JP3551449B2 - 難燃性ポリオレフィン系樹脂発泡体 - Google Patents
難燃性ポリオレフィン系樹脂発泡体 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は良好な難燃性、柔軟性および発泡外観を有し燃焼時に腐食性ガスの発生のないポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系樹脂の発泡体は軽量でソフトな感触を有し弾力性に富むため、履物の底材や芯材、緩衝材等に広く使用されている。しかしポリオレフィン系樹脂の発泡体は燃え易いため、建材などの難燃性を要求される用途には一般に使用することができない。ポリオレフィン系樹脂の発泡体を難燃化するため、難燃剤として一般に使用されているハロゲン系難燃剤または非ハロゲン系難燃剤をポリオレフィン系樹脂に添加しても難燃性発泡体は得られず、難燃性に優れたポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることは困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は良好な難燃性、柔軟性および発泡外観を有し燃焼時に腐食性ガスの発生のないポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題の解決のため鋭意検討した結果、難燃剤として非ハロゲン系の赤燐および特定の膨張性および特定の粒径を有する膨張黒鉛を用いることにより上記課題が解決できることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち本発明はポリオレフィン系樹脂(1)100重量部に対し、赤燐(2)1〜30重量部、1000℃における膨張度が100cc/g以上であり、かつ粒径が80〜120メッシュである加熱膨張性黒鉛(3)1〜30重量部および発泡剤(4)1〜30重量部を添加した組成物を発泡させてなる難燃性ポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明の発泡体における組成物の成分(1)として用いられるポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体、これらα−オレフィン2種以上の共重合体、あるいはこれらα−オレフィンと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体が挙げられる。具体的に例示すると、高密度、中密度、低密度ポリエチレン、エチレンとプロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の1種以上のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の1種以上のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルとの共重合体、該エチレンとビニルエステル共重合体のケン化物、エチレンとアクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチル、n−ブチル、イソブチル等の不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸との共重合体およびその金属塩、エチレン/ビニルエステル/一酸化炭素共重合体、エチレン/不飽和カルボン酸エステル/一酸化炭素共重合体、エチレン/不飽和カルボン酸エステル/不飽和カルボン酸共重合体およびその金属塩、エチレン/ビニルエステル/不飽和カルボン酸共重合体およびその金属塩、エチレン/メチルアクリレート/モノエチルマレエート共重合体、エチレン/酢酸ビニル/モノエチルマレエート共重合体等があげらる。更に上記各樹脂のシラン変性、カルボン酸変性等の変性体なども用いることができる。そしてこれら樹脂は単独で又は2種以上の混合物として使用される。以上述べた樹脂のうちエチレン/酢酸ビニル共重合体あるいは低密度ポリエチレンを用いることにより特に優れた難燃性、柔軟性及び発泡外観を有する発泡体が得られるので好ましい。
【0008】
本発明の発泡体における組成物の成分(2)として用いられる赤燐は、樹脂への分散性の点から20μ以下の粒径をもつものが好ましい。また、フェノール樹脂やチタネートカップリング剤等によって表面処理された赤燐も使用することができる。この赤燐の配合量はポリオレフィン系樹脂(1)100重量部に対し1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部である。該配合量が1重量部未満では難燃性に劣り、また30重量部を超えると発泡体の柔軟性に劣りコストアップとなる。
【0009】
