JP7495805B2 - ポリオレフィン系樹脂発泡体シート - Google Patents

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本発明は、ポリオレフィン系樹脂を発泡してなるポリオレフィン系樹脂発泡体シートに関し、特に航空機の内装用衝撃吸収材等に使用されるポリオレフィン系樹脂発泡体シートに関する。
従来より、ポリオレフィン系樹脂発泡体は、軽量性、断熱性、衝撃吸収性、耐水性、耐薬品性、及び機械強度等の諸特性に優れていることから、建材、電化製品、自動車、航空機等、広い分野に用いられている。ポリオレフィン系樹脂発泡体は易燃性であるため、難燃性が要求される用途に使用する場合には各種の難燃剤を比較的多量に配合される。例えば特許文献1には、特定のエチレン系共重合体90~30重量%からなる樹脂成分100重量部と、所定の金属水酸化物50~150重量部と、赤燐2~25重量部と、酸化チタン2~25重量部と、熱安定剤0.1~5重量部とを含有する樹脂組成物を架橋及び発泡させたノンハロゲン系難燃性樹脂発泡体が開示されている。
特許第3580556号公報
特許文献1に記載された樹脂発泡体のように樹脂組成物に対して難燃剤を多量に配合すると適正な粘度範囲から外れるため発泡性が低下し、発泡体の密度が高くなる。その結果、発泡体シートの重量が増加するため、例えば航空機等の軽量性が要求される用途に使用することが困難であった。
本発明は、上記従来の事情を鑑みてなされたものであって、軽量性を維持しつつ、高い難燃性を有するポリオレフィン系樹脂発泡体シートを提供する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、面密度を所定の範囲とし、熱重量・示差熱分析で測定される少なくとも1つの発熱ピークの位置を所定の温度範囲内にすることにより、軽量性と難燃性とを兼ね備えるポリオレフィン系樹脂発泡体シートが得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[9]を要旨とする。
[1] 面密度が5g/m以上400g/m以下であり、昇温速度10℃/分にて測定した熱重量・示差熱分析において、重量減少率が5~30%の温度範囲において少なくとも1つの発熱ピークを有する、ポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
[2] 昇温速度10℃/分にて測定した熱重量・示差熱分析において、重量減少率が30%以下の温度範囲において少なくとも1つ吸熱ピークを有する、[1]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
[3] 見掛け密度が0.045g/cm以下である、[1]又は[2]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
[4] 厚みが15mm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
[5] 前記ポリオレフィン系樹脂発泡体シートを構成するポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂から選ばれる1種以上である、[1]~[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
[6] 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂の併用である、[5]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
[7] 難燃剤を含有する、[1]~[6]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
[8] 前記難燃剤がリン酸塩、ポリリン酸塩、リン系スピロ化合物、及びハロゲン系難燃剤から選ばれる1種以上を含む、[7]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
[9] 前記難燃剤がリン酸塩、ポリリン酸塩、及びリン系スピロ化合物から選ばれる1種以上を含む、[7]又は[8]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
本発明によれば、軽量性を維持しつつ、高い難燃性を有するポリオレフィン系樹脂発泡体シートを提供することができる。
図1は、実施例1の発泡体シートのTG曲線及びDTA曲線を示す。
[ポリオレフィン系樹脂発泡体シート]
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体シート(以下、「発泡体シート」ともいう)は、面密度が5g/m以上400g/m以下であり、昇温速度10℃/分にて測定した熱重量・示差熱分析において、重量減少率が5~30%の温度範囲において少なくとも1つの発熱ピークを有するものである。本発明においては、発泡体シートの面密度が5g/m以上400g/m以下であるため軽量であり、航空機等の軽量化が必要とされる用途に用いることができる。また、昇温速度10℃/分にて測定した熱重量・示差熱分析において、重量減少率が5~30%の温度範囲において少なくとも1つの発熱ピークを有するため難燃性に優れている。
以下、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体シートについて更に詳細に説明する。
<面密度>
