JP2004339300A - 難燃性架橋樹脂発泡体 - Google Patents
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Abstract
【課題】難燃性とともに高い柔軟性と良好な耐熱性を兼ね備えた難燃性架橋樹脂発泡体を提供する。
【解決手段】55重量%以上のポリプロピレン系樹脂及び45重量%以下のポリエチレン系樹脂よりなる樹脂マトリックス成分100重量部に対して、α−オレフィンとブタジエンの共重合体に水素添加した水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体を3〜180重量部含有させ、かつ難燃剤を含有させた樹脂組成物を架橋・発泡させてなる架橋発泡体であって、25%圧縮硬さが、圧縮硬さ指数値以下である難燃性架橋樹脂発泡体である。
圧縮硬さ指数=3.1×(見掛け密度(kg/m3))−73
【選択図】 なし
【解決手段】55重量%以上のポリプロピレン系樹脂及び45重量%以下のポリエチレン系樹脂よりなる樹脂マトリックス成分100重量部に対して、α−オレフィンとブタジエンの共重合体に水素添加した水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体を3〜180重量部含有させ、かつ難燃剤を含有させた樹脂組成物を架橋・発泡させてなる架橋発泡体であって、25%圧縮硬さが、圧縮硬さ指数値以下である難燃性架橋樹脂発泡体である。
圧縮硬さ指数=3.1×(見掛け密度(kg/m3))−73
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性を有するポリオレフィン系樹脂発泡体に関し、さらに詳しくは、難燃性とともに柔軟性、耐熱性、機械的強度に優れ、かつ複雑な形状の二次加工が可能な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系樹脂発泡体は、柔軟性、軽量性、断熱性に優れており、天井、ドア、インストルメントパネル等の車両用内装材として用いられている。これらの内装材として用いるためには、通常、シート状のポリオレフィン系樹脂発泡体を真空成形や圧縮成形等により二次加工して所定の形状に成形することが行われている。また、ポリオレフィン系樹脂発泡体は、ポリ塩化ビニル樹脂のシート、熱可塑性エラストマーのシート、天然または人造の布状物、レザー等の表皮材を貼り合わせた積層体として使用されることが多い。
【0003】
最近の発泡体の真空成形や、スタンピング成形などの圧縮成形では、生産性向上のために加工温度を120〜200℃の高温条件としたり、複雑な形状に成形加工することが行われており、そのためポリオレフィン系樹脂発泡体には高温での良好な耐熱性と、良好な深絞り成形加工性とを有することが要求されている。また、自動車の内装には手触り、触感が良好なものが求められるようになっており、さらに、安全性を追求する点からも、内装材料の柔軟性が強く要望されている。
【0004】
また、これらのポリオレフィン系樹脂発泡体は、燃焼性が高いので、難燃性を発現させることは一般的に極めて困難であるが、ポリオレフィンにハロゲン系難燃剤(エチレンビスペンタブロモジフェニル)を用いた難燃性ポリオレフィン樹脂発泡体が提案されている(特許文献1参照)。ところがこの難燃性発泡体では、難燃性を付加させるために樹脂内に難燃剤を添加したことによって発泡体自体が硬くなり、発泡体の柔軟性や手触り、感触が悪くなるといった問題を生じていた。
【0005】
一方、ポリエチレン系樹脂発泡体は、柔軟性に優れているものの耐熱性が不充分であるため、高温での成形加工には適していない。また、ポリプロピレン系樹脂発泡体は、ポリエチレン系樹脂発泡体に比べて耐熱性はあるものの、柔軟性が不足するという問題がある。そこで、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を併用し、架橋・発泡させることで、耐熱性、柔軟性を付与し、高温での成形加工性を向上させる努力がなされてきた。また、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を併用したものを架橋・発泡させた発泡体の耐熱性を更に向上させるために、発泡体のゲル分率を上げる方法がある。しかし、ゲル分率を上げるために発泡体に高線量の放射線を照射した場合、熱分解型発泡剤を分解させるために該樹脂組成物の融点以上に加熱する工程において、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の溶融粘度の差が生じ、発泡体内部に空洞ができ易く、そのため表面性の良好な発泡体を得ることは難しかった。
【0006】
【特許文献1】特開平8−92406号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂に単に難燃剤を添加しただけの従来の難燃性発泡体は柔軟性等が劣るので、スタンピング成形等の圧縮成形によって高圧力かつ高温で基材樹脂と発泡体を一体成形した場合、圧力が強く加わる部分で発泡体が極度に圧縮されて変形し、また、溶融した基材樹脂との接触により発泡体の一部が基材樹脂に融解して発泡体の厚みが低下し、さらに発泡体が元来有していた柔軟性が損なわれるという現象が生じ易く、得られる成型品は柔軟性に劣るものとなりがちであった。
【0008】
そこで本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、難燃性とともに高い柔軟性と良好な耐熱性を兼ね備えた難燃性架橋樹脂発泡体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる目的を達成するため、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明は、
(1)55重量%以上のポリプロピレン系樹脂及び45重量%以下のポリエチレン系樹脂よりなる樹脂マトリックス成分100重量部に対して、α−オレフィンとブタジエンの共重合体に水素添加した水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体を3〜180重量部含有させ、かつ難燃剤を含有させた樹脂組成物を架橋・発泡させてなる架橋発泡体であって、25%圧縮硬さが、以下の式で示す圧縮硬さ指数値以下である難燃性架橋樹脂発泡体、
圧縮硬さ指数値=3.1×(見掛け密度(kg/m3))−73
(2)難燃剤が、ハロゲン系、りん系、ケイ素系、およびその他無機系の難燃剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である上記1記載の難燃性架橋発泡体、(3)水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体中のブタジエン含有量が20重量%以上である上記1または2記載の難燃性架橋樹脂発泡体、
(4)ゲル分率が50〜85%で、発泡倍率が3〜50倍である上記1〜3のいずれかに記載の難燃性架橋樹脂発泡体、
(5)さらにポリテトラフルオロエチレンを含有してなる上記1〜4のいずれかに記載の難燃性樹脂架橋発泡体、
である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の好ましい実施の形態を記載する。
【0011】