本発明の発泡体における組成物の成分(3)として用いられる加熱膨張性黒鉛とは、1000℃における膨張度が100cc/g以上であり、その粒径は80〜120メッシュのものである。ここで膨張度とはかさ密度の逆数を言い、膨張度が100cc/g未満のものを用いると得られる発泡体の難燃性に劣る。また加熱膨張性黒鉛の粒径が80メッシュオンのものを用いると、得られる発泡体にボイド(気泡材料中に偶然に形成されかつ個々の固有の気泡よりも大きい空間)が発生し、発泡体を切断したときの切断面の外観が悪くなる。また粒径が120メッシュパスのものを用いると得られる発泡体の難燃性に劣る。この加熱膨張性黒鉛(3)は例えば鱗片状黒鉛を硫酸中で電解酸化する、または燐酸、硫酸、硝酸、過塩素酸等から選ばれた2種以上の混酸により酸化する等の酸化処理して得られる。該加熱膨張性黒鉛の配合量はポリオレフィン系樹脂(1)100重量部に対し1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部である。該配合量が1重量部未満では得られる発泡体の難燃性に劣り、また30重量部を超えると得られる発泡体の柔軟性に劣りコストアップとなる。
【0010】
本発明の発泡体は難燃剤として上述の成分(2)および(3)の非ハロゲン系難燃剤を採用しているので、ハロゲン系難燃剤を配合したものと異なり燃焼時に発煙量が多いとか、ハロゲン化水素等の腐食性ガスが発生し機器、装置の損傷や火災の際に避難する人が煙のために逃げ道を失う等の問題がない。
【0011】
また本発明の発泡体において組成物の成分(4)として用いられる発泡剤とは、化学的な変化なしに揮発する常温で液体または気体状の蒸発型発泡剤(物理的発泡剤)および化学的な分解によって窒素、二酸化炭素、アンモニア等のガスを発生する分解型発泡剤(化学的発泡剤)である。
【0012】
上記蒸発型発泡剤としては、n−プロパン、n−ペンタン、n−ヘキサン、ネオペンタン、イソヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、二塩化メチレン等の塩素化脂肪族炭化水素、トリクロルモノフルオルメタン、ジクロルテトラフルオルエタン等のふっ素化脂肪族炭化水素等が例示でき、これらは単独でまたは2種以上の混合物として利用される。一方、分解型発泡剤としては重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、カルシウムアジドを始めとするアジド化合物等の無機発泡剤、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド(DMDNTA)等のニトロソ化合物、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AZDN)、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH)、p,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)またはその誘導体等のスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド(TSC)、トリヒドラジノトリアジン、p,p′−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド(OBSC)等が例示でき、これらは単独でまたは2種以上の混合物として利用される。
【0013】
上記発泡剤のうちでは細かな均一な発泡セルが得られることから分解型発泡剤が好ましく、分解型発泡剤のうちではアゾジカルボンアミド(ADCA)、p,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)等のポリオレフィン系樹脂の融点以上で融点+50℃以下の分解温度を有するものが特に好ましく用いられる。
【0014】
上記発泡剤(4)の配合量はポリオレフィン系樹脂100重量部に対し1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部である。該配合量が1重量部未満では得られる発泡体の発泡倍率が低くなり柔軟性に欠け、30重量部を越えると発泡成形性に劣る。
【0015】
また上記発泡剤の分解を助成し分解温度を引き下げる等の目的でしゅう酸、サリチル酸、フタル酸、安息香酸、ほう酸、炭酸、マロン酸、クエン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、けい酸等の有機酸、尿素、ほう砂、エタノールアミン、酸化亜鉛、炭酸鉛等の発泡助剤を組成物中に添加してもよい。
【0016】