本発明の発泡体シートは、面密度が5g/m以上400g/m以下である。前記面密度が5g/m未満であると、発泡体シートの密度が小さくなり過ぎて機械強度が低下すると共に衝撃吸収性も低下する。一方、前記面密度が400g/mを超えると、発泡体シートの重量が大きくなり、航空機等の軽量性が求められる用途に用いることができなくなる。これらの観点から、発泡体シートの面密度は、好ましくは10g/m以上、より好ましくは20g/m以上、更に好ましくは30g/m以上であり、そして、好ましくは350g/m以下、より好ましくは300g/m以下、更に好ましくは250g/m以下である。一般的に難燃剤を含有する発泡体シートの面密度は高くなる傾向にあるが、本発明においては架橋度、発泡倍率及び難燃剤の量を調整することにより前記範囲とすることができ、軽量な発泡体シートとすることができる。
なお、本発明における面密度は、実施例に記載の方法で測定することができる。
<昇温速度10℃/分にて測定した熱重量・示差熱分析における発熱ピークの位置>
本発明の発泡体シートは、昇温速度10℃/分にて測定した熱重量・示差熱分析において、重量減少率が5~30%の温度範囲において少なくとも1つの発熱ピークを有する。重量減少率が5~30%の温度範囲において発熱ピークを有さないと、発泡体シートの燃焼の初期段階で発泡体シート中の難燃剤が分解していない場合がある。なお、重量減少率が5~30%である範囲は、発泡体シートの燃焼の初期の段階に該当する。また、発熱ピークは発泡体シート中の難燃剤の熱分解に起因する。ただし、発熱ピークは、配合される樹脂、難燃助剤、他の難燃剤の影響でシフトすることがある。
難燃剤が分解すると、難燃剤の分解により発生した難燃性ガスや難燃剤の分解により生成した難燃層が発泡体シートの燃焼を抑制することができる。発泡体シートの燃焼を抑制するためには、発泡体シートの燃焼の初期の段階で、発泡体シートの燃焼を抑制することが重要である。発泡体シートの燃焼の初期の段階で発泡体シートが分解するためには、難燃剤が、発泡体シート中の樹脂成分より先に分解することが好ましい。
発泡体シートの燃焼の初期段階で発泡体シート中の難燃剤が分解するという観点から、発熱ピークの温度は、好ましくは260~440℃であり、より好ましくは280~400℃であり、さらに好ましくは290~380℃である。
なお、発熱ピークの位置は後述する測定方法により測定することができる。
<昇温速度10℃/分にて測定した熱重量・示差熱分析における吸熱ピークの位置>
本発明の発泡体シートは、昇温速度10℃/分にて測定した熱重量・示差熱分析において、重量減少率が30%以下の温度範囲において少なくとも1つ吸熱ピークをさらに有することが好ましい。なお、吸熱ピークは発泡体シート中の難燃剤の融解に起因する。ただし、吸熱ピークも、配合される樹脂、難燃助剤、他の難燃剤の影響でシフトすることがある。
これにより、発泡体シートの燃焼の初期段階において発泡体シート中の難燃剤は融解して、発泡体シートの周りの熱を吸収することができる。そして、発泡体シートの燃焼の初期段階において発泡体シートの環境温度が低下し、発泡体シートの燃焼の初期の段階で発泡体シートの燃焼を抑制することができる。融解した後に難燃剤は分解することが好ましいので、吸熱ピークの温度は、上記発熱ピークの温度よりも低いことが好ましい。
発泡体シートの燃焼の初期段階で発泡体シート中の難燃剤が融解するという観点から、吸熱ピークの温度は、好ましくは210~440℃であり、より好ましくは220~360℃であり、さらに好ましくは230~270℃である。
なお、吸熱ピークの位置は後述する測定方法により測定することができる。
<見掛け密度>
本発明において、発泡体シートの見掛け密度は0.045g/cm以下であることが好ましい。発泡体シートの見掛け密度が0.045g/cm以下であると、発泡体シートを十分に軽量化することができる。発泡体シートの軽量化の観点から、発泡体シートの見掛け密度は、0.040g/cm以下がより好ましく、0.035g/cm以下が更に好ましい。一方、発泡体シートの見掛け密度は、0.010g/cm以上が好ましく、0.013g/cm以上がより好ましい。発泡体シートの見掛け密度を0.010g/cm以上とすることにより、軽量性を維持しつつ機械強度を確保することができる。
本発明のように発泡体シートが難燃剤を含有する場合、発泡性組成物の粘度が高くなるため発泡倍率を高くし、密度を小さくすることが難しいが、本発明においては後述する実施例で使用するような難燃剤を用い、架橋度等を調整しつつ発泡させるため見掛け密度を前記範囲に調整することが可能である。
<架橋度(ゲル分率)>
本発明の発泡体シートは、軽量であっても機械強度を向上させる観点から、架橋したものが好ましく、その場合の架橋度(ゲル分率)は、15~65質量%が好ましく、20~60質量%がより好ましい。ゲル分率が前記下限値以上であると、発泡体シートにおいて十分な架橋が形成されるため機械強度が高くなりやすい。また、架橋度がこれら上限値以下であると、発泡体シートの柔軟性等を確保しやすくなる。さらに、架橋度を上記範囲内とすることで面密度を前記範囲に調整しやすくなる。このような観点から、架橋度は、25~55質量%が更に好ましく、30~55質量%がより更に好ましく、35~55質量%がより更に好ましい。
なお、架橋度は後述する測定方法により測定することができる。
<厚さ>
本発明の発泡体シートの厚さは、機械強度及び衝撃吸収性を良好にする観点から、15mm以下が好ましく、2~15mmが好ましく、3~14mmがより好ましい。
<ポリオレフィン系樹脂>