本発明で使用するポリエチレン系樹脂とは、エチレンの単独重合体あるいはエチレンを含む共重合体である。共重合成分は特に限定されないが、好ましくはα−オレフィンである。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられ、これらの1種以上が好ましく用いられる。
【0012】
本発明で使用するポリエチレン系樹脂のメルトインデックス(以降、MIと記載する)は特に限定されないが、好ましくは2〜50g/10分である。なお、MIは、ASTM D−1238に準拠し、190℃で測定した値を言う。
【0013】
本発明で使用するポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンを含む共重合体である。共重合成分は特に限定されないが、好ましくはα−オレフィンである。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられ、これらの1種以上が好ましく用いられる。該ポリプロピレン系樹脂中のプロピレン成分の含有率は85重量%以上が好ましく、さらに好ましくは90重量%以上である。プロピレン成分の含有量が85重量%未満になると発泡体の耐熱性が低下する可能性がある。
【0014】
本発明で使用するポリプロピレン系樹脂は、そのMIが0.1〜10g/10分であることが好ましい。MIが小さすぎると、得られる発泡体の成形性が低下し、逆に大きすぎると、得られる発泡体の耐熱性が低下する傾向がある。MIはより好ましくは0.3〜10g/10分、さらに好ましくは0.5〜8g/10分である。なお、MIは、ASTM D−1238に準拠し、230℃で測定した値を言う。
【0015】
上記ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とよりなる樹脂マトリックス成分の組成は、ポリプロピレン系樹脂55重量%以上、ポリエチレン系樹脂45重量%以下である。ポリエチレン系樹脂は柔軟性には優れているが、耐熱性に劣っているため、45重量%を越えて添加すると得られる架橋樹脂発泡体の耐熱性が低下する。
【0016】
本発明で用いる水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体において、α−オレフィンとしては特に限定されないが、例えば、エチレン、スチレン等が代表例としてあげられ、これらの1種以上が好ましく用いられる。なお、「/」は、共重合を表す。
【0017】
水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体中のブタジエン含有量は20重量%以上であることが好ましい。共重合体中のブタジエンの含有量が20重量%未満になると、得られる発泡体の柔軟性が低下傾向となり、また、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂との相溶性も低下傾向となる。
【0018】
水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても差し支えない。
【0019】
水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体を製造する方法は、公知の方法を用いることができる。通常、α−オレフィンとブタジエンの共重合体を作製後、公知の方法で水素添加する方法が好ましく用いられる。
【0020】
水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体の添加量は、55重量%以上のポリプロピレン系樹脂及び45重量%以下のポリエチレン系樹脂よりなる樹脂マトリックス成分100重量部に対して3〜180重量部である。3重量部未満では水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体の添加効果が不十分で発泡体の柔軟性が不足し、また180重量部を越えると発泡体の形態保持性が低下する。
【0021】
本発明で用いる難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、りん系難燃剤、ケイ素系難燃剤、およびその他無機系難燃剤が挙げられ、これらの少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0022】
ハロゲン系難燃剤としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリブロモフェノール付加物などの臭素化ビスフェノール類およびその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノール付加物エポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、テトラブロモフタレートジオール、テトラブロモフタレートエステル、テトラブロモフタレートジソジウム、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、ペンタブロモフェノール、ブロモフェノキシエタノール、臭素化フェノール(ノボラック型)、ジブロモクレジルグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、ビニルブロマイド、トリブロモフェノール、ジブロモフェノール、ジブロモメタクレゾール、ジブロモネオペンチルグリコール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化アクリル系樹脂などの臭素系芳香族化合物、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカン、テトラクロロ無水フタル酸、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環状化合物、などが挙げられる。
【0023】
リン系難燃剤は、分子中にリン原子を有する化合物であれば特に制限はなく、例えば、三酸化リン、四酸化リン、五酸化リンなどのリン酸化物、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸化合物、モノアンモニウムホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、アンモニウムポリホスフェートなどのリン酸アンモニウム塩、メラミンモノホスフェート、メラミンジホスフェート、メラミンポリホスフェートなどのリン酸メラミン塩、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどのリン酸金属塩などのリン酸塩類、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの脂肪族系リン酸エステル類、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどの芳香族系リン酸エステル類が挙げられ、またハロゲン化リン酸エステル系難燃剤である、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェートなどを用いてもよい。
【0024】
ケイ素系難燃剤としては特にシリコーン化合物が難燃性能の点から好ましい。シリコーン化合物としては特に限定されないが、シリコーンオイル、シリコーンガム、シリコーンパウダーやシリコーン変性樹脂を好ましく用いることができ、数種を併用してもよい。このようなシリコーン化合物の添加量は、少なすぎると添加効果が得られず、あまり多くしても原材料費が増大するだけで難燃性の向上はあまり望めない。シリコーン化合物以外のケイ素系難燃剤として、ポリシラン化合物、シリカ粉末、ケイ酸塩化合物、等を用いることも可能である。
