JP5877023B2 - ポリオレフィン系樹脂発泡体 - Google Patents
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Description
(1)ポリオレフィン系樹脂組成物を架橋及び発泡させたノンハロゲン系の難燃性樹脂発泡体であって、
前記樹脂組成物はポリオレフィン系樹脂と炭素原子を有する有機フィラーと無機フィラーとを含有し、前記有機フィラーがメラミンシアヌレート及びカーボンブラックであり、前記有機フィラーと前記無機フィラーとの総配合量が前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して100〜200質量部であり、
JIS K6767に準拠して測定された厚み方向の25%圧縮硬さが8kPa以下であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体。
(2)リン化合物を含まないノンリン系の難燃性樹脂発泡体でもある(1)に記載されたポリオレフィン系樹脂発泡体。
(3)アンチモン化合物を含まないノンアンチモン系の難燃性樹脂発泡体でもある(1)又は(2)に記載されたポリオレフィン系樹脂発泡体。
(4)前記無機フィラーが、水和金属化合物及び金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載されたポリオレフィン系樹脂発泡体。
(5)前記無機フィラーが、水酸化マグネシウムを含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載されたポリオレフィン系樹脂発泡体。
(6)前記無機フィラーが、酸化チタンを含むことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
(7)JIS K6767に準拠して測定された25%圧縮永久ひずみが10%以下であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
(8)前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、前記無機フィラーとして水酸化マグネシウム100〜150質量部と酸化チタン10〜50質量部とを含有し、前記有機フィラーとしてメラミンシアヌレート10〜50質量部とカーボンブラック1〜10質量部とを含有することを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
[ポリオレフィン系樹脂]
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体を構成するポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−ブテンブロック共重合体、エチレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー系樹脂、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、ポリブテン、ポリペンテン、プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体、ブロピレン−アクリル酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げることができ、発泡体のシール性等の物性上、結晶化度が低いエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。上記のポリオレフィン系樹脂は二種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましい組合せとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体と各種のポリエチレン樹脂等との組合せが挙げられる。なお、複数のポリオレフィン系樹脂を用いた場合には、特に断らない限り、その総量をポリオレフィン系樹脂100質量部として、その他の剤の配合量を評価する。
本発明における、結晶度は、広角X線回折で測定した方法によって求められた。測定方法として、結晶に帰属する信号面積の総和を、結晶および非晶に帰属する信号面積の総和で除し、百分率で表した値を以下の式に当てはめて結晶化度Xを算出する。
X={ Ic /(Ic + Ia)} ×100
Ic :結晶性散乱積分強度
Ia :非晶性散乱積分強度
X線源:Cu/Kα線(波長=1.54056Å)
管電圧:40kv
管電流:40mA
測定範囲:回折角2θ=6〜60°
スキャンスピード:10°/min
本発明においては、上記発泡体の難燃剤として有機フィラーと無機フィラーとが併用されており、樹脂組成物はベース樹脂100質量部に対して、難燃剤としての有機フィラーと無機フィラーとを総量で100〜200質量部配合する。難燃剤の配合量が少なすぎると難燃性向上の効果が少なく、配合量が多すぎると高柔軟化が難しくなる。難燃剤の配合量を上記の範囲にすると、難燃性、圧縮硬さ、圧縮永久ひずみのバランスが比較的によい発泡体を得ることができる。同様の観点で難燃剤の配合量を100〜150質量部とするとさらによい。