以上述べた成分(1)〜(4)からなる組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ、成分(2)および(3)以外の難燃剤を添加してもよい。成分(2)および(3)以外の難燃剤としては、例えば酸化アンチモン、アンチモニーシリコオキシド、ほう酸亜鉛等の無機化合物、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(モノクロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2−ブロモ−3−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクレジル)ホスフェート、臭素化りん酸エステル系、含ハロゲン縮合有機りん酸エステル、含臭素・塩素りん酸エステル、含塩素りん酸エステル、塩素含りんエステル系、エチレンビストリス−(2−シアノエチル)ホスフォニウムブロミド、テトラキシ(ヒドロキシメチル)ホスフォニウムクロリド、臭素化アルキルアシドホスフェート、ジ−(ポリオキシエチレン)−ヒドロキシメチルホスフォネート、ポリりん酸アンモン、低縮合りん酸アンモン等のりん系難燃剤、テトラブロモブタン、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモエチルベンゼン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモジフェニルオキシド、ペンタブロモクロロシクロヘキサン、テトラブロモビスフェノールA誘導体、テトラブロモビスフェノールS、トリス−(2,3−ジブロモプロピル−1)−イソシアヌレート、2,2−ビス−[4(2,3−ジブロモプロポキシ)3,5−ジブロモフェニル]−プロパン、臭素化アセチレンアルコール、臭素化エポキシ樹脂等の臭素系難燃剤、塩素化パラフィン、塩素化ポリオレフィン、ジメチルクロレンデート等の塩素系難燃剤等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上の混合物として添加できる。
【0017】
また上記組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、有機・無機充填剤、有機過酸化物、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、造核剤、透明化剤、界面活性剤、触媒中和剤等の一般にポリオレフィン系樹脂に添加される添加剤を添加してもよい。
【0018】
本発明の発泡体を得るためには上述の組成物を発泡させるが、この発泡は物理的または化学的発泡で行われ、特に限定されるものではなく、分解型発泡剤、赤燐および黒鉛をポリオレフィン系樹脂の融点以上、発泡剤の分解温度以下で溶融混練して得られるシートを発泡剤の分解温度以上に加熱し常圧で発泡させる常圧発泡法、蒸発型発泡剤または分解型発泡剤を含む(1)〜(3)の各成分を溶融状態でダイから押出すことにより高圧状態から常圧への圧力変化によって膨張させる押出発泡法、分解型発泡剤および架橋剤を含む(1)〜(3)の各成分を架橋剤および発泡剤の分解温度以下で溶融混練して得られるシートを密閉金型中に充填し加圧下で加熱して架橋剤および発泡剤を分解し放圧による圧力変化により急激に膨張させる加圧発泡法、分解型発泡剤を含侵させたポリオレフィン系樹脂ペレットと成分(2)〜(3)とのドライブレンド物または分解型発泡剤を含む(1)〜(3)の各成分を発泡剤の分解温度以下で溶融混練して得られるペレットを射出成形機にて発泡させる射出発泡法等の従来公知の方法を用いることができる。
【0019】
上記発泡体製造過程における成分(1)〜(4)のドライブレンドはリボンブレンダー、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー等を用いて行うことができる。また成分(1)〜(4)の溶融混練は押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、熱ロール等を用いて行うことができる。
【0020】
また上記発泡体製造工程において用いられる架橋剤とは、発泡体の強度を更に向上し発泡倍率を上げる等の目的で本発明における組成物中に必要に応じ添加されるもので、通常ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1′−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン等の過酸化水素の1個または2個の水素を有機ラジカルで置換した化合物で分子中に−O−O−結合を有する有機過酸化物が用いられる。
【0021】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。実施例及び比較例中の部とは重量部である。なお実施例及び比較例における性能の測定は次の方法によった。
【0022】
▲1▼発泡体外観
発泡体の切断面を目視により観察し次の基準で評価した。
【0023】
○;ボイドの発生は見られない
×;ボイドが発生している
▲2▼発泡体柔軟性
発泡体を手で押したときの柔軟性を触感により次の基準で評価した。
【0024】
○;柔らかい
×;固い
▲3▼難燃性
発泡体から切削によって127×12.7×1.6(厚み)mmの試験片を作製しUL94垂直試験法に準拠し測定した。自消性(V0)を有すれば実用上問題なしと評価した。
【0025】
実施例1〜3および比較例1〜3