【0025】
その他無機系難燃剤としては、窒素含有化合物、さらには水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、硼酸、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、酸化硼素、モリブデン化合物などが挙げられる。
【0026】
これらの難燃剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの難燃剤の添加量は、少なすぎると十分な難燃性が得られず、多すぎると得られた発泡シートの成形性が低下するため、樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは3〜20重量部である。
【0027】
本発明で併用するポリテトラフルオロエチレンとしては特に制限はなく、公知のものを使用できるが、なかでも分子量が100万以上のポリテトラフルオロエチレンが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンの分子量が100万未満では、高度の難燃性、例えばUL94規格(米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ)試験を満足させるためには多量の難燃剤の添加を必要とし、結果として最終的に得られる難燃性樹脂架橋発泡体の物性が低下する場合がある。
【0028】
ポリテトラフルオロエチレンの添加量は、55重量%以上のポリプロピレン系樹脂及び45重量%以下のポリエチレン系樹脂よりなる樹脂マトリックス成分100重量部に対して0.0001〜5重量部が好ましい。0.0001重量部未満ではポリテトラフルオロエチレンの添加効果が不十分で、燃焼持のドリップ性が改善でき難いため発泡体の難燃性をさらに改善することが難しい。また5重量部を越えると、発泡体の外観、成形性、耐熱性などが低下する。
【0029】
本発明において、樹脂組成物を架橋する方法は特に限定されず、例えば、電離性放射線を所定線量照射する方法、過酸化物による架橋、シラン架橋などを挙げることができる。
【0030】
電離性放射線としては、例えば、α線、β線、γ線、電子線等を挙げることができる。電離性放射線の照射線量は、目的とするゲル分率等によって異なるが、通常1〜500kGy、好ましくは5〜300kGyである。照射線量が少なすぎると得られる発泡体の耐熱性が不十分となり、多すぎると得られる発泡体の成形加工性が低下する。
【0031】
本発明では、架橋助剤として多官能モノマーを樹脂組成物中に添加して使用するのが好ましい。多官能モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼンなどを使用することができる。
【0032】
これらの多官能モノマーは、それぞれ単独で用いても、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの多官能モノマーは、樹脂マトリックス成分100重量部に対して好ましくは0.5〜10重量部添加される。
【0033】
本発明において、樹脂組成物を発泡する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。好ましくは熱分解型発泡剤を樹脂組成物に添加する方法が用いられ、特に好ましくは有機系熱分解型発泡剤が用いられる。
【0034】
有機系熱分解型発泡剤としては、具体的には、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。有機系熱分解型発泡剤は、樹脂マトリックス100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは1〜25重量部の割合で添加される。有機系熱分解型発泡剤の添加量は、少なすぎると樹脂組成物の発泡性が低下し、多すぎると得られる発泡体の強度、並びに耐熱性が低下する傾向がある。
【0035】
熱分解型発泡剤を用いた場合、発泡は、架橋した樹脂組成物を該発泡剤の熱分解温度以上に加熱することで通常行われる。
【0036】
本発明の架橋樹脂発泡体の発泡倍率は3〜50倍であることが好ましい。発泡倍率が3倍を下回ると成型品の柔軟性が低下傾向となり、発泡倍率が50倍を上回ると耐熱性の低下や高温での成形加工性の低下を招くことがある。
【0037】
さらに本発明の架橋樹脂発泡体のゲル分率は、耐熱性と高温での成形加工性を維持するために50〜85%であることが好ましい。ゲル分率が50%未満であると発泡体の耐熱性が低下傾向となり、85%を超えると発泡体の伸びが低下し、成形加工性が低下傾向となる。なお、本発明でいうゲル分率とは、後述する方法にて算出した値のことである。
【0038】
本発明の架橋樹脂発泡体は、難燃剤含有によって難燃化されているにもかかわらず柔軟性が良好であり、25%圧縮硬さが、以下の式により算出される圧縮硬さ指数値以下である。
圧縮硬さ指数=3.1×(見掛け密度(kg/m3))−73
【0039】
本発明の架橋樹脂発泡体は、好ましくは空洞が無いものである。ここで、空洞とは、発泡体内部に出来た5mm以上の粗大な気泡のことを言う。空洞は、発泡体のゲル分率が高くなると発現しやすくなる傾向にあるが、本発明で用いる水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体を添加することでゲル分率が高くなっても空洞が発生しにくくなる。空洞が発生すると、表面が凸凹になり、表面性が低下するため実用性が低下する。
【0040】
本発明においては、本発明の目的が損なわれない範囲内で、他の熱可塑性樹脂、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリブテン等を添加することができる。また、フェノール系、リン系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、充填剤、帯電防止剤、熱安定剤、顔料などを添加してもよい。
【0041】
次に、本発明の架橋樹脂発泡体の好ましい製造方法について説明する。
【0042】
まず、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、難燃剤、水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体、架橋助剤、熱分解型発泡剤、及びポリテトラフルオロエチレン等、さらに必要に応じて添加されるその他添加剤の各々の所定量を、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、ミキシングロール等の混練装置に供給して、熱分解型発泡剤の分解温度未満で均一に溶融混練して発泡用樹脂組成物とした後、これをシート状に溶融成形する。次いで、得られたシートに電離性放射線を所定線量照射してオレフィン系樹脂を架橋させる。さらに、この架橋シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させ、難燃性架橋樹脂発泡体とする。
【0043】
【実施例】
次に本発明の実施例を説明する。なお、本発明で用いたゲル分率、25%圧縮硬さの各値は次の方法で測定したものである。また、実施例で用いた評価は以下の方法で行った。