本発明においては、無機フィラーとして、具体的に、水和金属化合物は水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、金属酸化物はアルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウムが挙げられる。その中でも特に水和金属化合物は水酸化マグネシウム、金属酸化物は酸化チタンが好ましい。また、必要に応じて、上記以外の無機フィラーを配合してもよい。具体的にはタルク、マイカ、シリカ、珪藻土炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、炭酸水素ナトリウム、ガラスビーズ、ゼオライト、珪酸カルシウム、アルミノシリケート、クレー、石英粉、珪藻土類等が挙げられる。なお、本明細書において「金属」という語は、通常の意味に解すればよいが、第3周期の元素において念のために確認しておくと、Na,Mg,Al,Siを含むが、P,S,Cl,Arは含まない意味である。
無機フィラーの配合量は特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、80〜180質量部であることが好ましく、100〜160質量部であることがより好ましく、120〜140質量部であることが特に好ましい。この量を上記下限値以上とすることにより高難燃性を持たせることができ好ましい。一方、上記上限値以下とすることにより優れた圧縮柔軟性を付与することができ好ましい。
本発明においては、有機フィラーとして、炭素原子を有する有機フィラーを用いる。メラミンシアヌレート、カーボンブラック、ポリテトラフルオロエチレン、アゾジカルボンアミド、木粉、澱粉、セルロース、セルロース誘導体、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物などの有機化合物、窒素などの不活性ガスなどが挙げられ、その中でも特にメラミンシアヌレート、カーボンブラックが好ましい。なお、本発明においては、カーボンブラックを有機フィラーに含めて定義している。カーボンブラックは柔軟性を維持して難燃性を確保する上で効果的であるが、過剰量を用いると架橋が十分に進行せず所望の樹脂物性が得られないことがある。上記の定義のとおり、有機フィラーには炭素原子を有さないリン系の化合物が含まれず、炭素原子のないポリリン酸化合物を含まないことがより好ましい。
有機フィラーの配合量は特に限定されないが、ベース樹脂100質量部に対して、5〜40質量部であることが好ましく、10〜20質量部であることがより好ましく、12〜16質量部であることが特に好ましい。この量を上記下限値以上とすることにより一層高い難燃性を付与することができ好ましい。一方、上記上限値以下とすることにより優れた圧縮柔軟性を付与することができ好ましい。また、特に限定するものではないが、メラミンシアヌレートとカーボンブラックの配合比率はメラミンシアヌレート:カーボンブラック=1:0.1〜0.2程度が好ましい。
本発明のノンハロゲン系難燃性樹脂発泡体においては、下記ハロゲン系の難燃剤を適用しない、ノンハロゲン化が達成されている。
ハロゲン系の難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリブロモフェノール付加物などの臭素化ビスフェノール類およびその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノール付加物エポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、テトラブロモフタレートジオール、テトラブロモフタレートエステル、テトラブロモフタレートジソジウム、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、ペンタブロモフェノール、ブロモフェノキシエタノール、臭素化フェノール(ノボラック型)、ジブロモクレジルグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、ビニルブロマイド、トリブロモフェノール、ジブロモフェノール、ジブロモメタクレゾール、ジブロモネオペンチルグリコール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化アクリル系樹脂などの臭素系芳香族化合物、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカン、テトラクロロ無水フタル酸、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環状化合物、ヘキサブロモフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどの臭素系難燃剤が挙げられる。
本発明のノンハロゲン系難燃性樹脂発泡体においては、下記リン系の難燃剤を適用しない、ノンリン化が達成されていることが好ましい。
ノンリン系難燃剤としては、難燃剤として分子中にリン原子を有する化合物であれば特に制限はなく、例えば、赤燐、三酸化リン、四酸化リン、五酸化リンなどのリン酸化物、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸化合物、モノアンモニウムホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、アンモニウムポリホスフェートなどのリン酸アンモニウム塩、メラミンモノホスフェート、メラミンジホスフェート、メラミンポリホスフェートなどのリン酸メラミン塩、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどのリン酸金属塩などのリン酸塩類、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの脂肪族系リン酸エステル類、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどの芳香族系リン酸エステル類が挙げられる。