エチレン−酢酸ビニル共重合体(JIS K6730による酢酸ビニル含量;15重量%,JIS K6730によるメルトフローレート(以下「MFR」と略す。);1.5g/10分)100部に対し、赤燐(商品名;ノーバレッド120UF,燐化学工業(株)製)と加熱膨張性黒鉛(天然鱗片状黒鉛を硫酸と酸化剤によって酸化処理したもので、1000℃における膨張度が190cc/gであり、粒径が80〜120メッシュのもの)、発泡剤としてアゾジカルボンアミド系発泡剤(商品名;セルマイクCAP,三協化成(株)製)および架橋剤として1,3−ビス−(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(商品名;パーカドックス14/40,化薬ヌーリー(株)製)を表1に示す量を配合し、表面温度100℃の8インチロールで混練しシートを作製した。次にこの混練シート約340ccを195×195×10(厚み)mmの金型に入れ、プレス機により温度160℃、時間15分間、初期圧力170kg/cm2の条件で架橋発泡後、放圧して発泡体を得た。得られた発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。
【0026】
本実施例の発泡体は発泡外観、柔軟性および難燃性に優れていた。一方赤燐の配合量が30部を越える比較例1の発泡体および加熱膨張性黒鉛の配合量が30部を越える比較例2の発泡体は柔軟性に劣っており、発泡剤の配合量が30部を越える比較例3の樹脂組成物はプレス機による加熱・加圧後の放圧時に発泡物が飛び散り発泡体を形成しなかった。
【0027】
比較例4
赤燐を配合しなかった以外は実施例1と同様の成分を用い、実施例1と同様に混練シートを作製し発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。赤燐を配合しない本比較例の発泡体は難燃性に劣るものとなった。
【0028】
比較例5
加熱膨張性黒鉛を配合しなかった以外は実施例1と同様の成分を用い、実施例1と同様に混練シートを作製し発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。加熱膨張性黒鉛を配合しない本比較例の発泡体は難燃性に劣るものとなった。
【0029】
比較例6
加熱膨張性黒鉛(天然鱗片状黒鉛を硫酸と酸化剤によって酸化処理したもので、1000℃における膨張度が190cc/gのもの)として粒径が80メッシュオン品を用いた以外は実施例1と同様の成分を用い、実施例1と同様に混練シートを作製し発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。本比較例の発泡体は発泡外観に劣るものとなった。
【0030】
比較例7
加熱膨張性黒鉛(天然鱗片状黒鉛を硫酸と酸化剤によって酸化処理したもので、1000℃における膨張度が190cc/gのもの)として粒径が120メッシュパス品を用いた以外は実施例1と同様の成分を用い、実施例1と同様に混練シートを作製し発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。本比較例の発泡体は難燃性に劣るものとなった。
【0031】
比較例8
加熱膨張性黒鉛の代りに通常の黒鉛(1000℃における膨張度が100cc/g未満,粒径;80〜120メッシュ)を用いた以外は実施例1と同様の成分を用い、実施例1と同様に混練シートを作製し発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。本比較例の発泡体は難燃性に劣るものとなった。
【0032】
実施例4〜5
低密度ポリエチレン(JIS K6760による密度;0.921g/cm3,JIS K6760によるMFR;4g/10分)100部に対し、発泡剤としてアゾジカルボンアミド系発泡剤(商品名;セルマイクCAP−500,三協化成(株)製)を用いた以外は実施例1で用いた赤燐、加熱膨張性黒鉛および架橋剤を表1に示す量を配合し、表面温度110℃の8インチロールで混練しシートを作製した。このシートを用い実施例1と同様に発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。本実施例の発泡体は発泡外観、柔軟性および難燃性に優れていた。
【0033】
比較例9
難燃剤としてデカブロモジフェニルエーテル(商品名;フレームカット110R,東ソー(株)製)/三酸化アンチモン=3/1の混合物を25部配合した以外は実施例4と同様の成分を用い、実施例4と同様に混練シートを作製し発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。本比較例の発泡体は難燃性に劣るものとなった。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明の発泡体は発泡外観、柔軟性および難燃性に優れ、燃焼時に腐食性ガスの発生がなく建築材料等の用途に好適に用いられる。
【産業上の利用分野】