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらの中でも、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂から選ばれる1種以上を用いることが好ましく、ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂とを併用することがより好ましい。ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂とを併用することにより架橋度や発泡倍率を調整しやすくなるため、軽量性に優れる発泡体シートを得やすくなる。
≪ポリエチレン樹脂≫
ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(0.93g/cm以下、LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(0.930g/cmより大きく0.942g/cm未満、MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(0.942g/cm以上、HDPE)が挙げられる。また、低密度ポリエチレン樹脂の好適な具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が挙げられる。
これらの中では、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂が好ましく、低密度ポリエチレン樹脂がより好ましい。これらの樹脂を使用することで、発泡体シートの圧縮強度変化率を低くしやすくなる。
なお、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度は、好ましくは0.90g/cm以上であり、より好ましくは0.91g/cm以上0.93g/cm以下である。また、高密度ポリエチレン樹脂の密度は、好ましくは0.98g/cm以下であり、より好ましくは0.95g/cm以上0.97g/cm以下である。高密度ポリエチレン樹脂や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂の密度をこれら範囲内とすることで、発泡体シートの柔軟性を損なうことなく、圧縮強度変化率等を低くしやすくなる。
ポリエチレン樹脂は、エチレンのホモポリマーでもよいが、エチレンを主成分(全モノマーの好ましくは75質量%以上、より好ましくは90質量%以上)とした、エチレンと少量のα-オレフィンの共重合体等でもよい。α-オレフィンとしては、好ましくは炭素数3~12、より好ましくは炭素数4~10のものが挙げられ、具体的には、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン等が挙げられる。なお、共重合体において、これらのα-オレフィンは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ポリエチレン樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
≪ポリプロピレン樹脂≫
ポリプロピレン樹脂としては、プロピレンの単独重合体であるホモポリプロピレンでもよいし、プロピレンを主成分(全モノマーの好ましくは75質量%以上、より好ましくは90質量%以上)とした、プロピレンと少量のエチレン及びプロピレン以外のα-オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
プロピレンと、エチレン及びプロピレン以外のα-オレフィンとの共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体、ランダムブロック共重合体等が挙げられるが、これらの中でも、ランダム共重合体(すなわち、ランダムポリプロピレン)が好ましい。
プロピレン以外のα-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン等の炭素数4~10程度のα-オレフィン等が挙げられるが、これらの中でも、成形性及び耐熱性の観点から、エチレンが好ましい。なお、共重合体において、これらのα-オレフィンは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ポリプロピレン樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン系樹脂として使用するエチレン-酢酸ビニル共重合体は、例えば、エチレン由来の構成単位を50質量%以上含有するエチレン-酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
本発明においては、チーグラー・ナッタ化合物、メタロセン化合物、酸化クロム化合物等の重合触媒で重合されたポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又はこれらの混合物のいずれを用いてもよい。メタロセン化合物の重合触媒により得られた、ポリエチレン樹脂、特に直鎖状低密度ポリエチレンを用いることにより、柔軟性が高く、高い衝撃吸収性を有する発泡体シートを得やすくなる。
<難燃剤>
本発明の発泡体シートは、好ましくは難燃剤を含み、当該難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤を挙げることができる。これら難燃剤の中でも、リン酸塩、ポリリン酸塩、リン系スピロ化合物、及びハロゲン系難燃剤から選ばれる1種以上が好ましい。中でもリン系難燃剤が好ましく、リン酸塩、ポリリン酸塩、及びリン系スピロ化合物から選ばれる1種以上がより好ましい。このような難燃剤は後述する発泡剤との関係で発泡性組成物の粘度が高くなりすぎないため、発泡体シートの見掛け密度を前記範囲に調整しやすくなる。よって、前記難燃剤を用いることにより、難燃性と軽量性とを兼ね備えた発泡体シートを得やすくなる。