本発明のノンハロゲン系難燃性樹脂発泡体においては、下記アンチモン系の難燃助剤を適用しない、ノンアンチモン化が達成されていることが好ましい。
アンチモン系難燃助剤としては、難燃助剤として三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムなどのアンチモンの酸化物系難燃助剤が挙げられる。
・圧縮硬さ
本発明の上記発泡体の25%圧縮硬さは、十分な硬度を有しながら軟らかさが優れたシートであるという点から8kPa以下であり、好ましくは2〜7.5kPaである。25%圧縮硬さが上記規定値未満の発泡体は、軟らかすぎてシール材として使用てきない虞があり、規定値を超える場合は、用途によって硬すぎてシール材として使用てきない虞がある。本発明において上記25%圧縮硬さは特に断らない限り後記実施例で示した方法で測定した値を言う。
本発明の上記発泡体は、25%圧縮永久ひずみが10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。25%圧縮永久ひずみが前記規定値を超える場合は、圧縮後の回復性が悪く元の状態に戻りにくいので、シール材として使用できない。本発明において圧縮永久ひずみは特に断らない限り後記実施例で示した方法で測定した値を言う。
本発明における発泡体の連続気泡率は特に限定しないが、柔軟性や面追従性をよくするために連続気泡率を適度に調整することが好ましい。架橋樹脂発泡体の連続気泡率は、より十分な柔軟性が得られる点で、50〜100%が好ましく、80〜95%がより好ましい。
連続気泡率(%)=(見掛け体積−空気比較式比重計での測定体積)/見掛け密度×100
本発明における架橋樹脂発泡体の見掛け密度は特に限定しないが、40〜150Kg/cm3であることが好ましく、80〜120Kg/cm3がより好ましい。
見掛け密度(Kg/cm3)=サンプル重量(Kg)/{サンプル厚み(m)×サンプル面積(m2)}
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法に係る材料において、発泡体を製造する際に、上記した成分の外に、更に、発泡剤と架橋剤が配合される。
発泡剤としては、加熱時に熱分解してガスを発生するものであればよく格別限定されるものではなく、有機系または無機系の化学発泡剤が使用でき、例えばアゾジカルボンアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、ジアゾアミノベンゼン等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、ベンゼン−1,3−スルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルフォニルヒドラジド、ジフェニルオキシド−4,4’−ジスルフォニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、パラトルエンスルフォニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルフタルアミド等のニトロソ化合物;テレフタルアジド、p−t−ブチルベンズアジド等のアジド化合物;重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等の無機化合物等が挙げられ、これらの少なくとも一種が用いられる。中でも効率的に高倍率の発泡体が得られることからアゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)が好ましい。発泡剤の配合量は、目的とする発泡体の発泡倍率との関係で適宜選定されるが、通常、ポリオレフィン樹脂100質量部にたいし、10〜40質量部であることが好ましい。
架橋剤としては、例えば熱分解法など簡易な方法により架橋できる有機過酸化物が好ましく用いられ、有機過酸化物としては、例えばハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類等を用いることができ、中でも1分半減期を与える分解温度が90℃を越えるものが好適である。ここで、有機過酸化物を熱分解させた際に残存量が初期値の半分に減少するまでの時間を半減期といい、1分半減期温度とは半減期が1分になる温度を意味する。そのような有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシフタレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジハイドロパーオキサイド、3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ジクミルパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。架橋剤の量は、得られる発泡体の発泡倍率と発泡成形性の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.3〜2.0質量部が好ましく、0.6〜1.5質量部がより好ましい。