本発明は良好な難燃性、柔軟性および発泡外観を有し燃焼時に腐食性ガスの発生のないポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系樹脂の発泡体は軽量でソフトな感触を有し弾力性に富むため、履物の底材や芯材、緩衝材等に広く使用されている。しかしポリオレフィン系樹脂の発泡体は燃え易いため、建材などの難燃性を要求される用途には一般に使用することができない。ポリオレフィン系樹脂の発泡体を難燃化するため、難燃剤として一般に使用されているハロゲン系難燃剤または非ハロゲン系難燃剤をポリオレフィン系樹脂に添加しても難燃性発泡体は得られず、難燃性に優れたポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることは困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は良好な難燃性、柔軟性および発泡外観を有し燃焼時に腐食性ガスの発生のないポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題の解決のため鋭意検討した結果、難燃剤として非ハロゲン系の赤燐および特定の膨張性および特定の粒径を有する膨張黒鉛を用いることにより上記課題が解決できることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち本発明はポリオレフィン系樹脂(1)100重量部に対し、赤燐(2)1〜30重量部、1000℃における膨張度が100cc/g以上であり、かつ粒径が80〜120メッシュである加熱膨張性黒鉛(3)1〜30重量部および発泡剤(4)1〜30重量部を添加した組成物を発泡させてなる難燃性ポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明の発泡体における組成物の成分(1)として用いられるポリオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンの単独重合体、これらα−オレフィン2種以上の共重合体、あるいはこれらα−オレフィンと他の共重合可能な不飽和単量体との共重合体が挙げられる。具体的に例示すると、高密度、中密度、低密度ポリエチレン、エチレンとプロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の1種以上のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の1種以上のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルとの共重合体、該エチレンとビニルエステル共重合体のケン化物、エチレンとアクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチル、n−ブチル、イソブチル等の不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸との共重合体およびその金属塩、エチレン/ビニルエステル/一酸化炭素共重合体、エチレン/不飽和カルボン酸エステル/一酸化炭素共重合体、エチレン/不飽和カルボン酸エステル/不飽和カルボン酸共重合体およびその金属塩、エチレン/ビニルエステル/不飽和カルボン酸共重合体およびその金属塩、エチレン/メチルアクリレート/モノエチルマレエート共重合体、エチレン/酢酸ビニル/モノエチルマレエート共重合体等があげらる。更に上記各樹脂のシラン変性、カルボン酸変性等の変性体なども用いることができる。そしてこれら樹脂は単独で又は2種以上の混合物として使用される。以上述べた樹脂のうちエチレン/酢酸ビニル共重合体あるいは低密度ポリエチレンを用いることにより特に優れた難燃性、柔軟性及び発泡外観を有する発泡体が得られるので好ましい。
【0008】
本発明の発泡体における組成物の成分(2)として用いられる赤燐は、樹脂への分散性の点から20μ以下の粒径をもつものが好ましい。また、フェノール樹脂やチタネートカップリング剤等によって表面処理された赤燐も使用することができる。この赤燐の配合量はポリオレフィン系樹脂(1)100重量部に対し1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部である。該配合量が1重量部未満では難燃性に劣り、また30重量部を超えると発泡体の柔軟性に劣りコストアップとなる。
【0009】
本発明の発泡体における組成物の成分(3)として用いられる加熱膨張性黒鉛とは、1000℃における膨張度が100cc/g以上であり、その粒径は80〜120メッシュのものである。ここで膨張度とはかさ密度の逆数を言い、膨張度が100cc/g未満のものを用いると得られる発泡体の難燃性に劣る。また加熱膨張性黒鉛の粒径が80メッシュオンのものを用いると、得られる発泡体にボイド(気泡材料中に偶然に形成されかつ個々の固有の気泡よりも大きい空間)が発生し、発泡体を切断したときの切断面の外観が悪くなる。また粒径が120メッシュパスのものを用いると得られる発泡体の難燃性に劣る。この加熱膨張性黒鉛(3)は例えば鱗片状黒鉛を硫酸中で電解酸化する、または燐酸、硫酸、硝酸、過塩素酸等から選ばれた2種以上の混酸により酸化する等の酸化処理して得られる。該加熱膨張性黒鉛の配合量はポリオレフィン系樹脂(1)100重量部に対し1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部である。該配合量が1重量部未満では得られる発泡体の難燃性に劣り、また30重量部を超えると得られる発泡体の柔軟性に劣りコストアップとなる。