≪リン系難燃剤≫
リン系難燃剤としては、例えば、リン酸塩、ポリリン酸塩、ホスファゼン系化合物、リン系スピロ化合物等が挙げられる。
〔リン酸塩及びポリリン酸塩〕
リン酸塩としては、オルトリン酸メラミン塩、オルトリン酸ピペラジン塩、ピロリン酸メラミン塩、ピロリン酸ピペラジン塩、リン酸カルシウム、及びリン酸マグネシウム等が挙げられる。
ポリリン酸塩としては、ポリリン酸アンモニウム塩、ポリリン酸メラミン塩、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム塩、及びポリリン酸ピペラジン塩等が挙げられる。
これらの中でも、ピロリン酸メラミン塩、ピロリン酸ピペラジン塩、及びポリリン酸アンモニウム塩から選ばれる1種以上が好ましく、ピロリン酸ピペラジン塩とピロリン酸メラミン塩とを併用することがより好ましい。ピロリン酸ピペラジン塩とピロリン酸メラミン塩とを併用する場合、ピロリン酸ピペラジン塩に対するピロリン酸メラミン塩の質量比(ピロリン酸メラミン塩/ピロリン酸ピペラジン塩)は、0.25以上1.0以下であることが好ましい。
前記リン酸塩及びポリリン酸塩の例示における「メラミン」又は「ピペラジン」は、N,N,N’,N’-テトラメチルジアミノメタン、エチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-ジエチルエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7-ジアミノへプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9ージアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、trans-2,5-ジメチルピペラジン、1,4-ビス(2-アミノエチル)ピペラジン、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4-ジアミノ-6-ノニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ハイドロキシ-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4,6-ジハイドロキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メトキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-エトキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-プロポキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-イソプロポキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メルカプト-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4,6-ジメルカプト-1,3,5-トリアジン、アンメリン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3-ヘキシレンジメランミンに置き換えた名称の化合物も使用することができる。
本発明においては、前記リン酸塩及びポリリン酸塩の1種を単独で用いてもよく、また、イントメッセント系難燃剤として前記リン酸塩及びポリリン酸塩から選ばれる2種以上を混合して用いてもよく、更に、イントメッセント系難燃剤として、前記リン酸塩及びポリリン酸塩から選ばれる1種以上と金属酸化物とを混合して用いてもよい。
リン酸塩及びポリリン酸塩から選ばれる1種以上と併用する金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マンガン(MnO、MnO)、酸化鉄(FeO、Fe、Fe)、酸化銅、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化アルミニウム、及びアルミン酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、及び酸化カルシウムが好ましい。
リン酸塩及びポリリン酸塩から選ばれる1種以上と、金属酸化物とを混合して用いる場合、これらの質量比は以下のとおりに調整することが好ましい。金属酸化物に対するリン酸塩及びポリリン酸塩から選ばれる1種以上の質量比〔リン酸塩及びポリリン酸塩の合計質量/金属酸化物の質量〕は、難燃性を向上させる観点から、好ましくは4以上100以下、より好ましくは6以上50以下、更に好ましくは10以上35以下である。
前記リン酸塩及びポリリン酸塩から選ばれる1種以上を含む難燃剤の市販品としては、例えば、株式会社ADEKA製「アデカスタブ FP-2100J」、「アデカスタブ FP-2200S」、「アデカスタブ FP-2500S」、クラリアントジャパン株式会社製「EXOLIT AP422」、「EXOLIT AP462」等が挙げられる。
〔ホスファゼン系化合物〕
ホスファゼン系化合物は、分子中に-P=N-結合を有する有機化合物である。ホスファゼン系化合物としては、比較的高い分解温度を有することより、好ましくは、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