・発泡とほぼ同時に架橋させる方法
上述した樹脂成分、および難燃剤に、さらに熱分解型発泡剤および架橋剤を配合した樹脂組成物を、加圧式ニーダーや2本ロールなどの混練機にて発泡剤が分解しない温度(100〜130℃程度)で混練してペレット化する。得られたペレットを押出機に供給し、樹脂温度100〜130℃程度で押出成形して、所望の厚さと幅を有する未発泡シートを形成する。この未発泡シートを約180〜230℃に調整した加熱発泡炉に投入して発泡シートを製造する。この未発泡シートを約180〜230℃に調整した加熱発泡炉に投入して発泡シートを製造する。
上述した樹脂成分、および難燃剤に、さらに熱分解型発泡剤、ビニルトリメトキシシランなどのシラン化合物、およびラジカル重合開始剤を配合した樹脂組成物を混練してペレット化する。得られたペレットをジブチルスズジラウレートなどのシラノール縮合触媒とともに押出機に供給し、押出成形して未発泡シートを形成し、この未発泡シート中でラジカル重合開始剤の作用によりシラン化合物を樹脂成分にグラフトさせる。次いで、グラフト化した樹脂成分を水の存在下で縮合反応により架橋させる。このシートを架橋炉に投入して発泡シートを製造する。この場合、ラジカル重合開始剤としては上記の有機過酸化物を適用することができる。その配合量は、樹脂成分100質量部に対して0.003〜2.0質量部が好ましい。シラノール縮合触媒の配合量は、樹脂成分100質量部に対して0.03〜5質量部が好ましい。
上述した樹脂成分、および難燃剤に、さらに熱分解型発泡剤を配合した樹脂組成物を混練してペレット化する。得られたペレットを押出機に供給し、押出成形して未発泡シートを形成する。得られた未発泡シートに、α、β、γ線、電子線、中性子線などの電離性放射線を照射して架橋させる。このシートを加熱炉に投入して発泡シートを製造する。以上の方法は単独で使用してもよい。2種以上の方法を併用してもよい。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体は、その優れた柔軟性と難燃性とから、広いアプリケーションに適合して利用することができる。さらに、ノンハロゲン化が実現され、さらにノンリン・ノンアンチモン化された製品としての配合設計も可能であり、住宅、車両、電気製品などの、日常生活で利用される機器や設備への利用にも適しており、その隙間や結合部材間へのシール材として好適に用いられる
(実施例1)
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)100質量部に対して、水酸化マグネシウム100質量部、酸化チタン15質量部、メラミンシアヌレート10質量部、カーボンブラック1質量部、滑剤3質量部からなる組成物を2本ロールの混練機にて架橋剤1.2質量部、発泡剤12質量部が分解しない温度(100〜130℃程度)で混練して、130℃に加熱されたプレスにて加圧下で加熱し、未発泡シートを得た。次に未発泡シートを220℃に調整した加熱発泡炉に投入して発泡シート101を得た。以下、表1に記載した配合する以外同様にして発泡シート102〜105、C01〜C05を得た。
<樹脂成分>
EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)
酢酸ビニル含有量(VA比)46%
MFR 2.5g/10min
商品名:エバフレックスEV45LX、三井デュポンポリケミカル(株)製
EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)
酢酸ビニル含有量(VA比)19%
MFR 2.5g/10min
商品名:EV460、三井デュポンポリケミカル(株)製
低密度ポリエチレン(LDPE)
MFR 7.0g/10min
商品名:スミカセン L705、住友化学(株)製
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
MFR 3.0g/10min
商品名:スミカセン−L、住友化学(株)製
熱可塑性エラストマー
ポリスチレンとビニル−ポリイソプレンが結合したトリブロック共重合体
スチレン含有量20%、MFR 5.0g/10min
商品名:ハイブラー5127、クラレ(株)製
<難燃剤>
水酸化マグネシウム
商品名:キスマ5B、協和化学(株)製
水酸化アルミニウム
商品名:ハイジライトH42S、昭和電工(株)製
酸化チタン
商品名:Ti−Pure R−103、デュポン製
メラミンシアヌレート
商品名:MC−2010N、堺化学工業(株)製
カーボンブラック
商品名:旭#70、旭カーボンブラック(株)製
ポリリン酸アンモニウム
商品名:Exolit AP423、クラリアント・ジャパン(株)製
<熱分解発泡剤>
発泡剤:アゾジカルボンアミド
商品名:AC#1L、永和化学(株)製
発泡助剤:酸化亜鉛
商品名:亜鉛華1号、ハクスイテック(株)製
<熱安定剤>
架橋剤:ジクミルパーオキサイド
商品名:パークミルD、日本油脂(株)製
<添加剤>
相容化剤:ステアリン酸アマイド
商品名:脂肪酸アマイドS、花王(株)製
(発泡体の圧縮硬さの測定方法)