【0010】
本発明の発泡体は難燃剤として上述の成分(2)および(3)の非ハロゲン系難燃剤を採用しているので、ハロゲン系難燃剤を配合したものと異なり燃焼時に発煙量が多いとか、ハロゲン化水素等の腐食性ガスが発生し機器、装置の損傷や火災の際に避難する人が煙のために逃げ道を失う等の問題がない。
【0011】
また本発明の発泡体において組成物の成分(4)として用いられる発泡剤とは、化学的な変化なしに揮発する常温で液体または気体状の蒸発型発泡剤(物理的発泡剤)および化学的な分解によって窒素、二酸化炭素、アンモニア等のガスを発生する分解型発泡剤(化学的発泡剤)である。
【0012】
上記蒸発型発泡剤としては、n−プロパン、n−ペンタン、n−ヘキサン、ネオペンタン、イソヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、二塩化メチレン等の塩素化脂肪族炭化水素、トリクロルモノフルオルメタン、ジクロルテトラフルオルエタン等のふっ素化脂肪族炭化水素等が例示でき、これらは単独でまたは2種以上の混合物として利用される。一方、分解型発泡剤としては重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、カルシウムアジドを始めとするアジド化合物等の無機発泡剤、N,N′−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、N,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド(DMDNTA)等のニトロソ化合物、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AZDN)、バリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH)、p,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)またはその誘導体等のスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド(TSC)、トリヒドラジノトリアジン、p,p′−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド(OBSC)等が例示でき、これらは単独でまたは2種以上の混合物として利用される。
【0013】
上記発泡剤のうちでは細かな均一な発泡セルが得られることから分解型発泡剤が好ましく、分解型発泡剤のうちではアゾジカルボンアミド(ADCA)、p,p′−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)等のポリオレフィン系樹脂の融点以上で融点+50℃以下の分解温度を有するものが特に好ましく用いられる。
【0014】
上記発泡剤(4)の配合量はポリオレフィン系樹脂100重量部に対し1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部である。該配合量が1重量部未満では得られる発泡体の発泡倍率が低くなり柔軟性に欠け、30重量部を越えると発泡成形性に劣る。
【0015】
また上記発泡剤の分解を助成し分解温度を引き下げる等の目的でしゅう酸、サリチル酸、フタル酸、安息香酸、ほう酸、炭酸、マロン酸、クエン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、けい酸等の有機酸、尿素、ほう砂、エタノールアミン、酸化亜鉛、炭酸鉛等の発泡助剤を組成物中に添加してもよい。
【0016】
以上述べた成分(1)〜(4)からなる組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ、成分(2)および(3)以外の難燃剤を添加してもよい。