上記式(1)中、R~Rはそれぞれ独立に、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数6~12のアリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。
このようなホスファゼン系化合物の例としては、大塚化学社から市販されている「SPB-100」等が挙げられる。
〔リン系スピロ化合物〕
リン系スピロ化合物としては、リン原子を有するスピロ化合物であれば特に限定されない。なお、スピロ化合物とは、二つの環状化合物が一つの炭素を共有した構造を有する化合物であり、リン原子を有するスピロ化合物とは、上記二つの環状化合物を構成する元素の少なくとも一つがリン原子である化合物である。
リン系スピロ化合物としては、例えば、分子内に、以下の式(2)で表される構造を有する化合物を用いることが好ましい。なお、式(2)において*は、他の置換基との連結部分を示す。
これらのリン系難燃剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、発泡性組成物への粘度の影響が小さく、発泡倍率を調整しやすくする観点から、リン酸塩、ポリリン酸塩、リン系スピロ化合物がより好ましい。
≪ハロゲン系難燃剤≫
本発明においては、ハロゲン系難燃剤を用いてもよい。ハロゲン系難燃剤は、ガス相におけるラジカルトラップ効果により活性OHラジカルを安定化させる。また、燃焼時、ハロゲン系難燃剤より生成するハロゲン化水素によって燃焼推進役となる活性なOHラジカル、Hラジカルがトラップされ安定化する。さらに、燃焼時、ハロゲン系難燃剤より生成するハロゲン水素は不燃性であるので、希釈効果を生じさせ、さらに酸素遮断効果も生じさせる。
ハロゲン系難燃剤としては、分子構造中にハロゲンを含有する難燃剤であれば特に限定されない。ハロゲン系難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤及び塩素系難燃剤が挙げられ、中でも、臭素系難燃剤が好ましい。
臭素系難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有する難燃剤であれば特に限定されない。臭素系難燃剤には、例えば、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、TBBAエポキシオリゴマー、TBBAカーボネートオリゴマー、TBBAビス(ジブロモプロピルエーテル)、TBBAビス(アリールエーテル)、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、1,2-ビス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)エタン、2,4,6-トリス(2,4,6-チロブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,6- or (2,4-)ジブロモフェノールホモポリマー、臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモベンジルアクリレートモノマー、ペンタブロモベンジルアクリレートポリマー等が挙げられる。これらの中でも、難燃性及び発泡性の観点から、ビス(ペンタブロモフェニル)エタンが好ましい。これらの臭素系難燃剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記ハロゲン系難燃剤を用いる場合においては、アンチモン系難燃助剤を併用してもよい。アンチモン系難燃助剤は、ハロゲン系難燃剤との相乗効果により、発泡体シートの難燃性を改善できると共に、ハロゲン系難燃剤の含有量を低減できる。アンチモン系難燃助剤を用いると、燃焼時、ハロゲン系難燃剤と反応し、不燃性のハロゲン化アンチモンとなる。これにより、酸素遮蔽効果が生じる。
アンチモン系難燃助剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられ、市販品としては、例えば、日本精鉱株式会社製の「PATOX-M」、「PATOX-MK」、「PATOX-K」等が挙げられる。
アンチモン系難燃助剤の配合量は、ハロゲン系難燃剤との相乗効果の観点から、ハロゲン系難燃剤100質量部に対して、好ましくは20~80質量部であり、より好ましくは30~70質量部であり、さらに好ましくは40~60質量部である。
難燃剤は、上記したもののうちから2種以上併用してもよい。好ましい難燃剤の組合せとしては、リン系難燃剤と臭素系難燃剤との組合せが考えられる。この場合、面密度は上記の通りであるが、特に好ましくは170g/m以下である。
≪難燃剤の融点≫
本発明において用いる難燃剤の融点は、発泡体シートの発泡温度と同程度、もしくはそれ以上のものが好ましい。難燃剤の融点が発泡温度と同程度かそれ以上であると燃焼時の熱によって融解しやすくなり発泡体シートの燃焼を抑制することができる。この観点から、難燃剤の融点は240~600℃が好ましく、250~550℃がより好ましく、255~500℃が更に好ましい。
発泡体シート中の難燃剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、3~80質量部であることがより好ましく、5~50質量部であることが更に好ましい。難燃剤の含有量を1質量部以上とすることにより、発泡体シートの難燃性が向上し、100質量部以下とすることにより、発泡体シートの軽量化を維持すると共に加工性等が良好になる。
<発泡剤>
本発明の発泡体シートは、ポリオレフィン系樹脂と、発泡剤とを含む発泡性組成物を発泡することで得られる。発泡剤としては、熱分解型発泡剤が好ましい。