【0044】
(ゲル分率)
ポリオレフィン系架橋樹脂発泡体を約50mg精密に秤量し、130℃のテトラリン25mlに3時間浸漬した後、200メッシュのステンレス製金網で濾過して、金網上の不溶解分を真空乾燥する。次いで、この不溶解分の重量を精密に秤量し、以下の式に従ってゲル分率を百分率で算出する。
ゲル分率(%)={不溶解分の重量(mg)/秤量したポリオレフィン系樹脂発泡体の重量(mg)}×100
【0045】
(25%圧縮硬さ)
ポリオレフィン系架橋発泡体を5cm角に切り取り、これを4枚重ね、圧縮試験機(高分子計器株式会社製AF−200型)にて、JIS K6767に準じて測定する。
【0046】
(難燃性)
自動車用内装材の試験方法MVSS−NO302に従い燃焼速度を測定し、燃焼速度4インチ/分以上の場合は×、4インチ/分未満の場合は○と判定した。○が合格である。
【0047】
(空洞)
発泡体を任意の断面で切断し、該切断面を目視で観察したのち、大きな気泡についてはノギスで断面の気泡径を測定した。延べ1m2の断面につき観察し、気泡径が5mm以上の空洞があった場合は×、無かった場合は○と判定した。○が合格である。
【0048】
(スタンピング成形性)
作製した発泡体を、佐藤鉄工株式会社製スタンピング成形機(SLIM4045)を用い、MIが35のポリプロピレンを基材樹脂とし、温度210℃、クリアランス50mmでスタンピング成形を行った。スタンピング成形性の判定は、任意の100個の成型品につき、成型品表面の外観及び穴の有無を目視判定する方法によって行い、外観が悪いか又は成型品に穴が1箇所でも見られた場合は×、見られなかった場合は○とした。○が合格である。
【0049】
実施例1
プロピレンにエチレンを5.2重量%ランダム共重合したMIが2.2g/10分、密度が0.901kg/m3のポリプロピレン系樹脂70kg、MIが9.5g/10分、密度が0.933kg/m3のポリエチレン30kg、ブタジエン含有量が90重量%である水素添加エチレン/ブタジエン共重合体を10kg、難燃剤としてエチレンビスペンタブロモジフェニル10kg、三酸化アンチモン5kg、安定剤として“イルガノックス”1010(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)0.45kg、“イルガノックス”PS802(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)0.3kg、発泡剤としてアゾジカルボンアミド8.9kg、架橋助剤としてジビニルベンゼン6.0kgを準備し、これらポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン、発泡剤、安定剤等の全部をヘンシェルミキサーに投入し、200〜400rpmの低速回転で約3分混合し、ついで800〜1000rpmの高速回転とし、3分間混合して発泡用樹脂組成物とした。
【0050】
この発泡用樹脂組成物を発泡剤の分解しない温度、具体的には190℃に加熱したベント付き押出し機に供給し、Tダイから押し出し、厚みが1.8mmの架橋発泡用シートに成形した。このシートに148kGyの電子線を照射し、架橋せしめた後、縦型熱風発泡装置に連続的に導入し、約250℃で3〜5分加熱発泡して連続シート状の架橋樹脂発泡体として巻取った。
【0051】
このようにして得られた架橋樹脂発泡体は、厚み3.0mm、ゲル分率は63%、見掛け密度67kg/m3、25%圧縮硬さ123kPaであった。評価結果を表1に示す。
【0052】
実施例2
発泡剤として用いたアゾジカルボンアミドの量を6.0kgと変更した以外は実施例1と同様の方法によって架橋樹脂発泡体を作製した。このようにして得られた架橋樹脂発泡体は、厚み3.0mm、ゲル分率は64%、見掛け密度90kg/m3、25%圧縮硬さ185kPaであった。評価結果を表1に示す。
【0053】
実施例3
発泡用樹脂組成物中に、ポリテトラフルオロエチレンを1.0kg追加添加し、難燃剤として用いたエチレンビスペンタブロモジフェニルの量を8.0kg、三酸化アンチモンの量を4.0kgと変更した以外は実施例1と同様の方法によって架橋樹脂発泡体を作製した。このようにして得られた架橋樹脂発泡体は厚み3.0mm、ゲル分率65%、見掛け密度67Kg/m3、25%圧縮硬さ125kPaであった。評価結果を表1に示す。
【0054】
比較例1
プロピレンにエチレンを5.2重量%ランダム共重合したMIが2.2g/10分、密度が0.901kg/m3のポリプロピレン系樹脂70kg、MIが9.5g/10分、密度が0.933kg/m3のポリエチレン30kg、安定剤として“イルガノックス”1010(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)0.45kg、“イルガノックス”PS802(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)0.3kg、発泡剤としてアゾジカルボンアミド7.4kg、架橋助剤としてジビニルベンゼン6.0kgを準備し、これらポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン、発泡剤、安定剤等の全部を実施例1と同様の方法によって溶融混合して発泡用樹脂組成物とした。この発泡用樹脂組成物を用いて実施例1と同様の方法で発泡体を作製した。このようにして得られた発泡体は、厚み3.0mm、ゲル分率65%、見掛け密度67kg/m3、25%圧縮硬さ165kPaであった。評価結果を表1に示す。
【0055】
比較例2
発泡剤として用いたアゾジカルボンアミドの量を5.0kgと変更した以外は比較例1と同様の方法によって架橋樹脂発泡体を作製した。このようにして得られた発泡体は、厚み3.0mm、ゲル分率は63%、見掛け密度90kg/m3、25%圧縮硬さは220kPaであった。評価結果を表1に示す。
【0056】
比較例3
発泡用樹脂組成物中に、難燃剤としてエチレンビスペンタブロモジフェニルを8.0kg、三酸化アンチモンを4.0kg追加添加した以外は比較例1と同様の方法によって架橋樹脂発泡体を作製した。このようにして得られた架橋樹脂発泡体は、厚み3.0mm、ゲル分率64%、見掛け密度67kg/m3、25%圧縮硬さ167kPaであった。評価結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例1〜3の発泡体は、難燃性に優れ、しかも、空洞がなくて外観に優れ、スタンピング成形性、柔軟性にも優れていた。一方、水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体を含まない比較例1〜3の発泡体は、スタンピング成形性が悪く、また、25%圧縮硬さが実施例に比べて大きく、柔軟性が不足していた。
【0059】
【発明の効果】