成分(2)および(3)以外の難燃剤としては、例えば酸化アンチモン、アンチモニーシリコオキシド、ほう酸亜鉛等の無機化合物、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(モノクロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2−ブロモ−3−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクレジル)ホスフェート、臭素化りん酸エステル系、含ハロゲン縮合有機りん酸エステル、含臭素・塩素りん酸エステル、含塩素りん酸エステル、塩素含りんエステル系、エチレンビストリス−(2−シアノエチル)ホスフォニウムブロミド、テトラキシ(ヒドロキシメチル)ホスフォニウムクロリド、臭素化アルキルアシドホスフェート、ジ−(ポリオキシエチレン)−ヒドロキシメチルホスフォネート、ポリりん酸アンモン、低縮合りん酸アンモン等のりん系難燃剤、テトラブロモブタン、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモエチルベンゼン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモジフェニルオキシド、ペンタブロモクロロシクロヘキサン、テトラブロモビスフェノールA誘導体、テトラブロモビスフェノールS、トリス−(2,3−ジブロモプロピル−1)−イソシアヌレート、2,2−ビス−[4(2,3−ジブロモプロポキシ)3,5−ジブロモフェニル]−プロパン、臭素化アセチレンアルコール、臭素化エポキシ樹脂等の臭素系難燃剤、塩素化パラフィン、塩素化ポリオレフィン、ジメチルクロレンデート等の塩素系難燃剤等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上の混合物として添加できる。
【0017】
また上記組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、有機・無機充填剤、有機過酸化物、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、造核剤、透明化剤、界面活性剤、触媒中和剤等の一般にポリオレフィン系樹脂に添加される添加剤を添加してもよい。
【0018】
本発明の発泡体を得るためには上述の組成物を発泡させるが、この発泡は物理的または化学的発泡で行われ、特に限定されるものではなく、分解型発泡剤、赤燐および黒鉛をポリオレフィン系樹脂の融点以上、発泡剤の分解温度以下で溶融混練して得られるシートを発泡剤の分解温度以上に加熱し常圧で発泡させる常圧発泡法、蒸発型発泡剤または分解型発泡剤を含む(1)〜(3)の各成分を溶融状態でダイから押出すことにより高圧状態から常圧への圧力変化によって膨張させる押出発泡法、分解型発泡剤および架橋剤を含む(1)〜(3)の各成分を架橋剤および発泡剤の分解温度以下で溶融混練して得られるシートを密閉金型中に充填し加圧下で加熱して架橋剤および発泡剤を分解し放圧による圧力変化により急激に膨張させる加圧発泡法、分解型発泡剤を含侵させたポリオレフィン系樹脂ペレットと成分(2)〜(3)とのドライブレンド物または分解型発泡剤を含む(1)〜(3)の各成分を発泡剤の分解温度以下で溶融混練して得られるペレットを射出成形機にて発泡させる射出発泡法等の従来公知の方法を用いることができる。
【0019】
上記発泡体製造過程における成分(1)〜(4)のドライブレンドはリボンブレンダー、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー等を用いて行うことができる。また成分(1)〜(4)の溶融混練は押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、熱ロール等を用いて行うことができる。
【0020】
また上記発泡体製造工程において用いられる架橋剤とは、発泡体の強度を更に向上し発泡倍率を上げる等の目的で本発明における組成物中に必要に応じ添加されるもので、通常ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1′−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン等の過酸化水素の1個または2個の水素を有機ラジカルで置換した化合物で分子中に−O−O−結合を有する有機過酸化物が用いられる。
【0021】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。実施例及び比較例中の部とは重量部である。なお実施例及び比較例における性能の測定は次の方法によった。
【0022】
▲1▼発泡体外観
発泡体の切断面を目視により観察し次の基準で評価した。
【0023】
○;ボイドの発生は見られない
×;ボイドが発生している
▲2▼発泡体柔軟性
発泡体を手で押したときの柔軟性を触感により次の基準で評価した。
【0024】
○;柔らかい
×;固い
▲3▼難燃性
発泡体から切削によって127×12.7×1.6(厚み)mmの試験片を作製しUL94垂直試験法に準拠し測定した。自消性(V0)を有すれば実用上問題なしと評価した。
【0025】
実施例1〜3および比較例1〜3