熱分解型発泡剤としては、有機発泡剤、無機発泡剤が使用可能である。有機発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
無機発泡剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミドがより好ましい。
熱分解型発泡剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
発泡性組成物における発泡剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下が好ましく、5質量部以上35質量部以下がより好ましく、10質量部以上30質量部以下がさらに好ましい。発泡剤の配合量を1質量部以上にすることで、発泡性シートは適度に発泡され、適度な柔軟性と衝撃吸収性を発泡体シートに付与することが可能になる。また、発泡剤の配合量を30質量部以下にすることで、発泡体シートが必要以上に発泡することが防止され、発泡体シートの機械強度等を良好にすることができる。
<添加剤>
発泡性組成物には、架橋助剤が配合されていてもよい。架橋助剤としては、多官能モノマーを使用することができる。架橋助剤をポリオレフィン系樹脂に添加することによって、後述する工程(2)において照射する電離性放射線量を低減して、電離性放射線の照射に伴う樹脂分子の切断、劣化を防止する。
架橋助剤としては具体的には、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート等の1分子中に3個の官能基を持つ化合物や、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、ジビニルベンゼン等の1分子中に2個の官能基を持つ化合物、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。
これらの架橋助剤は、単独で又は2以上を組み合わせて使用する。
架橋助剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.5~10質量部が好ましく、1.0~8質量部がより好ましく、1.5~5質量部が更に好ましい。該添加量を0.5質量部以上とすることにより発泡体シートが所望する架橋度を安定して得ることが可能となり、10質量部以下とすることにより発泡体シートの架橋度の制御が容易となる。
発泡性組成物には、分解温度調整剤が配合されていてもよい。分解温度調整剤は、熱分解型発泡剤の分解温度を低くしたり、分解速度を速めたり調節するものとして配合されるものであり、具体的な化合物としては、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素等が挙げられる。分解温度調整剤は、発泡体シートの表面状態等を調整するために、例えばポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01~5質量部配合される。
発泡性組成物には、酸化防止剤が配合されていてもよい。酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール等のフェノール系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、例えばポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01~5質量部配合される。
発泡性組成物には、これら以外にも、熱安定剤、着色剤、帯電防止剤、充填材等の発泡体に一般的に使用する添加剤が配合されてもよい。
発泡体シートにおいては、ポリオレフィン系樹脂は主成分となるものであり、ポリオレフィン系樹脂の含有量は、発泡体シート全量基準で、例えば45質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上である。
<発泡体シートの製造方法>
本発明の発泡体シートは、ポリオレフィン系樹脂を一般的な方法で発泡することにより製造することができるものであり、その製造方法に制限はなく、少なくともポリオレフィン系樹脂と発泡剤とを含む発泡性組成物を必要に応じて架橋した後、発泡することにより製造することもできる。
具体的に、本発明の発泡体シートは、例えば以下の工程(1)~(3)を有する方法により製造することができる。
工程(1):ポリオレフィン系樹脂、熱分解型発泡剤、及びその他の添加剤を押出機に供給して溶融混練し、押出機からシート状に押出すことによってシート状にされた発泡性組成物を得る工程
工程(2):シート状にされた発泡性組成物を架橋する工程
工程(3):架橋させたシート状の発泡性組成物を加熱し、熱分解型発泡剤を発泡させて、好ましくはMD方向又はTD方向の何れか一方又は双方に延伸する工程
なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体シートの製造方法としては、この方法のほかに、国際公開第2005/007731号に記載された方法により製造することも可能である。
発泡性組成物を発泡させる方法としては、特に制限はなく、例えば、発泡性組成物を熱風により加熱する方法、赤外線により加熱する方法、塩浴により加熱する方法、オイルバスにより加熱する方法等が挙げられ、これらは併用してもよい。
なお、発泡性組成物の発泡は、熱分解型発泡剤を用いる例に限定されず、ブタンガス等による物理発泡を用いてもよい。
発泡性組成物を架橋する方法としては、例えば、発泡性組成物に電子線、α線、β線、γ線等の電離性放射線を照射する方法、発泡性組成物に予め有機過酸化物を配合しておき、発泡性組成物を加熱して有機過酸化物を分解させる方法等が挙げられ、これらの方法は併用されてもよい。これらの中では、電離性放射線を照射する方法が好ましい。