本発明によると、難燃性とともに高い柔軟性と良好な耐熱性を兼ね備えた難燃性架橋樹脂発泡体とすることができる。さらに、耐熱性、機械的強度も良好であり、複雑な形状の二次加工が可能な架橋樹脂発泡体とすることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性を有するポリオレフィン系樹脂発泡体に関し、さらに詳しくは、難燃性とともに柔軟性、耐熱性、機械的強度に優れ、かつ複雑な形状の二次加工が可能な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系樹脂発泡体は、柔軟性、軽量性、断熱性に優れており、天井、ドア、インストルメントパネル等の車両用内装材として用いられている。これらの内装材として用いるためには、通常、シート状のポリオレフィン系樹脂発泡体を真空成形や圧縮成形等により二次加工して所定の形状に成形することが行われている。また、ポリオレフィン系樹脂発泡体は、ポリ塩化ビニル樹脂のシート、熱可塑性エラストマーのシート、天然または人造の布状物、レザー等の表皮材を貼り合わせた積層体として使用されることが多い。
【0003】
最近の発泡体の真空成形や、スタンピング成形などの圧縮成形では、生産性向上のために加工温度を120〜200℃の高温条件としたり、複雑な形状に成形加工することが行われており、そのためポリオレフィン系樹脂発泡体には高温での良好な耐熱性と、良好な深絞り成形加工性とを有することが要求されている。また、自動車の内装には手触り、触感が良好なものが求められるようになっており、さらに、安全性を追求する点からも、内装材料の柔軟性が強く要望されている。
【0004】
また、これらのポリオレフィン系樹脂発泡体は、燃焼性が高いので、難燃性を発現させることは一般的に極めて困難であるが、ポリオレフィンにハロゲン系難燃剤(エチレンビスペンタブロモジフェニル)を用いた難燃性ポリオレフィン樹脂発泡体が提案されている(特許文献1参照)。ところがこの難燃性発泡体では、難燃性を付加させるために樹脂内に難燃剤を添加したことによって発泡体自体が硬くなり、発泡体の柔軟性や手触り、感触が悪くなるといった問題を生じていた。
【0005】
一方、ポリエチレン系樹脂発泡体は、柔軟性に優れているものの耐熱性が不充分であるため、高温での成形加工には適していない。また、ポリプロピレン系樹脂発泡体は、ポリエチレン系樹脂発泡体に比べて耐熱性はあるものの、柔軟性が不足するという問題がある。そこで、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を併用し、架橋・発泡させることで、耐熱性、柔軟性を付与し、高温での成形加工性を向上させる努力がなされてきた。また、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を併用したものを架橋・発泡させた発泡体の耐熱性を更に向上させるために、発泡体のゲル分率を上げる方法がある。しかし、ゲル分率を上げるために発泡体に高線量の放射線を照射した場合、熱分解型発泡剤を分解させるために該樹脂組成物の融点以上に加熱する工程において、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の溶融粘度の差が生じ、発泡体内部に空洞ができ易く、そのため表面性の良好な発泡体を得ることは難しかった。
【0006】
【特許文献1】特開平8−92406号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂に単に難燃剤を添加しただけの従来の難燃性発泡体は柔軟性等が劣るので、スタンピング成形等の圧縮成形によって高圧力かつ高温で基材樹脂と発泡体を一体成形した場合、圧力が強く加わる部分で発泡体が極度に圧縮されて変形し、また、溶融した基材樹脂との接触により発泡体の一部が基材樹脂に融解して発泡体の厚みが低下し、さらに発泡体が元来有していた柔軟性が損なわれるという現象が生じ易く、得られる成型品は柔軟性に劣るものとなりがちであった。
【0008】
そこで本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、難燃性とともに高い柔軟性と良好な耐熱性を兼ね備えた難燃性架橋樹脂発泡体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる目的を達成するため、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明は、
(1)55重量%以上のポリプロピレン系樹脂及び45重量%以下のポリエチレン系樹脂よりなる樹脂マトリックス成分100重量部に対して、α−オレフィンとブタジエンの共重合体に水素添加した水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体を3〜180重量部含有させ、かつ難燃剤を含有させた樹脂組成物を架橋・発泡させてなる架橋発泡体であって、25%圧縮硬さが、以下の式で示す圧縮硬さ指数値以下である難燃性架橋樹脂発泡体、
圧縮硬さ指数値=3.1×(見掛け密度(kg/m3))−73
(2)難燃剤が、ハロゲン系、りん系、ケイ素系、およびその他無機系の難燃剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である上記1記載の難燃性架橋発泡体、(3)水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体中のブタジエン含有量が20重量%以上である上記1または2記載の難燃性架橋樹脂発泡体、
(4)ゲル分率が50〜85%で、発泡倍率が3〜50倍である上記1〜3のいずれかに記載の難燃性架橋樹脂発泡体、
(5)さらにポリテトラフルオロエチレンを含有してなる上記1〜4のいずれかに記載の難燃性樹脂架橋発泡体、
である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の好ましい実施の形態を記載する。
【0011】
本発明で使用するポリエチレン系樹脂とは、エチレンの単独重合体あるいはエチレンを含む共重合体である。共重合成分は特に限定されないが、好ましくはα−オレフィンである。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられ、これらの1種以上が好ましく用いられる。
【0012】
本発明で使用するポリエチレン系樹脂のメルトインデックス(以降、MIと記載する)は特に限定されないが、好ましくは2〜50g/10分である。なお、MIは、ASTM D−1238に準拠し、190℃で測定した値を言う。
【0013】
本発明で使用するポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンを含む共重合体である。共重合成分は特に限定されないが、好ましくはα−オレフィンである。α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられ、これらの1種以上が好ましく用いられる。該ポリプロピレン系樹脂中のプロピレン成分の含有率は85重量%以上が好ましく、さらに好ましくは90重量%以上である。プロピレン成分の含有量が85重量%未満になると発泡体の耐熱性が低下する可能性がある。
【0014】
本発明で使用するポリプロピレン系樹脂は、そのMIが0.1〜10g/10分であることが好ましい。MIが小さすぎると、得られる発泡体の成形性が低下し、逆に大きすぎると、得られる発泡体の耐熱性が低下する傾向がある。MIはより好ましくは0.3〜10g/10分、さらに好ましくは0.5〜8g/10分である。なお、MIは、ASTM D−1238に準拠し、230℃で測定した値を言う。
【0015】
上記ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とよりなる樹脂マトリックス成分の組成は、ポリプロピレン系樹脂55重量%以上、ポリエチレン系樹脂45重量%以下である。ポリエチレン系樹脂は柔軟性には優れているが、耐熱性に劣っているため、45重量%を越えて添加すると得られる架橋樹脂発泡体の耐熱性が低下する。