エチレン−酢酸ビニル共重合体(JIS K6730による酢酸ビニル含量;15重量%,JIS K6730によるメルトフローレート(以下「MFR」と略す。);1.5g/10分)100部に対し、赤燐(商品名;ノーバレッド120UF,燐化学工業(株)製)と加熱膨張性黒鉛(天然鱗片状黒鉛を硫酸と酸化剤によって酸化処理したもので、1000℃における膨張度が190cc/gであり、粒径が80〜120メッシュのもの)、発泡剤としてアゾジカルボンアミド系発泡剤(商品名;セルマイクCAP,三協化成(株)製)および架橋剤として1,3−ビス−(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(商品名;パーカドックス14/40,化薬ヌーリー(株)製)を表1に示す量を配合し、表面温度100℃の8インチロールで混練しシートを作製した。次にこの混練シート約340ccを195×195×10(厚み)mmの金型に入れ、プレス機により温度160℃、時間15分間、初期圧力170kg/cm2の条件で架橋発泡後、放圧して発泡体を得た。得られた発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。
【0026】
本実施例の発泡体は発泡外観、柔軟性および難燃性に優れていた。一方赤燐の配合量が30部を越える比較例1の発泡体および加熱膨張性黒鉛の配合量が30部を越える比較例2の発泡体は柔軟性に劣っており、発泡剤の配合量が30部を越える比較例3の樹脂組成物はプレス機による加熱・加圧後の放圧時に発泡物が飛び散り発泡体を形成しなかった。
【0027】
比較例4
赤燐を配合しなかった以外は実施例1と同様の成分を用い、実施例1と同様に混練シートを作製し発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。赤燐を配合しない本比較例の発泡体は難燃性に劣るものとなった。
【0028】
比較例5
加熱膨張性黒鉛を配合しなかった以外は実施例1と同様の成分を用い、実施例1と同様に混練シートを作製し発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。加熱膨張性黒鉛を配合しない本比較例の発泡体は難燃性に劣るものとなった。
【0029】
比較例6
加熱膨張性黒鉛(天然鱗片状黒鉛を硫酸と酸化剤によって酸化処理したもので、1000℃における膨張度が190cc/gのもの)として粒径が80メッシュオン品を用いた以外は実施例1と同様の成分を用い、実施例1と同様に混練シートを作製し発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。本比較例の発泡体は発泡外観に劣るものとなった。
【0030】
比較例7
加熱膨張性黒鉛(天然鱗片状黒鉛を硫酸と酸化剤によって酸化処理したもので、1000℃における膨張度が190cc/gのもの)として粒径が120メッシュパス品を用いた以外は実施例1と同様の成分を用い、実施例1と同様に混練シートを作製し発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。本比較例の発泡体は難燃性に劣るものとなった。
【0031】
比較例8
加熱膨張性黒鉛の代りに通常の黒鉛(1000℃における膨張度が100cc/g未満,粒径;80〜120メッシュ)を用いた以外は実施例1と同様の成分を用い、実施例1と同様に混練シートを作製し発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。本比較例の発泡体は難燃性に劣るものとなった。
【0032】
実施例4〜5
低密度ポリエチレン(JIS K6760による密度;0.921g/cm3,JIS K6760によるMFR;4g/10分)100部に対し、発泡剤としてアゾジカルボンアミド系発泡剤(商品名;セルマイクCAP−500,三協化成(株)製)を用いた以外は実施例1で用いた赤燐、加熱膨張性黒鉛および架橋剤を表1に示す量を配合し、表面温度110℃の8インチロールで混練しシートを作製した。このシートを用い実施例1と同様に発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。本実施例の発泡体は発泡外観、柔軟性および難燃性に優れていた。
【0033】
比較例9
難燃剤としてデカブロモジフェニルエーテル(商品名;フレームカット110R,東ソー(株)製)/三酸化アンチモン=3/1の混合物を25部配合した以外は実施例4と同様の成分を用い、実施例4と同様に混練シートを作製し発泡体を得た。発泡体の外観および物性を測定した結果を表1に示す。本比較例の発泡体は難燃性に劣るものとなった。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明の発泡体は発泡外観、柔軟性および難燃性に優れ、燃焼時に腐食性ガスの発生がなく建築材料等の用途に好適に用いられる。
Claims (1)
- ポリオレフィン系樹脂(1)100重量部に対し、赤燐(2)1〜30重量部、1000℃における膨張度が100cc/g以上であり、かつ粒径が80〜120メッシュである加熱膨張性黒鉛(3)1〜30重量部および発泡剤(4)1〜30重量部を添加した組成物を発泡させてなる難燃性ポリオレフィン系樹脂発泡体。
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