電離性放射線の照射量は、ゲル分率が前記範囲となるように、0.5~20Mradが好ましく、1.0~12Mradがより好ましい。
架橋に使用する有機過酸化物としては、例えば、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。有機過酸化物の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、0.01~5質量部が好ましく、0.1~3質量部がより好ましい。有機過酸化物の添加量が上記範囲内であると、発泡性組成物の架橋が進行しやすく、また、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体シート中に有機過酸化物の分解残渣の量を抑制する。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体シートは、上記したように、延伸されていることが好ましい。延伸は発泡性組成物を発泡させて発泡体シートを得た後に行ってもよいし、発泡性組成物を発泡させつつ行ってもよい。なお、発泡性組成物を発泡させて発泡体シートを得た後、発泡体シートを延伸する場合には、発泡体シートを冷却することなく発泡時の溶融状態を維持したまま続けて発泡体シートを延伸したほうがよいが、発泡体シートを冷却した後、再度、発泡体シートを加熱して溶融又は軟化状態とした上で発泡体シートを延伸してもよい。
また、ポリオレフィン系樹脂発泡体シートのMD方向における延伸倍率は、1.1~3.0倍が好ましく、1.3~2.8倍がより好ましい。ポリオレフィン系樹脂発泡体シートのMD方向における延伸倍率を上記下限値以上とすると、ポリオレフィン系樹脂発泡体シートの柔軟性及び引張強度が良好になりやすくなる。一方、上限値以下とすると、発泡体シートが延伸中に破断したり、発泡中の発泡体シートから発泡ガスが抜けて発泡倍率が低下したりすることが防止され、ポリオレフィン系樹脂発泡体シートの柔軟性や引張強度が良好になり、品質も均一なものとしやすくなる。また、ポリオレフィン系樹脂発泡体シートは、TD方向にも上記範囲の延伸倍率で延伸されてもよい。
[粘着テープ]
本発明においては、本発明に係る発泡体シートを基材として用い、発泡体シートの一方の面又は両面に粘着剤層を設けて、粘着テープとしてもよい。粘着テープの厚さは、通常2~16mm程度である。
粘着テープを構成する粘着剤層の厚さは、5~200μmが好ましく、7~150μmがより好ましく、10~100μmが更に好ましい。粘着テープを構成する粘着剤層の厚さが5~200μmであると、粘着テープの厚さを薄くすることができる。
発泡体シートの一方の面又は両面に設けられる粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を用いる。
発泡体シートに粘着剤を塗布し、粘着剤層を発泡体シート上に積層する方法としては、例えば、発泡体シートの少なくとも一方の面にコーター等の塗工機を用いて粘着剤を塗布する方法、発泡体シートの少なくとも一方の面にスプレーを用いて粘着剤を噴霧、塗布する方法、発泡体シートの一方の面に刷毛を用いて粘着剤を塗布する方法等が挙げられる。
本発明の発泡体シートを用いた粘着テープは、航空機内の衝撃吸収材として好適に用いることができる。また、電子機器本体内に内装される衝撃吸収材等として用いることもできる。
[積層シート]
本発明においては、上記した発泡体シートと、該発泡体シートの片面又は両面に設けられる金属シートとを備えた積層シートとしてもよい。該積層シートは、金属層を備えることにより強度及び防水性が向上し、かつ上記した発泡体シートを用いているため軽量でありかつ難燃性に優れる。
金属シートの種類としては、例えばアルミニウム、銅、鉛などが挙げられ、中でも軽量であることより、アルミニウムが好ましい。
金属シートの厚さは、好ましくは50~400μmであり、より好ましくは80~300μmである。
発泡体シートの片面又は両面に金属シートを設ける方法としては、特に限定されず、例えば、公知の粘着剤又は接着剤を用いて発泡体シートの片面又は両面に金属シートを貼り合せるとよい。
さらに、該積層シートの一方の面又は両面に上記した粘着剤層を設けて使用してもよい。
上記積層シートは、軽量性及び難燃性に優れると共に、強度が高く防水性に優れるため、上記した航空機の用途に好適に使用することができる。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
[測定方法]
本明細書における各物性の測定方法は、次の通りである。
<見掛け密度及び面密度>
発泡体シートの見掛け密度は、JIS K7222:2005に準拠して測定した。
発泡体シートの面密度は、見掛け密度と厚みから計算により求めた。
<発熱ピーク及び吸熱ピークの測定>
日立ハイテクサイエンス社製の装置名:TA7000を用い、昇温速度10℃/分、測定温度23℃~550℃として熱重量分析を行った。
得られたデータの解析を「TA7000 Standard Analysis」を用いて実施した。TG曲線から、発泡体シートの重量減少率が5%なる温度、発泡体シートの重量減少率が30%なる温度を検出した。DTA曲線において隣接する2つの変曲点を結んだ直線をベースラインとし、ピーク面積の絶対値が20uV・s/mg以上となる場合を発熱ピークあるいは吸熱ピークとして検出し、発熱ピークの温度及び吸熱ピークの温度を検出した。
<最大発熱量、及び合計発熱量>
発泡体シートの最大発熱量、及び合計発熱量は、FAR PART 25.853(d) Appendix F Part IVに準拠して測定した。