【0016】
本発明で用いる水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体において、α−オレフィンとしては特に限定されないが、例えば、エチレン、スチレン等が代表例としてあげられ、これらの1種以上が好ましく用いられる。なお、「/」は、共重合を表す。
【0017】
水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体中のブタジエン含有量は20重量%以上であることが好ましい。共重合体中のブタジエンの含有量が20重量%未満になると、得られる発泡体の柔軟性が低下傾向となり、また、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂との相溶性も低下傾向となる。
【0018】
水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても差し支えない。
【0019】
水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体を製造する方法は、公知の方法を用いることができる。通常、α−オレフィンとブタジエンの共重合体を作製後、公知の方法で水素添加する方法が好ましく用いられる。
【0020】
水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体の添加量は、55重量%以上のポリプロピレン系樹脂及び45重量%以下のポリエチレン系樹脂よりなる樹脂マトリックス成分100重量部に対して3〜180重量部である。3重量部未満では水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体の添加効果が不十分で発泡体の柔軟性が不足し、また180重量部を越えると発泡体の形態保持性が低下する。
【0021】
本発明で用いる難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、りん系難燃剤、ケイ素系難燃剤、およびその他無機系難燃剤が挙げられ、これらの少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0022】
ハロゲン系難燃剤としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとトリブロモフェノール付加物などの臭素化ビスフェノール類およびその誘導体、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノール付加物エポキシオリゴマーなどの臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、テトラブロモフタレートジオール、テトラブロモフタレートエステル、テトラブロモフタレートジソジウム、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、ペンタブロモフェノール、ブロモフェノキシエタノール、臭素化フェノール(ノボラック型)、ジブロモクレジルグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、ビニルブロマイド、トリブロモフェノール、ジブロモフェノール、ジブロモメタクレゾール、ジブロモネオペンチルグリコール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化アクリル系樹脂などの臭素系芳香族化合物、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカン、テトラクロロ無水フタル酸、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環状化合物、などが挙げられる。
【0023】
リン系難燃剤は、分子中にリン原子を有する化合物であれば特に制限はなく、例えば、三酸化リン、四酸化リン、五酸化リンなどのリン酸化物、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸化合物、モノアンモニウムホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、アンモニウムポリホスフェートなどのリン酸アンモニウム塩、メラミンモノホスフェート、メラミンジホスフェート、メラミンポリホスフェートなどのリン酸メラミン塩、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどのリン酸金属塩などのリン酸塩類、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートなどの脂肪族系リン酸エステル類、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどの芳香族系リン酸エステル類が挙げられ、またハロゲン化リン酸エステル系難燃剤である、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェートなどを用いてもよい。
【0024】
ケイ素系難燃剤としては特にシリコーン化合物が難燃性能の点から好ましい。シリコーン化合物としては特に限定されないが、シリコーンオイル、シリコーンガム、シリコーンパウダーやシリコーン変性樹脂を好ましく用いることができ、数種を併用してもよい。このようなシリコーン化合物の添加量は、少なすぎると添加効果が得られず、あまり多くしても原材料費が増大するだけで難燃性の向上はあまり望めない。シリコーン化合物以外のケイ素系難燃剤として、ポリシラン化合物、シリカ粉末、ケイ酸塩化合物、等を用いることも可能である。
【0025】
その他無機系難燃剤としては、窒素含有化合物、さらには水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、硼酸、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、酸化硼素、モリブデン化合物などが挙げられる。
【0026】
これらの難燃剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの難燃剤の添加量は、少なすぎると十分な難燃性が得られず、多すぎると得られた発泡シートの成形性が低下するため、樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは3〜20重量部である。
【0027】
本発明で併用するポリテトラフルオロエチレンとしては特に制限はなく、公知のものを使用できるが、なかでも分子量が100万以上のポリテトラフルオロエチレンが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンの分子量が100万未満では、高度の難燃性、例えばUL94規格(米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ)試験を満足させるためには多量の難燃剤の添加を必要とし、結果として最終的に得られる難燃性樹脂架橋発泡体の物性が低下する場合がある。
【0028】
