押出発泡時にシート表面からのガス抜けが発生し、気泡が粗く不均一で外観の悪いシート(厚み4mm、密度0.3g/cm3 )しか得られなかった。
【0034】
(実施例7)
アゾジカルボンアミドを0.6重量部とした以外は実施例3と同様にして、微細で均一な気泡を有する発泡シート(厚み2mm、密度0.45g/cm3 )を得た。
【0035】
(比較例3)
ポリプロピレン系ブロック共重合体として、80重量部の(A6)ポリプロピレン系ブロック共重合体〔(a)結晶性のポリプロピレン95重量%と(b)非晶性のエチレン・プロピレン共重合体(エチレン/プロピレンの重量比:40/60)5重量%を含有し、MI=6g/10分、キャピラリーレオメータによるダイスウェル比=1.5)〕を用いた以外は実施例7と同様にして、押出発泡成形を行った。しかしながら、押出発泡時にガス抜けが発生し、厚み1mm、密度0.8g/cm3 )のシートしか得られなかった。
【0036】
(比較例4)
ポリプロピレン系ブロック共重合体として、80重量部の(A7)ポリプロピレン系ブロック共重合体〔(a)結晶性のポリプロピレン95重量%と(b)非晶性のエチレン・プロピレン共重合体(エチレン/プロピレンの重量比:40/60)5重量%を含有し、MI=1g/10分、キャピラリーレオメータによるダイスウェル比=1.9)〕を用いた以外は実施例3と同様にして、押出発泡成形を行った。しかしながら、押出発泡時にガス抜けが発生し、厚み2mm、密度0.8g/cm3 )のシートしか得られなかった。
【0037】
(比較例5)
ポリプロピレン系ブロック共重合体として、80重量部の(A8)ポリプロピレン系ブロック共重合体〔(a)結晶性のポリプロピレン95重量%と(b)非晶性のエチレン・プロピレン共重合体(エチレン/プロピレンの重量比:40/60)5重量%を含有し、MI=18g/10分、キャピラリーレオメータによるダイスウェル比=1.9)〕を用いた以外は実施例3と同様にして、押出発泡成形を行った。微細で均一な気泡を有する発泡シート(厚み4mm、密度0.3g/cm3 )が得られたが、耐衝撃性が低いものであった。
【0038】
(比較例6)
ポリプロピレン系ブロック共重合体として、95重量部の(A1)を用い、ポリエチレン系樹脂として、5重量部の(B3)を用いた以外は実施例3と同様にして、押出発泡成形を行った。微細で均一な気泡を有する発泡シート(厚み4mm、密度0.3g/cm3 )が得られたが、耐衝撃性が低いものであった。
【0039】
(比較例7)
ポリプロピレン系ブロック共重合体として、55重量部の(A1)を用い、ポリエチレン系樹脂として、35重量部の(B3)および10重量部の(B2)を用いた以外は実施例4と同様にして、押出発泡成形を行った。微細で均一な気泡を有する発泡シート(厚み4mm、密度0.3g/cm3 )が得られたが、剛性が低いものであった。
以上の実施例および比較例の結果を表1および表2にまとめた。
【表1】
【表2】
Claims (8)
- (A)ポリプロピレン系ブロック共重合体90〜60重量部、および(B)ポリエチレン系樹脂10〜40重量部を含有する樹脂組成物であって、ポリプロピレン系ブロック共重合体が、(a)結晶性のポリプロピレン99〜90重量%、および(b)非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体1〜10重量%を含有しかつ下記の溶融特性
(1) メルトインデックス(MI):2〜15g/10分、
(2) キャピラリーレオメータによるダイスウェル比:1.7以上
を有するポリプロピレン系ブロック共重合体であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。 - ポリプロピレン系ブロック共重合体(A)が、結晶性のポリプロピレン(a)中に非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体(b)が分散している共重合体である請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- ポリエチレン系樹脂(B)が、エチレン・α−オレフィン共重合体の単独、もしくはエチレン・α−オレフィン共重合体および高密度ポリエチレンからなる樹脂である請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- ポリエチレン系樹脂(B)が、密度が0.86〜0.905g/cm3であるエチレン・α−オレフィン共重合体の単独、もしくは密度が0.86〜0.905g/cm3であるエチレン・α−オレフィン共重合体と密度が0.94〜0.97g/cm3である高密度ポリエチレンからなる樹脂である請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 発泡剤を含有することを特徴とする請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂発泡体。
- 密度が、0.2〜0.7g/cm3である請求項6記載のポリプロピレン系樹脂発泡体。
- (a)結晶性のポリプロピレン99〜90重量%、および(b)非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体1〜10重量%を含有し、且つメルトインデックス(MI):2〜15g/10分で、キャピラリーレオメータによるダイスウェル比:1.7以上である溶融特性を有するポリプロピレン系ブロック共重合体(A)90〜60重量部と、ポリエチレン系樹脂(B)10〜40重量部、および発泡剤を溶融混練し、次いで発泡させることを特徴とするポリプロピレン系樹脂発泡体の製造法。
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