<架橋度(ゲル分率)>
発泡体シートから約100mgの試験片を採取し、試験片の重量A(mg)を精秤した。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm3中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の重量B(mg)を精秤した。得られた値から、下記式により架橋度(質量%)を算出した。
架橋度(質量%)=(B/A)×100
<難燃性の評価>
発泡体シートの難燃性評価については、既述の最大発熱量、合計発熱量に基づいて評価した。
具体的には、5分間の試験中の最大発熱量が65kw/m以下、試験開始後2分間の合計発熱量が65kw・min/m以下である場合を合格とし、それ以外の場合を不合格にした。
<使用原料>
実施例及び比較例で用いた材料は以下のとおりである。
〔ポリオレフィン系樹脂〕
・ポリプロピレン:日本ポリプロ株式会社製「EG7F」
・ポリエチレン:ダウ・ケミカル社製「5220G」
〔架橋助剤〕
・架橋助剤:トリメチロールプロパントリメタクリレート
〔発泡剤〕
・熱分解型発泡剤:アゾジカルボンアミド
〔酸化防止剤〕
・酸化防止剤A:2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール
・酸化防止剤B:ジラウリルチオジプロピオネート
〔難燃剤〕
・難燃剤A:リン系化合物、帝人株式会社「ファイヤガード FCX-210」、融点257℃
・難燃剤B:イントメッセント系難燃剤(複合物)、株式会社ADEKA「アデカスタブ FP-2500S」、融点270℃
・難燃剤C:トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート、大八化学工業株式会社「TMCPP」、融点23℃以下(常温で液体)
・難燃剤D:ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、アルベマール日本株式会社「SAYTEX8010」、融点350℃
〔難燃助剤〕
・難燃助剤:三酸化アンチモン、日本精鉱株式会社「PATOX-M」、融点656℃
実施例1
ポリプロピレン80質量部、ポリエチレン20質量部、架橋助剤2.5質量部、熱分解型発泡剤20質量部、難燃剤A15質量部、及び酸化防止剤A0.5質量部、酸化防止剤B0.3質量部をラボプラストミルで混練した。その後、180℃、15MPaで熱プレスすることにより、厚み1mmの発泡性ポリオレフィン樹脂シート(以下、「発泡性シート」という)を作製した。
続いて、作製した発泡性シートの両面から加速電圧1000kV、1.4Mradの電子線を照射した。その後、発泡性シートを250℃に設定した熱風オーブンに4分間投入した後すみやかに取出し、ポリオレフィン系樹脂発泡体シートを得た。
得られた発泡体シートの評価結果を表1に示す。また、実施例1の発泡体シートのTG曲線及びDTA曲線を図1に示す。なお、図1において、T-5%は重量減少率が5%の温度を示し、T-30%は重量減少率が30%の温度を示し、Tは発熱ピークの温度を示し、Tは吸熱ピークの温度を示す。
実施例2~7、比較例1~4
発泡性組成物の配合を表1に示すように変更すると共に、表1の厚みになるように発泡性シートの厚みを調整したことと、架橋度(ゲル分率)になるように架橋時の線量を調整したこと以外は実施例1と同様に実施した。
得られた発泡体シートの評価結果を表1に示す。
上記の結果より明らかなように、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体シートは、軽量性を維持しつつ、高い難燃性を有するため、航空機等の軽量化が求められる用途について好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 面密度が5g/m以上400g/m以下であり、昇温速度10℃/分にて測定した熱重量・示差熱分析において、重量減少率が5~30%の温度範囲において少なくとも1つの発熱ピークを有し、難燃剤を含有し、前記難燃剤がリン酸塩、ポリリン酸塩、及びリン系スピロ化合物から選ばれる1種以上を含む、ポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
  2. 昇温速度10℃/分にて測定した熱重量・示差熱分析において、重量減少率が30%以下の温度範囲において少なくとも1つ吸熱ピークを有する、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
  3. 見掛け密度が0.045g/cm以下である、請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
  4. 厚みが15mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
  5. 前記ポリオレフィン系樹脂発泡体シートを構成するポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂から選ばれる1種以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
  6. 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂の併用である、請求項5に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体シート。
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