ポリテトラフルオロエチレンの添加量は、55重量%以上のポリプロピレン系樹脂及び45重量%以下のポリエチレン系樹脂よりなる樹脂マトリックス成分100重量部に対して0.0001〜5重量部が好ましい。0.0001重量部未満ではポリテトラフルオロエチレンの添加効果が不十分で、燃焼持のドリップ性が改善でき難いため発泡体の難燃性をさらに改善することが難しい。また5重量部を越えると、発泡体の外観、成形性、耐熱性などが低下する。
【0029】
本発明において、樹脂組成物を架橋する方法は特に限定されず、例えば、電離性放射線を所定線量照射する方法、過酸化物による架橋、シラン架橋などを挙げることができる。
【0030】
電離性放射線としては、例えば、α線、β線、γ線、電子線等を挙げることができる。電離性放射線の照射線量は、目的とするゲル分率等によって異なるが、通常1〜500kGy、好ましくは5〜300kGyである。照射線量が少なすぎると得られる発泡体の耐熱性が不十分となり、多すぎると得られる発泡体の成形加工性が低下する。
【0031】
本発明では、架橋助剤として多官能モノマーを樹脂組成物中に添加して使用するのが好ましい。多官能モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼンなどを使用することができる。
【0032】
これらの多官能モノマーは、それぞれ単独で用いても、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの多官能モノマーは、樹脂マトリックス成分100重量部に対して好ましくは0.5〜10重量部添加される。
【0033】
本発明において、樹脂組成物を発泡する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。好ましくは熱分解型発泡剤を樹脂組成物に添加する方法が用いられ、特に好ましくは有機系熱分解型発泡剤が用いられる。
【0034】
有機系熱分解型発泡剤としては、具体的には、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、併用してもよい。有機系熱分解型発泡剤は、樹脂マトリックス100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは1〜25重量部の割合で添加される。有機系熱分解型発泡剤の添加量は、少なすぎると樹脂組成物の発泡性が低下し、多すぎると得られる発泡体の強度、並びに耐熱性が低下する傾向がある。
【0035】
熱分解型発泡剤を用いた場合、発泡は、架橋した樹脂組成物を該発泡剤の熱分解温度以上に加熱することで通常行われる。
【0036】
本発明の架橋樹脂発泡体の発泡倍率は3〜50倍であることが好ましい。発泡倍率が3倍を下回ると成型品の柔軟性が低下傾向となり、発泡倍率が50倍を上回ると耐熱性の低下や高温での成形加工性の低下を招くことがある。
【0037】
さらに本発明の架橋樹脂発泡体のゲル分率は、耐熱性と高温での成形加工性を維持するために50〜85%であることが好ましい。ゲル分率が50%未満であると発泡体の耐熱性が低下傾向となり、85%を超えると発泡体の伸びが低下し、成形加工性が低下傾向となる。なお、本発明でいうゲル分率とは、後述する方法にて算出した値のことである。
【0038】
本発明の架橋樹脂発泡体は、難燃剤含有によって難燃化されているにもかかわらず柔軟性が良好であり、25%圧縮硬さが、以下の式により算出される圧縮硬さ指数値以下である。
圧縮硬さ指数=3.1×(見掛け密度(kg/m3))−73
【0039】
本発明の架橋樹脂発泡体は、好ましくは空洞が無いものである。ここで、空洞とは、発泡体内部に出来た5mm以上の粗大な気泡のことを言う。空洞は、発泡体のゲル分率が高くなると発現しやすくなる傾向にあるが、本発明で用いる水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体を添加することでゲル分率が高くなっても空洞が発生しにくくなる。空洞が発生すると、表面が凸凹になり、表面性が低下するため実用性が低下する。
【0040】
本発明においては、本発明の目的が損なわれない範囲内で、他の熱可塑性樹脂、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリブテン等を添加することができる。また、フェノール系、リン系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、金属害防止剤、充填剤、帯電防止剤、熱安定剤、顔料などを添加してもよい。
【0041】
次に、本発明の架橋樹脂発泡体の好ましい製造方法について説明する。
【0042】
まず、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、難燃剤、水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体、架橋助剤、熱分解型発泡剤、及びポリテトラフルオロエチレン等、さらに必要に応じて添加されるその他添加剤の各々の所定量を、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、ミキシングロール等の混練装置に供給して、熱分解型発泡剤の分解温度未満で均一に溶融混練して発泡用樹脂組成物とした後、これをシート状に溶融成形する。次いで、得られたシートに電離性放射線を所定線量照射してオレフィン系樹脂を架橋させる。さらに、この架橋シートを熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させ、難燃性架橋樹脂発泡体とする。
【0043】
【実施例】
次に本発明の実施例を説明する。なお、本発明で用いたゲル分率、25%圧縮硬さの各値は次の方法で測定したものである。また、実施例で用いた評価は以下の方法で行った。
【0044】
(ゲル分率)
ポリオレフィン系架橋樹脂発泡体を約50mg精密に秤量し、130℃のテトラリン25mlに3時間浸漬した後、200メッシュのステンレス製金網で濾過して、金網上の不溶解分を真空乾燥する。次いで、この不溶解分の重量を精密に秤量し、以下の式に従ってゲル分率を百分率で算出する。
ゲル分率(%)={不溶解分の重量(mg)/秤量したポリオレフィン系樹脂発泡体の重量(mg)}×100
【0045】
(25%圧縮硬さ)
ポリオレフィン系架橋発泡体を5cm角に切り取り、これを4枚重ね、圧縮試験機(高分子計器株式会社製AF−200型)にて、JIS K6767に準じて測定する。
【0046】
(難燃性)
自動車用内装材の試験方法MVSS−NO302に従い燃焼速度を測定し、燃焼速度4インチ/分以上の場合は×、4インチ/分未満の場合は○と判定した。○が合格である。
【0047】
(空洞)
発泡体を任意の断面で切断し、該切断面を目視で観察したのち、大きな気泡についてはノギスで断面の気泡径を測定した。延べ1m2の断面につき観察し、気泡径が5mm以上の空洞があった場合は×、無かった場合は○と判定した。○が合格である。
【0048】
(スタンピング成形性)
作製した発泡体を、佐藤鉄工株式会社製スタンピング成形機(SLIM4045)を用い、MIが35のポリプロピレンを基材樹脂とし、温度210℃、クリアランス50mmでスタンピング成形を行った。スタンピング成形性の判定は、任意の100個の成型品につき、成型品表面の外観及び穴の有無を目視判定する方法によって行い、外観が悪いか又は成型品に穴が1箇所でも見られた場合は×、見られなかった場合は○とした。○が合格である。
【0049】
実施例1