25%圧縮かたさの測定方法は、JIS K6767「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」に準拠して測定されたものである。具体的には総厚みが25mm以上となるように表皮(スキン層)を除去した発泡体を重ね合わせ、これを総厚みの25%分圧縮させたときの抗力を測定した。
JIS K6767に準拠して測定した値である。すなわち、架橋発泡体より、50×50mm角の試験片を複数枚切り出す、総厚みが25mm以上となるように表皮(スキン層)を除去した発泡体を重ね合わせ、この時の厚みを元厚みとして正確に測定した。次に、この試験片の厚みの25%圧縮固定し、連続22時間放置する。その後、試験片を取り外し、24時間放置した後、下記の式によって算出した。
圧縮永久ひずみ(%)={試験片の初めの厚み(mm)−試験片の試験後の厚み(mm)}/ 試験片の初めの厚み(mm)×100
(1)UL94垂直燃焼性試験
UL94垂直燃焼性試験規格に準拠して、燃焼試験を行った。各発泡体を、長さ125±5mm、幅13.0±0.5mmの大きさに切り出し、各実施例および比較例につき、5本の試験片を用意した。各試験片を垂直に支持し、試験片の下端にバーナーの炎を当てて10秒間保ち(第1回接炎)、その後バーナー炎を試験片から離した。その後、炎が消えれば直ちにバーナー炎を更に10秒間当てて(第2回接炎)バーナー炎を離した。V−0、V−1、V−2規格のいずれに該当するかを判定した。
(i)5本の試験片の第1回および第2回の接炎の有炎燃焼時間の合計が、50秒以内であって、第2回目接炎後の有炎燃焼時間と、無炎燃焼時間の合計が30秒以内のものをV−0とした。
(ii)5本の試験片の第1回および第2回の接炎の有炎燃焼時間の合計が、250秒以内であって、第2回目接炎後の有炎燃焼時間と、無炎燃焼時間の合計が60秒以内のものをV−1またはV−2とした。燃焼物のドリップが生じないものをV−1、ドリップが生じるものをV−2とした。
UL94水平燃焼性試験規格に準拠して、難燃試験を行った。各発泡体の試験片(長さ:150±1mm、幅:50±1mm)を水平に保持し、38mm炎を60秒間接炎し、標線間100mmの燃焼速度及び燃焼挙動により、HF−1に定められた水平燃焼試験に合格するものである。
両面に表皮(スキン層)を有する直方体形状の発泡体素材を作製しスライサーを用いてその表皮を切り取った。この表皮を含まない発泡体試験片を上記各測定試験に用いた。
前記特許文献4(特開平08−193141号公報)を参考に下記成分組成とし、上記実施例と同様にして発泡体を作製した。結果としては、難燃性は不合格、そして圧縮硬さは極めて高く、実施例のものに大きく劣る結果であった。
成分 組成(質量部)
――――――――――――――――――――――――――――
EVA(VA=19%) 80
LLDPE 10
LDPE 10
ポリリン酸アンモニウム 50
メラミンシアヌレート 10
酸化チタン 2
酸化亜鉛 2
水酸化アルミニウム 36
滑剤 3
架橋剤 1.2
発泡剤 12
――――――――――――――――――――――――――――
Claims (8)
- ポリオレフィン系樹脂組成物を架橋及び発泡させたノンハロゲン系の難燃性樹脂発泡体であって、
前記樹脂組成物はポリオレフィン系樹脂と炭素原子を有する有機フィラーと無機フィラーとを含有し、前記有機フィラーがメラミンシアヌレート及びカーボンブラックであり、前記有機フィラーと前記無機フィラーとの総配合量が前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して100〜200質量部であり、
JIS K6767に準拠して測定された厚み方向の25%圧縮硬さが8kPa以下であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体。 - リン化合物を含まないノンリン系の難燃性樹脂発泡体でもある請求項1に記載されたポリオレフィン系樹脂発泡体。
- アンチモン化合物を含まないノンアンチモン系の難燃性樹脂発泡体でもある請求項1又は2に記載されたポリオレフィン系樹脂発泡体。
- 前記無機フィラーが、水和金属化合物及び金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載されたポリオレフィン系樹脂発泡体。
- 前記無機フィラーが、水酸化マグネシウムを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載されたポリオレフィン系樹脂発泡体。
- 前記無機フィラーが、酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
- JIS K6767に準拠して測定された25%圧縮永久ひずみが10%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
- 前記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、前記無機フィラーとして水酸化マグネシウム100〜150質量部と酸化チタン10〜50質量部とを含有し、前記有機フィラーとしてメラミンシアヌレート10〜50質量部とカーボンブラック1〜10質量部とを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体。
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