プロピレンにエチレンを5.2重量%ランダム共重合したMIが2.2g/10分、密度が0.901kg/m3のポリプロピレン系樹脂70kg、MIが9.5g/10分、密度が0.933kg/m3のポリエチレン30kg、ブタジエン含有量が90重量%である水素添加エチレン/ブタジエン共重合体を10kg、難燃剤としてエチレンビスペンタブロモジフェニル10kg、三酸化アンチモン5kg、安定剤として“イルガノックス”1010(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)0.45kg、“イルガノックス”PS802(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)0.3kg、発泡剤としてアゾジカルボンアミド8.9kg、架橋助剤としてジビニルベンゼン6.0kgを準備し、これらポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン、発泡剤、安定剤等の全部をヘンシェルミキサーに投入し、200〜400rpmの低速回転で約3分混合し、ついで800〜1000rpmの高速回転とし、3分間混合して発泡用樹脂組成物とした。
【0050】
この発泡用樹脂組成物を発泡剤の分解しない温度、具体的には190℃に加熱したベント付き押出し機に供給し、Tダイから押し出し、厚みが1.8mmの架橋発泡用シートに成形した。このシートに148kGyの電子線を照射し、架橋せしめた後、縦型熱風発泡装置に連続的に導入し、約250℃で3〜5分加熱発泡して連続シート状の架橋樹脂発泡体として巻取った。
【0051】
このようにして得られた架橋樹脂発泡体は、厚み3.0mm、ゲル分率は63%、見掛け密度67kg/m3、25%圧縮硬さ123kPaであった。評価結果を表1に示す。
【0052】
実施例2
発泡剤として用いたアゾジカルボンアミドの量を6.0kgと変更した以外は実施例1と同様の方法によって架橋樹脂発泡体を作製した。このようにして得られた架橋樹脂発泡体は、厚み3.0mm、ゲル分率は64%、見掛け密度90kg/m3、25%圧縮硬さ185kPaであった。評価結果を表1に示す。
【0053】
実施例3
発泡用樹脂組成物中に、ポリテトラフルオロエチレンを1.0kg追加添加し、難燃剤として用いたエチレンビスペンタブロモジフェニルの量を8.0kg、三酸化アンチモンの量を4.0kgと変更した以外は実施例1と同様の方法によって架橋樹脂発泡体を作製した。このようにして得られた架橋樹脂発泡体は厚み3.0mm、ゲル分率65%、見掛け密度67Kg/m3、25%圧縮硬さ125kPaであった。評価結果を表1に示す。
【0054】
比較例1
プロピレンにエチレンを5.2重量%ランダム共重合したMIが2.2g/10分、密度が0.901kg/m3のポリプロピレン系樹脂70kg、MIが9.5g/10分、密度が0.933kg/m3のポリエチレン30kg、安定剤として“イルガノックス”1010(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)0.45kg、“イルガノックス”PS802(チバ・スペシャルティケミカルズ株式会社製)0.3kg、発泡剤としてアゾジカルボンアミド7.4kg、架橋助剤としてジビニルベンゼン6.0kgを準備し、これらポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン、発泡剤、安定剤等の全部を実施例1と同様の方法によって溶融混合して発泡用樹脂組成物とした。この発泡用樹脂組成物を用いて実施例1と同様の方法で発泡体を作製した。このようにして得られた発泡体は、厚み3.0mm、ゲル分率65%、見掛け密度67kg/m3、25%圧縮硬さ165kPaであった。評価結果を表1に示す。
【0055】
比較例2
発泡剤として用いたアゾジカルボンアミドの量を5.0kgと変更した以外は比較例1と同様の方法によって架橋樹脂発泡体を作製した。このようにして得られた発泡体は、厚み3.0mm、ゲル分率は63%、見掛け密度90kg/m3、25%圧縮硬さは220kPaであった。評価結果を表1に示す。
【0056】
比較例3
発泡用樹脂組成物中に、難燃剤としてエチレンビスペンタブロモジフェニルを8.0kg、三酸化アンチモンを4.0kg追加添加した以外は比較例1と同様の方法によって架橋樹脂発泡体を作製した。このようにして得られた架橋樹脂発泡体は、厚み3.0mm、ゲル分率64%、見掛け密度67kg/m3、25%圧縮硬さ167kPaであった。評価結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例1〜3の発泡体は、難燃性に優れ、しかも、空洞がなくて外観に優れ、スタンピング成形性、柔軟性にも優れていた。一方、水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体を含まない比較例1〜3の発泡体は、スタンピング成形性が悪く、また、25%圧縮硬さが実施例に比べて大きく、柔軟性が不足していた。
【0059】
【発明の効果】
本発明によると、難燃性とともに高い柔軟性と良好な耐熱性を兼ね備えた難燃性架橋樹脂発泡体とすることができる。さらに、耐熱性、機械的強度も良好であり、複雑な形状の二次加工が可能な架橋樹脂発泡体とすることができる。
Claims (5)
- 55重量%以上のポリプロピレン系樹脂及び45重量%以下のポリエチレン系樹脂よりなる樹脂マトリックス成分100重量部に対して、α−オレフィンとブタジエンの共重合体に水素添加した水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体を3〜180重量部含有させ、かつ難燃剤を含有させた樹脂組成物を架橋・発泡させてなる架橋発泡体であって、25%圧縮硬さが、以下の式で示す圧縮硬さ指数値以下であることを特徴とする難燃性架橋樹脂発泡体。
圧縮硬さ指数値=3.1×(見掛け密度(kg/m3))−73 - 難燃剤が、ハロゲン系、りん系、ケイ素系、およびその他無機系の難燃剤からなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の難燃性架橋樹脂発泡体。
- 水素添加α−オレフィン/ブタジエン共重合体中のブタジエン含有量が20重量%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の難燃性架橋樹脂発泡体。
- ゲル分率が50〜85%で、発泡倍率が3〜50倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性架橋樹脂発泡体。
- さらにポリテトラフルオロエチレンを含有してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性架橋樹脂発泡体。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20210395477A1 (en) * | 2018-09-28 | 2021-12-23 | Sekisui Chemical Co., Ltd. | Foamed polyolefin-based-resin sheet |
-
2003
- 2003-05-14 JP JP2003135491A patent/JP2004339300A/ja active Pending
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